養子の種類
公家の養子の種類はいくつかあります。養子、猶子、実子の三種類です。この内、養子と猶子は
よく混同されます。よく、養子は相続目的、猶子は名目的と説明されますが、これは的を射ていませ
ん。後陽成院の皇子で近衛家を相続した信尋は養父信尹の猶子となっています。この場合は明ら
かに相続が目的です。
私見の限りでは、ちょうど近世になるころまでは、猶子という表現が多いです。それが、近世にな
ると逆に、養子という表現が多くなります。とはいうものの、例外も多いです。養子、猶子の定義は
難しいかも知れません。
つぎに実子についてですが、実はこれ、養子の一種なんです。この実子を訓み下すと「実ノ子トナ
ス」です。本当に自分の子の場合「子」とのみ記します。実の子としたわけですから、もちろん生家の
系譜から抹消されます。生物学的な親族の喪に服す必要もなくなります。
実子は近世頃から見られるようになりました。そして近世末期には、ほとんどの養子が実子の形態
をとっていました。これは、禁中並公家諸法度で、公家が女系の縁で養子を取ることを禁止し、同姓
間でのみ許したことに関係しているといわれています。実子なら女系でもいいじゃんみたいな感じで
す。しかし、それだけでは、必ずしも説明できません。近世公家社会は謎だらけです。
http://www.c-able.ne.jp/~hiyoko/tyoutei/yousi.htm