ひときわ深く貫かれた花の体が震えたのとほぼ同時に玄徳は熱を放った。
花を抱きしめたまま潰さないように二人寝台に沈み込む。
そのまま触れるだけの口付けを幾度もおとすと、次第に花の焦点が定まってくる。
「ぁ……玄徳、さん……」
「ああ、気がついたか」
結局自らの求めるままに花を抱いてしまった自覚のある玄徳は、少し申しわけなさそうに花の頭をなでた。
「すまない、今日こそは優しくできると思ったんだが……大丈夫か」
「今日こそはって。……玄徳さんは、いつも優しいです」
「はぁ、まったくお前はいつも俺を甘やかしすぎだ。……だが、これで、俺がどれほどお前を求めているかわかっただろう」
「っ……、は、い。その、……気持ちよかったのが私だけじゃなくて、玄徳さんも気持ちいいって思ってくれたなら、
すごく嬉しいで――ひゃあん!」
未だ花の中に残っていた玄徳が再び質量を増して、花は言葉の途中で鳴き声を上げた。
「……、だから、そういう可愛い事を言われると、だな」
「え、あ、……なんか、また……」
「――悪い。止まらないんだ、もう一度付き合ってくれ」
そういうと、花の了承を待たずに玄徳は再び腰を動かし始めた。
先ほどまでの貪りつくすような抽挿とかわって、先端でゆるゆると入り口のあたりをかき混ぜていく。
それでも一度達した花は更に敏感に快感を受け取ってしまう。
「はぁ、……玄徳さん、……んっ」
「花……」
時折花の弱い場所を掠めるようにすると花はびくびくと体を震わせる。
じらすようなその動きに、花の腰も揺らめき始めたのを感じ取って玄徳は口元を緩ませた。
しばらくそんなゆるゆるとした触れ合いが続いていたが、とうとう花が音をあげた。
「っ玄徳さん、お願い、意地悪しないで……」
「意地悪って、いったいなんのことだ」
「そ、んな、……ぁあん」
「どうした、言ってくれないとわからないぞ」
度し難いなと玄徳は思う。けれど、ここまできたら花の口から求めさせてみたいという欲求には抗えなかった。促すように名を呼ぶ。
「……花」
「……、玄徳さんが、欲しいです。もっと奥まで、玄徳さんで、いっぱいにしてください――」
自ら言わせるように仕向けたというのに、玄徳の頭は瞬間真っ白になった。めまいがしそうだ。
花を泣かせたくはないのに、泣きながら己を求めてくる花が何よりもいとおしいと思う。
まったく、本当に度し難いなと胸中でつぶやいて、花の涙ながらの懇願に応えるべく、自らも待ちわびていた奥へと突き入れかき回した。
もっと、もっと、と泣きながら敷布を握り締める花の手を解いて玄徳が指を絡めると、ぎゅうっと握り締めてくる。
「はぁ、あっああん、……あぁっぁあああ!!」
「っ……、花……っっ!」
上り詰めた花に締め上げられ、玄徳も再びその熱を解放したのだった。
玄徳さん、大好きです、と告げるや疲れ果てて夢の世界へ旅立ってしまった花を慈しむように抱き寄せる。
やはり無理をさせてしまったと思うが、好きな女に求められて抗えるわけが無いだろう、と言い訳じみた自己弁護をすると、
自らもまぶたを閉じる。
明日の朝一番に花の顔を見られる喜びを思いながら、玄徳の意識も夜の帳に覆われていった。