ネクステルについて

このエントリーをはてなブックマークに追加
562底値さん
<時効の中断>
 消滅時効の進行は、権利者の請求や差押え、および相手方の承認があった場合な
どには中断されます(民法147条)。請求の典型は訴訟の提起など裁判上の請求で
すが、裁判外の催告であっても、その後6ヵ月以内に裁判上の請求を行えば時効は
中断されます(民法153条)。解雇が無効である場合の賃金請求権については、解
雇無効を主張する訴えの提起により裁判上の請求があったものとする裁判例が有力
です(名古屋高判昭56.4.30 足立学園事件 労民集32巻2号250頁など)。
 また、個別労働紛争解決促進法は、同法所定のあっせんが紛争解決の見込みがな
いものとして打ち切られた場合(15条)、あっせん申請をした者が打ち切りの通
知を受けた日から30日以内にあっせんの目的となった請求について訴えを提起し
たときには、当該あっせん申請の時に訴えの提起があったものとみなされると定め
ていますので(16条)、そのような場合には、あっせん申請の時に時効が中断さ
れることになります。なお、団体交渉や労働委員会でのあっせん手続きを経てきた
ことなどを考慮して、時間外手当請求に対して使用者が消滅時効を主張することは
権利濫用に当たるとされた例もあります(長野地佐久支判平11.7.14 日本セキュ
リティシステム事件 労判770号98頁)。

<長期間経過後の解雇無効の主張>
 以上に対して、解雇が無効であると主張して、労働契約関係が存在することの確
認を裁判所に請求する場合には、請求権等を行使しているわけではないため、時効
そのものとは別の問題として取り扱われています。このような場合、解雇の無効の
主張自体に特段の期間制限はないといえますが、解雇後長期間を経過した後にその
無効を主張して訴えを提起することは、信義則違反あるいは訴権の濫用として許さ
れないとされる場合があります。