ここで一つ、あるケースについて。本題は別途書きます。
まずは背景説明。
ある20才以上のAさんがいました。Aさんは精神科に通院してました。
主治医はかなり変わった医師でした。
「本人は医学的な病気です。治療すべき対象であり、また治療によって完治します。」
「親御さんは悪くありません。悪いのは本人の病気です」
医師の常に自信満々であり、しかも親に対しては比較的無条件に近いほど肯定的な言動でした。
そのため、いつしかAさん本人より親の方が主治医に心酔していき、
以後、親はどんな事も自分で考えずに全て主治医に逐一相談するのみとなり、
医師も親の相談に応じて全てにおいて指示を出し、親は主治医の指示に盲従するようになりました。
Aさんには通院するに至らしめる精神的ダメージの要因となっていた対人トラブルがありました。
自分の精神的窮状の要因がその対人関係にあることをAさん自身、主治医には話してきましたが、
それに対して主治医は
「君は医学的に病気なのであって、現実的トラブルはあまり関係ない。治療を受ける事によって完治すべきものだ」
Aさんの話には耳を貸さず、投薬や入院による治療への服従を求めました。
主治医は、Aさんが「治療方針」に服従しなかったり反発をしめすと「病状が悪化した」といい、
投薬や制限を強化し、治療医師の言うことに反発が顕著に表れない場面では
「病状が安定した」となどといいます。
親も主治医の方針に盲従しています。
Aさんは自分の抱えている本当の問題が全く無視されたあげく、
奇妙な「医学的治療」への服従を要求されつづける事になりました。
Aさんは精神的に癒され回復するどころか、より複雑で困難な状況に追い詰められ、
以前にも増して精神的苦痛は大きくなって行きました。
本題「1」
Aさんは確かに対人トラブルを抱えていました。
その対人トラブルが発生した後に、Aさん自身が精神的不調を訴えて
最初の精神科へ自ら通院し始めたことも、時系列的にみても間違いありません。
Aさんの対人トラブルは複数の人間が不適切な形で絡み合っていて、
解決しないまま断続的に続いていました。
Aさんはこの対人トラブルの解決を見るべく、トラブルの相手方と合意により
弁護士を仲介にいれて話合いをし、念書を作成して示談をすることになりました。
以後、弁護士1名が立会いの下、Aさんと相手方の話し合いが何度か行われました。
その結果、相手方がトラブルの要因となった言動等について、一定の謝罪の意を表明し、
Aさんに一定の金銭も支払うことで両者が合意し、法的にも有効な念書を弁護士の記名入り作成し、
Aさんと相手方も署名押印しました。
その後、債務は念書通りに履行され、弁護士からはAさんを本件の依頼人としての報酬請求があり、Aさんが支払いました。
問題はここからです。
実はこの示談の件には、Aさんの知らない、とんでもない裏があったのです。
この話し合いが行われていた最中も、Aさんの親は主治医に逐一相談していました。
それに対して主治医は
「話し合いが長引いて、まとまらないと、治療の妨げになるから早く終わらせたほうが良い。A本人に内緒で、親が相手方と
裏で交渉してでも、早く終わらせるべきだ。表面上、相手方がAに謝罪し速やかに金銭を支払うことにして、
その金は親が相手方に密かに渡すなり、親が相手の名でAの口座に振込むなら、相手も早期解決に応じるでしょうから、そうして下さい。」
結局、主治医の差し金で、Aさんが解決したと思っていた示談は全くの茶番だったのです。
Aさんは成人ですし、精神科に通院しているとはいえ、民事の行為能力が制限される法的要件も摘要もありません。
当時、まだ若くてやや変わったその医師の主観による指示、
妙に自信に溢れた断言に近い指示があり、それを盲信する親によって
なされた「治療上の判断」と称するものです。
この裏取引の真相について、3年以上経過した後、相手方からAさんは知らされました。
本題「2」
このような、Aさんを取り巻く極めて特殊な環境については、
Aさんの対人トラブルの相手方も色々な意味で驚いたと思います。
何しろ、Aさんの親は、成人した自分の子供の、こともあろうにトラブルの相手方に対して、
Aさんの精神科通院や主治医について話すだけでなく、「治療上の行為」と称する
騙しの共謀を持ちかけた訳ですから、色々な意味で「普通」ではありません。
(そもそも精神的な問題が起きる場所というのは、「普通の環境」ではない場所、
やはり、どこか特殊な環境で起こり得る、ということなのでしょうか)
そんなこんなで本題「1」から1〜2年後、さきの特殊な示談を経験済みの
例のトラブル相手から、Aさんの親の勤務中の職場に電話がかかってきました。
「お宅のAさんが少し前に僕の店に来てアルバイトを殴ったり物を壊したから弁償してくれないと告訴しますけどいいですか?」
突然の呼び出しで要領を得ない不審な話だったためなのか、
勤務中だったAさんの親は、この時ばかりは腹が立ち、
「そんな事、事実としても、今起きたことでもないのに、わざわざ職場に電話する必要ないでしょ!」
と起って電話を切りました。
(続く)
その数ヶ月後、今度は警察からAさん宅に電話が入り、Aさんの親が受けました。
「Aさんはいますか。Aさんが告訴されましたので、事情聴取をしたいので出頭させてほしいのですが」
Aさんはたまたまその時不在だったのか、この電話の事はAさんの耳には入りませんでした。
警察からの電話に驚いたAさんの親は、またしてもすぐに主治医に逐一相談しました。
例の主治医は
「Aが刑事事件に巻きこまれれば病状が悪化して、治療の妨げになる。そればかりか病状が悪化した結果、
場合によってAが逆上してもっと大きな事件になる可能性もある。ちょうど最近、そんな逆上パターンの事件報道もあったばかりだし、
告訴されていることをAに知らせないように、親御さんが相手と密かに示談して解決したほうが良い。
必要なら相手や相手の弁護士、警察とも自分が説明しますから、相手や警察にそう伝えて下さい。」
Aさんの親は主治医の指示に従い、警察と告訴の相手に要請しました。
「本人は通院していて、その医師に相談したところ・・」
医師に言われたことをそのまま、各方面に伝えました。そのまんま。
依然として、Aさん自身はこの一切の動きについて全くなにも知りません。
(続く)
なるほどね・・・介入し過ぎのケースが多数、水面下で存在すると言いたいわけか・・・。
要するに、昔から、そしてリアルタイムでこうした事例が存在するわけだね。
確かにこれはやり過ぎだ。家族会やセミナーを持っているし、指示的な療法だからこ
うした手法は不可能ではない。というより、著書の中にも少し書いてある(家庭内暴力の事例)
もっと早くこういう話をしてくれれば、脱学校教徒が紛れ込んでくることも無かったろうに・・・。
右とか左とかは関係なく、さすがにまずいもの、これは・・・。
Aさんの親は警察や相手方に対して、
「とにかく信頼している主治医がAに知らせるなといっているし、主治医が直接説明するといっているから、後は主治医と直接掛け合って欲しい」
と繰り返し言いつづけました。
そして、告訴の相手やその弁護士は主治医に会いに行き、
Aさんの「病状」について直接説明を受けました(!)。
警察は最後まで難色を示しました。捜査は法令に基づいて行われます。
精神疾患等についての特例的扱いも、法令に基づいた「別扱い」で無ければ出来ないのは当然です。
Aさんにはその摘要要件がありません。
あるのはあくまで、当時まだ若い、ある変わった主治医の主観的判断のみに基づいた
特例扱いを求める強い要請だけです。
とうとう警察も、親の強い要請により、主治医に質問書を送りました。
主治医は警察宛てにAさんの「病状」について自分の診断を科学的真実であるかのごとく
断言した文言で回答し、捜査が病状を悪化させ内外両面で深刻な事態が起きる可能性がある、
とも回答しました。
(続く)
この間、主治医と直接話したりしていた相手方は、「300万円払うならAに知らせずに示談しても良い」と言いました。
そして、Aさんの親も弁護士を雇い、弁護士同士の話し合いが始まり、
Aさんの親が相手に150万円を支払うかわりに、Aに知られないままで告訴を取下げることで
Aさんの親と相手が示談しました。
相手が告訴を取下げたため、警察も本件にこのまま幕を引いてしまいました。
ちなみに、相手がAさんを告訴したお話の内容は「打撲で通院4日(実は全く無傷でも、自己申告だけで外科に行っても貰えるレベルです)」
「店内装飾品の損壊」なので、仮に告訴事実が全て真実であったとして計算した場合、慰謝料と弁償を併せても、
数万円から十数万のレベルが一般的です。
この一部始終、当事者であるAさんには一切内緒のままです。
Aさんは警察から事情聴取を受けることもなく、告訴された事実についてAさん自身が認否反論する権利も機会も奪われ、
告訴されていたことすらも知らずに、Aさんが告訴された事実を全て行ったとの前提で
主治医や親が勝手に処理して終わりました。
主治医は積極的にAさんのトラブル相手(一般人!)にAさんの「病状」について説明までしてます。
Aさんがそのような異例な扱いを受ける法的な根拠は、どこにもなかったのに・・です。
あったのは、当時また若く少し変わった主治医の主観に基づく指示と、
その主治医の妙に自信を持った言動に盲従状態になっていた親がいた、ということだけです。
全て「治療上必要な行為」と称して。
Aさんはこの告訴にまつわる一件についても、何年も経ってから告訴の相手から知らされました。
ちなみにAさんは告訴された事実には身に覚えが無いそうです。
トラブル相手が雇っていた、Aさんに殴られて打撲したという直接の被害者たる
アルバイト店員も全く誰のことかAさんにはわからず、当時の告訴状に書かれている名前と学籍を
基に調査したところ、そのアルバイト店員はその学校の卒業者名簿にはなく、さらに学籍調査したところ、
入学した形跡すら全くありませんでした。実在するんでしょうか。
Aさんが告訴された当時、ごく普通に事情聴取を受けていて、
認否反論の機会があったなら・・。
(本題「2」終わり)
本題「3」
その後、Aさんは上に書いた2つの「騙されている事実」は知らないままでした。
それでも、普段の診療での主治医の言動などから、主治医に対する不信が募って行きました。
実際、主治医の「治療」によって以前より更に辛く苦しくなっていると実感しましたので、
Aさん自身は別のクリニックに転院しました。以後、元の主治医の所には戻っていません。
しかし、盲従状態のAさんの親はその後も何年もの間、Aさんに知らせずに通い続けていました。
Aさんは自分で別のクリニックに通院しているので、もはや目的も意味も判りませんが
親だけが何年も何年も少し変わった自身たっぷりの言動をする元主治医のところに通い、
日常の報告を(あくまで親の主観を通して)逐一報告に通いつづけました。
Aさんが別のクリニックへ転院した前後でも、元主治医は、
「Aが荒れている、この前も怒った、怒鳴った」など、あくまで親の主観に基づく日常報告に過ぎない話を元に
「ジュースなどに混ぜてAさんにのませるように」と指示し、液状セレネースを処方したりしました。
液状セレネースとは、ハロベリドールのシロップです。
用量用法を間違えると死亡する事もある、悪性症候群という副作用の中でも最も危険な症状が伴う薬です。
これを十分な説明もせず、「効き目が強い薬だから少しだけ混ぜればいいです」といういい加減な説明だけで、
本人に内緒で飲み物に混入させて飲ませるように指示し、親に渡していました。
そして、Aさんは親の気持ち一つで「あれている」と思われたときには何も知らずに飲まされていたのです。
(続く)
Aさんはこの非告知投薬がされていたことも、長い間知りませんでしたが、
投与されていた時期に、何度も副作用症状を起していました。
急に顔が引き攣ってろれつが回らなくなるなど、小児マヒになったような症状が
所も時も選ばず突然襲って来ることが何度もありました。
Aさんにとっては、この症状の原因もわからないし、いつ何時襲ってくるかも解からないので
大変な恐怖でした。
困りはてて元主治医に電話で相談すると、元主治医はろれつの回らない中必死ににしゃべるAさんの声を聞いて
なんと信じられない事にお笑い番組でも聞いてるかのように
「はっはっは!え?なんだって?ちゃんとしゃべれよ〜」
と大爆笑したそうです。
その後「薬の副作用だから近くの病院で副作用止めを注射してもらいないなさい」
と指示したそうですが、非告知投薬をしている事実や、どんな薬なのかは最後まで一切説明しませんでした。
何年も経ってから、Aさんがカルテを取り寄せたところ、
非告知投薬の記述があっったので初めて知ったそうです。
(本題「3」終わり)
今までの隠された全てを知ったAさんと、Aさんの家族との信頼関係は完全に崩壊しました。
少し変わった元主治医の自信たっぷりの「治療」は
元来悪意をもつトラブル相手に、より悪質な増長を促進する免罪符を与え、
さらに親をも巻き込んだ形でAさんの自尊心・人格を徹底的に破壊し、
更に大きな人間不信・精神的荷重を現在まで引きずらせる結果になりました。
Aさんは自分のする事の全てに何か裏があるのではないか?あったのではないか?
という疑心暗鬼に駆られるようになり、何につけても親に度々確認するようになりました。
しかし、今まで治療上の必要と称して、Aさんの親は沢山の場面で会話の上でも、「本当のことだ」といって多くの嘘をついていたのです。
なので、Aさんが親に何かを確認すればするほど、余計に信じられなくなるそうです。
なにを基準に信用すればいいのか、もう解からないのです。
少し変わった自信家の元主治医はこういいます。
「治療上の判断として全て適切です。同じケースがあれば現在でも私は同じ様に対応します。」
NHKは公金から捻出したギャラを支払う相手はもっと十分に精査しろ。
Aさんはこの件で元主治医を提訴しました。
この提訴に至るまでも、至ってからも、弁護士含む外部の偏見・軽視・侮蔑的先入観に基づく取り扱いを受けるなど
のもろもろ、その他金銭面のこと、既に親とは信頼関係は崩壊状態にあることなど、
Aさんが訴訟を進めるのには色々な荷重がありました。
ともあれ、この訴訟は始まってから約一年程度の経過した時点で、
元主治医がAさんに解決金を支払う形の和解が成立したそうです。
元主治医はAさんに対して、この事件について公表しないことを強く要求し、条項に記されました。
しかし、これではこの事件について対外的にはその内容すら全くなかった事も同然になってしまいます。
当事者同士の個人的で一般的な民事紛争なら「公表しない」も良くある話ですが、本当にそれでこの事案の存在を
無かったものにして良いのでしょうか?
Aさんは一生、自分の体験を語る事も出来ないのでしょうか?
Aさんはそのことを主張しました。
そして、「ただし、被告を特定されない形で語る場合を除く」という条文が辛うじて記載されました。
息も絶え絶えです。