1 :
(-_-)さん:
三行ずつリレー小説を書いていくスレです。
窓を開けると、微かに潮の香りがした。海が近いのだろうか。
隣の席で眠っている女の子に気づかれないように、その香りを鼻から胸いっぱいに吸い込む。
夜明けはまだ遠い。夜間灯でぼんやりと照らされている夜行快速の車内、起きているのは僕一人だった。
あ、名前欄出したままだった。
名無しさんの作品なのにごめんね><
遠くで汽笛の音が聴こえる、きっと外国の艦隊が碇泊しているのだろう。
目を凝らしても墨をこぼした様な闇の中、威厳のある黒い水鳥たちの群を見つけることはできなかった。
列車の静かな震動が隣りの少女の長いまつげを微かに震わせる。
5 :
(-_-)さん:2008/06/19(木) 04:26:15 ID:???0
通過駅を過ぎた。プラットホームの灯りがあっという間に近づき、去っていく。
灯りの中に駅名を読み取ることができたが、知っているはずのない駅名だった。
この列車に乗ったのも偶然に過ぎない。駅に着いて、停車していた夜行快速に乗り込んだ。行き先も知らない。
6 :
(-_-)さん:2008/06/19(木) 04:32:32 ID:???0
「君はそこに書かれている通りに行動すれば良い。余計なことは知らなくてよろしい。」
白いリノリウムの床に鉄製の事務机しかない殺風景の極みのような部屋で、あの男はそれだけしか教えてくれなかった。
そして、昨日からしつこく読みすぎて文字のかすれかけた手元のメモに、僕は何十回目かのため息をついた。
7 :
(-_-)さん:2008/06/19(木) 05:29:10 ID:???0
どうやらあと5時間程この列車に乗り続けなくてはならないらしい。幸いとうべきか、考える時間だけはたっぷりある。
憎むべき紙片をポケットにねじ込むと、僕は再びシートに深く背中を預けた。
隣の少女は相変わらず身じろぎひとつせずに眠っていた。微かな胸の動きがなければ、まるで死んでいるようだった。
列車がやがて深いトンネルに飲み込まれ、車窓に沈んだ青年の顔が映し出されると同時に在りし日々の記憶が蘇える。
暗い地下壕跡に集められ、ロウソクの光の中で行われた秘儀の数々。
屈辱的な行為の後で、秘密の告白が行われ、そして入会を許されたあの日の記憶。
9 :
(-_-)さん:
今なお自分の選択に確信といえるものはない。しかし、他に採り得る選択肢などなかった。
孤独は妄想をこそ真実らしく見せるものだ。そして、あの頃の自分には彼の地下壕への誘いこそが唯一の真実だった。
しかしそこに居たのはやはり人間達であり、彼らは自分と同じくいささか狂ってはいたものの、幻想の世界の住人ではなかった。