書評:『幻聴の世界』 日本臨床心理学会編 (中央法規・1470円)
ttp://www.nishinippon.co.jp/nnp/book/new/20101219/20101219_0001.shtml 本書は、医学書ではない。臨床心理などの専門家たちが幻聴の世界を理解してもらおうと
一般向けに書いた。精神疾患、特に統合失調症の代表的な症例とされてきた。読後、
本当に病気なのかと疑問を持つ部分もある。聖徳太子の声を代弁するようになり教祖に
なった40代の女性、イルカから地球滅亡の警告を受ける漁師など、ドラマチックな例もある。
副題は「ヒアリング・ヴォイシズ(聴声)」。体験者の話に耳を傾け、社会的偏見など苦痛
を伴う現象を少しでも解消したいという思いが詰まっている。
=2010/12/19付 西日本新聞朝刊=