1 :
白大佐:
史学素人ですが、この二人の「日本国論」「天皇制論」(でいいのかな?)を中心に日本史を語れないかと思い、スレッドを立ててみました。
両人とも中世史が専門のようですが、日本史に対する大きな枠組み、一貫した筋を持っているように思います。
個人的には日本史が新しいイメージで立ち上がってくるような気がしています。
ちょっと漠然としたテーマで恐縮ですが如何でしょうか?
2 :
名無しさん@1周年:2000/08/15(火) 14:46
今谷さんの、王室があれば緩衝材的な役割を果たしてくれるという説、それなりに魅力を感じます。
ただ、日本では象徴天皇制(的)な時代は安定、そうでない時に混乱という捉え方・・あれはどうでしょう。
平安時代と今とでは、客観的状況は変っているわけで、こういう捉え方って非科学的な気がします。
言葉足らずでした。
今谷さんは、このような歴史的経緯から、現在の象徴天皇制を支持するという立場ですね。
4 :
白大佐:2000/08/15(火) 17:05
>2 「象徴天皇制の成立」に対する私見ですが…
1)天皇制の本質=権力に正当性を与えるための権威
>権力が混乱している時に「天皇制」の「権威」が浮上する、また権力を持ちやすい(持たざるをえない)
…という風ではないかと思います。
ただ、日本史における「天皇制」とは1)であるとともに
2)日本国の統合としての象徴(「日本国の領域」を定める力とでも言うのでしょうか…)
…であるのではないかとも思い、その点については触れられていないのが不満でした(政治史の範囲ではないのでしょうが…)。
「日本国の領域」を定める力とでも言うのでしょうか…そういった天皇制の
また、個人的には、現在の天皇制は1)であるよりは2)であるとも感じています。
その点では、今谷氏の「歴史的経緯から現在の象徴天皇制支持」よりも網野氏の「天皇制はそのうち無くなる」というような予言(?)に惹かれています。
5 :
白大佐:2000/08/15(火) 17:14
>4の訂正です
「日本国の領域」を定める力とでも言うのでしょうか…そういった天皇制の
を削除で…失礼しました。
6 :
日本史門外の漢:2000/08/16(水) 13:45
こんにちわ。門外漢なんですけど、ちょっと質問させてください。
すこし前の本なんですが、今谷明氏の「天皇家はなぜ続いたか」
(新人物往来社、1991年)という本を読みました。実は今谷氏の本は
これしか読んだことがありません。
この本の最初には網野氏との対談が収められているのですけど、
すさまじく息苦しい葛藤が行間からあふれているのは分かるのですが、
なぜこんなにピリピリした雰囲気になるのかが解せません。
このお二人は仲悪いんですか?
また、網野氏のようなメジャーな人が「僕は学界のつまはじきで」と
いって荒れているのにも当惑しました。
歴史学の学界というのはどういう見取り図になっているのでしょうか。
この本だけを読む限り、今谷氏が天皇制の存続を支持するとも読めない
(逆に、廃絶を主張しているとも読めない)のですが、
そのご意見が変わったのでしょうか。
素人の質問で恐縮ですが、宜しくお願いします。
7 :
名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 16:53
中世史のやつに聞いておきます。
8 :
名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 22:29
二人が学問以外のところで対立しているという話は特に聞きませんが・・
今谷は次第次第にその結論を醸成していったのでしょう。
網野さんのマイナー意識は、今になってみれば被害妄想的ですが、確かに10年前にはマイナーだったかもしれませんね。
9 :
白大佐:2000/08/16(水) 22:39
>6
今まで読んだ中では、二人の天皇制に対するスタンスがよく出ていると思う本は
今谷明「象徴天皇制の成立」(岩波新書)
網野善彦(上野千鶴子・宮田登との対談)「王権論」
ではないかと思います。
ここでもはっきりと「存続」「廃絶」を主張している訳ではないですが…
歴史学者としては、あんまり直截には主張し難いのかとも思います。
(網野氏は講演会などでは、よく「天皇制はなくなる」と発言しているそうですが…)
10 :
白大佐:2000/08/16(水) 22:51
>6 追加
「息苦しい葛藤」についてですが、二人の天皇制に対するスタンスの違いに起因していたように思います。
端的には、今谷氏は政治史(権力者)から、網野氏は非農業民(庶民?)から、という…
(今谷氏は一揆についての著作もありますが、あの対談は「足利義満」がテーマだったので)
11 :
名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 01:03
網野さんは研究者の間では・・・悪評あり。
うそかまことかしらんけど、あの人の著作は
すべてが自分で書いたものじゃないんだろうとかいわれてます。
自分一人でかくにしては量が多すぎる、
何人かで手分けして書いてるんじゃないかとか、ね。
(うそかまことかしりませんよ。ほんとに。)
12 :
名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 01:24
>8
左翼はマイナーを売り物にするものさ。
本多が「朝日は右翼商業新聞で、自分はのけ者」みたいな
デタラメを吹きまくってきたのを思い出す。
朝日に飼われたくせにね。恩義を言うよりもああした
やんちゃを言って平気な甘えん坊根性。(ついでながら)
13 :
ていうか:2000/08/17(木) 01:33
最近の網野本ってどれもこれも似た本ばっかりじゃん。
倒れちゃったらしいからしばらく出ないだろうけど。
14 :
名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 10:47
>11
それは違うと思うよ。
私は直接指導を受けたことはないけど、元の指導生たちが、網野さんの悪口を言ってるのは聞いたことないよ。
ある程度研究助手を使うのは、大学によっては当たり前なのかもしれないし。
15 :
名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 11:06
>11,13
一人で書けるでしょ。
最近は同じような話が多いのだから。
『無縁・公界・楽』がなつかしいな〜
16 :
6>10:2000/08/17(木) 14:52
>「息苦しい葛藤」についてですが、二人の天皇制に対するスタンスの違いに起因していたように思います。
>端的には、今谷氏は政治史(権力者)から、網野氏は非農業民(庶民?)から、という…
その後に出てくる横井氏や山折氏などとは、分野もスタンスも違うのに
和やかに話しが進んでいます。このコントラストの差はどこから?不思議です。
17 :
名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 22:58
>14
指導生の言う話聞いてもしょうがないじゃん。
研究者の間ではって言ってんだからさあ。
>17
悪評ってあくまでも噂でしょ?
(もしくは僻みとかもはいってるのかもしれんけど)
わざわざ、あげて反論する事じゃないでしょ。
研究者か事情通かなんか知らんけど…品が無いというか、たちが悪いよ。
>18
sage忘れ〜
ゴメンネ
>17
くだらない言い合いを続けたくないけどさ、網野さんの指導生ってのは、30台後半より上の研究者たちなのよ。
わかってる?
21 :
20:2000/08/17(木) 23:36
っていうか、私も研究者なんだけどね。
出てったあとに悪評が残る人もいるけど、網野さんのは聞かないってこと。
今でも接触はあるよ。
>20
くだらないって思うんだったらカンベンしてくれよ。
指導生が研究者だったらなんなの?
指導教官なんだから肩入れしても当然じゃんってことなんだからさあ。
わかってる?
23 :
名無しさん@1周年:2000/08/18(金) 00:01
あなたが「研究者の間ではって言うんだから」と書いたから、研究者だよと書いたんですけどね。
40超えた自立した研究者が、そんなにいつまでも師匠べったりだと思ってんの?
それに、あなたもちゃんとした根拠ないじゃない。
また、助手を使ってたとして、それがあなたの言う「悪評」になるのかという問題もあるしね。
まあ、こう言っても、22氏は元指導生だから批判しないんだと思ってるかもしれないから、それなりの網野批判はさせてもらうよ。
なんだかんだと言っても、少なくとも江戸期以降には今日の概念とほぼ重なる「日本」がつくられていたことは事実。
これはこれで「長い伝統」だと言えるのではないか・・。
24 :
18>:2000/08/18(金) 00:07
おれは史学素人だけどさ、素人の歴史ヲタ同様、研究者の身内の下衆な話ってのも、この板のガンだと思うよ。
出所不明の噂になんでそこまでこだわるの?
どうせなら、もっと「実証」的にやってよ。
下らなすぎるよ。
おれは史学素人だけどさ、素人の歴史ヲタ同様、研究者の身内の下衆な話ってのも、この板のガンだと思うよ。
出所不明の噂になんでそこまでこだわるの?
どうせなら、もっと「実証」的にやってよ。
下らなすぎるよ。
26 :
18:2000/08/18(金) 00:11
24は誤送信です。失礼。
>18
おいおいカンベンしてくれよ。誰が悪評だなんて書いたよ?
俺は別に良いも悪いも言ってねーじゃん。11の肩もってるわけでもないしさあ。
14読んで「一般的な研究者の間での評価とは言えないんじゃないか」って言っただけだろ?
どー考えても無関係な研究者での評価が本来客観的な評価ってもんだろ?
弟子以外の研究者の間でも悪評がないんだったら11が間違いってことなんだから。
以上おしまい。
>どー考えても無関係な研究者での評価が本来客観的な評価ってもんだろ?
11を読んで「客観的な評価」って言うの?
ただの噂に基づく悪評でしょ?
何処が「客観的」な「評価」なの?
以上おしまい。
で、23氏はちゃんと学術的な評価(批判)をしてるけど、他の人は?
30 :
>8/11/12:2000/08/18(金) 09:21
網野さんに研究者の間で悪評があるとは着てたことないですね。
きょうちょうてきでるいは謙虚で人間的にはいい人ですよ。
網野さんが自分のことをマイナーだというのは、実感だと思いますね.
確かに『無縁・公界・楽』以来の研究は、一般の読書界では新しい
歴史学の誕生といったニュアンスで熱狂的ともいえる支持をうけました。
歴史学の世界でも、彼の遍歴する非農業民に対する研究や
アジールの発見などには、強いインパクトを受け、それに対応してきたものの、
彼の説く、「文明史的転換」論には冷淡とも云っていいほど無視されているわけです.
それは、これまでの歴史学の時代区分論をいったんカッコにくくり、
まったく別次元で時代区分論を主張した網野さんへの方法的な懐疑でもあります。
彼の孤独感は、こんなところからきていると思うのです。
一方、今谷さんは近年斬新な研究でしられていますが、方法的には
政治史研究の伝統的な流れをくんでおり、それ自体とても手堅いものです。
31 :
>30:2000/08/18(金) 10:00
高レベルなレス、ありがとうございます。
32 :
名無しさん@1周年:2000/08/18(金) 17:26
網野さんはすぐ気分を切り替えられる人で、教授会の合間に30分もあれば、論文を書いてたんだってさ。
もとから筆が速かったんだね。
33 :
30:2000/08/18(金) 23:03
網野さんは確かに多作ですが、著書をよく読めばわかるように
著書の多くは一般向けのものであり、内容も似たり寄ったり、
しかもほとんどが、以前雑誌に書いたものの再録です。
つまり、手持ちのカードで、多くのエッセイを書いているわけです.
したがって、多作ではありますが、それは十分可能なことでしょう。
誤解を避けるために云っておきますが、わたしは決して網野さんを
批判しているわけではありません.
彼の(あるいは、笠松さんや勝俣さんもふくみますが)、文書中の
「ことば」や文書そのものにこだわった方法論は、驚異的な実証能力
と皮肉をこめていわれたこともあるように、肯定的にも否定的にも
行き詰まっていた実証主義の新生面を開いた研究として評価できると
思います.
わたし自身、網野さんに影響を受けましたし、基本的に好きです。
34 :
名無しさん@1周年:2000/08/19(土) 00:01
網野さんの天皇制に対する考え方についてね
最近出た『リアル国家論』(教育史料出版会)中の
網野さんの文章(インタビュー)が面白いですよ.
35 :
11:2000/08/19(土) 01:25
おやまぁ、軽い気持ちで書いたらなんだかお騒がせしたみたいですね。
研究者っていっても中世史のじゃなくて古代史のですけどね。
でも、悪評があるのはたしかですよ。
複数の研究者がそういうのをこの耳で聞きました。
つっても、ほんとかどうかはしりませんよ。ほんとだと言い張る気もないし。
この世界、実はそういううそかまことかわからぬ悪評を陰でささやいてる人って多いんで、
まー、そのたぐいのもんだろーなと思ってます。
ただ、網野氏がそういうふうにおとしめられた理由もわかる気がします。
上でいろいろ解説なさってる方もいらっしゃいますが、
それよりなにより、彼の失敗は
>著書の多くは一般向けのものであり、内容も似たり寄ったり、
>しかもほとんどが、以前雑誌に書いたものの再録です。
という部分にあると思うんですね。
つまり、金儲けに走りすぎている・・・ように思われた・・・、そこが嫌われたのです。
新視点を提示した研究者ならそういう研究者なりの態度を貫いていれば、
研究者の間からも尊敬を集められたと思うんですけどねぇ・・・
36 :
名無しさん :2000/08/19(土) 06:04
岩波新書で日本の歴史をかいてぃるが
日本の研究者では 1人で日本の歴史を書く 意欲作だ
まことに よろしい
江戸時代の農民が50%と言うのは 革命的だ
>35
70超えて、とっくに引退していてもおかしくない人が、使命感を持って著述活動を続けているのが、そんなに目障りなのかね?
そんな見識しかないのね、あなたとその周りの人は。
38 :
>30:2000/08/19(土) 10:54
すみません、通りすがりですが、
>「文明史的転換」論
>これまでの歴史学の時代区分論をいったんカッコにくくり、
>まったく別次元で時代区分論を主張
ええっ、古代、中世、近世、ってあれですか。どういう時代区分を網野先生は
主張されてるんでしょう。ご教示ください。
39 :
名無しさん@1周年:2000/08/19(土) 19:46
>37
そうじゃないんだってばさ。
つまりね、「研究者」っていったって、免許があるわけでもなし、
そういう職業があるわけでもない。
「研究職」と呼ばれるやつはあるけど、
「研究職についている人間」=「研究者」ではないからね。
(たとえば、高校の先生やりながら論文書いてる人だっているでしょ。)
研究者っていうのは論文を発表し続けてなんぼ、新しい見解を出せてなんぼ。
研究をやめたら研究者ではなくなるんです。
新しく付け加えるものが何もないくせに、原稿料だけ稼ぐのであれば、
その人はライターではあるかもしれないけれど、研究者ではない。
研究者は、たとえ一般むけの、平易な文章で書いた本をだすにしたって、
その内容にはなにか新しいものを盛り込むようにがんばるものなんです。
基本的に、自分の研究を世に問うために著作を出版する、
お金を稼ぐためにやるわけじゃない、という感覚をもっていますからね。
それは、お金を目的にすると、売れることをねらって
奇抜な説を書いたり、そこまでいいきることができないようなことを
断定的にかいてしまったりすることにつながるからです。
学問的に正しいことを書こうとすると、
一般受けはある程度犠牲にしなくてはならない。
そして研究者っていうのは学問的な正確さを何より尊びます。
だから、金儲けに走る人間を嫌うのです。
網野氏が、そういう、学問的にみて正確さを欠いた文章を書いているとはいいませんが・・・
しかし、それでも、「あれじゃ単なる原稿料稼ぎだ」
「同じことの繰り返しじゃないか」と評価された時点で、
「研究者としてのタブーを犯しそうになっている人間」という見方を
されるものなのですよねぇ・・・。
40 :
名無しさん:2000/08/20(日) 06:36
山本七平氏の日本史もよろしい
41 :
史学素人:2000/08/20(日) 07:41
>39
学説を一般レベルにまで広めるためには、其の内容もさる事ながら「市場の論理」に乗らざるをえないと思います。
研究者にとって、「学説」を一般に広めようと努力する事自体が「悪」なんですか?
「啓蒙」って言葉は死語ですか?素人には「繰り返す」事が必要なんじゃないですか?
結果として金銭が入るのがいけないのですか?資本主義を否定しているのですか?
もしも「研究者としてのタブーを犯し」たのなら、その時に、学術レベルで批判すればよい事でしょう。
「犯しそう…」で「悪評がながれる」って…酷い世界ですね…
39氏は自ら説明されたような構造に基づいて「悪評を流す」ことについて、どのようにお考えですか?
私には「卑怯」で「無責任」なことだと思いますが…
「ものなのですよねぇ・・・。」「とはいいませんが・・・」 なんて言葉を濁さずに、あなたの意見をはっきりと聞きたい。
実りの無い「無責任」な発言しかできないなら、これ以上は慎むべきだと思う。
はっきり言って「荒らし」と変わらない様に思える。
>39
まあ、そういう批判もありかとは思いますがね。
が、そうじゃないんだ、「啓蒙」が重要なんだという考え方もありでしょう。
あなたの発言は、最初はゴーストライターを使っているという「悪評」でしたが、これをすりかえてしまった点も気になりますね。
いずれにしても、もう少し慎重な姿勢が必要でしょう。
追加
あと、「金儲けのため」ってなんですか?
もう充分稼いだ網野さんが、それでもなお情熱を燃やしているのも、「金儲けのため」なんですか?
贅沢な生活でもおくっているんですか?
「実証」してくださいね。
44 :
名無しさん@一周年:2000/08/22(火) 03:23
網野善彦>>今谷明だと思う。
45 :
30:2000/08/22(火) 05:00
網野さんは、確かに多作ですが、それは原稿料を稼ぐために
やっているとは考えられませんね.
同じ内容のものが多いといっても、もともとは別々の
マイナーな雑誌(地方の雑誌とか)にかかれたものを集めて、一書にしているわけですよね.
だから、それらの文章は、もともとたのまれて、あるいは「啓蒙」の
ために書かれたものです。
網野さんのように地方史研究に協力的で、自らも地方史研究に
積極的にかかわっている人は、そう多くはないと思いますよ..
今谷さんの評価も聞きたいなあと思うのは
私だけでしょうか。
とりあえず研究者の間では、
今谷さんの説はどんな扱いを受けてるのか、とか。
47 :
名無しさん@1周年:2000/08/22(火) 18:13
他のスレッドでも柄谷行人の名前が挙がってますが、国学や柳田国男の天皇論
を論じて、柄谷氏は網野氏に対しこう言っています。
-----------------------------------
文化人類学者によって「外部」とか「異者」とかいわれているのは、なんら外部
性も他者性ももっていない。それは共同体にとって不可欠なものであり、した
がって共同体システムの一環に過ぎない。たとえば、天皇制をくつがえす根拠を
被差別民のなかに見出そうとした網野善彦が、かえってそこに天皇制を見出して
しまうのは、被差別民がシステムの外部なのではなく、それをも含んだものが
共同体システムだからである。かつて「元寇」をろんじてこの国際的な危機によ
る古代体制の変容を見た歴史家網野は、今や構造論的な思考の罠に閉じ込められ
ている。(「終焉をめぐって」講談社学術文庫 1995 (原著1990)34-35ページ)
-----------------------------------
うーん・・・そういうことなのかな・・・柄谷氏のこのまとめ方だと、網野さ
んの意図する所とちょっと違うんじゃないか。皆さんは同お考えですか。
48 :
>47:2000/08/22(火) 18:27
引用は初読です。面白いですね。
(素人の)私は、網野氏の「天皇制論」の格子を、
「天皇制」というものの本質は「異者」や「外部」を取り込む装置であり、その役割は現在終わった。
…というように理解したのですが…(他の方のご意見も伺いたい…)
この二人に一度、徹底的に「天皇制」について語ってもらいたいなあ。
「天皇制は何故…」では、ちょっと食い足りなかった…
「この二人」って、引用は「柄谷」の言葉ですね。
「今谷」だと誤解して書き込みました…最後の2行削除します。
失礼しました。
50 :
名無しさん@1周年:2000/08/22(火) 22:57
でも柄谷氏の言ってることはある意味正しいと思う。
だから右翼に利用されやすいんだよ。
小林よしのりも前に網野氏のファンだとか漫画で書いてた。
(今もそうなのかは知らないけど、少なくとも網野ファンだと書いてた時期は
すでにばりばり右傾化していた時期だった)
51 :
30 :2000/08/23(水) 00:04
今谷明は好きですね。
例えば、aera mook10 歴史学がわかる 所収のこんな発言。
わたしの歴史学は学界の主流から距離を置き、既成概念や予断を
極力排して史料を読むことを心がけている.だから、わたしの提示する
歴史像には、個人の役割が大きく評価されるし、時には人格や人間の
善意といったものを時代の中に発見することにも努めている.
しかし、このような私の立場は学界の中では明らかに異端であり、
浮き上がっているのが実情である.それでもわたしはこの立場を
続けることになるだろう。
いいことばじゃないですか。
52 :
>50:2000/08/23(水) 00:12
>でも柄谷氏の言ってることはある意味正しいと思う。
詳しい説明を請う。
>だから右翼に利用されやすいんだよ。
具体的にはどのように利用されるのでしょう?
どちらかと言えば、右翼には、にらまれそうなこといってると思うのですが…
53 :
50:2000/08/23(水) 00:45
ちょっと誤解を受けそうな書き方をしてしまったかも。申し訳ないです。
もちろん網野氏の意図は違うところにあるはずだと思うけど、
そういう読み方もできてしまう、と思うということです。
そういう読み方もできるようなことを書いているということは、
やはり網野氏の限界というか、そういうところを柄谷氏は述べたのではないかと・・・。
実際とある右系のサイトで網野論評を見てみると、
共同体システムの歴史的経緯を見いだし、その中で天皇と非農業民(広げて「民衆」)
の繋がりを見いだし、天皇は日本という共同体システムの中で「不可欠なもの」と
いうような読み方をしていたような気がする。
小林よしのりは網野氏の著作に生き生きとした中世の民衆と天皇が直結した国家像と
いうようなものを見いだしていたようだった。
(網野氏は専門の中世についての記述はすばらしいけど近現代などその他の時代に
ついてはだめ、みたいなことも言っていた)
まあこのごろ思想的政治的立場を明らかにした著作もでているから今でも
小林や上記に書いたような右系網野ファンが、今でも網野ファンやってるのかどうか
はわからないのですが。
54 :
名無しさん:2000/08/23(水) 00:54
>52
50ではないが。
網野氏の中心的論点の一つは、近代以前の自由、
アジールに注目することによる、「近代」の相対化、
「近代」の持つ問題の洗い出しにある。
網野氏自身はその中から、天皇制の問題を衝くというところに
行くわけだけど、その前提部分、つまり近代以前の
日本列島の状況が、いわば西洋とは違った日本独自の
文化・文明の存在、その素晴らしさ、卓越性、として
受け入れられる素地があるわけね。
つまり網野氏の考える「近代の相対化、問題化」を、
「反西洋」としてとらえ、「日本の独自性、優越性」を
強く意味づけたい、という人々にとっては利用されやすいのね。
55 :
近代の人:2000/08/23(水) 00:54
>52
50じゃないですが、もしかすると、呉智英が小林のブレーンだった時期の話かもしれませんね。
呉は、網野さんの『異形の王権』を充分評価しながらも、天皇制批判になりえているかは疑問だと書いていましたから。
後醍醐天皇の周りにうごめく「異形の輩」の魅力が、むしろひきたっているというんですよね。
これって、安良城盛昭さんによる網野さんの批判にも通じる話なんでしょうか?
56 :
近代の人:2000/08/23(水) 00:58
あ、すいません。
53,54さんのレベルの高いコメントに見劣りしてるな、私のレス。
57 :
52:2000/08/23(水) 01:07
>53・54・55
丁寧なレス有り難う御座います。それぞれ、勉強になります。
天皇制を語る際の難しさのようなものを、改めて感じました。
ご指摘の点を踏まえ、やや話をずらしますが…
「日本国」の地理的・歴史的(?)な領域について網野氏は非常に拘っている様に思います。
これは「非農業民」「アジール」とは違った角度から、「日本国」そして「天皇制」を相対化する試みのように感じます。
この点については、史学会での動向、また皆さんのご意見は如何でしょうか?
(質問ばかりですみません…)
58 :
30:2000/08/23(水) 23:48
網野さんのアジールへの着目はマルクスの「ヴェラ・ザースリッチへの手紙」の
原始共同体、この長い生命・・・といった部分に触発されたもののようです。
59 :
1age:2000/08/24(木) 10:29
age
60 :
>55:2000/08/24(木) 10:49
>安良城盛昭さんによる網野さんの批判
恐れ入りますが、どういう内容なのか、ご教示いただけないでしょうか
61 :
55=近代の人:2000/08/24(木) 20:14
>60
あくまで、中世史の人間じゃありませんので・・・
網野氏の描く歴史像(『無縁・公界。楽』『異形の王権』でのもの)では、かえって天皇制が擁護されてしまうのではないかという批判だと思っていたのですが・・
近世史をやってる知り合いに尋ねたところ、そんな単純なものではないと言われてしまいました。
他の時代の人間があれこれ言っていても仕方ないので、どなたか、中世史の方、解説をお願いします。
62 :
名無しさん@1周年:2000/08/24(木) 22:17
呉智英「危険な思想家」より
「−−網野善彦らがアジールに注目する著作を発表し始めた時、保守本流とも言うべき学者達はこれに対して冷笑的であった。なぜならば、近代においてアジールなどはあるはずもなく、もしあったとすれば絶滅されるべき陋習の空間に違いないからである。(略)
近代国家内部に国家権力の及ばない異質な空間などあろうはずがない。そんな異質な空間があるならば、国家権力と相互補完の関係にある人権がそこには及ばないことになる。そんな前近代的なことが許されていいわけがないからである。
論理としては、こちらのアジール冷笑派のほうが徹底している。(後略)」
「世俗空間は世俗権力の論理が貫徹されるべき空間であるのと同様、アジールにはアジール特有の聖なる論理が貫徹されているのである。世俗権力からアジールに逃げ込んだ者は、聖なる論理によって保護もされ処断もされるはずである。」
ここで批判しているのは網野しでなく、それをヒントに小説を書いた隆慶一郎と、それを評価する評論家縄田一男氏ですが。
たしかに彼らはアジールや公界者を、余りにも現代的自由人とか自由な社会とかに解釈しすぎるところあるよね。
63 :
中世史よくわかりませんが・・・:2000/08/24(木) 23:58
>62
呉氏のその批評は、一見すると網野氏への批判にも見えますけど?
「世俗権力からアジールに逃げ込んだ者は、聖なる論理によって
保護もされ処断もされるはずである」
というのは「無縁」は存在しないのだというようにも見えるのだけど。
(全文読んでいないから、的はずれでしたらすみません)
しかし、呉氏の見方もよくわかんないなあ・・・
なぜ「アジール」の話がいきなり近代とかの話になるのでしょう?
安良城氏は「無縁」や「アジール」等にひっかかって、
社会にあるあらゆる事象全ては関係性によって成り立っており(←マルクス主義の定番?)
それを無視した網野氏(自称マルクス主義者)の論理は「マルクス主義」ではない、
という批判があったと思います。
64 :
名無しさん@1周年:2000/08/25(金) 00:47
どうしても、反体制っぽいかたちで網野学を見る人は
近代的な意味の自由≒権力の及ばない無縁、公界
という図式をほのめかすんだよ。
>64
詳しくないので間違ってたら申し訳ないのですが、
網野氏は反体制ではないんですか?
66 :
名無しさん@1周年 :2000/08/25(金) 21:12
「だよ」と言われても、反体制っぽい形ってどういう意味だかわからないけど
網野氏が自分でマルクス主義だ、といってるのを、
それはマルクス主義的な見方ではない、という批判は反体制っぽいの?
それに網野氏は、自分で「観念的左翼」だったことは反省しているかもしれないけど
「左翼」なことを反省しているとは思えないし。(←それがいけないと自分は言っているわけではない。)
体制に迎合した形の歴史学が跋扈した時代(多くの者がそうせざるを得なかった時代)
を反省し、ある意味「アンチ体制派」であったのが網野氏らの世代だと思うけどね。
67 :
平泉澄 :2000/08/26(土) 01:10
網野さんは当初、確かに「無縁・公界・楽」にアジールを発見し、そこに
権力からの自由を想定していたと思います.
けれども、しだいにいろいろな批判や人類学・社会学・民俗学などの影響で
「無縁・公界・楽」といえどもその時代の「構造」から自由ではなく、ここで
彼が言う「自由」とは近代的な意味での自由ではないということを繰り返し
述べています.
また、彼の天皇に関する研究は結果的に右翼や保守派に利用されることも
あるようですが、彼の遍歴する人々と天皇がつながっているという主張は
むしろその時代の天皇のあり方を「実証的に」解明したというところに
あるわけですよね。
おそらく、彼のメッセージとは、、これまでの
左翼のように単純な天皇制に対する批判は有効ではない。
天皇制を批判するためには、天皇制の本質をきちんと理解する必要がある
ということなのでしょうね。
結局、網野さんは「立派な」研究者なのであり、政治家や思想家ではないということ
でしょう。
そこに網野さんが肯定され、あるいは批判される理由があるように思うのですが
いかがでしょうか。
68 :
名無しさん@1周年 :2000/08/26(土) 03:05
今谷が、金閣寺出入り禁止になったってほんと?
69 :
名無しさん@1周年 :2000/08/26(土) 03:24
私のイメージする「反体制っぽいかたちで網野学を見る人」って
62に出てくる隆慶一郎や、読書日記で有名な井家上隆幸とかなんだけど
70 :
名無しさん@1周年 :2000/08/26(土) 03:25
どうでしょうか
71 :
平泉澄 :2000/08/26(土) 22:59
>68
知らないけど、ほんと???なぜ?????
72 :
名無しさん@1周年 :2000/08/27(日) 02:52
「天皇の地位を奪おうとした男」という評価が定まったら、
その元住居である金閣寺は、京都での地位を失い、いろんな
意味で大変なことになると恐慌を来した。
73 :
名無しさん@1周年 :2000/08/27(日) 02:56
>72
「皇位簒奪」の話は今谷氏オリジナルじゃなくて、古くは田中義成が
既に言ってますけどねぇ。「何を今更」という気がしないでもないで
すが…。
74 :
名無しさん :2000/08/27(日) 13:36
>73
そーなんだよなー。だから今谷さんの読んでも
以前から言われてたことを厳密化させただけかなと
思った。
また、さらにそれをいただいちゃったのが井沢元彦と。
75 :
名無しさん@1周年 :2000/08/29(火) 12:58
中沢新一って網野さんの甥ですよね。以前、どこかで仲よさそうに対談してたけど。
共著を出すという話があったようですが、その後どうなったでしょう。
ご存知の方、お教えください
76 :
名無しさん@1周年 :2000/08/29(火) 21:31
age
77 :
名無しさん@1周年 :2000/08/29(火) 22:55
水野祐さん、本日亡くなりましたね。
78 :
30平泉澄 :2000/08/30(水) 22:07
あのですね。
網野善彦と今谷明という問題の立て方も悪くはないのですが、
より本来的には網野善彦と横井清の方がいいように思うのですが、
そういう私はおじさんなのでしょうか??
79 :
名無しさん@1周年 :2000/09/01(金) 12:44
金閣寺も「上司の地位を蹴落とし出世するご利益」
「クーデター成就祈願」で売り出せばいいんだ(笑)。
でもストク上皇とキャラ被るか
80 :
名無しさん@1周年 :2000/09/06(水) 19:31
78平泉澄さんのご意見に賛成。
被差別部落の起源についての討論希望。
81 :
名無しさん@そうだ桃山学院へ行こう :2000/09/06(水) 20:36
ボクちゃん中世じゃないので、横井さんの研究ってよくわかんない。
どゆこと、アホのボクにもわかるようにご教示を。
82 :
>78 :2000/09/07(木) 23:05
とりあえずここでは、現在一般的にも有名で著作の多い中世史研究者
ということで、この2人なのではないでしょうか・・・
83 :
>81 :2000/09/08(金) 02:18
俺も学生だけど中世って難解なんだよ。
細川涼一とかうまくまとめてくれてるけど。
84 :
平泉澄 :2000/09/08(金) 22:22
横井さんの文章は好きですね。熱いけれどとてもクールだよね.
さめた目で歴史を分析し、あれほど「熱く」語れる人はいないんじゃないかね.
初期の『中世民衆の生活文化』所収の論考は本当に刺激的でした。
史料にしっかりと基礎をおきつつも民俗学なんかと接点をもつ研究をしたのは
本格的には彼が最初でしょう。
『光あるうちに』では部落問題との決別を宣言したんだよね。ちょっと
感動的な文章だった.
85 :
84つづく :2000/09/08(金) 22:35
すみません。酒を飲んでいるもので、横井さんの「青臭い」(いい意味です)
文章を思い出したら、感慨にふけっちゃいました。
赤坂憲雄の横井評の一部を紹介する自慰行為をお許し下さい。
「中世史家・横井清は、人間の学としての歴史学をひたすら志す。
経済や下部構造の学問でもなく、法や国家や制度の学でもない。
生臭い欲望をかかえ、人を愛し憎しみ、慈しみ裏切り、ひたむきに
生きてあった歴史の中の人間たちを、それゆえに、現在を生きてある
人間たちをあるがままに見つめ、抱き寄せたいという熱い思い、
それが横井史学を根っこのところからささえているにちがいない。」
ちょっと酔っちゃいました。
私の論文の文体とちよっと違うな・・・・
86 :
1> :2000/09/11(月) 20:43
よよよ
87 :
>84平泉様 :2000/09/18(月) 10:45
>『光あるうちに』では部落問題との決別を宣言したんだよね
恐れ入りますが、どういうことなのでしょうか、ご教示ください
88 :
名無しさん@1周年 :2000/09/21(木) 22:24
あげだっーーーーつ
89 :
名無しさん@1周年 :2000/09/22(金) 21:57
今谷氏が、網野氏を引き合いに出している記述を紹介します。
今谷明(1992)『戦国時代と天皇』(福武書店)に、以下の記述があります。
“一方、戦後歴史家の主流、唯物史観学派の方にも、天皇制研究を敬遠する
傾きがあった。主流派は明治憲法下の近代天皇制と戦後の象徴天皇制との
制度的差異をほとんど認めようともせず、天皇史を歴史家が取り上げることは、
“天皇制維持”につながりかねないという、つまりは「寝た子を起こすな」式の
奇怪な論理で天皇史研究を遠ざけてきたのであった。天皇制の性格上、
研究が進んで天皇権威の実態が明らかにされればされるほど、それは
体制側・宮内庁を喜ばせるものにほかならない、というわけである。
網野善彦氏の非農業民と天皇の研究が出始めた頃、主流派から攻撃された理由の
大半は、右のような事情からであった。このように、学会の天皇研究自粛が
重なり合って、戦後の前近代天皇制研究ははなはだ低調であった。”
90 :
名無しさん :2000/09/23(土) 01:04
>89
保立道久氏の『平安王朝』にも似たような執筆動機が
書いてあったと思う。
91 :
名無しさん@1周年 :2000/09/23(土) 14:52
日本中世史あげ
92 :
名無しさん@1周年 :2000/09/23(土) 22:48
しばらくぶりに、まともな議論が展開されそうな予感!
期待を込めてあげておきますね。
93 :
日本@名無史さん :2000/10/20(金) 20:02
サルベージします。
95 :
日本@名無史さん :2000/10/20(金) 23:04
96 :
日本@名無史さん :2000/10/21(土) 01:18
で、横井さんどうなのよ?
時代が違って自分で調べるほどの余裕がないので、誰か書いて〜〜〜
97 :
日本@名無史さん:2000/10/24(火) 20:19
あげましょう
98 :
日本@名無史さん:2000/10/26(木) 18:32
古文書返却の旅あげ
99 :
名無しさん@1周年:2000/10/26(木) 19:17
コピペあげ
今谷氏が、網野氏を引き合いに出している記述を紹介します。
今谷明(1992)『戦国時代と天皇』(福武書店)に、以下の記述があります。
“一方、戦後歴史家の主流、唯物史観学派の方にも、天皇制研究を敬遠する
傾きがあった。主流派は明治憲法下の近代天皇制と戦後の象徴天皇制との
制度的差異をほとんど認めようともせず、天皇史を歴史家が取り上げることは、
“天皇制維持”につながりかねないという、つまりは「寝た子を起こすな」式の
奇怪な論理で天皇史研究を遠ざけてきたのであった。天皇制の性格上、
研究が進んで天皇権威の実態が明らかにされればされるほど、それは
体制側・宮内庁を喜ばせるものにほかならない、というわけである。
網野善彦氏の非農業民と天皇の研究が出始めた頃、主流派から攻撃された理由の
大半は、右のような事情からであった。このように、学会の天皇研究自粛が
重なり合って、戦後の前近代天皇制研究ははなはだ低調であった。”
100 :
日本@名無史さん:2000/10/26(木) 22:15
少し古いけど…「日本社会の歴史」についての日経の書評。
「網野史観」(?)が纏められているように思うので、
ちょっと長いけどコピペしてみます。
『日本社会の歴史』は、これまでの日本史の常識を次々と覆している。
その第一は「日本の文化を支えているのは、水田を中心とした農業であり、
江戸時代までは基本的には農業社会だった」「百姓』は農民」という思い込みへの批判。
網野氏は漁村に残る「襖(ふすま)下張り文書」などの裏文書を綿密に調べあげ
「百姓」は必ずしも農民ではなく、海民、山民、商人、職人、芸能民など悲農業民を
数多く含んでいたことを明らかにした。
第二は「日本は孤立した島国」という常識に対する疑問。
網野氏は日本列島と、朝鮮半島やアジア大陸との海を通じての交通が、
縄文・弥生時代から非常に活発だったという歴史的事実を詳細に検証し、
「海は防衛すべき世界」という明治国家がつくりあげた虚像を打ち壊した。
第三は「日本の列島社会の歴史は日本国の歴史」という歴史認識への問い直し。
日本の列島社会の歴史は東日本と西日本で大きな違いがある上に、
十七世紀前半までは「日本国」の国制の及ばないアイヌ民族社会や琉球王国が
あったことを重視している。
さらに「日本」も「日本人」も最初から列島に実在したわけではなく、
七世紀の後半に「日本」の国号と「天皇」の称号がセットになって本格的な国家が成立した歴史的事実を提示する。
縄文・弥生時代から「日本人がいた」という通説を批判している。
「私の研究はマルクス主義史学や大塚史学(大塚久雄氏の経済史)を含めてこれまでの歴史学の公理や定理を疑うことから始まった。
批判もあろうが、教養書として読むのではなく、私の歴史観を示した本として読んでほしい」と網野氏は話す。
101 :
名無史さん:2000/10/27(金) 05:17
百姓は農民だけではない
102 :
日本@名無史さん:2000/11/30(木) 04:56
サルベージあげ。
消滅させるにはあまりにも惜しいスレじゃ…
103 :
日本@名無史さん:2000/12/01(金) 20:34
いくつも網野スレが立つが、せめてここの話を踏まえてやれよ。
104 :
野生の名無し産:2001/01/03(水) 21:21
上げようぞ
105 :
近代名無しさん:2001/01/06(土) 05:12
上げ
106 :
日本@名無史さん:2001/01/06(土) 05:18
今谷氏って最初は京大経済卒、大蔵官僚だったんだよね。
その後歴史学者に転向。
終
108 :
名無しさん@1周年:
>私の研究はマルクス主義史学や大塚史学(大塚久雄氏の経済史)を
>含めてこれまでの歴史学の公理や定理を疑うことから始まった
その結果マルクス主義に回帰していたことを気付かない本人は哀れ