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サトウの「仙ミカド」印象記
翻訳禁止!の問題部分
京都発 イギリス公使の信任状捧呈式
は、明治元年(一八六八)閏四月一日に
行われた。異国の外交官が初めてミカ
ド(明治天皇)に謁見するという歴史的
な行事で、場所は京都の東本願寺だっ
た。
その時、随行したアーネスト・サト
ウの受けたミカドの印象は、「たぶん
化粧していたのだろうが」色が白く、
口の形はあまりよくないが、だいたい
の輪郭は整っていた。本物の眉を剃
り、一インチ以上も上に描き眉があった」
という。そして衣裳は、背中に黒く長
い肩衣(ケープ)を垂らし、白い上着に
紫のゆるやかな長袴をはいていた。
公使が英国女王からの書簡をささげ
ると、一七歳のミカドは恥ずかしい気
に、おずおずしているようだった。そ
して、応答の言葉が思い出せないらし
く、近侍のものから聞いて、どうにか
最初の言葉を述べた。
サトウが『一外交官の見た明治維新』
に書いた印象記は具体的かつ率直だ
が、明治天皇を神格化するため、同書
のこの部分は、第二次世界大戦まで翻
訳が禁止されていた。