一方、女性の新規感染者のほとんど全てが「異性間の性的接触」が原因であること、AIDS患者数に比して新規感染者数が多いことは、風俗店勤務の女性の新規感染リスクが高いこと、自己管理のために定期的に検査しておりAIDS発症前に早期発見されるためと考えられる。
HIV感染からAIDS発症までの期間は約10年と言われており現在のAIDS発症患者数は10年前の感染数を表しているに過ぎず、現在のAIDS未発症HIV感染者の数的把握は困難である。
ただ、米国でAIDS患者が報告された経緯から類推するに、HIV蔓延初期は伝播確率の高い男性同性愛者間での広がりが大きいが、本邦では10年前の時点で非同性愛者の感染が十分数認められることから、蔓延初期を過ぎ次のステージへ進んでいると考えられる。
次のステージとは…
HIVの蔓延形式には米国型とアフリカ型がある。米国型は男性同性愛者間での蔓延が主で、アフリカ型は非同性愛者間での蔓延が主である。
米国をはじめとする多くの先進国ではHIVに対する教育が十分されており、感染拡大の初期に措置を講じたため、非同性愛者間ではそれほど浸透せず、現在は新規感染者数は減少傾向である。
アフリカ型はある程度HIVが蔓延した地域で見られ、上記のように非同性愛者間での蔓延が主である。
どこの社会でも非同性愛者数>>同性愛者数なわけで、一度の性交での感染確率に10倍程度の差はあっても無策であれば、遅かれ早かれアフリカ型に移行していくはずである。
ちなみに、日本は先進国の中で数少ないAIDS患者が増加している国である。