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516底値さん
2005年6月8日(水)「しんぶん赤旗」

労働審判制度とは?

 〈問い〉 労働審判制度とはどういう制度ですか。共産党はどう考えてい
ますか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 労働審判制度は、解雇や賃金不払いなど労働者個人と使用者とのあい
だの紛争を速やかに解決することを目的に、2006年4月からスタートする制度
です。全国50カ所の地方裁判所に、職業裁判官(労働審判官)1人と、労働者
側、使用者側が推薦する各1人の労働審判員の3人で構成される労働審判委員会が
置かれます。

 労働者または使用者の申し立てで審理が始まり、審理は3回以内で、審理の上、
紛争解決案を決定(労働審判)します。その間に話し合いで解決をめざす調停手続
きも可能です。当事者が合意すれば調停で解決することもできます。この審判に対
して2週間以内に当事者から異議が出ない時は確定します。調停や審判は裁判上の
和解と同じで強制力を持ち、強制執行ができます。異議が出された
ときは、地方裁判所の通常の裁判手続きに移行します。

 事件が複雑で争点が多く、3回の審理で終了する労働審判にふさわしくなく、裁
判で行うことが妥当と労働審判委員会が判断する事件は、審判手続きをせず、訴
訟に移行することもできます。最近、解雇、賃下げなど個別的労働紛争が増え、都
道府県の労働局へのあっせん申請も増加していますが、相手方が応じないなどで半
数が解決できないのが実情です。労働審判制度は、裁判外手続きですが、裁判所の
手続きであり、相手が応じなくても手続きがすすめられるなどあっせん制度とは
違います。

 この制度は労働裁判の改善を求める世論のもと、司法制度改革の一つとして実現
しました。この制度が広く活用され、権利侵害の早期解決を要望する労働者の期待
に応えられるかが重要です。そして、この制度の経験を通じて、将来、労働裁判に
国民が参加する参審制度の実現も考えられるべきでしょう。(亮)