月は東に日は西に4時限目

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996名無しさん@ピンキー
連続ラジオ小説 『プリンの妖精』

ノックの音がした。
寝入りばなを起こされた広瀬弘司は枕もとの携帯を見た。
とっくに0時を回っている。 
「……おいおい、もう日付変わってるぞ。は〜い、どちら様?」
こんな時間になんだろう、と弘司はドアを開けた。
目の前には誰もいなかった。
「こんばんは〜」
いや。
正確にはいたのだが、半分しか開いていない弘司の目には入らない位置にいたのだ。
「結先生?こんな夜更けにどうしたんですか?」
声のした方に目線を下げると、彼の担任が立っていた。
パジャマ、と呼ぶにはかなりエキセントリックな格好をしている。

「いえいえ。結先生では有りませんよ。私はプリンの精です」
「あの〜寝ぼけているのは僕の方ですか?」
997名無しさん@ピンキー:05/01/19 23:31:09 ID:teYRo8vF
連続ラジオ小説 『プリンの妖精』

自分の目と脳を信用できない弘司に向かって、彼女はいつものような屈託ない笑顔を浮かべる。
「広瀬君の部屋の観察に来ました。部屋を見れば、問題学生になるかどうか分かるんです。
久住君なんて大変だったんですから〜」
確かに久住直樹は問題の無い学生ではない。しかし今の場合は他のことに問題がある。と弘司は思った。
「で、ですけど、いくら同じ寮に住んでるからってこんな夜中…」
「お邪魔しますね」
弘司の抗議を全く無視して、『プリンの精』は弘司の部屋に滑り込むと、部屋をぐるりと見回した。
「早速〜冷蔵庫を〜〜。 ウフッ有りましたあ♥」
「部屋じゃなくていきなり冷蔵庫!?」
弘司の突っ込みも聞き流したプリンの精は、掛け声と共に勢いよく冷蔵庫の扉を開け放った。

 ガ パ ッ
998名無しさん@ピンキー:05/01/19 23:31:57 ID:rZarke4l
ぷりんをストローで吸いながら1000GET
999名無しさん@ピンキー:05/01/19 23:32:13 ID:teYRo8vF
 ガ パ ッ

「うわぁああぁ〜♥ プリンがぎっしり。しかもこれは良いプリンですよお〜♥」
彼女の表情がトロトロと溶ける。
「広瀬君もプリン好きとは知りませんでした。模範的な学生ですっ! プリンの神も大喜びですよぉ〜♥♥」
褒めちぎるプリンの精の眼は、まるでぱらいそを見るかのようにうるみ、口元には涎が溜まっているのがはっきりと分かるほど。
そんな忘我の極に入ったままの彼女に、後ろから声がかかった。

「そういえば、最近。 冷蔵庫の中のプリンが、時々無くなっているんです。」
「えっ?」
振り向いた彼女は、弘司の視線の冷たさに我に帰る。
「まさか……」
それは犯罪者に向けるような冷たさではなく、もっと禍々しい瘴気をはらんでいた。
「私を疑っているんですか? こう見えてもれっきとしたプリンの精なんですからねっ。
プリンの精を疑うなんて、メッ!!ですからね。メッ!!!」
スプーン形のバトンをめっ!めっ!と振って見せる彼女に、弘司は淡々とした口調で
「その…手に持っているのは何ですか?」
と指差した。
「ハッ?!なんで……食べかけのプリンが??」
プリンの精の左手に握られていたもの。それは正に開封したばかりのプリンカップだった。
1000名無しさん@ピンキー:05/01/19 23:33:02 ID:teYRo8vF
「さぁて。   どう責任を取っていただきましょうか」
決定的瞬間を捉えた「彼」は、最早昼間にみる人の良さそうな弘司ではなかった。
眼光は鋭く、顔は醜悪にゆがみ、声までも低く重々しい。
にやりと笑い一吹きすると、部屋中に邪気が渦巻いた。
「広瀬君が、どんどん邪悪に…!」
吹雪のような強烈な気を受けて、たじろぐプリンの精。
いくら人ならざる力を持つと言えど、正面から立ち向かうことは出来そうも無かった。
「こうなったら……」
禁断の魔法を使ってしまうことになった事を悟った彼女は、凍える腕で顔をかばいながらもバトンを握りなおす。


「記憶を消してしまうしかありませんっ」

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