中国・西安で遣唐使の墓誌発見 皇帝に仕えた日本人判明
http://www.asahi.com/culture/update/1010/006.html 唐の都・長安のあった中国・西安で、8世紀前半に阿倍仲麻呂らとともに遣唐使として
渡りながら、現地で亡くなった日本人留学生の墓誌(死者の簡単な伝記)が見つかった。
その人生や、死を惜しんだ玄宗皇帝が高官の役職を贈ったことなどが記されていた。この
時代の日本人の墓誌が中国で発見されたのは初めて。古代東アジアの交流や、遣唐使の実
態を伝える前例のない発見といえる。西安で10日開かれた記者会見で発表されたと、中
国国営新華社通信が伝えた。
西安の西北大学博物館が最近入手したもので、39.5センチ四方の石に、名前は「井
真成」で「国号日本」など12行で171文字が刻まれていた。生まれつき優秀、国命で
派遣され勉学に励み、宮廷で役職についたが、急病で開元22(734)年に36歳で死
去、魂は故郷に帰るだろう、といったことが記されている。
現存の実物資料としては国号「日本」が使用された最古の例となる。
共同通信によると、西安市内の工事現場で見つかり個人が収蔵していたものを西北大の
博物館員が収集した。
当時の遣唐使は十数年に一度の不定期。年齢から、717年の遣唐使に19歳で留学生
として参加したとみられる。奈良に都を移してから初の遣唐使にあたる。仲麻呂や吉備真
備、僧玄●(●は日へんに方)(げんぼう)らに乗組員を加えた、総勢557人の回だ。
遣唐使の参加者は、唐で活躍した仲麻呂のほかは、日本で五位以上の官位を持つ参加者
しか記録されていないため、この人物に該当する記述はなく、日本名などは分からない。