【2章 純愛】
涼と亜依は駐輪場でキスをしている。あまり大きな駅ではないので人通りが多いわけではないが、それでも通りすがりの人達は興味深げに二人を見ていく。
「こんなことしてたら、終電無くなっちゃうよ・・。」
涼の言葉はいくらなんでも大げさだ。所詮中学生の帰る時間。コンパが終わったのは8時まだ9時を少し回ったところだった。
「うん・・。もう終電行っちゃったみたい・・。」
「帰れなくなっちゃったね・・」
「うん・・・。涼ちゃんのトコ泊めてくれるかな・・?」
亜依はいつものジッと見つめる話し方ではなく、うつむき加減で小さな声で聞いた。
ポニーテールからフワフワとした巻き毛が落ちて頬にかかっている。はじめてのキスに緊張したのか赤い頬をした亜依は天使のように愛らしいと涼は思った。
「お母さんにはノノの所に泊まるって言うから大丈夫」
こういうところは現代っ子だ。ちゃっかりしている。辻の携帯に電話をかけ口を合わせてもらおうと思ったが何故か電話はコールを繰り返すばかりだ。
「もう!ノノもさては〜〜??」
亜依は頬を膨らませたが、もうすっかり涼のアパートに行くつもりだった。