佐和山を諦めた時点で、もうそれは三成ではありません。
他人には「豊家のために全てを捨てろ」と建前論を押し付け、
自分でもそれを厳しく覚悟しているつもりでも、
いざ自分の関わったものに手が掛かると
反射的にそれを守ろうとしてしまう女のようなヒステリックな受身と、
反射的にやってしまった身内贔屓に対して
他人に「これは大儀のためにやって当然のことなのだ」と可愛げのない言い訳をかまして
あるいは説明不足でそっくり返った態度をとって
ますます白眼視されることこそ、石田三成の真骨頂、真の人間的魅力なのです。