大日本帝国憲法 第2条

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918月に吠える
【内閣以外の輔弼機関】
なぜ、ここでそれを強調するかと言うと、旧憲法時代に存在した
「内閣以外の輔弼機関」に注意を促すためである。
旧憲法には、前述の55条の1に加え、次の規定がある。

枢密顧問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依リ天皇ノ諮詢ニ応ヘ重要ノ国務ヲ
審議ス。(旧56条)

すなわち、旧憲法では内閣の他に枢密院もあって、政治を左右した。
これに対し、現行憲法は、明確に「行政権は、内閣に属する。(65条)」
と定めている。しかし旧憲法には、「行政権を輔弼できるのは内閣だけで
ある」というような限定はない。そもそも、「内閣」の語自体登場しない。

そのため、憲法外の機関、すなわち元老、内大臣、重臣、侍従長なども
天皇に影響を与え、政治を左右した。当時、これらも輔弼機関と解される
ことがあった。これらの一部は、前述の「宮中グループ」でもあった。

それでは、こうした内閣以外の輔弼機関と、内閣の意見が食い違った場合、
どう決着をつけるのか? それが、前述の「根回しの段階」で調整された
のである。この調整で内閣側が敗れれば、内閣はその件を閣議決定に
かけることも止めたし、天皇に上奏せずボツにした。

言い換えると、閣議決定してから天皇サイドに根回ししたのではなく、
根回ししてから閣議決定したのである。
そのようなカラクリが必要だったのは、行政権が、天皇の総攬する
統治権の一つであり、(重要なものは)天皇の名において行われたため
である。