タクシーの中、忘年会の帰途についていた。時間は夜の10時過ぎ、普段はタクシーなど
使わずに電車で帰る時間だ。忘年会とはいえ、歩けないほど飲んだ訳ではない。
むしろあまり飲めないのでほぼしらふだ。自分の左側を見ると、女性が寄りかかって
ぐったりとしている。ふと30分位前の事…。
「課長!舞ちゃんがちょっと…同じ方向ですよね?」
舞ちゃんは先月から同じ課で働いている19歳の派遣で来た女の子だ。飲みすぎたのか
フラフラしている。話し掛けてきた同僚の高橋は酔っ払いを押し付けて自分は二次会の
カラオケに行きたそうだった。
「あ〜わかった。わかった。ちゃんと送るよ」
「課長〜!変な事しちゃダメですよ〜」
「しねーよ!」
(だったらお前が送れっつーの)