彼女と再会したのは入学式直後の事でした。 彼女【エリカ】とは幼稚園から小学3年生までは同じクラスだったが、エリカは彼女の父親の転勤の都合でアメリカに転校していった。 高校は県内で唯一の英語科で、半分近くが帰国子女のクラス。しかも40人中4人が男というある意味異様と言える配分でした。 本当はエリカと気さくに話をしたかったけど、男は四人しかいないので女の子の視線には注意する必要があった。 3年間クラス替えがないという事は人間関係に失敗すると学校を辞める事を意味していたからでした。
俺のスタンスは用事がある時以外には女の子に話しかけない、出来るだけ男子で固まるというものでした。 それが正解だと気付いたのは夏休み前の事。四人の中の一人に彼女が出来、最初は良かったがすぐに破局。以降は女子の大半がそいつを犯罪者扱い…いわゆるイジメをしたからです。 そいつは2学期から登校しなくなりました。 俺もモテない訳でなく、それなりにラブレターを貰ったり告られたりしたが、そいつと同じ轍を踏むのは嫌だったし…何よりエリカが気になって仕方なかった。
俺の初キスは中学時代に同じ塾に通っていた女の子で、初体験もその女の子が相手だった。 高校に入ってからはセフレのような関係で、週に1回から2回の割合でセックスしていたし、それは卒業まで続いた。 夏休みの間の事、俺は偶然にもエリカと本屋であった。 「久しぶり」俺はバイク雑誌を片手にエリカに近付いた。 彼女は学校ではどのグループにも属していなかったが、疎まれているのとは違い大人の落着きがあった。 「何読んでるの?」俺はエリカの持っている本を覗いた。 その本は初級中学生用の漢字の本だった。 「漢字苦手だから。」エリカは笑顔で答えた。 小学3年以来の笑顔のような気がした。
「しょうがないよ、6年近くもアメリカにいたんだし」 「そうよね。でも古典は最低。現代文の文法が怪しいのに体言や用言なんてね」 「俺は最初から諦めてるよ。古典なんてこれから先、必要ないしね。単位は現文と合わせるから大丈夫だし」 「シンジ君はいいわよ、現代文で点が取れるもの。」 「使えるかどうかわからないけど、中学ん時の問題集をあげようか?まだ処分してないし」 彼女は喜びそのまま問題集を取りに来る事になった。 本屋から俺の家までは自転車で5分、彼女は歩きだったので後ろに乗せた。
5 :
えっちな21禁さん :2006/01/15(日) 07:57:06 ID:c7Rrrma50
「アレ?シンジ君の家ってこんな感じだった?」 「建直したんだよ。父さんがローンを組めるうちにって。それに俺が頼りないから将来結婚して住むとこがなくなったら困るって二世帯住宅にしたんだ」 玄関は二ヵ所あったが今は一ヶ所しか使ってなかった。セフレを入れる時以外はそこは使わなかった。 「母さん、鮎川さん。小3の時に転校した鮎川だよ。鮎川に要らない参考書をあげようと思うんだけど、どこにしまった?」 エリカは母に挨拶をし、エリカの母と俺の母は同じ時期にPTAの役員をしていた云々を話し始めた。 エリカが母と話している間に俺は二階の物置に問題集を引張りだしに行った。
「何がいる?」俺は二階から声をかけた。 「国語と社会は欲しいな。」彼女の声は俺に届かない。 同じ質問を繰返す俺。 すると母がエリカを制止したらしく「全部持って降りておいで!」 俺は暫くして段ボールに詰まった参考書や問題集を抱えておりた。 「コレが使ってたやつだからレベルは低いだろうけど、殆どサラだから全部持っていってくれていいわよ」 俺は紙袋を用意し、教科書を詰め始めた。全部で3袋になったが、袋を自転車のカゴとハンドルに引掛けてエリカを送っていく事にした。 彼女の家は俺の家から、そう遠くはなかったが少し遠回りをした。エリカと少しでも一緒にいたかった。
本当はずっと自転車に乗っていたかったが、エリカは荷台で袋を一つ抱えながら座っているのでそういう訳にもいかなかった。 程なくして彼女の家に着くと彼女はポツリと 「もう、着いちゃった…」と呟いた。 「そうだな。近いな…」俺はそう言うと袋を彼女の家の玄関先に置いた。 「じゃぁ…」 「うん、本当にありがとうね」 夏休みが終わるまで、エリカとは会えないんだろうなって思いながら、俺は振り返らずに自転車を漕いだ。 俺は帰宅途中に公園の公衆電話でセフレに電話をした。 家に戻ると母は電話をしていた。俺は二階にあがり、買ってきたバイク雑誌をパラパラとめくった。 夕飯の時間がきて食事をしていると 「さっき、鮎川さんのお母さんからお礼の電話を貰ったよ。」との事だった。
食事を終えると俺はすぐに風呂に入った。 上でも入れるが、遅くまで風呂に入らないと母がうるさかった。 「おやすみ」 時計はまだ9時過ぎだった。俺は二階に上がると階段のドアの鍵を締め、部屋に入った。 10時前にはセフレが来る筈だった。そしてセフレは10時にもう一つの玄関の呼鈴を鳴らした。 俺はセフレを部屋に入れるとキツク抱締めた。 「シンジ…苦しいよ、ねぇシンちゃん…」 俺はセフレの言葉を飲込むかのようにキスをした。 そしてベッドに押倒すとセフレのタンクトップをたくしあげ、乱暴にブラを外した。 「アン、…シンジ。ちょ、どうしたの?変よ…」 俺は乳首にむしゃぶりつくと、あいた手でジーンズを脱がし始めた。 「ダメ、クラブが終わってシャワーを浴びてないから…シャワーに行かして。ね、シンちゃん…お願い」
俺は無言でセフレのジーンズを脱がし、乱暴にパンティの中に指をすべらせた。 セフレのマンコはぐっしょり濡れていた。 俺は嫌がるセフレを無視して足を開かせ、パンティのクロッチ部分を捲りむしゃぶりついた。 汗の匂いとかすかなアンモニア臭が混じってるが、愛液の匂いは強烈だった。 指を腟にめり込ませかき混ぜりるようにし、舌はクリを執拗に転がした。 「シン…ちゃんヒドい…よ…」セフレは喘ぎと共に呟いた。 俺はセフレの声を無視し…無言でチンポを取出すと無理やりに挿入した。 初めての生だった。セフレも気付いていたと思うが、咎める事はなかった。 ただ、俺の名前を時々呼びながら、セフレは快楽を貪っていた。
セフレを抱いてはいたが、俺の頭の中はエリカで一杯だった。 もちろん、セフレには失礼な話だが俺はエリカに対する気持ちをセフレにブツケルかのように腰を動かした。 イク瞬間、俺はかろうじて理性を取戻して腹の上に出した。 激しい息遣いだけが交錯する。 暫くの時間が過ぎたあと、セフレが口を開いた。 「今日のシンちゃんは激しいよ。でも…もう少しでイキそうだったよ。」 俺は上の空でセフレの話を聞き、頭の中はエリカで一杯だった。
エリカの事を考えていると俺はまた欲情してきた。 セフレにフェラを促すと、彼女の愛液がテラテラに濡れ光っているチンポをシャブラせた。 その後はゴムを着けて2回セックスをした。 12時近くになり、セフレはよろよろと起きるとシャワーを浴びに行った。 「シンジ、帰るね…」 セフレはそう言うと帰っていった。 セフレが帰った後、激しい罪悪感が俺を襲った。 今でこそセフレなどと言う言葉はあるが、当時はなかったし一応彼女であった筈。 それを一方的にオモチャのように扱ったんだから最低だった。
次の日、インターホン越しに母から起こされた俺は昨夜のままの姿だった。 とりあえずTシャツを着て、短パンを履いた俺は顔を洗って階下に降りた。 朝食を済ませ、居間に行くと一人なのを確認してセフレに電話した。 セフレは昨夜は驚いたが、「たまにはスリルがあるね」って答えた。 電話を切り、上に上がると俺はエリカの事を思い出した。 エリカの事を考えると俺はすぐにチンポを触るように立たせた。
俺はエリカの事をぼんやり考えながら午前中を過ごした。 昼前になり母がインターホン越しに呼ぶので返事をすると 「鮎川さんがお菓子を持って来てくれたよ、降りておいで」 俺は慌てて着替えて下に降りた。 エリカはリビングでジュースを飲んでいた。 白いワンピースに素足の彼女は楽しそうに話していた。 俺は少しモジモジしながらエリカと向い合うように座った。 「シンジ君、昨日はありがとうね。夏休みの間に追いつかないとダメだから頑張らなきゃ」 それから暫く三人で話をした。エリカは実はアメリカで生まれたから二重国籍だって話には驚いたが、俺はずっとエリカが気になってた。 暫くして昼時になったので、母が昼飯に誘ったがエリカは遠慮した。 母も無理には勧めず、代わりにナイスな提案をした。「良かったらシンジと勉強してくれない?この子はロクに勉強もしないでゴロゴロしているだけだから…上には使ってない部屋があるから落ち着いて勉強出来るわよ。」 エリカは喜んでくれた。
俺は母が昼飯を作っている間にエリカを自転車で送って行く事になった。 「シンジ君が同じクラスで良かった。」 「あぁ、俺もだよ。クラスって何か変な雰囲気だろ?だから鮎川が居てくれてラッキーだよ」 ものの5分で彼女の家についた。 3時に約束をしたが、迎えに行こうかと提案すると 「用事を済ませてから行くから大丈夫よ」との返事だった。 俺は腰からお腹にかけてのエリカの腕の感触が消えないように自転車を漕いで帰宅した。
家に戻ると母の作った焼飯を急いでかきこみ、部屋の掃除を始めた。 そこは元々使ってない部屋だから掃除機をかける程度で充分だった。暇なのでついでに自分の部屋も片付けた。 元々セフレがよく来るから部屋は整理していたので、空気を入替えて掃除機をかけただけだった。 それでも暇なので洗濯とトイレ掃除をする事にした。二階を貰った時点で自由を得た代わりに掃除と自分の服やシーツの洗濯は自分でする約束だった。 洗濯機が脱水をしている頃にエリカは訪ねてきた。 「自分で洗濯するんだ?」 「手伝うよ」 俺は適当に座ってて、と促した。
ベランダから戻るとエリカは真面目に漢字に取組んでいた。 俺は少し残念に思いながらも、真面目に取組んだ。 2時間近く経ち俺が休憩を提案し、エリカが持ってきてくれたアイスをとりに下に降りた。 ちょっとして戻ってくるとエリカは難しい顔をしながら 「夏休みが終わるまでに追いつかないなぁ」と呟いた。 アイスを食べながら俺は 「鮎川さえ良かったら、いつでもおいでよ。俺は暇だし」って提案した。 エリカは喜んで提案を受入れてくれた。 俺達はその後7時過ぎまでお互いな教えながら勉強した。
勉強道具の一部は置いていけばいいと提案し、俺はエリカを送って行った。 帰り道、エリカが 「私も自転車を買おうかな…」と呟いた。 「いつもシンジ君に送って貰うの、悪いし。自転車があればいつでもシンジ君の家に行けるし」 俺は少しだけ勇気を振り絞って 「俺は鮎川を送りたいよ。」って言った。 エリカは暫くだまっていたが、着く頃に 「うん、そうだね」って返事した。 俺はエリカを送り届けるとエリカのお母さんが出てきたので、挨拶をして帰った。
帰宅途中、俺は公園に立ち寄り公衆電話からセフレに電話をかけた。 帰宅すると母が喜んでいた。 「別に見る気はなかったんだけどね、食器を取りに行ったらノートが開いたままだったから。アンタも頑張ったんだね」 俺は夕飯を食べたら風呂に入り 「おやすみ」と言い残して上に上がった。親父はナイターを見ていた。 勉強していた部屋を簡単に片付けてたら、玄関のインターホンが鳴った。
セフレを部屋に上げると俺は切り出した。 「昨日はごめん、どうかしてたよ」 「ううん、いいよ。きっと疲れてたんだよ」 「どっか行く?カラオケでもボーリングでも…」 「いいよ、ここで。今日は私がシンちゃんを襲っちゃおうかなぁ」 そう言うと俺の短パンに手をかけ、優しく股間を撫で始めた。 続く…
結局俺はその日はセフレのなすがままに快楽に浸った。 俺は四つん這いにされ背中に舌を這わされながら、チンポを扱かれたり。仁王立ちの姿勢でフェラをされたり…。 ただ頭の中は昨日よりも鮮明にエリカの事が浮かんだ。 セックスが終わり、抱合って眠っていると夜中になった。 「今日は送って行くよ。」 俺はセフレを自宅まで送り届けた。途中で花火がしたいと言うので、コンビニに寄り花火を買い…公園で花火をした。 自宅に届けたら俺はまっすぐに帰らずにエリカの家の前にまで行った。
22 :
えっちな21禁さん :2006/01/15(日) 08:08:07 ID:J6LzRL4c0
完全に板違い どっからきたんだ おい 邪魔だ 邪魔
別に立ち止まる事もなく、漠然と通りすぎた俺は部屋に戻りCDを聴きながら雑誌を読み、いつの間にか眠ってしまった。 次の日、昨日と同じように朝食を食べ、午前中は中学時代の同級生の家に行き、アレコレ雑談をした。 プールに誘われたが、エリカが勉強しに来るので昼過ぎには家に戻った。 そして3時前にエリカはスイカをぶら下げてやってきた。 四時間近くたっぷりと勉強をした俺とエリカはスイカを食べながら好きな音楽の話をした。 俺はデュランデュランが好きだと言い、エリカはフーが好きって言ってた。
エリカは続けて「ジュニアの時にボーイフレンドが好きで、私もつられて好きになったの。」 エリカ程の美人だ。しかもこの前までアメリカに住んでいたんだから、ボーイフレンドの一人ぐらい居て当然だった。 俺は落込んだ。悟られないように落込んだ。昨日も一昨日もガンガンセックスしたのに…落込んだ。 が、すぐに気をとりなおし、俺はテレビの話に話題をすり替えた。とんねるずや宮沢りえがかわいいねって話をしていた気がする。エリカはデビュー当時の松雪泰子を少し優しくしたような感じの女の子だった。
25 :
えっちな21禁さん :2006/01/15(日) 08:09:44 ID:J6LzRL4c0
邪魔だ 邪魔
8時前になり、俺はエリカを自宅に送って行った。 「明日は親戚が来るから行けそうにないわ。」 俺は残念だったが、 「それじゃ俺はプールにでも行くよ」って答えた。 「夜に時間が取れたらシンジ君に電話してもいい?」 「もちろん!鮎川が暇な時はいつでも電話してこいよ」 そう話しているとエリカの家についた。 まっすぐに帰らずに俺はレンタルビデオ店に行き、 「フーのCDありますか?」って店員に聴いた。 SUBSTITUTEって曲を聴きながら…和訳の歌詞を見ていたら 涙が出てきた。
次の日 俺は目が覚めるとツレに遊びに行かないか?と誘った。 久しぶりに神戸の街に出た俺達は吉兵衛でかつ丼を食べると元町に向かった。 デニムを物色したりシャツを見たりして、昼からはメリケンパークでスケボーをして過ごした。 夕方までたっぷりグラブの練習をした後、俺達は阪急に乗って芦屋川に戻った。 家に戻ると晩ご飯の用意が出来ていたので、シャワーを浴びてから食卓についた。 食事が終わった頃に知人から電話があり、週末のサンボウル地下で行われるスケボーナイトに誘われた。 「ガスボーイズとトンペイズが出るぞ」
俺は「出たいけど、朝までは…」と曖昧な返事をして電話を切った。 暫くしてまた電話が鳴った。 エリカからだった。 「電話しちゃった。」 それから少しスケボーの話をしていたら… 「今から会わない?」 俺はすぐに用意をして自転車に乗り待ち合わせ場所のモスに向かった。 彼女の方が少し早く着いたらしく、店の前で待っていた。 「こんな時間に大丈夫?」 「シンジ君とモスに行くって言ったから11時迄に帰れば大丈夫」
29 :
えっちな21禁さん :2006/01/15(日) 08:11:15 ID:J6LzRL4c0
邪魔だ 邪魔
エリカはモスもいいけど、海を見たいって提案をしたので僕達はモスで飲み物をテイクアウトして、芦屋川沿いに芦屋浜まで下った。 テトラポットのある海辺に着き、俺達はテトラポットに登った。 テトラポットに登る時、初めて手を握った。 そしてエリカは登った後も暫くは手を放さなかった。 そして10時過ぎまでいろんな事を話した。
31 :
えっちな21禁さん :2006/01/15(日) 08:12:26 ID:J6LzRL4c0
かえれよ なんでもかんでももってくるな ボケ
32 :
えっちな21禁さん :2006/01/15(日) 08:13:00 ID:J6LzRL4c0
はいはい 続かなくていいからね?
33 :
えっちな21禁さん :2006/01/15(日) 08:14:07 ID:J6LzRL4c0
板違いなんだよ どうせどっかから追い出されたんだろ えっちねたに勝手に引っ越してくるなよ スゲー迷惑
テトラポットを手を繋いで慎重に降りると自転車に乗り、ゆっくりと彼女の家に戻った。 「もう少し、近くなれたらいいな」 俺は聞こえていたけど、聞こえていない振りをした。 緩やかな坂道を登り、エリカの家に近付くと 「明日は家族で出掛けるの、明後日勉強しに行ってもいい?」 「もちろん。」今度はハッキリと答えた。 彼女を送り届けて俺はまっすぐに家に帰った。 部屋に戻り右手を見ると、まだエリカの掌の感触が残っているような気がした。
次の日は高校の同級生に呼び出された。 前出だが、四人の中の一人が高校を辞めるって事で、なんとか思いとどまるように説得しようとの事だった。 確かに男三人で乗切るのは辛いが、辞めたい気持ちも理解出来た。 そして女子も四人が辞めるらしいって聞いた。 四人とも日本語があやふやで国語もだが、社会も理解出来ないし理科も生物が無理らしくて、卒業も難しいと悲観していたそうだ。 そのうちの二人はアメリカとカナダに戻り、二人はどうするか未定との事だった。
答えが見つからないまま、とりあえず説得しようとの事でクラスメートの一人が女子に連絡を取った。 俺はダルくなり、何かあったら協力するから…と言い残して家に帰った。 夜になりエリカからの電話がかかってきた時に、一応彼女にも伝えた。 エリカが言うにはその女の子達は日本人学校に通った事はあっても、日本の学校は今が初めてだから馴染めないんじゃないか… との事だった。 その後はとりとめのない話をして電話を切った。
次の日からは暫く真面目に勉強をする日が続いた。 そして芦屋の花火大会にエリカと二人で行く事になった。 その頃、セフレとはセフレのクラブが合宿に入ったりで予定が合わずにセックスはしていなかった。 内心ホッとしていたし、気持ちは完全にエリカに傾いていた。 花火大会の当日、俺はスケボーで彼女の家まで迎えに行った。彼女は浴衣姿で出迎えてくれ、俺はボードを庭の隅に置かせて貰った。 花火を見るには海辺と山手の二つのスポットがあったが、海辺の方が賑やかだから海辺に行く事にした。
浴衣姿の彼女は綺麗で、短パン姿の俺は不釣合いのような気がした。 少しだけ距離をとり、俺達は歩いた。 「竹園のコロッケを食べよう」とのエリカの提案でコロッケ屋の前で並んでいたら、クラスの女子達と遭遇した。 多少はやしたてられたりしたが、俺は満更でもなかった。反面、それ以上の苦痛も覚悟しなきゃならない時が来るような気もした。 エリカはそれを察したのか、幼馴染みで昔からの友達だったとフォローしてくれた。 結局みんなで花火を見る事になり、俺とエリカの物理的な距離は少し離れた。
話題は2学期からの事に集中した。辞める可能性があるのは7人に増えていたのには驚いたが、俺にはあまり関係なかった。 鑑賞地点に着き、俺とエリカは微妙に離れた場所に居た。 そして花火が始まるとエリカはそっと俺のそばにやってきて、俺の小指をそっと握ってきた。 「迷子になろうか?」 俺は一人ごとのように囁くと、エリカは強く指を握った。 二人はそっと木立ちの方に移動した。今は完全に手を繋いでいた。
「どこかに行こ」 僕達は木立を離れ、喧騒から逃れるように人気のない砂浜に移動した。 「みんなにどう思われてるかな?」 「どうって?」 「ううん、二人で抜け出してきちゃったし…探してないかな?」 「気にすることなんてないよ」 この時間が永遠に続けばいいのだが、それ以上に不安を感じていた。 俺は自分で心のバランスを崩し始めているのに気付いてはいたけど、時計の針は戻せなかった。 それに対してエリカは時計の針を進めようとしているように思えた。 音のない花火が上がっていた。
何とかしなければならないのに、勇気さえ湧かなかった。 いたずらに時間だけが過ぎていき、花火は終わっていた。 「もう少し…そばにいてもいい?」 「うん」 波の音が間を取り持ってくれている…。 僕達の距離は確実に近付いているのに…逃げ出したい気持ちになった。 「そろそろ帰ろうか?それかアルファルファでお茶でもする?」 俺の提案には答えずにエリカはそっと立ち上がった。 「…意気地なし…」エリカが…そう呟いたような気がした。 結局…僕は彼女を送り届けただけだった。
部屋に戻った俺はぼんやりとしていた…。 クリスタルウォーターズのジプシーウーマンが流れていた。 ぼんやり聞いていたら「シンジぃ!ハルホちゃんから電話よ!」インターホン越しに母が呼んでいた。 内線を繋いで、電話に出た。 「シンジ、今日どこに居た?○○が花火大会でシンジを見掛けたって!」 俺はどう答えるか迷った。別れるにはいいタイミングだった。 「あぁ、学校の連中と…いたよ」 「…そう。今から行ってもいい?」 断る理由は見つからなかったし、断る術も持ち合わせてなかった… 程なくして彼女はやってきた。 夏にしては空気は重かった…
Dee-liteの陽気な音楽が流れるなか、僕は俯いていた。 「元気ないなぁ、失恋でもしたぁ?」ハルホはワザと陽気に振舞い、わさビーフの袋を取出した。 「スケーターズナイトに出るんでしょ?見に行こっかなぁ?」 「…出るかどうかわかんないよ」 沈黙が流れるが、セフレは意に介さなかった。 俺はベッドにくの字に横になり、両手を太股の間に挟んでいた。 「…ふーん、悩んでいるんだ。シンジがそんなカッコしてる時は面倒なんだよね」 「………」
ハルホは全てを知っていた。 コンビニの袋にはオロナミンが入っている。 好きな音楽も、空き缶を相手にオーリーの練習をしていたのも、意気地なしなのも…。 吉兵衛のかつ丼や三馬力のラーメンが好きなのも、マイケルJ'sクラブのパイが好きなのも…セディショナリーズの服が好きなのも。 そして僕の気持ちいいトコも… 僕はそんなハルホが好きだったし、そして果てしなく重かった…。 「…キモチヨクしてあげようか?それとも帰った方がいい?」 そう言うとハルホは僕のそばに座りなおした。
ハルホの気持ちは痛い程にわかった…。 「シンジ、ウチの事…嫌ならそう言っていいんだよ…」 「そんなんじゃないよ…」 ハルホはそっと近付いてきて、キスをしてきた…。 ………。 「やっぱり…好きだよ。」 「…うん。」 ハルホは優しく僕を抱きしめてくれた。 …僕も、抱きしめた。 ハルホの嗚咽が聞こえる…。背中が小刻みに震えていた。 当時の僕には抱きしめるしか出来なかった。
僕がハルホの中に入っている最中…ハルホが小さな声で… 「お人形さんみたいな女の子だね…」 一瞬、心臓が凍付いたようだった。 「…シンジ、ウン…愛してるヨ…」今までにハルホから「好き」って言葉は何度も聞いていたが、初めて「愛してる」といえ言葉を聞かされた。 何度も何度も反芻するように「愛してる」を繰返すハルホ。無言の僕… 二人の荒い息が呼応しているようだった。 リサスタンスフィールドの切ない音楽が流れていた。 暫くしてハルホがノソノソと起きて、窓を開けた。電気を消す… 「いい風が入ってくるよ…」 俺が芦屋浜の事を聞くのを遮るように鼻歌を歌っていた…
ハルホが帰ったあと「お人形さんみたい…」の言葉が俺を支配した。 そして次の日からハルホはエリカの存在など知らないかのように振舞った。もちろんエリカはハルホの存在は知らないし、昼過ぎから夕方まで勉強しに来ていた。 変わった事といえば、俺の部屋で音楽を聴きながら勉強するようになった事だけだった。 エリカの笑顔は相変わらず眩しかった。
お盆の間、エリカは家族で帰省し…ハルホは夏合宿に行った。 俺はする事がなく…毎日アメ村や三宮にスケボーをしに行ってた。 そこで知り合いや友達とダラダラ過ごしていた。 知り合いのDJが「明日ハネたら林崎海岸で朝からバーベキューするからシンジもおいでよ」 と誘ってくれた。他の面子は年上ばかりだったけど、みな顔見知りだったし、楽しそうだった。 次の日、僕が海岸に着いたらみんな昼寝していた。起こすのも悪いし…ブラブラする事にした。 突堤をボードでガリガリ滑っていたら…向こうに4、5人の集団がいた。何の気なしに近付くとグループの中に…ハルホがいた。
合宿に行ってる筈なのに…。 俺に彼女を咎める資格はなかったが、それでも喩えようのない不安が襲ってきた。 なにげに身を隠し、様子を伺った。女の子の一人は中学の同級生だったが、あとは知らなかった。 男達は雰囲気から大学生ぐらいに見えた。 暫く様子をみたけど、怪しい感じではなかった。 探っているようなのも嫌だったし、それ程離れてる訳でもないので俺は皆が寝ている所に戻った。 「シンちゃんおはよう」みんなはボチボチ起きてきたし、合流組もやってきた。 わいわいとバーベキューの準備をしながら、いろんな話をした。 甲南大学のオネエサン−弟のように可愛がってくれていた−とビールの買出しに車で出掛けた俺はハルホ達のグループの横を通り抜けた。 目線でグループを追っていたのを横目で見たオネエサンは 「かわいい子でもいた?」って聞いてきた。
「元気ないなぁ、シンちゃん変だよ」スーパーでビールとおつまみを買いながらオネエサンは怪訝な顔をした。 「そんな事ないですよ。こういうの初めてだから…」 車にビールやおつまみを積込みながら「飲酒運転大丈夫ですか?」 「大丈夫、大丈夫。夜には抜けるし。それにクラブから直行だからみんなもお酒入ってるよ」 ………。 帰り道にオネエサンはいろんな事を話してくれた。なかでも 「シンちゃんの年なら失敗してもいいんだから、何にでもトライしてみたらいいよ」「怒られたら、謝っちゃえばいいんだし…」
オネエサンの話を聞きながら、エリカの声が聞きたいと思った。ハルホと次に会った時にどんな顔をすればいいんだろう…とも思った。 車を突堤に停めると僕はビールの袋を抱えて皆の所に戻った。 クーラーボックスにビールを放り込み、釣具屋で買ってきた氷で冷やした。 ラジカセからダンスホールやダブが流れている。 バーベキューはスローなペースで始まった。 遠くに目線を向けるとハルホのグループが見えたが、−気にしないようにしよう−タバコに火をつけた。 「ビールにタバコ、不良少年だよね」 オネエサンが笑いながら声をかけた。 「みんなビーチが似合いそうな服なのに、限りなく海が似合わないですよね」 クラブ系の服が夏の海に似合わない事に皆が爆笑していた。
「おーい、スケーター!ビール」 ビールがなくなったので買出しに行く事になった。近くのコンビニに買いに行くので、ヘロヘロのオネエサンはおいてボードに乗った。 「買い物スケーター!」 後ろから掛け声が聞こえた。 両手にビールの袋を持ち、ボードに乗るとバランスを取るのに苦労した。 暫くして戻ると…何人かは泳ぎに行って、何人かはパラソルの下で寝ていた…。 ビールをクーラーボックスに放り込むと所在がない俺はぼんやりとハルホのグループを眺めていた。 「な〜に?アッチになんかあるの?」 オネエサンがニタニタしながら砂をかけてくる。 「…多分、友達」俺がそう言うと 「じゃ、挨拶に行こうか!ミサネェが保護者として付いて行く!」 俺は慌てて… 「違う、違いますよ。それによく知らないし」俺は大袈裟に反応した事を反省した。
夕方になり、バイトに行く人や須磨の海の家に飲みに行く人、帰って寝る人に分かれる事になった。 俺は帰る事にし、電車で帰るつもりだったが、ミサネェが送ってくれる事になったので酔いが冷めるのを待つ事になった。 片付けをしてビーチの掃除を済ませるとオネエサンはトランクにゴミを放り込んだ。 オネエサンは運転席でボーッとしていたので、ウーロン茶でも買ってこようと、近くの自販機に向かった。ウーロン茶とコーラを買うとオネエサンに差し出した。 「シンちゃんは気が利くね。お礼にチューしよっか?(笑)」 「いいから、早く酔いを冷まして下さい(笑)」 車のドアをパタンと閉じると、ボードに乗りながらブラブラ散歩した。視線を向こうに向けるとハルホと男が物陰の方に歩いていくのが見えた…。自販機の方だった。
気になった俺は気付かれないように…ボードを置いて後をつけた。 曲り角を曲がった所で男がハルホの肩を抱いていた。何か喋っているようだが、波の音で聞こえなかった。 そのうち男がハルホを正面に向けるとハルホを抱きしめた…。 ハルホが振り払うかのようにして身体を離すと男はハルホをもう一度抱き寄せキスをした。 !?………。 その時、後ろから気配を感じた。同時に小声で… 「チューしてるね」ミサネェだった。 「知ってる子?シンちゃん?」 「…えぇ、まぁ…」 「好きな子だったとか?元カノとか?」 「…一応、付き合ってるんです」 しばしの沈黙。
ミサネェは身振りで車に戻るように促すと先に僕を行かせ… 「コラー!」 と叫んだ。 慌ててダッシュする俺とミサネェ。車に戻ると荒い息をしながらミサネェが 「今日の所はあの二人は大丈夫!これ以上は何もない!後はシンちゃん次第だ」 車をだすとミサネェはワザと車の窓を全開にし「あー酒臭い!停められたら一発やな。酒臭い少年を乗せて飲酒運転してたら新聞に載るな」笑いながら話かけた。 換気を済ませるとミサネェは「した道で帰るよ」 僕は頷いた。 「長いの?」 「一年ちょいです」 「チューは?」 「一応…」 「好きなの?」 「………」
ミサネェはそれ以上聞いてこなかった。かわりに 「芦有に夜景を見に行こう、その前に鈴木商店でアイスモナカを食べよう」 僕は黙って頷いた。 モナカを買い、山手を車が上って行く。 「ユネスコ病院に行く?」 廃墟となった病院で有名な心霊スポットだった。 「いきません!」 また会話が始まった。結局俺とハルホの間に身体の関係がある事も聞き出された。 山の上の展望台は真夏なのに震える程に寒く 「シンちゃん、ホットコーヒー」 俺は自販機に走った。 戻ってくるとミサネェはボンネットに腰掛け、タバコに火をつけていた。
すっかり日は落ちていたが、まだ早い時間だから周りに車はほとんどなかった。 俺もタバコに火をつけた。 そしてエリカの存在を話した…。 「なるほどね。だからシンジは衝撃的な場面を目撃しても大丈夫だったんだ…」 「そんなんじゃないで…す。」 「鮎川とは何もないですし、今後も…」 「どうして決め付けるの?」 ………。
「多分、鮎川と僕はねじれの位置みたいなもんです。決して交わらないような…」 ミサネェは「ふぅー」と溜息をつくと僕を見据えた。 そして… ………。 突然のキス。 どれだけの時間が流れたのだろうか?恐らく一瞬の出来事。 唇を離すと…ミサネェは 「何か変わった?地球がひっくり返った?」 「えっ?」 「キスの一つや二つで人生は何も変わらんのだよ、少年!」 そしてミサネェは僕の肩をポンと叩いた。
「そして…」 もう一度ミサネェが顔を近付けてきた…。 今度は僕もミサネェに応えた…。 甘いキスを繰返し、ミサネェの舌は僕の唇の中に優しく侵入してきた。ミサネェは肩に手をまわしてギュッと抱きしめてくれた。 「これが大人のキス…」 そっと身体を離すとミサネェは囁くように呟いた。 僕は深呼吸をした…。 ミサネェは笑顔で「少年、その気持ちをエリカちゃんにブツケロ!で、ダメだったらオネエサンが続きを教えてあげるよ!」 …。プッ。 僕もミサネェもほぼ同時に吹き出した。 ミサネェにもう一度コーヒーを買いに行かされた俺は、何だかミサネェに救われたような気持ちだった。
芦屋駅まで送ってもらった俺はミサネェに礼を言って別れた。 部屋に戻りシャワーを浴びようとTシャツを脱ぐ時…ミサネェのコロンの香りがした。そして、シャツで顔を拭うと口紅が…付いていた。 シャワーを浴びて、階下に降りた俺は残り物の晩ご飯を食べた。 母が「明日は朝からお父さんてお墓参りに行ってきてね」と言い、僕は返事をした。 部屋に戻り洗濯機を回す。 ベッドに横になると…問題は何一つ解決していない事に気付いた。
次の日、起きても何も変わってなかった。 電話がなり母からインターホン越しに呼ばれた。 内線を繋いでもらう。DJの竹山さんからだった。 用件は「マヒシャースラマルディニーのオーナーの知り合いの喫茶店でバイトを探してるんだけど。今日から五日間、どう?」 この人は本当の人格者で、礼儀正しい人だった。いつも俺の面倒を見てくれるし、短期のバイトもこうやって紹介してくれていた。 俺はすぐにデニムにボタンダウンのシャツに着替えて、聞いた場所に向かった。 時間は10時から4時か5時まで。短期だから日給で1万円くれる事になった。条件はめちゃくちゃ良かったが、近所への出前が一日に50回はあり、店にいるより外にいる時間の方が長かった。
北野坂を上ったり下ったり、上ったり上ったりの繰返しはキツかったが、モヤモヤを飛ばすには最適だったし、五日間で五万は最高の条件だった。 なんだか悪い気がしたので9時前の仕込みからバイトに行き、店の掃除をした。 三日目のバイトが終わった日にエリカは帰省先から帰ってきて、お土産を届けてくれた。 四日目にはエリカがお母さんと買い物ついでにお茶を飲みに来てくれた。 ハルホから電話はあったがあの日からは都合がつかずに会ってなかった。 バイト最終日にオーナーから給料をもらった。6万円入っていて、オーナーに言うと 「店のピンチを救ってくれたし、よく働いてくれたしね」 それからはたまの土、日や平日の夕方にバイトに入れてもらう事になった。
バイトがハネて給料を何に使うか考えながら、とりあえず東急ハンズにウィールを買いに行った。 買い物が済み、ボードを持ってスケーター仲間の溜まり場に行き、時間を潰した。 ミサネェや竹山さんがラブダブというレゲェバーに顔を出すらしいので、礼がいいたかった。 夏休みも残り少なかった。 夜になりラブダブに行くとミサネェ達は盛り上がっていた。僕はカウンターでビールを三本買い、竹山さんとミサネェにお礼を言った。 二人とも上機嫌だった。 ミサネェが竹山さんたちに「シンちゃんは私が育ててるのよ〜」と言い 「悪い虫はつかせないからね〜」早くも酔っていた。
暫く飲んだ後ミサネェは何処でピアスを開けたのか聞いてきた。 自分で開けたって答えるとミサネェにも開けて欲しいと言われた。 「夏に開けるなら病院で開けた方がいいですよ」そう答えるとミサネェは分かったのか分かってないのか…フラフラとどこかに行ってしまった。 暫く竹山さん達にくっついて飲んでいたが、そろそろ営業らしいので帰る事にした。 店を出て帰ろうとしてたらミサネェが友達?の女の子達と話していた。僕は手招きされ、紹介された。 「年下の彼。シンちゃん。こう見えても、もう大人の関係で〜す」
とりあえず挨拶をして「う、嘘です。ミサネェは酔ってるだけですから」俺は言い訳をした。 ミサネェはそんな言葉にかまわず 「な〜に照れてんのよ!しかもシンちゃん、二股かけてんのよ!アッ!私も入れたら3人だ」 3人かどうかはともかく二股は当たっていた。が、他の二人にはあまりにも突飛な発言に信憑性は感じてないらしく、笑っていた。 「シンちゃん、今からラーメンに行くよ!あんたもおいで!天竺園にゴー」 そう言うとガンダーラを歌い出した。 ミサネェの友達は大学の同級生らしかった。
中山手の天竺園の前では人が並んでいた。 ここの焼そばは味は最高だったが、椅子に座っていると猫が膝の上に座ってくるし、大川隆法の本が沢山おいてあり、好きになれなかった。 他の二人が並んでくれてるので、ふらつくミサネェは少し離れた所に座らせた。 「ごめんなぁ、嫌な事があってん」 「本当は酔ってないんよ…」 僕は何も聞けなかったし、横に座って頷くしか出来なかった。 「シンちゃん、キスしようか?」そう言うとミサネェは返事も聞かずに首に手を回してキスしてきた。
ほんの少しの間だったが、唇を重ねた。 列に並んでいる二人に目をやったが気付いてはいなかった。 「シンちゃん、汗の匂いがする」 「す、すいません!」 「ううん、いい匂い。シンちゃんといると落着くよ…」 身体を離すとミサネェは背伸びをして、立ち上がった。 「もう大丈夫」 二人してそそくさと列に戻った。ほどなくして順番が回ってきて席についた。 注文を済ませるとミサネェの友達が真顔で「口紅付いてるよ」 僕はハッとして唇を拭いた。 二人はエッ!と驚き、一人が僕のシャツの袖を指差した。慌ててシャツを見たら口紅が付いていた。 「あー、さっきもたれかかった時に付いたんだ、シンちゃんごめ〜ん」 ミサネェがわざとらしく言い訳をしたが「シンジ君はなんで唇を押さえたの?」 二人とも………。
口止め料として僕が奢る事になりとり唐を追加注文された。 その後はその話題に触れないままに食事を済ませ、支払いをした。ミサネェが半分出すと言ったが、バイト代が入ったばかりだったので俺が全部出した。 3人は竹山さんのクラブに行くと言うので、僕は別れて帰宅する事にした。 家に着き親と雑談していたら電話が鳴った。エリカからだった。 上に行くから、とエリカに伝えて電話を切ると、そそくさと階段を上った。 「忙しいやっちゃのぅ」 親父の声だった。部屋に入るとクーラーをつけ、受話器をあげた。 「鮎川さんのお宅ですか?夜分にすいません…」そこまで言うか言わないうちにエリカの母親が「エリカ〜シンジ君よ」 エリカが走ってくる様子が窺えた…。 「バイトお疲れ様。」 1時間近くバイトでの面白かった話をして、明日は久しぶりに勉強する約束をした。
電話を切り、ベッドに寝転ぶと頭の整理をした。 ミサネェは冗談で俺をからかっているとして、エリカの気持ちはわからなかった。 俺自身もエリカに気持ちが傾いていた。否、好きって気持ちは絶対に否定出来なかった。それでも一歩目を踏出す勇気はなかった。 ハルホはどうだろう?あの日からやけによそよそしいし、もう一週間以上会ってなかった。 会いたい気持ちはあるし、ハルホの気持ちが知りたかった。それは嫉妬かもしれないし、純粋にハルホの事が好きなのかも… 「面倒だなぁ〜」そう考えているうちに眠ってしまった。
朝起きたら雨が降っていた。しっかり寝たせいか、頭はスッキリしていた。シャワーを浴びて階下に降りる。朝ご飯を食べ、二度寝をしにベッドへ。 次に起きたらエリカが来ていた。 「おはよう。おねぼうさん。」 朝立ちを自覚していた俺はすぐに起上がれなかった。 「オロナミン。好きだったよね?シンジ君」エリカが差し出してくれた。 「ありがとう。」治まりを確認すると机に向かった。エリカのノートを見る。かなりの進歩が感じられる、一緒に勉強していない間も頑張っていたようだ。 漢字の読み書きはまだ苦手らしいが、以前より読めるみたいで質問の回数は減った。それはそれで喜ばしいのだが、さびしい事でもあった。 エリカを見ると、雨にあたったせいかブルーのシャツはブラのラインがうっすらと透けていたし、胸元が開いていた。
ドキッとしたが、エリカをそんな風に見る自分が嫌だった。エリカはそばにいるし、手を伸ばせばエリカに触れる事も可能だった。 それなのに俺はエリカのそばにいたかった。 それは不思議な感覚だった。飢餓感と形容すべき感覚なのだろうか?とにかくエリカを離したくはなかった。 頭の中はエリカでいっぱいだった…。 「学校。」 「学校、始まるね。シンジ君とこいやって勉強出来る回数も残り少ないね」 「始まっても一緒にいれるよ。家だって近いし休みの日だって勉強出来るよ。」 「それに、鮎川と一緒にいたいし…」 慌てていたのか、最後の一言は失敗だった。一気にブルーになりそうだったが 「そうね。私もよ」エリカがポツンと呟いた。 エリカを見上げると真っ赤な顔をしていた。
すぐに何ごともなかったようにノートに向かうエリカ。俺もペンの動きを止める訳にはいかなかった。 今日の分も終わり、エリカと雑談をしていた。彼女の事が知りたい自分がそこにいる―そう気付いた時に、自分の気持ちを伝えたいと思った。しかし、自分には資格がない… このままじゃエリカもハルホも傷付ける事になる。誰も傷付けたくはなかったし、自分さえ我慢すればよいことだった。 そんな事を考えていると 「明日、晴れてたら遊びに行かない?雨だったらお勉強」 俺は晴れを願った。 「うん、何しようか?どこに行く?」 エリカを自宅に送りながら二人でデートプランを練った。至福の時間だった。 その夜、ハルホがやってきた。何ひとつ以前と変わらない雰囲気でやってきた。
ハルホを抱いてしまった。 ハルホは何も言わなかったが、まるで浮気を詫びるかのように俺に尽くしてくれた。 僕も何も聞かなかったし―実際は何も聞けなかった―何ごともなかったかのように振舞った。 ただ確実に…二人の心の間に距離があるのを感じたし、音をたてて瓦解する寸前だった。 「もう一回しよ。」ハルホはそう言うと…愛しそうに口に含んだ。 二回目のセックスの最中、ハルホはハルホで何かを確認をしているかのようだった。
好天とあいまって最悪な目覚めだった。 自分がわからなくなりそうだった。 何故だか―ミサネェに気持ちをブツけたい―そう思った瞬間、完全に自己嫌悪に陥った。 「最低だ!最低だ!最低だ!」呟きながらシャワーを浴びる。 なんとか気持ちを切替えなきゃ…そう思いながら、着替えて階下に降りた。
憂鬱な気持ちは家を出るまでだった…。駅に向かう足取りは次第に軽くなった。 憂鬱な要素がなくなったのではなく、エリカに会える喜びがそうさせたみたいだった。 一人になったら罪悪感までプラスされる…それでもいい、そんな気持ちだった。 約束の10分前についたら、すでにエリカは駅で待っていた。 電車にのり神戸へ… 僕の中にもう一人の僕がいるみたいだった…否、怪物が潜んでいるんだ。そして時々―胸を突破って―飛びだそうとしている。そんな思いもエリカの楽しそうな笑顔がかき消した。
三宮の高架下を散策、ピンクのおっちゃんの店からドラゴンパンを覗く。 「刺身パンどう?食べた事ないけど…鯛の刺身のベーグルサンド、帰国子女向けやん」 「ノーサンクス!シンジ君が食べたら考える」 僕達は話しながら、モトコーへ。割れた電球や片方だけしかない靴、構造が複雑なジャケットなんかを見ながら時間を費やした。 エリカは古着のスカートを買い、スカーフを買うかどうか迷ってたから、僕がプレゼントした。 「喉がかわいたねぇ」 僕達がよく溜まる店のマヒシャースラマルディニーに行く事に。
店内は砂が敷き詰められていて雰囲気はまるでインド。一番奥の席に向かうと… 手招きする人がいた。 ミサネェだった。 ミサネェはこの前の同級生さんと竹山さんとお茶を飲んでいた。 迂闊だった…ミサネェは時々ここの店員をしていたし、スパイスを買いに山手のインド人の家に行かされた事を思い出した。 ミサネェと竹山さんはニヤニヤしていた。いや、見ていないが絶対にニヤニヤしている筈だった。 この後のデートを引っ掻き回されるのは避けたかった。幸いにもミサネェはアルコールが入ってない。
軽く会釈をして通り過ぎようとしたが、それは許される事ではなかった。 「シンジはここに座って。彼女はミサの横。」人格者の竹山さんが悪魔に見えた瞬間だった。 「注文の前に紹介が始まった。」 「えー、こちらが竹山さんです。DJ兼大学生で僕のクラブでの師匠です」 「こちらが鮎川さん、同級生で刺身パンみたいな女の子です」 竹山さんはペコリと頭を下げ、「シンジはスケボーの師匠です」少し持ち上げてくれた。「次はミサネェです。南女の人です」 「シンジがいつもお世話になってます、シンジの姉です」 「そしてミサネェの同級生のメグさん。雑貨屋さんでバイトしてはります」
冷や冷やしながらも僕とエリカは質問責めにあった。意外にもエリカは楽しそうだった。 よく考えるとエリカには友達がいなかった。クラスでは少し浮いた存在だったし、彼女は僕と同様で1人っ子だった。 アイスチャイとラッシーを竹山さんにご馳走になり、昼御飯に誘われたが辞退した。 ミサネェは僕との事を匂わせる素振りさえ見せなかった。 1時間の尋問を受けた僕とエリカは―あやうく告白させられそうなぐらい―ヘロヘロになった。 「かえって疲れたね…ごめん」 「ううん、楽しかったよ」
D 「でも鯛パンって紹介はヒドいよ」 「えっ、鯛パンだっけ?刺身パンじゃなかった?」 「…。」 二人で吉兵衛にかつ丼を食べに行く事にする。6席の屋台のかつ丼屋だったが、行列はすさまじいものだった。 「あっちも吉兵衛だよ…すいてるし…」 「あっちは天丼。おっちゃんが怖いからアカン。この前も行ったら―かつ丼が混んでるから来たんやろ―帰れ!」 「本当?でもサンドバッグがおいてある…」 ―15分程並んでから先に席につかせる。その間に缶のお茶を買い、エリカに渡す―
「でも鯛パンって紹介はヒドいよ」 「えっ、鯛パンだっけ?刺身パンじゃなかった?」 「…。」 二人で吉兵衛にかつ丼を食べに行く事にする。6席の屋台のかつ丼屋だったが、行列はすさまじいものだった。 「あっちも吉兵衛だよ…すいてるし…」 「あっちは天丼。おっちゃんが怖いからアカン。この前も行ったら―かつ丼が混んでるから来たんやろ―帰れ!って」 「本当?でもサンドバッグがおいてある…よ」 ―15分程並んでから先に席につかせる。その間に缶のお茶を買い、エリカに渡す―
エリカのかつ丼が出来ると同時に横が空いたので座る。「毎度!」それだけ言うと大将はだまっててんこにしてくれる。 「男は5分、女の子は7分で食べるのが流儀」 「…熱いし、多いよ」 心配そうに振り向いたエリカに対して僕はニヤついてた。 …ふぅ…。ほぼ同時に食べおえた。 食べ終えて気付いたが、刺身パン→変な店→印度喫茶(輩な人付き)→屋台のかつ丼。実質初めてのデートにしてはパンチが効いていた。 急に不安になるがエリカの表情は満足そうだった。 「おいしかったぁ!でも、もう少しゆっくり食べたかったね。」
困った事にネタ切れだった。竹山さんと行く喫茶店はカレーはうまいが店長がホモの田村正和だし、 ミサネェに連れていかれる喫茶店は 紅茶を頼んだらミルクとワッフル、日本茶に和菓子まで付いてくる…商売っ気ゼロの店だった。 16歳の僕にはもう引き出しがなかった。 「居留地の方でもぶらつく?」エリカがナイスアシストをしてくれる。 「鮎川の好きなとこに行こうよ」 「じゃ、案内するね!」そう言うとエリカは僕の手を握った。 エスカレーターを上り、センター街を抜ける。ボビーズやガロに立ち寄りつつ居留地に向かった。
「ポートピアランドって行った事ある?」居留地の服屋をまわっている時に聞いてきた。 「あるよ、イク?」 「ポートライナーに乗った事ないから、乗ってみたくて…」 ここから駅は近かったし夕方の遊園地って…いい雰囲気のような気がする。…今度は僕が手を引いた…。 ポートライナーに乗っただけでエリカは喜んでいた。 「ドキドキする、前が全開だよ!」それ程の事はない筈なのに、エリカは嬉しそうだった。 「遊園地、男の子と来るの初めてだもん…」小さな遊園地だったけど僕にもエリカにも…遊園地ってだけでよかった。
乗り物に乗る時以外はずっと手を繋いでいた。 本当は楽しい筈なのに…時間が経つのが早いことを嘆いた。 「もっと一緒にいたいよ。」僕は正直な気持ちを吐露した。 「うん。」エリカは握っている手にギュッと力を込めた。 僕はその先の言葉が言い出せなかった…。 ―場内アナウンスが花火の始まる事を告げる― 「観覧車から見ない?」エリカの提案に僕は頷いた。 ほどよいタイミングで観覧車に乗込んだ。 花火が上がり始めている。 エリカは僕の横に座り、両手で僕の右手を握りしめた…。 「シンジ君の感触を忘れたくないの…。」 僕はなんて返事をすればいいのか、言葉を探した。
観覧車が頂上に差掛かる…僕にもう少しの勇気があればいいのだが、何も言い出せなかったし、何も出来なかった。 「キレイね…」エリカが身体を花火の方へずらした。 神様が後押ししてくれたのか、僕は思い切ってエリカの両肩を抱き、もたれさせた…。 エリカの身体から力が抜けていき、自然な感じに僕にもたれかかる。 そこでいっぱい―僕には充分だったし、エリカが緊張しているのもわかった。 そして無情にも観覧車は一周してしまった。観覧車を降りた僕達は何かを取繕うかのように陽気に話した。
帰りの車中も僕達は饒舌に話した。沈黙が怖い訳ではなく、話が途切れるのが怖かった。 それでも一瞬の静寂が僕達を包みこんだ…。 …切り出せない… エリカが俯きながら 「ずっと仲良しでいたいね…」 僕は頷いた。言葉を探す…わかってる筈の言葉、ベーシックな言葉が出てこない。 僕は絞り出すように 「うん…。」それだけ言うとエリカの手を握りしめた。 「…本当?」 「うん。」 限界だった…。本当に好きだってわかったのに、言葉に出来なかった。
電車が駅に着き、僕達は電車を降りた…。 駅から彼女の家までの間…何かを言わなきゃならなかった。 僕は最後の曲がり角の所で、勇気を振り絞った…。 「言葉って人間だけが自由に使える筈なのに…本当は不便だよ。」声が震えていた。 エリカの肩も震えていた。 「ご、ごめん。何言ってんだろ、俺…本当、伝えなきゃいけないのに…大切な…言葉…男な…のに」 涙が溢れてきて、最後は声にならなかった… エリカも泣き出していた。そして… 「うん…。大切な言葉…待ってる」エリカの顔もぐしゃぐしゃだった…。 二人とも緊張の糸が切れたのか、堰を切ったように泣き出してしまった。
「絶対に言うから。…大切な言葉。言えるようになるから。それまで待ってて!」 エリカは大きく頷き 「私もシンジ君に…大切な言葉を言って貰えるように…頑張る!」そう言ってくれた。 そして最後の曲がり角を曲がって彼女を送り届けた。 彼女が部屋に入るのを見届けると、急に脱力感に襲われた。 彼女の家から自分の家までが遠くに感じられた。
家に着き、部屋に戻るとベッドに倒れこんだ…。 しばらくするとインターホンが鳴った。ハルホからだった。 内線を繋いでもらい、電話に出た。 「今日は無理、疲れてるから会えないよ。」 電話を切った後、ハルホの誘いを初めて断った事に気がついた。 ハルホの気持ちを傷付けるのは辛かったが、今日の僕には彼女を気遣うだけの余裕はなかった…。
昨夜は疲れ切っていたからか完全に熟睡したせいで、6時前に目覚めた。階下に降りる、昨日は晩ご飯を食べていなかったから腹が減っていた。 母親が朝食を用意してくれるから牛乳を買ってきて欲しいと言う。面倒だったが背に腹は代えられない。洗顔を済ませ、コンビニへ。 公園の前を通りかかったらエリカが犬の散歩をしていた。 「おはよう」エリカの顔がまともに見れなかった。 コンビニに牛乳を買いに行く事を言うと散歩がてらに一緒な行く事に。大切にしたいから課題の話や新学期が近くなった事について話した。
コンビニに着き牛乳とファンタ、オロナミンを買い、エリカにファンタを渡す。 「ありがとう。」 「今日は忙しい?良かったら早目においでよ」 普段の待ち合わせ時間の3時まで待てなかったのは、どうやら一緒だった。 「それじゃあとでね」 「うん、待ってるよ」 公園の前で別れると俺は急いで帰った。食卓につき、エリカが早目に来る事を告げる。 「アラ、そうなの?じゃあお昼は3人で出掛けましょう。お母さんがご馳走するわよ」 朝食が済むと部屋の掃除をし、洗濯機を回してシャワーへ。
約束の時間にエリカはやってきた。母親が昼御飯に誘っている。最初は遠慮していたみたいだが、喜んで受けいれたみたいだった。 「CDを持ってきたよ。」エリカはコレクターズのアルバムを持ってきた。 BGMに流れるコレクターズの音楽は甘い旋律を奏でていた。 ♪ゆうべ見た夢の続きを、硝子の瓶に詰込んで。誰もいない地下室に鍵を掛けてコレクションするよ♪ 「本当に出来たらいいのに、ね」 「うん。今を大切にしたいね…」 そして僕はフーが好きになったと彼女に話した。
【さらば青春の光】を借りて一緒にみよう。夏休み最後の日は二人で過ごそう… そう話して課題に戻った。 調子が出てきた頃にインターホンが鳴る。 ペンを置き階下へ。 「エリカちゃんは好き嫌いある?お魚は?」 車を運転しながら会話を楽しむ母とエリカ。母は既に「エリカちゃん」と呼んでいるのに僕はまだ「鮎川」だった。 車は夙川から苦楽園へ…樋ノ池近くの鮨屋【大天】へ。 ここのお寿司は本当に旨い。エリカも目を丸くしてパクついている。母は大将に娘が出来て嬉しいなんて話している。
アンタの息子は意気地なしで、まだ「好き」とさえ言えてないんですよ。それなのにアンタはエリカを勝手に娘にしている…。 母は強し。否、無神経なだけだと思った。だけど俺が越せないハードルをいとも簡単に越している…。 …なぎ倒しているだけなのかも? そんな事を考えてるうちに食事は終わった。 「私はイカリに行くけど、あんた達はどうする?」ここで放り出されてもかなりの距離があるので、とりあえずイカリスーパーまではお供する事に。 エリカと母は楽しそうに買い物をしている。俺は失礼して車に戻り食後の一服。
しばらくして二人は買い物袋を下げて出てきた。 「さて、一緒に戻る?それとも二人でデートしてくる?」 ここまで無神経に接してくれると、かえって清々しくなる。 夙川駅で降ろして貰い、水円でお茶を飲む事に。 「気疲れした?」 「ううん、シンジ君のお母さんは素敵な人よ。楽し過ぎる…」 エリカはイングリッシュスコーンを食べながら笑っていた。 母のおかげで午前中のぎこちなさがなくなっていた。 母に感謝。
お茶を飲みながら、これからどうするかを考える。 「デートを楽しみましょ」…もしかしてエリカは母に毒されてしまったのだろうか? バスに乗り甲山森林公園へ。バス停までの道のりを手を繋いで歩く。まだぎこちなさはあるが、ここちよいぎこちなさだった。 バスに揺られている間、エリカが少しもたれてくる。僕の心拍数がハネ上がる。 高校生のデートで森林公園は…それでも二人でいる事が大切だった。 エリカの提案で【津曲】でお菓子をお土産にする事にする。 エリカは僕の母へ、僕はエリカの母へ… 甲陽園から電車に乗り、夙川経由で芦屋川へ。 芦屋駅に向かい本屋に寄ってから部屋へ戻る。 お土産を受取った母はエリカと話したそうだったが、とりあえずは課題を優先させた。
「日本語って難しいね…」 エリカは英語の課題を仕上げながら話しかけた。 「うん、難しい…そう…思ったよ」 「シンジ君…」 「…なに?」 「…いつかは名前で…呼んでね」 今すぐにでも【エリカ】って呼びたかったし、許されるなら叫びたかった。しかし今の俺には…それは無理な相談だった。 「うん、俺もそうしたい…」 今の僕に言える精一杯の言葉だった。 BOMB THE BASSの SAY A LITTLE PRAYERからJANET KAYのLOVI'N YOUへ。 音楽が僕たちの心を引寄せてくれる、僕の気持ちを代弁してくれる…そんな気がした。
サゲ
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104 :
えっちな21禁さん :2006/01/24(火) 18:36:28 ID:CHaIdE0K0
105 :
えっちな21禁さん :2006/01/25(水) 00:52:02 ID:smYjScltO
実は本スレあげ
106 :
えっちな21禁さん :
2006/01/26(木) 22:22:58 ID:QeGzDYTFO なんだこれ?