天皇の本質、そして天皇制の長期存続の秘訣は、
「変わらない」ことにあるのではない。
天皇の本質は「変わる」ことにある。
時代の趨勢や世論の要求にあわせて自らを変容させることによって、
天皇は、そして天皇制は千年余の歴史を積み重ねてきたのだ。
明治維新を見よ。
昨日まで攘夷の先頭に立つ軍神だった天皇が、
あっというまに文明開化の最先端をゆく開明的啓蒙君主に変貌した。
昭和20年の敗戦を見よ。
昨日まで世界征服をめざす現人神だった天皇が、
あっというまに平和主義を奉じる文化人天皇に変貌した。
天皇制存続の鍵はこの融通無碍な変わり身の早さにある。
天皇それ自体は真空の容器であって、なんの内容も持たないのだ。
状況にあわせて次々に中身を入れ換えることにより天皇制は存続してきた。
日本の歴史を学べば、おのずから見えてくることだ。