まぁ、もったいないし、折角なので「ドラえもん、のび太と平知盛」
1152年 平家の首領、平清盛の四男として誕生した知盛は一族随一の
有能と言われた兄の重盛にも劣らぬ器量を持った武人に成長する
,−、 __
(────、ヽ
ゝ ─── 、 // \ | | ←平清盛
/ ______ヽ | / ヽ l_ | 「お前は重盛についで優秀だ。
| | / −、− 、| / ⊂⊃ ) これからも、平家を盛り立ててくれ!」
| _|─| .|. | !⊂___ ノ\
( `ー o ー | \ヽ__ノ / \
\ ___⊃ / `───/ ヽ ))
/^| ヽ_─┬、′ / \/ i
/ \/\/ \ / / !
/ /| |ヽ \⌒\/⌒\ ノ
↑平知盛
「いや、兄さんほどでは…」
しかし、清盛が次世代の担い手と期待した重盛は1179年に病没する
( ⌒⌒ )
| | |
___, - 、
/ ___)
/ | ノ i 「親より先に死ぬ馬鹿があるか!」
. i __| (・|
| ( ○
ヽ/ /⌒ヽ__つ
_| |二⊃ (^ヽ、
| \ ヽ──、 (⊃`ヽ)
/ \ ̄j ̄\/\へ ノ
| `7 \`>
一方、知盛は翌年に起きた、以仁王と源頼政の反乱に素早く対処。瞬く間に両名を
討ち果たす
___
/____ヽ /
|__| / ヽ|/ ← 以仁王
(d > <| 「俺は親王としても認められなかったが、
j、 )⌒ ) 天皇の息子だぞ!それを討つなどと…」
/ \ A/
/ ⌒  ̄ ̄ |^|
| | |__ | | /\
/|\\_ |⌒)⌒)
|  ̄ /⌒i ̄  ̄ ヽ /
\_|__ |─-| ─| /
/|─ | | ̄ ̄)
| ̄ ̄)  ̄ ̄
これにより、清盛は知盛に期待を寄せるようになる
___, - 、
. /, -───、)
// / ヽ i
|_| / ヽ | 「重盛は残念だったが、
( ⊂⊃ ヽ 知盛がいれば何とかなるだろう」
\ \_/ ノ
/ \──− <
/ \─-/ ヽ
| \/ | |
!_ ノ !
ヽ丿━━━━ ヽ/
( |^ヽ __)
 ̄ ̄ ̄` -′
しかし、知盛は有能な武将ではあったが、体は弱かった
/ ̄ ̄ ̄ヽ
__ /ヽ)―- 、 l
,―γ ___ヽー、 q`´ハ ミ ヽ } ←伊賀平内左衛門家長
| ̄ ̄| | |(/),(ヽ)| | ̄ ̄| <_))_, | / 「早く、元気になってくだ
| ヽ (6 ー ) ノ | ヽ___/_ノ さい」
-――  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄――- (t) ̄ ̄ ̄|
| ,―  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ― 、 | (/_ )/ / |
| | | | ( ) ○ |-o
| | | | `ー―― ´
| | | |
| | | |
武家の長としては致命的な欠点と言え、清盛は最終的にもう一人の兄であり、
温和だが実力不足の平宗盛を次期棟梁とした
/⌒ ──- 、
( ヽ
_| | 「頼朝の首を墓前に
i |ヽ !l 備えてくれれば、
/!ノ´\ /ノ 他には何もいらない…」
> \/ヽ/´
ヽ、 , ┴──┴┐
/ \
/ ヽ
/ / i
| i |
ヽ、 | !
( ヽ___,−、___ノ
/⌒l───, 、──|
| く/\/ !
ヽ、 _______ ノ
そして、清盛は東国で台頭し始めた源頼朝を危惧しつつ、1181年に死去する
1183年 暗雲立ち込める平家に決定的な事件が発生。加賀において、木曽義仲
討伐軍が逆に壊滅的な打撃を与えられて敗北したのである(倶利伽羅峠の戦い)
\ __┌i /
/ \ |_|ヽ/
__ / (( ))| |( )) __ ←木曽義仲
l⌒\ \ ̄ // ̄ヽ>、 / 「貴族かぶれの武士に何ができるか!」
\/⌒\ ヽ ̄ ゙==′\. /
ヽ ノヽノ i/
|⌒//  ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ | |. ._ _. _ ._ _
| | | /\. | | _/i_ヽ_ __/i_ヽ__ /i_ヽ_/i_ヽ__/i_ヽ_
__| | | / ̄ ̄\ | | . ── . ── . ── ── ──
ヽ ̄ノ | ̄ ̄ ̄ ̄| | | | = = | | = = | | = = | = = | = = |
この戦いの損害により、知盛は都の防衛は不可能と判断。平家一門は安徳天皇を
伴い西国へ逃れた
/ ヽ /^ \
_ /________ ヽ (_/ ヽ
|ノ─ 、/─ 、ヽ | ヽ (_\/
,| \ |・ | | j ヽ `−ノ 「まだ、再起できる可能性
. || 二 | | ̄ ⌒ヽ′ / / はある!」
/ /ー C ` ─ \) _ノ / /
! ⊂──´⌒ヽ ノ/( / ノノ
\ \_(⌒⌒_) /! ヽ、/
` ,┬─_− ´/ ヽ /
/ |/ \/ く
(( /\ \ ヽ
/, ─ 、/ \ /\
. ( l l j \ ___ / ヽ
知盛らは大宰府にて軍を再編。11月には備中水島において万全の構えで
義仲軍を迎撃する(水島の戦い)
, ─── 、
/_______ ヽ=S
(( |/ ─ 、 ─ 、\ | ヽ
| | l | | 「連中は海戦には不慣れだ!
| / |ヽ !─r-、ノ 白兵戦をすると見せかけて、
(^ヽー ヘ ` ー ´ノ| 6 ! 弓を射掛けろ!その後、素早く
`ー 、⌒`ー─ ´ | _ノ ノノ 逆上陸するんだ!」
\⊂二 ノ /\
、────´/ /\
 ̄ ̄ ̄/「/\/ /^ヽ
i | | |
この策は成功し、源氏方の武将足利義清を討ち取り、一次は福原までを奪回する
i i  ̄ 二|
i i/ \ |─ii ノノ 「くっ!いきなり、弓を打ってくるなんて!」
/ /ヽ>
|\ /
| ヽ| ____ )) l^l// ii /\
\ |__| / ┌─ii\ ii/ / __ / i iヘヽ
/ |──[[[[]─\i i / \/ \ ── / /
\ | |ヽ\____| / ̄ ̄| / \ i i ─────、 /
\_ / ─── | | / / /  ̄ ̄ヽ i i
| = = |─i i (( | | | | \ \\
| = = | __ /\_ === _ / \
\\ i i = = | ii/┌┐/ /─\__/─i i \ i i
|__i i─┬┬┬ ──/ / = = / \/ .| ))
i i l─── ̄ ̄ ̄ ヽ = | ̄ ̄| |_______/ | |
しかし、1184年には義仲に替わり、頼朝の弟である源義経が参戦する
__ゝ,..───..、
/ : : : : : : : : : : : :\
/:: : : : : : :; ───┬`
i : : : / / /^ヽ ! ←源義経
|:: :: :: ; -v' | | ゚| | 「平家が後白河法皇と和平交渉
!:::: :::| d `− ┐ をしている間に襲っちゃえ!」
ヽ::: ::ヽ_ ┌── !
\;イ ヽ./ノ
_j___┬─ ´
/───-ヽ ∩
/ /⌒\ | /  ̄,⊃
| ヽ \| /\ _ノ
一説によれば、平家が後白河法皇との和平交渉に乗り出している隙をつい
て、義経は一の谷に陣取っていた平家軍を奇襲したと言う(一の谷の戦い)
____
. / / VVヽ 「げっ!」
| _| / (0
|( ⊂⊃ _______ ___
|/ /⌒─┘ | ___< /ヘ へ\ _
| ヽ⊇ | _| | 0| ̄ / (_)(丿 ヽ ((
/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ |( ゙ - o__ ( ^(* ⌒ ) ))
| | | | |´ / ̄ ̄ ̄ ━┓ `i===i_´_ノノ
|ヽ/ヽ|__|/\| |二ヽ= (⊃二二||☆//(┌─ ′ノノ
| / ヽ | | |⌒|| \\ ||__//_|
|─-l_l_l_l^'─┴∩|_|_|_|_∩ ノ| | |
\ _______|_| \uu_|_|_| // | | |ヽ
この戦いで、知盛は勇敢な息子の平知章を失う
_____ _____
/ \ / \
/ − 、−、 ヽ/_______ ヽ 「うっう…。敵陣に一人で突っ込んで
/ -| /・|・ヽ|- |ノ−、 , ─ \ | | 討ち死にしてしまったんだ…」
| /_ `− ●-′ /⌒)| |_|___/
. | | _ ̄ | 二 | ⊂ノ | └ | 6 |
| |  ̄ | ─ |_/-c`─) ) - ′
ヽ |  ̄ ̄ |_) | |'┬─(、( /
ヽ | /(⌒|\ | |`-`─- ´ノ^\
┝━/ /|~| |━l ヽ__|ヽ./\/ l |
. | / | | | |/ | | |
また、続く屋島の戦いでは知盛が源範頼の動きを警戒して長門国に赴いており、
何もできないまま敗北。事態は悪化の一途を辿った
, ────- 、
/.________ヽ. .⌒ヽ /)
ゝ/ |: : : :/^\,、/ヽ: | | |/ / )
____ / |: : : / ⌒ ヽv ´⌒ ヽ / ヽ ´ /
/ /⌒ヽ⌒ヽ\ | |: : : | (0|0) |/|  ̄ )
/ |/(・|・)\| ヽ | |---|. | |_ ヽ、 __ ヽ ̄
/ / ヽ_ ,●_ノ \ヽ /⌒: : : ヽ、 ___ ノっ、_ ノ::)/ \_)
| / ─ | ─ | | : : : : /⌒\: : : : : : : : : :/
| | /⌒\.二 |二/^ヽ | ,−、: :|  ̄ ̄| ̄ ̄ 「そんな!本拠地の
| | | \_.|/ | | / |::| (⌒ヽ⌒) | 屋島が…」
| | | l / /ヽ:\──´ |
/⌒\| ヽ、__/⌒\_ / / / \`─── つ
| ヽ━━━━6━━/ /  ̄ ̄| ̄
| | / `/ /| |
東に義経。西に範頼。もはや、進むことも退くこともできなくなった平家は
1185年3月24日、壇ノ浦にて運命の戦いに望む
___ _
/ ____ヽ /  ̄  ̄  ̄ \
| | /, −、, -、l /、 ヽ 「これが最後の戦で
| _| -| ・|< || |・ |―-、 | ございましょうな…」
, ―-、 (6 _ー っ-´、} q -´ 二 ヽ |
| -⊂) \ ヽ_  ̄ ̄ノノ ノ_ ー | |
| ̄ ̄|/ (_ ∧ ̄ / 、 \ \. ̄` | /
ヽ ` ,.|  ̄ | | O=======|
`− ´ | | _| / |
| (t ) / / |
「死んだ息子に恥じない戦をするよ!」
海戦に強い平家は序盤、潮の流れもあって有利に戦を進める
, ─ 、
(_(_(_, ヽ
, ─── 、 (⊃_ ノヽ
┃ ┃┃ /WWW \ \ l l ←平教経
┣━ | | l \ll/ ヽ/^ヽノ | 「義経はどこだぁ〜!」
┃ | | (| (。) ∠ ノ !
┃┃ | | / (二) / ⌒ヽ | | /
━╋┓ /| l _ /\ \| l l く
\\ ┃┃ |\/ |/| (__/ \ ヽ ノ // \
\\ _| _└ ヽー`ー`─ ´ /´
☆ \ (ヽ \ |  ̄ ̄ ̄ / ⌒ヽ
/⌒ヽ ∠ \\/ヽ l  ̄ ̄| 二|
/ /\ |/ヽ/\ ヽ_ノ ヽ、_ ヽ_,_ノ
l_/\/\ /\/  ̄ \  ̄ ̄ ̄
しかし、ほぼ全ての領土を失い、弓矢を調達できなかった平家は矢を射尽くし、
逆に防戦一方となり漕ぎ手に被害が集中。航行不能に陥る舟が続出する
_______
,⌒ヽ ヾ______ | 「もうやってられねぇ!
( ≡ | \ll/ | | 源氏方につくべ!」
( ノ l ミ ・) U |__.|
,-、 / ⊂⊃\ 6)、
/ヽ ) /(__l____ | |\
(ヽノ⊂ ) i ヽ_|_|_|_|_) / / \
\_ /  ̄ ̄ \ ____ //
ヽ | `───、 /
やがて、平家方水軍の松浦党をはじめ諸将が源氏方に寝返り始める。形成は
もはや覆りようがなくなり、清盛の妻であり安徳天皇の祖母、二位ノ尼が天皇
と共に入水自殺する
, ─── 、
/ \ ←二位ノ尼
/ /) ノヽ ヽ 「帝は帝としてお生まれになりましたが、その運も尽き
/ //─ 、ノ_ ノ ) ) 果てました…。波の下にも都がございます…ご案内
| / / l/ ⌒ イ っ 致しましょう…」
/⌒´  ̄l 彡lミ l っ
<| ) U、 __ ノ、` ノ) ──− 、
∠ヽ__ U ゝー ´l_____ ⊂ヽ
 ̄/\ /´ ̄ ー┬' ノ. ヽ l(三 |
/\ ヽ二二二´ イ l _ノ /' l | ヽノ ←安徳天皇
/⌒\ \ / ヽ/l / o ヽ ノ ノ ! 「尼よ。どこへ行こう
| ヽ \/ | | (__ U ^ヽ/ と言うのだ?」
l、 \ ノ ヽ ( _ ノ
| \ \ mn_ ̄〈`_ー──イ
l \ ヽ ノ // /) ̄ ̄ l
.| ヽ  ̄ ̄ ̄l  ̄二)
これを見届けた平家一門は次々に後を追って海に飛び込む
/ ⌒` ─ 、
/ \
| ヽ 「もはや、見るべきものは全て
| | 見届けた…。今はもう、自害
(\ , -── 、/ノ するのみ…」
` /⌒ヽ ̄ ̄`ヽ、
| | i
| | |
| | |
|__|, ──── 、)
/_ノ |
/´ __|_,− 、___ ノ、
ヽ、_|__ )_.ノ
全てを見届けた後、知盛は一緒に死ぬと約束した乳母子(乳母の子供。当時は血を分けた
兄弟以上に大事な関係だった)の伊賀平内左衛門家長と抱き合って海に飛び込んだ
>-――― - 、 ___
>_____/  ̄\
|, ―、, ―、/(/o(ヽ)―-、 ヽ 「もちろん、お供いたします!」
|| @| + ||ニ(( | ( ( 二二ヽ |
|` -c −´|- ) )| ) )―― | |
( ー――,(__| ( ( _, | |
> 二 ´_ ヽ  ̄ ̄ / ノ
/ | { ̄ ̄ ̄ ̄ ̄二二)
/ | `− ´―――― |
/_./ | |――┐ | |
(っ ) | | ノ | |-O
....λλλλλλλλλλ....
こうして、栄華を誇った平家は無残にも滅んだ。その後、時代は宮廷の中
の華やかな時代から質実剛健を旨とする武家社会に推移する。
知盛は誰もが認める有能な武将であり、後世に作られた平家物語の後半
はある意味、知盛が主人公と言ってもいいだろう。
その平家物語では、知盛に壇ノ浦の戦いを締めくくらせ「見るべきほどのこと
は見つ」と言う名セリフを喋らせている。史実であるとは考えにくいが、平家栄
光の時代から没落の瞬間まで、全てを見つめた知盛のこのセリフは作品全体
の無常観と合わさって、現代でも多くの人々を引きつけて止まない
「ドラえもん、のび太と平知盛」 Fin