心の病 母の経験語る 漫画家中村ユキさん講演 (西日本新聞朝刊)
精神障害についての理解を深める「こころの病−理解のために−みんなの集い」が26日、
福岡市西区の西市民センターであった。漫画家の中村ユキさん(37)が、自身の母親が
統合失調症を患った経験を通じ、「治療には周囲の理解と支援が必要」と訴えた。同市の
精神障害者や支援施設でつくる実行委員会と筑紫女学園大学(太宰府市)が主催した。
中村さんが4歳の時、家庭生活のストレスで母親の様子が急変。奇声を上げたり包丁を振
り回したりする行動が続き、統合失調症と診断された。当時、周囲には病気に対する正し
い知識がなく、約20年間は頼れる人もいなく、絶望感を抱く日々だったという。中村さ
んは「幼いころの記憶は、いつも母から逃げ回っていた」と振り返る。約10年前、周囲
の人たちの支えが転機となった。支援施設の通所や、中村さんの夫隆夫さん(41)との
同居がきっかけだった。同じ病気の友人や相談相手も見つかり、症状は安定に向かった。
3年前、約30年間の闘病生活を漫画に描いた。「わが家の母はビョーキです」。全国か
ら共感や相談の手紙が千通以上届いた。中村さんは「理解者の存在や正しい投薬で精神障
害は回復することを知ってほしい」と呼び掛けた。そのほか、精神障害者が今、考えてい
ることなどを自由に発表する「スピークアウト」や西陵高校管弦楽部の演奏があった。
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