孟徳さんが、視線をこちらに向ける。孟徳さんは傷痕に、ちろりと舌を這わせながら、私の胸を柔らかく揉みこんだ。固く尖った先端を、優しく掌で転がしたり、摘んだりして弄ぶ。
「ふ……っ、あ、んん……っ」
触れられていない胸が切なく震えると、孟徳さんが身体を起して、やっと膨らみに触れてくれる。舌先で、先端を突付かれて、声が甘く掠れる。自分の声だとは、思えない。
身体から、力が抜けていく。
「可愛い」
笑って、孟徳さんが目尻や頬、額に唇を落としてくる。熱い吐息に、孟徳さんも興奮してくれていることが分かった。それだけで、嬉しい。けれど、こんなことを考えてしまう自分は、淫らなのだろうか。
「何を考えているの?」
「え……?」
ぼんやりと見返すと、孟徳さんの指先が、傷痕を強く押さえる。
「あ……っ」
「俺の事以外、何も考えないで」
今、この時だけは。
甘い声が、耳元で囁かれる。舌先が耳朶を擽り、そのままぱくりと口に含まれる。
「私、何も……っ、んんっ」
卑猥な水音が、直接脳に注ぎ込まれるよう。頭がぼうっとして、何も考えられない。