高校時代のえっちな思い出 Part16

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最終章

K「H君と付き合えてホントよかったよ。色々な思い出ありがとう。
じゃH君元気でね。たまには電話してもいい?」
Kが別れの時に発した言葉である。
この言葉を聞いた時俺は単なる社交辞令だと思っていた。
そう、Sとの交際が始まったばかりの2月中旬ごろまでは・・・
492:04/12/06 14:07:34 ID:gw9uI1Da
部屋でだらだらと漫画と読んでいると階下で電話が鳴った。
母「Hに電話じゃないの?出なさいよ」
1階から大きな声で母が言う。
1階に行くのがめんどくさかったので俺は
(高校卒業後、家を建てたのでこの時はアパートでない)
「俺じゃねぇ〜よ。お母さん出てよ」
親をあごで使うひどい息子っぷりを発揮した。
母「はいKです。ちょっと待ってね。H〜電話」
「えぇ〜誰?」
母「Iさんって言ったかな?」
I?Iって誰?Iは一人しか知らない。
えっ?もしかしてK?まさかそんなことないよな。もしかしてお母さん聞き間違え?
まさかと驚く気持ち半分、なんでKから電話がくるのかと疑問に思う気持ち半分で
1階へと降りていった。
受話器を持ち上げる手が一瞬止まった。一息ついて受話器を耳に当てる。
493:04/12/06 14:08:05 ID:gw9uI1Da
「・・・もしもし?」
?「もしもし、Iですけど」
久しぶりに聞く独特のイントネーションのKの声である。
「どうしたの?」
もっと気の利いたセリフが言えなかったのか?
しかしこの時はこのセリフしか浮かばなかった。
K「どうしたのって、別にどうもしないけど。電話したら迷惑?迷惑なら切るけど?」
別れの時のセリフは社交辞令じゃなかったんだ。
そう言うだけで俺は絶対に電話はこないと思っていた。
「いや、迷惑じゃないよ」
これは本心から言った。過去に何度(Kを含めて)かあったことだが、
別れた相手から連絡がきても俺は迷惑とか、煩わしい等と思ったことはない。
494:04/12/06 14:08:22 ID:gw9uI1Da
K「元気にしているかなと思って。心配でね」
「心配してくれてるの?Kは優しいな〜」
俺は冗談ぽくおどけたように答え話しを続けた。
「俺は元気だよ。Kの方はどうなの?」
K「私はいつも元気だよ」
明るく弾むような口調で答えるKの声を聞いて、俺はほっとした。
俺とのことはもう想い出になっているんだなってこの時は思った。
近況報告や他愛もない会話を続けた。
495:04/12/06 14:08:40 ID:gw9uI1Da
電話を切る時にKが尋ねてきた。
K「また、電話してもいい?」
付き合っていた時には不要な質問だ。
「K、そんなこと聞く必要ないよ。遠慮なんかしなくていいよ。
いつでも電話してきてよ」
そう言いたかった。しかし、そのセリフ言ってはいけないと思った。
強き者が弱き者に同情しているような、そんな言い方はKを傷つけるのではないかと
余計な気のまわしすぎかもしれないが俺はそう思った。
「いいよ。じゃおやすみ」
俺は短く答え受話器を置いた。

なぜ、Kは俺に電話をしてきたのか?
電話を切った後、ふとその疑問が俺の脳裏かすめた。
暇だから?寂しさを紛らわすため?それとも復活を望んでいたのか?
色々と理由は考えられると思うが、本当のことはKにしか分からない。
496:04/12/06 14:09:02 ID:gw9uI1Da
その後3週間に1回ぐらいの割合でKから電話がかかってきた。
(俺の方から電話することはなかった)
何度か電話で話しているうちに、俺はふと違和感を覚えた。
なにかおかしい?なにが?
お互いの近況報告や、同級生の話題で盛り上がっている。
会話に不自然なところはない。
中々その違和感が分からない。なにかがおかしい・・・なにが?
そう思っている時、Kが何かを尋ねてきた。
その時俺は、誰のことを聞いているのか分からなかった。
「えっ?誰のこと?」
K「誰のことって・・・・・」
なぜか言いよどむK。
分かった。ようやく分かった。なにが不自然かを。
497えっちな21禁さん:04/12/06 14:09:20 ID:WEtdSD3G
ノ@@@@
498:04/12/06 14:11:47 ID:gw9uI1Da
Kは俺のことを名前で呼んでいない。
そう、何かをたずねる時も頭に俺の名前をつけていない。
偶然じゃなく、意識的に俺の名前を言うことを避けている。
そう言えば電話をかけてくる時、Kは自分のことをIと名乗っていたなと思った。
付き合っている時は、「私」と言っていたのに今は苗字で自分を呼ぶ。
二人の仲はもう特別ではないということを再認識させられるKの言動。
Kを哀れの思い同情しているのか、それともかつて好きだった人を遠くに感じ
寂しく思っているのか、なんとも言えない感情が胸いっぱいに広がった。
言葉では言い表せない気持ちがあることを初めて知った。
「なんでHって呼んでくれないの?」
そう聞きたかった。
しかしその言葉は言ってはいけない。なぜか分からないがそう思った。
俺はそっとその言葉を飲み込んだ。
499:04/12/06 14:12:16 ID:gw9uI1Da
ある日、俺はKに付き合い始めたばかりの彼女Sの話しをした。
かなり入れあげていた俺はKに彼女Sのことを自慢げに話した。
今思えばかなり残酷なことをしていたと思うが、この時俺は彼女Sのことを誰かに
聞いて欲しいと思っていた。Sのことを自慢したい。
なんでもいいから聞いて欲しかった。
俺の彼女はこんなに可愛いだ、こんなにすばらしいんだ。
俺は自分の自尊心をくすぐりたい一心で話しをした。
Kは俺の話しに耳を傾け、
K「よかったね、可愛い彼女みたいね。いつまでも仲良くね」
少でも俺に気があるなら、そんな話しは聞きたくないないと不機嫌になると思うが
Kはいたって普通に返事をした。
500:04/12/06 14:12:29 ID:gw9uI1Da
もうKは大丈夫。もう俺は不要だ。
徐々に電話の間隔が空きはじめ、いつしか連絡が全くこなくなったことからも俺はそう思っていた。
しかし、それが俺の大きな勘違いだと気づくには、もう少し時間が必要だった。
そう、忘年会と称した仲間との飲み会が開かれるまでは。
501:04/12/06 14:12:45 ID:gw9uI1Da
Kから連絡がこなくなり、どれぐらいの月日が経ったのだろうか、
俺はKについてある噂話を耳にした。
しかし俺はその噂話には全く興味がなかった。
なぜなら、でたらめであり得ない話しだからだ。
噂は噂、そんな話しに踊らされるほど俺も暇ではない。
その根も葉もない噂話は俺の記憶に全く残らなかった。
502:04/12/06 14:13:05 ID:gw9uI1Da
年の瀬も押し迫った12月の下旬、高校時代の仲間たちが集まる飲み会の知らせがきた。
久しぶりに会う仲間たちのと楽しい一時に思いを馳せ、俺は会場へと向かった。

久しぶりに会う仲間たち。楽しく愉快な話しが尽きることはない。
時の経つのも忘れ、お互いの近況報告や昔話に花が咲く。
仲間と一緒に過ごす時間は楽しかった。ホントに楽しかった。
そう、Kの話しを聞くまではである。
503:04/12/06 14:13:22 ID:gw9uI1Da
N「Hも罪な男だよなぁ〜」
唐突にNが言ってきた。
「なにが?」
俺はNが何を言っているのか分からず尋ねた。
N「なにがって・・・Kちゃんのことだよ。お前知らないの?」
信じられないと言った表情と驚いた口調でNが言い返してきた。。
正直言って、もうKのことは思い出の一つとなっている。最近は考えることもなかったが
Nの言い方と態度が気になった。俺はせっつくように尋ねた。
「知らないのって?なんのことよ!?」
N「お前、ホント知らないの?」
「知らないって、だからなんのことだよっ!?」
もったいぶる言い方のNにイライラしながら語気を強めて聞いた。
言って良いかどうか、一瞬躊躇するN。しかし俺の態度を見て話さなくては
収まりがつかないと思ったのか話し始めた。
504えっちな21禁さん:04/12/06 14:16:15 ID:iFRfY/Cc
紫煙
505:04/12/06 14:16:50 ID:gw9uI1Da
N「お前と別れた後のKちゃんすっごい痩せたぜ。元から細かったから
すっごりガリガリになってたよ。しばらくまともにメシが食えなかったらしいよ」
(俺だって1年の時、彼女に振られた後1週間飯が喉を通らなかったよ)
N「それとこれは俺も聞いた話しだから、ホントかどうか分からないんだけどさ〜」
俺を気遣ってか、断定的な話しを避けようとするN。
N「Kちゃん、誰とでもやるらしいじゃん?誘えばすぐOKなんだってさ。
これ大学では結構有名な話しらしいから、多分ホントのことだと思うぜ」
はっ!?ちょっと待ってよ。お前それ誰のことを言ってんだよ!?
俺はKのことが聞きたいんだよ。なんで他の人の話しをしてんの?俺はそう思った。
そんなことあり得ない!Kに限ってそんなことはない!嘘だ!絶対に信じない!
俺をかつぐためのNのでっち上げだとも思った。
506えっちな21禁さん:04/12/06 14:16:57 ID:u4UGFUo4
PurpleHaze
507:04/12/06 14:17:52 ID:gw9uI1Da
しかし違っていた。
俺にそんな作り話をしてもNにはなんの得もない。
俺はこれが夢であってくれと思った。
聞くんじゃなかった。別れた相手のことは聞いてはいけないことなんだ。
しかしもう遅い。一度耳から入った言葉は何があっても消せない。もう聞きたくない。
そう思う俺の気持ちとは裏腹にNが続けた。
N「少なくともM(前述のKの元彼)はKちゃんとやったぜ」
「はっ!?M!?なんで!?どっからMが出てくんの?それホントかよっ?」
N「ホントだろ。だって俺直接Mから聞いたんだし。直接Mに聞いたみたら?
あっ、ちょうどそこにいるじゃん。おぉ〜い、Mちょっと(こっちきて)」
Nが手招きをしてMを呼んだ。
N「Hが聞きたい事があるんだってさ」
M「なに?」
直接俺からは聞きにくい。できればNに聞いて欲しかった。
そう思い、Nの顔を見たがあごでしゃくるような仕草で自分で聞けと促すN。
一瞬間をおき、俺はMに尋ねた。
508:04/12/06 14:18:20 ID:gw9uI1Da
「今聞いたんだけどさ〜、なにお前、Kとやったわけ?」
M「えっ!?・・・いやぁ〜・・・」
答えを聞かなくともMの態度を見れば分かる。しかし信じたくない。
俺は嘘でもいいからMに否定してもらいたく、再び尋ねた。
「いやぁ〜じゃなくてどうなんだよ!?」
俺のきつい口調にひるんだMの口から、更に驚くべき返事が返ってきた。
M「おっ、俺だけじゃねぇ〜よ。Tっ、Tだってやったよ」
ちょうど、前を通りかかったTと視線が合った。
バツの悪そうな、なんとも言えない笑顔を浮かべTは足早にその場を去っていった。
答えは聞かなくても分かった。そのTの表情が全てを物語った。
509:04/12/06 14:18:46 ID:gw9uI1Da
いきなり静かになった。周りの喧騒が全く耳に入らない。
周りの景色が遠くに感じた。俺一人だけ周りから取り残されている。
ねぇ〜今日はなんの集まりなの?仲間との集まりじゃないの?
3年間同じ学校で過ごした、気の合う仲間との集まりじゃなかったの?
楽しい時をを過ごすために集まったんじゃないの?当然、会話も楽しいことしかないだろ?
俺は誰かにそう聞きたかった。しかしそのことは誰にも聞けない。
答えは明白だからである。そう、答えはこう返ってくるはずだからである。
「俺たちは、十分楽しんでるぜ。H、お前は楽しくないのか?」
510:04/12/06 14:19:04 ID:gw9uI1Da
俺とKはもうなんでもない。Kがどうしようと俺には全く関係のない話しだ。
それに俺にはMやTを攻める資格はなにもない。
理屈では分かる。理屈では分かっていても俺はそれを理解することはできないし、
理解したいとも思わない。
俺は自分を責めた。
決して長い付き合いではなかったが、俺は一体Kの何を見てきたのか、何を知っているのか?
511:04/12/06 14:19:24 ID:gw9uI1Da
*名前は知っているか? もちろん
*生年月日は知っているか? 当然
*家族構成は知っているか? 4人家族だ



*どんな性格だ? 決して人に弱みを見せない、芯の強い子だ。
*どうしてそうだと分かる? 付き合っていだんだ。それぐらいは分かる。
*ホントにそうだと言いきれるか?今日この話しを聞いてそうだと思うか?
 まだまだ子供で出来の悪い彼氏の負担にならないよに無理していたとは思わないのか?
 お前はそう考えたことはないのか?まったくおめでたいヤツだ。
 
・・・分からない。俺はKのことを知らない。
今日この話しを聞くまで俺はホントのKを知らなかった。
512えっちな21禁さん:04/12/06 14:24:10 ID:sBnYMIpq
支援
513:04/12/06 14:31:59 ID:gw9uI1Da
なんで?どうしてそんな風になっちゃったの?なんでだよ?寂しかったのか?
俺がいなくてもKならやっていけるだろ?支えになる友達が周りにいただろ?
別れた後何度か電話してきただろ?なんでその時に寂しいって言わないんだよ?
どうしてあっさりと別れる事に同意したんだよ?なりふり構わず、すがればよかっただろ?
なんでだよ?どうしてだよ?なんでなにも言わなかったんだよ?K?どうして?・・・

決して難しい問題ではないと思うこの問いが、俺にとってはとてつもなく難しい問題に思えた。
まだまだガキで、自分のことしか考えられず、人を想う事の意味を知らず、また自己犠牲と
いう言葉を知らなかった俺には解くことの出来ない問題であった。
514:04/12/06 14:32:17 ID:gw9uI1Da
遠くで俺を呼ぶNの声で、俺は我に返った。もうMはいなかった。
N「まぁ〜お前の気持ちも分からないじゃないけど、もう終わったことだよ。
気にするなよ。どっちが悪いってわけじゃないんだからさっ。
それにKちゃん、いまWと付き合ってるんだぜ」
「!?」
驚いたよう見つめる俺の心情を察してかNが続けた。
N「心配するな。WはMやTとは違うよ。遊びじゃないよ。
もう付き合いも長いみたいだしな。それに噂では結婚するみたいだぜ?じゃ、またな」
そう言うとNはポンッと俺の肩を叩き、仲間の輪の中に溶け込んでいった。
515えっちな21禁さん:04/12/06 14:35:11 ID:iFRfY/Cc
再私怨
516:04/12/06 14:36:06 ID:gw9uI1Da
WとKが?付き合いが長いってどれぐらいだよ?
Wは本気で付き合ってるのか?遊びじゃないんだろうな?
Wに尋ねたかった。しかしなんて尋ねるんだ?
「俺さぁ〜もうこれ以上自分を責めたくないんだよね。なんか自分が可哀想になるから。
それで聞きたいんだけどさぁ〜お前Kとの付き合いは本気か?
本気ならいいけど、もし違うなら・・・」
違うならどうなの?なんて言うの?別れてくれか?
なにだそれ?俺にそんなことを言う権利がどこにあるんだよ?
KとWのことは俺が口出しをすることではない。
お前はバカか?なに偉ぶってるんだよ?お前はKのなんなんだよ?
そんなことを思った自分が妙に滑稽に思えた。
ははは・・・俺って超間抜けなヤローだ。情けなくて涙が出てくるよ。
俺は誰にも言うことなく、会場を後にした。
一人になりたかったのではない。
これ以上Kの話しを聞いて、落ち込みたくなかったからである。
517:04/12/06 14:36:25 ID:gw9uI1Da
それから1、2年後、1通の年賀状が来た。
裏を見ると純白のウェディングドレスを着たKの横には、
はにかむような笑顔を携えたWの姿があった。

K、いつまでもお幸せに。