処女はお姉さまに恋してる 第11話

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666名無しさん@ピンキー
「どうしました貴子さん」
黒板にみみずの這ったような文字の羅列を書き続けていた教師が、チョークを持った手をとめて言う。
貴子さん…そう、貴子さんだ。生徒会の会長で、いつも一人で中心にいない女の子だ。
「うふ、うふふ。あは、あははははははは…」
くすくす笑いが、本当の笑いになり、貴子さんは、首から上を窓の外に向けたまま、愉快そうに笑い続けた。
クラス中が薄気味悪そうに彼女を見つめた。
「ちょっと、なにあれ?貴子さんどうなさったの」
「気持ち悪い…」
貴子さんの笑い声に混じって、生徒達がひそひそと声を交わす。

そのとき、貴子さんが両手でおもいきりバーンと机を叩いた。
一斉にシーンとなる教室。
目を丸くして見つめる生徒達の視線のなかで、彼女は低い声でひとこと、「ラーメン」と言った。

一拍おいて、教室はどっと爆笑の渦につつまれた。

「キャハハハハハハ!いやですわ貴子さん、それ、とても面白くてよ!」
「ワハハハハハ、まぁ、貴子さん!がまんできなくって?」
教師が必死に制するのも聞かず、生徒達の弾けるような笑い声が教室を突き抜けて響きわたった。

「うふ、うふふ。ちょうだい、ねぇ、ちょうだいよ。ラーメン、頂戴。わたしもう我慢できないの。ねぇ、いいでしょ?
ほしいのよ。ラーメンが。ラーメン!ラーメンがほしいの!
いれて、ねぇ、いれてよぉ!あつくて、できたてのわたしのラーメンに、チャーシューいれてよー!
食べたい、食べたい、食べたいの!食べたいのぉぉぉ!ラーメンが食べたいのよおぉぉ!!
ラーメンラーメンラーメンラーメンラーメンラーめんらーめんらーめんらーめんらーめんらーめんらーめんらーめんらーめんらーめんらーめん…」

生徒の笑い声が、徐々にたち消えていく。
貴子さんは、まるで壊れたCDプレイヤーのように「らーめん」という単語を連発し続けていた。
笑っている生徒は、もう一人もいなかった。
今や誰の目にも、貴子さんが尋常でないのは明らかだった。