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日本@名無史さん:
旅順大虐殺について
目撃された情景
恐ろしい情景が私の眼前に現れた。すでに申し述べたが、小路から出たところは池に面した高い斜面の上になっており、私が池を見ると、下の池の水と私との距離は約一五フィートあった。池は大勢の日本兵にぐるりと囲まれていた。
日本軍は無数の避難民を池のなかに追い立て、四方から彼らに向って発砲し、あわせて懸命にあがいて池から逃れようとする避難民を銃剣で水のなかに戻していた。
池の水面には死体が浮いていて、水は血で赤く染まっていた。
復讐の喜びのため大きな笑い声をたてている日本兵は、被害者が受けている苦しみを喜んでいるかのようであった。
眼前の全身血にまみれた避難民たちが濁った水のなかであがく情景は恐るべきものであった。まだ生きている避難民のなかには、無数の死体がまとわりつくなかから懸命に逃れようとしている者もいたが、すぐさま躓(つまず)いて倒れてしまった。
彼らは幾度も繰り返し最後の力をふり絞ってはまた立ち上がり、全身血の水を流しながら、憐れな叫び声や哀願の声をあげていた。周囲の殺人鬼たちは、彼らの叫び声をまねていた。
避難民のなかには、多くの女性がいた。一人の子どもを抱いた女性が見えた。懸命に前に向って進んできて、母親は子どもを日本軍に差し上げ、あたかも哀願しているようであった。彼女が水を渡って岸に着いたとき、鬼の一人が銃剣で彼女を突き刺した。
彼女が倒れたとき、鬼はまた一突きし、その二歳ばかりの子どもも突き刺し、小さな死体を高々と銃剣の上に掲げた。母親は起き上がり狂ったように子どもを奪い返そうとした。しかし、明らかに彼女の力は尽きんとしているところで、再び躓いて池水のなかに倒れていった。・・・
やっと数カ月になるひとりの嬰児の小さな死体が、一本の鋭い鉄のピックでカウンターの上に釘付けにされていた。床には次第に凝固する人血や死者の臓物が、二、三インチの厚さに積もっていた。死者の手や足、頭は切り落とされ、至るところに放り投げられていた。
(『在龍旗下』ジェームズ・アラン(英人) 中国語訳)