「魏志倭人伝」等を読む(邪馬台国はどこですか10)
以上のことから、古の中国人の地理感を見るためには、
その当時の地図が現存していることが必要条件であることが明らかである。
しかるに、現存最古の地図が11〜12世紀の
A 古今華夷区域ソウ要図 『歴代地理指掌図』所収 宋・税安礼 / 1100年頃成立 1135年頃の改訂版
であるから、それより古い時代、ましてや3世紀の中国人の地理感など、
現存している古地図からうかがい知ることは全く不可能なのであり、
ましてや15世紀に朝鮮で製作された混一彊理歴代国都之図(龍谷大本)から
3世紀の地理感を復元出来ると主張するに至っては狂気の沙汰としか思えない。
混一彊理歴代国都之図(龍谷大本)より古い中国の地図には、
混一彊理歴代国都之図(龍谷大本)とは異なった地理感でかかれたものがいくつも現存するのである。
以上述べたことは、ごくまっとうの神経を持ったものには自明のことであり、
すでに手垢にまみれた議論でことであるのは確かであるが、
現実に混一彊理歴代国都之図(龍谷大本)を根拠に3世紀の中国人の地理感が復元できると
したり顔で主張する物知らず、ないしは、詐欺師どもが跋扈している現状では、
ことさらに強調して暴論を封じ込める必要があることは論を待たない。