在奉天林総領事→幣原外相(至急極秘)、9月19日(柳条湖事件翌日)
「今次事件は軍部の計画的行動との判断について」
今次の事件は全く軍部の計画的行動に出たるものと想像せらる
同じく林→幣原(極秘)、同日
「事件に関する対外的応答振りについて」
今次事件の原因に付ては陸軍側の所報に疑いの余地多きも差当り外人側の質問に対しては陸軍側の説明通り回答し居る次第なる処
内田満鉄総裁→幣原、同日
「今次事件は軍部の予定計画の実現との推定について」
今回の事件の拡大性に付ては領事館員に対する板垣参謀の口吻より察するに満鉄沿線に於ける支那側兵用地の軍事占領続行するものと思はる
種々なる情報を綜合し我軍今回の行動は予て御話せし予定計画の実現と推定せらる
支那側の無抵抗態度と我軍事行動に伴う小事故が在留外人を刺激し世界の輿論が我方に不利なる傾向を現はし今後に於ける対外政策益々難局に陥るなきや憂慮に堪へず
在奉天森島総領事代理→犬養外相(部外極秘)、昭和7年1月4日
「軍事司令部幕僚の東三省新国家建設計画について」
東三省新国家建設計画に関しては予て電報の所なる処
林総領事御帰朝前、軍司令官及高級幕僚に対し九国条約との関係上、右は極めて慎重考量を要する次第を御話相成りたる模様にて、其結果本庄司令官より幕僚に向い篤と研究を遂くる様指図せられたるに対し、
幕僚は本件計画は形式上支那側の自発に依る次第なるを以って九国条約と抵触する理由なく、従って既定方針を変更する必要なき旨進言したる趣なり
当地軍司令部幕僚の腹案は最近の機会に東三省新国家を組織せしめ、其主権者と我方最高代表者との間に秘密攻守同盟協定を締結し、国防は全部日本に委任し、外交は形式上新国家に外交部を設くるも其最高級職員は全部日本人を採用し、
軍部の内面的指令の下に行動せしむべく、右新事態に関し我方は新に満州総督を設くべしと云うにあり
同じく森島→犬養(部外極秘)、1月12日
「新国家建設不可避の情勢について」
二、(イ)
今次新国家の建設に当たりても対外的説明上民族自決主義に依り之が形式を整ふると共に第三国関係の諸般の事項は速に解決し、
且つ我国の裏面的関与ある事実に於いても全然之を隠蔽することは不可能なりとするも、少くも形式的には右事実を否認し得るの方途を講し、以って第三国に口実を与ふるを防ぐと共に
林関東庁警務局長→堀切拓務次官、2月19日
「日本人の新国家への参与に関する記事差止めについて」
本日左の通り管下警察署長宛電報せり、
追而本件は各方面に種々悪影響を及ぼす惧れあるに付、全国的に記事差止方特に関東軍より依頼ありしに付、内地及各植民地に於ても同様記事差止相成る様ご配慮相煩わし度し
左記
「日本人が満蒙新国家の政治乃至行政に参与し又は之等の機関職員たる事に付ては一切の新聞通信等に掲載せざる様各社に示達せられ度し」
書き写すの大変なんで、これくらいで。