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242(-_-)さん
 『コケモモ殺人事件 道後温泉の湯煙に消えた美人女子大生』

   第三章 容疑者Cの回想

 コケモモは約束の場所に5分ほど遅れて到着したそうです。
 ところが、そこにいたのは、写真で見たクッキーマンとはほど遠い白豚でした。
パンチパーマのような髪型、ゲジゲジのような眉、不細工を絵に描いたようなブ
ヨブヨとした白い肉塊が、弁当をむさぼり食いながら、焼酎を飲んでいるところ
でした。
『クッキーマン、まだ来てないのかな? それとも、場所を間違えたのかも…』
 不安になったコケモモは、クッキーマンの携帯に電話してみることにしました。
 0・9・0、ピ・ポ・パ・ピ……。トゥルルルル……。
「はい、クッキーマンです」
 電話に出たのは、なんと目の前にいた白豚でした。
243(-_-)さん:2008/11/20(木) 17:32:12 ID:???0
『え? どういうこと? なんであの人が出るの??』
 コケモモは、状況を理解することができません。そのうちに、白豚の方がコケモ
モに気づきました。
「やあ」
 そう言ってのっそり立ち上がろうとする白豚を見た瞬間、コケモモは悟りました。
『だまされた!』
 今日までアイドルのように崇拝し、兄のように慕い、弟のように可愛がってきた
クッキーマンが、こんな醜い肉塊になっていたとは! こんな白豚に会うために四
国くんだりまでやってきた自分が哀れでならなくなりました。コケモモの中に凶暴
な衝動がわき起こり、あっという間に理性を圧倒したのは、このときだったと言い
ます。
「よくもだましてくれたな! クッキーマン……いや、この豚やろうめ!」
244(-_-)さん:2008/11/20(木) 17:33:26 ID:???0
 そう叫ぶが早いか、コケモモは持っていた携帯電話を全力で白豚に投げつけまし
た。
 白豚の頭部に命中し、額がぱっくりと割れ、血がぴゅーと噴き出しました。その
血が垢じみた顔や首、薄汚れたシャツを赤く染め、白豚はますます醜い有様となり
ました。
 それを見たコケモモは、さらに逆上します。
 白豚が持っていた一升瓶を取り上げると、それを血に染まった頭部めがけて、思
いきりたたきつけました。ゴンッという鈍い音がして、白豚がその場に倒れます。
その後頭部めがけてもう一発、コケモモは一升瓶を振り下ろしました。ガチャッと
いう音がして、今度は一升瓶が割れました。あたりに芋焼酎の甘い匂いが立ちこめ
ます。
 白豚は苦しそうに後頭部を抑えたまま仰向けになると、ようやく言ったそうです。
「ちょっと待ってよ。あなたは誰なの?」
245(-_-)さん:2008/11/20(木) 17:34:05 ID:???0
 コケモモはその声の優しさに一瞬ひるみましたが、
「豚やろうの知ったことか!」
 と叫ぶと、無防備になった白豚の腹に、手に残っていた一升瓶の破片を突き刺し
ました。
 それは、羊羹に楊枝を刺すほどの抵抗もなく、すっと刺さったと言います。
 深く、深く……。
 コケモモは体重をかけました(彼女もまた、ちょっとした白豚だったのです)。
 ぶ厚い脂肪の層を突き破り、わずかにあった筋肉の層も破り、破片は腸に達しま
した。
 それを目と手応えで確認すると、コケモモはぐったりしている白豚の手を取り、
破片を握らせ、その上から自分の手を重ねて、一気に「きええっ」と横へかっさば
きました。
 切腹させようとしたのです。
246(-_-)さん:2008/11/20(木) 17:35:09 ID:???0
 コケモモはその声の優しさに一瞬ひるみましたが、
「豚やろうの知ったことか!」
 と叫ぶと、無防備になった白豚の腹に、手に残っていた一升瓶の破片を突き刺し
ました。
 それは、羊羹に楊枝を刺すほどの抵抗もなく、すっと刺さったと言います。
 深く、深く……。
 コケモモは体重をかけました(彼女もまた、ちょっとした白豚だったのです)。
 ぶ厚い脂肪の層を突き破り、わずかにあった筋肉の層も破り、破片は腸に達しま
した。
 それを目と手応えで確認すると、コケモモはぐったりしている白豚の手を取り、
破片を握らせ、その上から自分の手を重ねて、一気に「きええっ」と横へかっさば
きました。
 切腹させようとしたのです。
247(-_-)さん:2008/11/20(木) 17:36:29 ID:???0
 コケモモは、ふらふらと歩きながら、何度か後ろを振り返りました。
「私、クッキーマン、殺しちゃった。ふふふ」
 それは、大学の購買でチョコレートを万引きするときほどの罪悪感もない行為で
した。
 白豚はまだ生きていて、引き出された臓物を何とか腹に戻そうとしていました。
 しかし、うまくいきません。
 その動きが次第に緩慢になっていき、やがて止まりました。
 顔が青黒く変色し、やがて土気色になっていったそうです。
 白豚の目がこちらを見ているように思えました。その目が黒い穴になっていくよ
うです。
 そして、黒い穴だけが顔であるように見えたとき、絶命していたのでしょう。
 白豚はぴくりとも動かなくなりました。
248(-_-)さん:2008/11/20(木) 17:37:26 ID:???0
 コケモモは、かすかな満足感を湧き起こるのを確かめました。しかし、それも長
くは続きません。いつものアンニュイが、再び彼女の心を満たしはじめたのです。
『つまんない。誰か誘惑して遊ぼうかな』
 そのときです。
 目の前に、懐かしい顔が現れました。間違いなく、見覚えがある顔……。
「やあ(・×・`U)」
 声にも聞き覚えがありました。
「クッキーマン?」
「そうだよ(・×・`U)c」
「どういうこと?」
「こっちが聞きたいよ。何でそんな血だらけなの?(+×+`U)」
「本当にクッキーマン? じゃあ、私が今、やってきたのは?」
 コケモモは白豚の死体を振り返りました。
 白豚は、さっき絶命したときと同じ状態で、同じ場所に倒れていました。
 ただ一つ違うのは……。
249(-_-)さん:2008/11/20(木) 17:38:21 ID:???0
 傍らに女が立っていたことです。
 女は、惨殺された死体を前にして、動じることもなく、こちらを向いて微笑んで
います。
『あの人は……』
 ピエロのようなメイクをしたその顔に、コケモモはかすかに見覚えがありました。
タレントの眞鍋かをりに似ている、あの人は確か……。
「さて、道後温泉に行こうか(・×・`U)」
 クッキーマンの言葉で、コケモモは我に返りました。
          ※
「……という話をコケモモから聞いたんだ。信じられなかったよ(・×・`U)」
 クッキーマンの長い回想を最後まで聞いた名探偵・斎藤総一郎は、数日前に起き
た別の事件を思い出していた。長野県松本市で失踪した「ムヒ」という男が、愛媛
県の山林で遺体となって発見された事件…。斎藤の頭脳の中で、点と点がつながり
始めた…。
                      (第三章 容疑者Cの回想 完)