ネクステルについて

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561底値さん
労使紛争において時効の問題がどのように扱われるかについて概要を教えて下さ
い。
質問

「従業員が会社に対して訴訟を提起し、未払賃金の支払を求めたり解雇が無効であ
ることの確認を求めたりする場合、訴訟の提起には時効による制約があるのでしょ
うか」

回答

ポイント
労基法上の賃金その他の請求権は2年、退職金請求権は5年で消滅時効にかかり
ます。安全配慮義務違反による損害賠償請求権の場合は、時効期間は10年(不法
行為による損害賠償請求権については原則として3年)になります。
裁判において解雇の無効を主張する場合には、特段の期間制限はありませんが、解
雇後長期間を経過しているときには、事案により、解雇無効の主張が信義則に反す
るとされたり、解雇を承認したものと認定されたりすることがあります。
<消滅時効期間>
 民法においては、債権は10年間行使しない場合には時効により消滅し、債権ま
たは所有権以外の財産権は20年間行使しない場合に時効消滅するのが原則で
す(167条)。ただし、例外を定めた規定がいくつかあり、特に、「月またはこれ
より短い時期をもって定めた雇人の給料」は1年間の短期消滅時効にかかると規定
されています(174条1号)。しかし、労基法115条は、労働者保護の見地からそ
の特則を設け、賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権については2年
、退職手当の請求権については5年の消滅時効期間を定めています。ここでいう「
その他の請求権」としては、退職事由等の証明書請求権(労基法22条)、休業手
当請求権(26条)、年休手当請求権(39条6項)などがあげられますが、年次有
給休暇権そのものもこれに含まれると考えられています(その結果、年休の繰り
越しは1回に限り認められることになります。国際協力事業団事件 東京地判
平9.12.1 労判729号26頁、昭22.12.15基発501号)