小栗上野介忠順

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57勝海舟語録
小栗上野介は、幕末の一人物だよ。
あの人は精力が人にすぐれて、計略に富み、世界の大勢にもほぼ通じて、
しかも忠誠無二の徳川武士で、先祖の小栗又一によく似ていたよ。
一口にいうと、あれは、三河武士の長所と短所とを両方備えておったのよ。
しかし度量の狭かったのは、あの人ためには惜しかった。
フランスから銀六百万両と、年賦で軍艦数そうを借り受ける約束をしたが、
慶応三年の十二月フランスから破談のしらせがきた。あとでフランス公使が
おれに、「小栗さんほどの人物が、わずか六百万両くらいの金の破談で、
腰を抜かすとは、さても驚きいったことだ」といったのをみても、このとき、
小栗がどれほど失望したかはしれるよ。小栗は、わずか六百万両のために
徳川の天下を賭けようとしたのだ。しかしあの男は、意外清貧であったと言うことだよ。