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日本@名無史さん:
勿論、機会平等を徹底するといっても、完全に実現するのは不可能だし、これを重視しているはずのアメリカ合衆国でも、現実には誕生した時点で既に大きな差がついており、
スラムで生まれれば、中産階級以上の家で生まれた場合と比較して(職業選択なども含めて生き方の)選択肢が非常に少ないことになるだろう。
勿論、経済的な格差だけが機会平等を阻むというものでもなく、個人を取り巻くあらゆる環境が阻む可能性があるわけだから、完全な実現は不可能というとこになるのである。
例えば、歌舞伎役者の家に男子として生まれれば、明確な自己主張のほとんどできない幼少時より歌舞伎の稽古に明け暮れて舞台に立つこともあるわけで、非常に優秀な漁師や大工や弁護士や作曲家になれたかもしれないのに、
自我が確立する頃には、歌舞伎役者の道を歩むしかないという状況になっている可能性が非常に高いわけである(勿論例外はあり、歌舞伎以外の道に進む人もいるのだろうが)。
また、史上五指に入ると後々まで謳われるほどのピアニストになれたかもしれない人が、両親が音楽にほとんど関心がなかったために平凡な人生を送るということや、
実は適した職が他にあったのに向いていない家業を継ぐのを強制されてストレスや不満がたまってしまい、周囲に大迷惑をかけるということもあるかもしれない。
恐らく、環境に恵まれなかったばかりに素晴らしい才能を発揮できなかったという人は無数にいて、人類の歴史は、エパミノンダスや韓信や李白や狩野永徳やアインシュタインになりえた人物を多数切り捨ててきた歴史でもあるのだろう。
勿論、ヒトラーやスターリンや毛沢東や酒鬼薔薇聖斗になりえた人物を阻止してきたとも言えるのだろうが。