【耳かき】☆癒しの小説売り☆【警報】

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1夢花火
ここは癒しの小説売りが作品を投稿するスレッドです…
最後に癒しの気持ちが残ればどんなジャンルでもOK

ちなみに私は耳かきスレ内で小説を書いていたのですが
もっと色んな内容を盛り込んだ作品を書きたいと思い作りました

耳かきは最高の癒し!であるので私の作品には耳かきが登場致しますがあしからず

感想・リクエストなどもどんどん書きこんで下さい!
2癒されたい名無しさん:2007/06/20(水) 15:38:21 ID:c2XFTg9G
 「ください………………ここに………ここに先生の……あなたのおチ○チン、あたしの……お、おま○こに、入れてください!
 お願いっ! ずぶううって、つっこんで! あたしのおま○こ、あなたのそれで、ぐちょぐちょにかき回して! 奥まで入れて、気持ちよくしてぇ!」
 叫びながら優良さんは指で秘裂を広げてみせました。よほど興奮していたのか、白濁した蜜がとろっとこぼれてきます。
 男はこちらも興奮した目つきで優良さんにのしかかってゆきました。
 先端が唾液と先走りに濡れたペニスに手を添え、しとどに濡れそぼった秘裂にあてがいます。
 ちゅっと軽いキスをした様な音がしたかと思うと、男は一気に腰を突き出しました。
「あーーーーーーーーーーーっ!!」
 貫かれた途端に、優良さんはものすごい悲鳴をあげて、男の体の下で汗まみれの体を激しくのたうたせていました。
「いいっ! いいっ、ああ、すごい、す、すごいいっ! 気持ちいいっ! ああっ!」
 男が優良さんの右脚をかかえ、体を横向きにさせると、ピストン運動をはじめました。角度が変わってまったく別の快感が優良さんを襲います。
「ひっ! ああ、ふぅあ、ふ、ふかいっっ! ひあああ!」
 優良さんが顔を覆いました。すすり泣いているているようです。
 男はかまわず腰を振り続け、一度奥深く腰をたたきつけると、腰をくねらせながら、かかえ上げた右足を両腕で抱きかかえました。
 すすり泣く優良さんへ、満足気な視線を送りながら、足に舌を這わしてゆきます。
 男が突如くねらせていた腰を前へ前へと送り込み始めました。優良さんの最奥部をかさの増した肉棒がつつきます。
「あ、だ、だめ、これ、あ、ふ、ふかっ、ふかすぎ…………あんっ、あたし、だめ、
 これ、す、すき、ああっ、あんっ、あっ、くああっ、お、おかしく、おかしくなっちゃ………!」
 きつく目をつむる優良さんの目の前に、スパークが飛び交いました。
 今日初めてのオーガズムを迎えた優良さんは、そのままあごをのけ反らせ、全身をぶるぶる震わせます。
 優良さんの媚肉がすべての細襞をまとわりつかせてきました。男の精を搾り取ろうとするかのようです。
3癒されたい名無しさん:2007/06/20(水) 17:02:59 ID:YwLlV/AI
★必須★テンプレ厳守でお願いします

*sage進行でお願いします

*癒すことが目的のスレッドです
悪口・人が見て不快になるような書き込みはやめてください。

*過激な性表現のある作品の禁止
これも不快になる書き込みとみなされます。
芸術としての官能を目指したい方はスレ違いです。どうぞ他のスレで行ってくださ
い。

*ここは夢小説置き場ではありません。有名人の名前を使っての作品は犯罪です。
他の作者の方の迷惑になります。絶対やめてください。

*その他
人の好みはそれぞれなので、好みの作品・そうではない作品があると思います。仕方
ありません。
が、一生懸命書いてくださった作者の方をいたずらに中傷するような書き込みは絶対
やめてください。
例)つまんない・おもしろくない等
心の琴線にふれなければどうぞスルーして下さって結構。
4夢花火:2007/06/20(水) 17:04:07 ID:YwLlV/AI
<作者さんへのお願い>
コテハンでお願いします。
できるだけリクエストには答える努力をお願いします。
無理な場合は一言理由を添えてください。

<リクエストをしたい場合>
書いてほしい作者の方がいる場合は明記して下さい。
作者の方は一生懸命作品を書いてくださいます。急かしたりしないでください。
リクエストに答えられなかったり、またリクエストしたものとイメージが違った場合
でも
中傷したりするレベルの低いマネはよしましょう。
そしてリクエストに答えてくださった作者の方には、必ず愛のこもったお礼を言って
くださいね。

【リクエスト禁止事項】
性表現のある作品や、有名人の名前での小説のリクエストは禁止

最大の目的は癒されること…作者の方には溢れんばかりの感謝をお願いします
5夢花火:2007/06/20(水) 17:06:55 ID:YwLlV/AI
初めてスレッドなんか立てたので意味わかりません
非常に見にくい!
もしこのスレが続くような事があれば…どうか上手い方助け…て…orz
6夢花火:2007/06/20(水) 17:15:49 ID:YwLlV/AI
「花火」1

「今日みっちゃん家行っていい?」
娘の友達の洋子ちゃんから電話がかかってきたのは、夏休みの最後の日だった。
「もちろんオッケーだよ!一緒に花火行こう」
道子がピョンピョン跳ねながら電話口ではしゃいでいる。

洋子ちゃんは最近塾が忙しくてあんまり遊んでいないようだけれど、
三年生になって出来た道子の大親友だ。
六年になるまで度重なるクラス変えにも負けず、全て同じクラスになったと大喜びし
ていた。
洋子ちゃんも道子もKAT-TUNの亀梨くんが大好きで、得意な教科は国語、泳ぎがうま
いのも似ているらしい。
洋子ちゃんは給食の鶏の竜田揚が一番好きで、私には教えてくれないが
道子の好きな男子も洋子ちゃんだけ知ってると言っていた。
洋子ちゃんは二組の菅先生が結婚して失恋してしまったので、現在好きな人はいない
そうな。

「お母さ〜ん、洋子ちゃん来るから何かお菓子買って〜」
私は素麺を茹でながら、
「スイカあるからいいじゃない、うち貧乏なんです。贅沢言わない」と言った。
道子は「ケチ」とむくれている。
確かにうちはあまり裕福ではない。
夏休みの間連れて行ったのはばあちゃん家だけ、しかも隣の県だから今の子には自慢にさえならないのかも知れない。
7夢花火:2007/06/20(水) 17:18:00 ID:YwLlV/AI
「花火」2

今夜花火大会に行く前に夕食を食べさせるのも、実は子ども達に買い食いさせない作
戦なのだった。

天ぷらをつまみ食いしている道子に、健太と遊んでやってよ、と言うと、
負けてやらないと泣くからめんどくさい、と言いながら幼稚園の弟とプロレスごっこ
を始めた。
「ウキャー!アチャチャチャチャ!」健太は奇声を上げて何度も道子に突進してい
る。
夏休みは道子が健太の相手をするので本当に助かる。
勉強は中の下だが、道子は素直でいい子だ、と親バカな事を考えていると
しばらくして「あちー」と言いながら道子と健太はお互い休戦状態になった。
クーラーがないのでプロレスをしていると余計暑くなってしまったようだ。

野菜天ぷらと唐揚げと素麺、夕食の支度が出来た頃、洋子ちゃんがやってきた。
洋子ちゃんはいつも真っ白いワンピースを着てお嬢様のような格好をしている。
「お邪魔します〜」
洋子ちゃんの顔を見て、私はにっこりした。
「いらっしゃい、食べてくでしょ?」
今どきの子にしては清楚で、クラスで一番勉強ができる女の子、私は洋子ちゃんの
ファンだ。
「入って入って!」
一週間ぶりに会ってテンションが上がったのか、道子は洋子ちゃんの手を取ってス
キップで居間に消えていった。
8夢花火:2007/06/20(水) 17:21:14 ID:YwLlV/AI
「花火」3

夕食を食べ終わってテレビを見ながらスイカを食べていると
健太が突然「母ちゃん耳痒い〜」と言い出した。
「どれどれ、やったげようか」私はニヤッと笑ってそう言うと、健太の頭を膝に乗せ
た。
汗をかいてちょっとしっとりした髪がコロンとした健太の頭にくっついていた。
健太は嬉しそうに膝にほっぺをつけてニコニコしている。
わ、これ面白いんだよ、と道子が洋子ちゃんに言った。
「耳かきが面白いの?」と洋子ちゃんは不思議な顔をしている。
「まあ見ててよ〜」と言う私を見て、洋子ちゃんはますます不思議そうな顔をしてい
る。
私はまず引き出しから竹の耳かきを取り出した。
巣鴨で見つけたよく取れるやつで、かれこれ10年も同じ商品を探しては使っている。

実はさらに使い勝手のよい耳かきがあるのだが、夫の幸男に内緒で購入した為自分専
用にしている。
大枚が飛んだのだ、墓まで持っていく秘密、というやつはいまのところこの耳かき一
本である。
これは他とは比べられない程の気持ちよさで、良いものは値段、というのもあながち
間違いではない。

「健太じっとしときな」と私が言うと健太はコクッと頷いた。
そして私は健太の小さい耳に耳かきを迷いなく入れると、
薬味入れから匙にのせた粉をすくうように、サクッ…サクッ…と耳垢を取り始めた。

健太は毎日公園だろうが家だろうが走り回っているからか、耳垢の溜まるスピードが
異様に早い。
みるみる間に耳かきの匙に粉をふいたジャガイモのような塊が山になって出てくる。

耳垢はついては出て、ティッシュに取られ、またついては出てティッシュに取られ…

まるで耳垢製造マシンを見ているようだ。
9夢花火:2007/06/20(水) 17:23:14 ID:YwLlV/AI
「花火」4

ふと洋子ちゃんを見ると健太の耳垢に釘付けになっている。
私は健太の耳垢を見るのが大好きだ。
白っぽいしっとりめの粉で、なんだかふかふかしている。
雪のカケラみたいだ…
どんな感じなんだろう、と私は気持ちよさを想像しながら耳かきをする。
サクッ…スー…サクサクッ…スー…健太は幸せそうに目をクリクリさせながらじっと
していた。

と、急に健太が「母ちゃんゴゾッゴゾッいうよ」と言った。
「はぁ、でっかいのがいるわ。ちょっと待ってよ」
私はそう言うと、引き出しからピンセットを取り出した。
「何?」洋子ちゃんが驚いている。
ピンセットは道子が五年の時に一回だけ取った訪問販売の教材についてきたのを私が
改良したものだ。
先が微妙にカーブしていて、耳垢を掴むのにぴったりなのだ。
健太は慣れたものでじっとしている。
私は慎重にピンセットの先端を入れていった…

「う〜ん」健太が呟く
「痛い?」と道子が聞くと「こちょばゆい」と健太
私は真剣な顔でピンセットをそ〜っと引きぬいた…

「最近一番のヒット」が出た!これはすごい、私は息を飲むと二人の前に急いでピン
セットを掲げた。
耳の筒の形にクルンと丸まった直径8ミリはあるコロンとした塊…
10夢花火:2007/06/20(水) 17:28:12 ID:YwLlV/AI
「花火」5

「こんな大きなのが健太君の耳に入ってたの!?」洋子ちゃんは目を真ん丸にして
いる。
「ぼくいっつもこんなん出るよ」と健太が言うと
「えー私いつもちょっとしか出ないよ」と洋子ちゃんが言った。
私はそれを聞き逃すはずもなかった。

「洋子ちゃん耳見せて?」道子が始まった、と言っている。
私はとにかく耳かきが大好きなのだ。
夫も「ありゃ病気だな」と言うくらい何かあると耳かきさせてと言っている。

洋子ちゃんは思いつめたように
「私病気かも知れないから駄目です」と言った。
「病気?」
聞くと昔からネチョっとした耳垢が出る、と言う。
道子はすぐ何なのか分かったようだ。
私はプッと吹き出して
「あーアレね。大丈夫、うちの父ちゃんも飴耳だから」と言った。
「飴耳…?」
キョトンとしている洋子ちゃんに、耳垢には二種類ある事を説明すると
「そうなんだ…うちみんなパサパサしてるから病気なのかと思った」

それを聞いて、もしかしたら洋子ちゃんのお父さんは飴耳だったのかも知れないな、
と私は思った。
洋子ちゃん家は小さい頃にお父さんが亡くなっている。

私は洋子ちゃんを手招きすると、道子に綿棒を持ってくるように指示した。
まず、耳に綿棒を入れる前に洋子ちゃんの耳を点検する。
「あ、…ああ、あるねぇ」
入り口からすぐ、飴耳特有のペチョペチョした垢が耳壁にまとわりついているのが見
えた。
11夢花火:2007/06/20(水) 17:29:53 ID:YwLlV/AI
「花火」6

太い側の綿棒をスルッと入れるとクニクニ…クニクニ…と円を描くように耳壁を拭き
取るように回していく。
これだけ量があると綿棒を次々新しいものに変えていかなければ追いつかない。
長居は無用だ。さっそく引き抜くと、十分に汁を吸った綿棒はぼってり重く、
片栗粉のようなとろみのある薄い玉子色の、餅状の耳垢が綿棒の頭全体にへばりつい
ていた。

健太が「いっぱい出たー」と言うと洋子ちゃんは恥ずかしそうに目をつむった。
「さて、道子綿棒お願い」
道子はさながらオペの助手のように綿棒を持って私の脇にスタンバイしている。
次の綿棒では耳穴の真ん中の耳垢を吸わせるように小刻みに輪を描く。
ズズ、ッャ…ズッズズズッ…小さな音をさせながら、綿棒は沼に穴を空けるように埋
まっていく。
ふと健太を見ると眠くなったのかうつらうつらしていた。

さて、奥まで埋まったのを確認してからののじを書くように優しく優しく綿棒を動か
し、
そうっとそうっと抜くと…
少し固めのゼリーのような耳垢がプルリッと綺麗に綿棒を取り囲んでいた。
「わー父さんのより綺麗」と道子もびっくりしている。
何度か沼に綿棒を入れ、さらに先の細くなった綿棒でキュッキュッとゼリーを巻き
取っていく。
するとつやつやゼリーは完全に綿棒にかからなくなった。
12夢花火:2007/06/20(水) 17:32:56 ID:YwLlV/AI
「花火」7

「道子シーブリーズ」
道子はほいきたとばかりにシーブリーズを綿棒に染みさせ渡した。
なかなかいい助手である。
綿棒を軽く絞って水気を切ると、私は耳かきの最後の仕上げにかかった。

「あ…ひんやりする…」洋子ちゃんはうわずった声を上げた。
「気持ちいいでしょ」というと
「うん、こういうの初めて」と言って洋子ちゃんはうっとりと目を細めた。

もう片方の耳も圧巻だった。
洋子ちゃんはいつも右手で綿棒を使っているらしく、左はどうしてもすくえない垢が
残っているようだ。
少し大きなゼリーに囲まれたキュウリの種、と言えばいいだろうか…
私にしてみれば耳垢沼から出てきた宝であった。
合計14本の綿棒を使って、ようやく洋子ちゃんの耳かきは終了した。
「どう?気持ちよかった?」と尋ねると、洋子ちゃんは
「気持ちよかった、恥ずかしかったけど」
そう言ってきちんと身なりを正すと、ありがとうございました、と言った。
礼儀正しい女の子である。いつでもしたげるからね、と言うと、洋子ちゃんは少し
曇った顔をした…
13夢花火:2007/06/20(水) 17:35:17 ID:YwLlV/AI
「花火」8

そうこうしていると夫の幸男が帰ってきた。
「洋ちゃん来てるのな」と言ってTシャツに着替えている。
近所の酒屋の景品で当たった「一番絞り」Tシャツである。
帰って早々申し訳ないなぁと思ったが、花火行くから運転して?と言うと
嫌な顔もせず幸男は「んー素麺だけ食わして」と言って台所に行った。

「父ちゃん花火!父ちゃん花火!」健太がはしゃいでくねくねしている。
急いで素麺を食べた幸男に運転を任せ、私達はいつもの穴場へ向かった。
沢山ある屋台がどんどん過ぎていく。
毎年の事ながら子供には辛いだろうが、これが我が家流だ。
なんとか車を止める場所も見つかり、どうやら花火にも間に合ったようだ。
幸男は「アイスいる人〜」と言うと、全員分のアイスを買いにポツンと一軒だけある
屋台に消えた。
そしてなぜかビールも買って帰ってきた。
あ、ずるい、と言うと「いいじゃん、0.5%」と笑っている。

そして子供たちは一番よく見える場所がいい、と私達の少し前に陣取った。

ヒュ〜……ドーン!!!…

時間ぴったりに開始を知らせる花火が上がり、いよいよ花火大会が始まった。
パーン…ドド〜ン!…ヒュ〜…ドン…ドドドドーン!!…
「わーすごいすごい!!」
漆黒の夜空を彩る赤や黄色の花畑に、子ども達の歓声が上がる。
道子も洋子ちゃんも健太もキラッキラした目をしているのだろう。
よく見えるなぁ、と言いながら、幸男は呑気に酒盛を始めた。
14夢花火:2007/06/20(水) 17:38:14 ID:YwLlV/AI
「花火」9

…本当に綺麗だった。
花火を見ていると、色んな思い出が蘇るから不思議だ。
思い出はどれも鮮やかで、繊細で、それでいて曖昧で…
無理に整理しようとするとガラス細工のように儚く壊れるような気がして、私はそっ
と目を閉じる。

近くにいるカップル達が携帯で花火を映しているが、私はああいうのは無粋だと思っ
ている。
花火は焼き付けるものだ、と珍しく哲学してしている自分に気がつくと、急におかし
くなった。

「たーまやー!!」健太は意味も分からずご機嫌で叫んでいる。
道子も洋子ちゃんもたーまやー!!と叫んだ。

花火があらかた上がって、急に静かになった。
ここで帰る人もいるが、しばらく間が空いた後、
最後の最後にやけっぱちのような花火が次々上がるので油断ならない。
とりあえず予定の終了時間まで20分ほどあるので芝生に転がって待っていると、
「健太君トイレ行きたいって言うから私連れて行きます」
と洋子ちゃんが寄ってきた。
気をつけてね、と言うと洋子ちゃんは健太の手を引いてちょっと遠くにあるトイレに
歩いて行った。

道子がじっと座っているので「一緒に行かないの?」と背中に声をかけた。
返事をしないので顔を覗くと、ポロポロ涙を流している。
びっくりして「道子どうした?」と尋ねると
しばらく間があったかと思うとアッ…アッ…と声を上げて泣き始めた。
ケンカでもしたのかと思って途切れ途切れの話を聞くと

洋子ちゃんは転校するのだ、しかも明日だと言う。
15夢花火:2007/06/20(水) 17:49:13 ID:YwLlV/AI
「花火」10

道子も驚いたはずだが私も驚いた。
明日?もっと早く言ってもらえたら、思い出を沢山作ったり一緒にどこかに連れてっ
てやったりできたものを…
塾が忙しいと言っていたのも引越しの準備だったのかもしれない。
あんまり遊べないと残念がっていた道子が可哀想で、私は泣き止まない道子の肩を抱
いていた。

しばらくして道子が一人でいたいと言うので幸男のところに戻ると、
私は「洋子ちゃん転校すんだって、明日、道子可哀想だよ!」と幸男にまくしたて
た。
幸男は「ふ〜ん」と言ってビールを飲んでいる。
「驚かないね」
拍子抜けしていると幸男はゆっくりビールの缶を置いて言った。

「だって俺知ってたもん」
「は…?」
「いや、夏休み入る一週間くらい前かなぁ。俺帰ったら洋ちゃんが家の前に立ってる
からさ、
遊びに来たんかと思って入んなって言ったんだけど、もじもじーってして入ってこ
ねぇの」
「…で?」

花火が再び上がり始めた
ヒュ〜………ドーン!
ヒュ〜……ドーン!ドッドッドドドッ…ドーン!……

「で何よ」
「で、聞いたら夏休み終わったら転校するから道子に言いにきたんだけど、
うまく言えないからおじさん言ってくださいって言うのね」
「…うん」
「ずっと言おうと思ったけど言えなくて遅くなっちゃったって泣いちゃって。おんお
ん泣いちゃってさ。
だけど俺が自分で言った方がいんじゃねぇの、って言ったらはい、っつっておとなし
く帰ってった」
と言って幸男はまたビールに口をつけた。
16夢花火:2007/06/20(水) 17:52:27 ID:YwLlV/AI
「花火」11

「え、何で道子に教えてあげなかったの!?な、夏休み今日で終わりだよ?」
前の夜、急に聞かされて明日転校していく親友。
道子が可哀想でたまらない私は幸男を責めるような口調になる。
「いやー。あのこの口から聞かねぇと、やっぱりさ、そういうもんだろ」
私が納得できない顔をしていると、幸男は続けた。

「一生のうちにさ、出会いとか別れとか何回も何回もあってさ。
んで別れの方が多くなってって最後死ぬ訳だろ。
その中にゃ切れちまう縁の方が多くて、それでも無くならない絆、みたいなのを探し
て人間は生きてる」
「うん…そうだぁね」
幸男は酔いが回ってきたのかちょっと赤くなった顔でさらに続けた。

「あのこと道子がどんな絆を結ぶか、そりゃ誰にもわかんない。
でもそりゃ、他人が入ってやいやい言っても仕方ない事なんだよな。
自分らで始めた絆なんだ、自分らで最後まで面倒みなきゃ。
あのこも悩みに悩んで、結局今日になったんだろ。
言っちゃったらどんな顔して道子に会えばいいか分かんなかったんだろ」
幸男はそういうとビールを飲み干して芝生に寝転んだ。
17夢花火:2007/06/20(水) 17:54:28 ID:YwLlV/AI
「花火」12


道子は一人で花火を見ている。
見ているのか見ていないのか、背中ごしには分からない。
最後の連続花火が次々に夜空を飾る。
小ぶりだが鮮やかな花火は、色とりどりの表情で夏休み最後の一日を締めくくろうて
していた。

やがてパーン……と最後に大きな柳花火が上がり、花火は終わった。
道子の背中はしばらくじっと動かなかった。

幸男はとろんとした目で煙の残る夜空を見ている。
虫の音だけが暗闇に響いていた
道子はどんな気持ちなんだろう…幸男のようには考えられなくて、私はただただ道子
の背中を見ていた。
洋子ちゃんが長いトイレから戻ってくると、道子の所へ近づいていく。

足音に振り返った道子は、笑顔だった。

帰りの車は静かだった。
ラジオから野球中継が聞こえている。
幸男と健太は疲れたのかすやすや眠ってしまった。

ふっとミラーごしに道子を見ると、窓を向いて声を出さずに泣いていた。
洋子ちゃんも泣いていた。
18夢花火:2007/06/20(水) 17:57:17 ID:YwLlV/AI
「花火」13


家の近くのめったにかからない信号で止まった。
野球中継も終わったラジオからは昔の歌謡曲が流れていた。

「来年も…」
道子が口を開いた

「来年も花火行こうね」

「……うん…」
洋子ちゃんは小さく何回何回も頷いていた…

洋子ちゃんの家の前まで来ると、車から降りた道子と洋子ちゃんはねんごろな別れを
している。
背中を叩きあったり抱き合ったり笑って手を繋ぎ合ったり…
「明日仕事早い?」と助手席の幸男に聞くと、
「好きなだけさせてやろうや。朝になったら仕事場まで車で送って」と言った。
後ろのシートで目を覚ました健太が空を指さして
「あ、花火〜」と言った。
花火は終わったのになぁと幸男と顔を見合わせて窓から空を見ると、
暗い夜空をぽっかりと、まんまるの月が照らしていた。


・・・・・・・・・・・・END
19癒されたい名無しさん:2007/06/20(水) 17:59:54 ID:Y3AGPflj
乙!
胸にグっときました。泣きそうだ。
20夢花火:2007/06/20(水) 18:01:17 ID:YwLlV/AI
長々とありがとうございました…
初めてスレッドを立てたので一人でこんなに書きこんでいいのか?とか非常に不安でした
拙い文章に見苦しい所ばかりだったと思います
そして私は最大級のミスを犯しています
もうお分かりかと思います
そうです
この登場人物は天ぷらとスイカを食べています

気がつかねかったよ………orz
21癒されたい名無しさん:2007/06/20(水) 18:18:52 ID:R/sWDIw1
オツカレー(_´Д`)ノ~~です

確かに後半を入れるとあのスレじゃちょっとまずかったかもです。
ぜひ、「夢」もここにおいてあげてください。
耳かきしてほしいよーあのおじいさんにー
すべてを委ねるのにw
22癒されたい名無しさん:2007/06/20(水) 18:40:18 ID:Y3AGPflj
>>20
天ぷらとすいかワラタw
気づかなかったよ。「今夜は素麺と天ぷらにしよう」とは思ったけど。

内容からして夢花火さんは主婦かな?
小説を書いたのは「夢」が初めてとのことですが、
今まで文章を書くお仕事とかされてたことがあるのですか?
また、二作を書き上げるのにどのくらいかかりましたか?
23夢花火:2007/06/20(水) 19:35:56 ID:YwLlV/AI
>>19>>21-22
皆さんありがとうノシ
純粋に耳かきだけの小説にする所がつい色気を出してしまうので、やっぱりここで書きたいと思います
「夢」もいずれこっちに入れるつもりです
今日は携帯厨なので疲れたす…(´д`;)
24夢花火:2007/06/20(水) 19:49:33 ID:YwLlV/AI
>>22
素麺ですか〜家もですw
自分は主婦ではありません、一応20代半ばの独女ですw
一家を任されているお母さんにものすごく憧れてはいますが全て想像ですw
こういう形で文章を書いたのは本当に初めてです
制作時間ですが、「夢」は携帯で空いた時間にちょこちょこ書いたので正確にはわかりませんが一時間半くらいです
細かい事は無視してアイデアを繋ぐ作業だったので割りと早く出来ました
「花火」は全文まとめて書きました
細かい直しにこだわりが出だして、四時間くらいかかったと思います
25夢花火:2007/06/20(水) 19:52:18 ID:YwLlV/AI
自分で何なんですが夢花火って夢芝居みたい…
梅沢富男…?
最初梅沢富子にしょうかと思ったけどやめました

小説リクエストお待ちしてますノシ
26癒されたい名無しさん:2007/06/20(水) 19:56:50 ID:ydL7nijG
1が張り切ってるのはわかるけど、1専用のスレではないんだよね?
レス連投はウザくみえるから、やめたほういいんじゃない。
27夢花火:2007/06/20(水) 20:04:06 ID:YwLlV/AI
ごめんなさい、以後ひかえます
28癒されたい名無しさん:2007/06/21(木) 19:54:42 ID:JWAzETbx
アチラからとんできました
続きが読みたかったのでスレが立って嬉しいです

新作投下お待ちしております
29夢花火:2007/06/22(金) 07:41:33 ID:D+5ZXM5A
「猫臓」1

訳あって寝不足である。
漫画家を生業にしている私にとって、締切前の一日二日の徹夜などは当たり前。
今回などは三日徹夜してしまった。やっと原稿が仕上がり、近くに借りている仕事場から
帰宅したのは一週間振りだ。
久しぶりに風呂にもつかり、さて思う存分寝られるぞ、とホクホクして布団に入ったのだ
が、人間おかしなものでこういう時になかなか眠気が襲ってこない。
仕方なく大好きな関根勤のDVDを見ながら睡魔の登場を待つ事にした。

しばらくするとスゥ…っと眠りに堕ちる感覚がして私は意識を失った……

……はずなのだが、しばらくしてまたぽっかり目が覚めた。
生暖かい風が吹いた気がしてふっと窓を見ると、カーテンに隠れるようにして見覚えのあ
る猫が座っていた。

猫は白に黒いブチで大柄、首にドラえもんの鈴をつけている。

「…猫臓?」
猫臓とは私が、子猫の時分捨てられていたのを拾って大事にしていた猫で、つい先月
老衰で亡くなったばかりである。
チリ…チリ…と鈴を鳴らして猫臓は三歩ほど進むと完全に姿を現した。
それを聞いて猫臓の鈴は中が錆びていて、チリチリと鳴ったのを思い出した。
30夢花火:2007/06/22(金) 07:48:22 ID:D+5ZXM5A

「猫臓」2

「ミャーミャー…」猫臓はしきりに何か話しているようだ。
と、しばらくするとまるでニュースの同時通訳のように、日本語が
聞こえ始めた。

ミャー…「…私の名は猫田猫臓。享年16歳。人間でいうところ180歳。生前は主人に大変
可愛がって頂き、誠に有り難く、私大変感謝致しまして、今、また生前の姿を借りて
こうしてご挨拶に参上した次第であります」

私があら、猫臓ってこんなキャラだったっけか、と思っていると、猫臓はさらに続けて言った。

「私生まれてすぐ捨てられ、母の顔も分からず、肺炎の身のところ手厚く看病して頂き、
長らく立派な家に住まわせて頂き、ご恩は感謝してもし尽せぬ程であります」

何かに似ている…私は考えていて思い当たった。口調が鳥肌実の演説にそっくりなのだ。

「猫も長く生きておりますと、不思議な力を持つ事がありまして、神様にお願い致します
と、主人の願いを一つ叶えてもよいと言って頂きました」
「神様…願い…」私が呟くと猫臓はひとしきり声を張り上げて鳴いた。
「私残念ながら、あまり長くはいられませんので、どんな願いでもよろし、お急ぎ下さい」

急げと言われても…と思ううち、みるみる間に猫臓の体が消え始めた。
31夢花火:2007/06/22(金) 07:56:54 ID:D+5ZXM5A

「猫臓」3

「ちょっと、待って!」私が叫んだのに、猫臓は聞こえないのか「主人、早く願います」
と言うばかりだ。
それで急に私は、猫臓が死ぬ前耳だれに悩まされていたのを思い出した。
するとなぜだかしばらく耳かきをしていなかった事を思い出した。
思い出した途端耳が無性に痒くなってきて、私は思わず
「ちっさくなって自分の耳に入りたい!」
と叫んだ。

首から下は完全に消えていた猫臓は「了解。主人、それではどうかお元気で…」
そう言うとスーッ…と闇に溶けるように消えた

…兼ねてから妄想していた事を言ってしまった…まあいいだろう、猫臓にどれだけ
力があるか知らないが、何が起こるか楽しみだ。
しばらくすると辺りが急に真っ暗になった。

目が慣れるまで随分かかって、ようやく自分が耳の中にいる事に気がついた。
しかし本当に真っ暗である。
自分自身の体さえはっきり見えない状態では、暗い洞穴でじっとしているのと変わらない。
私は猫臓に耳に入りたいと言ったが肝心の耳かきをしたいと言うのを忘れた。
猫臓があんまり急かすから、すっかり目的を伝えそびれてしまったではないか。

私は腹が立って「おい猫臓!」と言った。
とたん耳がキーンと痺れてしまった。そうだ私は自分の耳にいるのだった…。
するとどこからか「はい、猫臓です」と聞こえてきた。
また喋るとキーンとくるが仕方なく小さい声で「消えたんじゃなかったの」と言うと、
「猫臓、姿は消えましたがいつもここにおります」と言う。
32夢花火:2007/06/22(金) 07:57:57 ID:D+5ZXM5A

「猫臓」4

じゃああんなに急かす事なかったじゃないか、と私は思った。
「さっき伝えそびれたんだけど、私耳に入りたい理由が耳かきしたいからなんだよね」
と言うと「主人は耳かきが大好きでしたからね」と言う。
「そうそう、だから、耳かきしたいんだけど道具がないんだよ、何か出して欲しい」
と言うと猫臓は「承知」と言って、出してくれるらしい。
私はすかさず、ヘッドライト・綿棒・ローション・ティッシュにスコップを要求した。
「沢山ですな。ちょっとお待ちを」と言って猫臓はしばらく待たせた後に
希望の品を手元に並べた。
なんだ、願いは一つだけと言っていたのに叶えられるんじゃないか。
そう思った私はちょっと考えて「猫臓2億ちょうだい」と言ってみた。
猫臓が黙っているので「2億」と続けて言ってみると「…よく聞こえませぬ」と言う。
仕方なく道具を装着し、私は早速奇妙な耳かきを始める事にした。
33癒されたい名無しさん:2007/06/22(金) 08:34:55 ID:Kabheu8D
つ、続きを〜〜!(;´Д`)ハァハァ

猫「蔵」じゃなく猫「臓」な」とこに内臓感を感じるw
2億くれー
34夢花火:2007/06/22(金) 12:12:54 ID:D+5ZXM5A

「猫臓」5

まずヘッドライトを付けなければ話にならない。
スイッチを入れるとライトの明かりにクラッと目がくらんだ。
しばらく暗闇にいたのでこれまた目が慣れるまでじっとしていると
だんだんと視界がくっきりしはじめた。

…そこは見たこともない世界だった。

ライトは手近な所しか照らせないのだが、まず床から説明すると
白い鰹節が一面に散っていて、厚く踏み固められたように何層にも重なって
敷きつめられていると想像して頂きたい。

触ってみると上の垢はサクサクしていて、中の垢はしっとり、底辺の垢はもっちり…

まるで上質なパンのような質感だ。
そして少し先には耳毛が生えているのだが、その見た目はまるですすき畑のようだっ
た。
毛の頭には雪のように軽い耳垢が積もり、
間には固くなった黄身のような塊が、大小様々な形で一つ一つの毛を絡めている。

驚いて左右を見渡すと今度は下のすすき畑から一変し、
先端の垢によって稲穂のように頭を垂れた耳毛がびっしりである。

「・・・・・・・・」

私は言葉を失ってしばらく呆然と立っていた。下は雪景色・回りはぐるっと秋、
そのくせ耳の中は春のようにぽかぽか暖かく汗をかく陽気だ。
耳の中に季節があるとは誰が想像しただろう・・・。
上はどうなっているのかと顔を上げて仰天した。
なんと上からは鍾乳洞のようにプラ・・・プラ・・・と揺れる大きな耳垢がぶら下
がっているではないか。
35夢花火:2007/06/22(金) 12:16:12 ID:D+5ZXM5A

「猫臓」6

驚きはこれだけではなかった。
さらにライトを先に向けると耳毛畑は短くなり、やがて無毛地帯になった。
するとライトが何かに当たったのか反射し始めた。
よく照らすと耳奥は何やら分厚いマットのような巨大な壁で塞がれているではない
か。
あれが一番の目玉と直感すると、今やミクロキッズさながらな私はあまりの大きさに
びびってしまい
勝てない…と弱気になってしまった。

しかし固まったままになっていては仕方ないと、私は大きく息を吸い込むと、
まず下の耳垢から退治する事にした。
だが大量の耳毛に手元の何を使ってよいやら分からない。
私はふとある事をひらめき、猫臓を呼んで剃刀とジェルを持ってくるようお願いし
た。
手元に届くと早速私は稲刈りの要領で耳毛を刈り始めた。

………ジョリッ…!ジョリ…!!

一気に身の毛が総立ちになった。す、すごい…こそばゆさと妙な快感に足がぶるぶる
する。
耳の中で二十本くらいのハサミで毛の束を一斉に切ったような大音量が響く。
それは自分のやる行為が全て自分に返ってくる不思議な感覚だった。
耳毛に着いた粉雪のような耳垢が舞い、毛の下から厚手のパイ生地のような耳垢が
次々出てくる。
私は快感と鳥肌の変なコラボに汗だくになりながら、ようやく下の耳毛を剃り終え
た。

さて、お次は左右である。とそのとき耳の上側から妙な感覚がした。 
なにかやわらかいものがしきりにチョン…チョン…と耳壁をさわっているのだ。
猫臓である。
「何をしてる」と言うと猫臓はやたら興奮した声で「上から毛糸の玉が…!!」と言
う。
どうやら猫の習性で、私の耳から垂れている垢の玉に飛びつきたくてたまらなくなっ
たらしい。 
私はさすがに呆れて「遊んでいるなら手伝ってよ」と言った。
猫臓はまた沈黙するかと思ったが、妙に弾んだ声で「分かりました」と言うと
思いっきりジャンプしたのか上の耳垢のつららをものすごい速さで叩き落とし始め
た。
36夢花火:2007/06/22(金) 12:58:50 ID:D+5ZXM5A

「猫臓」7

姿は相変わらずないが頭にビシビシ降ってくる耳垢の雪に、私は初めて猫臓の手が
驚くほど耳垢取りに適しているのを知った。まずあの柔らかな小手先で大きな耳垢を

あらかた払い落とし、次にほんのちょっぴり爪を立てて耳垢に引っ掛けて
カリカリ…コリコリ…と小気味いい意音をさせながら器用に取り除いていくのだ。

猫臓は私の三倍は速いスピードでみるみる間に上の耳垢を無くしていく。
私も負けてはいられない…いられないのだが…
ゴゾッ!!!ゾゾゾゾゾゾゾゾ…………ゴゾ!!
カリカリカリカリ…ペリ…カリコリッ…ぺリ…

何ということだ。あまりの気持ちよさに、頭の芯がぼうっとしてもうフラフラ、クラ
クラ
真っ直ぐ立っていられなのだ。まずい。自分でやるときは、やっている場所が分かる
ため、
正直力も加減ができるのだが、他人、他猫の耳かきに身を委ねる時予期しない
場所のポイントをそれも手加減なしに掘られる。そのスリリングなこと!!

「猫臓、ちょっと私は休憩してもいいか」
私は猫臓の耳かきをじっくり堪能したくなり言った。この言葉は嘘ではない。
はっきり言わないのは飼い主の意地である。
猫臓は「ではあの大物まで私がすすめてみせましょう」と得意げにのどを鳴らした。
37癒されたい名無しさん:2007/06/22(金) 20:01:19 ID:M3YJu2Ny
(;´Д`)スバラスィ ...ハァハァ
38癒されたい名無しさん:2007/06/22(金) 20:53:06 ID:e3AHIvnj
つ…続きはマダですかハァハァ(*´д`*)
39癒されたい名無しさん:2007/06/23(土) 01:37:59 ID:Wd1uiNkQ
こんな使い古されたアイデアをこうも斬新な切り口で攻めてくるとはッ……
こいつぁタダモンじゃねえ!

えーと、ところで続きまだっすか(*´Д`)
40癒されたい名無しさん:2007/06/23(土) 06:15:49 ID:wrGoeCGa
願いがひとつ叶うなら
私にも猫臓をください(*´Д`)ハァハァ
41夢花火:2007/06/23(土) 08:02:44 ID:UNNmsOdr

「猫臓」8

猫臓がまず横の耳毛だけは刈ってくれと言うので、私は考えて上からぶら下がる
耳毛に体を縛り、ロッククライミングのように体全体を使って剃りはじめた。
どうしても綺麗に剃れない箇所もあるのだが、せめて芝生程の長さになるよう体を
揺さぶりながら懸命になって頑張った。
右側が済むと今度はターザンのように左へ移動し刈り進め、あらかた済む頃には
私はすっかりバテてしまった。

「主人ご苦労様です。そちらでゆっくりおやすみになって下さい」
そう猫臓の声がどこかから聞こえたかと思うと右壁を叩くような感覚がし始めた。

…ポン…ポン…

猫臓は足を曲げて耳壁に残っている耳垢をはたいているようである。
猫臓の柔らかな肉球は、小さくティンパニーを鳴らすように、ポワ〜ン…ポワ〜ン…
と耳全体に柔らかな振動を与える。私は体がジン…と痺れるような心地よさに
うっとり目を閉じて頭の中の音楽に神経を集中させた。

ファサ…っと下に落ちる耳垢は全て、まるで柔らかな生パン粉のようだった。
猫臓は左もはたき終えると、今度は耳全体の厚い層になっている場所にとりかかった。
前足をくの字型に曲げているのだろう、猫臓のクニクニした足が器用に
パイ生地の塊をモッコリと掘りうがしていく。すると耳垢はみるみる矧がれて
勝手にブワッと盛り上がってはザッ…と音をたてて落ちていった。

…ザク…ファサッ…サクサク…サクサクッ……ファサ……

スコップで水分を含んだ土をすくうような音が続いた。私はというともう両足を投げ
出し、首を傾けてこの不思議な世界をただ口をあけて見ているだけである。
42夢花火:2007/06/23(土) 08:09:52 ID:UNNmsOdr

「猫臓」9


猫臓は左右と下の垢処理を早々に終わらせると、また爪を出して残った細かな
垢を引っかき始めた。

カリカリッカリカリッといいはじめると、思わず武者ぶるいする程の快感がやってきた。
ああ、どうした事だ、もう失禁さえしてしまうかもしれぬ。
硬くなっている耳垢は猫臓の爪の匙にすくわれ、その度にコロンと下に転がった。
いつもでさえ硬くなっている垢を耳かきでこそげるのは気持ちいい。
だがこれは普段の耳かきがあほらしくなる程、比べ物にならない快感だった。
普段なら絶対匙がかけない細かい箇所でさえ、猫の手にかかれば綺麗に取り除かれてしまう。

そして大きな快感の波がやってきたのを感じた。
私はあらがう事なくその波にのまれ、ただただ快楽の海をプカプカと漂った。

私はしばらく意識を失っていたらしい。猫臓がしきりと私の顔を撫でている。
「主人、起きて下さい、あと少しですよ」
私は先ほどの快感ですっかりふぬけたようになった頭でぼんやり辺りを見回した。


そこには綺麗な薄いピンクの世界があった。
あれだけあった耳垢はすっかり無くなり、渦高く盛られてひとところに集められている。
その量は凄まじく、入りの穴が見えない程だ。

「わぁ……」私は小さく呟いた。
すると猫臓は「奥にあるのは引っこ抜かないと駄目みたいです」と言った。
どうやら掘ろうとしたのだが、触れば触る程奥にいってしまうらしい。
何かに引っかけなければなるまい。私は猫臓に道具を出してくれるよう頼もうとしたが、
猫臓は先ほどの活躍ですっかりへたばったのか無理だと言う。肉体の疲労は不思議な力を
奪ってしまったらしい。
アイディアをひねって、私は耳毛の長いのを編んでロープを作る事にした。
そして手元の綿棒をローションに浸けて湿らせると、巨大なマットのような耳垢の壁に
ネジをはめるようにグリグリ埋めていく。すると杭を打ったように壁に綿棒の取っ手が完成した。
43夢花火:2007/06/23(土) 08:12:14 ID:UNNmsOdr

「猫臓」10

私はその綿棒に一つ一つ耳毛ロープをくくりつける。猫臓も上の方に飛んで手伝った。
そして全て終えると、私は手元で束にしたロープを引っ張る作戦に出た。

体にロープを巻き付け、「大丈夫かな、途中で杭が抜けたりしないかな…」
私は不安になって言った。猫臓は「やらぬで後悔は男の恥であります」と男気を見せた。
いちにのさんでいくよ、と言うと、私達は巨大な耳垢の塊に背を向けた。

…いち……にい……さん!!!!!


ゴゴッ……!
まず大きな岩が動く低い音がした。続いて

ズ…ズ…ズルズルズルズルズルッッッ………

トラックを引っ張っているように重い。耳が、足が、腰が抜けそうだ。
猫臓踏ん張れ!と声をかけ、私達は渾身の力をこめて前へ前へ体を動かした。
汗が吹き出る。息も絶えだえになり、もうだめか、と思った途端

……ズポン!!!!!

耳に風が吹いたように急に体が軽くなって床に転がった。
急いで立ち上がると猫臓を探す。
「猫臓!猫臓!」
ロープを辿ると猫臓は入り口の耳垢の山まで吹っ飛んで埋もれていた。
44夢花火:2007/06/23(土) 08:49:20 ID:UNNmsOdr

「猫臓」11

「猫臓!大丈夫か!」私が声をかけると「はい、なんとか無事でございます」と返事がした。
私はほっとして、後ろを振り返った。


「………あ……」

私は声を失った…

あの巨大な耳垢の壁は見事に倒れ、煙のような細かい耳垢が舞っていた。
私は咳き込みながらゆっくり近づくと、巨大な耳垢を観察した。

壁は衝撃で割れてしまっていた。私は残念に思った。出来れば完全な形で見たかった
からだ。ふと先に目をやって愕然とした。

これは…これはまるで巨大なサザエのつぼ焼きじゃないか…
トゥルン…と表現するのが一番的確かもしれない。
貝の肝を連想させるちょっとグロテスクな形の耳垢が、湯気をたてて横たわっていた。
耳垢は玉子色から先端に行くほど濃い黄色に綺麗なグラデーションを描いている。
所処ある黒くなった古い耳垢がまるでバナナにできたシュガースポットのようだった。
最初に巻き貝を触るのは恐ろしく、私はまずおそるおそる壁側を触ってみるた。
割れた断面は石のようにカチカチしている。だが間の耳垢は茹でたじゃがいも
のようにほっくりしていて、中へ行く程柔らかく、クッキーの焼く前の生地の
ようなしっとりした質感だ。

私はほうっ…と息をつくと、改めて辺りを見た。
巨大なサザエの先には、でっかいでっかい洞穴がぱっくり口を空けていた……
45夢花火:2007/06/23(土) 09:15:17 ID:UNNmsOdr

「猫臓」12

ゴッ……
ゴトゴトゴトゴト……
急に足元が震え始めた
「え…?」


「主人、時間切れでございます…」
なんとそう聞こえた途端、ドーン!ドーン!と太鼓のような太い音をさせて
耳の中は激しく揺れだし、私は立っていられなくなった。


「一番肝心な時に………猫臓のバカ〜………!!!」
自分の叫んだ声がこだます中、辺りは急にサッ…ともとの暗闇になった……


次の瞬間私は部屋に立っていた。
猫臓の入ってきたはずの窓は閉まっている。「猫臓…?」返事がない。
猫臓、どこだ、いるなら返事しろ、と私はなおも呼びかけたが無駄だった。
夢だったのか…?にしては私はベッドにおらずしっかり立っているのだ。
テレビがつきっぱなしになっている、電源を切ろうとして気が付いた。
「はぁ…そういう事か?」
なんとなく私は理解した。
ずっと猫臓の声が誰かに似ている、でも名前が出てこない、と思っていた。
大滝秀治だ。私が見ていた関根勤のDVDによって、記憶の片隅にこびりついていたのだろう。
するとあれは疲れすぎた私の脳が見せた幻だったのか…
46夢花火:2007/06/23(土) 09:30:13 ID:UNNmsOdr

「猫臓」13

時計を見るとなんと昼の3時を回っている。よくまあ長い幻想を見たものだ。
私は寝に入ろうとしたが汗をかいたのか喉が渇いて眠れない。
だが長く留守にしたため冷蔵庫にはお茶さえなかった。仕方なく下の自販機で
買ってこようとアパートの廊下に出た。

すると大家さんが掃き掃除していて、私を見るなりぷりぷり怒りながら近づいてきた。
「吉田さん困るわよあなた、約束したじゃないの」と言う。
私が何の事か理解できないでいると、一晩中猫の鳴き声がしてうるさいと下の
階から苦情があったと言うのだ。

私がびっくりしていると、「前の猫ちゃんの時は見逃してたけど、うちはペット禁止
なんですからね。新しい猫なんか飼ったら出ていってもらうわよ」
と言って腕を組んで恐い顔をした。
「飼ってませんよ」と言うと疑り深そうな目をしている。
本当に出ていってもらうからね、と念を押して大家さんは去っていった。
47夢花火:2007/06/23(土) 09:41:05 ID:UNNmsOdr

「猫臓」最終話

あれは現実だったのか、私はまだぼんやりした頭で考える。
このところ雨ばかりだった空は今日はすっかり晴れ、すがすがしい青空を覗かせている。
街も久しぶりの太陽で、まるで洗われたようにピカピカ光っていた。

…猫臓がいたかどうか、耳での大冒険は本当だったのか。
そんなのは何も分からない、そんな事は本当は何の意味もない…
ただ、また猫臓に会えて良かった。
私はそう思うと、すがすがしい空気を胸いっぱいに吸い込んだ…


するとよく聞こえるようになった耳に、チリチリ…と鈴の音が聞こえたような気がした。

……………END
48夢花火:2007/06/23(土) 09:45:31 ID:UNNmsOdr
いかがだったでしょうか
途中話がちょっとだれてしまって、文を立て直すのに時間がかかってしまいました

間が空いてしまい申し訳ありませんでした
楽しみにして下さった方々ありがとう

>>33
あの…もう…狙ってませんでした…
完全に凡ミスです…orz…
49癒されたい名無しさん:2007/06/23(土) 10:49:04 ID:HxJApkZh
ねこぞーめ、いい猫だw
うちの猫なんて悪いこと以外したことないのに・・・

いや〜いいです。
耳かきマニアなら一回は夢見ますよね。<小さくなって耳に入る
50癒されたい名無しさん:2007/06/23(土) 15:02:42 ID:bpFd0B3c
(;゚∀゚)=3ムッハーおもしろかったー

猫臓の声は秀治ですかwいいですねえ
長生きして不思議な力を持つ猫の声にぴったりかもデス。

また書いてくださいね。楽しみにしてます。
51癒されたい名無しさん:2007/06/23(土) 19:37:37 ID:p8Attxps
本当に癒された
また楽しみにしてます。
52癒されたい名無しさん:2007/06/23(土) 20:13:21 ID:wrGoeCGa
ひとつ気になることが…
がんばって取った耳垢はその後外に出たの?
53夢花火:2007/06/23(土) 21:27:41 ID:UNNmsOdr
「私、耳垢のあまりの魅力に負け、ついつい出来心で冥土の土産に頂いていきました…」
と、猫臓は恥ずかしそうに目を伏せながら>>52さんに言った…

……すんませんツメが甘カタ…(;∀;)
54癒されたい名無しさん:2007/06/23(土) 23:42:34 ID:Wd1uiNkQ
あれじゃね
夢花火氏は書きながら投下するんじゃなく、一旦テキストに纏めてみてはどうだろう
少々推敲の足りない箇所もちらほらあるしさ、折角腕は良いんだから勿体ないと思うんだ
55癒されたい名無しさん:2007/06/24(日) 00:21:36 ID:sS0RPtP8
みんとぶるうさんなんかもまた書いてくれるといいね。
やっぱこういう専門スレならうざがられないだろうし。


個人的に読みたい話。
台湾とかそっちに伝説と言われるような耳かき師がいて、そのテクニックを
ひたすら堪能できる話。
各種耳かきに加え、梵天を使った超気持ちいい描写があったらさぞかし
読んでてぽーーっとなるのではないかと・・・

夢花火さん、よかったら、お願いしますm(__)m
56癒されたい名無しさん:2007/06/24(日) 00:58:33 ID:fbBqvCmI
>>54
それは賛成だ。書く方も間違いが少なくなるし読む方も一気に最後まで読めて良し
57癒されたい名無しさん:2007/06/24(日) 01:12:27 ID:+IaJqapI
猫臓ー!
ブツ独り占めかよwwww
58癒されたい名無しさん:2007/06/24(日) 03:12:04 ID:DumstyLL
これほどの恍惚な耳掻き小説は久しぶりでした。
こんばんはコレを読みながら耳掻きします、オツでした。
59ねこずきん:2007/06/24(日) 04:32:20 ID:VaBlIBU0
僕もなにかかいてみるよぉ
60夢花火:2007/06/24(日) 06:03:53 ID:D8QgLBRf
>>54>>56
アドバイスありがとうです〜早速やってみます(^ω^)ゞ

>>55
私もみんとぶるうさんの小説大好きなんです
また読みたい…

リクエスト了解しました!
ちょっと時間を頂くかも分かりませんが頑張ってみます(・∀・)∩
61癒されたい名無しさん:2007/06/24(日) 06:35:18 ID:P69HjYlh
wktkして待ってまつ
62癒されたい名無しさん:2007/06/24(日) 06:45:30 ID:sS0RPtP8
>>60
やったー!
どうぞ、時間のあるときにでも。
wktkして待ってます(・∀・)
63癒されたい名無しさん:2007/06/24(日) 06:48:25 ID:sS0RPtP8
>>59
待ってます!

スコープで気軽に耳の中はチェックできるわ、耳小説は読めるわ
いい時代になったもんだ・・・
64癒されたい名無しさん:2007/06/26(火) 10:17:53 ID:zNW9QbBO
あと10年もすれば
極小の「猫臓ロボット」が開発されるかもしれんねw
65癒されたい名無しさん:2007/06/27(水) 23:53:26 ID:FaXA9W0l
耳がじ〜んとして気持ちい〜…

職人さんGJ!
66癒されたい名無しさん:2007/07/02(月) 19:59:30 ID:P+Nx5wpD
だれか投下してくださらんかのぉ
67癒されたい名無しさん:2007/07/11(水) 15:07:43 ID:FD/iWK6s
保守
68癒されたい名無しさん:2007/07/15(日) 11:04:18 ID:eovCYnCT
新作マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
69癒されたい名無しさん:2007/07/19(木) 03:14:28 ID:tBR2d809
70癒されたい名無しさん:2007/07/20(金) 11:04:26 ID:gthhumag
(*´Д`*)
71名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 02:25:04 ID:RNG62B+m
自分の趣味というか、これが我が理想であるというのをそのまま形にしてみた小説を書いてみたんだが
どうも微妙に需要あるか不安なので一応聞いてみる

・物書きスキルは下の上〜中の下
・登場人物は野郎二人(NOT801)
・一人称の語りが微妙にウザめ
・膝枕不要派
・梵天? 何それ?
・孤独の耳掃除
・ピンセット=まじんぎり
※一部意味不明なワードが混じってるのは仕様です

とまあこんな代物だけど、適当に需要ありそうだったら投下してみるぜ
今夜の夜10時くらいまで待ってみる予定
この時点で拒否反応出るようなら今のうちにIDをNG指定にでもしといてくれ
興味なかったらスルーしてくれればおk
72名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 06:33:36 ID:qkXk7fIu
何言ってんだ遠慮するなよ!!
待ってるからな(*´Д`*)つC
73名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 07:04:28 ID:B2cX1On/
wktkして待ってる
74名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 14:54:13 ID:NiqY/lMG
待ってる!
75癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:13:56 ID:O+D1j6qo
>>71
マダー?チンチン(AAry
今まさに耳掃除始めたのでそろそろ頼む
76癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:35:55 ID:RNG62B+m
今更こんな代物で大丈夫なんだろうかと頭抱えておりました
チキンハートでサーセン

でも宣言しちゃったし要望も多いみたいなので意を決して投下開始
77癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:37:20 ID:RNG62B+m
ごめん、クセで改行少なくし過ぎた
ちょっと修正タイムプリーズなんだぜ
78癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:39:33 ID:B2cX1On/
待ってました!
79癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:46:11 ID:RNG62B+m
 例えばの話だ。
 頭が重くて首が痛くて、「うーん」なんて一人で唸っちゃったりしながら、首をぐるぐると回している男がいたとする。
 ああ肩凝ってるんだな、って見た瞬間に解るよな、誰だって。
そういうの見てるとさ、こうスッキリさせてやりてえっつーか、辛そうなの見てるとこっちまで肩が重い気がしてくるみたいな、あるだろ? そういうの。
 あの辺をちょっと後ろからぐいぐいぐりぐりとやってやったら、さぞ気持ちよさそうに溜息なんかついちゃったりするんだろうなあ、とか。
「で、要するに?」
「俺を見てみろ」
「耳に指突っ込んでぐりぐりしとるね」
「それを見てどう思った?」
「いや特に何も」
「お前は空気が読めなさすぎる」

 さて、自己紹介が遅れたようだ。
 俺の名は……って、別にそんな事はどうでも良いよな。大事なのは、俺は大変が耳が痒い、その一点だけだ。それも朝からだ。
 どのくらい痒いかって、そうだなあ。すんげえちっちゃい猫じゃらしで耳ン中ゴソゴソされてる感じ?
 まあ兎も角、恐らく大物と思われる耳垢がガサガサしてくれやがっている訳だ。
 で、人様の部屋――ちゅーか俺の部屋だ――でがぶがぶ麦茶飲みまくりながら、同じく人様のソファでゆったりとくつろいでいらっしゃる、こちらの空気の読めない御仁は――
 ていう紹介やっぱりどうでも良くて、要するに今俺の部屋にいる俺以外の人間と言えばコイツしかいない、という事実が重要なんだ。
 それも今の俺にとっては数少ない、気の置けない友人の一人である。である筈だ。筈なのだが。
「君は10年付き合った友の気持ちも察せないかね」
「お前は遠回し過ぎるんだ」
 ええい、話のわからんヤツはこれだから。単刀直入な表現は俺の美的センスに反するのだが、やむを得まい。
「焦るんじゃない、俺は耳が痒いだけなんだ」
「俺にはゆっくり耳掃除してる時間も落ち着いてる時間もないんだよ」
 オーケー相棒、ネタの解らない人に不親切だ。というかワザとやってるだろお前。
「で、結局やってくれるのかくれんのか、どっちだ」
「まあ、そろそろ溜まってくる時期だろうとは思ってたからな。いっちょやりますかね」
80癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:47:17 ID:RNG62B+m
「えーと、耳かきはこれで良いんだっけか? つーかまた増えてないかコレ」
「親愛なる友人への心暖かい配慮さ、何でも使いやすそうなもんを使ってくれたまえ。……あ、でも大物っぽいから念のためピンセットも用意な」
 いい加減限界に達しつつある痒みを堪えながら、俺は指示を出す。
 耳掃除は出来れば毎日やりたいほどで、幾種類もの耳かきは何とかしてあの快感を得ようとした虚しい努力の結果である。
 しかし神様の糞野郎は何か恨みでも御有りなのか、絶望的なまでに不器用な手先をプレゼントしてくださった。
 いくら痒いところを掻こうとしても、耳穴からは見当違いの感触ばかりが返ってくるばかりで、無理に探ろうとすればデリケートな部分を刺激し、激痛に身悶えるハメになるのが常だ。
 シンプルな竹の耳かきは言うに及ばず、スプリングやらのの字やらとありとあらゆる耳かきを手に取ってみたが、どれもこれもまるで俺の手と耳にマッチしないのである。
 しかもカサカサカリカリの塊が出来るタイプなもんで、綿棒じゃ撫でるばかりで寧ろ痒みを増幅させてしまうと来ている。
 それに俺の耳穴は標準よりもちょっとばかり狭い上、曲がり具合も複雑ときていて、もうここまで来ると見えざる意志の力を感じてしまう。
 よって、耳掃除の際はこうして他人に頼らざるを得ないわけだ。
 因みにコイツにやってもらうのはこれが初めてではないので、そういう意味でも安心して任せられる。
 人間持つべきものは友、とはよく言ったもんだ。
「ところで膝枕すると耳掻きしやすいっての、あれ都市伝説だと思う」
「俺もそう思う。というか、少なくともお前にゃそんな事は要求せんから安心しろ」
 憎まれ口を叩きつつ、俺は天井からぶらさがった電灯を出来るだけ降ろす。
 あぐらをかいたヤツの前に座布団を二つ折りにして敷き、さっきから痒みを訴え続けている右耳を上にして横になる。
 おっと、獲物を捕獲する檻も用意せんとな。
「銀紙かよ」
「保存性良いんだぜ地味に」
 呆れたように溜息を吐きながら、耳の中を覗き込むようにぐっと前屈みになる。
 手に握られているのは結局普通の竹の耳かきだ。まったく、折角色々あるんだからたまには変化球を投げて寄越しても良いだろうに。
 まあ、これも"掻く"という作業に特化された作りになっている訳で、今の状況ではそれほど文句もないが。
 因みに梵天はついておらず、反対側にはこけしのような小さな飾りがついている。
「どーれ……おー、こりゃまたえらい事になっとりますな」
「感心してないで早いとこ頼む、いい加減発狂しそうだ」
「へいへい」
81癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:48:31 ID:RNG62B+m
 カリ、カリ、カリッ……ガサッ、ガサガサ。ベリベリッ……ズズズ……。

 うおぁぁ……これこれ、これだよこれ。
 思わず恍惚となりながら、俺は心地良い感触に身を任せる。
 朝から俺を悩ませ続けていた耳垢は、どうも半端に剥がれかかってあちこちに絶え間なく刺激を送り続けていたらしい。
 おかげでもう耳穴至る所が痒くて「あ、もうょっと上の方」とかそんな指示さえ不要な状態にまでなっていたようだ。
 多分指で弄ったり頭を振ってどうにか外に出そうとしたせいなんだろうが、おかげで他の細かいヤツまで一緒になって騒いでいたんだろうな。
 さっきから中規模なのに混じって粉のようなヤツがボロボロと出てきている。
 だがしかし、その我慢の末の耳掃除はまさに至高の気持ちよさである。
 コリコリと程良い力加減で耳壁を伝う耳掻きからは、ひたすらに痺れるような鋭い快感だけが伝わってくる。

 ズリズリ……ズッ……ゴソッ。カリカリカリ……。

 うあー、こりゃたまらんわ……。おお、そこそこ……あー。
 耳垢を捕らえた時。掻き剥がした時。ズルズルと壁を伝いながらを引き出す時。
 そうして耳掻きが動く度に思わず目を細め、快感の波に酔いしれる。
 耳垢を剥がした後の壁を軽く掻くアフターフォローがまた憎い。細かいカスが溜まってて、ソワソワした感触が残るからなあ。

 カリコリ……グリグリ、グッグッ。

 お、ここだここ。このポイントが多分痒みの発生源だ。良い感じに掻かれてる……が、ちょっと引っかかってるな。
 もうちょい先の部分を掻いて貰いたいんだが……耳垢の下になってるんだろうなあ、こりゃ。

 グググッ……ガリッ、ベリベリベリッ。

 ーーッッ……。今のはちょいと痛かった。意外と頑固にへばりついてやがったな。
 銀紙の上にぽとりと落とされる暫定一位の大物を脇目に、今のポイントに再び耳掻きが戻ってくるのを待つ。

 カリカリ……カリカリ……クリクリッ。

 んー、そこそこ……。あー、気持ちいいのう。良い感じだぜ相棒。
 何も言わずとも心得てる辺り、流石に長年付き合ってるだけの事はあるよなあ。あと手先器用だし。

「しっかしまあ、いつも思うが無駄に複雑な形しすぎ。ここの曲がってる所とか、全然奥見えねーぞ……」
「むう、だが大物が潜んでる可能性大だよな、それは。取り敢えず先端小さいのでちょっと探ってみてくれよ」
「ラジャー」
 言われるがまま耳掻きを交換、確か「通の耳掻き」とかいうヤツだ。
 先端自体が小さめで、円盤状の突起が三つついていて狭い耳穴でも全方位掻けるという優れもの……という事になっているが、俺の耳垢はコイツだとなかなか引っかかってくれない。
 だが、手の感触に頼るしかなくなる深部では、獲物の隠れ家を探るサーチャーとして大いに活躍してくれる。
 曲がりくねった道を器用に進み、ひんやりした金属製の先端は滅多に手を出さない深部へと潜っていく。
 やがて探りを付けたのか、耳掻きの先端が慎重に壁を擦り始める。その動きは掻くというよりも這うと言った方が近い。

 スッ……クッ、クッ、カサッ。ズ…カサ…ズッ……。

「んー……手応えが無いな」
「いや、なんか近くにある感じするぞ。もうちょい探ってみてくれ」

 ……ガッ。ガリッ、ガサガサ……。

「お」
「来たな」
 こいつは間違いなく大物だ。なんというか、耳の壁そのものが動いたと言っても過言ではないくらいの振動が来たのだ。
 しかも派手な音がした割に耳に伝わる感触が薄い……というか、遠かった、と言うべきなのだろうな。こりゃ厚みも相当なもんなんだろう。
82癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:49:25 ID:RNG62B+m
「さて、どうするかね」
「取り敢えず、まずは普通に耳掻き使ってみてくれ」
 ピンセットで引っこ抜いても良いんだが、これはあくまで最後の手段だ。耳垢は耳掻きで掻き出すから気持ちいいんだ。
 使う側にしてみりゃ爽快かもしれんが、こちらは痒みを快感へと昇華させてほしいのであって、獲物の有無は実は二の次であったりする。
 いや、勿論現物として獲物を鑑賞するのは大いに達成感を満たしてくれるが、それはそれ。
 過程あっての結果であり、苦労の末メタルスライムを倒した時のレベルアップが格別に嬉しいのと一緒なのだ。
「訳のわからん持論を展開するな」
「ええい浪漫の解らんヤツだな、さてはお前はまじんぎり派か!寧ろバグ技派か!」
「ピンセット派に刺されるぞお前」
「ええい、話が進まんだろうが。早いとこやってくれ」
「俺のせいか」
 再び耳の深部に侵入を試みる耳掻きの先端。先ほどの感覚をしっかりと忘れずに保っているようで、その動きには迷いがない。
 スムーズに、ピンポイントで獲物の隠れ家へと到達し、ゆっくりと耳掻きを壁にあてがう。
 獲物の感触を確かめるように微かに耳掻きを動かすと、対象の真下へと移動、発掘作業を開始する。

 カリ……カリカリ……ガリッ、ガリッ……グリグリグリ……グッグッグッ。

「うーむ、角度が厳しすぎるぜ、こりゃ。強引に力業でいってもいいんだが、どうする?」
「痛いのは勘弁だからなあ……仕方ない、ピンセットでいってみよう」
「あいよ」
 そう言いながらピンセットに持ち替え、ゆっくりと挿入する。
 時々耳壁に触れるヒヤリとした感触に、思わず微かに身震いする。程良くピンセットが体温に馴染むのを待ち、いざ獲物へ。

 カサカサッ……ガサ、ガサリ。……カチッ……カチリ、カチ。

「ああ畜生め、上手く掴めん」
「おいおい頼むぜ、こんなヘビー級のお宝逃したら末代までの恥だ」
「末代まで伝える気なのか」
「家宝として」
「じゃあ俺はヘソのゴマでも伝えるか……む、捕らえた!」
「おお、グッジョブだ相棒!」
 確かに耳の中から伝わる感触は、巨大なブツと壁の隙間にピンセットが入り込んでいる事実を教えていた。
 僅かに持ち上がった耳垢の隙間からは強烈な痒みが襲ってくるが、今は我慢だ。

 ガッ、バリバリッ。メリッ……バリバリ……ゴゾッ、ゴゴゴッ。

 おー、剥がれてる剥がれてる。メリッて言ったぞメリッて。すっげこれすっげ。
 耳の一部が無くなってしまったかのような喪失感と、それと引き替えに得られた爽快感、開放感が溜まらなく心地良い。
 けど、出来ればやっぱり普通の耳掻きで派がしたかったなあ……。
 そろそろと引き出されたピンセットの先端には、厚み0.5mm弱、直径2cmほどの馬鹿でかいブツが挟まれていた。
 表面はザラザラの真っ黒で、これは多分昔自分でやった時に失敗したヤツの名残だろうな。
 恐らくは相当昔からあったブツと出血とが混ざり合って、ここまで成長して漸くほじくり出せるようになったんだろう。
 再び装備を耳掻きに換装し、剥がした後の壁をコリコリとぬるく掻いてもらいながら、俺は取れたばかりのお宝を手に取る。
「しかしまあ、耳垢ってここまでデカくなるもんなんだなあ」
「だな、ここまでの代物は初だな」
「うむ。んー、神々しくも美しい素晴らしい一品だ」
「この辺のテカり具合とか?」
「解ってらっしゃる」
83癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:51:04 ID:RNG62B+m
 さて、後は綿棒さんによる仕上げタイムだ。
 これは言うなれば寿司の後に食うガリ、フルコースディナーの後に飲むエスプレッソ、風呂上がりのコーヒー牛乳。
 これがなければ耳掃除は完結しないのだ。
 大抵デカブツがいるからメインデッシュには成り得ないのが、多少残念ではある。飴耳の人とか、あれはあれで気持ちよさそうだしな。
 ベビーオイルを俺愛用の小さい綿棒に浸し、軽く水分を絞る。
 そして早すぎず遅すぎずの絶妙なスピードで、ぐるぐると拭うように手前から奥へ、奥から手前へと綿棒が動く。

 ヒヤリ……スッスッ……スッスッ。グリグリ、グリグリ、キュッキュッ。

 んあー……。このヒンヤリすんのとスースーすんのがたまらんのよなぁ。
 耳掻きの硬質な感触とは違い、耳穴に伝わる感触は微かで柔らかい。
 痒みはすっかり綺麗に解消されたが、そのままでは耳の中には掻きむしった虫刺されの跡のような僅かなヒリヒリ感が残ってちょっと気分が悪い。
 そこで耳垢の除去された耳穴に、直接水分を含んだ綿棒が触れると、スースーと空気の触れる感触が開放感をより高めると共に緩やかな快感に包まれるのだ。
 まるで真夏の水風呂にでも浸かっているような快感にうっとりとしながら、俺は最後の仕上げを楽しむ。

 クルクル……クリクリ……。

 細かいカスと共に残留した不快感も取り除くと、まるで頭まで軽くなったかのような爽やかな気持ちに包まれる。嗚呼、余は満足じゃ。
「……が、こうなるとやはり左耳も気になってくるな」
「だろうと思ったさ。ほれ、さっさと頭を返せ」
「解ってらっしゃる」
 言われるがままに頭を返す俺。
 再び耳から伝わってくる快感の渦に包まれながら、俺はいつしか目を瞑り、安らかな暗闇の世界へと沈んでいったのだった。
84癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 22:52:23 ID:RNG62B+m
後書き

微妙にカオスな作品でサーセンwwwwフヒヒwwww
後から主要な耳かきシーンだけ読み直せるようにはしてあるんで、序盤イラネって声には耳を塞ぐぜ
その辺りはセルフサービスという事で

因みに無断転載上等、気に要らん箇所を独断で改変してくれても構わんぜ
俺はそんな事じゃ怒ったりせんし、寧ろ逆に悦びだしかねない生粋のM
勝手に作者を名乗ってくれても良いけど、かわりに続編書いてくれる事が条件な!
どっちみち自分で書く気はあんまり無いしな(゚∀゚)

それではお粗末でした
85癒されたい名無しさん:2007/07/29(日) 23:06:30 ID:B2cX1On/0
GJ!
大物の描写が特に気持ちよかった
86癒されたい名無しさん:2007/07/30(月) 09:17:32 ID:/u+EVsJY
GJ!一人称の語りが良かったよー。
自分がされてるみたいでゾクゾクした。
87癒されたい名無しさん:2007/07/30(月) 10:55:31 ID:OyW1vnjk
GJです!
BLとは違う、気の置けない男友達同士の耳掃除ってのもいいもんですな〜(´∀`)

>飴耳の人とか、あれはあれで気持ちよさそうだしな
でもやっぱりカサカサタイプの耳垢は羨ましいのですよ…
88癒されたい名無しさん:2007/07/30(月) 14:37:35 ID:N8sX4+Oh
面白かったよ!耳掻きシーンはゾクゾクした
また書いて欲しいデス
89RNG62B+m:2007/07/30(月) 16:32:17 ID:azLxeL3I
>>85
そりゃあ大物のシーンは山場ですからな!
耳掻き小説を書く人はきっと皆ここに魂込めてるのさ

>>86
まさかそこが良いと言われるとは思ってなかった俺ジョンソン
単に一番書きやすかったってだけの理由なんだけどw

>>87
親父にやってもらってた幼少期の体験が濃く影響してます
耳掃除は相棒と二人で立ち向かう困難なミッションというのが持論

ま、隣の芝生は青いという事で一つ

>>88
有り難う でも多分もう書かないよ!
だってもうネタ切れですからフヒヒwwwwサーセンwwww


そんじゃ俺も名無しに戻って、夢花火の人の降臨をwktkするだけの存在と化すぜ
感想くれた人達thxでした
90癒されたい名無しさん:2007/07/30(月) 19:55:32 ID:HHNN5a4/
良かったよー良かったよー
耳かきマニアになって以来大きいお宝になんてめったに出会えなくなっちゃった。
たまらんのう〜

また投下しておくれ。
91癒されたい名無しさん:2007/08/01(水) 14:07:55 ID:2Jzl9vVh
新作が投下されるたび癒されるねぇ
>>89 GJ!でした。
92癒されたい名無しさん:2007/08/05(日) 14:25:11 ID:kwx1hLp+
良スレ発見
すげーディープな世界
>>79-84GJ!!!!

夢花火氏カムバック!
93癒されたい名無しさん:2007/08/05(日) 14:50:51 ID:kwx1hLp+
前の夢ってやつがもう一回読みたい
94癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 12:57:43 ID:iYl1T1v0
もったいないので、作者さんに了承取らずに転載。

以下の「夢」は夢花火さんの他耳かきスレに投下された第一作目です。
95癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 12:58:38 ID:iYl1T1v0
「夢」

昔から人より耳の穴が小さいのは分かっていた
普通の耳かきだと中で動かせないくらいだ
そのうえ母親の乱暴な耳かきさばきにより、耳かき=痛いと思い込んで早26年
耳かきとは名ばかりの、穴の入り口をちょこちょこ掻き出すだけの行為を続けてきた
もちろん大物に出会ったことなど一度もなく、耳かきとはそういうものだ、と思っていた

そんなとある昼間、うたた寝をしていて夢を見た

「ねぇ、耳かきしてあげようか」
夢の中で私に12歳くらいの可愛らしい女の子が呼びかけてくる
いいよ、私耳の穴が人より小さいから、やりにくいよ、それに私は耳かきが苦手なの…
夢の中で私はぼやぼやとしゃべっている
「大丈夫だよ、私に任せて」
女の子はにっこり微笑んで私を手招きする
断ろうとするのだが舌がもつれて言葉が出てこない
夢の中なのに不思議にひどく眠たくて、ぼんやりしてしまう
手をひかれるがままに女の子についていくと、急に場面が変わって薄暗い森の中にいる
慌てて辺りを見回したが女の子の姿はどこにもない
目の前には古いが大きな山小屋が一軒あるだけで、人の気配すらない
仕方なく傷んだ木の扉をギギ、ギギギと大きな音を立てて開けると…
そこには神経質に痩せこけたお爺さんが暗闇に一人立っていた
「待っていたよ、耳かきをしてあげよう」
その瞬間、私はヒッ!と短く悲鳴を上げて意識を失った
96癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 12:59:47 ID:iYl1T1v0
「夢」2

どれくらい経っただろうか、気が付くと私はベッドに寝かされていた
背中の遠く後ろでかすかに人の声がする
「…あれは難しいな、あれは難しいぞ…」
よく聞こうとするのだが何かが耳の中に詰まっているのか、水の中にいるようだ
ボワァ〜ンボワァ〜ンと頭の中でこだまして何を言っているのかよく分からない
顔を向けて声の主を探そうとして気が付いた
頭が動かない
いや頭どころか身体さえ動かないではないか、どうやら何か器具でベッドに固定されているようだ
急に恐怖が襲った…背中に汗が伝う
無茶苦茶に身体を動かしていると誰かが側に近づいてきた
「目が覚めたかな。大丈夫、耳に薬が入っているだけじゃ。もうそろそろじゃて」
さっきのお爺さんだ、何か言わなければ…
「何をするんです!早く放してください…」
するとお爺さんは
「耳かきがしたいんじゃろう?安心せい、ワシは何千人とやってきた
ちょっとお前さんは変わった耳をしとるがの、まぁ任せておけばいい」
お爺さんはそう言うと、木机の引き出しを開けて何かを取り出し始めた
カチャカチャ…カチャカチャ…私は何とか首を動かして見ようとした
すると何やら歯医者で見るような小さなミラーと、細い細い棒のようなものが何十本か見えた
…あれは耳かきなのか…?何をされるか分からない恐怖がまた私を襲いはじめた
「大丈夫なんでしょうか…私は耳かきなんて痛くてまともに出来ないんですよ、耳の穴も小さいし…」
と、私が恐怖を隠しながら尋ねると
「それはやり手が下手糞じゃからの、お前さんのような耳は素人には難しい
とにかく、心配なんじゃろうが大丈夫ったら大丈夫!」
にっこり笑ってお爺さんは言った
その穏やかないなすようなお爺さんの口調に、私も少しづつ緊張が溶け始めた
私が動けなくされている不安を訴えると、暴れて耳を傷つけたらいかんから固定しとるだけじゃ、
暴れないとなったらすぐ外すわい、とお爺さんは朗らかに言った
97癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:01:16 ID:iYl1T1v0
「夢」3

「さて、薬はよく染みたろう、始めるかな」
と言うなりお爺さんは私の耳に顔を近付けた
そうしてどこからか、これまた歯医者のようなライトが上から近づいてきた
そしてお爺さんは手に細い管の付いた器具を持ち、私の耳に入れるなりスイッチを入れた

ヴィーン…と低い小さな虫の羽ばたきのような音がして、耳の中の液体がゆっくり吸い出されていく感覚がする
それは耳の中にあった圧迫感が柔らかく消えていく不思議な感覚だった
耳に水がある筈なのになんだろう、頭の中がふわっ…ふわっ…とまるで暖かな羊水に浮かんでいるような心地よさなのだ
気が付くと思わず目を閉じて、えもいわれぬこの不思議な感覚を味わっていた
しばらくして耳から完全に水気が抜けたのが自分でも分かった頃、頭の上からお爺さんの声がした
「入り口の大きいのを取るでな」
そう言うとお爺さんは、今度は先ほどより少し太い管の器具を手にした
私はというと、こうなったらもうどうにでもなれ、と半ばやけになって身を任せている
今度はピューンと少し高い音と共に風を吸い込む音がする
どうやらこれで耳垢を吸い込むらしい
ズボー…ズボー…という音がして、耳の中で何かが引っ張られる感覚が続いた
太い管の器具は先が柔らかなゴムになっているらしく、少しこそばゆい
しばらくして音が止んだ
「さて。機械の出番はここまでじゃ。やっぱりかなり固くなっとったのう。
これで入り口の蓋が空いたからの、これから耳の形に合わせた耳かきをしていくでな」
と言うとお爺さんはかなり使いこんだ耳かきを取り出した
が…かなり柄が短い…?思うやいなや
「これから頭を動かすでないぞ」
という声と共に、ガゾッと今まで聞いた事のない音がした
98癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:02:33 ID:iYl1T1v0
「夢」4

ガゾッガゾッ…ゴリ…ゴリゴリ…ザッーザッ…ガリガリッ……
まるで湿らせた角砂糖をスプーンで削るような音をさせながら、お爺さんは軽快に耳かきを操っていく
恐ろしく大胆に素早く耳かきを動かすのだが、一掻き一掻きがすべて正確なポイントをついているのだろう
心配していた痛みも全くなく、私の当初の不安はいつの間にかすっかり消えて、お爺さんの技を堪能する
余裕さえ出来始めた

しばらくすると、頭の中からスコップでどんどん砂が掻き出されていくかのような感覚がしはじめた
不思議な…頭の中が軽くなっていく、というか、スーッとモヤモヤしたものが消えていくというか…
だんだんと爽快な気分になっていくのが自分でも不思議である
と、ここで初めて部屋に音楽がかかっている事に気が付いた
ボリュームを絞ったピアノ…ショパンだろうか…?お爺さんの耳かきの軽やかな振動と相まって非常に心地よい

「さて、ここからが腕の見せどころかな」
かなりクリアーになった私の耳にお爺さんの呟く声がした
カチャカチャ…っと音をさせて、お爺さんは奇妙な眼鏡をかけはじめた
片方のフレームからミッキーマウスの耳のようにレンズが飛び出している
それには微妙な角度に折れ曲がった鏡がついていて、どうやらこれで中を覗くらしい
そうしてお爺さんは一際小さな匙のついた金色の耳かきを手に取ると、ゆっくりと私の耳の中に入れた
99癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:03:46 ID:iYl1T1v0
「夢」5

まず、初めてのひんやりとした感触だった
先ほどの耳かきで(私は痛みがないので全く気が付かなかったが)思ったよりずっと深くまで掘り進んでいたらしい
きっと私が生まれてから26年、ここまで奥に入ってきた耳かきはこれが初めてではないか…?
そんな事を考えながら、金属の持つぺったりとした気持よさにしばらくうっとりしていると
カリカリカリッ…コリカリコリ……スー…ポリポリッ…カリコリカリコリッ……スーッ
先ほどよりずっと細やかな匙の捌き方で、耳壁にへばりついた耳垢をこそげていく感覚がする
カリコリカリコリカリカリカリ…カリッ…カリッ……
何とも言えないではないか、先ほどとは比べものにならないこの快感…背中から爪先に何度もブワ〜ッと快感が走り抜ける
耳壁を伝う金属の匙は、おそらくかなり薄く削られて作られたのだろう、
先が耳垢を捕えると必ず深いカーブのスポットに収めて耳外まで運んできてくれる
匙はこの往復を何度も何度も繰り返し、私は意識せぬうちにだらしなく口を半開きにして快感に身を委ねていた…
「壷耳じゃなぁ…思った通りじゃ」
あまりの気持よさに放心状態の私に、お爺さんは聞き慣れない言葉を口にした
「壷耳…?何ですそれは…?」
「耳の中に壷があるような耳なんじゃ、入り口は極端に狭いが中は広い、お前さん程狭い入り口は珍しいがの」
そういうとお爺さんは金属の耳かきを使うのをやめて、また耳に薬を垂らした
そして今度は熱く蒸したタオルで身に蓋をした
「これでしばらく待つ」
100癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:04:45 ID:iYl1T1v0
「夢」6

途中何度も蒸しタオルを変えるお爺さんを見て私は、何となくここが「山場」ではないか、と思った
前回のように細い管のついた器具で水を抜き終わると、お爺さんは細長いピンセットを手にした
「芯があるんじゃ、壷耳は周りをいくらこそげても芯を抜かんといかん
柔らかくなっとるから大丈夫じゃと思うが鼓膜にひっついとる場合があるからの、痛い時はすぐワシを叩け」
そう言ってお爺さんはピンセットを耳に入れていった
ゴト…深い低い音だ…ボリッ…ガリガリッ…今までにないかなり大きな音がした
鼓膜にひっついているんだな、と思ったが痛みはまるでない
お爺さんはピンセットを小刻みに振動させながら耳垢を鼓膜から剥がしていく
ゴト…ゴトゴトゴトゴトッ………ガサガサ…ガサガサガサッ……かなり慎重に何度も何度も振動を送る

と、その時ゴゾッガザッザ……!!!
一際大きな振動音の後、ピリッ…というかすかな音と共に何か大きな塊が剥がれるのが分かった

「ほっと!」
お爺さんはピンセットを耳から抜き出したが何もついていない、どうやら私の細い耳の道は大物が通れなかったらしい
「ま、予想はしとったわい」
お爺さんは今度はさらに細長いピンセットを取り出した
101癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:05:49 ID:iYl1T1v0
「夢」7

「どうするんです…?穴は狭いのに…」
私はせっかく仕留めた耳垢が、壷の中から永久に出てこないのではないかと心配になって尋ねた
「ふふ、大丈夫じゃて、ワシを見くびってもらっちゃあ困るよ」
と言うとお爺さんは細長いピンセットを耳の中で器用に動かし始めた
クニュクニュ…カチャカチャ…何とお爺さんは耳の中で耳垢を変形させているのだ
壷の中で育った耳垢はボールのように丸く、細長い耳の道を通る事はできない
ゆえに柔らかくふやけた耳垢をピンセットで細長く変形させているのだ!
…そんな事が可能なのだろうか…耳垢もピンセットも全く見えていないのだ
頼りになるのは指先のかすかな感覚だけ…大丈夫なのか…?不安が再び首をもたげはじめた
が、この爺さんならやるかもしれないという思いも不思議とどこかにあるのだ
どうせまな板の鯉なのだ、お爺さんに任せるしかあるまい、と私はじっと待っていた
しばらく粘土をこねるような音が続き、お爺さんが言った
「ん、出るか」


ズ…ズルズルズルズル……………

グググッ…グググッグポッ!!!
102癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:06:38 ID:iYl1T1v0
「夢」8

「やた!」
「ゎああぁ!」

お爺さんと私は同時に感嘆の声を上げた

お爺さんはゆっくりとライトを近づけ、ピンセットを私の目の前にかざした
…なんとピンセットは小指の爪より少し長い、きれいな筒状の巨大な耳垢をしっかと捕えているではないか
「主」と呼ぶにふさわしいその耳垢は、年月のせいでやや黒っぽく変色した部分もあるものの、
キラキラと飴色に艶やかな光沢を放ちながら、どっしりと重たげに鎮座していた
「これはすごい…」
私はお爺さんの事も忘れて思わずしげしげと見入ってしまった

さて、もう片方の耳にもドラマチックな耳垢がゴッソリ詰まっていたのだが、話の都合上割愛させて頂く事にする
ただ私は今度はもう恐怖や不安を抱く事はなく、ただただお爺さんの技を全身で堪能した事を言っておこう
快感のみに集中する事ができると、最初より数倍激しい快楽の波にさらわれ、存分に楽しむ事ができた
私はこの時が永久に続けばいいとさえ思うようになっていた…
103癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:07:26 ID:iYl1T1v0
「夢」9

やがて両方の耳から耳垢を取り終わると、お爺さんは
「仕上げじゃ、急に引っこ抜いたからの、最後のこれが重要なんじゃ」
と言って耳の中に綿棒でローションのようなものを塗り始めた
言われてみれば急に外気に触れた為に耳の中は熱ったようにむず痒い
そこにヒヤッとしたローションがそぅっそぅっと塗られていくと…
耳かきとは全く違うえも言われぬ気持よさに、またしても脳天が痺れるような快感を覚えた
ああ……気持いい……
しばらくジィンとした頭でぼんやりとした眠る前のような時を過ごしていた
「さて、これで終了じゃよ」
このお爺さんの一言で、長かった耳かきは終わった
私は何だか無性に寂しかった

いつの間にか最初に見た女の子が私の側に立っていた
私はなんとなく、これで最後なんだな、帰らないといけないんだなと察した
私は最後にお爺さんに、これは本当に夢なのか、あなたは何者なのかと聞こうとした
だが…ずっと鳴っているゆったりとしたショパンのピアノを聴いていると、全てどうでもよい事に思えてきた
104癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:08:16 ID:iYl1T1v0
「夢」10

私はねだってお爺さんに耳垢を貰う事にした
お爺さんはこんなもんがいるのかい?と渋りながらも(私には手放したくない口実に感じられた)、
軽くお猪口に山盛りになる程の耳垢を丁寧に銀紙にくるんでくれた
最初の古い扉の前まで女の子とお爺さんに見送られ、
「…ありがとうございます、耳がよく聞こえるようになったしとっても気持よかった…」
と言うとお爺さんは「なぁに、また何時でも来るといい」と言って次の人が待っている、と顎をしゃくった
私が目をやると扉の向こうには、お爺さんの耳かきを待つ人が行列を作っていた

促されるまま大きな扉をギギギ…ギギギギギ……っと開けると目の前は最初の深い森だった
「本当にありがと……」
私が振り返るとそこには山小屋もお爺さんも女の子も、沢山の行列の人もいない
何もかもが消え去り、私の目の前にはただただ薄暗い怖いような森が広がるばかりであった…
105癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:09:06 ID:iYl1T1v0
「夢」最終話

冷たい風に腕を撫でられたようで、フッと目を覚ました
(ああ…やっぱり夢だよなぁ…変にリアルな夢だったなぁ…)
いつの間にか外はとっぷり日も暮れて、随分と時間が経ってしまったらしい
(本当にリアル…耳がスゥスゥする…)
私はまだぼんやりとした頭のままテレビのスイッチを入れる
と、「!!!」
あまりの爆音に驚いた
慌ててボリュームを下げ、音量を確認するがいつもの12の音量のままだ
「もしかして…」
私は辺りを見回し、あのお爺さんから貰った銀紙を探した
ない、ない、…あった!
ポケットから出てきた銀紙はまさしくお爺さんから貰ったものだ
開けてみると……耳垢が溢れんばかりに詰まっていた
「まさか…本当だったんだ…」
不思議と驚かなかった、むしろとても嬉しい気持ちと寂しい気持ちが混ざったような複雑な気分になっていた


後日例の耳垢を眺めていて気が付いた事がある
お爺さんは私の両方の耳壷から主を引っこ抜いたが、何故か一個しか入っていないのだ
どうやらお爺さんも大物をみすみす譲るのは惜しかったようだ
ただ、両方持っていかない優しさが私にはちょっぴり嬉しかった
106癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 13:09:37 ID:iYl1T1v0
「夢」エピローグ

さて、あれから私はあの夢をまた見たいと何度も何度も願ったが、結局二度と見る事はなかった
それに相変わらず自分の耳かきは下手である
ただ、耳かきをできる相手を見つけた
旦那と二人の息子だ
旦那は私と違ってガッポリとした耳穴で取りやすいのだが、耳かき嫌いだった
だが私が耳かきをさせて欲しいとお願いしてから、耳かきの魅力に取り付かれてしまったようだ
子供達も耳かきとなると我先に競って私の膝に滑りこんでくる
私はお爺さんのテクニックを思い出して、優しく優しく丁寧に耳垢を取り除く
優しく、そぅっとそぅっと………


…そしてもう一つ

我が家では耳かきをする時、ショパンのピアノをかける事にしている

……END
107癒されたい名無しさん:2007/08/07(火) 19:33:41 ID:Ltxfxway
転載乙
まとめて見られるのはやっぱり有り難いな
108癒されたい名無しさん:2007/08/08(水) 12:29:28 ID:Ejkf/iiY
この作品が一番好きだなぁ
転載d
109癒されたい名無しさん:2007/08/09(木) 22:35:27 ID:x575syAw
新作マダーマダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
110夢花火:2007/08/12(日) 03:47:26 ID:dEcpBR38
>>89
面白かったーこりゃ続き読みたいっす(/∀`。)*゜
洸惚の耳かきシーンのみならず会話がおもろい!テンポいい!

>>94
「夢」を転載して下さってありがとうございます!
すっかりしそびれてたので物凄い感謝です。


さて、大っ変遅くなって申し訳ありません…忘れた頃にやって来た…夢花火…だよ
|ω・`)
登場しにくさもなんのその⊂⌒~⊃。Д。)⊃
…すんません。言い訳はいたしません。
しばらく来てなかったんですがもっと早く進み具合書けばよかったと大反省orz
しかもまだ全文書き上がってないっつー体たらく(´;ω;`)
ですが一応目処がたったのでご連絡です。例によって(今までで一番)長くなってしまってます。
本当に長いっす。ちょっとした本?って感じ。
リクエスト主の>>55さんには是非…と言いたいんですが癖で耳かき以外のストーリーが多い。
(今までで一番多い。軽くスレ50くらい消費するやもしれんのです)
そこで最初にあらすじを書いておく事にします。耳かき以外いらん!と言われたらそうします。遠慮なく言って下さい。
あまりのご無沙汰ぶりに>>55さんもういらっしゃらないかも…その場合スレ住人の方の判断にお任せします。
111夢花火:2007/08/12(日) 03:58:28 ID:dEcpBR38
(あらすじ)

舞台は台湾、台北。
主人公の「私」は三十歳の元OL。失恋の傷を慰めようとたった一人で台湾旅行にやって来た。
しかしそこで知らない男に声をかけられ鞄をすられてしまう。
男を追いかけて道に迷った私は、偶然入った屋台で酒を飲まされ気を失ってしまった。
そこで私を助けてくれたのは双子の老人。彼らは伝説の耳かき屋だった。
とぼけた弟と寡黙な兄、彼らの絶妙なコンビネーションで私の耳は…
老人と私の触れ合いを中心に徐々に元気を取り戻し、前向きになっていく心模様を描いたつもり。
最後らへんちらっと老人の弟子とのちょっとした恋話も入ってます。

この内容でよければ投下します。もし全文掲載の場合は本当に長いので、
耳かき場面のみご覧になりたい方のために途中で名前欄に「耳かきシーンあり」と入れる予定です。
112癒されたい名無しさん:2007/08/12(日) 10:21:38 ID:qap6p3jE
お願いします
113癒されたい名無しさん:2007/08/12(日) 13:35:52 ID:OPAgbc8+
夢さんキタ━━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━━ッ!!
自分は個人的に夢花火さんの文章好きだから読みたいけどね
もともと耳話以外もいいってことだし
てか過疎ってるんだし大量消費してもいいんじゃね?
小出しでもいいからwktkで待ってます
114癒されたい名無しさん:2007/08/12(日) 17:14:34 ID:vMDmBJNb
50レス投下したところで200いかないもんね。
全然おkだと思う。
投下するほうは大変だと思うけど、気長に待ってます。
115癒されたい名無しさん:2007/08/13(月) 01:11:59 ID:0cOKPz83
>>55です!!

いますいます!!
つかじっと待ってましたw
そんな長編に・・・!た、楽しみ〜〜

ありがとうございます、あらすじだけでも面白そう。
小説のために立てたスレなんだし、遠慮なんていらないと思います。
ぜひお願いします<(_ _)>

・・・というか実は前スレでここの板紹介したのも「夢」転載したのも自分です。
勝手にやってスイマセン
私も>>113さん同様ファンなので非常に楽しみにしています。
転載時知ったんですが10いくつ連続でレス投下すると連レス規制がかかるので
小出しでいいので夢花火さんのペースでよろしくです。
116癒されたい名無しさん:2007/08/13(月) 16:32:54 ID:+JEMXwfL
超大作、キター!
117癒されたい名無しさん:2007/08/13(月) 22:47:33 ID:XPRXWLdm
夢花火たんキタ━ヽ(ヽ(゜ヽ(゜∀ヽ(゜∀゜ヽ(゜∀゜)バ゜∀゜)ノ∀゜)バ゜)ノ)ノ━!!!!

マッパで正座して待ってます!
118夢花火:2007/08/14(火) 09:43:24 ID:wIZ6va4/
>>115
どうもです!ホ・・・よかった・・・じゃあ規制に気を付けて投下してみます。
お言葉に甘えてちまちま出してみる
そして全部載せ終わるのかなり時間かかると思う
待ってくれてる方&これから書きたい方がいたらしばらく占領するんで(*_ _)人ゴメンナサイ
119夢花火:2007/08/14(火) 09:58:22 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」1

大型ショッピングモールの最上階からは、近代的な台北の街が一望できる。今は夏。急に空を見上げると、ほの暗い屋内と焦げるような灼熱の太
陽との間で私はたちまちに眩暈を起こした。
そう、私は今台湾にいる。しかし失恋旅行だというのを最初に断っておこう。八年付き合った男と別れた。不倫。職場恋愛。世の中では腐るほどよくある話だろう。
彼は子会社に飛ばされ、しがない一事務員の私は会社に居座れなくなり結局自主退職した。相当やり手だった彼は、ほとぼりが冷めたらまた本社に帰ってくるだろう
と親切な同僚が言っていた。愚か者の私は若さにかまけて自分を磨くこともなく、気がつくと三十歳。これから新しい職、新しい恋、どちらも見つけるのは容易では
ない。度重なる不採用通知にすっかり自信を失っていた私は、我ながら安易な考えだと思うが非日常に身を置けば生まれ変われるような気がしてたった一人でここに
やってきたのだ。
今日で滞在四日目。昼からショッピングということで最初はテンションも上がったのだが、これからの事を考えるとやたらに散財する訳にもいか
ず、今まで散々お土産を買いこんだこともあり結局財布の紐を緩めるのをやめてしまった。そうなるとあらかた観光地も巡ってしまったし、もう
特にすることが思いつかなくて私は早速暇を持て余し始めた。
思えば旅行はいつも誰かと一緒だった。この歳になると友達同士で、なんて毎回そう簡単につるめるものじゃない。それぞれ生きている日常に埋
めようのない差があるのだ。主婦になった友人は子育てに忙しくしているし、仲の良かった大学時代の友人はみな私と違って優秀で、今はキャリ
アもできて仕事が忙しいらしくあまり予定をあわせられない。彼女たちは口々に結婚で仕事に支障が出るのはごめんだと言っていた。そして自分
の為だけにドカンとお金を使って派手に遊ぶのが最高に楽しい、ご褒美はブランド物や週末に一人で行く旅行だとも。
「いいわよ、一人旅。リフレッシュするから」今回の旅行も、もともとは私を心配した友人が勧めてくれたのだ。はるか昔だが大学時代に中国語
を選択していたから多少の日常会話くらいはなんとかなるだろう、卒業旅行でみんなと一度来た事もある。その友人はそれから何度も旅行したら
しく、何日滞在するか分からないからと格安のホテルを紹介してくれた。
「それなのに・・・」さっきから何度ため息をついたろう。認めたくはない。だが私はイマイチ楽しめていない。なぜか楽しい場所にいても心か
らリラックスできないのだ。ホテル選びもまずかった。格安だけあってとにかくベッドが固くてよく眠れない。やっぱり財布の具合を心配してい
るようではせっかくの旅も楽しいわけはないのだ。明日あたり帰ろうか・・・私は早々にこの誘惑の建物から撤退し、どこかで食事してからホテ
ルに戻ることにした。
120夢花火:2007/08/14(火) 10:01:27 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」2

目当てのレストランバーは時間が早く、まだ開店していなかったので向かいのカフェテリアで何か飲む事にした。一階でビールを買う。二階に上
がるとそこはテラスになっていた。夕時の風がむき出しの腕に気持ちいい。私は手すりに近づくとビンに口を付け、喉を鳴らして豪快に飲んでみ
た。台湾ビールはさっぱりとして飲みやすく、暑さで渇いた喉にキンとした冷たさが嬉しい。しばらく味わった。
しかし三十女には酒が似合う、と思う。いつの間にか外でも堂々と一人で飲めるようになっているのだがそれってどうだろう。最近一人の時間が
心地いい。そうならないように意識してきたのに。一人でうまく過ごす前に新しい出会いを探すべき、と言われるかもしれない。事実そうなのだ
ろう。しかし最初は元気付けようと合コンに誘ってくれていた友人も、会うたびにどんどん痩せて行く私を目の前にして最近は何も言わなくなっ
ていた。しばらく恋愛から遠ざかりたい。私はもっと強くなりたかった。損くじを引くのはもうたくさんだ。
そんな事を考えながら飲んでいると現実から少し意識が飛んでいたらしい。気がつくとすぐそばに品のよさそうな中年の女性が立っていた。薄く
色のついた眼鏡に綺麗にパーマのかかったそのおばさんは、私がひと目で日本人だと分かったのか嬉しそうに日本語で話しかけた。
「観光でいらしたの?」
「えぇ・・・まぁ・・・」
「私はもう来て長いのよ。二番目の息子が住んでいてね。息子は他にも出張であっちこっち行くの。いい所だからってしつこく誘われるから来て
みたのだけど食べ物が馴染まなくって。向かいの店は美味しいのよ。値段も安いしサービスもいい。出来たばっかりだからトイレも清潔」
おばさんはそう言って可笑しそうに笑った。本当に楽しそうに笑うので私も何だか愉快な気分になって笑った。さっきより出てきた風がおばさん
と私の間をゆっくり吹きぬけていく。
「ここからの眺めって好きなの。まるで日本にいるみたいな気にならない?」
そう言われればなるほどそうかもしれない。日本企業の看板やスターバックス・・・どことなく普段見る風景に似ていなくもない感じだ。いつの
間にかビールを飲み干していた。私がもう一本飲もうかどうか迷っていると「あなたも楽しんでね」と言っておばさんは笑って去っていった。

121夢花火:2007/08/14(火) 10:05:37 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」3

私はぼんやりと頬杖をつき、ぬるい風に身を任せて少し暗くなり始めた通りを見るともなしに眺めていた。日本に似ていると言われ、無意識に
いろいろ思い出してしまったのだ。私は少しの間そこでじっとしていた。
「不好意思」
突然後ろから声がした。振り返ると少し遠くに白いTシャツを着た小柄な男が夕闇に紛れて立っていた。ぼーっとしていた私は急に中国語をか
けられて気が動転してしまい、思わす「びっくりしたぁ」と呟いてしまった。
「日本人?」次にその男が近づく素振りを見せてそう言ったのでスリかもしれない、と私はちょっと怖くなって身を硬くした。手元のバッグをし
っかり抱きしめる。
「何の用。警察に言うわよ」近くに観光客がいるはずだ。辺りを見回すとちらほらとそれらしい人が見えた。
「驚かせてすみません。知り合いかと思って」
男は流暢な日本語でそう言うと真っ白な歯を見せてにっこり笑った。切れ長の目をしているが笑うとあどけなくて子供のように可愛らしい。
見た限りではそう危ない風には見えなかったが、私が警戒して黙っていると彼は「似ていたから。ごめんなさい」とだけ言ってさっさと行って
しまった。
「なんなのよ・・・」
ため息をついて再び通りを眺めていると今度は「あの・・・」と日本人らしい男がこちらを伺うような様子で声を掛けてきた。こんな観光地で
私の顔がそんなに珍しいのか、なんだか今日はやたらに話しかけられるものだ。
「失礼だけど、あなたさっき鞄をすられたんじゃありません?」
「は?いえ、私はほら、こうやってしっかり持って・・・」
何を言うのかと思って手元を見ると、なんと見たこともない全く別のバッグを私はしっかり抱きしめていた。しまった!慌ててさっきの男を捜す
と一階のドアから店の外に出て行くのが見えた。私は真っ青になって一瞬固まっていたが、次の瞬間男の後を追って走り出していた。


見失ったのは言うまでもない。全くよせばいいのに私は走った。かなりの距離を走った。正確に言うと日ごろの運動不足とサンダルで足がもつ
れ、走る、というのでもなかったのだけれど。男は急ぐ風でもなく道を何度も曲がりながらどんどん歩いていく。どれぐらい経ったろうか。
追いつけそうな距離まで来て安心し、疲れて立ち止まった瞬間、男の姿が視界から消えた。長距離にわたる必死の追跡も虚しく、男は悠々と夜の
街に消えていったのだ・・・ 
それから大変だった。幸いカードもパスポートももろもろ全部ホテルに預けており、鞄には現金しか入っていなかったもののそれですら決して小
額ではなかったし、何より盗まれたバッグは彼と本格的にうまくいかなくなっていた去年の冬に友達に触発されて貯金とボーナスで思い切って買
ったあの、新品の、私の・・・バーキン・・・!!それを、よりによってエナメルの安っぽいセカンドバッグ(!)と間違えて抱きしめていたな
んて・・・・自分がとんでもないアホ面をしたバカ女に思え、情けなくてへなへなとその場に座り込んでしまった。大声で泣きたい気分だ。

122夢花火:2007/08/14(火) 10:07:56 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」4

 やっぱりあまりにショックで思考回路が遮断されているらしい。奇跡的に辿り着いた警察署で何度話しても肝心なところで私の発音はうまく通
じず紙に書いても駄目で、持って来た中国語の本さえもすられてしまっていた私は大学時代の勉強なんてすっかり忘れている自分に愕然としただ
けだった。結局何一つ事態を解決することはできなかったのだ。明日身分を証明するものを持って行こう。だが届け出たところで100%無駄だと
思う。私はジンジンする頭のままさっきから何処だか分からない場所を歩いていた。ずいぶん走り回ったとはいえまさか市内からは出てはいない
だろう。それなのに不思議なことにさっきからタクシーどころか車一台も捜せない。警察に引き返してホテルの番号を聞いて車を出せないか交渉
しようかとも考えた。だがもうだいぶ歩いてしまってここからどう引き返せばいいのかよく分からない。私は血迷って代理店を通さず直接ホテル
に泊ったことを今更ながら後悔していた。こういう時、誰も頼れないのは本当に辛い。自分はもう三十で、しかも一度来た場所だから何とかなる
と高を括っていたのだ。歳だけとって・・・そんな風に思ったらどうしたって涙がこぼれそうになってしまう。私はやっとの思いで息を整えると、
泣くものか、と空を睨んだ。 


さっきより闇が深くなり始めていた。計算するともう夜の十時を超えているはずだ。見ればさっきまでの通りと様子が違う。どうやら屋台街に紛
れ込んでしまったらしい。店はみな小さく、ごちゃごちゃと道にせり出していていた。それにしても今まで私の見てきた場所と比べると人影もま
ばらで静かである。民家らしい建物もあってなんとなく下町の雰囲気みたいなものがした。とにかくこのままでは野宿しかないと思った私は、な
るべく人のたくさんいそうな店に目をつけると道を聞いてみることにした。
「隅俸一下、我迷路了・・・(ちょっとお尋ねしますが、道に迷ってしまったんです)」と言うと数人で飲んでいた客が全員振りかえった。なぜか
急に皆静まりかえったが、次の瞬間その男たちは爆笑し、一人の赤ら顔の中年の男が立ち上がり私のほうにやってきた。何とかしてくれるらしい。
私が「謝謝」と言うと男はニッと笑ってぞんざいに抱きついてきた。びっくりして慌てて男を引き剥がすと、男は何だお前、みたいな顔をして今
度は目の前に汚れたコップを差し出した。飲?、飲?、としきりに言っている。コップを煽るジェスチャーをして、どうやら飲めと言っているら
しい。男の連れらしい人達も口々に何か言って笑っている。違う違う、と言っても男は頑としてコップを下げようとしない。そして無理やり私に
コップを持たせると、男は透明な液体を淵までなみなみと注いだ。それでも私が首を振っていると、男は仲間のほうに振り返り、「真機車(ノリ
がわるいな)」と言って笑い、また私に無理やり抱きついてキスしようとする。これは道を教える条件で、二者択一ということか?馬鹿にされた
ようでカッとなった私は、次の瞬間その液体を一気に飲み干していた。
123夢花火:2007/08/14(火) 10:12:13 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」5

気がつくと私は薄いマットレスの上に寝かされていた。
「あれ・・・どうして・・・」
立ち上がろうとして再び倒れこんだ。まるで脳をのこぎりで削られているように頭がガンガンする。それでもなんとか首を回して辺りを見回すと、
そこは赤や黄色の布が何枚も重なって上から垂らされ、天井にも色んな色の布が張られた部屋ともいえないような妙な場所だった。一応リビング
なのか古めかしいテレビやソファはあるが人の気配はない。私はとにかく頭が痛くて目を閉じた。するとだんだん昨日起った出来事が蘇ってきた。
次の瞬間思い浮かんだこと。犯されたかもしれない・・・!私は慌ててジーンズをまさぐった。一応パンツは穿いているしどうも色々大丈夫のよ
うだ。じゃあこれから・・・?売られる・・・?ここはどこ!

 その時視線の先を何かおかしな動きのする白いものが横切った。
「ニーハオ・・・」
恐る恐る声をかけると、布の先からしわがれた声がした。
「あんた、日本人だな」

私が息を呑んでいると、機械のようにカクカク揺れながら真っ白い甚平みたいな(それにしてはやけに上着の丈が長い)服を着たつるっぱげのお
爺さんが現れた。ものすごく年老りだ。でっかい丸いレンズのサングラスをして手には杖の代わりか棒切れを持っている。私は驚いて「誰、何、
どうするつもり」と言った。するとお爺さんはこちらに向き、また揺れながら恐ろしい程ゆっくりした動きで私の前に到着した。
「リンの店でぶっ倒れとるからのぉ、あんなところで寝られたら皆迷惑する。うちのもんがひっぱってきてくれたんじゃ。感謝するのが先じゃろ
が」
(亀仙人・・・じゃないわ、なんだこの爺さんは)
膝が震え、今にも事切れそうなこのよぼよぼ爺さんがマフィアだとは到底思えない。お爺さんはゆっくりソファに腰掛けるとリモコンを手にとっ
て電源を入れ、私などいないかのようにテレビに見入りはじめた。
変なことになった。どうやら倒れた私を介抱してくれたらしい。かなりおかしな格好だが日本語を話せるし、サングラスをしているのでよく分か
らないがやっぱり日本人なのかも・・・
「ええぃこの。いくら押しても、これが、変わらん、この」
・・・怒っているのかもしれない、さっきからお爺さんはブツブツ言いながらリモコンを振り回している。えらい長いこと画面が変わらないので
仕方なくテレビに近づいて変えましょうか、と言うとお爺さんはほっとしたように2をだしてくれ、と言った。操作がよく分からなくて手間取っ
ていると「この時間はニュースをやっとる、もうはじまっとる」と言って急かす。やっと画面が変わると「記憶のバロメーターっていうやつよ。
好奇心を忘れたら駄目」と言った。
いまいち意味は分からないがニュースが出て納得したのか、お爺さんは満足そうに背もたれにもたれるとまた黙ってテレビを見始めた。

124夢花火:2007/08/14(火) 10:14:28 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」6

どれくらい経ったろうか。いつの間にかうつらうつらしていた。そして何度となく見た夢を見た。夢の中で誰かが私を責めていた。

前の会社はどうして辞められたんですか
やっぱり若い人が多い職場ですからねぇ・・・
今から正社員を探すのは思っている以上に大変だよ
前のところと関係のない業界は・・・かなり限られると思いますよ
これ以外に資格は何かお持ちでないんですか
もう母さんは帰ってお見合いしたほうがいいと思うわ・・・・・・・・・・・・・・

最初はぼんやりと遠くに聞こえていた声はしだいにはっきりとしていき、真っ暗な場所でうずくまる私の周りを顔のない白い人が取り囲んだ。最
低、恥知らず、そう誰かの声がする。顔のない人はしだいに数を増して、手をつなぐとぐるぐると私の周りを回り始めた。人影はどんどん増えて
押しつぶされそうになってしまう。私は夢の中で耳を塞ぎしっかり目を閉じた。
急に人がいなくなり今度は甲高い声が響いた。 

人を地獄に落として幸せになれると思ったら大間違いよ

私は立ち上がり泣きながら声の主を探す。許しを請わなければならない、この人に謝らなければならない・・・でもあたりは真っ白でもう何も見
えない。
私が立ち尽くしていると後ろから誰かが近づく足音がした。いや、本当は誰だか分かっている。その人はそっと私の肩を抱き、やさしくささやい
た。

「君なら僕なんかよりもっといい人が見つかるよ」
 

目が覚めたらお爺さんは小さなテーブルに移動していた。立って歩いているときは腰が曲がっていて小柄だと思ったが、胴が長いのか正座して姿
勢を正したお爺さんは奇妙に大きく見える。私の頭は前より少し楽になっていた。それにしてもさっきから部屋中が何やらいい匂いだ。
私が起き上がったのを察したのか、お爺さんは背中を向けたまま「食え」と言った。料理なんだか茶色いものばかりで食欲はなかったが、お爺さ
んが何度も食えというので仕方なく料理に口をつけてみるとびっくりするほど美味しい。食べている私を見ながらお爺さんはじっとしていた。が、
しばらくしてからちょっと低い声になって「ところであんた何もんだ」と言った。
125夢花火:2007/08/14(火) 10:16:38 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」7

ざっと説明するとお爺さんはふーむ、と言ってタバコをふかしはじめた。私もしばらく黙って料理を食べていたが、お爺さんが顔をこちらに向け
たまま一向に喋らないのでなんだか居心地が悪くなってきた。
「正直に言うと傷心旅行なんです。でも癒されるどころかもういろいろあって散々。昔から思いつきでつっぱしる癖があってバカだって言われて
きたけど、これほどの馬鹿だと思わなかったっていうか。いや、そりゃあ私は馬鹿だけど。それに関しては言い訳なんかないし、人の家庭を壊し
ても幸せになれると思っていたから最後の最後に罰が当たったと思う。でも付き合っている時はすごく幸せだったし、思い出ももらったし、いい
勉強させられたって思ってる。今更彼を責めるつもりはないって感じ。だから」
「まぁ平たく言うと不貞をはたらいたんじゃな」
お爺さんは私の話を遮ると、みるみる間に眉間に皺を寄せ苦虫を噛み潰したようなしかめっ面になった。
「不貞?あぁ、そう。不貞」
不倫のことを不貞というのか。その昔姦通罪っていうのがあったらしいから爺さんぐらいのお年寄りには私はさぞふしだらに映るのだろう。私は
だんだん見ず知らずのお年寄りに言わなくていい身の上話を聞かせたことを後悔しはじめていた。

「その男は極悪人じゃな」
お爺さんはタバコの火を乱暴に消してきっぱり言った。・・・この爺さんは・・・人の話を聞いているのだろうか。
「いやだから、彼だけが悪いわけじゃないし、私だって十九や二十歳でもあるまいし、いい歳をしてだらだら関係続けてたんだから責任はお互い
にあるわけで、そういうのはどっちが悪いとか言っても仕方ないと思ってんですよ」
私がそう言うとお爺さんは「いんや、違う。男が悪い」と再びタバコに火をつけた。きりっと通った鼻から大量の煙が噴出している。
「世の中なんでも先着順。あんたの相手は我慢せんといかんかった。仕事もそう。一度家庭をもったら我慢して、我慢しぬいて女子供を幸せにす
る義務がある。家族を守るっちゅうのは、そういうもんだ。男はそういうもんだ。最近ドラマかなんかで平気で人の旦那や女房に手を出しておい
て自由恋愛とか抜かしくさるがわしはそういうのは腐っとると思う。たとえ相手がろくでなしで借金して暴力して不貞して家族ないがしろにする
バカタレでも、夫婦が協力していい亭主、いい女房にする努力をせんといかん。犬をもらったのと違う。簡単に次の新しい家庭を作ったらいいと
いう考えでは誰と添っても同じ試練がまっとると思う。あんたも人のもんを何でも欲しがる卑しい女になったらいかんが、男を憎んでないところ
をみると心の底から好いとったんじゃろ。女は万国共通、情が深いからのう。犠牲になるのはいつも女じゃ。その男が悪い!」
126夢花火:2007/08/14(火) 10:20:15 ID:wIZ6va4/
 「おくりもの」8
お爺さんは話しながら興奮してきたのかだんだん声を大きくしていき、ついには拳で机をぶった。料理がこぼれ、私の額に汁が飛ぶ。私はあっけ
にとられてしまった。こんな見ず知らずの女の身の上話で熱くなるなんて・・・このお爺さんはどうやらよほど感情が高ぶりやすい性格のようだ。
興奮させると倒れそうな様子だったがお爺さんは一向に怒りがおさまらないのか、その男は・・・と語りだし、私から彼のしたこと言ったことを
どんどん聞き出しては「大ばか者が」とか「たわけもんが」とかの暴言を吐いた。お爺さんの話は「女はとにかく無罪」という論法で成り立って
いるようで、微妙に首を傾げることも混ざっている。だが、なぜだろう。私はお爺さんが怒る度に少しずつ固まっていた気持ちが解けていくよう
な気がしてきた。思えば今まで誰かにそこまできっぱりとお前よりもその男のほうが悪い、と言い切られたことなどなかった。


幼い頃に両親が離婚して父親がいなかった。人一倍気を使って生きてきた。はたからはそう見えなくったって。大学は実家から通えるところを選
んだし、就職難で同級生が次々諦める中、私は必死で頑張って堅実な企業に入った。仕事の愚痴は決して漏らさなかったし、その理由の全ては母
親を心配させたくなかったからだ。母は私に、正直に素直でいなさい、人にやさしくしなさい、やったことは必ず自分に返ってくるからといつも
言っていた。
そんな私が唯一人を悲しませてでも欲しかったのが彼だった。彼は大人で、余裕があって、人を包み込む暖かな笑い方をした。彼に家庭があるの
は分かっていたが気がついたら止まらなくなっていた。

私は話すうちに意識して忘れようとしていたこと、心の底で蓋をしてきた思いが溢れて、言葉が止まらなくなってしまった。何か彼にひどいこと
を言ってやろうとするのに、思い出すのは彼の奥さんや子供のことばかりだ。自分のしてきたことの罪の重さが心に突き刺さる。私のせいで彼は
離婚したのだ。あのかわいい男の子はこれから私と同じ思いをするのだろう。散々人を不幸にしたのに、それなのに彼とは結婚できなかった最低
の女。
「私が悪いんです・・・人のものに手を出したから・・・だから・・・本当に、私さえいなかったら、今も幸せに暮らしていたんです。私・・・死んだほうがいい」

「・・・辛い思いをしたんじゃな。もう十分じゃろ。あんたは悪くない。若くてこんなに綺麗なのに、もったいない。そんな風に考えるのは止め
なさい」
静かに言い聞かせるように言って、お爺さんはしわしわの手のひらで私の頭を三回撫でた。不思議と嫌な気持ちはしなかった。おじいさんの手は
皮が分厚くて節が太く岩のような感触だったけど、びっくりするほど一本一本の指が長かった。自然に涙がこぼれていた。一度泣き始めるとせき
を切ったように涙は止まらなくなり、机に突っ伏して私は大声を上げて泣いた。こんな風に子供のように無防備に泣いたのは久しぶりだった。


私が泣くのをお爺さんは黙って見ていた。私はゆっくり自分の気持ちを理解していた。誰かに思い切り味方されたかった。無条件にそうだ、お前
は悪くない、そう言って抱きしめて欲しかった。そうして欲しいのに誰もしてくれなかった・・・優しくされたかった・・・ずっと・・・・
127夢花火:2007/08/14(火) 10:22:55 ID:wIZ6va4/
「おくりもの」9

兄貴、道具は持ったか。起こさんように静かにせい・・・ 

薄い意識の中で誰かのひそひそ声を聞いた気がする。気がつくと泣きつかれて再び眠ってしまっていた。どうもここに来てから私はずっと子供の
ようである。
「目が覚めた?」
ものすごい至近距離に誰かの顔があった。思わず「びゃ!」っと叫んだら、私の肩を抱いていた男が慌てて両手を放し、支えをなくした私はバラ
ンスを失いゴン・・・という大きな音とともに後ろに倒れ、床に後頭部を思い切りぶつけてしまった。
「驚かせてごめん。なんだか寝苦しそうだったから床に寝かそうかと思って」
声の主はそう言うと、痛かったかい、と私の目を覗き込んだ。 
 

涼しい目元にどこか幼さの残る顔。この顔はどこかで・・・どこかで見た。どこかで・・・・

「あの時の・・・!!!」こんな事があるか、この男、あの時のスリだ。バーキン!
「よくも!バッグ返してよバカ」私は男に馬乗りになった。あの時は薄暗くて分からなかったがよく見たら子供だ。背も私と同じくらいだし、雰
囲気がひ弱そうだし勝てそうな気がする。
「何のことだよ、やめて、知らない、太過分了!!(ひどいよ)」少年は爪立て攻撃に完全に降参して私を振り切るとソファまで走って逃げた。
「嘘つかないでよ。警察に行く。突き出してやる」
「やってないよ!やってない。知らない」
「知らないならいいわ、一緒に来ればいいじゃない。こういうのは調べたら前科とかあるんでしょ。来たらはっきりする」
私が言うと、彼は「分かった。でも警察に行っていいなら冤罪で訴えてやる」と言って睨んだ。冤罪。難しい言葉を知っている。
「ちょっと。あんた今さっきも変なことしたんじゃないでしょうね」
「してません」傷ついたように言って少年はうつむいた。
「僕が声を掛けたらあなたは鞄を両手でしっかり持っていましたよ。こういう風に、胸の前に。不可能でしょう。声を掛けたのは離れたところだ
った」
「でも、でも声をかける前にとったら出来るわ」
「ならそのまま逃げるよ普通」
それもそうだ。わざわざ自分から顔を見せる必要はない。
「じゃぁ誰が・・・」ふと思い当たった。あのおばさん?人のよさそうな?思いっきり日本人顔の?私は慌てて記憶を辿った。
「眼鏡が青くって、パーマがかかってて、二番目の息子が出張でとか言ってなんか品がいい感じがしたおばさんが、私のすぐ近くに来てた」
「そりゃスンのばあさんだよ。あなたに会う前店で僕も見たし。この辺じゃ有名なんだ」
「知ってんの?」待てよもしかしてこの子・・・幼い顔をしているが窃盗団の一味かもしれない。しかしこの際頼ってみるしかなかった。
「私のバーキン、鞄、取り返して!お願い」
「昨日派手に飲んでいたらしいからね。鞄は売られてなきゃいいけど」と言うとロンは私を急かして表に出た。そして汚い乗り物を指差すとこれ
で一緒に行くよ、と顎をしゃくった。
128夢花火:2007/08/14(火) 12:57:11 ID:wIZ6va4/
 

(すみません・・・ここからちょっと時間ください)
 ゴメン(-人-;)(;-人-)ゴメン
129癒されたい名無しさん:2007/08/14(火) 18:21:18 ID:hjzksHl9
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
130癒されたい名無しさん:2007/08/16(木) 22:12:40 ID:GVYGPE5V
百均の超ミニタッパーにこっそり貯めていた耳垢、
お盆の間に捨てられてたよ…

耳かきしながら続き待ってます!
131癒されたい名無しさん:2007/08/17(金) 10:24:02 ID:VrxTEqY9
もう待ちきれない!
132夢花火:2007/08/17(金) 12:25:00 ID:W1rPzrFB
「おくりもの」10

 少年はロンと名乗った。指差したスクーターはもともと二人乗り用ではないのにさらに三人乗れるように台を付けていた。大きいエンジンはむき出しでボディは何回塗り替えたのか分からないほど
の色んな色が塗られ、大部分錆びて剥げている。走る度ガタガタする石畳がもろにお尻を直撃し、私は何度か舌を噛みそうになってしまった。
大通りに出るとスクーターをとめ、ロンはまっすぐ小さな建物の中に入っていった。建物の中は埃っぽく静かだったが天上からの光が明るい。窓には色とりどりのステンドグラスが張られていて、や
さしい光が満ちていた。
(古美術のお店かなぁ・・・)
見渡すと古い猫足のテーブルや、背もたれのゆったりした木の椅子、アンティーク調の家具がたくさんあって、棚には絵画や茶碗や大きな花瓶もある。ロンの後を追って歩いていくと、深紅の重たい
どん帳がカーテンのように垂れている部屋らしきところに着いた。ロンはカーテンを手でさっと分けて入っていく。私も慌てて後に続いた。
中は三畳ほどの大きさだった。そこには一人用の大きなゆり椅子があって、あのお爺さんが座っていた。手作りらしい机の上には小さなテレビがちょこんと置かれている。お爺さんのあれは部屋着で
はなかったらしい。さっきと全く同じ格好である。ロンは何か分からないがお爺さんと喋って、私に「ここでちょっと待っていて」と言ってどん帳部屋の奥にある部屋に消えた。テレビの音以外何も
なく静かだった。お爺さんは私のことを無視してまたニュースを見ている。

どれくらい経っただろうか・・・ロンは一向に部屋から出てこない。私はにわかに不安になり始めた。もしかしてあの部屋は外に通じていて、私を残して逃げたのではないか・・・?私は思い切っ
てドアを開けた。


薄暗い。上から裸電球がぶら下がっている。お香がたかれているのか不思議な香りがした。古い納屋に置かれている干草みたいな匂いだ。部屋には机も椅子もなくてがらんとしている。天井から大き
な蓮の模様の入ったすだれがぶら下がっていた。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
すだれの向こうからぼそぼそっと喋る声がして、急に帽子を被った誰かが勢いよく飛び出してきた。私にぶつかると、謝りもせずにその人は走って行ってしまった。
「なんだ・・・?」
すだれを開けると、ロンとさっきのお爺さんが長椅子に座ってこちらを見ていた・・・
133軽い耳かき関連シーンあり:2007/08/17(金) 12:26:29 ID:W1rPzrFB
「おくりもの」11

「信じられない。逃がしたの!?あんたたちグルなの?」
グルって?とロンは言った。意味が分からないらしい。さっきの帽子の人はあのおばさんだったのだ。
「鞄もお金も無事なんだからもういいじゃないか」
「よくないわよ。ものが無事だからいいってもんじゃないでしょ?ここで見逃してもまた繰り返すのよ?警察に言うべきだわ」
私がわめくと
「よく来る客なんだ。旦那が病気で死んじゃってから酒を飲みだして方々に借金があるらしい。師匠からも借りている。鞄はこのとおり戻ったんだから、許してあげ
てよ」
全く意味が分からない・・・ごめんで済んだら警察はいらないんだよ。
「あんたたち・・・なんでここにあのおばさんがいたのよじゃぁ。説明しなさいよ!」
「うちに借金を返しにきていたんだ。お金ができたらいつも来るから、もしかしたらここに寄っているかもしれないと思ったら案の定だった」
「そんなの納得できないし、グルじゃない証拠にはならないじゃない!」
「だから・・・」

「うるさぁあああああい!!!!」

突然お爺さんが叫んだ。鼓膜がやぶれるような大声だ。私は耳がキンキンして立っていられなくなって長椅子に座りこんでしまった。

「今、他のお客がいるんだ。その話は後で聞くよ」
ロンがばつが悪そうに肩をすくめて言った。
「・・・他の客・・・?」
暗闇に目を慣らすと、すぐ足元の一畳の畳がそのまま床に敷かれている上に、お婆さんがぽつんと寝転んでいた。
お爺さんはお婆さんのところに行ってあぐらを組むと、ロンを見た。
 ロンは私にチラッと目配せすると、大きなタンスから見るからに古そうな木箱を取り出し、中身を確認するような動作をしてからお爺さんに渡した。そしてまたタ
ンスの引き出しから茶色のお猪口くらいの大きさの陶器と、脱脂綿らしいものや細いうねうね曲がった妙に長い管みたいなものを出した。今度は近くにあった金ダラ
イに部屋の奥に置いてあったカメから何か注いだ。茶色い液体だ。それをたっぷりついでお爺さんのもとに運んだ。

何が始まるんだろう・・・やけに深刻そうなロンの表情と、部屋にずっとある妙な緊張感で私はさっきまでの怒りの持って行き場を失くしてしまっていた。
「・・・・」
私がどうしていいものか迷っていると、お爺さんはお婆さんの耳に手に持っていた電球を近づけ覗きこみ、おもむろに木箱を開けた。
134耳かきシーンあり*ちょっとSFチックw:2007/08/17(金) 12:28:13 ID:W1rPzrFB

「おくりもの」12

「あなたも見て行ったらいいよ。師匠の技はめったに見られないんだ」
ロンが近づいてきて小声で耳打ちした。
「技って何?」
「耳をね。まぁ見てろ、すごいぞ」
ロンは急に威張ったように言ってから、私を引っ張って畳みの縁まで連れて行った。

 まず、木箱からカチャリ・・・・と金属の触れ合う音がした。お爺さんは慎重にそれらを指でなぞり、しばらくお婆さんの耳と見比べてから木の細長い棒を取り出
した。お婆さんは信頼しきっているのか目をつむったまま全く動かない。どうやら今から耳かきが始まるらしい。
お爺さんは意を決したようにスッと匙を入れた。耳穴に入るまでものすごく早い。それからお爺さんは耳かきを持っている手の一指し指で小さい円を描くような動作
をした。その次に何かつまむような仕草。大きく混ぜるような動き。そこからしばらく手首を小刻みに震わせる。そして「ぐるん」と音のするような手の返しをした
かと思うと、お爺さんはゆっくり耳から匙を取り出した。

       蛇の抜け殻・・・・大きな大きな蛇の抜け殻だった。

薄い垢の皮が何枚も何枚も重なって、厚いもっこりとした層を作り、その周りを牛肉の脂身の網のような、飴細工のような、後ろが透けて見える程の繊細な衣を辺り
にそうっとまとっている。
すごい。何だこれ・・・・?あっけにとられる私を尻目にお爺さんはさっさとティッシュに垢を出すと、また同じようにスッと耳かきを入れた。今度は前よりさらに
柄の先端のほうを本当に摘む程度に軽く持ち、鋭い角度から掘っていく。カリカリカリ・・・・・ッ・・・・ポリカリカリッ・・・・まるでこちらにまで音がするよ
うな軽快なタッチである。お婆さんの表情は幸福そうに伸びて、ものすごく気持ちよさそうだ。
しばらく耳垢を軽くはがすような動作を続け、お爺さんはまた「ぐるん」をやって匙を取り出した。先ほどより塊が丸い。これは・・・沖縄のサーターアンダギーの
ような・・・丸い、大きくて柔らかそうな耳垢が匙に溢れていた。
「すご・・・」
お爺さんはさらに何回か同じ作業を続け、垢の小山をいくつもティッシュに出した。それはまるで玉子いろのスポンジのかけら。それも少し水分が残ったしっとりと
した粉なのだ。自分でも信じられないが、ちょっとおいしそうにさえ見える。
しばらくしてお爺さんの手が止まった。また木箱をさわって耳かきの道具を出している。今度はさっきより一回り小さい、これまた木の耳かきを取り出した。
135耳かきシーンあり*ちょっとSFチックw:2007/08/17(金) 12:29:27 ID:W1rPzrFB
「おくりもの」13

「次はもっと見ものだよ」
ロンがまた小声で耳打ちする。お爺さんは、今度はゆっくりと匙をお婆さんの耳穴に入れた。今度はさっきより耳から見える柄の部分が短い。かなり奥まで入ったら
しい。そしてこちょ・・・こちょ・・・と少しだけ動かすとすぐ取り出す。匙に耳垢はついていない。そしてまた入れる。また少し動かして出す。また入れる・・・
こうしてお婆さんの耳の四方八方の角度から耳かきを差込んでは抜くという不思議な動きを繰り返し行った。
 急にお爺さんは「ほぅん・・・」とため息ともなんともとれない声を上げた。そしておもむろに足元にあった、先ほどロンが持っていったくねくねの長い管を手に
取り、お婆さんの耳にそれをつっ込んだ。
「え・・・」
お爺さんはなんとその管をストローみたいに口にくわえ、空気を吸い込み始めたではないか。
・・・ズズズズズ・・・・ズズ・・ズズズズ・・・
お爺さんは大して苦しくもなさそうに吸うと、息を吐き、またくわえては吸って、また吐く。あまり長い時間ではなかった。お爺さんが管をそうっと抜くと、先ほど
はよく見えなかったが先には小さな金属のキャップみたいなものがついていて、そこのU字型のくぼみ部分に濃い黄色の堅そうな耳垢の塊が挟まっていた。お婆さん
は満足したように微笑んでいる。お爺さんはまた例の木箱から今度はフサフサした綿毛のついた棒を取り出し、お婆さんの耳に優しく入れて最後の仕上げを行った。
この間わずか5分なかったと思う。この爺さん・・・何者・・・

 お婆さんがお爺さんの耳元で何か言った。お爺さんは頷いた。お婆さんは寝返り、反対の耳をやってもらうらしい。お爺さんはまたさっきの木の耳かきを使うと思
ったのに、今度は金ダライ中の液体をお猪口の小さいコップですくい、そのまま器用にお婆さんの耳の穴に注いだ。もう何が何やら分からない。一体何が起きている
のか・・・それでも不思議な高揚感があるのだ。今の私にはお爺さんの技がもっと見たいという、純粋な好奇心しかなかった。

お爺さんはお婆さんの耳に液体を目一杯入れると、脱脂綿に唾をつけて詰め、耳の入口に蓋をした。そしてマッチを取り出した。何・・・何をするというのか・・・?
火をつけた。脱脂綿は一瞬「ボッ・・・」という音をたてて燃え、すぐに炎は消えた。
136耳かきシーンあり*ちょっとSFチックw:2007/08/17(金) 12:31:08 ID:W1rPzrFB

「おくりもの」14

「うそ!危ない・・・」
思わず声を出すと、お爺さんは口をゆがめて私のほうを向いた。サングラスで見えないがおそらくしかめっ面をしているのだろう。
「シーッ・・・」とロンも私の服を引っ張った。
 お爺さんは木箱からピンセットを取り出した。なんだか先っぽが少し大きく見える。それで脱脂綿をまず取り除き、お爺さんはその
まま「ぬっ」と穴にピンセットを差し入れた。ググググ・・・・かなり深いところに差し込んでいるらしい。力強く入れてしまうと、
今度は微妙に震えながら少しづつひねりを加え、回転をかけるように引き抜き始めた。ググググググ・・・グッ・・・グリリリリ・・・
少しづつ出てきた・・・・さっきの炎であの茶色い液体は固まってしまったのか、ピンゼットに掴まれて震えながら顔を出してくる。
グググ・・・お爺さんは全く焦ることもなく、ゆっくりゆっくり時間をかけて慎重に茶色の塊をつまみ出した。そして、そしてついに
その姿が完全に現れた。

 耳の形はこうなっているんだな、と分かる完璧な形・・・・・よくサザエのつぼ焼きなんてたとえ方をされるがまさにそのまんま。
よく完璧にこの形のまま取り出せたものだ。あの液体は寒天のように固まって、透明感のある茶色の表面を薄く包むようにして耳垢が
びっしりついていた。びっしり。米が立ったような状態でモロモロの垢がびっちりと・・・・お婆さんはどうやら耳の中を怪我してい
たらしく、古い血の固まりや黄色い液の固まったパキパキしたものもたくさんついていた。そして先の先、つぼ焼きの一番先には、粉
のような耳垢に包まれた小石のようなつやつやの塊がくっついていた・・・・

「す・・・・ご・・・・」
私は思わずティッシュに近づいてまじまじと見ていた。普通なら知らない人の、しかも耳くそなんか汚くって見たくはないと思うだろ
う。私だってそうだ。なのに何でだろう・・・?すごい重量感のこの塊、もうただただ見とれるしかないのである。手にとってみたい
くらいだ。汚いとか、もうそういう感覚は麻痺していると言っていい。芸術品のようなその塊に、私はすっかり見入っていた。
137夢花火:2007/08/17(金) 12:32:53 ID:W1rPzrFB

「おくりもの」15
お爺さんはあんなものすごい技を披露しておいてせっかくの収穫には興味がないらしく、さっさと木箱に道具を仕舞いはじめた。お婆さんも
こんなにすごいものが耳から出たというのに、全くそれに関心を示すこともなく帰り支度をしている。お爺さんとお婆さんは言葉を交わすこ
ともなく、身支度を整えたお婆さんはすだれを押しのけて部屋から出て行ってしまった。
ロンは耳垢ののったティッシュをぞんざいに掴むと、まだ私が鑑賞しているのにくるくる包んでゴミ箱に捨ててしまった。
「あ・・・もったいない・・・」
ロンは私の顔を見て、面白かった?と笑顔になって聞いた。
「うん・・・お爺さんすごいね。ここって耳かきするお店なの?」
とまだ夢見心地のような私が聞くと、普段は入口の古美術の店をやっていて、耳かきは特別な客にしかやっていないと言った。
「お師匠はプロの耳かき屋さ。僕も弟子になりたくてここに置いてもらっている」
「へぇ・・・すっごかったねぇ・・・」
よく中国なんかにはものすごい技をもったびっくり人間みたいな人がテレビなんかに登場しているけれど、耳かきのスペシャリストみたいな人
を間近で見たのは初めてだった。間違いなくプロなんだろう、このお爺さん。迷いがない素早い手さばき。あのお婆さんの幸せそうな顔・・・・
「鞄の話だけど・・・」
道具を流しで洗うお爺さんとロンの背中をボーッと眺めていたら、ロンが振り返ってこちらを伺うような顔で話しかけた。
そうだ、私はすっかり鞄のことを忘れていた。
「もしあなたがよかったら、師匠が耳かきで水に流してもらえないかって言っているんだけど」
「え・・・?」
「もともとあのおばさんは師匠が使う道具を作っていた人の奥さんだったんだ。昔からの知り合いがやったことだからって師匠が・・・」
お爺さんはくるっとこちらに向き直ると、私の顔をじっと見た。
 どうしよう。でもあのお婆さんの気持ち良さそうな顔・・・確かに鞄が無事だったんだし・・・私もあの技を受けてみたい・・・
私が答えに迷っていると、カツッ、カツッ、と音がして、誰かがすだれの向こうから近づいてきた。
「どぉれ、やっとるかい」
138夢花火:2007/08/17(金) 12:34:00 ID:W1rPzrFB

 「おくりもの」16

 見るとお爺さんだった。お爺さん。あれ・・・?お爺さんは目の前にいる。後ろにいるこのお爺さんは目の前のお爺さん。お爺さん。二人?
二人・・・??

「びっくりしたか?」
わははははは!後ろのお爺さんが爆笑した。
「双子ってこと・・・?」
今までにも双子は見たことがあった。けれど老人の双子、それもこんな着ているものからなにから何までそっくりの双子なんか見たことがない。
後ろのお爺さんは杖(棒っきれ)を持っている。ということは、私と今朝話したお爺さんか・・・ 
「せっかくだからやってもらったほうがええぞ。兄貴の方から客を取るなんてめったなことではないからな」
どうやらお爺さんは弟らしい。兄貴と呼ばれたお爺さんは、むすっと口を閉じてまだ私を見ていた。私は弟に言われてそれもそうだと思った。
どうせホテルに帰っても帰国するしかないのだ。思い出作りになるかもしれない。
「やってもらいなよ。僕はこれから学校に行かなきゃいけないんだ。師匠に任せておけば間違いないよ」
ロンも私にそう言って無理やり畳に連れて行った。もうこうなったら、いや、どうなったらって感じだけどやってみるしかない。私はジーンズ
からゴムを取り出し、髪を縛ってから横になった。

「さて、緊張したらいかんぞ。体に力が入ったらできるもんもできん。何にも考えずにゆったりするんじゃ。眠ってしまうくらいリラックスす
るといい耳かきができる」
弟は畳のそばに床に腰をつけてから言った。ロンが兄のほうに何か喋っている。中国語というか、台湾語だろうか、ちょっと微妙にイントネー
ションが違う。
「お兄さんはあんまり日本語を話さないの?」
こそこそと弟に尋ねると、「あんまりじゃな。めったに喋らん。というか地の言葉もめったに喋らん。恐ろしく無口なんじゃ」と言う。私はち
ょっと心配になってきた。もし痛い時に通じなかったらどうしよう。弟のほうが話安いし、双子なんだからもしかして・・・そう思い「お爺さ
んは耳かきできないの?」と尋ねてみる。
「できるが危ないぞ」
弟はそう言うとこれを見てごらん、と言ってさっとサングラスを外した。お爺さんの両目は白く濁って、黒と白の絵の具を混ぜたようだった。
139癒されたい名無しさん:2007/08/17(金) 14:47:13 ID:Fh/gFdBG
wktk
140癒されたい名無しさん:2007/08/17(金) 15:54:16 ID:nSZtf8+Y
いいい、いいところで止めますなぁぁぁーーーー
141癒されたい名無しさん:2007/08/17(金) 16:12:59 ID:VrxTEqY9
夢花火先生の作品が読めるのは、2chだけ!
142癒されたい名無しさん:2007/08/17(金) 17:04:13 ID:moUuP9cY
こりゃまた、内容の濃い小説がうpされてうれしい限り
です。今まで色々な耳垢の隠喩表現がありましたが、
まさか「蛇の抜け殻」ときましたか、しかしそれが
また文に合う事合う事。完成まで頑張ってください。
これは永久保存版になりました。
143癒されたい名無しさん:2007/08/17(金) 18:20:30 ID:Ng/eMzwq
すごいボリューム…ゴクリ
144癒されたい名無しさん:2007/08/19(日) 08:46:05 ID:Ln+BJARV
夢花火さんに焦らされてハァハァだけど俺も書いて見ようかな

実際の話というか、体験を元に書くのはおk?うちのハウスキーパーさんとの話なんだけど…
145癒されたい名無しさん:2007/08/19(日) 09:44:35 ID:ByOUcXJA
>>144
書いて書いて!!
146癒されたい名無しさん:2007/08/19(日) 18:00:23 ID:/bVpX/Kb
>144
また新たな挑戦者が、楽しみにしてます。
147癒されたい名無しさん:2007/08/19(日) 23:31:12 ID:td2oeBsL
wktk
148癒されたい名無しさん:2007/08/20(月) 12:09:06 ID:BpvUxdJS
そろそろクル予感!
149癒されたい名無しさん:2007/08/20(月) 19:57:22 ID:arcUN3BM
これはwktkせざるを得ない
150癒されたい名無しさん:2007/08/20(月) 23:48:22 ID:pHQsKv1r
癒されたい・・
151癒されたい名無しさん:2007/08/21(火) 16:23:30 ID:OiESf839
早く・・来て
夢花火・・・
152夢花火:2007/08/21(火) 17:30:05 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」17


「昔は通りで商売していたのさ。でも片目が昔から悪くてね。それでも兄貴と一緒に通りで客の耳掃除をしとったんじゃが、十年くらい前か
ぁ。両目ともほとんど見えなくなっちまってさ。誰だって目が見えない人間に耳の穴をいじられるのは恐いだろ。ひいきにしてくれる客もい
たけど、歳には勝てない。今は兄貴も体が弱くなったし二人して店に引っ込んで、わしはこうやって気の合う客と喋るのが役目になっちまっ
たのさ」
なるほど。 
「そうなんだ・・・お爺さん日本語上手だね。何で?勉強したの?」と聞くと、「わしらくらいの年寄りは、みんな日本語は得意さ」と言っ
て笑った。

  兄のお爺さんが近づいてきた。いよいよ耳かきである。弟にアドバイスされたように、できるだけ体に余計な力を込めないようにする。
兄はスッと床に腰を下ろし、手元の電球をカチっとひねって明かりをつけた。
「ふぅん・・・・」兄はおもむろに私の耳を手で掴み、覗き込んだ。鼻息がこそばゆい。電球をすぐそばで当てているらしく、耳たぶが熱か
った。

「カハッ!!!」

突然兄が笑いとも咳ともつかない声を上げた。びっくりして弟を見ると、お爺さんは愉快そうに口をあけて笑っている。

「・・・何?」

「ははは、こりゃぁいいや。兄貴がいい形の耳だってよ」

いい形の耳。そんなものがあるんだろうか。耳の形にそもそも違いなどないと思っていた私は、そういうものなのかな、と内心疑わしく思っ
た。
兄は例の木箱から道具を吟味していた。そしてさっきのお婆さんのように木の耳かきを出すのかと思えば、今度は何やら赤茶けた柄の棒を手
にとった。
「はぁ〜兄貴、それを使うとはねぇ」

・ ・・・弟は合いの手を入れるのが癖らしい。私はもう覚悟はできていたつもりだが、そういちいち大げさな反応をされては気になるじ
ゃないか・・・

弟がしきりに感心したように言った耳かきは、なんとゆるやかな弧を描いた先端の匙が、普通の耳かきとは段違いの、針のような細さになっ
ていた。先はちゃんと丸くなっているようだが、これが耳に突き刺さった場合確実に鼓膜をやられてしまう・・・
153耳かきシーンあり:2007/08/21(火) 17:34:28 ID:R2gtUDQL
「おくりもの」18


「大丈夫?これ大丈夫・・・?」
私は弟の膝に片手でしがみつきながら、見なきゃ良かったと思った。これでは体の力を抜くどころの騒ぎではないじゃないか。血を見るかも
しれない。
「安心しろ。兄貴がこれを使うのは得意中の得意なんだ。そんなことより、リラックス、リラックス」
出来るわけがない。やっぱり止めてもらった方がいい。私は体を浮かして帰ろうとした。じんわり嫌な汗をかいている。だがその時、兄が体
を起こそうとした私の額をポンと叩いた。するとそれだけでなぜだか簡単に力が入らなくなり、私はだらしなく畳にごろりと横たわった。
私の耳にそっと手を添えると兄の耳かきが入ってきた。

 ガゾリ・・・・・
乾いたわら半紙を、丸めて擦り合わせたような篭った音がした。 


ゾリッ・・・・ゾゾゾゾ・・・・・
ゾリゾリ・・・・ガリ・・・ゴゴ・・・ガリゴリッ・・・・
どうなっているのだろうか。今までの耳かきでは感じたことのない音がするのだ。それも乾いた布袋を荒い砂地で引きずるような、ドライな
音だ。自分の耳で鳴っている音なのに、どこか電話越しから聞くような錯覚を起こす音・・・

ガリ・・・・・ボリボリボリ・・・・・・・・・ゴゾッ・・・・・・

どうやらお爺さんの耳かきとも思えない針のような棒は、私の中の垢を素早い早さで突付いているらしい。この音はしばらく続いた。が、あ
る時、音の重さが一瞬変わった。急に現実的なはっきりした音に変わったのだ。まるで無音だった沼から息をするために、顔を上げた魚のよ
うだ。

 ・・・・ボリッ・・・・!!
154耳かきシーンあり:2007/08/21(火) 17:38:04 ID:R2gtUDQL
「おくりもの」19

 痒い!・・・・・いや、これは一体何だろう、痒い。それもただ痒いのではない。脳に一番近いだろう部分が、もどかしく心地よくてたま
らないのだ・・・・・この道具は何なんだろう?今までこんな感覚は知らない。
チリッ・・・チリッ・・・という、このなんとも言えないむず痒さ。思わず足を擦ったり、手の指を開いたり閉じたりしてしまう・・・・

「良い具合だ」
急にすぐ耳のそばで声がした。目をグリッと動かして足元のお爺さんを見る。おや、弟がいない。とするとどうやらこれは弟が言ったのでは
ないらしい。慌てて兄の方を見上げると、兄は嬉しそうに口の端を上げて木箱をカチャカチャいじっていた。

兄は次にこげ茶色に煤けた木の耳かきを出した。かなり年季が入っているようだ。見ると柄の部分は微妙にくねっていて、まるで女性の身体
のラインのような美しい弧を描いている。お爺さんはその耳かきを軽く消毒液を浸した布で擦って、私の耳にサッと差し入れた。

  ザグッ!!!

・・・・・サクサクサクサク・・・・サクサク・・・・サックサックサックサック・・・・
・・・・・きもちいい・・・・痒い場所は相変わらずなのだがそれでも微妙な刺激が背筋を撫でるように行き来するではないか。

・・・・・サクッ・・・・・ファサ・・・・・

兄はそうっと耳かきを取り出した。

「は・・・?」
そこには、山があった。匙からこんもりと盛れるだけ盛った山。マウンテン。耳垢の山。
「え。え・・・これ・・・」驚きで言葉が一瞬出なかった。山の見た目はふかふかした素材でできた雲のようである。お爺さんはパッとテ
ィッシュの上に匙をひっくり返して耳垢を落とすと、さらにまた差し入れた。
サクサクサク・・・・サクサクサク・・・・・
そして出た耳垢はまた山もりである。それが三回くらい続いただろうか。三回目には少し色も白から黄身がかった色になり、雲のような質感
からみっちりした、水分のあるような濃密な重さに変わったのだった。
155耳かきシーンあり:2007/08/21(火) 17:42:23 ID:R2gtUDQL
「おくりもの」20


・・・・コリッ・・・

しばらくして硬い音に変わった。
・・・・カリカリカリカリ・・・・コリッ・・・コリカリカリコリ・・・・
耳の壁を細かい振動が舐めるように這うのが分かる。あぁ、ぁぁあ・・・痒みを、痒みをほじくっている。そこだと思う場所に必ず匙がやっ
てくる。少し痛気持ちいいくらいにしてくれる。丁度いい。あぁぁ・・・・・

ココココココ・・・・コココココ・・・・

・・・・指の先まで痺れるような快感がやってきた。耳かきの匙で叩くように壁がこそがれている。硬い耳垢を匙がコリカリコリカリしつこ
く追いかけるのだ。もうその快感たるや・・・・・
スッと匙を取り出すと、先ほどの耳垢山とは打って変わり、山吹色に変色しかかったポロポロの耳垢がゴッソリ。文字通りゴッソリ・・・・

お爺さんはそれから匙を変えることもなく、私の耳に器用に手首を返しながら耳かきを入れ、コリコリコリカリッ・・・・コリコリカリコリ
ッ・・・・と小気味いい音をさせながらほじくっていく。

もう力が入らなかった。頭の重ささえ支えられないのだ。深い海でじっとじっと沈んで、お爺さんの耳かきに翻弄されているだけの存在であ
るようだ・・・気持ちよすぎて自然に口が開く。閉じられないのだ。涎さえ垂れかねないこの快感の中で私は、もう恥じらいとか、理性など
は全く用をなさないと自覚した。


どれぐらい経っただろうか。ペリペリペリッ・・・・という何かをめくる音と共に、ズルッ・・・・・と何かが出てきた。

見ると薄いライスペーパーのような半透明の膜が・・・それは耳の穴の形に輪を作って、ぴかぴかでコロッと可愛く丸まっていた・・・

「わぁ、いいなぁ、こりゃいいぞ」
弟がいつの間にかまた座っていてはしゃいだ声を上げた。私も我に帰って、じっとそれを眺めた。すごい、お宝だ。かなり耳の奥にあったのだろう、しっとりしたつややかな外見はつきたての餅みたいに見える。
156耳かきシーンあり:2007/08/21(火) 17:47:27 ID:R2gtUDQL
「おくりもの」21

「わぁ、すごーい!!やったぁ!」私は思わず喜びの声を上げた。
兄は私の歓喜の声にも動じず、今度は梵天と呼ばれるふわっふわの毛の付いた棒で仕上げに入った。微妙に改良しているのか、刺繍糸よりさ
らに細い糸で耳の先端まで入るように形を整えられている。手入れがいいのだろう、毛はわき立つような白だ。


ザワワワ・・・・・ゾー・・・ザワザワ・・・・・ゾーッ・・・・・

「あぁ・・・・頭の中が気持ちいい・・・・」
やわらかい風の中にいるようだ。


ザーッ・・・・・ゾワワ・・・・・・ザー・・・・・


「子供みたいな顔をしとるんだろう。さっきまで眉間にしわが寄ってから、せっかくの美人が台無しじゃったぞ」
弟は目が見えないくせにそんなことを言った。でも見えない人にも分かるくらい、今の私の声は穏やかなのかもしれない。兄はまた梵天をく
るくると回し、その度水鳥の羽が、私の皮膚を柔らかな風になってさらってしまうような感覚に酔いしれた。

弟が言った。
「子供の頃な、母親の膝で耳かきされる時間が大好きじゃった。昼も夜も母ちゃんは働いとって忙しくてなぁ。ちっともじっとしとらん。兄
貴の他に妹が三人おったからいつも母ちゃんの取り合いをしとった。耳かきの時だけよ、独り占めできるのは・・・」

そういえば私も小さい頃よく母親に耳かきをしてもらった。暖かくて柔らかい膝の感触が大好きで、普段いつもいない母に甘えていたくて、
耳かきが終わってもなかなか膝から離れなかったのを覚えている。母からはふんわり優しい香りがして、私はずっと一緒にいたくてそのまま
寝たふりをする。母は仕方ないわねと言いながら、私を抱いて布団まで連れて行ってくれた。布団で薄目をしていたら、夏はよくうちわで風
を送ってくれていた。あの頃の私にとって、耳かきはいつも幸福感に満ちていた・・・
157夢花火:2007/08/21(火) 17:55:28 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」22


兄はもう片方も同じやり方で丁寧にやってくれた。私の耳はとてもやりやすいらしい。最初は無口だと思ったが、話しかけると兄は結構喋っ
た。主に耳のことについてだけだったが。そして最後、塵のような細かい耳垢も梵天でさっぱりとさらうと、私の耳かきを終了した。
私は素直に感動していた。こんなにすごい耳かきがあったとは・・・世界は広い、お爺さんの技術がどれほど高レベルなのかは、比べようが
ないのでよく分からない。だが私は耳がすっきり爽快になる度に、気持ちまで軽くなっているのを確かに感じたのだ。


翌日である。お爺さんの耳かきに感動した私は、一度はホテルに戻り帰国の準備を終え、すぐ飛行機に乗ろうかとも思った。しかしロン
にも会っていなかったのと、意外にホテルからお爺さんの店が近かったこともあり、再び店を訪れたのだ。店は賑わっていた。すると私は次々
にやってくるお客さんの耳かきを見たくなり、結局お爺さんたちにへばりついて存分に技を堪能してしまった。気がついたら夜だった。そし
て結局一泊してしまったのだ。兄は一人一人全て違ったやり方で耳かきを施した。耳毛のすごい人には油絵のへらのような小さいかみそりで
ジョリジョリ剃ったりもしていた。華麗な手さばきに私はいつしか引き込まれ、時間の感覚をすっかりなくしてしまったのだった。


お爺さん達とロンとの暮らしは穏やかで、私も一緒に居て楽しかった。家事を手伝ったり、皆で簡単なゲームをしたりもした。ロンに私の純
子という名前を教えると、純、純と姉のように親しげに呼んでくれた。中国語と台湾語は微妙に違っていて、お爺さんとロン以外の人の言葉
はさっぱりだったが、(私が飲み屋で道を聞こうとして言った『隅俸一下』は発音の違いでキスしていい?となるらしい。御爺さん達に言う
と爆笑していた)三人とも日本語が達者なので全く不自由しなかった。生活様式や文化がまるで違うのに言葉は通じる。これはやけに心地よ
い空間だった。私は本当に来て良かったと思っていた。ちょっと浮かれていたのかもしれない。もうこのままここで暮らしてもいいかなぁ、
とバカな事を考えるくらいには。
158夢花火:2007/08/21(火) 17:59:52 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」23


時間は過ぎる。これ以上は迷惑だし、さすがに帰らなければならなかった。私はお爺さんにお別れしようと、弟に話しかけた。すると弟は
なんだか浮かない様子でぼんやり窓際に座ってタバコをふかしてる。聞けばロンが最近あまり客をとらないらしい。実践で技術を上げるの
が一番だそうだが、ここのところどうもおかしいのだと。

 「近頃の若いのは悩みが多いのかねぇ。何か知らんが塞いでいる。口に出せばいいものを足りん頭で色々ややこしくしおって全く」
弟はそう言いと棚にあった綺麗な缶を空け、小さい子供にやるように私の手のひらにそっとキャンディーをのせた。私も子供のように歯でカ
チャカチャ音を鳴らしてなめた。



 ロンは机に座って勉強をしていた。大きな辞書を引いて英語の宿題をしているらしいのだがさっきから手が止まっている。何か考え事をし
ているらしい。私に気がつくと、いたの、と笑いかけた。そして急に体ごとこちらに向き直ると、純は東京から来たの?と聞くのでそうよ、
と答えるとロンはものすごい笑顔になった。

「サエコを知っている?」
「サエコ?誰?芸能人?」
ロンは違う、木村サエコ、と言ってタンスの引き出しから写真を取り出した。撮影場所はこの部屋だろうか、髪の長い、可愛い女の子が笑顔
で写っている。
「去年の春に来てたんだ、東京から」
ロンはそう言うと写真を大事そうに両手にとって眺めた。それは本当に、大切なものを壊さないように包むような触り方だった。

「知るわけないじゃない。東京ったって広いんだから」
私が呆れて言うと、ロンは「そう・・・」と呟いてみるみる間にしょげ返りうなだれて外に出て行ってしまった。写真の彼女はとてもかわい
くて若く見える。もしかして出会った時に言っていた知り合いというのはこの子のことだろうか。どう見ても十代だろう。一体この顔のどこ
を私と間違えたというのか。全くかすりもしていない。

ロンを探しに行くと家の前の石段に背を向けて座っていた。Tシャツの中でしなやかな背中が丸くなり、悲しんでいるのがわかる。それを見
て私は分かりやすい子だなぁ、と思った。歳の割りにものすごく子供なのだ。

「ねぇ、彼女だったの?」
「・・・お父さんの転勤で来ていたんだ。サエコは高校だったけど。友達になってしばらくして付き合った。最初は帰国しても手紙をくれた
のに、今は連絡がないんだ。手紙の返事がこない。どうしているのか分からない」

「さようなら、ってことでしょ。分かるじゃないそれくらい」
ロンはがばっとこちらに顔を上げるとムキになったように「でも最後の手紙にまた会いたいって書いていた」と言った。

「それっていつの手紙?」
「一年くらい前」

「え、そんなに前なの?どれくらい付き合ってたの?」
「二ヶ月くらい」
159夢花火:2007/08/21(火) 18:01:25 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」24


「そんなに好きだったの?」
私は真似してロンの隣に腰掛け、顔を覗きこんだ。自分からさっき舐めた薄荷のキャンディーがふわりと香った。夕方が近づいて店が空く時
間なのだろう。通りが騒がしくなり始めている。

「好きだよ。今も」ポツリとロンは言って膝を抱え、下を向いた。そんなに落ち込まれるとさっきさよならされたと言ったことがいたずらに
彼を傷つけたような気がして、私はだんだん可哀想になってきた。たった二ヶ月付き合ったこと、それが彼くらいの男の子にとって短いのか
長いのか私には分からない。一年以上気持ちを持ち続け、まだ彼女を待っている・・・どうしてなんだろう。彼くらいの頃、中学年くらいの
頃、私はどんな子供だったっけ・・・ 

「まぁ・・・そのうち来るかもしれないし、君もいつまでもくよくよしないで、ちゃんと修行しなさいよ。プロになるんでしょう」
私がそう言うとロンは「くよくよなんかしてない」と言って立ち上がりそのまま通りに歩いて行った。その日ロンは帰ってこなかった。その
日はおじいさん達と私の三人で夕ご飯を食べた。私はこのままではなんとなく帰れないような気がして、もう一日泊まることにした。

160夢花火:2007/08/21(火) 18:02:47 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」25


あれだけで傷つく人がいる。彼が帰ってこないのは明らかに私のせいだったが、私はお爺さん達に彼を傷つけるつもりはなかったと言い切れ
なかった。純粋な気持ちを持っている人を見ると傷つけばいいのにと思う。早く世の中はそんなにいいもんじゃないと思い知ればいいのにと
思う。人の気持ちは移ろいやすくて、永遠に変わらない愛なんてないと気がつけばいいのに。そして腹を立てなさい。踏みつけられた自分の
愚かさを恨みなさい。そこから強くなりなさい。世の中で自分ひとりしか信じられるものなんてないと今の私は知っているし、もっと早く知
っていたら、こんな最悪の方法で傷つくことなんてなかったのだから。

 なんだか寝付けなくて、リビングに行くとお爺さん達がまだ起きていて並んでお茶を飲んでいた。

「ロンを待っているの?」
「まぁね。あとちょっとしたら寝る」
弟はそう言って私にお茶を入れてくれた。震える手で、ものすごい高さから注ぐので器にはほんのちょっとしか残らない。

「・・・私がサエコはもう来ないみたいな事言ったから。傷つけてしまって」

「いいや・・・普段からいろいろ思うことがあったんだろう」
と静かに兄が言った。弟も頷いてから言った。

「ロンの家族はここから遠く離れた高雄にいてな。12になってから預かったが最初はもう手のつけられん悪ガキ。頭はええんだが口が達者
で人の揚げ足はとるわ、妙にひねくれとって悪知恵の働く嫌なガキだった。よういろんなもんをちょろまかされて困ったもんだ。今でこそこ
こは都会に思われるが貧しい家も多い。見てのとおりうちも貧乏だしな。ロンの家も貧乏で、小さい頃からいろんな家に預けられていたから、
減らず口は大人とやりあう為に身につけた生きる知恵みたいなもんだったんだろう。こっちに来てからはあまり仲の良い友達もおらんようだ
し、大人とおる方が楽しいと言って心配しとったんだが、サエコと友達になってからは変わった。本当の自信がついたんか優しくなって、友
達もできるようになった」 

ジー・・・ジー・・・

網戸の外で、夏の虫が鳴いている。天井の蛍光灯に小さい蛾がぶつかってパチンと音を立てた。
161夢花火:2007/08/21(火) 18:06:12 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」26


「でもあの女子はもうここには来ないだろう。どこかで気がつかないといけなかった」
「心配するな。ロンはしっかりしとる。大丈夫」
二人は口々に言った。そして同時にお茶を飲んだ。

 サエコを待っているのには訳があって、サエコが自分を忘れていないと信じることが今の彼の支えなのかも知れなかった。
嫌な大人だ、私はいつからこうなったんだろう。誰かに無責任な、その場しのぎの声を掛ける奴だったろうか。言葉っ面しか読み取れない、
深読みするのは自分に向けられた言葉だけのいやらしい大人・・・

私が思いつめたような顔をしていたのだろう。お爺さんは、眠れないなら、わしらの話でも聞くか?と言った。私はこっくり頷いた。


「わしらは九つの時に一緒に台北に出た。家族と離れてよ。それから今まで、ただの一回もどうやって生きて行くかなんてゆっくり考える暇
なんかなかったよ。働いて金をためて、奉公先の娘と結婚さしてもらえる約束だったさ。わしの相手は美人だったねぇ。でも何がどうなるか
分からん。その間に戦争があって、兄貴は日本の兵隊にとられた。日本語は公用語にされてな。わしは目のおかげで戦争に行かずに済んだが、
それでも残った片目で地獄を見たよ。戦争は長かった。やっと戦争が終わったと思ったら今度は中国から国民党軍がやってきた。略奪・暴行、
むちゃくちゃな時代よ。長い混乱の時代のうちに、私らの持ち物はなにもかにも無くなった。家族も、家も、村も。その間兄貴はずっと見つ
からんかった。わしは身が半分切られてしまったような気がしていた。双子というのは紛れもない分身だ。長い間落ち込んだね。皆、もう兄
貴はおらんから、しっかり生きろと言った。でもわしは不思議と兄貴が生きている、くたばってはおらん、そういう希望を捨てられんかった。
捨てたら生きる目的がなくなって、もう全部に負けてしまう。また会える、片割れのわしが死なん限り、兄貴は生きている。そう信じてな」

弟はそこまで一気に言うと、テーブルのぶどうを房からもぎ取って口に入れた。そんな話を聞きながら見た瑞々しいぶどうは、命そのものの
ようだと思った。

「ある時、わしは出先で滅多に歩かん通りを歩いとった。夕日のきれいな時間じゃった。そうしたら男に呼び止められた。耳を掻いてくれ、
耳を掻いてくれ、と言う。そうよ、兄貴は生きとった。戦争が終わってもずっと中国におったが、わしと会う本当にちょっと前から台北に戻
って便利屋をしとった。その中で耳かきをやったりもしとった。また兄貴に会えたとき、嬉しかったねぇ。本当に飛び上がった。嬉しかった。
命取られて死んだと思ったのに、それでも生きていて、こうして巡りあった。わしは奇跡を信じるよ」
162夢花火:2007/08/21(火) 18:07:21 ID:R2gtUDQL
「おくりもの」27

静かだった。みんな黙っていた。しばらくして、お爺さん達はもう寝ると言って立ち上がった。器を片付けるのを手伝っていると、兄が私の
頭をそっと撫でて言った。

「素直ないい耳をしとる」

「何かいっこでもいい、間違っていてもいい、信じる気持ち。これが持てたらびっくりするほどうまくいく」
弟が言った。お爺さん達はそのまま寝室に入っていった。





自分は本当に不幸だっただろうか?私以上の苦しみを誰も経験していないと思っていたんじゃないか。私は傲慢で愛に飢えていただけじゃな
いか。
「だいじょうぶだよ」そう言われたような気がした。
 ・・・最後に実家に帰ったのはいつだったっけ・・・


程なくしてロンがふらっと帰ってきた。ごめんねと言うと、ロンは大丈夫、と言ってにっこり笑った。
163夢花火:2007/08/21(火) 18:09:57 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」28

 
私はここから去ることにした。長く寄り道したような気もするし、まだここで面白いことを見つけたいという気も強くする。でも私の居場
所は日本にある。会いたい人も、母も、みんな日本に。
ここにくれば、何か見つかると思っていた。私は自立した女になるという意味を、どこかで間違えていたのかもしれない。今はなんだか無性
に母に会いたかった。

帰る事を告げるとお爺さん達はものすごく残念そうな顔をした。特に弟は何度も手をさすって放そうとしない。しばらく話してようやく納得
してもらった。一方の兄は頷いただけで、私と握手すると引き出しから例の木箱より一回り小さい箱を出してきて、私に持たせてくれた。中
には美しい曲線の耳かきが一本入っていた・・・

ロンがバス停まで送ってくれると言うので私はまたあの恐怖のスクーターに乗って彼につかまった。例のごとく抜群の不安定さとのハイスピ
ードに振り落とされそうになり、きつく腰に手を回すと自然と体が背中にくっつく格好になる。彼の背中の体温がじんわり頬に乗り移り、汗
とほのかに太陽の香りがした。

「純は痩せぎすだね」運転しながらロンは少し首をこちらに向けて言った。

「痩せぎす?あなた今時そんな古い言い方しないわよ普通。それに、そんな失礼なこと言ったら女を怒らせるから気をつけなさい。スマートとか、スレンダーとか言うのよ」私は少しムッとして言い返した。

「僕はもうちょっと太ったほうが好きだな」
「あんたの好みなんか知らないわよ」

「また来るかい?」
「さぁね。分からないわ。帰ったら忙しくなるし」
雨が降ったのだろう。道路は、まだ太陽の熱が追いつけなくてきらきらしている。細い裏路地を抜けると大通りになっていて、さわやかな風
に髪が乱れた。

「もうこっちに住めばいいのに。仕事だってすぐ見つかる」
ロンはそろそろ目的地なのか徐々にスピードを落としていき、スクーターは隣を走る自転車とそう変わらないくらいになった。

「なぁによ、私にそんな事言っちゃって。サエコはいいの、サエコは」
「サエコは・・・もういいんだ。もう来ないよ。やっと分かった」

ロンはエンジンを切ってスクーターから降りると、向き直ってじっと私の目を見つめた。両手で肩を抱こうとする。どんどん顔が近づいた。驚くほど綺麗な目だった。 
164夢花火:2007/08/21(火) 18:11:15 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」29


「何よ、私と付き合うの?言っとくけど私の歳はあんたと二倍も違うんだからね」

私は笑ってなんでもないような振りをしてロンの手をどけた。代わりにそっと優しい握手をする。その手は大きくて、お爺さんたちそっくり
に長い指だった。
「遠くにいてもお互いがんばろうね」と言うと、ロンはそうだね、と言って静かにうなずいた。 

いいタイミングにバスがやって来た。私はロンからバッグを受け取り、もう一度握手をした。今度は強く。

「こういうとき再見って台湾でも言う?」

「いや、ここじゃ言わないよ。我甲意?って言うんだ」

ロンはそう言うと、握手した私の片手をグッと引っ張って軽く抱擁した。私はバスに乗り込んで手を振った。ロンも手を振った。静かにバスは発車した。
165夢花火:2007/08/21(火) 18:12:57 ID:R2gtUDQL

「おくりもの」最終話


・・・バッグと共に返ってきた本で早速調べると「我甲意?」って言葉は「我愛?」とほぼ一緒の意味だった。十五の少年に十代に間違われ、
その上愛の告白までされて。ガキの癖にやることがクサイんだ。でも・・・・・・私にだってこういう事があってもいいじゃないか。いや、
この先だってもっといろんなことが待っている。だってその証拠に、私の耳はいい耳なのだから。お爺さん、それだけでもう私は特別なんだ
よね。



さよなら、台湾。帰ったら人生をもう一度やろう。何度でもしてやろう。泣いて笑って毒ついて傷ついて信じて愛そう。自分の時計をしっかり進めよう。きっともうじっとなんかしていられないから。

私は大きく息を吸った。揺れるバスの中で、鞄の中の箱はいつまでもカタカタ鳴っていた。

 

                          完
166夢花火:2007/08/21(火) 18:22:41 ID:R2gtUDQL

(言い訳)自分台湾旅行とかしたことないし言葉なんか全くの不知・・・ご存知の方はそのへんの色々な間違いはどうかご勘弁を・・・


・ ・・こんなんでした。≫55さん、そして長らく待ってくださった方ありがとう(;∀;)
・・リクエストに答えられず・・・力及ばず・・・orz
ではまたすぐ投下するかしばらく消えるか分かりませんがこれにてさいなら!もう逃げます(;´Д⊂)

リクエストはあれば・・・・随時受け付け中。今度はもっと短く軽く仕上げますので!

そして>>144さん、自分がスレ引っ張ってて書き込めなかったですよねヽ(´Д`;)ノアゥア...
本当にごめんなさいつД`)
書いてください!待ってます!
167癒されたい名無しさん:2007/08/21(火) 19:34:01 ID:Qgmv9oen
花火タン乙!!
よかったよ〜ほんまによかったよ〜!
毎度ながら文章力が素晴らしいですよ
いいもんをありがとう
また連載形式でもいいから書いてほしいなぁ
168癒されたい名無しさん:2007/08/21(火) 21:22:36 ID:gUbS8Hzx
夢花火さん、超大作お疲れ様でした。かなり感動し
また耳が痒くなりました、これほどの大作は久しぶりで
またストーリーとしても良く出来て凄まじいまでの文章力に
感服しました。本当にありがとうございました。
169癒されたい名無しさん:2007/08/21(火) 23:53:58 ID:73mcyKR1
>>55です。
夢花火さん本当にどうもありがとう。大感謝です。

情景描写とかあまりにリアルだったので実際行ったことあるのかと思ってましたよ・・・
すごいです、本当に。
おじいさんに耳かきをしてもらいたくなりました。

いいスレだなぁ〜〜
170癒されたい名無しさん:2007/08/22(水) 09:18:01 ID:KzPe4rNe
乙でした、マジに癒されましたよ。
ああ、幸せだ〜
171癒されたい名無しさん:2007/08/23(木) 18:54:20 ID:M8dnviSO
スゲーなぁ…
本物の作家さんじゃないのがまたこれ
172癒されたい名無しさん:2007/08/23(木) 20:44:22 ID:sK/QyKNh
癒された。
それにすごいキュンキュンしたw
すごいな〜夢花火さん。
173癒されたい名無しさん:2007/08/25(土) 02:25:08 ID:Pd5YcsTj
すげーーーーマジですごいわ。
耳掻き部分意外もすごかった。
なんか純子と立場が似てるので泣けてしまった。
174癒されたい名無しさん:2007/08/28(火) 20:55:06 ID:DUNtUc3N
>>173
大丈夫か。・゚・(ノД`)ヽ(;Д; )


>>144さん待ち
175癒されたい名無しさん :2007/08/31(金) 14:53:51 ID:/MnGiEJa
なんたる良スレ
176癒されたい名無しさん:2007/09/18(火) 20:51:16 ID:PnGgfMWl
ほしゅ
177癒されたい名無しさん:2007/09/20(木) 10:31:33 ID:syNWlgKc
次の小説を楽しみに待つ俺
178癒されたい名無しさん:2007/09/23(日) 16:51:10 ID:/I8HKeDR
日本初の耳かき専門チェーン 耳つぼマッサージあり
http://news.ameba.jp/hl/2007/09/7270.php
179夢花火:2007/09/26(水) 13:44:11 ID:f6vbxAaM
久々に来てみたら人いなくなってた(;´Д`)
自分専用スレではないことは理解してるんですが
どうも寂しいこのスレ(´・ω:;.:...
とりあえず小説投下しまっす
不定期連載&耳掻き無関係
(他の作者様へ)
連載中でもガシガシ書き込んでください

180夢花火:2007/09/26(水) 13:52:58 ID:f6vbxAaM

「虹の犬」


 ぼくの家では今大変な事件が起きている。
ぼくが6歳の時おじいちゃんにもらったコロンの足から人の指そっくりの
「できもの」が生えてきたんだ。

「コロンは病気だからお医者に見てもらうんだよ」
「すぐに元気になって帰ってくるわ」
お父さんもお母さんもそう言うけどそれは嘘だってお兄ちゃんが言ってた。
「コロンは殺されるんだぜ。あんな足した奴気持ち悪ぃ。研究材料にされ
て最後は死ぬんだ」

 昨日の家族会議でぼくは泣いて反対したけど、コロンは今日ぼくが学校
に行っている間に偉い獣医さんのいるところに連れて行かれてしまった。
ぼくの足元に昨日コロンと遊んだボールがまだ転がっていて、なんだか
前より庭が広く見えた。

「おじいちゃんがいたらなぁ・・・」
おじいちゃんは肺の病気で去年の冬からずっと病院に入院している。
コロンは前おじいちゃん家にいて大事にされてたんだけど、しばらく家に
帰れなくて世話ができないからってぼくがもらったんだ。コロンはものすご
くおじいちゃんになついていたから、ぼくの家に来ても最初は元気がなくて、
夜はさみしそうに鳴いていたっけ。



「良太、塾の時間じゃない。仕度なさい」
 お母さんはいつもと全然変わらないようにぼくに話しかける。
でもぼくには分かる。なんだか嬉しそうなんだ。
コロンがいなくなってせいせいしてるって感じ。
まだ連れて行かないって約束したのに・・・お母さんなんか大嫌いだ・・・!

「うるさい。塾なんか知らない!」
 ぼくは家から飛び出した。良太!待ちなさい!ってお母さんが叫んでいる。
知るもんか。お母さんが悪いんだ。ぼくは塾へ行く道と反対に走った。
お母さんはこれからすぐ近所のスーパーでパートの時間だ。すぐに追いか
けてこられない。お兄ちゃんは野球の練習でいないし、お父さんはどうせ
今日も遅いに決まってる。ぼくはおじいちゃんの病院に行ってみることにした。
181夢花火:2007/09/26(水) 13:59:20 ID:f6vbxAaM

「虹の犬」2


「コロンはオスなの?メスなの?」
「さあなぁ、分からんなぁ」
「じゃあさ、コロンは何歳なの?」
「家の前に捨てられとったからなぁ。その時から大きかったし、よく分からん
なぁ」
「コロンってあんまりご飯を食べないんだけど大丈夫なのかな」
「餌は好きなときに食べるから心配せんでいいよ」
「コロンはあんまり寝ないんだけどそれも平気なの?」
「寝たいときに寝るからそれも心配せんでいいよ」

 おじいちゃんはコロンをぼくにくれる時、あんまり大した説明をしてくれな
かった。ぼくはコロンがおじいちゃんと一緒のところしか見たことがなかった
から、最初の頃コロンだけが家にいるのはなんだか変な感じだった。
 お父さんもお母さんも生き物を飼ったことがない人たちだからコロンをどう
扱っていいか分からなくて、お兄ちゃんもめんどうくさがりだからいつの間に
かぼくが世話をすることになってしまった。
 けどぼくはコロンが好きだったから全然迷惑なんかじゃなかったし、むしろ
嬉しかった。弟が欲しかったしね。
 でもコロンは大きいから弟って感じじゃなかったけど。


 病院につくとおじいちゃんはご飯の時間だったのか、まだ全然食べてないお
盆がベッドの上のテーブルにのっていた。

「良太、久しぶりじゃなぁ」
なんだかおじいちゃんは前より小さくなったみたいだ。顔色も前来たときより
悪いみたい。ぼくが黙ってベッドの横に立っていたら、おばさんの看護婦さん
がやってきた。
「石田さん、食べてないじゃないですか。頑張って食べないといけませんよ」
おばさんは少し恐い顔をした。おじいさんが「食欲がなくてねぇ」と言うとお
ばさんは困ったようにため息をついてどこかに行ってしまった。
「おじいちゃん食べないの?」とぼくが聞くとおじいちゃんは「これ、不味く
てなぁ」と言って少し笑った。 

 コロンのことを話したら、おじいちゃんはそうか、と言っただけだった。
「お兄ちゃんが殺されるって言うんだ。そんなことないよね?大丈夫だよね?」
ぼくは不安でおじいちゃんに抱きついた。おじいちゃんの体から、少し消毒の
匂いがした。

「あぁ、大丈夫じゃよ。コロンは無事じゃよ。良太は何も心配しなくていい」
おじいちゃんはぼくの背中をぽんぽんっと叩いて、いい子だ、と言って笑った。
 ぼくはおじいちゃんがそう言ってくれたからとっても安心したんだ。
おじいちゃんは嘘を言わない。
 コロンが無事に帰ってきたらお兄ちゃんをギャフンといわせなくちゃ。
182癒されたい名無しさん:2007/09/26(水) 14:07:41 ID:BQo0p1CL
久々にキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
183癒されたい名無しさん:2007/09/26(水) 14:10:35 ID:TBS+tb0v
待ってたよ!
184夢花火:2007/09/26(水) 14:20:40 ID:f6vbxAaM

「虹の犬」3


 家の玄関を開けたら珍しくお父さんの靴があった。僕は焦った。
これはまずいぞ、塾をサボったんだから大目玉だ。お母さんはいくら怒っても
口で注意するけどお父さんは容赦なく殴る。今日は帰ったらソッコウで部屋に
こもって勉強してるふりをする計画だったんだ。しばらくしたらお母さんが
ドアをノックして、良ちゃん夕飯食べないの?って聞いてくれるんだから。

 ぼくはそっと運動靴を脱いだ。でもどうしてお父さんがこんなに早くに家に
いるんだろう。これ以上叱られないようにしゃがんで、両方の靴をちゃんと揃
えて気がついた。
 ひとり暮らしをしていて滅多に家に帰らないおねぇちゃんの靴があった。


「ただいま」
リビングに僕が声をかけても、誰の返事もなかった。中で人の気配はするのに
家中が押し黙っている妙な緊迫感。もしかして本格的にやばい状況なのかな。
家じゃあ何かあったときぼくを仲間はずれにしてみんなでこそこそやる。
あれって我慢ならない。
 意を決してドアを開けると、おねぇちゃんとお父さんが向かい合って座って
いた。

「どういうことか説明しなさい」

お父さんの声が震えている。ぼくがどうしたの?と聞こうとしたとき、パート
に行ったはずのお母さんが強引に腕を掴んだ。そしてそのまま台所に連れて行
かれた。そのまま二階の部屋に入れられて、「勉強しなさい」とだけ言って
お母さんはまた下に降りていってしまった。
 ぼくは叱られなかったことにほっとした。だけど、なんだか変だ。
 おねぇちゃんが何かしたのかもしれない。ドアを開けて聞き耳を立てたけど
何も聞こえない。それに階段の下にはお母さんがいるのが見えたから、ぼくは
しょうがなく机に座って宿題をすることにした。 


 それからしばらくしてお兄ちゃんが帰ってきて夕飯になったんだけどお父さん
もお母さんも全然喋らなかった。おねぇちゃんはいつの間に帰ったのかいない。
お兄ちゃんはお父さんとお母さんがいると無口だから気にならないけど、いつも
うるさいお母さんが静かだから調子が狂う。みんな言葉なんて知らないみたいに
黙って食べていた。僕も黙っていた。なんだか喋ったら塾のことでお父さんに
叱られそうだったし。

185夢花火:2007/09/26(水) 14:27:54 ID:f6vbxAaM
 
「虹の犬」4


 その晩寝るときになって珍しくお兄ちゃんがぼくの部屋にやってきた。

「姉貴が大変なことになったんだぜ」
「えっ?どうしたのおねぇちゃん」
お兄ちゃんはぼくのベッドに腰掛けると枕を手に持ってくるくる回した。

「子供ができたんだ」
「えっ?子供?」
赤ちゃんができたって?おねぇちゃんに?ぼくはびっくりして固まってしまった。
だってあんまり急だもの。
 ぼくがびっくりしすぎて黙っていたら、お兄ちゃんはニヤニヤして言った。

「お前、子供がどうやって出来るか知らないだろ」
いやらしいことを言うときの目だ。お兄ちゃんはこういう目をしているときは変
なことしか言わない。

「まぁ姉貴も女だからなぁ。でも退学ってまずいよな」
退学?おねぇちゃんはこの春大学に合格したばっかりだ。
偏差値の高い大学だってお父さんもお母さんも親戚にすごく自慢していた。
でも最初の年に受からなかったから次の一年間にものすごい猛勉強して受かった
んだ。浪人って言うんだって。

「学校をやめちゃうってこと?」
ぼくが聞くとお兄ちゃんはニヤニヤ笑いを止めて言った。
「親父やお袋が辞めさせる訳ないさ、あの大学は一浪でも入れる奴ばかりじゃな
いんだぞ。姉貴はバカだよ全く」



 その夜はなかなか眠れなかった。コロンがいつ帰ってくるかお父さんに聞きた
かったけど、今日はおねぇちゃんの事で頭が混乱して聞けなかった。

 子供ができたって。じゃあ学校に行きながらお母さんになるんだろうか。
家に帰ってきたらぼくの部屋はおねぇちゃんの部屋に戻っちゃうな。
せっかく一人部屋ができたのに。ぼくはどこに寝たらいいんだろう。
またお兄ちゃんと一緒になるのかな。時々意地悪されるから嫌だなぁ・・・
  



 そのうちぼくは眠りに落ちて、コロンの夢をみた。

コロンは夢の中でぼくとボールで遊んでいた。高く投げたボールでも簡単にキャ
ッチする。
しばらく遊んだらコロンは公園に入っていった。
後を追って行くとそこには大きな木があって、コロンはその木の周りをぐるぐる
回り始めた。
コロンはぼくの目を見て何か言いたそうなんだけど、どうしたらいいのか分から
ない。
コロンは「クゥン・・・クゥン・・・」と鳴いてずっと木の周りを回っていた。

186夢花火:2007/09/26(水) 14:35:24 ID:f6vbxAaM
>>182-183
人いたぁあ!
アタヽ(д`ヽ彡ノ´д)ノフタ
どうもでっす…

でもこれだけしか書けてな(´・ω:;.:...

よければ気長にお付き合いください



187癒されたい名無しさん:2007/09/26(水) 14:39:46 ID:jfwmsnUg
>186
うんうん、待ってるから!
188癒されたい名無しさん:2007/09/26(水) 14:46:59 ID:Uu/ejjUo
きたああああああああああああああああああ
待ってるからねー
189癒されたい名無しさん:2007/09/26(水) 18:39:49 ID:M+mH5mIq
続き楽しみにしてるよノシ
このスレは毎日の巡回コースだww
190癒されたい名無しさん:2007/09/27(木) 09:28:20 ID:162EeTKC
>>186
小説を書くスキルが無いからROMばっかりだけど
いつもwktkしながら、このスレを覗いているんだぜ。

超応援してる!
191癒されたい名無しさん :2007/09/27(木) 19:18:53 ID:2o75q8AH
新作きたあああああああああああああ!!!


ゆっくりでいいからね
楽しみに待ってますよ
192癒されたい名無しさん:2007/09/28(金) 10:12:35 ID:P7JLr/tL
夢花火たんキタ――(゚∀゚)――!!
続き楽しみにしてるよ
193夢花火:2007/09/28(金) 15:16:14 ID:0AB3Gtpb
>>187-192
皆さんありがとぉお(´∀`)
んじゃちょこちょこ投下で参ります
194夢花火:2007/09/28(金) 15:17:08 ID:0AB3Gtpb

「虹の犬」5

次の日は土曜日で、学校は休みだった。休みの日は普段より寝坊しても誰か
らも文句は言われない。
普段ならお父さんは居間でコーヒーを飲みながら新聞を読んだりテレビを見た
りしているんだけど、今日はぼくが下に降りるとどこかに行くのか慌ただしく
出かける準備をしていた。
お母さんも滅多に着ないスーツを引っ張り出して鏡の前でお化粧をしている。

「良太、お父さんとお母さんは出かけるから、今日は外へ遊びに行っちゃ駄目よ」
「えぇ、どうして?」

どこへ行くんだろう、荷物も小さいし、お父さんと旅行って感じじゃない。
「帰りがいつになるか分からないから。扶美子おばちゃんに連絡しといたから
夜はおばちゃんとご飯食べなさい」
お母さんはそう言うと、お父さんを急かして出かけてしまった。
お兄ちゃんは朝から野球の試合でその後は夜まで塾、扶美子さんが来るまで
ぼく一人だ。ぼくは冷蔵庫に入っていたサンドイッチを食べて好きなアニメを
見た。ポテトチップもあったからお兄ちゃんに取られないうちに全部食べた。
それから漫画を読みながら寝そべっていたら、扶美子さんがやってきた。
ぼくへのおみやげだろう、手にコンビニの袋を提げている。

 扶美子さんはお母さんの妹だ。三十八歳になるのにまだ結婚していない。
けど顔は結構美人だと思う。男の子みたいに髪の毛が短くて背も小さい。
イラストレーターをしてるけど全然売れてないんだって。
「りょう、久しぶり。また背が伸びたね」
扶美子さんはぼくのことをりょうって呼ぶ。親戚の中でもりょうって呼ぶのは
扶美子さんだけだ。リョ―じゃなくて「りょう」。しゃきっとした感じ。
扶美子さんもはっきりしていてしゃきっとした人だ。扶美子さんは他の大人
みたいにぼくを子供扱いしない。たいていのぼくの質問にちゃんと答えてくれる。
嫌なものは嫌だと言うしわかりやすい。
男の友達みたいでそういうところ結構好きだ。
195夢花火:2007/09/28(金) 15:20:34 ID:0AB3Gtpb
  
 「虹の犬」6


 コロンに起きたことを説明したら、扶美子さんは「突然変異じゃないの」
と言った。
 コロンの遺伝子はもともとおかしなことになっていて、今になって「おでき」
が生える情報が脳に伝わってコロンの体に異変が起きているんじゃないかって。

「コロンは今ごろ、どっかの研究室にいるのかな」
「たぶんね。科学者なんか命の仕組みが知りたい人間ばっかりだから喜んで
るよ。ひとつの命の重さなんか関係ない。新しい発見のためなら平気でいじ
くり回す。そんなの何の意味もない、たいした意味もないかもしれないのにね」

 そう言って扶美子さんはおみやげのアイスを食べ始めた。
 ぼくがずっと前に美味しいと言ったレディーボーデンのバニラ。
扶美子さんはそういうのをちゃんと覚えていてくれる人。
 ぼくはコロンが科学者の人にお腹を切られてめちゃめちゃになっているのを
想像した。アイスを勧められたけど食欲なんて出なかった。
 さっき食べたポテトチップが喉まで出てきそう。

 コロンは死んじゃうのかな・・・

 扶美子さんに聞きたかった。だけど聞けなかった。
聞いたら扶美子さんは本当のことを言いそうで恐かったんだ。
 

 その夜遅くなってお父さんとお母さんが帰ってきた。おねぇちゃんはいない。
「良太、宿題したの?ならもう寝なさい」
 なんだかお母さんがげっそりやつれているような感じがする。
お父さんは苦虫を噛み潰したような顔をして乱暴にネクタイをほどいていた。
 話しかけたら怒鳴られそうな空気。

 お兄ちゃんは勉強しているのか、家に帰ってご飯を食べてからはずっと部屋に
閉じこもったきり。ぼくは仕方なく部屋に戻って寝ることにした。
196夢花火:2007/09/28(金) 15:24:50 ID:0AB3Gtpb
 
 「虹の犬」7


 コロンがいなくなって一週間が経った。
 その間にクラスでは席替えがあって、信じられないことにぼくは黒板の真ん
前になってしまった。
 少し顔を上げただけで担任の石井先生とばっちり目が合ってしまう。
石井先生は「よろしくね」と言って笑っていた。

 石井先生は若くって優しくて可愛い先生で、学校でも人気がある。だからぼく
も、そう言われてそんなに嫌な気はしなかった。
 席は最悪だけど。さらに最悪なのは、後ろがいじめっ子のヒロシだってこと。
 
 さらにもっと最悪なこと。なんだか家族がみんなおかしい。

 家の雰囲気が、前とすっかり変わっちゃったんだ。
 

 おねぇちゃんに赤ちゃんがいるのは本当みたいだった。ここのところ毎日、
お母さんはパートが終わるとすぐにおねぇちゃんのアパートまで説得に出かけ
ている。
 そしていつも一人で帰ってきては、夜遅くまでリビングでお父さんと
小声で喋っていた。
 お母さんはどんどんやつれたみたいになっていて、最近はずっと元気がなく
なってしまっていた。

 コロンのことを聞いても上の空なんだ。
 ご飯も最近はスーパーの出来合いのお惣菜ばかり。味が濃くて食べられたも
んじゃない。お兄ちゃんもぼくも、食事の度にうんざりしていた。


 そんな時、家に電話がかかってきた。K新薬研究センターというところからだ。
その時家にはぼく意外誰もいなかった。
 普段ならよくわからない電話は家の人は留守だって言って切っちゃうんだけ
ど、そのときはなんだか知らないけど予感がしたんだ。
 だから伝言しますって言って話を聞いた。

電話の男の人の声は、なんだかひんやり冷たい感じがした。

197癒されたい名無しさん:2007/10/01(月) 12:28:11 ID:03Yyny9M
支援
198癒されたい名無しさん:2007/10/01(月) 13:05:47 ID:jZHNupNb
わっふるわっふる!
199癒されたい名無しさん:2007/10/01(月) 23:00:22 ID:MOoFTESk
なんたる焦らしプレイ…(*´д`*)
200癒されたい名無しさん:2007/10/05(金) 07:08:18 ID:OOZcW8jH
まだ?
201癒されたい名無しさん:2007/10/05(金) 20:41:30 ID:DtU4k8LE
気長に待ちましょう
202夢花火:2007/10/06(土) 14:26:15 ID:hV2MXKJf

 「虹の犬」8

 例の「おでき」から珍しい遺伝子が見つかった。
細胞は特殊な装置で培養されているのだが、分裂速度が極端に遅くて研究がな
かなか進まない。
ところが、コロンのおできは切除してもまた新たに生えてくることが分かった。
コロンを母体にしてそれを採取したほうが効率がよい・・・

 言っていることの意味はよく分からなかったが、ぼくは一生懸命ノートにメ
モした。

最後に男の人は、電話番号を告げ、
「それなりの対価をお支払いいたしますので、ご連絡下さい」
と言って電話は切れた。


「たいか」「ばいよう」「さいしゅ」・・・・

 意味はよく分からないけど、コロンにただならない事態が起きていることだ
けは理解できる。

「どうしてるんだろう・・・コロン・・・」

 ぼくは不安でいてもたってもいられなくなった。
おじいちゃんか芙美子さんのところに行こう。そう思って廊下に続くドアを急
いで開けたその時、女の人が、玄関に立ってこちらを見ているのに気がついた。

 おねぇちゃんだった。


 テレビのニュースが、大型の台風が迫っていると伝えていた。

 ぼくはさっきから、じっとテレビの中の天気図を眺めつつ、横目でおねぇち
ゃんの様子を伺っている。
 おねぇちゃんはぼくから少し離れた椅子に座り、自分の手の甲を見て黙って
いた。
前会ったときより少し痩せている。顔色もあまりよくない。いつもきちんと
お化粧しているのに、今日はしてないみたいだ。
それに急いで出てきたのか、長い髪の毛も色んな方向にはねていた。

おねぇちゃんが喋らないので、ぼくはどうしていいのか分からなかった。
赤ちゃんの事を聞きたいけど、正直どう言ったらいいのか分からないんだ。
おねぇちゃんと話をするのはただでさえ苦手なのに・・・

一緒に住んでいた頃から、おねぇちゃんはぼくをうっとうしく思っているみ
たいなところがあった。

 理由は簡単。ぼくが、物覚えが悪くて幼稚でのろまだから。
ぼくは自分でも思うけどちょっとそういうところがある。
 話し方が遅いし、イライラさせるって言われるんだ。
最近は少しマシになってきたけど・・・

 とにかくそういう訳で、ぼくはおねぇちゃんを前に少しだけ緊張していた。
203夢花火:2007/10/06(土) 14:29:10 ID:hV2MXKJf
 
 「虹の犬」9
 時計を見ると、もうすぐお兄ちゃんが帰ってくる頃だった。
最近は早く暗くなるから、野球も遅くまでできないんだ。

 お母さんはまだ帰ってこなかった。冷蔵庫にはお母さんがパートに行く前に
作っておいた夕飯のコロッケとおにぎりが入っている。
いつもお母さんはパート帰りにおねぇちゃんの所に行くはずだから、今日は行
き違いになって困っているかもしれない。

一瞬、ぼくの頭に、お母さんの疲れて落ち窪んだ目が浮かんだ。



「あの人から聞いた?」
不意におねぇちゃんが口を開いた。
天気予報は終わって、テレビの画面はCMに変わっていた。

「あの人ってだれ?」
「母親」
ぶっきらぼうに言って、おねぇちゃんは足を組んだ。
おねぇちゃんはイライラすると足を組む癖がある。

「あかちゃんの話?」
おっかなびっくりしながらぼくが言うと、おねぇちゃんは少し驚いたような
顔で 「・・・何だ、良太も知ってたのか」 と言った。

「ほんと言うとお別れにきたんだ、良太と孝治に」

ぼくとお兄ちゃんにお別れって・・・どういうことだろう。

 ぼくが不思議そうな顔をしていたら、おねぇちゃんは優しい顔になって
「ずっと会えない訳じゃないよ」と言った。


あかちゃんのお父さんと二人で暮らすから家を出るんだと。お父さんもお母さ
んも反対しているけど、二人で力を合わせて頑張る。
しばらくは帰らないけど、二人でしっかり生活できるようになったら、
また会いに来る・・・
204夢花火:2007/10/06(土) 14:33:47 ID:hV2MXKJf
 
 「虹の犬」10 


「バカじゃないか。本物のバカだ。相手にしてらんねーよ」

 帰ってきたお兄ちゃんはその話を聞いて、立ったままで吐き捨てるように言った。

「あんたにはまだ分かんないわ、彼女の一人も出来たことなんかないくせに」

お兄ちゃんは一瞬言葉に詰まって、強張った表情でおねぇちゃんを睨んだ。
お兄ちゃんは普段、滅多に怒ったりしない。
ぼくはハラハラしながら二人のやり取りを見ていた。

「簡単にいくと思うなよ。そんなに簡単じゃない。どうやって育てるんだよ。
子供作る為にあんなに勉強してきたのかよ。どうしたんだよ。
急に色気付いてさ。気持ちわりーよ、似合わねぇよ」

「簡単じゃないのは、あんたに言われなくても私が一番分かってる。
父親も母親も、彼に申し訳ない、話も何も、頭から全然受け入れないんだから。
だから家を出るのよ。それしか、他にもうないんだから」

「何がもうないんだよ、自分勝手なこと言って、親の気持ち無視して、
人生棒に振ってばっかじゃねーの。それにそんなの、全然、ろくな男じゃねーよ。
その証拠に、一度だって家に来ないじゃないか」

 お兄ちゃんは鞄を乱暴に床に投げ、そのまま部屋から出て行ってしまった。
おねぇちゃんはしばらく黙って一点を見つめていたが、のろのろと立ち上がると、
ぼくが何か言おうとしている間に荷物を持って帰ってしまった。  


 しばらく何もない日が続いていた。
 相変わらずご飯はお惣菜ものが多いし、お母さんは疲れた顔をしながら、
毎日のようにおねぇちゃんの所に行っているみたいだった。
 相変わらずコロンのことは、ぼく以外誰も気にもかけていない。

 あんなに一緒に暮らしていたのに、家の人はみんな、もうずっと前からコロン
なんていなかったみたいに生活していた。
 あの日の変な電話のこと・・・お父さんとお母さんは何回聞いてもはっきり
答えてくれなくて、それでもしつこく聞いていたらしまいにはお父さんに
「それどころじゃない!」と怒鳴られてしまった。

 ぼくは正直、夜眠る前にいつもコロンの事を考えるんだけど、コロンの顔を
思い出せない事が増えていた。

 このままじゃ、いつかはぼくも忘れてしまうんじゃないか・・・
ぼくはその度に不安になった。
205夢花火:2007/10/06(土) 14:37:10 ID:hV2MXKJf

 「虹の犬」11


「森田ってほんとトロいよな」

ヒロシがさっきからぼくの机に手をついて、意地悪そうな目でぼくを見ている。
休み時間になるといつもこうだ。

「お前、さっきの算数のテスト、分かってないだろ」
「難しかったけど・・・この前塾でやったのもあったから・・・」

「塾とか言ってやんのー。『つばき会』って頭悪ぃ奴が行くんだぜ」
ヒロシは得意そうに言うと、だっせーと言って笑った。
ヒロシは塾に行っていない。家庭教師なんだって。

「でも楽しいよ、違う学校の子と友達になれるし」
ぼくがそう言うと、ヒロシは「ふん」と鼻を鳴らして「それがなんだよ」
と言って凄んでみせた。
ヒロシは丸坊主なので、恐い顔をしてもなんだか面白い顔になってしまう。

「次図工だよ、早く行こう」

その時、同じクラスの優璃ちゃんがぼくらに声を掛けた。
ぼくはこれ幸いとヒロシから逃れると、急いで図工の準備をして教室を飛び出
した。



「それでは、先週から作っている紙粘土の作品を完成させましょう」
石井先生がそういうと、みんな一斉に作業に取り掛かった。

 ぼくの班のテーマは「未来」。ぼくは絵の具で、未来の世界に色を乗せていく。
楽しかった紙粘土制作も今日でおしまいだ。
最後の仕上げに小さく作った人達の顔に色を塗るんだけど、注意しないと真っ
黒になってしまうから気が抜けない。

どんどん作業に集中していくのが自分でも分かる。
頭でイメージした色に近づけるのは結構大変だ。でもそれが不思議と気持ちいい。
ぼくはいつの間にか時間が経つのを忘れてしまっていた。


「はい、ちょっとみんな手を止めて」
先生の手を叩く音で、ぼくははっと我に返った。
頭の中がぽわんとしていて、一瞬ここがどこか理解できなかった。
目が乾いたみたいに少し痛い。
石井先生はつかつかとこちらに歩いてくると、ぼくの作品を手にとって、少し
高い台の上に載せ、みんなに見えるように掲げた。


206夢花火:2007/10/06(土) 14:41:48 ID:hV2MXKJf

 「虹の犬」12


「森田君、これはどんな作品なのかな」

先生はぼくの顔を覗き込んで尋ねる。ぼくは一斉にみんなの視線を受けて、
緊張で心臓が一気にバクバクするのが分かった。
どうしよう、こんなの慣れてない。ぼくがどうしたらいいか分からなくて戸惑
っていたら、先生が助け舟を出してくれた。

「ここにいる人は、みんな歌ったり踊ったりしてとても楽しそうね」
先生の指差したほうにみんなの視線が動く。

「・・・えっと、そうです。
未来の世界では、みんな楽しそうにしてるんじゃないかって・・・」

「上手〜」「すごーい」と誰かの声がする。
先生はにっこり笑ってさらに言った。
「とても生き生きしていて、本当に楽しそう」
「お花畑や、上には、これは大きいね。宇宙船かな」

「そうです。未来にはみんなに一台ずつ小さなカプセルがあって、それが合体
していくと大きな宇宙船になって、空を飛ぶんです。
それで、合体するたびにどんどん性能が上がっていって、だから、ひとりぼっち
でいるカプセルも、宇宙船が見つけて一緒に空に上げていくんです。
そうしたら世界中の人がどんどん集まって、たくさんの人が友達になります。
こういうイヤホンをつけて会話をするとみんな言葉が分かります。
それで仲良くなって、いろんな国のことを知って、そしたらまたカプセルに
なってその国に行ったりできます。
動物にも小さなカプセルがあって、動物の言葉も分かるし、鳥も花もみんな
言葉が分かるようになります。
宇宙船に乗ったら、道路もいらないから、地面に木や花をたくさん植えて、
上から花で絵を描いたりできます」

先生は「うんうん」と言ってにこにこしていた。 

 ぼくは一気に喋って、息が足りなくなって倒れそうになった。
いつもは早口で喋れないから、こんなにたくさんみんなの前で喋ったのは初め
てだった。
 先生は「凄い、そうなったら、素敵ね」と言ってくれた。

 ぼくの両方の耳が熱かった。心臓がゴトゴトいっていた。
みんなのほうを見上げると、優璃ちゃんと目が合った。
優璃ちゃんは胸の前で小さくピースをして微笑んでいた。

207夢花火:2007/10/06(土) 14:44:56 ID:hV2MXKJf
  
遅筆スマソ。・゚・(ノД`)・゚・。
完成まで結構時間頂くかと思います・・・
208癒されたい名無しさん :2007/10/06(土) 17:48:28 ID:hBbJnh1l
イイヨーイイヨー(・∀・)
ゆっくりで良いですよ
楽しみにしてます
209癒されたい名無しさん:2007/10/06(土) 19:52:05 ID:W7wjv3Tl
ムッハー(・∀・)=3オモシロイ
いつも楽しみにしてます!
210癒されたい名無しさん:2007/10/07(日) 00:10:33 ID:ek/Fy/ne
何度も味わいながら読むからゆっくりでちょうどいいです。
コロンがんがれと応援しながら読んでまつ。
211癒されたい名無しさん:2007/10/07(日) 20:35:49 ID:Qb8ir75r
夢花火たん!いつも楽しませてもらってます
また時間のあるときに投下してください
212癒されたい名無しさん:2007/10/09(火) 05:59:37 ID:W7YBIxwY
もう、耳かきとか関係なしに、コロンが気になるw
無事だといいなぁ
213夢花火:2007/10/10(水) 15:40:14 ID:HJi2et7o
 
 「虹の犬」13

 さらに信じられないことに、先生はみんなの前で、
「他のクラスのみんなにも見せてあげたいから、完成したらこの作品、中央の
展示コーナーに飾ってもいいかな」
と言った。

 展示コーナーは、上級生とぼくらの校舎を繋ぐ中央の踊場、学校のほとんど
の生徒が毎日通る、結構目立つ場所に作られている。
美術部の上級生の、絵の上手な賞を取るような人達の作品も、そこにはたくさ
ん飾られている。
 そこに、そこにぼくの紙粘土が飾られるなんて・・・

 ぼくは先生の手元で、紙粘土が急に光を浴びたみたいにキラキラ輝きだした
ような気持ちになった。
先生がそう言ってくれるなら、みっともないのは作りたくなんかない。
もっとよく仕上げたい、ぼくは沸きあがる興奮で背中がピリッと震えた。
そういうことなら、もっと綺麗に色を塗らないと駄目だ、あそこももっと丁寧
にやらなきゃ・・・

 ぼくの頭の中で、色があふれて踊りだした。
こういう時、ぼくは本当にワクワクする。


 授業が終わった後も、普段はあまりぼくに話しかけないクラスメイトがたく
さんやって来て、ぼくの紙粘土を手に取って口々に褒めてくれた。
 みんなに話しかけられて、ぼくは緊張と恥ずかしさで、ただただ黙って頷く
ことしかできなかった。
 そんな中、ヒロシだけがみんなから離れた場所で、つまらなそうに筆を洗っ
ていた。
214夢花火:2007/10/10(水) 15:48:24 ID:HJi2et7o

 「虹の犬」14

 その日はやたらと全てがうまくいっていた。
給食のメニューはぼくの大好きなハヤシライスだったし、午後の体育の時間は
雨で、苦手な鉄棒が中止になった。
 なんだか今日はついている。こんな日ってそうあるもんじゃない。
クラスでは急に、僕は絵がうまいやつとして扱われ、女子がいっぱい話しかけ
てくれたし、男子にはマンガの主人公の絵を書いて、とリクエストされたりした。
 自分が急にクラスの人気者になったようだった。
 ぼくは一日中幸せな気分で過ごした。



 ものすごくいい事の後にはものすごく悪い事がある。
 台風が迫っている影響で、帰りの会の途中から外は本格的な大雨になった。
傘を差しても横からびゅんびゅんしぶきが飛んでくる。家の前まで来るころには、
ソックスの中までぐっしょり、シャツも濡れて腕にぴたりと張り付いて、気持
ち悪いことになっていた。 早く着替えないと風邪を引いてしまう。

 鍵を出して玄関を開けようとした時、何かが庭の植木の陰で動いた気配がし
た。黒い傘に明るい黄色のパーカーを頭から被った人影。
あれは、お兄ちゃんの服じゃない。

「だれか・・・いるの?」
「・・・・・」

返事がなかった。でも派手なパーカーは、確かに茂った葉っぱとツツジの陰で
揺れている。
215夢花火:2007/10/10(水) 15:50:21 ID:HJi2et7o
 
 「虹の犬」15


「そこに、いるの、今見えたよ・・・」

 泥棒だろうか・・・警戒しながら、ぼくは思い切ってちょっとだけ庭に近づいた。
黄色いパーカーは逃げようかどうしようか迷っているといった風で、不自然に
止まったり動いたりを繰り返している。
 ぼくは勇気を出してもう一歩近づこうとした。

その時、観念したように、木陰からひょろひょろに痩せた男の人が現れた。
男の人は傘で顔を隠すようにしながらぼくの方まで歩いてくると、やたらにゆ
っくりと傘を下ろし、顔を現した。

「君、ここの子?」

 なんていうか・・・すごく特徴のない顔。
いくつぐらいだろう。声も格好も若いんだけど、なぜかあんまり若さを感じない。
男の人は手に紙袋を提げていた。近くで見るとますます細っこくて、いかにも
頼りなさそうだ。
 それにしてもどうして人の庭に勝手に入っておいて、ごめんなさいとか何も
言わないんだろう。かなり怪しい。


「そうですけど・・・あの・・・だれですか」

「俺、あの園美の」

おねぇちゃんの・・・。
「彼氏」
・・・。


 台風が一番近づいた日の夜、本当に台風みたいにおねぇちゃんの彼氏はやってきた。
不吉なことの前触れみたいな、馬鹿みたいに明るい色のパーカーで。
216癒されたい名無しさん:2007/10/12(金) 00:24:47 ID:I7qnrdv3
wktk
217ねこずきん:2007/10/13(土) 04:22:02 ID:Ocargqmk
小説製作中・・・
218ねこずきん:2007/10/13(土) 04:52:01 ID:Ocargqmk
誰かココ以外で小説を投稿できるスレッドない?
219癒されたい名無しさん:2007/10/13(土) 13:48:39 ID:67Exl/qP
>>217
ここにうpして
220癒されたい名無しさん:2007/10/13(土) 18:42:14 ID:SIELJcw7
ここにうpうp!!
221癒されたい名無しさん:2007/10/13(土) 19:27:20 ID:nuBzHe/m
単純に小説投下するだけならそういう専門板もあったと思うが
しかしここじゃ駄目なのは何故なんだぜ
222ねこずきん:2007/10/15(月) 00:10:42 ID:vKZmGUxH
耳かき以外の話もかきたいの。
アップローダーにtxtでうpしないの?
掲示板用に編集したほうがいいの?
アップローダー用意してるよ。
223癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 01:57:25 ID:3vbhNQVW
もともとまったりと耳かき以外もOKのスレで
しかも連載中でも他作者さんも書き込んでってことなんだし
今までもそうやって書いた人いるし
なぜそうまでかたくなに…?
自分専用がよいならこの板にでもスレ立てるかすればよいのでは
なんか読めって感じで高圧的だなぁ…
224癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 02:01:00 ID:Y4Dknu+M
>>222
ていうかもう来なくていいよ。
すでに文章力ないのわかるし。
225ねこずきん:2007/10/15(月) 03:17:01 ID:vKZmGUxH
テキストファイルでアップロードしたほうが読みやすいよ?
そういってるだけなのにどうしてそういう風にとらえるかな…。

ここにいる人はアップローダーつかったことないの?

文章力がなくても小説を投稿していけないルールはないと思うけど?
226癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 08:07:15 ID:b+sdhFRp
・・・全然話わかってないねw

帰っていいよ、さようなら。
227癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 09:14:32 ID:6ujkIjR0
とりあえずね、半年ROMって。
話はまずそれからだ。
228癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 15:28:03 ID:GWqWdVR+
暇なんでマジレスしてみよう

>ろだに上げた方が読みやすいだろ
 んなこたぁない、というか人次第
 基本的にろだを使用する理由としては、スレ消費速度(レス数、容量)が問題になるため
 書き手の少ない現時点では気にする必要はない、と思う

>そもそも↑のように言ってるだけなのに、どうして悪印象を抱くのか
 私見だが疑問符を多用した文章は挑発的になりやすいと思う
 あと空気読めてなさすぎ、他の人も言ってるが半年ROMマジお勧め

>お前らロダつかわんの?
 少なくとも、関連スレではお宝のうpに使ってるのしか見たことない
 確かに、多くの小説スレには住人御用達のろだが存在する場合は多いが、それはそれ、これはこれ

>文章力なきゃ投稿しちゃいかんルールなんてないだろ
 勿論ない、よって勝手にすれば良い
 でもまともに読んでもらえないのは覚悟しといた方がいい


とまあこういう事なんで、ほとぼりを覚ます意味も含めて暫く来ない方が良いよ
今作品投下してもショックで自信喪失するかも解らんからね
229ねこずきん:2007/10/15(月) 20:23:45 ID:vKZmGUxH
>>228
ふーん… そうかなぁ? もう2ch長いけどあんまりそういうこと書かないほうがいいと思うよ?
わたしが気が短い人だったらここ荒らされて終わりになったり議論になるだけだよ?
わたしはただ、交渉してるだけ。お話してるだけ。
こうしたらどうって聞いてなんで怒るのかなぁ?

別にわたしはここに小説載せて何か言われても気にしない。
ネットに乗せる、2chに書くっていうのは叩きされてしょうがないと思ってるから。
230癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 20:46:06 ID:7+HE4mLr
>>229
>ここは癒しの小説売りが作品を投稿するスレッドです…
>最後に癒しの気持ちが残ればどんなジャンルでもOK
癒しをよろしこ
231癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 21:07:30 ID:mPaw/VH4
>>229
貼るか消えるかどっちかにして。
無意識なのかもしれないけど、あなたの文章は人をむかつかせる。癒しとはほど遠い。
232癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 21:57:58 ID:4VcJjB3T
>>218
>誰かココ以外で小説を投稿できるスレッドない?
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=2ch+%E5%B0%8F%E8%AA%AC+%E6%8A%95%E7%A8%BF+%E3%82%B9%E3%83%AC&lr=

ロダなら
http://novel2ch.sakura.ne.jp/

好きなようにしなさい。

ここは癒し空間であって欲しいのさ。
233癒されたい名無しさん:2007/10/15(月) 22:57:58 ID:3vbhNQVW
たまらず猫臓の話を読み返したら
ほっこり癒されたぬ〜ん
234癒されたい名無しさん:2007/10/16(火) 00:52:21 ID:xz312O9u
なんだ、アテクシ暗黒微笑系か。
235癒されたい名無しさん:2007/10/16(火) 01:19:09 ID:NItCLBtp
中二病患者降臨してたのか。
アフォは見なかったことにして夢花火さんの続きをマタリと待とうではないか。
236癒されたい名無しさん:2007/10/16(火) 03:47:20 ID:guS7OtOR
書き手は己の作品で全てを語れ
自身が出張りすぎるとロクな事にならん

とは言うけれど、投下前に軽く言い訳して予防線は張っておきたくなるし
後書きで「駄文サーセンwwww」とか軽く自虐してみたくはなるもんだ
大概の人はそうしてるし、これは間違ってないと思うんだきっと

ただ書き手の立場で「○○について俺はこう思う(だからお前は間違ってる)」的な事を言っちゃうのはNG
簡単に纏めると、作品を語るのは有りだが自分を語っちゃ駄目だ、というアレ
と、一応自戒込みで書いておきたくなった
夢花火さんは明らかにそういうキャラじゃないから心配する事もないだろうけど、お互い気をつけましょうぜ、という事で

以上どっかで何かを書いた事のある人でした
237夢花火:2007/10/17(水) 12:10:18 ID:E+bHz/X4

「虹の犬」16


「ただ今担当のものが席を外しております。改めましてこちらからご連絡いた
しますので、もう一度、お名前とお電話番号を・・・」

 前にメモしていたK新薬研究センターの電話番号に電話すると、長いコール音
の後、蚊のなくような小さな声の女の人が出た。
その女の人にぼくの話しは上手く伝わらないらしく、何分も待たされたのに結局
ちゃんとした答えが返ってこなかった。
それから四回かけてみたけど出るのは決まってこの女の人だ。
 女の人は同じ事を繰り返し言うだけで、結局、ぼくはあの時の冷たい声の男
の人と話すことは出来なかった。

 ぼくは何日かぶりにコロンの夢を見ていた。夢の中でぼくはコロンに抱きつ
いて、体を撫でようとするんだけど、なぜだかコロンはひどく嫌がって首を振り、
腕からすり逃げていく。

 コロンの目は何か言いたいのを我慢しているみたいに辛そうな三角の形にな
って、じっとじっとぼくを見ている。

 ぼくは夢の中で、どうしたらコロンが喜ぶのかと思っていろんな事をやって
みる。
 ボール遊び、フリスビー、音の出るおもちゃ、骨の形をしたおやつ・・・

 大好きな遊びにもお菓子にも、コロンは座っているだけで全く見向きもしない。

 コロンはじっとして動かなかった。
じっとして、ただ黙って座って、ぼくを見ているだけだ。


 ぼくの不安は、だんだん大きくなっていく。
238夢花火:2007/10/17(水) 12:13:22 ID:E+bHz/X4

「虹の犬」17


「良太、ちょっと便所にいきたいんじゃ、手伝ってくれ」

 おじいちゃんの病院に行くと、おじいちゃんがベッドから体を起こしてぼく
に助けを求めているところだった。
近くに看護婦さんの姿はない。

「体を、支えてくれ、前に転ばんように」
「うん、こうでいいの?」

 ぼくはおじいちゃんが伸ばした腕を肩に巻いて、おじいちゃんの上半身を支
えてベッドから降りるのを手伝った。
おじいちゃんの腕はしわしわで、堅いゴム草履の裏側みたいな感触がした。

「そう、おお、もうええぞ、後は一人で行ける」
おじいちゃんはそう言うと、ゆっくりとした動作で病室のドアまで歩いて行った。
ぼくもおじいちゃんの後をついて行く。

「ベッドから起きるのが一苦労になってきてな・・・」
「どこか痛いの?」
「・・・いや、年じゃからな、節々が弱くなってくるんじゃ」

おじいちゃんの動きは歩くというより、這うみたいにゆっくりだ。

「コロンがね、全然戻ってこないんだ。電話があって、よく分からないところから。
家では全然誰も答えてくれないし、変すぎるよね」
おじいちゃんが返事をしないので、ぼくはまた言った。

「おねぇちゃんに彼氏ができて、家に来たんだ。腕とか足とかすごくひょろ長い人。
お父さんが怒って追い帰してしまって、大変だったんだよ。
ケーキを待ってきてくれたのに、全部ゴミ箱に捨ててしまうし。
でもあの人がおねぇちゃんの彼氏って信じられないな。だってずっと好きって言って
た芸能人にちっとも似てないんだもん・・・」

気がつくと、ぼくは一人でトイレの前まで来ていた。
振り返っておじいちゃんを探すと、おじいちゃんはトイレまであと少しのとこ
ろで、立ち止まったまま動かなくなっていた。


「あ・・・」

 パジャマのパンツのところが、みるみる間に濡れていく。
おじいちゃんはぼうっとしたような顔で突っ立っていた。それはおじいちゃん
のパジャマの裾から床に広がって、足元に小さく水溜りを作った。

 ぼくは見てはいけないものを見たような気がして、思わず目を背けた。
 恥ずかしかったんじゃない。嫌だったんじゃない。
おじいちゃんがトイレに間に合わなかった事に、ぼくは動揺していた。
 
239夢花火:2007/10/17(水) 12:19:42 ID:E+bHz/X4

「虹の犬」18


「あら、石田さん、あら」
 気がつくと、前に見た看護婦さんが急いでおじいちゃんの所に近づいてくるところだった。

看護婦さんはおじいちゃんがお漏らししているのを確認すると、眉一つ動かさ
ずにてきぱきとおじいちゃんのパジャマをタオルで拭い、トイレの横のシャワ
ー室につれて行く。
おじいちゃんは素直に看護婦さんにされるがままになっていた。
 看護婦さんはしばらくしてシャワー室から出てきて、床のおしっこを雑巾で
ふき取り、消毒液を霧吹きで掛けた。
その間看護婦さんはずっと素手だった。

それから廊下の窓際で突っ立っているぼくに、あなたお孫さんね、と言って、
おじいちゃんのパジャマをとりに行くように言った。
ぼくが背を向けると、後ろで看護婦さんの
「薬、きつかったのかしら・・・」と小さく呟く声がした。



「恥ずかしいところを見せてしまったなぁ」

おじいちゃんは着替えてベッドに戻ると、静かに口を開いた。
「良太、びっくりしたかい」

 ぼくはびっくりしたけど、おじいちゃんがぼく以上にこのことにショックを
受けているのが分かったから、何も言えなかった。
 きっとぼくが二年生に入ってからお漏らして、朝、お母さんに言えなかった
時と同じだと思ったから・・・

「どうも、小便が間に合わないのは、迷惑もかけるし、何より情けない」
おじいちゃんは寂しそうに言った。そう言ったおじいちゃんが小さくて、いつ
もの、何があってもどっしり構えているおじいちゃんとは別人みたいに見えた。

「ぼくだって、あるよ」

おじいちゃんはぼくを見ると、息を吐きながら、少しだけ笑い、良太とは違うさ、
と言った。

「違わないよ、ぼく、ぼくも、したことある。
でも、気がついたらしちゃってるんだ。それはもう仕方ないんだ。
だって気をつけてても駄目で、頑張っても、どうしようもないんだもん。
だから全然、恥ずかしくないし、そんなの全然なんてことない」

 ぼくは、おじいちゃんがしょんぼりしているのを見たくなかったんだと思う。
この状況をなんとかしたくて、ぼくはひたすら一生懸命に喋った。

 おじいちゃんはいつだって頼もしくって優しくって、すごく面白い、
ぼくは大好きなんだもの・・・

「そうか。なんてこと、ないか」

「そう、全然、ぜーんぜん、ぜーーーんぜん」
「ふふ。ぜーーーんぜん、か」

 顔を見合わせて、おじいちゃんとぼくは一緒に笑った。
 ぼくはおじいちゃんの笑顔を見てほっとした。
それから、これはおじいちゃんとぼくの秘密にしよう、と心の中で思った。
240夢花火:2007/10/17(水) 12:22:58 ID:E+bHz/X4

「虹の犬」19


「良太、コロンの話じゃがな」
おじいちゃんは急に真顔になって言った。

「あれは不思議な犬でな。昔うちに迷ってやってきたんじゃ。
その頃から体は大きくてな。だから何歳なのか正直、わしにも分からん。
雑種じゃし、どこか獣みたいな風貌をしとるから、最初はうちに置くのを反対
したんじゃよ。首輪もしとらんし、見るからに野犬じゃもの。

庭に座って動かんので、ほうきで追い回したり、石をぶつけたりしたな。
それでも出ていかん。そうしたらその内、雨に打たれたのと腹が減ったのとで
だんだん衰弱してきてな。
 迷惑に思っとるもんでも、毎日毎日見とると情が沸くんじゃ。
ばあさんがうちで飼おう、うちで飼おうと言うのに負けて、仕方なく飼い始めた」


そこまで言うと、おじいちゃんは少しさびしいように優しい、懐かしそうな顔になった。

 おばあちゃんの事を話すときはいつもこういう顔になる。
 ぼくの小さい頃におばあちゃんは死んだ。
 ぼくはおばあちゃんの顔を覚えていない。


「ばあさんは、猫とか犬とか、動物が死んだり、捨てられとるのを見るのが我慢
できんのじゃ。ばあさんは病弱じゃったからな。
 やたらに拾って、育てられんと結局動物も可哀想だし、わしに迷惑をかける
のも忍びなくて、いつもは遠慮しとったんじゃ。
 コロンは不器量だのに、ばあさんはえらく気に入っていたな。飼ってみたら
コロンはおとなしくて無駄吠えもせんし、体が大きくて面構えが凶暴じゃから
番犬にもなるしで、そのへんの飼い犬よりよっぽど重宝した」

 おばあちゃんが動物好きだったなら、それはお母さんより芙美子さんに受け
継がれたのかもしれない。
 芙美子さんはウサギやカメや金魚、それから猫を三匹も飼っている。


「コロンでひとつ困ったのがな。飼いはじめの頃じゃが、時々朝見ると、
どうやって抜けるのか、首輪を器用に外しとるんじゃよ。
夜中にどこかへ行っとるらしい。別段噛み付きもせんが、あの図体じゃし、
もし何かあってご近所の迷惑になったらいかん。
 すぐ柵を高くして首輪も立派なのに変えたが、それでも朝思い出したように
時々抜けた首輪が転がっとったりしてな。

 何度もこっそり隠れてどこに行くのか確かめようとしたが、コロンは頭がいい。
わしが見とるのが分かるのか、そういう時は絶対に小屋に入って出てこなかったよ。
 でもそれは飼いはじめの頃のことで、しばらくしたら止んだ。

 わしは勝手に、もとが野生じゃったから急に生活が変わって窮屈なんじゃろ
うと思っとった。それから五年の間、もう二度と、そういうことはなかった」
241夢花火:2007/10/17(水) 12:27:01 ID:E+bHz/X4
 
 「虹の犬」20

 
 おじいちゃんはそこまで言うと、ぼくの方に顔をぐっと近づけた。
自然と目と目が合う高さになる。

「じゃが不思議な事に、ばあさんが死ぬ前の日・・・
 わしはその日の昼間、たまたま庭木の手入れをしとって、一日中体を動かし
てクタクタに疲れてもう夕方には眠ったんじゃ。
 そうしたら夜中に、ばあさんがわしを呼ぶ声で目を覚ました。実は死ぬ一年
くらい前からばあさんは、少し、ボケとってな。夜でもなんでも急におじいさ
んおじいさんと言うて呼ぶことがあったんじゃよ。

 どうしたと言うてばあさんの布団を見たら、ばあさんが横になったまま宙を
見ながら『コロンは好きな所に行って、いいわねぇ・・・私も一緒にそっちに
行こうと思うのだけど、おじいさんと一緒じゃいけないって言うのよ』と言う。

 ばあさんはそれまでもそういう事を言うことがあったんで、わしは大して気
にせずに『そりゃぁ、コロンもばあさんも行くなら、わしも一緒に行きたいが
な』と言うと

『ほんとうに、おじいさんも来られたらいいのにねぇ』
と苦しそうに目を瞑って、困った顔をする。

『ばあさん、まだ夜中じゃ、眠ろう』とわしは言って、布団に入ろうとした。
 そうしたらまたばあさんが、
『おじいさんと一緒にいたいんだけれど、どうしようかしらねぇ。ああ、順番が
もう決まっているみたい・・・ごめんなさいね、私だけ・・・先に行って』
と言った。

 見ると目を瞑って笑っている。わしは急に勘がした。

『ばあさん、ばあさん、待ってくれんか、行くのは、また今度にしてくれんか・・・』
言い終わらん内に、ばあさんは畳の上をまさぐってわしの手を捜すような格好をした。

 わしは急いでばあさんの手を握って、おおい、おおい、と呼びかけたけれど、
返事をしない。

 まるでそのまま眠ったようじゃった。
 ばあさん綺麗な顔しとった。

 部屋中が静かでな。ずっと手を握っとった。
朝が近くなって気がついたら、堅く握ったばあさんの手がすっかり冷めていて、
ああ、死んだんだ、と思うたよ」


おじいちゃんはぼくの手を包み込むように両手で握って、あったかいじゃろ、
と言った。


「その朝のことよ。ふっと見たらコロンの首輪が抜けとったんじゃ。
コロンはばあさんの通夜が済むまで、小屋の前でじっと臥せって動かんかった。

そう・・・まるでどこか遠いところに行って来て、疲れて眠っているようにな・・・。



わしはあれが、ばあさんを道案内したんじゃろうと思っとる・・・」
242夢花火:2007/10/17(水) 12:35:00 ID:E+bHz/X4
 「虹の犬」21


 ぼくが初めて聞く話ばかりだった。
 コロンはうちにやってきてから一度だって首輪を外したりしなかったし、
ましてや夜中にどこかに行ってしまうことなんてなかったんだから。

 おじいちゃんはここまで喋ると少し疲れたのか、ベッドに横になる、と言った。
ぼくはおじいちゃんがスリッパを脱ぐのを手伝った。
パジャマの裾から、おじいちゃんのほっそりした足首が見る。

 それを見て、ぼくはなぜだか分からないんだけど、急におじいちゃんが年寄りの
知らない人になったみたいな気分になった。
 なぜだか分からないんだけど・・・

 心細くって、不安で、ぼくはおじいちゃんの握ったままの手をぎゅっとした。
するとおじいちゃんも、きゅっとぼくの手を握り返し、

「コロンは黄泉の国から来た使いかもな・・・」
と小さく呟いた。

「よみのくに・・・」


 そのままおじいちゃんは眠くなったのか瞼を重たそうにしていたが、
やがてすっかり寝息をたてて眠ってしまった。

 よみのくにって、どんな所なんだろう。
 帰り道ぼくの手には、おじいちゃんの手が、何度も何度も撫でた感触が残っていた。




 次の日の朝、昨日までぬるかった風はすっかり澄んで、きれいな秋の空が広がっていた。
ピンとした空気に鼻の頭がちょっぴり冷たい。
 長袖のトレーナーから風が通り抜けて、心地よかった。


 ぼくは今日、少しだけ早く家を出た。
いつもは早起きなんかしないぼくが、台所に立ってパンなんか焼いてたもんだから、
お母さんが驚いて寝坊した!って慌てていたのが可笑しかったな。

なぜ早起きしたかって、今日は紙粘土の仕上げをやって、石井先生に渡す約束
の日だからだ。

同じクラスの子のはとっくに仕上がって教室の後ろに飾られている。
ぼくの紙粘土は、まだ展示コーナーに飾られていない。 
 先生の推薦で、県の芸術コンクールに出品されることになったからだ。
先生が、「内緒だけど、三年生では森田君のしか出品されないのよ」って教えてくれた。
 
 コンクールなんて言われたらもう、張り切らずにはいられない。
 もっとちゃんと仕上げたくて、ぼくは先生に無理を言って完成を待ってもらっていた。

歩きながらも、ぼくの頭の中は紙粘土の中の未来の世界の人達でいっぱいだった。
 もちろんコロンのことだって心配だ。
 でも今は先生に、上手に色を塗ってきれいに完成したやつを見せてあげたいって
気持ちが大きい。

 胸いっぱいに風を吸い込んで、自然とぼくは早足になっていく。
 ぼくは軽やかに校門をくぐった。 
243夢花火:2007/10/17(水) 12:38:29 ID:E+bHz/X4
「虹の犬」22

            赤。

 赤い、いろ。

 花畑のきみどり、人の肌が、銀の宇宙船が、ぜんぶが


             真っ赤だった。

 ぼくが最初教室に入ったとき、ぷんと、チューブから出たばっかりみたいな、
絵の具の濃い匂いがしていた。息苦しくって胸が悪くなるみたいな匂い。

 いつも通りに見えた教室で、ぼくは後ろに並んだ作品の中から自分の紙粘土
を選ぼうとした。
 でもすぐ気がついたんだ。だって、いつもだってぼくの紙粘土は、上にハリガネ
でぶら下げた大きな宇宙船があってとても目立つんだから。

 宇宙船は大きく二つに割れて、ぼくの作った地上の花畑や、たくさんの人達
の上にあっけなく転がっていた。
下敷きになった場所の人達は砕けて、不恰好にちぐはぐな欠片が床にまで散ら
ばっていた。


 そして、ぼくの紙粘土には、上から隙間もないくらい一面に、
まるで血の海みたいに、鮮やかな赤色が塗りたくられていた。

 
 その赤が濃くって、濃くってぼくは・・・

 それが何か悲しくなるくらいの赤で、なぜか怒るより先に頭の中がチンと冷
えてぼくは立っていることも忘れた。

 みんなの、色とりどりに塗られた紙粘土の中で、その赤い紙粘土だけが
異様で、大声で叫んでいるみたいにぼくには見えた・・・・
244夢花火:2007/10/17(水) 12:42:54 ID:E+bHz/X4
 
 「虹の犬」23


「やった人は手を挙げなさい」

石井先生はさっきから同じ質問をしている。ぼくは目を閉じて下を向いているけど、
誰の手も上がっていないのは気配で分かる。
 先生はかすかなため息をついて、みんなに目を開けるように言った。

「こういうことが、クラスで起きたことが、先生はとっても悲しい。
確かに、みんなの中にこういうひどい事をした人がいるとは、先生も思いたく
ないです。もしかしたら他のクラスの子かもしれない。
それとももしかしたら違う学年の子かもしれない。

でも、もしそうじゃないなら、やった人は違う人に疑いをかけて、ああよかっ
たっていってほっとするのかな?
 先生は、そんなことじゃあその人はずっと後悔して、これから学校でずっと
笑顔で過ごせないと思う。 
 ちゃんと森田君に謝って、反省したら、森田君も先生もクラスのみんなも
絶対に責めたりしない。
 それに、それができたら、これからもっともっといいクラスになっていけると思う」

 ぼくが石井先生の顔を見ると、先生はうっすら目の周りをピンクにしていた。

 教室は静かで、隣のクラスの朝の会の歌が聞こえてくる。
先生はぐるっと教室を見渡して、
「名乗り出てくれるのを、先生は待っています」
と言った。


 休み時間、クラスではぼくの紙粘土を壊した犯人の話で持ちきりだった。
いつの間にか学級委員の三上君がみんなのまとめ役を買って出て、彼を中心に
たくさんのクラスメイトがぼくの席を取り囲んだ。

 みんなはぼくに向かってまるで取調べの刑事みたいに次から次に今朝の様子
なんかを聞いてきたんだけど、ぼくはその度に同じ話を繰り返すだけだった。
 そのうちみんなは質問に飽きたのか、三・四人のグループで固まって好き勝手
におしゃべりを始めた。
245夢花火:2007/10/17(水) 12:46:01 ID:E+bHz/X4
 
 「虹の犬」24
 

「こういうことはクラスのみんなで考えないといけないと思うんだ」

 賢そうな広いおでこをした三上君が、くりくりした瞳で言うと、騒がしかっ
た教室が静まった。

「クラスの誰がやったか分からない限り、全員がようぎしゃなんだ。
先生はああ言ったけど、僕はクラスの中に犯人がいると思う。
みんなの紙粘土は無事で、森田のだけめちゃめちゃにされたってことは、
犯人は森田のを狙ってやったんだ。
 あれが森田の作品だって知っていて、コンクールに出ることになったのを知
っているのはこのクラスの人間だけだろ。
だったら、このクラスの誰かがやったってほうが、説明がつく。
 もうすぐ運動会もあるのに、このままじゃクラスがバラバラだよ。
一人の勝手な行動で大変なことになってしまう。
やった人は、今名乗り出てほしい。」

 三上君の言葉に、みんなは顔を見合わせた。
お互いがお互いを疑っているような、湿った空気。


「でも一番かわいそうなのは森田君よ。犯人最っ低―」

大勢で固まっていた女子の中のだれかが言って、女子たちが、かわいそうーとか、
信じらんない、とか口々に騒ぎ出した。


再びはじまったおしゃべりは、今度はなかなか収まらなかった。
三上君は女子の迫力に押されてしまったみたいに、困ったみたいな顔で突っ立
っている。

 すると、女子の中でも大柄でリーダー格の西田さんが、一人ひとりの顔を確認
するように見回して口を開いた。


「みんなで犯人捜さない?このままじゃ気分悪いし」

一瞬にしてみんな口をつぐんだ。
誰もが考えているような間があった次の瞬間、どこかのグループの中から、
「賛成ー」という誰かの声が上がった。



「あたしも」
「疑われてるの嫌だもんね」
「犯人が正直に言わないんだから仕方ないよね」
「そうそう、正直に言えば許してあげるのに、黙ってるんだからしょうがないよ」

 女子たちは群れになって西田さんのところに集まっていき、他にいたグループも
ちりじりになって、三上君のもとにはぼく以外誰もいなくなってしまった。
 三上君は戸惑ったみたいにしばらくその様子を見ていたけど、完全に西田さんが
女子たちを束ねてしまったのを感じたのか、諦めたように肩を落とすと自分の
席に帰っていってしまった。

 西田さんたちは教室の後ろに移動して、ひそひそと真剣そうな顔で話し合い
をしはじめた。
246夢花火:2007/10/17(水) 12:50:13 ID:E+bHz/X4

「虹の犬」25


 一瞬にしてぼくの周りから人がいなくなった。
ぼくはいまだにショックから抜け切らない頭で、机の横に下げた粘土の欠片が
入った紙袋を見つめていた。

 なんでこういうことになったのか。いくら考えても答えが分からない。

ぼくは真っ赤な紙袋の中身とさっきの先生の辛そうな顔を同時に思い出して、
じっとりと胸の中に酸っぱいような苦いような痛みが広がっていくのを感じていた。


ふと気がつくと隣に優璃ちゃんが立っていた。

「いつもは関係ないって顔してるのに、こういう時はなんで急に正義の味方み
たいになるのかな、あの人たちって」
優璃ちゃんはつまらなさそうに言って、遠くにいる女子のグループに顎を杓った。


 優璃ちゃんは西田さんのグループには入っていない。
というかどのグループの中にいるとか決めていないみたいだ。
 クラスの女子の中で優璃ちゃんみたいな子は他に長谷さんしかいない。
 長谷さんは休み時間になるといつの間にかどこかに行ってしまうか、教室に
いてもいっつも黙って読書をしていて、話しかけてもほとんど喋らないからみ
んなから空気みたいに思われていた。

 ぼくは、優璃ちゃんは強い女の子だと思う。
だってグループに入っていない場合、いろいろ面倒だからだ。
例えば授業でペアを作ったり、班に分かれたりするときにそれはよく分かる。
優璃ちゃんと長谷さんはそういう時決まってはじかれて、結局最後に先生が出
てきて二人の班を決めるのだった。

 優璃ちゃんはぼくと違って勉強ができるし運動神経だっていい。
性格だって明るいし、その上優しい。ぼくがヒロシにいじめられそうになると
助けてくれる。
 みんなに同じように振舞うし、誰かの悪口を言って回ったりしない。

 見るからにクラスの人気者になりそうなのに、クラスに優璃ちゃんと仲良く
する女子はあんまりいないみたいだった。


「森田君は、どう思う?」
「どうって」
「犯人探し」

 そう言われても、ぼくにはよく分からなかった。犯人は見つかってほしいけど、
見つかったからといってあの紙粘土は元どうりにはならない。

 ぼくがどう言ったらいいか考えていると、優璃ちゃんは紙袋を上から覗いて、
ため息をひとつついた。


「可哀想だよね・・・。何か言いたいことを、こんな風にしてしか言えないなんて」

 その言葉の意味を、ぼくはそのときは理解できなかったんだ。
247夢花火:2007/10/17(水) 13:13:47 ID:E+bHz/X4
 ここまでいっぱい書いといて何なんですけど、
このスレは自分専用でもないのに他の書きたい方に迷惑かけてるんじゃ
なかろうかって気がレス読んでたらすごくしてきまして・・・

お言葉に甘えて、かなり身勝手に時間空けて投下したりして、
その間にいくら書き込んで下さいって言っても
他の作者さんからしたら(住人さんにしても)迷惑以外の
何者でもないのかもしれないと思うのです。

ですので、次の投下を含め、作品の投下は小出しをやめるか、
>>232さんの示してくれたような場所にしたほうがいいのかちょっと
迷いが出てきまして・・・
248夢花火:2007/10/17(水) 13:29:16 ID:E+bHz/X4
連投スイマセン・・・

最初は作者さんがそれぞれいろんなジャンルの作品を好きに投下できて、
また読んだ方も、書いてみたいと思ったら好きに書けるようにという
願いも込めて立てたはずが、
今、自分の占領でせっかく書こうとしていらっしゃる
作者さんの投下の場を奪うどころか
やる気までそいでしまうとしたら申し訳なさすぎるのです。

きっと前に投下を考えていた・いる作者さんも、占領中でなければ
普通に投下できたかもしれないと思うと・・・

とりあえずこの小説を完成させないことにはですので、
次の投下は小出しをやめたほうがいいでしょうか?

今まで小出しにさせてもらったのは、自分を奮い立たせる為というか
ある程度投稿してしまえばなにがなんでも完成させないと、という気持ちに
なるというなんともお粗末な理由だったのも確かで(-∧-;)

うまく言えなくて申し訳ないんですけど・・・
他作者さん、夢花火はいないものとして、いつでも投下してください。
私も投下の仕方をちゃんと考えたいと思いますので・・・
249癒されたい名無しさん:2007/10/17(水) 15:51:45 ID:vyTPcmco
癒されにきたのに中二病患者のせいでむかついただけだった。
どうやらあちこちのスレで見当違いのことばかり言ってる人のようだ。
気にするだけ無駄な気がする。
夢花火さんはもっと堂々としてりゃいいと思う。
ぶっちゃけあなた書いてないとき九割方過疎だし。
250癒されたい名無しさん:2007/10/17(水) 15:53:19 ID:vyTPcmco
あ、個人的には耳かきはいつかなぁとかは思ってたりします。
251癒されたい名無しさん:2007/10/17(水) 16:05:40 ID:71uFZrIy
>夢花火さん
名無しに戻ると宣言したけど、今回は書き手の立場から意見しちゃうぜ!
という事で>>71の人ですどうもこんにちは
こういう立場の使い方はちと卑怯かもわからんが、そこは勘弁な
あと長文レスが嫌いな人は読み飛ばし推奨

で、もし>>217辺りからの流れを気にしてるなら、そんな必要はないと俺は思う
これはスレの雰囲気の問題というより、当人の資質による問題が大きいと断言せざるを得ない
俺も大分感想もらってイヤッホウと浮かれる事が出来たし(本当有り難う!(つД`))、>>144の人だってしっかり期待応援のレスがついてるし
>>217だって当初は投下を期待するレスがついてた事も考えれば、こういう結論にしかならないと思うんだな
だから書き手になろうとしてる人は、その気さえあればいつでもなれるし、スレ住人もまたそれを望んでる、これは間違いない
ただ耳かき小説なんて正直マイナージャンルだと思うし、住人自体そこまで多くはないだろうから、今は単に書き手が少ないだけじゃないかなー

というかね、そもそもスレ住人としては、ただ面白い作品が読めればそれで良い、と考える人が多数だと思うんだ
少なくともここにいる面子は夢花火さんの作品に惚れてついてきてる訳で、言ってみれば夢花火さんのためにここにいるって部分はまだまだ大きかろう
小説スレでは多数の読者と少数の書き手しかいないなんて当たり前のことで、ここみたいに主な書き手は一人しかいないって事も本当に多い

結論としては、夢花火さんがやりたいようにやっていれば良い、と俺は思う
いるかいないのかも解らない(他の)書き手の事なんか気にしても仕方ないさ
小出しにするも一旦まとめてから投下するも好きにしてくれておk
今はやりやすいようにやるのが一番さ


って書いてる間にレスがあったので軽く触っちゃう

>>249
まあなんだ、叩きはほどほどにしとこうぜ
あの人はあの人で一応やる気はあったみたいだし、と一応フォロー
ただこのスレの趣旨を今ひとつ理解してもらえなかったのは残念だったなあ、とも思う
どんな人が書いた作品であろうと、俺としては正直読んでみたかったし

あ、耳かきモノが読みたいのは俺も同意(゚∀゚)
自分で書けって? ネタがないですフヒヒサーセンwwwww
252癒されたい名無しさん:2007/10/18(木) 00:18:31 ID:ixZneRFw
>>251
ネタがない?、
あるじゃないか「耳掻き」という共通のネタが!
次は作者さんとして降臨される事を期待しておりますw


小出しでもいいと思うよ
他のスレでも小出しの間に別のお話が挟まってたりするんだからさ
投下中の割り込みにだけ気をつければいいんじゃない?
253癒されたい名無しさん:2007/10/21(日) 12:39:01 ID:EoXLS6aI
>>251
あなたの作品好きです!
書いて、書いて〜!
思わず眠くなるようなきもちい〜い耳かき小説を!
前回のは何度読み返しただろう…ハァハァ
254癒されたい名無しさん:2007/10/28(日) 19:02:24 ID:AhJZ8rIJ
耳花火あげ
255癒されたい名無しさん:2007/10/30(火) 22:34:20 ID:72iOYFtI
耳かき(する方)の体験談をSSに興してみたんだけど、なんだかとんでもなく長くなった…
ここに投下してもいいかな?
256癒されたい名無しさん:2007/10/30(火) 22:42:33 ID:oPR3nTr+
>>255
問題無し。ここはそういう場ですから、ってか是非お願いします。
257癒されたい名無しさん:2007/10/30(火) 22:54:18 ID:0L+uqVcj
>>255
是非是非、お願いします。
258癒されたい名無しさん:2007/10/31(水) 01:29:14 ID:GTdGmz9u
それではとりあえず途中まで。
誤字脱字等あったらごめんなさい。もちろん耳かき小説なんて書くのは初めてなので、どうかぬる〜い目で見てやってくれるとありがたいです。
259我が家の場合・1:2007/10/31(水) 01:30:47 ID:GTdGmz9u
育ちの良い旦那は甘やかされて育った長男だったので、思春期まで耳かきは母親のひざ枕でしてもらうのが当然だったらしい。
元々不器用なので自分では上手くいかないらしく、付き合い始めてすぐ同棲が始まったので、必然的に母親の役目は私になった。
私はといえば幼少の頃から耳かきが好きすぎて学校にまで耳かきを持っていっていた。今考えると外耳道炎気味だったのだろう。
しかし自分の耳垢はいわゆるネチョ耳、溜まりやすいが収穫のしがいが無い。過去に二度程通院した外耳道炎は結局意志の弱さで治りきらず、掻きすぎると今もすぐ汁が出る。

話を戻して旦那の耳である。
旦那の肌質は油性である。学生時代にはニキビに悩まされたらしい。
無論耳も例外ではなく、周辺の皮膚が鳥肌のようにプツプツしている。
毛穴もでかく、耳裏や耳穴付近に角栓が詰まっていたりすることもしばしば。角栓フェチの私としては、耳かきついでにそれをプリュッと耳かきのへらで押し出すのも堪らないものがある。
確か先週の週末だったはずだ。耳かきを持って「やってくれ」とソファにいきなり横たわった。
そういえばしばらくやってあげてないな、と普段気乗りしなければ断る事もあるが、ティッシュを用意させ素直に膝を貸した。素晴らしきかな耳かきは夫婦のスキンシップも兼ねている。
260我が家の場合・2:2007/10/31(水) 01:34:07 ID:GTdGmz9u
使うのは普通の竹の凡天だ。
いろいろと気になる耳かきはあるものの、冒険する勇気がない。結局これに戻ってしまう気がする。
左側を天井に向かせて寝かすと、もうそれだけで脂ぎった耳たぶがぎらぎらと光っている。
大きめの耳穴から長い耳毛に細かく付着した耳垢が見えた。旦那は粉耳なのだ。これはいい収穫が期待出来そうだ。

さて施術に入る。
まずは痒みがかなり来ているようなので、もういきなりだが穴の中腹まで匙を一気に突き入れる。
それだけで「はぅ」と声が出た。相当キていたようだ。可愛いヤツめ。
そのまま内壁に沿って一周ぐるりと撫で上げ、入口までゆっくりと掻き上げつつ獲物を落とさないよう慎重に匙を出す。
…そこには。
比較的幅広なへらの上に、こんもりと盛られた山。白いパンの皮を細かく崩したような、しかし、抜け落ちた細かい耳毛と相俟って、それは死んだ皮膚の面影を残している…見事な収穫があった。
通常なら小山は出来てふた匙ほど、あとはカスを集める程度なのだが、今夜はちょっと違った。掻いても掻いてもパン粉が出てくるのである。
外耳道の中、壁をえぐるように動かすとボロボロと剥がれてくる。
奥から手前に向かってスナップを利かせ、さながら砂城にトンネルを開けるが如く耳垢を掻き出す。
最後に入口付近、耳毛に絡まったカスをかき集める…ティッシュの中央にそびえ立つパン粉タワー、それは壮観だった。
261我が家の場合・3:2007/10/31(水) 01:42:45 ID:GTdGmz9u
しかしここで一つ問題が。
旦那は仕事柄か、耳毛が濃く、さらに外耳道が曲がっているため、肉眼では鼓膜付近までよく見えない。
果敢にアタックを試みるも、ちょっとした軟骨の出っ張り、そのカーブの先には確実にカリカリと存在を主張している何かがあるのだが、それ以上奥は『痛い』と抵抗されてしまうのだ。
いつか絶対、イヤースコープ付きの耳鼻科に連れていってやる、もちろん私同伴で。とひそかに野望を企てている事を、当然だが誰も知らない。
誰か近所でいい耳鼻科知りませんか?いやマジで。

262癒されたい名無しさん:2007/10/31(水) 04:07:38 ID:Ue3z3cJL
落ちが宜しいようで、というか、もう少し癒しが欲しい感じがしました。
でも、拍手。 パチパチパチパチ…
パン粉タワーが部屋中に飛び散ってしまいますた。
263我が家の場合・4:2007/10/31(水) 07:47:30 ID:GTdGmz9u
ここで読者諸君に朗報がある。
うちの旦那の耳の最大のポイントであり、また長所でもある部分が、何を隠そう『耳垢が穴の中だけじゃない』ところだ。
先にも話したとおり脂性の旦那の耳は、ホントに洗ってるのかと思うほど常にギトついている。
上手く表現出来ないが、耳表面の軟骨と軟骨の間、俗に耳介と呼ばれる部分であろうか?その最も汚い箇所がこの、耳介部分に存在しているのである。
まずは焦らない。入口手前の比較的平坦な部分の皮膚の掃除からだ。
すでに油の浮いている皮膚は、カリコリと軽くすくうだけでへらに油がとれる。多分耳全体は油取り紙2枚くらいなら平気で透明にしてしまいそうな程だ。
段々と、所々黒くなった毛穴から角栓の先が飛び出し、表面の古い皮膚がめくれはじめる。
そこを一気に、少々強めに2、3回グリっと押し出す。
…表面はいい…角栓の抜けたぽっかり毛穴もぺたぺたの薄皮が剥けていく様子も、蛍光灯の下鮮明に見える…
拭き取った汚れは、さすが外気の影響をモロに受けるのか中の白さとは違い、グレーがかったまさに『汚れ』である。
264我が家の場合・5:2007/10/31(水) 07:56:34 ID:GTdGmz9u
さてここからが最大の山場だ。
さきほど話した耳介、耳穴の上のちょうど軟骨の裏側に当たる部分に、滑らせるようにして耳かきを差し入れる。
ズ、ズズ、ズリッ…ゆっくりとしたストロークで押し付けるようにして掻き出すと…こ、これは…
『有り得ない』
ギトギトとした油をまとったそれはパン粉なんて生易しいモノではない。
さながら油こし器のザルにのった、いわゆるカスだ。そしてこれもまた黒ずんで、グレーの細かな皮が油で一まとめになっている…それも『もりっ』という効果音がぴったりなほど…!
きったねぇぇえ!!!思わず口に出た台詞に旦那の寄せた眉毛も気にならないほど興奮していた。
もう皮膚がそのままえぐれているんじゃないかと思うぐらい、軟骨の裏側は掻けば掻くほど垢が出てくる。まさに取っても取っても。
ようやく耳かきに何もつかなくなる頃には、グレーの天カスがこさじのスプーン半分ほどが取れていた。
一体なんだ、なんなんだこのスポットは…?!魔法か?!マジカルスポットなのか…?!

最後に、耳たぶ裏の角栓や皮ムケをチェックし、濡れティッシュで全体を拭いて終了。ここまでしてもまだ拭いた後のティッシュは汚れるのだから、もう相当である。
一戦を交えた後の耳にお疲れ様を言い残し、あまりの興奮に思わず握り潰してしまった左こぶしの中のティッシュを、そろそろとあけてみる。
…素晴らしい戦果だった。本当に。手の平を丸めていないと零れおちそうなほどの豊かな量。またそのひとつひとつも、グレーから黄みがかった白、ちいさな痂の黒っぽい赤まで、実にカラフルに富んでいる。
捨てるのは惜しいが、生憎コレクションするまでの趣味は持ち得ていない。
豪快に丸めてごみ箱に投げ入れるこの瞬間こそ、この人と結婚して良かったと、心から思える時がある事を、感謝している証になるのかも知れない。

265癒されたい名無しさん:2007/10/31(水) 08:00:06 ID:GTdGmz9u
以上です。お粗末様でした。
オマケも書こうとしたんですがお目汚しになりそうでしたので…
途中眠気に負けて投下に時間がかかってしまい、すみませんでした。
266癒されたい名無しさん:2007/10/31(水) 13:31:29 ID:KUUGEykB
GJ
興奮したわw
267癒されたい名無しさん :2007/10/31(水) 15:16:18 ID:JoX2SS3n
乙!
これは面白いwww
素敵なお話れした
268癒されたい名無しさん:2007/10/31(水) 21:59:39 ID:AEioNEtJ
お疲れ!!夫の外耳道の掃除だけではなく
耳表面の軟骨と軟骨の間等の掃除が事細かで
身震いしました。
269癒されたい名無しさん:2007/10/31(水) 22:47:27 ID:rdxEg57t
マジカルスポットに激しくハアハアしますた
270癒されたい名無しさん:2007/11/01(木) 01:47:26 ID:lgcmJgsL
癒されなかったけど、興奮したワァ コリコリコリ *─σ ´ Д`)ハァン
271癒されたい名無しさん:2007/11/02(金) 00:33:19 ID:XECjUuVH
なんて覚醒作用のある小説!
興奮して(・∀・)ネレネーヨ!!
マジGJ!!!
272癒されたい名無しさん:2007/11/07(水) 22:05:50 ID:qxw0PTLO
たまんね〜〜〜

ぜひぜひまた書いてくだされ!
なんで耳かき小説ってこう感覚を揺さぶるかねー
273癒されたい名無しさん:2007/11/12(月) 16:03:38 ID:XaXzB6ua
支援
274癒されたい名無しさん:2007/11/20(火) 19:55:51 ID:nys0c7tz
ほしゅ
275癒されたい名無しさん:2007/11/22(木) 14:18:42 ID:6Ylrt/Zm
そろそろ続きが読みたい
支援
276癒されたい名無しさん:2007/11/28(水) 22:44:17 ID:7zbqaiyw
夢さん消えたのかぃー
277癒されたい名無しさん:2007/11/29(木) 00:34:15 ID:Hv+sPn1A
スランプなんだろうさ
連載中に突然筆が止まるのはよくあること
しかもそういう時ってさ、期待がすげえ重荷になるんだよな
書くって宣言しちゃったし書かないと、ああでも書けないようわあああみたいな
まあ単にリアルが忙しいだけかもわからんがなw


つー訳で俺はひっそりと応援だけしとく
無理はしないで適当に自分でペースでガンガレ
278癒されたい名無しさん:2007/11/30(金) 01:59:04 ID:dB7SnGyX
うんうん。気長に待っているよ。
279癒されたい名無しさん:2007/11/30(金) 10:39:56 ID:hxRtDuSr
ここの小説読んでたら
ケータイ小説はアホらしくて読めないナリ
280ケータイ小説:2007/11/30(金) 11:39:46 ID:ZE+c112F
 ───アタシの名前はアイ。耳かきしすぎで傷を負った女子高生。カサカサミミクソでたまりやすい体質の耳垢ガール♪
アタシがつるんでる友達は耳かき制作をやってるミキ、学校にナイショで
膝枕耳かきで働いてるユウカ。訳あって耳かきグループの一員になってるアキナ。
 耳かきしていてもやっぱり学校はタイクツ。今日もミキと耳かきの素材で口喧嘩になった。
ミミカキスト同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは一人で耳かき店に行くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
 「あー耳痒い」・・。そんなことをつぶやきながらしつこいキャッチを軽くあしらう。
「カノジョー、ちょっと耳掻きしていかない?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
キャッチの男はカッコイイけどなんか耳かきが下手そうでキライだ。もっと小指大以上の耳垢を取って欲しい。
 「すいません・・。」・・・またか、と耳セレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっとキャッチの男の手を見た。
「・・!!」
 ・・・チガウ・・・今までの耳かき店とはなにかが決定的に違う。ミミカキスティックな感覚がアタシのカラダを
駆け巡った・・。「・・(耳かきダコ・・!!・・これってレスプ級・・?)」
男は凄腕耳かき屋だった。連れていかれて筒状の耳垢を取られた。「キャー耳の皮全部持ってかれる!」耳垢水をキメた。
「カリカリコリコリ!ゴロッ!」アタシは鼓膜に付いた耳垢まで取られた。ミミエステヒーリング(笑)
281癒されたい名無しさん:2007/11/30(金) 20:15:55 ID:XzvRn5CV
>>280
面白かった。もっと頼む。
282癒されたい名無しさん:2007/11/30(金) 21:34:46 ID:CvXOyiTW
アレンジイイ
283癒されたい名無しさん:2007/11/30(金) 22:00:18 ID:hz1UAo5d
>>280
これは良い改変w
284癒されたい名無しさん:2007/11/30(金) 23:51:22 ID:A4OQcOAj
>>280
こんなケータイ小説なら一日中読みたい(*´Д`)
285癒されたい名無しさん:2007/12/01(土) 01:39:49 ID:HTvk35cI
ガッキー&川内康徳氏で映画化希望

耳垢の歌〜さぁ掘り出した〜何時間も見てられるね〜
でもとりあえずタッパーへ〜♪
286癒されたい名無しさん :2007/12/01(土) 19:20:39 ID:hm0e911U
>>280
おもしれぇwww
287癒されたい名無しさん:2007/12/02(日) 17:36:27 ID:YkhFY7RM
ワロタw
288ケータイ小説:2007/12/06(木) 17:27:35 ID:0eP33wBt
「ボリッ!ゴッソ!待ってくれ!待ってくれ!」
オヤジは、叫んだ。
「許してくれよ!生まれて初めての耳かきなんだから」
「コリッ!カリッ!」
ケンはかまわず耳かき続ける。
「ヒッー!助けてー!気持ちいいー!」
オヤジが悲鳴に近い叫び声をあげた。
「お前みたいな耳かき童貞がいるからいけないんだ!」
ケンが叫びながら掻き続ける。
「ギャー」
オヤジの耳垢が耳かきに山盛りになった。ケンの指も耳ローションでスースーしている。
「耳の中!溜まってんだよ!溜まってんだよ!」
ケンの形相は、もうフツウではなかった。その様子を見ていた、ミクも従業員も言葉を失ってしまっていた。思わずミクが言った。
「店長!それ以上やったら耳に虫が入りやすくなっちゃう!」
「ゴッソ!パリ!」
ケンには、まったく聞こえていない。オヤジも失禁したのか動かなくなった。
「キャー、耳垢見せて!」
ミクが叫んだ。
「あっ……はい」
従業員がビンに耳垢を詰めた。
289癒されたい名無しさん:2007/12/06(木) 19:10:42 ID:ZRpPjcDZ
いいぞいいぞwww
290癒されたい名無しさん:2007/12/06(木) 20:07:27 ID:LrcWWKxH
ナイスwww
元ネタ知らんがにやにやしてしまうw
291癒されたい名無しさん:2007/12/07(金) 11:04:35 ID:wfGsc+0c
耳かきと携帯小説
このコラボはアリだなwww
292ケータイ小説:2007/12/07(金) 11:29:11 ID:Z31doxOK
293癒されたい名無しさん:2007/12/14(金) 00:31:47 ID:eVJWejWm
ほしゅ
294癒されたい名無しさん:2007/12/16(日) 01:48:41 ID:j17UB58a
このスレって耳かき小説専門?
295癒されたい名無しさん:2007/12/16(日) 04:35:54 ID:bkeBGUC4
>1  最後に癒しの気持ちが残ればどんなジャンルでもOK
とあるから、スレ立て人の意向としては耳かきに限らずのようだね。
でも、ほとんどが耳かきスレから読みに来てる人だと思われるので
耳かきのほうがウケがいいかもしれない。

(ちなみに私は芯やニュルも好き…)
296癒されたい名無しさん:2007/12/21(金) 21:38:33 ID:3pvNyQ2I
保守
耳かきに限らず、癒し系の文章なら読みたいな
私も芯ニュル好きだ。
あと、マッサージとか、関節ボキも好き。
297癒されたい名無しさん:2008/01/02(水) 03:26:05 ID:JwHvEwfU
保守
298癒されたい名無しさん:2008/01/13(日) 00:49:02 ID:RK5tMSgg
保守です。
299癒されたい名無しさん:2008/01/16(水) 20:08:33 ID:+3tl5DMy
飢えて待つ
300癒されたい名無しさん:2008/01/27(日) 12:42:26 ID:tfKeN73P
保守
301癒されたい名無しさん:2008/02/07(木) 21:13:59 ID:jMxBxN5m
保守です
302癒されたい名無しさん:2008/02/08(金) 22:26:46 ID:HvsDUTE3
書き手来ないなあ
やはりジャンルがマイナー過ぎるのかね
303癒されたい名無しさん:2008/02/09(土) 12:23:34 ID:e9BEdQf3
飴耳系はちょっと…
304癒されたい名無しさん:2008/02/12(火) 07:55:59 ID:mHb+T2N3
保守。
305癒されたい名無しさん:2008/02/12(火) 19:40:23 ID:GlbxCqHd
お前らに朗報だ!
S級の書き手の新作が来たぜ!

http://homepage2.nifty.com/hmx/ss/ss.html
306癒されたい名無しさん:2008/02/12(火) 19:41:49 ID:GlbxCqHd
と先走ってしまったが、肝心の山場は次回持ち越しのようだ/(^o^)\
しかもh抜き忘れたし本当すまん はしゃぎすぎた
307癒されたい名無しさん:2008/02/12(火) 23:15:22 ID:6urLIBnz
>>305
こいつは楽しみだ。後編をゆっくり期待しながら待つとしよう。
308携帯:2008/02/13(水) 22:39:17 ID:rj26XHzh
宮殿では耳かきの時間を迎えており、耳かき小町達が次々と巨大な耳垢を運び出していた。
それは耳垢とは思えないほどの巨大さで、一般耳かきマニアがこの耳垢を見たらこれが本当に
耳垢か?と目を仰天させるに違いない。これだけで一般耳かきマニアとの差は歴然と離れており、
耳かきのすきな王様が毎日どのようにして暮らしているかはこの耳垢だけでも想像がついてしまう。
なおも耳垢は運び出されていく。
耳かきのすきな王様の目の前に掻き出した耳垢が出そろった。巨大で目を見張るほどの大きな耳垢。
目の前には小さく丸まっている耳垢や耳くそ。
そして、固まってが必要以上に黒く変色している巨大な耳垢。
全てが”巨大”これ以上の単語が見当たらない程、巨大であった。

---------------

ケータイ小説の方がマシだった罠
309癒されたい名無しさん:2008/02/14(木) 13:52:10 ID:YfPEzRyf
>>308
意外といいかもしれないww
310癒されたい名無しさん:2008/03/02(日) 07:18:12 ID:z2GxWk+t
もっと読みたいよー
311癒されたい名無しさん:2008/03/05(水) 02:36:09 ID:U0io+k6f
みんとぶるうさんの作品のまとめってないの?
312癒されたい名無しさん:2008/03/13(木) 00:30:15 ID:y6cg0O0S
某耳かき大手サイトに過去ログあったよ。>>みんとぶるう氏の作品
313癒されたい名無しさん:2008/03/13(木) 09:23:14 ID:vEteU5da
夢さんの小説を未だに待つわたす
314癒されたい名無しさん:2008/03/15(土) 23:19:01 ID:VIsl2rxt
夢さん、頑張ってたよな。元気してるんかな?
俺ものんびり待つことにする。
315癒されたい名無しさん:2008/03/28(金) 13:23:28 ID:vmLysKeP
age
316癒されたい名無しさん:2008/04/01(火) 22:45:28 ID:PaXqaRiB
耳かきする時の擬音表現って
「カリ」か「コリ」だがこれ以外で何かあるのだろうか?
317癒されたい名無しさん:2008/04/02(水) 00:38:43 ID:1pn+7ldx
ガリゴリ
318遊郭にて:2008/04/02(水) 04:33:30 ID:lRLJfm5b
あーーー極楽至極だねぇ

アレそんな、若旦那。わっちの取り柄はこれだけのやうなことばかり。

イヤイヤ浪里よ、お前の膝のここちいいこと。
まるで羽二重のやうでないかね。
おまえのその手の柔いこと。
その手で引っ張られると痛くもなあんともないのサ。
アアそこだよそこ、いいねぇ、もっとやっておくれ…

こそばゆくはありんせんか。

そのこそばゆさがいいんだよ。そう、そこだヨ…
お前に耳を掻かれると、どんな男だって頭から蕩けちまうだろうて。
あたしはね、お前に逢いに行くときはいつも風呂で耳を蒸してくるのサ。
こうやって、手ぬぐいでサ、

若旦那の耳のものはいつもこの櫛のやうな色でサア。

ほう、鼈甲かい。
お前いつの間にそんなものを呉れるお大尽を見つけたんだい。
こりやああたしの居ぬ間にイロでもできたんだらう。
アッ、痛えッ!

ぬしはさうやっていつもわっちをいじめなんす。
そもそもこの耳掻きだとてぬしがわっちにこうて呉れたものを…
わっちはいつもこれを挿して座敷にあがりんす。
どんな客のまへでもこの簪を抜かぬというのに…

悪かった、悪かったよ、だからもうみみたぶを引っ張るのはやめてお呉れ。
おおそうだ、そんなふうに…アァ、あたしはもうお前の膝の上でくたばっちまいそうサ。
たまらないねえ、おう、そこだ、もそっと奥…さうさう、

若旦那。見ておくんなんし。
この色、この嵩、これだけのものが取れるのは若旦那、ぬしだけにありんす。

アア浪里、ほんに心地よかったよ、耳が自然とあつぅくなるやうだ。
それ、懐紙にくるんで持ち帰らせてお呉れ…



けふの客はやっかいなもんでござんしたね、浪里さん、

さふかい、これでわっちも楽しんだんだからマァいいんだよ、

さふ言って浪里は簪を逆手に結った髪の奥をがりがりと掻いた。







319癒されたい名無しさん:2008/04/02(水) 13:53:50 ID:ItiH+Lgk
いいねーなんだか不思議な感じ。
320助六:2008/04/02(水) 20:35:49 ID:lRLJfm5b
遊郭にて を書いた者でありんす
昔は一旦髪を結うとなかなか崩せなかったので簪の先が耳掻き状になってて、
頭とか耳とか痒いとこを掻ける様になってたのもあるみたいですね〜
そんな細工もののきれいな耳掻きを思いつ郭ばなしふうに書いてみました
321癒されたい名無しさん:2008/04/02(水) 22:31:41 ID:MYSNou/D
久々の書き手さん、ありがとうっ!!
322癒されたい名無しさん:2008/04/02(水) 23:15:07 ID:HfUblnJX
ごちそうさまです!
なんというか情緒がある話だ…癒されたよ、GJ!
323癒されたい名無しさん:2008/04/08(火) 21:49:40 ID:jH5vNqLF
浪里さんに耳かきされたい
きっと夢のような一夜だ
324癒されたい名無しさん:2008/04/10(木) 07:41:30 ID:UJUW2kNX
隠れミミカキスト浪里
325癒されたい名無しさん:2008/04/12(土) 00:18:51 ID:WZfwCRRy
いいなあ浪里さん、どんな耳かき使ってんのかな
キラキラの飾りのついた銀の耳かきか、赤い珊瑚玉のついたツゲの耳かきか、はたまた透かし彫りの入った鼈甲や象牙のやつなのか…
前者の鋭い掻き味でカシカシ掻きあげて貰うのもいいが、後者のでまろやかにしなやかに長い時間コリコリして貰うのもまた乙だな
まさに夢の世界だよ
若旦那ウラヤマシス
326癒されたい名無しさん:2008/04/12(土) 09:05:04 ID:92lwGWUx
私は>>325さんの書き込みでうっとりしてしまいまいした
327癒されたい名無しさん:2008/04/12(土) 15:39:52 ID:8R2UlM2S
私もw

文才あるんじゃ?って感じ。
328sdd:2008/04/12(土) 16:11:08 ID:riPzrFw9
329癒されたい名無しさん:2008/04/14(月) 08:05:44 ID:UVVRMT7X
>>280
遅レスだがミミカキってほんと自分へのご褒美(笑)だよなw

つうか耳かきキャッチのいる世界いいなww

330癒されたい名無しさん:2008/04/14(月) 13:46:40 ID:vsbS8p1Y
しかし悪徳キャッチに引っかかると外耳炎にされるわボられるわ・・・
331癒されたい名無しさん:2008/04/14(月) 21:48:42 ID:GjuDhekr
>>325
今日たまたま仕事の帰りに歴史博物展みたいなのに寄ったんだが、
本当にあったよ、鼈甲のかんざしの耳かき! 感動!
鼈甲の琥珀色の部分だけを使った、やや太めのデザイン。
断面は平べったい四角形で、トップの部分には家紋っぽい彫刻がしてあって、
先っぽはやや幅広で薄めのしなやかフォルムのサジになってた。
あああああ、これで心ゆくまで浪里さんに耳かいて貰いたい・・・!!!!!
332癒されたい名無しさん:2008/04/22(火) 21:33:14 ID:fja2Ey0w
うわーい、久々の書き手さんだ。

ああ、久々に誰かの耳を掻きたくなったよ…
333癒されたい名無しさん:2008/05/02(金) 21:39:13 ID:3YkZzif2
保守
334癒されたい名無しさん:2008/05/05(月) 00:59:11 ID:D/DYWH0H
ほっしゅ
335癒されたい名無しさん:2008/05/06(火) 08:36:15 ID:E+3gQ8yh
336癒されたい名無しさん:2008/05/08(木) 01:14:35 ID:kHJP5aja
光る耳掻きで彼氏の耳の奥から発掘!!
こんなのはじめてで眠れません!
黒綿棒と比較してください
http://r.pic.to/q3mfn

337癒されたい名無しさん:2008/05/08(木) 17:13:07 ID:8slKay9p
>>336
その耳垢を、
彼氏の耳穴の奥から
いかにして
取り出したか?
その顛末を是非、このスレ上に
かき出してもらいたい。
できれば小説風な文章で。
338癒されたい名無しさん:2008/05/10(土) 03:12:42 ID:Q3Lw/b9M
というか>>336は微妙に誤爆ってるだけのような気がしてならない。
>>1読んでればここはお宝うpする所とは微妙に(ていうか全然?)違うって解るはずだし。
339癒されたい名無しさん:2008/05/14(水) 07:21:10 ID:6Y4C+ATq
340癒されたい名無しさん:2008/05/14(水) 07:21:49 ID:6Y4C+ATq
すまん誤爆した
341癒されたい名無しさん:2008/05/15(木) 13:38:57 ID:UcLFTyaN
>>339
ちょww癒されたww

ところで以前遊郭の話を書いたもんですが同じ舞台で
また何か書こうかと思うんですがいいでしょうか。
何か入れて欲しい癒しシチュエーションなどあればおっしゃってくだせえ
342癒されたい名無しさん:2008/05/15(木) 16:45:11 ID:FG7Qt0P6
>>341
是非とも書いて下さい!!

できれば、
耳垢をとった跡に風が通ってヒンヤリ
みたいな場面があるとうれしいっす
343癒されたい名無しさん:2008/05/16(金) 00:48:08 ID:qdXjEd8+
>>341
楽しみにしてる
浪里姐さん再び降臨か、それともはたまた別の花魁が登場するのか
どちらにせよワクワク
>>339の如くハフハフしつつ待ってるYO
344癒されたい名無しさん:2008/05/16(金) 16:49:17 ID:j/cWqwRe
耳毛をそりそりされてぞくぞくっとする場面が好き・・・
345癒されたい名無しさん:2008/05/17(土) 01:53:55 ID:zQ46rZ/U
>>341
本番突入前の念入りなマッサージシーンもいれてください!
>>344の耳毛そりとセットでおねがいします
346癒されたい名無しさん:2008/05/17(土) 13:48:46 ID:NC+Y1KQO
おまいらのシチュエーション読んでたら
何か無性に耳かき気分になってきたw
ちょっと浪里さんとこ行ってくるw
347助六:2008/05/18(日) 13:35:55 ID:yRCdjFgK
皆さん、ありがとうございます。遊郭ものを書いたものです。
是非そのような描写を盛り込んで書かせていただきます。
前よりはすこし長くなるかもしれません。
それでは少々お待ちを…

>>346 あにさん、浪里さんの玉代はちぃと張りますぜ。
    いやでもたって、となら… 
   浪里さん、>>346さんとお二階へ…
  
348癒されたい名無しさん:2008/05/20(火) 14:18:40 ID:b5s+bl9R
  詩人ホフマンが高級娼婦ジュリエッタに求愛する
。彼女は「鏡に映るあなたの生き写しの影が欲しい」と望み、
ホフマンは承諾する。その後でホフマンが鏡を見ると、
自分の姿が映らないので愕然とする〔*しかしジュリエッタはゴンドラに乗って去り、ホフマンは彼女を得られない〕。  
349癒されたい名無しさん:2008/05/22(木) 00:49:15 ID:INSVPO+8
>>346
確か浪里姐さんは
“その人が買ってくれた耳かきでないと耳掃除しない”主義だったよな…
ひょっとしたら、姐さんの髪は
耳かき目当てのお客達が次々に買ってくれた耳かきかんざしでイパーイなのかもな
「気持ちは嬉しゅうありんすがちと頭が重たい…」ヨタヨタ
350:2008/05/22(木) 21:26:04 ID:70K9lvcG
吉原は江戸町一丁目。

並びいたる大まがき。

夜五ツ。 

そろそろ宴も終い、それぞれの見世もしずかになるころ。

玉井屋庄右衛門お抱えの花魁浪里の座敷にて。
すこし開いた障子の合間からは皐月の若芽の香を含んだ風がそよと座敷にふきこむ。
花屋の活けたきんぐさりが行灯の灯に映えてたまさか挿した振新の簪のごと。


つきじえ、つきじ。

あい。

ちょいとそこから笄入れを出してくりや。
ええ、それからいつもの、小間物入れからもね、アレ、忘れちゃいけないよ。
そら、また転んだ、気ィつけや、
それからね、下ィ行って手ぬぐいをちっと蒸してきてもらいいな。
手が足りなけりゃ油さしでもこみねでもつかって持ってきてもらい。


あの妓のそそっかしいのにもいっそ困りィす。
こないだもわっちの煙草盆をひっくり返しィした。あのときのあれは
灰かぶりの鼠みたようでとんだおかしな顔をしていんした。

もしえ、何を笑っていなんすかえ。
またご隠居はわっちを肴にして笑いにくるのがいつものこと。
わっちは慣れんしたけれど。

すう、と白魚の手で紅羅宇の煙管のくちをご隠居に差し出す浪里。









3512:2008/05/23(金) 01:14:16 ID:nSLIaxbW
わしもそりゃあ随分と遊んだもんだ。
女はあれがよけりゃあいい女という訳でもないもんだ。
この齢になるとね、それが解るんだナァ。
禿のころからわたしはお前を知っているけどね、いい女になった。
ほんに。

ふう、と紫煙をはきだして浪里の手に煙管を戻す。


襖があき、振新の玉浪と禿のつきじ、こみね等がしずしずと座敷に上がる。


ご隠居、先も言いんしたがこの妓がわっちの妹分の玉浪でありんす。
名代に立たせるようなことがあれば、おおきにかわいがっておくんなんし。
これ、玉浪、それを、ここに。
お前たち、もう良いよ。それつきじ、袖の大小豆なんぞいじくっていなんすな。
てんでに寝なんし。

あい。あい、姐さんおやすみなんし。

玉浪のささげ来たは七宝のかざりの耳だらい。湯気がもうもうとたちこめる。
つきじ、こみね等はそれぞれ大皿に入れた手ぬぐいやらギヤマンの小瓶やら、
はたまたちいさな鋏やら、浪里のそばに置いて立ち去った。

352癒されたい名無しさん:2008/05/23(金) 17:25:38 ID:ScKOu1Nb
誰か飴耳ものも書いてくれないだろうか
353癒されたい名無しさん:2008/05/23(金) 20:55:11 ID:Q/VytGQY
新作乙
しかも浪里さんの神業を受け継ぐ後輩たちまでキタコレ
354癒されたい名無しさん:2008/05/24(土) 01:22:31 ID:AQ3LBaht
まだモノローグだというのに凄まじく癒された…!
雰囲気が素晴らしすぎる。光景どころか空気まで感じそう。
書き上がり楽しみにしてます!
355癒されたい名無しさん:2008/05/24(土) 01:52:40 ID:7gqwowrn
和風ならではのしっとり感と上品な艶っぽさがいいな
そしてこれから浪里さんのスーパーテクニックが炸裂する訳か
耳かきしつつ続き待ってるYO
356癒されたい名無しさん:2008/05/25(日) 09:14:44 ID:dyuBISgb
はげしくGJ(・∀・)
いろんなアイテムがあって和風プチエステっぽいな
ご隠居になりたいぜ
3573:2008/05/25(日) 21:13:34 ID:xYJ490g+
細い手でやおら蒸した手ぬぐいをとりあげると、ふう、ふう、と
すこし冷ましてからご隠居の耳を丹念にぬぐう。

みみのうら。みみのおく。みみのたぶ。くびすじ。

さァ貝みたようになりんしたよう。つやつやしておりィすよう。

ああ。あったかだ。それにいい香がするの。

この手ぬぐいはね、香を炊き込んでおりィす。
ふふ、そうらあったかでせう。
お揉みしんす。アラ、ずいぶんと硬うなっておいでだ。

やわやわと、やがてひっぱるやうに。
そののち握りこむやうに。
さうして両手で包み込んではほぐすようにもむ。

だいぶん柔うなってきんしたえ。

あ、さうかい、ついうとうとしちまった、いけねえなア、
年だな、こりあ。

ふふ、ご隠居はわっちがはじめてお揉みしんした時分もさうおっせえした。
ふふふ。

358:2008/05/25(日) 22:28:44 ID:xYJ490g+
そぉら温(ぬく)うなりんした。
もしえ、ちぃとじつとしていておくんなんし。

ああ、ずい分伸びただらう、髪結いにも言われたよ。

伸びんしたねぇ、お切りしてようおざんすか。

切っとくれ、なにも願をかけちゃあいやしねえ。
てめえ勝手に生えてきやがる。
むず痒くていけねえや。


ぢょきり。ぢょきり。


まるで耳のなかできぬを裁っているようだの。

ぢょぎり。


浪里、つと立ち行灯を枕のそばに寄せる。
家鴨の和毛(にこげ)で一度毛を払い、
刃のごく小さい細身の剃刀もちておもむろに短い毛を剃る。

ご隠居、す、と刃のはしる触りに身をふるわす。

浪里、紅筆で毛を払い、ふぅ、と口を寄せ耳を吹いた。

ご隠居、何ともいえぬ心地にて頭をむずと揺らした。

359:2008/05/26(月) 00:10:55 ID:owxXlC2h
ふう、何とも耳が軽い。お前の声がよう聞こえる。
ああ、とんだ良い心地だ。


浪里は蒔絵のほそい笄を櫛箱から取り出した。菖蒲の模様がぬめりをおびている。


くるくる、とみみのなかを回しはじめる。

がさごそ、がさり、かりり。


うむ…何やらこそばいの。

ふふふ。

くるくる。こりり。


ほうら、わかりんした、
このあたり、かゆうてたまりんせんでせう。

わかるか。

わかりんす。


浪里、牡丹の平打ちの銀細工の簪を手にこりこりと探るようにみみの中を掻いていく。

360癒されたい名無しさん:2008/05/26(月) 10:26:13 ID:umFbIJ+b
た、たまんね〜〜〜〜
ぞくぞくした。最高っす!!
361癒されたい名無しさん :2008/05/26(月) 12:56:03 ID:Ogp9RRCg
まじ素晴らしい
ぞくぞくするね
362癒されたい名無しさん:2008/05/26(月) 18:39:01 ID:D0ZITrQK
感想書きたいが
読むたびにウットリ眠くなって寝ちまうから
なかなか書けんジャマイカ
ああまた眠くなってきた
とにかくうpありがとう
363癒されたい名無しさん:2008/05/26(月) 18:40:23 ID:D0ZITrQK
しかもIDがドジかよ
364癒されたい名無しさん:2008/05/26(月) 21:51:09 ID:umFbIJ+b
続きが気になって何回もこのスレ覗いてしまうw
365:2008/05/26(月) 23:26:06 ID:owxXlC2h

すッすッ かさり。かりり、かりり。

短く持った簪を柔らかくひねるよに手を動かし、
みみのなかのこびりついたものをゆっくりと剥がしてゆく。

浪里、痒うてたまらん。
もそっと強う掻いとくれ、

さうはいきんせんよう、ふふ。

かりり、かりり、ぺり。

こびりついたものを剥がすと、そ、と紙の上におき、もう一度同じところを掻く。

かしかしかしかし。

今度はわずかに強く手を動かした。

ああ、そこじゃ、ああ、たまらん。
ごそごそいうておる。

奥のほうにきいろなものがみえんすわ。

浪里、簪を奥にゆっくりと差し入れ、すくうようにこそりこそりと掻いた。
そうしてつぎにはぐ、とみみのかべに簪を押し当て、のちすうと力を抜くように引き上げた。

ほうら、大きいのが出んした。

浪里クイと頭をかしげ、後挿を一本引き抜いた。
そうして逆手に持ちご隠居のみみのなかへ。

すこうし強めに、みみのなかぜんたいの痒みをとるように
こいこいと動かした。







366:2008/05/27(火) 00:08:14 ID:9KyJIffM
両耳掻き終わると、浪里は手をご隠居の耳にあてた。
ぽん、ぽん、と軽くたたき、落ちた屑を白い家鴨の梵天でおとし、またすこしみみを揉んだ。


冷えてしまったあたらしい手ぬぐいをみみだらいの湯に漬けかたくしぼると、
浪里はひざの上のご隠居の頭を抱え、首筋にあてがった。
そうして竹で編んだ夏枕にゆっくりと乗せた。


ちィとお待ちなんし、


何やらギヤマンの壜の蓋をそっと開け、串に真綿を巻いたものをそっ、と中にひたす。
その串でご隠居みみの中をするすると拭った。

ほう、何だね、ひやいようで心地いい。風がよう通るやうじゃ。

薄荷を蒸した露を集めんした。すうすう、しんすでせう。


アア…いいのう…

ご隠居、このまま眠ってしまう。

浪里、ふ、と笑い、座敷に迷い込んだ蛍を見る。


<終>


367:2008/05/27(火) 00:15:48 ID:9KyJIffM
読んでくださった方ありがとうございました!
耳かきだけに限らない癒しを求めるこのスレの趣旨が、
ちょっと描いてみたいもののあった私を突き動かしました(笑)
耳かきシーンが少なくて物足りなかったでしょうか、そう思われた方、もうしわけありません。
368癒されたい名無しさん:2008/05/27(火) 00:26:22 ID:RsjOqXja
いやいやいや。
堪能させてもらいました。

ぜひ、また書いてくださいね!!!
369:2008/05/27(火) 00:29:47 ID:9KyJIffM
あとリクエストです!!
だれか肩揉み(マッサージ)重視の小説書いてくれませんか〜
誰か…待ってますw
370癒されたい名無しさん:2008/05/27(火) 08:07:36 ID:D6yUITXd
ありがとうございました。ほんと癒された。
耳かきシーンもさることながら、雰囲気も最高の癒しです。



マッサージ、書いてみようかな…なんか触発された。
371癒されたい名無しさん:2008/05/27(火) 09:08:10 ID:tZLnB51q
素敵な小説ありがとうございました!
朝なのにウットリして眠くなったw
372癒されたい名無しさん:2008/05/27(火) 19:09:25 ID:ZCAkEJZQ
雰囲気最高です。おつかれさまでした。


専ブラ用リンク
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3 >>357
4 >>358
5 >>359
6 >>365
7 >>366
373癒されたい名無しさん:2008/05/28(水) 00:20:34 ID:eV8ulJNz
助さん乙そして>>372d
ミント綿棒の仕上げいいな
涼しげで気持ち良さそう
俺も今度シーブリーズとかで試してみようっと
374癒されたい名無しさん:2008/05/29(木) 00:46:30 ID:JoXSsuOs
作者さんGJ!
初夏らしく爽やかな一品をありがとう(*´Д`)

>てめえ勝手に生えてきやがる。むず痒くていけねえや。
浪里さんに切って貰うのが楽しみでわざと伸ばし放題のくせにw
375癒されたい名無しさん:2008/06/10(火) 01:28:38 ID:WT9cmErf
このスレすげーな。癒されたwww
376癒されたい名無しさん:2008/06/15(日) 23:54:53 ID:1M/lLq/Y
短パン
377癒されたい名無しさん:2008/06/17(火) 01:05:17 ID:avu6Ha7e
age
378癒されたい名無しさん:2008/06/21(土) 23:23:33 ID:ICVsmNNo
379癒されたい名無しさん:2008/06/22(日) 01:05:06 ID:bvAfIGet
>378はトラップなので開かないこと
380癒されたい名無しさん:2008/06/26(木) 01:49:19 ID:43lmi/oM
ブラクラか何か?
381癒されたい名無しさん:2008/06/28(土) 13:12:09 ID:KVtZwsfK
浪里さん=藤原紀香
ご隠居=津川雅彦
で脳内再生してしまったw
382癒されたい名無しさん:2008/06/29(日) 04:07:23 ID:FaqDupg+
藤原紀香は私もイメージぴったりです
383癒されたい名無しさん:2008/07/01(火) 21:35:18 ID:ZLb0XjmL
384癒されたい名無しさん:2008/07/02(水) 13:24:17 ID:S+T4QvU7
助さんの小説に感動したので。感謝代わりになるかどうかは疑問ですが…。
>>370さんではないですが、マッサージ小説投下します。肩重点。
東洋スキーなので、江戸文体?は本当ドツボに嵌りました。
反射的にテキストにして保存。本当にありがとうございます。
…よかったらまたお願いします。

小説を定期的に投下できるほど、時間がある人間ではないので、
本当に申し訳ありませんが名無しでいさせてください。

住民のみなさんにはすいませんが耳かきはありません。ご了承ください。

たまに筋肉の名前が出てきますが、ここ参照してください。
ttp://stretching.l-dictionary.com/musclechart.htm
3851/5:2008/07/02(水) 13:26:42 ID:S+T4QvU7
疲れた時、自分がもう一人ほしいと思う。
一般の人がいうそれは、作業を代わりにやってもらい、その間自分は休んでほしいと
いうものなのだろうが、私の場合はそれと少し勝手が違う。
仕事を最後までしっかりし終わらないと満足しない私は、たとえ自分であっても、
途中から仕事を任せるということはあまりしたくはない。
まぁ、結論を言ってしまえば、私はマッサージが上手いらしいので、ぜひとも自分にそれを頼みたいのだ。
私の実家は厳しく、小遣いやお年玉は決して貰えなかった。クラスメイトが皆、自分の
お金を持ち、ゲームやおかし、おもちゃなどを買っている話を、心底うらやましく思っていた。
今思えば、厳しかったのではなく、単に貧しかっただけかもしれない。
とにかく、そんなものだったので、自分の収入源は、休日に、近所に済んでいる父の姉―叔母の
家に行って、千円を稼ぐ、というものであった。
叔母の家は、幼いころの私にとって、たとえ、マッサージという労働があっても天国であった。
子供が好きそうなおかしやジュースが常に置いてあり、また時間があれば、買い物や温泉にも
連れていってもらえた。「右はどっち?」と聞かれて、なにかを食べる動作をしてから、
箸の動きをしたほうを、「こっち!」と元気よく手を上げて笑われたときも、
叔母のマッサージをやっていた時であった。また、叔母は大の子供好きであったし、
マッサージ好きであった。実家の経済状況や教育方針などを知っていただけに、
おかしや小遣いをエサとして、子供とマッサージを同時に得ていたのだろう。
3862/5:2008/07/02(水) 13:27:06 ID:S+T4QvU7
とにかく、物心がつくかつかないか子供のころから、大の大人のマッサージをやっていたので、
成長して有る程度力のついた状態でマッサージが上手くない道理が無い。
どれだけマッサージを心得ているかという自慢のような前提だったが、残念ながら自慢になっても
自分のためにはならない。マッサージというのは人に施すものだから、
どれだけ上手くても自分がそれをやってもらうことはできないのである。非常に残念でならない。
ふとした機会で、人の肩をぐにぐにともみほぐすと、皆気持ち良さそうに声を出す。「もうちょっと
こっち」と訂正されることはあまりなく、ツボを抑えていてすごい、と賞賛される。誉められると
嬉しいのだが、皆が皆そういうので、ぜひとも自分もその賞賛のマッサージを受けてみたいと
思うのは至極当然のことではなかろうか。

さて、前置きが長くなった。
目の前に寝ているのは、マグロ……ではなく。マグロのような形をした何かである。
早い話が私の彼氏である。
私はピッチピチの20歳だが、彼はギリギリの20代。メタボッ腹も良いところであり、さぞかし
中年の疲れがたまっているだろう。ひどい言いようだが、事実だから仕方が無い。
……三十路の誕生日は盛大に祝ってやろう。嫌味にしかならないだろうが故意である。
まあ、三十路近い体で、電車で3時間かけて来たあげく、私の学校が終わるまで、夕食の材料を
徒歩で買い物に練り歩いていたのだから、疲れているのは当然だろう。私が頼んだわけではないが。
3873/5:2008/07/02(水) 13:27:50 ID:S+T4QvU7
うつぶせになっているマグロの横に座り、後頭部下の肩のツボに親指を当て、くっと力をかける。
反射的に、うっと声が聞こえた。どうやら上手く抑えたらしい。
そのまま、残りの指も前肩へかけ、ぐにっと握る。むう、硬い。
凝っている凝っていないではなく、男性の体というのは、一様に筋肉質で硬く、指がツボに入る
実感があまり無い。
2・3回もむと、痛いと抗議されたため、仕方なく力を弱め、作業を続ける。実感がないだけで、
ちゃんと抑えられていたようだ。硬い肩をもむのはこちらもひと苦労なので、むしろこの抗議は
有りがたいものだった。

ふと目に入ったのは、3つの大きなレジ袋。よく見ると、3つそれぞれ、マークが違う。というより、
私の家の周りにはスーパーは無く、このマークのスーパーに行くには、自転車で10分ほどかかる
し、スーパーとスーパーの距離も決して近くは無いのだが……2Lペットボトルや、野菜などがたくさん
詰まった、見るからに重そうな買い物袋を持って、私の学校が終わる時間まで歩き回ったのか。
言えば自転車くらい貸したものを。このアホめ。
路線を変更する。荷物を長時間持って凝るのは、首から肩にかけた筋肉の束。筋肉名でいえば、
僧帽筋。ここの上が張って硬くなる。
指を猫手の形にし、その筋に親指以外の4本を乗せる。この部位は、座った状態で体重をかけるのが
一番やりやすいのだが、一度寝かせた人間を再び起こさせるのは面倒くさいので、仕方が無く
このまま施行する。寝ている人間から見れば上から下へ、私から見れば、自分の方向に肩を引っ張る
ように引く。やはり相当張っている。ぬおおと声を上げたところから見ても、ビンゴらしい。
そのまま、くっ、くっ、くとリズミカルに引っ張る。もちろん、引っ張るだけでなく、指の動きも加え、
しかし相当凝っているので力を入れすぎないように注意する。
ずっと同じところをやるのは素人。ツボをやるときでも、全く同じ場所をやるというのは痛くなるものだ。
特に今は筋であるから、そこ全体を指圧する必要がある。ぐにりぐにりと、楕円を描くように位置を
変えながら押しほぐす。ある程度やったら、だんだんと力を加えて同じ作業をする。
肩のほうの筋が終わったら、そこからつながっている頭版状筋に手をかける。そのまま首を包んで
締めるというギャグに耐えつつ、今しがた終わった筋からつながっている、後頭部下の首筋に沿って
親指の腹を当てる。くくくくっと、小刻みに筋を押し、筋はあらかた終了。ここは細いだけにすぐ解ける。
3884/5:2008/07/02(水) 13:28:17 ID:S+T4QvU7
さて、背骨の両際と、肩の筋の接点。ここが次の責めどころだ。
うつぶせの状態ではここが一番やりやすい。幼いころの話に戻るのだが、子供では
力が無いので、ツボを押すには、体重を上手く使うしかなく、一番楽にできたのが、
ここの指圧であった。体重が増えた今も、ここが一番得意である。
接点に親指を当てて、ぐんと軽く体重をかける。
ファーストアタックでくぅっと声が帰ってくる。リズムをつけて、背骨に沿って親指をおろしていくと、
体重を抜いた瞬間に、風呂上がりにビールを飲んだ後の「っあー…」という声が漏れる。
おそらく心地よさで眠さが襲ってくるころあいだろう。
背骨に沿って、上下に指を往復させ、上についたときは、その付近を道草しながら指圧。
再び肩筋にいったり、また戻って背骨の往復に戻り、はたまた、肩甲骨の「し」の字(左肩は
左右逆だが)に寄り道したり、そしてまた背骨筋に戻る。
このころになると、もう声が聞こえなくなっていた。寝たのか、と思ってそう問うと、返事は来るものの、
「おきてるよぉ〜…」と一音がはっきりしない。程よくまどろんでいきたようだ。

肩があらかた終わったので、下半身へと移る。肩付近の背中の筋の中を行き来していた親指の
行動範囲を、さらに腰まで広げる。腰に現着した親指は、先ほどからやっている要領で、
楕円を描きながら体重をかけ、ゆっくりとした拍をとって腰に落ち込む。
この腹とレジ袋3つを支えた腰はさぞかし乳酸がたまっていることだろう。丁寧に、丁寧に指圧する。
たまに背骨方面によりながら、腰を上を横楕円に描く。
腰の後は、大臀筋。早い話が、ケツ。男女が逆だったら役とk……セクハラになりかねんが、
残念ながら自分は女であるし、相手は三十路近いおっさn……男性であるので、
面白くもなんともない。というより、この相手で下心があるほうがマニアックというものだ。
ちなみに、触るなら男より女性の肌のが良いというのは、男性に限らず、
女の私でも通じるものである。
マッサージする側にとっては、ここを揉むのが意外かと思うかもしれないが、本当に意外と、
ここが効く。下から上へ押し上げるようにして両手の平で押し込む。
3895/5:2008/07/02(水) 13:28:48 ID:S+T4QvU7
そこから続けるようにして、太ももに両手をかける。荷物を支えていた肩、腰はもちろんのこと、
長い距離を歩き回った足がどうなっているかは想像に容易い。大臀筋と太ももの筋肉の隙間に
親指を突っ込み、そこから太ももへとぐん、ぐんと体重を移動させながら指圧。ひざうらにつく前に
往復。上まできたらまた隙間に指をつっこみ、また下がる。往復、往復、往復。
言葉をかけても、返事なのか条件反射なのかよく判らない返事が帰ってきた。
少なくとも言葉にはなっていない。

ふくらはぎに入ったころには、既に声は出ず、深い寝息が時折聞こえてくるくらいになっていた。
どうやら寝入ったらしい。
寝入りたてだと、すぐ起きてしまうので、最後の仕上げで熟睡の海に沈ませることにする。
足を持ち上げ、そばにあった座布団を敷く。足は骨が前に出ているので、このまま指圧すると、
骨と床が当たって痛いのだ。
片足を手に取り、靴下を脱がせ、土踏まずをまず親指でぐにぐにと満遍なく押しあげる。
自分の親指が疲れてきたら、足を座布団の上に戻し、手の平の根元で、体重をかけ
例のリズムで同じ場所を潰す。親指が回復したら、もう片方の足も同じように押し上げる。
とりあえずこれで完了。時計を見ると、1時間半くらい回っていた。

彼が完全に寝入ったことを確認し、ふうと一息をつく。
普段、めったに人など来ないものだから、誰かが居る自分の部屋というのはどうも
息苦しくてならない。彼には悪いが、彼の目が無くなったときの安堵感といったら。
ふと思いつき、米をとぐ。彼が起きるころには炊き上がっている。
夕飯を作ってくれると彼は言っていたので、これくらいは流石にやっておかねば。
そこらの時間も逆算して、終電前には起こさないとな、と思考しつつ、
私は、「癒しの小説売り」のスレッドを開いた。


390癒されたい名無しさん:2008/07/02(水) 13:30:26 ID:S+T4QvU7
小説ということである程度誇張してはありますが、
基本的に実体験を書かせていただきました。
つたないものですが助さんに捧げます。
ありがとうございました。
391癒されたい名無しさん:2008/07/02(水) 13:47:51 ID:98G2gLsk
地味にノンフィクションかw
いや、実にえがったです
こりからはマサージ小説も増えるといいなー
392癒されたい名無しさん:2008/07/02(水) 19:21:29 ID:UE3L/2Zu
GJ!
まさに職人技だな
そしてラストの現実オチにワロタw
393癒されたい名無しさん:2008/07/02(水) 19:40:04 ID:mSgHjJUL
マッサージも大好きだよ〜
小説投下ありがとうー

でもまだ20代なんだからオッサンって言うなw
394癒されたい名無しさん:2008/07/02(水) 19:57:39 ID:mFsR1NN2
いい!
耳かき動画と真面目マッサージ動画が大好物の自分にとっては最高。
395:2008/07/02(水) 22:22:59 ID:4+TuXT60
あ、ありがとうございます〜!
筋肉がほぐれた気がしましたよー!
>>394さん 真面目マッサものって、案外無いんですよね。ましてや小説をや。
ありがたいわぁあ〜
396:2008/07/02(水) 22:26:31 ID:4+TuXT60
下げ忘れました。
特にお尻のマッサージのところがよかったです…
ほんと太股からお尻にかけては気持ちいいんですよね〜
397癒されたい名無しさん:2008/07/03(木) 12:27:26 ID:BpZSbU3S
>385-389
うわぁぁ、なんだか気持ちよさそう。
是非とも実際にマッサージしてもらいたいもんだ。
398癒されたい名無しさん:2008/07/04(金) 00:58:40 ID:QIdK3mp5
超GJ!!マジGJ!!
気持ちいいだろうなあ…私もやって欲しい…
文体もリズミカルで読みやすくてGJ!!
3991/3:2008/07/07(月) 10:26:55 ID:bl0NOngV
あんまり気持ちいい表現ができなかった。歴代の方々はすばらしいです。


それまでは「肩こりなんかしたことないよ」、と言う夫だった。

しばらく前に夫の仕事内容が変わった。
パソコンを見続けながら電話にて指示を出し、合間を縫って書類整理をして、
その間もパソコンからは目を離せない。休憩をはさんでも一日9時間以上は
モニターを凝視している事になる。

時々首を左右に振り肩を鳴らし、「あぁ、肩凝った・・・」と
つぶやくようになった。私は驚いた。

もともと頭痛持ちだった夫は、若いときには経験のなかった肩こりからの
頭痛も加わって、常に薬を飲むようになっていた。

「あんまり薬飲まないほうがいいよ」
「頭痛いと仕事にならん」
「目も疲れるしね。じゃあちょっと押してあげるよ」

夫が座っているソファのうしろに立ち、背もたれに頭をもたれさせてぐったり
している夫の頭を後ろからぐいっと両手でつかんだ。
「あーー効くわ」

手をひろげてがしっと頭を掴み、ぐーいぐーいとゆっくり目に揉む。
頭皮が硬い。もみあげを下からさすっていき、天頂にある「百会(ひゃくえ)」
というツボを、重ねた親指でじんわり押す。何度かくりかえす。
こめかみを押す。「あぁ、そこもっと押して」かすれた声で応える。

額のはえぎわ。シャンプーする時みたいに指の腹でやさしく掻いていく。
髪を掴んで弱くひっぱる。離す。またひっぱる。離す。
そうしながら指をすべらせて髪をとくと、うぅ、と声がする。
4002/3:2008/07/07(月) 10:27:43 ID:bl0NOngV
耳たぶをもむ。少し冷たい。くにくにと揉んでから耳全体を撫でていく。
そして耳全体を手のひらで覆う。

そのまま手を首にすべらせる。ぼんのくぼを少し強めに。その後さすって肩に下りる。
硬くて熱い。私も肩こりな性質(たち)で、肩はいつも冷えている。
でも夫の肩は熱い。男の人の体はどうしていつもこんなに熱いのだろう。

まず手のひらで、ぐぅっと肩全体を押す。
体重を利用して、ぐぐーっと何度か押してから肩を掴む。
肩を揉みながらそのまま上腕、前腕、腕全体を揉みながらさする。
すーっすーっとさすって、揉んでいく。
リンパを流すような感じでわきの下に流し、またさする。
肩に戻って強めに揉む。もうされるがままだ。ソファに押し倒す。

顔の下にクッションをあてがってうつぶせにさせ、私は夫のおしりの上に座る。
Tシャツを捲くり上げ、背中に両手を置く。腰から首の付け根まで
手のひらをすべらせて、そのまま肩甲骨の外側を通ってまた腰に戻る。
腰から肩、肩から腰へ、「オイルかパウダーがあればやりやすいのに」
もう夫は聞いていない。腰から肩へ、楕円を描くように、

何度もした後、腰を親指で押す。そのまま背骨に沿って親指で押しながら上に昇る。
肩甲骨の周りを力を加減しながら押す。わきの下。すべって腰。
少しおなかを持ち上げる。腰を。おしりの肉を掴んで、強めにもみほぐす。
4013/3:2008/07/07(月) 10:28:29 ID:bl0NOngV
太ももは手のひらでゆらゆら揺する。ひざうらは軽く、ふくらはぎは強く、
足裏は拳骨を作って押し付ける。足の指を一本一本軽く引っ張る。
最後に足の指全体を握る。暖かい。
土踏まずをもう一度拳骨で押してから、そのままゆっくり鼠蹊部(そけいぶ)
に向かって流す。もう片方の足も太ももから。寝息が聞こえる。

腰から肩へまた流していく。背中を上から手のひらで、猫をなでるような仕草でさする。
広い背中。日に焼けないので白くてなめらかだ。
規則正しく上下している。それに合わせるように手のひらで撫でてさする。
右手が腰まで下りる時に左手は肩へ。くりかえし片方ずつ何度も。

両の手を合わせて背中をゆったりと揺らして、それから私は手を止めた。
Tシャツを直し、タオルケットを持ってくる。
ソファのあるリビングの電気を消し、ダイニングのテーブルに置いてあった
読みかけの小説を開いて、私は椅子に座って読み始めた。

                           (了)


なんか話の流れ的に385さんとおんなじようになってしまってすみません。
この後この夫はどうするかと言うと、突然起き上がって
「水っ水っ」と叫び、妻が冷水を持っていくと1秒で飲み干し
「歯磨きしてなかった!」と洗面所に入り、トイレに行ってから
妻に「寝る!明日6時半な!」と宣言し明日の仕事の為に2階の寝室に
上がってさっさと寝てしまうのです。
終電前に起こさなくちゃ、なんてロマンチックな事は夫婦にはないのでした。
402海のしずく:2008/07/07(月) 12:25:59 ID:bl0NOngV
↑コテハンで投稿しなければならなかったのですね!
今後書くかどうかはわかりませんが、一応これで。
403癒されたい名無しさん:2008/07/07(月) 14:48:43 ID:0qgmRGMG
>>402
GJ この調子でもっと作品増えるといいな

でまあ、老婆心ながら軽いアドバイスみたいなもんさせてもらうと
シチュ被りが嫌なら、同じ家族でも親子とか兄弟とかでも有りだと思う
気持ちよさげな表現は「される側」寄りの視点で書いた方がやりやすいかも
「する側」で行くなら、文章がくどくならん程度に相手の反応を混ぜるといいかな
もしくは「ここをこうするとこんな感じに効くはず(気持ちいいはず)」みたいな蘊蓄を垂れてみるとか

まあ別に必ずこうしなきゃいけないって事はないと思うんだけど
もし何かの参考になればって事で
404癒されたい名無しさん:2008/07/07(月) 19:35:39 ID:QLiH/6to
ナイスです!
個人的にはシチュ被りもコテハン有無も気になりません
405海のしずく:2008/07/08(火) 09:33:05 ID:5grrKRR8
お邪魔します。
403さんありがとうございます!書いてみるとほんとうに難しいものですね。
頭がじーんと気持ちよくなるような文章が理想なんですけど・・・
404さんありがとうございます!はじめて書いた文章なので
褒めて頂けてとても嬉しいです。
あとひとつあるので、長いですがどうぞよろしくお願いします。
4061/6:2008/07/08(火) 09:34:00 ID:5grrKRR8
金曜日。残業が終わり、タイムカードを通す。
ロッカーで手早く着替えを済ますと、まだ事務所に残っている社員に
挨拶していつも通りを装い退社する。

少し顔が上気しているのが自分でわかる。
駅に向かう足が自然と速くなる。
新大阪駅。前もって買っておいた新幹線の切符を財布から出してエスカレーターを
駆け上がると、自動改札を走って抜けて東京行き最終ののぞみに乗り込んだ。

新幹線が動き出した。
この夜の流れる景色を見るのは何度目だろう。
大阪と東京に離れてから1年2ヶ月、会うのは1ヶ月に1度。
「14回目なんだ」
学生時代はいつも一緒にいたのにな。

通路を挟んで隣の列の席にはサラリーマン風の男性が座っている。
荷物棚には大きめの旅行鞄が乗せてある。
ビールの空き缶が窓際に2本。目のふちが赤い。眠っている。
この男性は何度か見かけた事があった。たぶん単身赴任しているのだろう。
金曜の夜に仕事を終えた後、家族の元に帰る人。

やっと心臓の鼓動がおさまった。
夜の車両は静かだ。
目を瞑る。
あと2時間20分足らずで彼に会える。

私の彼は、基本土日が休みではない。
たまに休みを合わせてくれるけれど、休日が忙しい仕事なので
明日あさって共に出勤だ。
私は実家暮らしなので平日に彼に来られてもあまり時間を取れない。
自然私が一人暮らしの彼のいる東京に行くばかりになっている。
もちろん夜の東京で二人で遊ぶのはすごく楽しいし、なにより
彼に会えると思うだけで一週間の疲れなんて飛んでいく。
4072/6:2008/07/08(火) 09:34:30 ID:5grrKRR8
少しうとうとした。
「凝ってるな〜鉄板入ってるみたいだぞ」
ベッドに腰掛けた彼が、床に座っている私の肩をいきなり掴んで言った。
「最近運動不足だからかなぁ」
「ここ。ゴリゴリしてる」
「あっ!」
彼の親指は普通の人より外側に反るのだ。その分ツボに広く深く効くみたい。
それを知ってる私は、ちょっと触られただけで体に電気が走ったみたいになる。
「疲れてるでしょ?明日も仕事なのに」
「コリを見つけてしまったら、そのままほっとけない」
大きな手を私の背中にあてがって、肩から腰にかけてさすってくれる。
じーんと背中から頭に電流が伝わって、頭のてっぺんから体中に向かって
快感が降りてくる。左手を私の額に当て、右手で首をくいくいと揉んでくれる。
前後にリズミカルに体が揺れる。両肩をつつみこむようにしながら
ツボを押してくれる。目を閉じて肩に意識を集中する。
ありきたりな表現だけど、彼の指だけが別の生き物みたいに動いている。
ぐりっという感触に痛みを感じた後は、すうっと新鮮な血が流れる。
「・・・服を」
脱いだほうがいい?言葉にならない。髪の先までしびれて、頭の中がじわっと暖かい。
暖かくて、眠くて、愛しくて、瞑った目からなみだがこぼれた。

目が醒めると有楽町が見えた。
身支度を手早く整え、まもなく新幹線は東京駅に滑り込んだ。
4083/6:2008/07/08(火) 09:35:14 ID:5grrKRR8
青白い蛍光灯に照らされた改札の向こう側、ジーンズにTシャツの
彼が私を見つけて手を上げた。
「おぅ。お疲れ」
「うん」
人もまばらな構内は、日付が変わったばかりの深夜なのに明るい。
そこここの柱の影に、数組の彼氏彼女がいる。
みんな遠距離恋愛なのかな。久しぶりに会った彼氏に、泣きながら抱きつく彼女。
山手線のホームに向かいながら横目で見る。
「なに食いたい〜?」
「んー坦坦麺!」
こっちはムードなどまるでなしである。

おなかも満ちて、彼のマンションに着いた。
テレビをつけて少しぼんやり座っていると、彼がひきだしから何か出してきた。
見ると小さな白木の箱だ。中には鼈甲の耳かきが入っていた。
「これは」
彼は、に!と笑ってころりと私の膝の上に頭を乗せた。
私たちは1ヶ月に1回会える。
そしてそれはひとつきに一度の耳かきデーなのだ。
前の月に会ってから、この耳は誰もさわっていない。彼でさえ。
私が耳掃除を固く禁じているから。

はじめて手にする鼈甲の耳かき。しっくりとなじむ。
美しさにしばし見蕩れる。シンプルで機能的で美しい。これで。
これで彼の耳をこころゆくまで。
4094/6:2008/07/08(火) 09:36:39 ID:5grrKRR8
耳のひだにそっと当てる。
一番上。すーっとなでると灰白い垢のような汚れが取れる。
ティッシュでふき取って、またこそげる。
耳の外輪に沿ってくるりくるりと掻いていく。
ぱりぱりとした白い耳垢を集めて、耳かきのお皿で何度もすくう。
耳殻全体を軽くカリカリと掻くと、耳が生き返ったようにピンクに染まる。
あぁ、気持ちいいだろうな・・・
残念ながら飴耳の私にはこの耳かきで耳垢を取る気持ちよさがわからない。

さあいよいよ耳の穴の入り口。
テーブルの上の耳かきセットからペンライトを取り出し、照らしながら中を伺う。
穴のまわりに黄色いモノが見える。形の崩れたドーナツみたいだ。
前回の耳かきではどうしても取りきれなかったのだ。
慎重に壁からはがしていかなければ。鼈甲の耳かきをそっと差し入れる。
「う」
「今動かないで」
ぱりっ、ぺりりっ、聞こえるはずのない音が聞こえる。
この耳かきはいい。まるで彼の耳の穴に自分の細くなった指が入り込んだかのように
自在に動く。薄暗い壁を掻きわけると、こつんと耳垢に当たった。
軽く押しながらゆっくりはずしていく。ぴり、ぴりとゆるんでいく。
「なんかはがれていく感じが気持ちいいな」
日なたの猫みたいに彼が目を閉じている。私の鼈甲色の指がさらに穴の奥に進む。
4105/6:2008/07/08(火) 09:37:11 ID:5grrKRR8
くしくしくしと皿の先をうまく使いながらこそげると、耳垢の片側がはずれた。
「あぁ、もう少しで取れそう」
「ちょっと痛いよ」
「我慢して・・・」
はずれた所にすいっと皿を差し込んだ。更に奥に。
そのまま軽く振動させながら耳垢を手前に引き出す。
すぽっ。
見事にそのまま耳垢が抜けた。
「うわー取れた」
「見せて見せて!」
皿に載せたままの耳垢は、ここ最近ないくらいの大物だ。
ドーナツではなく、まるで使い終わったクラッカーみたいな形をしている。
「おぉう」
「うぶげが付いてる」
「しかしなんで女って、『きたなーい』とか言いながら喜んで耳垢取りすんの?」
「別に喜んでないよ」
「俺に溜めるだけ溜めさせてるだろ・・・」
無視して梵天つきの耳かきに持ち変える。
ふわふわの羽毛がしぼみながら耳の穴に入る。
耳の壁をこじるようにして、くりくりと回すと、彼はまた目を閉じた。
「これ、背中がぞくぞくするな」
「気持ちいい?」
「気持ちいいよ」
くるーん、くるーん、ふわふわ。
取り出すと白い粉が耳殻に散らばった。
それをまた鼈甲で集める。最後にティートリーオイルを精製水で希釈したものを
浸した綿棒で丁寧に取り去ると、耳はぴかぴかになった。
4116/6:2008/07/08(火) 09:38:05 ID:5grrKRR8
「反対向いて」
もう片方の耳もペンライトで覗いてみると、こっちには黄色い岩石のような
耳垢がひっついていた。
「中がすげーかゆい」
「全部綺麗にしてあげるね」
カリカリ・・・「そういえば」「何?」「お父さんの耳に耳毛が生えてきたの」
「きたか」
「お母さんがすごいショック受けちゃって。もうおじいさんだって」
「耳毛は黒いのか」
「黒いよ」
「それはまだおじいさんじゃないだろう」
「あ 取れそう」
ゴソッ ゴ ゴ・・・ズルッ
少しの取りこぼしを残して、大きな塊が出てきた。彼に鼈甲を奪われた。 
「大きいな」
「耳毛あるかな」
「俺?」
「うーん ないね」
梵天で残りのカスを取り、湿った綿棒で耳のすみずみまで拭き取る。
「あー、すーっとする」
綺麗になった彼の耳は、産まれたての赤ちゃんの耳のようにぷりぷりしている。
なのに頬から顎にかけて、ざらざらとひげがあるのだ。
そのひげに頬擦りした。
彼は私の頬を両手で優しく包んで
「眠くないか?」と聞いた。

                  (了)
412癒されたい名無しさん:2008/07/08(火) 18:26:43 ID:JReAKPfb
ああ〜〜〜たまらんです〜〜鼈甲の耳かき( ゚д゚)ホスィ…

このスレは本当に良スレだ。最高。
413癒されたい名無しさん:2008/07/08(火) 23:53:29 ID:MhhbEhCe
>>411
すごい作品ですね。文章の構成から見てなんですがもしかしてみんとぶるうさんですか?
414癒されたい名無しさん:2008/07/09(水) 03:46:15 ID:pkE3iWc8
このスレの癒し度はかなり高い。耳掻き片手にホジホジしてます。
小説ありがとうございます
415海のしずく:2008/07/09(水) 09:30:43 ID:XwsJ3B9c
皆様感想ありがとうございます!とても嬉しいです。
ちなみに私はみんとぶるうさんではありません。恐れ多いです。
みんとぶるうさんはじめ他のすごい作品を書かれた人の再来を願うただの人です。

上の2つの文章も、「背もたれに頭をもたれさせてぐったりしている夫の頭」
なんて頭痛が痛い的な表現してたりとか「手早く」を2度使いしたりとか
まだまだお見苦しい点がたくさん。そして私も鼈甲の耳かき( ゚д゚)ホスィ…

また何か書きあがりましたら投下させて頂くかもしれません。ありがとうございました。
416癒されたい名無しさん:2008/07/10(木) 15:25:31 ID:/THbkZMv
>>415
今読みました!頭ジーンとして二の腕に鳥肌立ってますwww
すごい読みやすかった〜何気ない会話のやりとりも心地いいですbね

>>407
彼にマッサージされる夢、ちょっとエロティックな予感がしてドキドキしました
夢だから寸止めで終わるのがまたいいですねw
こっちの長編も読みたいなあ。。。
417癒されたい名無しさん:2008/07/11(金) 00:51:26 ID:UbjhzPZp
癒されたあげ
418癒されたい名無しさん:2008/07/16(水) 15:37:12 ID:jV7kjcJd
ちょっと方向性が違うけど
ttp://www18.atwiki.jp/takaharu/pages/5783.html
419癒されたい名無しさん:2008/07/24(木) 22:13:47 ID:k3KucJHk
age
420癒されたい名無しさん:2008/07/31(木) 17:35:02 ID:FXPk4K6L
単発idの多いスレだな
421癒されたい名無しさん:2008/07/31(木) 18:30:47 ID:lVq0mG/y
はぁ?↑馬鹿じゃねーのこいつ。
422癒されたい名無しさん:2008/08/02(土) 03:33:35 ID:rSPfwq3u
死ぬほどのね
423癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 14:50:46 ID:mzidx9lW
勝手に投下。

「秋風」1

はあ、疲れた。

あれ、これ、どこまでやったっけ。

そういやこの三日間まともに寝てないな。
一度集中状態が途切れるとなかなか元に戻らない。
柔らかな茜色の雲が眠気を誘う。
いつの間にこんな仕事の山を作ったんだろう。
私じゃないんだよなあ。
まったくあの人は困ったもんだ。
せめて自分の仕事ぐらい自分で片付けて欲しい。
もっと怒っても良いんだろうが、朦朧としていて腹も立たない。
なんとなく耳がかゆい。そういえば忙しくって耳掃除なんか久しくやってなかっ
コンコン

誰だろう。みんな職員会議でこの科学準備室に来るはずはないのだけれど。
生徒か。もう下校時刻は過ぎて、それを知らす音楽もなりやんでいた。
424癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 15:33:29 ID:mzidx9lW
「秋風」2
カチャリ。

「この前休んだ日のテストを返却していただきに来ました」
緑色の名札。高等部の二年生。
「ああ、何組」
「四組です」
「はい」
「ありがとうございます。遅くなってすみません」
「うん。下校時刻過ぎて、五分」
「すみません」
「暗くなると危ないから。早く帰れよ」
「はい」
「あと、こうやって放課後じゃなくて授業で会いたいな」
「はい」

ここで耳かきを取ろうとしていたことを思い出した。
「あー、そこの耳かき取ってくれない」
「これですか」
「そうそう、それ」

私みたいな中年男が使っている耳かきなど触るのも嫌がるかと
思ったが、
彼女は別段嫌な顔もせずそれを手に取った。

「ありがとう」

425癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 15:34:53 ID:mzidx9lW
「秋風」3
「先生」
「何」


「わたしが耳掃除してさしあげましょうか」


予想もしなかった。
彼女の横顔は逆光になって均一な影を作っていた。

「冗談はそのくらいにして、早く帰りなさい」
「先生疲れているのでしょう」

その一言は、彼女の黒い瞳と白い磁器のような肌とあいまって
何かおぞましいものを感じさせるほど神聖な雰囲気をかもし出
していた。

私の頭はこの三日間の酷使によって憔悴しきり、正常な判断を
失っていた。
私はまるで介護を受ける老人のように促されるまま準備室のソ
ファへ横になった。
今まで他人、ましてや女性などに耳かきをされたことなどない
私は「膝枕」という
幻想を浮かべかけたが、相手が相手なのでその幻想は追い払わ
れるしかなかった。
426癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 15:37:54 ID:mzidx9lW
「秋風」4
結局私がソファに寝転び、彼女は講義室の丸イスを持ってきて施術することとなった。

「先生最近無理しているんじゃありませんか」

彼女はそうささやきながら、耳の穴のふちの辺りを耳かきで優しくくすぐる。
徐々に耳かきは奥の方へと侵入してくる。
このところ耳掃除をしていなかったのと、元来私は飴耳なので
耳かきというよりは外耳道に厚くへばりつく耳垢を掘り進むようなかたちになる。
さすがにこれは引かれてしまうかと思ったが、彼女は真剣に「耳堀り」をやっている。
うす黄色く軟らかい油粘土のような耳垢が肩の上に乗せたケイドライになすりつけられてゆく。
適度に刺激される耳は次第に血行が良くなり、熱を帯びた痒みをともなってくる。
しかし彼女はちょうど痒い所に金属製の冷やりとした耳かきを当て、鎮めてくれる。
強すぎず、弱すぎず絶妙な力の加減で耳壁を中から外、中から外と一定のリズムで掻いてゆく。
さく、しゅるる… さく、しゅるる…

あまりの気持ちの良さに何度も脳天から魂を抜き取られるような感覚を覚える。

さく、しゅるる… さく、かりっ!

427癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 15:41:43 ID:mzidx9lW
「秋風」5
今までと違う音がした。彼女も一瞬手を止める。
どうやら今まで私が耳掃除だと思っていた行為が
耳垢を奥に詰め込みそれが固まっていたようだ。

彼女は覚悟を決めたようだった。
無理に剥がすと鼓膜を傷つけるのは知っているらしかった。
慎重に、慎重に周りの方から少しずつ耳垢が剥がされてゆく。

かり… ペりり こそ ぱり… ぱりぱり

そしてついにその時がやってきた。

ごり ばりり ざざぁ… 

まるでかさぶたの様に硬くなっていた。
少し耳がひりひりとしたから本当にかさぶたも一緒に剥がしたのかもしれない。
その大物を見て私はかすかな興奮を覚えたが、彼女はそうでないらしかった。
彼女は無感動にそれを他の耳垢と一緒に紙に包んで丸め、くずかごへ捨てた。

「わたし、引っ越すんです。この辺りじゃなくて、他県へ。だからこの学校ともお別れなんです。」
「いつ」
「明日出ます」
「明日?」
「そう、明日。先生ともお別れですね」

「そうか」

428癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 15:43:00 ID:mzidx9lW
「秋風」6
授業以外の付き合いはなかったから彼女が転校することなど知らなかった。
それ以外の記憶といえば…掃除の時間中に一心に落ち葉を掃いている姿くらいか。
彼女は私の机に向かい置いてあったメモ用紙とペンを勝手に使い何かを書いているらしかった。

ことり。

彼女はペンを置きはあ、と溜息をつくと何事もなかったように
「失礼しました」
と言って部屋を出て行った。
しかし私はそれを取りに行く力もなく、強烈な眠気に負けた。

目が覚めると大分空が暗くなっていた。
一時間くらい眠ったのだろうか。時計を見ると七時を少し過ぎていた。
ふと彼女の書き置きのことを思い出し、手にとってゆっくりと読む。

先生へ
こうやってわたしの言葉を伝えられるのも
これで最後になると思います。
わたしは先生の優しいところが好きです。
掃除をしていてたまに元気?なんて声を
かけてくださったのが本当にうれしかったです。
お父さんってこんな感じなのかなあ、と
いつも思っていました。
今日はこうやってお話ができて楽しかったです。
いままでありがとうございました。
お仕事がんばってくださいね。
429癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 15:46:17 ID:mzidx9lW
「秋風」7
あんなたわいもない一言を憶えていたのか。
いつも独りでいた彼女。どうしてもっと気にかけてやれなかったのか。
窓の外を見ると、まさに校門をくぐろうとしている彼女が見えた。
透き通りそうなくらい、華奢で寂しそうな背中。
そのとき彼女がこちらに気づいた。
そして、小さく手を振った。かすかに涙が光っていた。

乾いた風が落ち葉を巻き込んで吹き抜けた。

430癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 15:52:38 ID:mzidx9lW
今気がついたんですが、
生徒が1時間待ちぼうけしてることになってました…

気がつかなかったんです><
431癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 16:37:02 ID:ruP4iv3O
耳掃除描写も物語もたまんねえのがキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
432癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 20:28:17 ID:QO/IUC9t
こんな娘さんを嫁にしたいよ

生徒は感傷に浸ってる内に1時間も学校にいちゃったんだよ
それでいいじゃないか!
433癒されたい名無しさん:2008/08/08(金) 21:59:49 ID:gYcnzSLI
切ない耳かきロマンスにドキドキ
引っ越した彼女が元気で幸せに暮らせますように
そしてたまにはまた耳かきをしに来てクレ
434癒されたい名無しさん:2008/08/09(土) 12:41:48 ID:cUOuiMZF
遅ればせながらGJ
ひと夏の甘い思い出と耳かきの快感のコラボがいいな
しかしティッシュ代わりにケイドライとはまたマニアックな…、
今回のうp主、もしかして本物の理科の先生か?
435一発屋:2008/08/17(日) 17:04:37 ID:isq2JzWU
癒しよりもギャグ要素の方が強くなってしまった気がしますが、投下します。
前半後半はどうでもいいことなので、耳かき描写のみ求めてる方は真ん中部分だけ読んでいただけるといいかと思います。
では、投下が終わったらまた名無しに戻ります。
無駄に長くて申し訳ないです。
4361/9:2008/08/17(日) 17:06:14 ID:isq2JzWU
お盆も過ぎた昼下がり。
首都圏なんかでは毎日真夏日だの熱帯夜だのとニュースで騒いでいるが、北国では日差しが厳しくも風が涼しいため、そんなテレビの中の世界とは無縁で快適だ。
……まぁ暑いことには変わりないけど。でも過ごしやすい暑さだとは思う。
そよそよと自然の冷風を感じながら、残り少ない夏休みをゴロ寝しながら楽しむ。
平日の昼間っから寝っころがれるって幸せだよなーと、どこぞの親父みたいな考えをしつつ、ゴロゴロゴロ。
宿題もあらかた片付けたんだ。
あとは贅沢に寝て過ごしたってバチは当たらないだろう。
つーか、真夏日にならないのはありがたいけど、南に比べると北は夏休みが少ないのが難点なんだよなー。
そんなしょーもないことを考えていたら、ふと上から視線を感じた。
目線だけを上に向けると、僕のことを呆れながら見つめる視線とぶつかる。

「だらしないわねー」

今年、社会人一年生となる姉が僕のことを見下ろしていた。
そういや姉も今、夏休みだったな。
スーツにフルメイクの完全武装した姿ではなく、キャミソールにジーンズにすっぴんという外では有り得ない格好をした姉の姿を見るのも、なんだか久しぶりだ。
というか、家にいること自体が随分と久しぶりな気がする。
休みの日は彼氏とデート三昧だったからなー。
……そんな姉が僕に何の用だ?今日は彼氏の所に行かないのか??
4372/9:2008/08/17(日) 17:10:12 ID:isq2JzWU
「あんた暇よね」
「ゴロゴロしてて忙しい」
「ねえ、耳かき知らない?」
「…僕の話聞いてる?」
「彼に耳かきしてあげたいのよねー」
「……だから僕、暇じゃないかr」
「も ち ろ ん!協力してくれるわよねー」

幼い頃のありすぎるトラウマから、僕にとって姉という存在は、女ではなく恐怖の大王として君臨している。
いや、女だから恐怖の女王?
どっちにしろ、凄みをきかせて睨み付ける魔王に僕が勝てるはずもなく……。

「………ハイ」

何を協力すればいいのか全くわからないまま、渋々了承する羽目になってしまった。
ちなみに後から聞いた姉の話をまとめると。
彼氏に耳かきをしてあげたいが、姉は誰かに耳かきをするということがなかったため、僕を実験台にして耳かきの腕をあげたいらしい。
耳かきの腕より料理の腕を上げた方がいいと思うが、まだ死にたくないから余計なことは言わないでおく。
4383/9:2008/08/17(日) 17:12:08 ID:isq2JzWU
「僕、どうすればいいの?」

戸棚から梵天付きの竹製耳かきを取り出し、姉に手渡ししつつ確認。
耳かきというキーワードから、ふっと頭に浮かんだ『膝枕』の二文字にちょっとだけドキドキする。
別に姉に邪な感情なんてこれっぽっちも持っていないが(相手は女の姿をした魔王だし)
彼女イナイ歴=年齢の僕としては『膝枕』という言葉は、例え恐怖の対象である姉のものであったとしても、憧れるには十分すぎる魔力を持っていた。

「とりあえず、そこに座って」

指をさされた窓際に移動し、窓に右耳を向ける形で正座をする。
姉も隣に膝立ちをしたことから、どうやら膝枕はせずに座ったまま施術するらしい。
良かったのか、悪かったのか……。
もやもやとした複雑な思考も、耳に感じた違和感に途切れる形となる。
クイッと耳たぶをつままれ、そのまま耳を上向きにされたからだ。
耳の穴を見やすいようにか、何度も角度を調節され、その度に耳を引っ張られる。
……ちょっと痛い。
ここは意見をした方がいいのか……いや無理だ、怖い。
彼氏さん、耳たぶ引っ張られて痛くても、僕を恨まないでくれよー。
心の中でこっそり姉の彼氏に謝罪をしてるうちに、角度も定まったらしく、硬い何かがスッと耳の穴に触れてきた。
4394/9:2008/08/17(日) 17:30:23 ID:mZuuQnrk
スッ……スーッ……
カリッ…カリッ……

耳かきの匙が、耳穴の手前周辺を優しく掻き始める。
くすぐるようなその仕草に、僕の背筋がゾクッと震えるのがわかる。
そういえば誰かに耳かきをしてもらうのなんて、小さい頃に母親にやってもらって以来な気がする。
耳かきしてもらうのって気持ちよかったんだなぁ。
姉の耳かきに、幼い頃の記憶を少しずつ手繰り寄せていく。
母も最初は耳の手前を優しく掻いていた気がする……。

サクッ…サクッ
カリカリカリッ

細かい動作で優しく掻きあげ、グルッと壁に沿って匙を動かす。
匙の動きに合わせ、壁にこびりついていた耳垢がペリッと剥がれ落ちるのがわかる。
ペリペリと耳垢が剥がされる度、ゾクゾクとした刺激も背中から全身へと伝わっていく。

4405/9:2008/08/17(日) 17:33:34 ID:mZuuQnrk
「……手前はこんなもんかしら」

ちょこちょこ耳の中の産毛を弄っていた匙が、ぽつりと呟かれた姉の一言をきっかけに、今度は奥へ奥へと入ってくる。
さすがに奥の方は慎重になるのか、そーっとゆっくり侵入する匙の動きに若干のむず痒さも感じた。
かと思うと、先程よりも少し強い力でクックッと壁を掻かれる。
コリコリと耳の中の壁をマッサージするかのような動きに、全身の筋肉も優しく揉みほぐされてるような印象すらもってしまう。
掻かれる度に耳の中のかゆみも引いていき、じーんと頭の中が痺れてくる。
じわじわと心地よい刺激に、どんどん侵食されていく自分がいる。
どうしよう……凄い気持ちいい。
正座という姿勢と、夏の暑い日差しに照らされてるという状況から、さすがにうとうと睡魔がやってくるということはないが、もしもこれが膝枕をされている状態だったら絶対寝てる気がする。
そう自信を持って言えるほど、姉の耳かきは上手かった。
本当に初心者なんだろうか?
4416/9:2008/08/17(日) 17:36:15 ID:mZuuQnrk
コリコリカリコリ
クッ…クッサクッ

夏の日差しで耳の中に汗もかいたせいか、僕のカサカサな粉垢も少し湿っぽくなっていたらしい。
ペリッと耳垢が剥がれる乾いた感触から、じっとりと重みの増した耳垢が纏わりつく感触へと耳の中も変化していく。

サクッ…サシュッ
ホリホリ…グリッ

外の喧騒と風の音と耳かきの音だけが、僕の耳に届いてくる。
しばらく無言で耳に響く感触だけを堪能していたが、この夏の日差しにふと心配になったことを、気がついたら口にしていた。

カリッ…カリッ…

「日焼けしない?」

コリコリ…コリコリ

「日焼け止め塗ってるから大丈夫よー。今は家の中にいる時も日焼け止め塗らなきゃ大変だからね」

ザッザッ…ザリッ…

「用意周到なことで」

クリッ…クリッグリッ…

キャミソールから覗く姉の二の腕をチラ見しながら、そんな心配。
「肌晒せるなんてまだまだ若いなー」と、これまた十代らしからぬ発想をしてしまったが、さすがにこれは口にしなかった。

4427/9:2008/08/17(日) 17:40:22 ID:mZuuQnrk
そして、カリカリコリコリと、またしばし無言の時間が続く。
こんな時間が永遠に続くかと思ったその時……。

ふわっ

今までの鋭利な刺激から、ふわふわとした柔らかい刺激が耳の中に訪れた。
あまりにも突然のことに、一瞬何事かと思考が追い付かなくなる。
しかし、そのふわっとした刺激が梵天によってもたらされたものだと分かった時には、「あーもうすぐ終わるんだななぁ…」と、ぼんやりとだが残念に思う自分が、確かにそこにはいた。

くるくる…ふわり

柔らかく耳の中をくすぐる梵天の刺激に、またもや快感が体全身を駆け巡っていったが、それも僅かな時間で……

「……はい!こっちは終わり。反対向いてー」

姉の一言と共に、この至福の一時も終わってしまったのだった。

4438/9:2008/08/17(日) 17:44:20 ID:mZuuQnrk
耳かきが終わり、落胆する気持ちは確かにあった。
しかし、次に訪れる気持ちよさのために日の光のある窓際へ左耳を向けるべく移動しようと、足を崩したその瞬間……
間抜けな音と共に、僕は地面に豪快にダイブをかましてしまった。

「……足痺れた」
「は?あんたバカじゃない!?」

ずっと正座をしていた足を崩したのだ。
その足の痺れたるや、先程の気持ちよさや耳かきの余韻も吹っ飛ばすほどの勢いで……

「……痛い」
「はー、しょうがない。反対は諦めるか。面倒だし」

面倒なのかよ!?
相手が恐怖の女王であることも忘れて思わず突っ込みそうにもなったが、蹲って足の痺れと戦う僕には突っ込む気力すらもわかなくて。
耳かきをしてもらえないことと足の痺れのダブルパンチに、ただ項垂れるだけなのだった。

「で、どうだった?鼓膜の近くとか、あんまり奥の方はさすがに出来なかったけど……」
「……気持ちよかった」
「ホント!」
「本当、本当。OLやめて耳かき屋にでも転職した方がいいんじゃない?」
「よっしゃ!」

笑顔でガッツポーズを決める姉に「でも」と、勇気を出して忠告してみる。

4449/9:2008/08/17(日) 17:48:51 ID:mZuuQnrk
「彼氏に正座はさせない方がいいよ」
「大丈夫、彼にはちゃーんと膝枕してあげるから」

気持ちよかったと言われたのがそうとう嬉しかったのか、上機嫌で言ってのける姉は語尾にハートマークでもつけそうな勢いだ。
というか、彼氏には膝枕をしてくれるんだたら……

「じゃあ僕にも膝枕……」
「何が悲しくて弟に膝枕してあげなきゃいけないのよ。それに正座したあんたが馬鹿なんじゃない。胡座でよかったのに」

ごもっともです、お姉様。言った僕が馬鹿でした……。

「ま、どーしてもっていうなら、一時間千円で手をうってあげてもいいけど」

学生からぼったくるのか、社会人?
……彼氏さんはこんな恐怖の女王のどこに惚れたんだろう?
出来れば一晩じっくり語り合いたいくらいだ。

でも、ま。
こんな気持ちいい実験台だったらこっちからお願いしたいくらいだなーと思うと同時に、彼女が出来たら絶対膝枕で耳かきをお願いしようと固く心に誓った、そんな夏の一日だった。



<了>

445癒されたい名無しさん:2008/08/17(日) 21:16:10 ID:humqII1r
はぁぁぁ〜〜〜たまんね〜〜
ありがとう・・・たまに投下される作品はまじ宝です。

ただうちも姉弟なので耳かきするシチュは想像できんなーw
446癒されたい名無しさん:2008/08/18(月) 10:25:34 ID:QERZaSi5
耳掃除描写うめえ
ついつい耳かき棒に手が伸びる
447癒されたい名無しさん:2008/08/18(月) 23:07:59 ID:zFMdc8Iw
十回以上読み返しちゃった…
気持ちよかったです…
448sage:2008/08/22(金) 16:48:15 ID:D/qUslM9
このスレは癒されます
おっとヨダレが・・・
449癒されたい名無しさん:2008/08/24(日) 11:42:35 ID:CZfNpmDm
助さんの新作が読みたい(;゚∀゚)=3
もはやこれは禁断症状か。
450癒されたい名無しさん:2008/08/27(水) 16:49:39 ID:rAb2Q4qq
おすすめ2ちゃんねる 開発中。。。
あぁ.........恍惚の耳かき part13 [生活全般]耳垢が取れない…10 [身体・健康]
ポケモントレーナーです。スマブラの… [なりきりネタ]
世界の耳かき事情 [一般海外生活]
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r.so ver 2008/04/02
 
 
ポケモントレーナーです。スマブラの… [なりきりネタ]
なんだこれはwww
一つだけ浮きまくっとるwww
451癒されたい名無しさん:2008/08/31(日) 21:51:29 ID:81xFgtae
452癒されたい名無しさん:2008/09/02(火) 20:13:13 ID:dM9YibFX
癒されるのは
マッサージ派?耳掃除派?どっち?
453癒されたい名無しさん:2008/09/04(木) 21:34:18 ID:Cdv6ZA+e
新作期待age
454癒されたい名無しさん:2008/09/15(月) 01:59:23 ID:G8J9gwBO
あげ
455癒されたい名無しさん:2008/09/18(木) 02:23:48 ID:Zhdlr1Uq
一発屋さん、アナタのその秀逸な耳かき描写と表現…
もしかしてアナタは、あのいまは亡き某サイトの中の人では…!?
456癒されたい名無しさん:2008/09/18(木) 11:27:44 ID:rdZ9RyoT
そーゆーのはあんまし勘繰るもんじゃないんだぜ
457癒されたい名無しさん:2008/09/18(木) 17:24:09 ID:f6fmec1P
長いことファンだったもんだからつい。野暮でした、スマソ。
458癒されたい名無しさん:2008/09/20(土) 00:04:50 ID:L9nFYNag
真面目なマッサージの小説とかないのかなあ
「マッサージ 小説」とかでぐぐるとエロ小説ばっかり出てくる…orz
459癒されたい名無しさん:2008/09/20(土) 00:20:46 ID:muej1Ddj
Miscellanyの人のとこの、
その他SSにある奴なんかはどうだろう。
460癒されたい名無しさん:2008/09/20(土) 11:24:12 ID:L9nFYNag
>>459
既に読んだ
あれは実にいいよね
読むだけでハァハァしてしまうw
あのくらいのクオリティの小説はもっとないもんかね
461癒されたい名無しさん:2008/09/22(月) 03:25:09 ID:RPJzFF8S
>>436
凄く気持ちいい小説でよかった。
でも、自分が通ってたサイトの小説と凄く似てるんだけど……
スレチなのは分かってるけど気になった。
462癒されたい名無しさん:2008/09/22(月) 14:31:08 ID:SPYRtAW5
ヤボな奴だね
463癒されたい名無しさん:2008/10/01(水) 21:28:41 ID:Al8L82qW
新作期待age
464癒されたい名無しさん:2008/10/08(水) 00:38:27 ID:C2HOERh5
あげ
465癒されたい名無しさん:2008/10/08(水) 11:09:38 ID:zw4q3GTm
新作来ないかな
466癒されたい名無しさん:2008/10/10(金) 02:23:01 ID:xZy5mrE+
移転?したんだ…
かちゅでいきなり読み込まなくなったからdet落ちしたのかと思った
よかったー
467癒されたい名無しさん:2008/10/10(金) 14:39:13 ID:xZy5mrE+
てす
468468:2008/10/10(金) 23:35:49 ID:xZy5mrE+
ごめん、書き込んでもエラーでて表示もされないから書き込めないと思ったんだorz
469癒されたい名無しさん:2008/10/11(土) 20:37:49 ID:UMtkpoFS

466
:癒されたい名無しさん [sage] :2008/10/10(金) 02:23:01 ID:xZy5mrE+ ○
    移転?したんだ…
    かちゅでいきなり読み込まなくなったからdet落ちしたのかと思った
    よかったー

467
:癒されたい名無しさん [sage] :2008/10/10(金) 14:39:13 ID:xZy5mrE+ ○
    てす

468
:468 [sage] :2008/10/10(金) 23:35:49 ID:xZy5mrE+ ◆
    ごめん、書き込んでもエラーでて表示もされないから書き込めないと思ったんだorz

おまいちょっともちつけ。w
470癒されたい名無しさん:2008/10/14(火) 20:47:14 ID:lBkhlrNm
age
471癒されたい名無しさん:2008/10/19(日) 00:14:57 ID:WE0t952B
ほっしゅ
472癒されたい名無しさん:2008/10/21(火) 12:56:58 ID:f/pNta2v
「ハイパー耳かき姐さん栗奴っこ」


たみ「あたいぃ、最近〜、耳がぁ、じゅくじゅくすんだがぁ」
絢祢「あら、たみちゃん、下の具合の間違いじゃなかろうね」
たみ「やだよ絢祢姐さんっだら!あだいは綺麗なもんだべ!
絢祢姐さんごそ最近めっきりご無沙汰じゃなあか、だまにゃ蜘蛛の巣の掃除でもしとぎながよ」
絢祢「んまッ!何をこのアマ!!」

ガラッ

たみ「ハッ栗奴っこ姐さんっ!」

絢祢「栗奴っこ姐さんっ!」


栗奴っこ「ああ・・・耳かきさせとくれ・・・」

絢祢「姐さん、いつお帰りですのん!知ってたら、うちらこないなとこで油売らんとお迎えに上がりましたのに」
たみ「んだぁ!うちもごげな着物で恥ずがしかぁ」

栗奴っこ「相変わらずここはむさいねぇ、殺風景すぎて懐かしいよ」
絢祢「姐さん、ちょっと見ん間に一段と艶っぽくなったわぁ」
たみ「んだぁ〜。作業着がばち切れんばかりだぁ〜」

絢祢「ホホ、何言うのこの娘は、姐さんが作業・・・作業・・・姐さん・・・もし」


栗奴っこ「暫く匿ってくれやんせ」
473癒されたい名無しさん:2008/10/21(火) 13:19:46 ID:f/pNta2v

絢祢「今眠ったよ」
たみ「んでもなぜよ、栗奴っこ姐さん、こごにいぢばんに来たんだ?
マムシの次朗のとこに匿ってもらや間違いながに」
絢祢「お前は何にも分かっちゃないね。そのマムシの次朗が姐さんを売ったんだよ」
たみ「ぞりゃマムシもはめられだって、大母様が言うどんだっしゃが。ならそれが嘘が?」
絢祢「マムシはシマを何度も変えてるからね。何人も女がいるのさ」
たみ「女がいるとなぜわがる?だいたい今は酷い有様にさぜられで
女どごろの騒ぎじゃながよ。絢祢姐さんもみだんだべ?耳からあげな・・・」

絢祢「シッ!!」
たみ「なんだぁ?」
絢祢「お前は本当に馬鹿だね、その耳に刺さってたお守り刀、誰のものか知らないのかい」
たみ「そりゃ・・・女のだべ?でも二本綺麗に刺さってたのは玄人に違いねぇっで」

栗奴っこ「・・・・・・あんたたち」

絢祢「アッ!姐さん!起こしてしまいましてえらいすんません」
たみ「姐さんずんません」

栗奴っこ「フフ、たみちゃんはいつまでもお国言葉が抜けないねぇ」
絢祢「ほんまにこの娘は、いくら言うても・・・」
栗奴っこ「ええのや、かわいらしから。女はかわいらしのが1番や」

絢祢「・・・・・姐さん・・・娑婆に出られたんは・・・」
栗奴っこ「ある相手を殺るためや」
474癒されたい名無しさん:2008/10/22(水) 14:21:10 ID:dRl77edQ
続きマダー
475癒されたい名無しさん:2008/10/23(木) 09:44:33 ID:+n18gYVi
続きー
476癒されたい名無しさん:2008/10/31(金) 13:00:08 ID:R03Scsl4
あげ
477夕暮れと耳かき1:2008/11/03(月) 18:47:49 ID:+EJwAKUM
スッ…
コリ、コリ、カリカリカリ…

すっかり日が暮れるのが早くなり、影が差し始めた部屋の中で、私は一人黙々と耳かきをしていた。
(ああ、いいな…ちょっと高かったけど、奮発して買ってよかった)
私は耳かきが好きである。耳の中に入っていく匙の鋭利な感触、壁にへばりついた耳垢をコリコリとこそげ落としている時の耳の奥から背中へ走る震えるほどの快感、そして大物が捕獲できた時の幸福…
そのための手段にはお金を惜しまない。本日のご相手は、本煤竹で作られた普通の竹の耳かきよりも色の濃いごくノーマルな耳かきである。
478夕暮れと耳かき2:2008/11/03(月) 18:49:06 ID:+EJwAKUM
私は耳かきの先を奥に進めた。指先に「カリッ」とした異物を発見し、その瞬間痒みが耳の中に広がる。
(うひーっ、か、かゆいっ!)コリカリコリカリ…カリッ…
この耳かきは良い。耳垢をガッチリ捕らえ、それでいて実にしなやかなタッチで耳壁に余計な痛みを与えない。
その上普通の耳かきの半分ほどの匙の薄さで、先のほうがほっそりとやや緩やかなカーブを描いている。痒みのもとをカリカリと掻くと、ムズムズとしたイヤな感覚を的確に消してくれるのだ。掻いているうちに頭の中はふわふわと浮かびはじめ、かすかな眠気を覚え始めた。

カリ、カッ…ザリザリザリ、ズズーッ……
 捕れた耳垢をズルズルと引き出す。白っぽい、カサカサとした塊が匙の上に乗っかっていた。なかなかの大物だ。何日か我慢しただけのことはある。私は獲物をしばし眺めた後、ティッシュで丁寧に取り除いた。
 新たなる獲物を探すため、再び耳かきを耳の中に侵入させる。そして私は快感と幸福感に満たされたまま、連休最後の午後を過ごすのであった

<了>
479癒されたい名無しさん:2008/11/03(月) 19:44:36 ID:VpEd9ELO
>>477-488
おおおおお乙!
昨日したばかりなのに、読み返しながら耳かきしてますw
  
つ―(*´Д`)
480癒されたい名無しさん:2008/11/04(火) 02:30:06 ID:XCpHtl15
乙! 激しく乙!
自分も職人が作ったような耳掻き欲しいわー
ああいうのってどこで買えるんだろう
481癒されたい名無しさん:2008/11/04(火) 11:57:11 ID:PpFkTZyb
二年坂にあるかと
上にあるような煤竹などは
482癒されたい名無しさん:2008/11/04(火) 14:05:46 ID:NDb5Irds
>>477-478
483癒されたい名無しさん:2008/11/04(火) 16:38:38 ID:LJHrMMRJ
麻薬のよーなこのスレ・・・
>>477-478
たまらんかったです。
484癒されたい名無しさん:2008/11/04(火) 23:52:27 ID:XCpHtl15
>>481
どもです

調べてみたら神田竹細工店というお店みたいですね
こだわりの製法に何より自分に合った耳かきを選ぶことができる点に
グッと来てしまいましたw

京都は遠いけど機会があれば何としても行かねば
485ねこずきん:2008/11/10(月) 23:49:04 ID:8N+IkQTi
にゃんにゃんにゃにゃん…
犬の耳掃除
486癒されたい名無しさん:2008/11/12(水) 23:11:25 ID:boB9SLrW
>>484
そこと、もう一軒だけど 『竹の店 かめやま』 というとこがある。
京都に行ったら両方回ってじっくり選ぶのがおすすめ。

ttp://2nenzaka.ne.jp/data/
487ねこずきん:2008/11/13(木) 20:00:00 ID:I8FZ/NYu
お店で耳掃除してもらったにゃん
488癒されたい名無しさん:2008/11/13(木) 21:54:46 ID:0DjtFRv5
ttp://c-love-r.jp/
ショボイサイトの割にはかわいい結構女の子居るみたいww
489癒されたい名無しさん:2008/11/19(水) 12:10:16 ID:gLj+8+kh
近いうちにマッサージssを一本書こうと思う
いつになるかはわからない
490癒されたい名無しさん:2008/11/19(水) 12:42:38 ID:Bmq8KMB8
おう、気長に待ってるぜ
491癒されたい名無しさん:2008/11/19(水) 23:03:44 ID:sQFZhRWO
俺も耳かきで一つ書いてるので今月末に貼れるように頑張りますよ
492癒されたい名無しさん:2008/11/20(木) 04:45:16 ID:akfXbSty
自分も今、耳掃除店ss書いてるのでがんばってみます。
493癒されたい名無しさん:2008/11/20(木) 16:43:42 ID:SeTL0UU2
ひょーたのしみー
494癒されたい名無しさん:2008/11/20(木) 18:52:37 ID:zBjlz2ak
俺も楽しみにしてるけどアレだぜ
適当に予告しちゃうと後で死ぬほど後悔するハメなるから程々にな

と、経験者ぶって忠告してみる
495ねこずきん:2008/11/22(土) 19:46:01 ID:MsbUqRYC
いぬのみみ みみあかがつまているみゃ
みみたぶをひっくりかえしてめんぼうでくるくる
たっぷりとれたみゃ いぬのみみあか
ゴミ箱へぽいみゃ
496癒されたい名無しさん:2008/11/23(日) 07:47:07 ID:VQmA5PHr
(;´Д`)はぁはぁ
497癒されたい名無しさん:2008/11/24(月) 02:32:29 ID:/wp0Zao7
飴耳

彼女が手に取ったのは、スパイラル綿棒。耳壁にコットン部分がつくと、にちゃりという
ねちっこい音がした。少し強めにこしこしと動かす。それも、ただ動かすのではなく、
奥から手前に、そして少し浮かせてまた奥へ、と同じ動作を繰り返す。綿棒を回転させ、
コットン部分の位置を変えてから他部分の耳壁へと移る動作は、汚れた雑巾を
裏返すのを連想させた。少し強めに耳壁にこすり付けられるたび、にちりにちりと
耳垢が取れていく様子が実感できた。時々クルリと耳全体をなでまわす…というには
少し弱いか。耳全体をこすりまわしながら、奥から手前、奥から手前という動きを繰り返す。

快感に体を震わせていると、綿棒が離れた。と思えば、再び乾いた感触が耳の中を触る。
どうやらひっくり返し、再び施術するようだ。今度は、グリグリと耳の穴に沿った動きをする
綿棒。さきほどでは取り切れなかっただろう耳垢の音が、ネチャ、ネチャという音から
ガシ、ゴシという心地の良い音に変わっていった。その、強すぎない強さが非常に心地良い。

うとうととした眠気を私にもたらしたそれは、仕上げだったらしい。数回耳の穴で弧を描いたあと、
直ぐに抜かれてしまった。
もうおしまいか…と頭を上げかけると、こめかみ部分に手をそっと添えられた。どうやら
まだあるらしい、がっかりしかけただけに大きめに膨らんだ心が素直に彼女に従った。
そっと、本当にそっと、細々とした綿棒が耳に入ってきた。この間買ってきたベビー綿棒だ。
息が詰まる感覚がしてつい声が出た。その反応で心配しだのだろう、綿棒を抜き痛いか
と上から声が降ってきた。驚いただけで痛くは無いと伝えると、彼女は返事をして再び
そっと綿棒を耳へと挿入させた。

喉詰まりと勘違いしたその感覚は、耳の奥まで綿棒が入ってきたせいだった。この部分は、
普通の綿棒では絶対に入ることのできない領域。むしろ、ホンの少しも押し付けると直ぐに
痛みが走るため、自分でもやろうとはしない場所だ。不安にかられる。
しかし、さきほどの力強い動きは全くなかった。本当に、「触れる」だけの力加減しかなく、
擦り取る、というより、触れた状態でくるくるとベビー綿棒を回転させ、私の耳垢をかすりとって
いった。その神業ともいうべき繊細な技術と、にちにち、ごそごそとくぐもった音は、耳垢と
同時に私の不安さえ取り去り、代わりにさきほどの比ではない心地よさをもたらす。
さらに、眠気ももたらす。睡魔が襲ってくるのはさほど時間はかからなかった。

朦朧とした意識の中で、すっと耳の中のものが抜かれていく感触がした。終わりだったら
離れなければいけないな、と思ったが、既に頭を上げる気力すらない。少し申し訳なさに
浸っていると、再び入ってくる、乾いた、繊細なもう片側のベビー綿棒。どうやら私の天国は
まだ続くらしく、今度は奥の仕上げに入るらしい。
手順自体は、先ほどベビー綿棒が入ってきたそれとは変わらなかったが、ネチネチ音
が無くなり、ゴソ、ガスと音だけ大きな繊細な動きが心地良い。
何も考えられなくなる。目はつぶっているはずなのに、だんだんと目の前が白くなってきた。

突然、更なる心地よさが私を襲う。何か、耳の中にすぅっとした…風、だろうか。が入ってきた。
意識を手放しかけていたので、ベビー綿棒が抜けた瞬間すら気付かなかったようだ。
こすられて少し熱くなっていた耳壁に、ひんやりと心地よさの波が来る。
意識がはっきりしていれば、メンソールだろうか、オイルだろうか、と考えでもしただろう、が、
もう、なんでもいい。これは気持ちよい…それが、今、考えられる…全てで………。



…………



……………………




498癒されたい名無しさん:2008/11/24(月) 02:34:27 ID:/wp0Zao7
>>494

それ、すごい良くわかるので、いきなり投下してみた。
499癒されたい名無しさん:2008/11/24(月) 08:10:13 ID:5mAIEUGH
>>497
超気持ち良かった!!
あ〜〜〜なんで耳かき好きな男と結婚しなかったんだろー
耳かき好きな彼女欲しいーーーー
500癒されたい名無しさん:2008/11/24(月) 08:59:57 ID:n+U97QIz
>>497
なーんか起承転結の承と結だけ中抜きしたみたいな話だなーと思ったら
>>498という訳か!
実際、このスレの需要的にはこのくらい思い切っちゃった方が良いのかなw
癒しというお題目に対し、物語は所詮スパイスでしかないものなあ

あ、それと最高に気持ちいい描写だったぜー
投下乙
501癒されたい名無しさん:2008/11/24(月) 18:32:31 ID:8ubSpnQE
乙!
凄い気持ちよかったよ
飴耳もいいなー
502癒されたい名無しさん:2008/11/26(水) 17:25:49 ID:7JTzb4kA
>497
乙!描写が良かった〜。
読むと眠気が襲ってくるぐらい気持ち良いSSでした。
503ねこずきん:2008/11/26(水) 19:15:28 ID:Y4fPBc8c
ねこのみみそうじ〜★
さいきんぜんぜんそうじしてないからよごれてるみゃ〜◆□
うちのねこちゃんはおとなしくてあばれたりしないからつかまえてきて
だっこしたらいいみゃ〜。

------------------------------

疲れたからまたあとでかくみゃ!!
504癒されたい名無しさん:2008/11/26(水) 22:08:45 ID:lfXeP7v0
また来たのかこいつ
505癒されたい名無しさん:2008/11/26(水) 22:22:25 ID:MmV3zsvf
死んで欲しいよね。
506ねこずきん:2008/11/26(水) 22:38:05 ID:Y4fPBc8c
みんなだいすき☆ねこずきん
507癒されたい名無しさん:2008/11/27(木) 00:24:29 ID:VUMi9lAv
つNGワード
508癒されたい名無しさん:2008/11/27(木) 07:45:10 ID:wugsD+o3
早速入れた。スッキリw
509ねこずきん:2008/11/27(木) 15:13:41 ID:J3KmIxab
気兼ねなくかけるにゃん
510ねこずきん:2008/11/30(日) 14:57:35 ID:SVxKvRau
癒されるにゃん☆
511ねこずきん:2008/12/01(月) 08:55:31 ID:K/W1B4gG
ねこたろうのひだりみみにめんぼうをいれたみゃ〜☆
くりくり… たくさんきいろいのがとれたみゃ。

もういちどくりくり… ねこたろうが目を細めてるみゃ。

もういっかいくりくり… きもちよさそうみゃ。

こんどは反対側みゃ。 きれいにしてやったみゃ。
512癒されたい名無しさん:2008/12/01(月) 15:29:46 ID:oCS1uMD3
http://homepage2.nifty.com/hmx/ss/ss_na_yuki03b.html

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
待ってた甲斐があったぜ……!!
513癒されたい名無しさん:2008/12/01(月) 19:59:47 ID:2B9cB8JI
>>512
鼻息フガフガしながら読んじゃったw
514癒されたい名無しさん:2008/12/02(火) 13:49:44 ID:gS5Brs9E
自分も長らく待ってたよ!>512
堪能…!!
515癒されたい名無しさん:2008/12/07(日) 19:37:21 ID:Ot/ULYw+
彫刻刀……w
516癒されたい名無しさん:2008/12/10(水) 18:47:22 ID:tsvTZWd1
長門への愛情が感じられ、2度おいしかった。
こんな神サイトがあるとは・・・
耳こりっ以来の衝撃
517ねこずきん:2008/12/15(月) 20:36:31 ID:hdrkh5GD
にゃんにゃん
518癒されたい名無しさん:2008/12/22(月) 18:25:23 ID:nSd3L3YY
保守
519癒されたい名無しさん:2008/12/26(金) 05:42:50 ID:MeDxfOK1
保守
520ねこずきん:2008/12/31(水) 23:56:15 ID:OgHzgOVy
おおみそかおわりみゃ
521ねこずきん:2009/01/01(木) 16:29:11 ID:lOw1Zr3K
あけましておめでとうみゃ
522癒されたい名無しさん:2009/01/06(火) 02:48:56 ID:Er/fiGKU
あげ
523癒されたい名無しさん:2009/01/09(金) 13:20:02 ID:0A5YBH2D
全く最近の書き込み見えると情けなくって涙が出てくる。
ガチガチのガタイしたいいオスが「アメ耳」「ニチャ耳」とか言って軟弱な耳垢を誉めそやしてやがる。
アホかおめえら!
そんなユルユルの死体みてぇな穴に耳かき入れて何が気持ち良いんだ?
男ならもっとビシッ!と耳垢を引き締めやがれってんだ!
俺はその為に毎日1000回の耳かき往復を欠かさない。
「オスッ!オスッ!」と気合を入れながら振り下ろす度に匙にギュッ、と力を込める。 
こうして押し固められた俺の耳垢は「アメ耳」なんて軟弱なシロモンとは対極を成す、まさに「ガチ耳」だ。
そのあまりの硬さに耳掃除屋じゃあ“万力のイチ”って呼ばれてる。

そんな俺だが、俺でさえホリ抜ける程の逞しい耳掃除の腕の持ち主を心待ちにしている。
勿論、最高の硬さを味わいたい命知らずの挑戦も受付中だ!
毎週金曜21時頃はだいたい******の大部屋にいる。178*74*30角刈りにねじり鉢巻がユニフォームだ。

俺の鍛え抜かれた金鉱脈!掘れるもんならホッてみやがれ!!
524癒されたい名無しさん:2009/01/09(金) 23:22:06 ID:olEcnzBV
キモイ
525癒されたい名無しさん:2009/01/10(土) 01:31:20 ID:A2z7BrO1
パイ皮耳の人の体験を聞くと、気持ち良さそうだと思うアメ耳の自分には、
ガチ耳のスパルタ試練は楽しそうに見える。

が、剥がす時は痛そうだ…
526癒されたい名無しさん:2009/01/10(土) 22:24:02 ID:5bavsx6B
誰か彫刻刀持ってこいw

パイ皮耳いいよなあ、でもアメ耳もうらやましい
そんな自分はカッサカサの粉耳。湿らせてペースト状にして掘っては
大物が取れた気分を疑似体験してるんだぜ…
527癒されたい名無しさん:2009/01/11(日) 13:11:54 ID:lODDFwRP
耳かきつっこんで、カリカリすると地肌に触れてる感じしないんだよね。たぶんたまってるんだと思う。でもまあいいや。取るとなると耳のなか丸ごと剥がしそうな気がして怖い。w
528癒されたい名無しさん:2009/01/11(日) 19:00:03 ID:gZP9aWNy
>>527
(;´Д`)ハァハァ
529癒されたい名無しさん:2009/01/19(月) 14:13:40 ID:P3MVkHwJ
保守コリッ


カリカリッ、ザザーッ…

アトモウスコシデ、トレソウ…

カカカッ…コリッ…!
パリッ!パリパリ…


スーッ…

アー、スッキリシタ
530癒されたい名無しさん:2009/01/20(火) 01:32:57 ID:weyq1w12
シャンプースレの人?
531癒されたい名無しさん:2009/01/20(火) 16:36:00 ID:rEOVApkQ
>>529
あんたの文体、今は亡き耳かきコリッを思い出すよ。
あれは良いところだった。
532癒されたい名無しさん:2009/01/26(月) 05:36:22 ID:F05KcVkx
533癒されたい名無しさん:2009/01/29(木) 02:39:57 ID:n0xjqtiV
>>532
なんだ、ただの神か
534癒されたい名無しさん:2009/01/29(木) 02:41:27 ID:n0xjqtiV
って見れねーじゃんorz
535癒されたい名無しさん:2009/01/29(木) 02:58:18 ID:JtYts3X0
こっちはPCで>>532見れたよ。携帯では見れなかったけど。
神thx
536癒されたい名無しさん:2009/01/29(木) 04:21:41 ID:wyNAk0NB
>>534
携帯ならぐるっぽ通して見るといいよ。
残念ながら鍼あんま屋後編は見れなかったけど、他は全部見れた。
 
http://z.ula.cc/http://web.archive.org/web/20080205063546/www.geocities.jp/bmrsw335/index.htm
537癒されたい名無しさん:2009/01/31(土) 11:29:59 ID:3KL3EprJ
538癒されたい名無しさん:2009/01/31(土) 16:03:46 ID:FMN3XLA1
>>537
見れた────(゚∀゚)────! 
ありがとう!
539癒されたい名無しさん:2009/01/31(土) 22:13:14 ID:hPw+KU5u
ここは神の集まりか

乙!
540癒されたい名無しさん:2009/02/01(日) 04:05:07 ID:eJc2bug7
あああ耳コリをもう一度見られるなんてえええ
うれしい、すっごくうれしい
ありがとう神!!
541癒されたい名無しさん:2009/02/01(日) 18:42:08 ID:SE6N6+cD
アーカイブに保存されてるだけの代物を神神言うのも少し虚しくはないだろーか

ついでだから言っておくと、耳コリ内のリンク先も当時のページの状態がそのまま反映されてる
なので最新の状態が見たかったら適当にURLを削ると良い(大半は更新止まってるor死んでると思うが)
あと、>>537みたいに指定する日時を変えれば見れないページも見られる可能性がある

なんか知らない人多そうに見えたんで一応な
542癒されたい名無しさん:2009/02/07(土) 15:15:29 ID:Pvdg0wLG
あげ
543癒されたい名無しさん:2009/02/09(月) 10:45:51 ID:cmbn+2Ut
かかとのように出っ張った耳骨に竹製の耳かきを走らせると、
ガサガサとした感触が伝わってきた。
痒みをしきりに訴えるある一点をさじの先でカリカリ掻くと、
えも言われぬ気持ち良さが背筋を駆け抜ける。
耳かきをそっと引き抜けば、さじのくぼみに
地層のように重なりあった白くて所々黄色い皮が乗っていた。
……これはまだ一部だ。
私は確信した。
ガサガサの範囲に対して、出てきたものはあまりにも小さい。

続きを読みたければワッフルワッフルと(ry
544癒されたい名無しさん:2009/02/09(月) 17:50:03 ID:5ZV/2f8O
ワッフルワッフル
545癒されたい名無しさん:2009/02/09(月) 19:24:17 ID:3FUQGyq5
ワッフルワッフル
546癒されたい名無しさん:2009/02/09(月) 21:45:57 ID:gfx2MXSh
ワッフルワッフル
ワッフルワッフル
ワッフルワッフル
ワッフルワッフル
ワッフルワッフル
547癒されたい名無しさん:2009/02/09(月) 22:51:55 ID:agMyjIB9
ワッフルワッフル
548癒されたい名無しさん:2009/02/10(火) 00:03:48 ID:2siYn2xr
このスレってこんなに住人いたのかw

ワッフルワッフル!ワッフルワッフルワッフル!
549癒されたい名無しさん:2009/02/10(火) 00:09:31 ID:iyUYWf1a
ワッフラず
ワッフリて
ワッフル
ワッフルる
ワッフレば
ワッフレよ
550癒されたい名無しさん:2009/02/10(火) 16:17:13 ID:PUVSiQFe
こんなにワッフルするぐらい住人いたのかよw
今続きを書いてるから待っててね
551癒されたい名無しさん:2009/02/10(火) 20:10:07 ID:vp/Fb9ca
待ってます!ワッフルワッフル!
552癒されたい名無しさん:2009/02/11(水) 14:14:31 ID:ZZjyMEN1
ベルギーワッフル食べたい。
553癒されたい名無しさん:2009/02/11(水) 14:17:47 ID:zmKqa/3K
ついつい店屋にワッフル買いに走ってしまったじゃねーか。

というわけで、

ワッフルワッフル!
554癒されたい名無しさん:2009/02/11(水) 16:59:29 ID:gGjl1zAy
お久しぶりね
ワッフルワッフル
555癒されたい名無しさん:2009/02/11(水) 21:41:16 ID:vU1Sv3xV
ワッフルの羅列に吹いたw
ここの住人、本当に耳かきに飢えてるんだなー
そういう自分もだが

ワッフルワッフル!
556癒されたい名無しさん:2009/02/11(水) 23:16:19 ID:RcbxDfQS
ワッフルワッフル!
ヾ(゚ω゚)ノ゛
557癒されたい名無しさん:2009/02/11(水) 23:48:29 ID:fWIBeF5z
ワッフルワッフル!
しっとりしたのもカリカリしたのも大好きだ!!
558癒されたい名無しさん:2009/02/12(木) 19:45:27 ID:kuXf1Qnp
お前らどっから沸いて出てきた!

わっふるわっふる
559癒されたい名無しさん:2009/02/13(金) 00:17:09 ID:fYIyWnuI
何でもしますのでワッフルワッフル
560癒されたい名無しさん:2009/02/13(金) 02:00:00 ID:sU2IRzpn
期待わっふる
561癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 01:28:31 ID:WBH5jXaA
わっふるする奴なんなの?
過剰な期待はプレッシャーになるんだよ?
これだから匿名掲示板は!!
562癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 07:52:54 ID:8li8oFzg
なんだコイツ?
563癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 11:09:40 ID:ji5G4Ibl
私は引き出しからピンセットを取り出した。
ピンセット、といっても刺抜きや、毛抜きをする通常のものではない。
小さなものをしっかりと掴むために特化したプラモデル作成用のものだ。
先端が針のように尖っている。
先が細くなっているので耳穴にも入りやすい。
耳骨にへばりついたヤツを引きずり出してやるにはコイツしかない。
564癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 11:11:13 ID:ji5G4Ibl
ピンセットを慎重に入れていくのは、地底探検にも似ている。
奥へ奥へと行きながら、時折冷やっとした感覚が壁をなぞる。
私はその度に背筋を粟立てた。

――、辿り着いた。
同時に痒みの震源地がまたも暴れだしたが、
ピンセットでガリガリやってやるわけにはいかない。
調査の必要がない部分まで傷つけてしまう。
――あくまでも慎重に。…慎重に。
指をミリ単位で動かしながら、どこら辺をいじってやればいいか算段をつける。
震源地の上辺りを掠めた時、カリリッ! と乾いた音が洞内で響いた。
ここだ! そう確信して、キュッと掴んでやる。
565癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 11:11:29 ID:lxe9dPhh
耳骨って鼓膜突き破って中の器官穿るのか?
566癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 11:12:22 ID:ji5G4Ibl
そうしてゆっくりゆっくり引き剥がす作業が始まった。
ただ引き抜くだけでは獲物は尻尾をよこすだけで逃げてしまうだろう。
と、手を1ミリ程動かしてみると、そこを中心に周りが疼きだした。
どうやら皮一枚で繋がっているようだ。
何度も凶器を耳に運ぶ手間とリスクを考えると、このまま一気に取ってしまいたい。
……周りから少しずつ攻めてみよう。
そう考えた私は少し上移動をしたら、
耳の中で出来るだけピンセットを横移動を繰り返し行った。
567癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 11:13:25 ID:ji5G4Ibl
獲物が音を立てながら剥がれ、それにつれて掴める範囲が広がる。
1ミリ剥がれるごとにピリリと痒みが脳を刺激する。
いっそ耳かきかこのピンセットで掻き毟りたい衝動にかられる。
大丈夫だ、まだ焦るような時間じゃない。
自分に言い聞かせた。
痒みと戦いながら私は作業を続行した。
慎重に慎重を重ねながら獲物が途中で逃げる事ないようにガッチリとホールドする。
掴む、剥がす。痒い。掴む、剥がす。痒い! 掴む、剥がす……
そして――ペリペリペリッ、と小気味いい音を立てながら私はピンセットを一思いに引き抜いた。
568癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 11:15:05 ID:ji5G4Ibl
程よい痛みと痒みが同時に訪れ、耳の中を中心にじーんと気持ちよさが広がっていく。
こころなしか耳の中に風が入り込むようにすうすうする。
余韻に浸りながらもティッシュの上の獲物を確認する。
小さな赤黒いカサブタを中心に、黄色いものから半透明な皮まで、重なり合いながら
根っこのように広がっていた。
小指の爪程しかないのに、堂々と鎮座している様は圧巻である。
569癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 11:17:48 ID:ji5G4Ibl
時間が空いてごめんなさい。仕事が忙しくて時間がかかってしまいました

>>565
オウフw耳骨って耳の中の出っ張ってる部分だと思い込んでた。
ググったら違う部分w
調べないで書いてごめんなさい
570癒されたい名無しさん:2009/02/14(土) 14:16:51 ID:WBH5jXaA
乙でした。
うっとりしましたよ
571癒されたい名無しさん:2009/02/15(日) 17:23:34 ID:z6ayGRRk
乙。ぞくぞくした。
572癒されたい名無しさん:2009/02/15(日) 17:36:28 ID:ZgIXkEgb
乙でしたー。久しぶりの投稿嬉しいな。
>掴む、剥がす。痒い。掴む、剥がす。痒い! 掴む、剥がす……
ここが何か好きだ。
573ねこずきん:2009/02/16(月) 22:14:49 ID:s4ZPt2nl
おつみゃ!!
574癒されたい名無しさん:2009/02/17(火) 19:03:46 ID:NGt90B2k
大物を剥し取った後には
痒みの残るそこを耳掻きでカリカリする描写が欲しい!
さらにその後梵天でフワフワ…
575癒されたい名無しさん:2009/02/20(金) 20:38:13 ID:edXkiWsE
皆さんに喜んでもらえたようで何よりです
先日プラモ用のピンセットが逝ってしまわれたので…書いて良かった

>>574
さあ早くそれを文章にしてここに投下する作業に戻るんだ!
して下さい。想像してぞくぞくした
576癒されたい名無しさん:2009/02/26(木) 19:28:55 ID:5iuaRCuy
耳掻きがない。
確かここに置いた筈・・・と見回した机の上の惨状に、早々と捜索を諦めた私は
部屋着の上に丈の長いコートを着込み、近所のドラッグストアへ向かった。
(小さい店の割に、結構充実してる。・・・ついでに掃除用具も買ってくか。)
太い物、細い物、竹製、金属製、スパイラル式と、様々な耳掻きが並んでいる。
前の耳掻きは、コンビニで買った梵天付のノーマルな物だ。
(あれも悪くはなかったけど、少し太過ぎたかなぁ。)
耳の穴が狭いのか、普通の耳掻きでは入り口付近までしか掃除出来ない。
と言っても、生来不器用な為、奥まで耳掻きを入れる事などないのだが。
(・・・まぁ、やっぱり普通のにしておくか。)
そう思って、なくした耳掻きとさほど変わらない物を手に取る。
すると、その隣に並べられた、細い竹製の耳掻きが目に留まった。
(これで耳掻きしたら、メチャメチャ気持ち良いだろうなぁ・・・。)
(・・・どうせ外側と入り口しかやらないし、危なくないない。)
私は、先程手に取った耳掻きを棚に戻し、竹製耳掻きを持ってレジへ向かった。
577癒されたい名無しさん:2009/02/26(木) 19:31:32 ID:5iuaRCuy
アパートに戻り、早速新しい耳掻きを使ってみる。
まずは右から。カリカリ、コリコリ・・・と耳殻の窪みをなぞっていく。
(・・・あ・・・うん、良い・・・な。)
薄い匙の先で掻かれると、得も言われぬ快感が広がる。
前の耳掻きとは比べ物にならないくらい、鋭い掻き心地だ。
スー・・・カリ、カリ、スー、カリ、カリッ・・・・・・クリッ・・・
白っぽい粉状の耳垢が、匙一杯に盛られている。
(昨日もやったのに・・・こんなに取り残しがあったんだ。)
前の耳掻きでは撫で付けるばかりだった耳垢を、薄い匙がどんどん剥がしていく。
私はさらに、耳掻きを穴の中へと差し込んだ。刺激され、弱い痒みが生じる。
カリ、・・・カリッ・・・カリッ・・・カリッ・・・、カリカリッ・・・
(・・・ああ、気持ち良い・・・。力が抜ける・・・。)
カリッ、カリッ・・・コッ・・・コリッ・・・ペ・・・リッ!
何かが剥がれる感触。見ると、先程より大きな、薄い皮状の耳垢が載っている。
(お、大物!・・・って、痒いい!)
耳垢を剥がした箇所がピリピリと痒い。堪らずそこをバリバリ掻くと、さらに強い快感。
すっと耳掻きを抜くと、背筋が微かに震えた。
(・・・これは、気持ち良い・・・買って正解だったな。)
578癒されたい名無しさん:2009/02/26(木) 19:34:46 ID:5iuaRCuy
右側は終わり。次は左耳だ。・・・少し手に力が入る。私は左手が格別不器用なのだ。
ぎこちない手つきで、まずは外側をなぞる。
スッ・・・スッ、スー・・・カリッ・・・カリッ・・・カ、・・・
やはり気持ち良い。右より左の方が耳垢が溜まっている様だ。
こんもりと取れた耳垢を何度もティッシュに取りながら、やがて穴の中へ向かう。
カッ・・・カリ、・・・ザリ、ザ、ザ、ザ・・・ クリッ・・・カリ、ザ、ザ・・・ザリ・・・
耳の中には、さらに耳垢が溜まっている様だ。
(・・・左耳、今までは本当に入り口の所しかやってなかったんだな。)
柄の細い耳掻きは、少し角度を付けるだけで奥へと入り込み、耳垢を掻き出す。
(気持ち良い・・・でも、やっぱりちょっと危ないかもな・・・)
へばり付いた耳垢を剥がそうと、耳掻きを少し強めに押し付ける。その途端、
「!っ・・・・・・あ・・・」 グリッ!
579癒されたい名無しさん:2009/02/26(木) 19:35:46 ID:5iuaRCuy
耳掻きが、予想もしなかった奥のほうまで入り込み、耳壁を抉る。
ビリビリと電流のような刺激が背筋にはしる。
痛み・・・否、物凄い快感だ。頭の先まで痺れる様な・・・。
異物を感じ、耳掻きをそっと引き抜く。
ズル・・・と音を立てて出てきたのは、今まで見た事のないような巨大な耳垢だった。
濃い黄色、部分的に茶色く変色した大きな塊。
さらに、尻尾のようにくっついた1.5cmはありそうな薄く細長い耳垢。
「・・・すご・・・・・・。」
まじまじと見つめていると、またも掻き取った場所が疼く。
今度はゆっくりと慎重に耳掻きを入れていくと、痛みもなく先程の地点に到達した。
カリッ・・・カッ・・・コッ・・・カリカリ・・・、・・・クリッ・・・
今まで全く触れられてこなかった場所だ。大物を剥がしたときの刺激も相俟って
始めは何とも言えない、くすぐったい様な、奇妙な掻き心地だった。
しかし、取り残しの固くへばり付いた耳垢を取っていくうちに
それが何とも言えない気持ち良さへと変わっていく。
カ・・・カリカリ・・・サク、・・・カリッ・・・ガリッ・・・、カリ・・・カリ、・・・スー・・・
580癒されたい名無しさん:2009/02/26(木) 19:38:01 ID:5iuaRCuy
何時までもこうしていたい、という気持ちを抑えて耳掻きを終える。
急に風通しが良くなった所為かやっぱり痒い。それに何だかカサカサする。
(梵天・・・は付いてないんだなぁ。この耳掻き。)
と言うかあんな狭い所に梵天は入らないだろうしな。
化粧ポーチの中からメイク用の麺棒を取り出す。サイズも調度良さそうだ。
思い立って、何かで読んだ様に麺棒の先にシーブリーズを染み込ませる。
すっと差込み、クリクリと回転させると、痒みは嘘のように収まった。
(気持ち良かった・・・何だか左耳だけ聞こえやすくなった様な?)
さて右はどうしようか。一度にやってしまうのは勿体無い気も。
そんな事を思っていると、何だか右耳が痒くなってきた。
「・・・右耳ならもう少し奥までイケるかも・・・。」
麺棒をごみ箱に放り込み、私はもう一度細い竹製の耳掻きを手に取った。
581癒されたい名無しさん:2009/02/26(木) 19:38:59 ID:5iuaRCuy
こっそり投下。
薄い内容の割にやたら長文失礼!
582癒されたい名無しさん:2009/02/26(木) 22:14:47 ID:UgvYlEEw
乙!!!!!!
薄くないですよ。気持ちよかったです。
583癒されたい名無しさん:2009/02/27(金) 00:10:02 ID:ZVB1QA9W
乙カレー
寝る前にいいもの読ませてモロタ
584癒されたい名無しさん:2009/02/27(金) 00:13:16 ID:8uCGlncw
>>576-580
>グリッ!
が良かった。ハァハァ…
585癒されたい名無しさん:2009/02/27(金) 14:16:14 ID:HtpExkCy
イイ!乙でした!
586癒されたい名無しさん:2009/02/27(金) 15:31:49 ID:HaXeJtke
乙!淡々とした文章に引き込まれてしまいました。
なぜか途中まで男性だと思ってた。
587癒されたい名無しさん:2009/02/28(土) 11:04:45 ID:x1JigUV7
綿棒だろうな
麺棒が入ったら全然
>耳の穴が狭い
事にはならんw
588癒されたい名無しさん:2009/02/28(土) 21:21:14 ID:1Jn/FtBJ
たまーにいいのが投下されるからこのスレのチェックは欠かせんのだよwww
589癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 16:33:25 ID:b1nM80D6
そもそも小説投下されるの自体が「たまーに」なのに
こうやって自分では投下せずケチだけ付ける奴らがいるからますます過疎る
590癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 17:42:28 ID:JOrt1agV
一人で戦ってるアホ発見
そういうのがむしろ邪魔なんだよ
気づけ低能
591癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 18:11:37 ID:ZywNtNvo
えーっと、初耳かき話を書いてみたんですが、投下していいですかね?

つたない部分もあるかと思いますがよろしく。
592:2009/03/02(月) 18:12:59 ID:ZywNtNvo
参った。
すっかり迷子になってしまったようだ。
友人と円高の恩恵をあずかろうと台湾旅行に思い立っていきなりやってきたのはいいが
計画なんてほとんどたてなかったものでいき当たりばったりにふらふらしているうちに
はぐれてしまったらしい。
一応携帯も使えるように設定して持ってきたのだがホテルに忘れてきていた。
自分のバカバカバカ!!と頭を叩きたい気分である。
裏通りに行くのは怖いので賑やかな通りで探してはいるのだが・・・
戻ったほうがいいだろうか?とそろそろ疲れてきたころにその看板が目に入った。

「耳掃除」

表通りから伸びたわき道の建物の看板に確かにそう書いてある。
・・・実は私は耳掃除が大好きだ。
耳かきはさまざまな素材・太さで10本は持っているし、旅行先でも耳かきを買って来るのが
自分の中の決まりとなっているくらいである。
そんなわけでその文字がつい目に入ってきたのかもしれない。
最近日本でも耳掃除をしてくれる店が増えてきてはいるのだが、いかんせんアルバイトの
お姉ちゃんだったりしてヘビー耳かき人の自分などは「も・・もっと奥まで・・・!」と
逆にフラストレーションがたまってしまうのだった。

という思考は今こうやって書いてる時点だから思い出していることであって
そのときは看板を見つけた瞬間ふらふらと足はその看板に向かっていた。
表通りから少し入っただけなのに一気に静かになるわき道。
中華風の装飾の窓の横に赤いドアがあり、ここが耳掃除屋の入り口だった。
593:2009/03/02(月) 18:13:52 ID:ZywNtNvo
「こんにちは〜」

日本語で挨拶しながらそーっとドアをあけると50代くらいの親父が爪を切っていた。
(ほんとにやってんのかいな?)
そう思いながらゼスチャーで耳を指しながら「やってくれ」と頼むと、親父は
「まかせろ!」みたいなことをペラペラと話し、奥の椅子に案内してくれた。
(非常にあやしい・・・)
とは思ったのだが台湾とか香港で耳かきをしてもらう映像をネットなどで見ていたため
期待度は高まる。

やや薄暗い部屋で美容院のシャンプー用の椅子のようだがそれよりもっと簡単なつくりの椅子に
座らされると親父は耳元にライトを当て、さらに自分にも洞窟探検用のようなヘッドライトを
装着した。
耳たぶを何度かくいっくいっと引っ張られちょうどいい角度になったのか、耳かきが始まる。
耳の外側の溝を非常に軽いタッチでなぞるように細めの耳かきが行ったり来たりし
徐々に緊張感が取れていく。
(・・・これは当たりかもしれない)
親父のテクニックは見た目を裏切り(失礼)繊細だ。
耳の外側の溝の中でもくるっとなっていて一番耳カスがたまりやすいところでは上手く匙を
くるっとまわして刺激される。
気持ちいい。
耳全体を細い耳かきの匙が長いストロークでスーッスーッと掻かれていくうちに
とろーんとしてきた。
594:2009/03/02(月) 18:14:50 ID:ZywNtNvo
スーッスーッ カリカリカリ スーッスーッ

耳かきの匙の先端の部分が皮膚に触れている程度でなぞっていく。
耳の穴では自分でやってもほへ〜となることはあるが、耳の外側だけでここまでほへ〜とは
なれない。
時折耳たぶや耳の裏側も耳かきの匙がスイスイとなぞって行く。
思わぬ感覚に体中の力が抜けていくようだった。

しばらく(と言っても2〜3分だったかもしれないが)自分の中では長く感じるほど
耳の外側をやったあと、いよいよ内部に匙が入ってきた。
入り口の部分を細かくカリカリカリ・・・とごく軽く掻いて「う〜もっと強く掻いて〜!」と
なったところでタイミングよくやや強い力でカリッと掻いてくれる。

カリカリカリ・・・カリッ
カリカリカリ・・・カリッ

耳毛のはえた部分では
コショコショコショ・・・カリッ
ガサガサガサ・・・カリッ
っといった感じである。
くすぐったさとむず痒さのあとにくる快感が・・・ああ・・・

もうここまでの時点で親父がテクニシャンであるとは完全に認めていた。
うっかりしたら抱かれてもいいという心理状況である。
とにかく力の入れ加減が絶妙で耳に全神経が行ってしまい、他人には見せられない
顔になってしまっていることだろう。
595:2009/03/02(月) 18:15:51 ID:ZywNtNvo
入り口あたりをあらかた掻き終わると匙は徐々に耳の奥地へと進んで行った。
一番自分でいつもやってしまう耳穴から1cm〜2cmのあたりである。
先ほどと同じように軽いタッチで数回カリカリカリ・・・とやったあとに強めに掻く。
自分は普段結構ガリガリやってしまうほうなのでもうちょっと強めでもいいかなと
思いつつも痛みの一切ない快感のみの耳かきに溺れていく。

カリカリカリ・・・カリッ
コシコシコシ・・・
スーッ・・カリカリカリ・・・

目はとろ〜ん、体は弛緩しまくりである。

徐々に徐々に、ゆっくりとゆっくりと奥へと匙は進んでいく。
自分でやるときの最奥と言える場所に匙がたどり着いたとき、感触が変わった。

コリッ!

明らかに固形の感触である。
親父もそれは感じたらしく、耳たぶをやや引張り気味に穴の中を覗き込む。
スッと耳かきを抜いて別の耳かきに持ち替えた。
先ほどのも相当細い耳かきだったが(自分の持ってる中で最細の「匠の技」と同じくらいだった)
今度のはさらに匙が薄く幅も細いもののようである。

耳垢のふちを探し当てると小刻みに押すようにはがしている。

カリカリカリ・・・カリカリ・・・クッ・・クッ・・・
カリカリ・・・コリコリ・・・グッ・・・グッ・・
パリッ・・・クッ・・・クッ・・・

バリッ!!
596:2009/03/02(月) 18:16:30 ID:ZywNtNvo
・・・!
はがれた、という感覚があった。
はがれた瞬間はひっと思ったがすぐに風通しの良くなったような、すっきりしたような感覚を
耳に感じる。
(あんな奥のは自分じゃ攻められなかったなぁ・・・)
と心の中で思った。

ズズズズ〜といった感じで少しづつ引っ張るようにしてその固形の大物は出てきた。
親父はそれを手の甲に乗せ、「どーだ!」といった顔で見せてくる。
こげ茶の塊である・・・。
しばらくこんな大物にはお目にかかっていない。粉ばっかりだった。
やっぱりプロは違うなぁと感心し、やや意識がはっきりしたようだった。

落ち着くとまた、耳かきが再開された。
いきなり奥に入れず、中ほどからはじめてくれる心遣いがニクイ。
先ほどの大物の取れたあとが外気に晒されて痒かったのでそこを匙でこすられると
チリッとした快感で〜〜〜〜んん〜〜〜みたいな声が出そうになって焦る。

コリコリコリ・・・
スーッカリカリ・・スーッカリカリ

カサッ・・・ツーッ
コリッ・・カリカリ・・・
597:2009/03/02(月) 18:17:07 ID:ZywNtNvo
・・・ほとんど放心状態になっているところで耳かきがスッと離れた。
(・・・終わりかぁ・・・・)
とボーっと思っていると耳にポワンとしたものが触れた。
梵天だった。
くるりと回転させながら梵天が耳の穴に入ってくる。
極限まで敏感になった耳の中でそれは右に回転したり左に回転しながらあっという間に
最深部までとどいてしまったようだ。
鼓膜をなでるほどに入った水鳥の羽毛が一番のスイートスポットをなで上げる。
直に鼓膜をなでるものだからガサガサッと大きな音が頭に伝わるのだが、それ以上に・・・

脳みそを雷が走ったような快感。
し・・・しびれる!

声は出ないものの口は知らず知らずのうちに半開きになってしまう。
くるりくるりと梵天がゆっくり回転するたびに真っ白になるような快感が耳から脳みそに
伝わってくる。

くるりくるり。くるりくるり。

微妙に角度を変えながら、左回転と右回転を変えながら耳の中で梵天がまわる。
そのたびにゾゾゾゾともザザザザとも言えない音と共に快感が広がっていく。

くるりくるり。くるりくるり。

次第に回転しながら梵天が耳の入り口から奥まで出たり入ったりするようになった。
これもまた、ものすごい快感。
(は・・・はぁぁぁ・・・)
初めから、この快感はすごいぞと思っていると次に更なる快感がきて、これ以上はもう
ないだろうと思うとまたそれを上回る快感がやってくる。
こんなに快感の嵐に晒されたのは初めての経験かもしれなかった。
知らず知らずのうちによだれが垂れていたのに、その時は気づかなかった程である。
598:2009/03/02(月) 18:17:59 ID:ZywNtNvo
そんな桃源郷を味わっていると梵天がゆっくりと耳から抜かれた。
(もっと・・・もっと!)
もう梵天は入ってないはずなのに、耳の奥のほうにはまだ快感の余韻が残る。
しかし終わりのときは来てしまった。
最後に耳の外側を梵天を巧みに使ってポンポンポンとはたき(これも気持ちよい)細かい
カスをはらったところで、親父が肩に手を置いて「終わりだ」という合図をした。
「こんなに取れたぞ」とティッシュに集められた耳カスを指差す。
そこには先ほど収穫された自分でやったのでは到底お目にかかれないような大物のブツが載っていた。
大物とはいっても、普段やっているだけあって他人と比べたら小さそうだが、自分としては
取れた物よりも耳かき店の内容に十分すぎるほど満足していた。

500元(日本円で1400円程度)と、若干ボラれたかなぁと思ったが値切る気もなくそのまま
払って店を出た。
この気持ちよさでこの値段・・・台湾は天国だと思ったが、そのままフラフラとホテルに
帰ったためまたあの店を見つけられる自信がないのが悔やまれる。

その後、台湾式シャンプーでまたも軽く桃源郷に行ってしまったのだが、その話はまた、後日。


                    (終わり)
599癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 18:53:32 ID:XZbaadoK
ぐっじょぉぉぉぶうっっっっっ!
いいねぇ、読んでるだけでウットリしたよw
台湾式シャンプーの話も読みたいので、↓に投下して欲しい
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/healing/1177160318/l50
600癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 18:56:02 ID:XZbaadoK
あ、このスレって耳掻き以外でも癒し小説ならおkなんだっけ
勘違いしてた<<599
じゃ、ここでまたよろしくお願いします〜
601癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 18:57:48 ID:YYAXWoPH
>>592
GJ!!!!
シャンプー話も宜しく
602癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 19:51:52 ID:uxtvTsKl
た、たまらない〜〜
これはもしかすると自分の中ではNo.1かもしれないです!
ぼんてんいいよねー!
603癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 20:51:12 ID:ZywNtNvo
>>591です。
とりあえず良かった良かったw安心しました。
コメくれた人ありがとう!!

ちなみに「こんな店あればいいな〜」という願望なので台湾に行っても
こういう店があるか、わかりませんw(たぶんない)

シャンプー話はなんとか近いうち書いてみようと思います。
604癒されたい名無しさん:2009/03/02(月) 23:27:03 ID:fPJ3vR2r
乙です!桃源郷味わいました!!
シャンプーも気長に待ってます
最近、耳かき小説が多いから幸せだ〜
605癒されたい名無しさん:2009/03/03(火) 00:31:29 ID:1yGbTjlM
今日は耳の日です。
606癒されたい名無しさん:2009/03/03(火) 00:39:00 ID:BmSmCGNu
栗奴っこの人wなにあれwww
607癒されたい名無しさん:2009/03/03(火) 17:04:04 ID:rReVriNF
>>591
普段は梵天使わないんだが、YOUの描写は俺の耳穴にクリティカル
参りました

蛇足だけど
>>589みたいな人は、まあこの手の提供者・被提供者がはっきり別れてるスレにはよくいるんだけども
そういう垣根はここでは作らなくてもいいんじゃねと思うのね、癒し的に考えて
というか、書き手としてはなんか変なところあったら普通に指摘とか欲しいんじゃよってお話です
608癒されたい名無しさん:2009/03/03(火) 18:48:31 ID:ryUdv0zf
村上春樹のノルウェーの森の中の、草原のクマがどうのこうのっていう比喩のくだりは、完全にブローティガンの比喩構造のパクリだからねえ。

パン屋再襲撃なんていう短編集の比喩構造もブローティガンの亜種
609癒されたい名無しさん:2009/03/03(火) 20:50:52 ID:BmSmCGNu
このスレのファンは案外多い気がする
しっかし久しぶりに遡って全読みしたんだが、あらためていいスレだよなぁ
2chにもまだこんないいスレがあるんだなって嬉しい気分になる
ここの作家さんみなで本出したら結構売れると思うんだが
全国の耳かきファンの為に、どっかの出版社動かんかね〜
そういえば今日は耳の日だ!
つーことで夢花火さん、自分はまだ待ってるんやで!
まさか本物の作家になったりしとらんわなぁ
610癒されたい名無しさん:2009/03/03(火) 21:25:37 ID:A8+PFGFP
>608
なんでも2ちゃんのノリではしゃいでパクリパクリ言ってると、
いずれまともな場で恥かくよ?
611癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 00:04:06 ID:BdkgsISs
台湾の耳掃除屋さんで思い出したのですが、
「耳腔清理専家 姚賓」というところが今もあるのかなぁ
生活板の耳スレで知ったのですが、
行ってみたい・・・!
612コピペ:2009/03/04(水) 00:06:47 ID:BdkgsISs
70 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:03/10/08 22:55 ID:11DvqA7M
Part2で台湾の耳掃除屋「耳腔清理専家 姚賓」の話をした者です。
念願かなって、先月ようやくその耳掃除屋に行くことができました。

まず場所ですが、台北市康定路47號1樓となってました。移転したようです。
そのビルの1階にあります。細い入り口を入り、管理人がいる場所のすぐ裏です。

最寄りの駅は西門ですが、駅からは結構歩きます。タワレコのある通りをひたす
ら歩き、康定路まできたら小学校にそって左折、その後500mくらい歩いた左手に
あります。華麗大飯店の先で、ビルの入り口に番地が書いてあるのでわかるかな
と思います。営業時間は午前9:00-12:00と午後2:00-6:00です。

さっそく中に入ってみると、受付もなくいきなり待合室があります。
私が行ったときはすでに治療(?)中の人がいたようで、待っている人も一人いま
した。とくに名前を書いたりするものもないようで、来た順に前の人が終わり次
第治療室に入っていくようです。待ってるときに治療室からなにやら興奮した歓
声が上がったりするので、ほんとわくわくしながら待っていたのですが、思った
よりもかなり待たされました。30分くらいですかね。待合室にはテレビと雑誌が
あるので、退屈はしないと思います。
613コピペ:2009/03/04(水) 00:07:22 ID:BdkgsISs
70 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:03/10/08 22:55 ID:11DvqA7M
Part2で台湾の耳掃除屋「耳腔清理専家 姚賓」の話をした者です。
念願かなって、先月ようやくその耳掃除屋に行くことができました。

まず場所ですが、台北市康定路47號1樓となってました。移転したようです。
そのビルの1階にあります。細い入り口を入り、管理人がいる場所のすぐ裏です。

最寄りの駅は西門ですが、駅からは結構歩きます。タワレコのある通りをひたす
ら歩き、康定路まできたら小学校にそって左折、その後500mくらい歩いた左手に
あります。華麗大飯店の先で、ビルの入り口に番地が書いてあるのでわかるかな
と思います。営業時間は午前9:00-12:00と午後2:00-6:00です。

さっそく中に入ってみると、受付もなくいきなり待合室があります。
私が行ったときはすでに治療(?)中の人がいたようで、待っている人も一人いま
した。とくに名前を書いたりするものもないようで、来た順に前の人が終わり次
第治療室に入っていくようです。待ってるときに治療室からなにやら興奮した歓
声が上がったりするので、ほんとわくわくしながら待っていたのですが、思った
よりもかなり待たされました。30分くらいですかね。待合室にはテレビと雑誌が
あるので、退屈はしないと思います。
614コピペ:2009/03/04(水) 00:08:16 ID:BdkgsISs
ようやく自分の番が来て中にはいると、小柄なおじいちゃんが一人いるだけで、
あとは普通の病院にあるような治療台が置いてあります。コースとかとくにある
わけでもなく、おじいちゃんも片言の日本語はしゃべれるようで、入るとすぐに
「すわって」と言われて治療台に座り横になりました。

耳掃除はピンセットと細い棒だけで行われます。まず、いきなり細い棒を耳の中
につっこまれました。ゴリゴリゴリと穴の周りを掻いてる音が聞こえますが、ま
るで耳毛を剃ってもらっているかのような感覚です。痛みは全然ありません。正
直なところ、みなさんも含めて耳掃除マニアなら「ふだんから取りまくってるか
ら、おじいちゃんをがっかりさせちゃうな〜」とか思ってしまうはずです。それ
が、一瞬にして信じられない世界を見せてくれました!! ゴリゴリゴリのあとに
ピンセットを入れ、キュキュキュキュと何か詰まった物を吸い出すかのように取
り出す音が聞こえるんです。その次の瞬間、ズポッ!となにか心地よい音がしま
した。ビン牛乳のふたを剥がすようなイメージに近いです。それと同時に、おじ
いちゃんが「とれた〜」と一言。も、もしかして…と思って見せてもらうと、な
んとも信じられないほどのデカさの耳垢が出てきました。大きさとしては手の小
指の爪くらいでしょうか。色はいつも取れる物と同じでしたが、なにやら年期が
違う物を感じます。耳毛を剃っているように感じたのは、まさに薄皮を剥がして
いたんでしょう。
615コピペ:2009/03/04(水) 00:09:02 ID:BdkgsISs
私も思わず「え゛え゛え゛ーーー」と大声を出してしまい、笑いと興奮が止まり
ませんでした。しかも、その1回だけでなく、なんどもなんども棒で耳の中に奥
深く入れてゴリゴリしては、ピンセットでズポズポと抜き出します。毎回毎回で
かいのがでるたびに見せてくれるので、私もそのたびに意味不明な歓声を上げ、
なんとも言えない気分になりました。「たくさんあるね〜」とおじいちゃんもう
れしそうです。もうこのままずっと耳掃除してほしい…やめないで…そんな気分
です。後半になるとゴリゴリではなく、コソコソという感じになります。ほとん
どピンセットでの作業です。おそらく、奥の方に残っている物を掻きだしている
のでしょう。なんか白い耳垢まで出てきました(笑)

ひとつ気づいたのは、自分では鼓膜直前まで掃除していたのが、実はまだまだ手
前だったのかなと言うことです。さすがに鼓膜直前ではちょっと痛みも感じまし
たが、終了後ちゃんと消毒とかもしてくれるので安心です
616コピペ:2009/03/04(水) 00:09:50 ID:BdkgsISs
時間にして15分くらいでしょうか。いやー、ほんとビックリしました。ぜひ弟子
入りしてこの技をマスターしたいくらいです。ほんとに耳垢なのかな?という不
安もちょっとあるくらい取れまくります。最後に取った物は見せてくれるんです
が、ふだん耳掃除に関心のない友人よりも私の方が大量に発掘されたようです。
写真に収めて、できれば持ち帰りたかったのですが、ビニール袋とか持っていな
かったのでバッグの中で散らばるおそれもあり断念しました。またの機会に(笑)

肝心の値段ですが、ちょっとこれが高めで800元です。日本円にすると3000円弱
とたいしたことないかもしれませんが、台湾ではこの値段で足つぼマッサージ1
時間くらいは出来ちゃうことを考えると、微妙なお値段です。でも、それなりの
体験はできるので、私としては500元+チップくらいの気持ちで十分納得できまし
た。また耳皮が再生した頃にでも行こうかなと思います(笑)
617癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 00:12:06 ID:BdkgsISs
コピペな上にエラーで>>613重複ごめんなさい
こんなに耳垢が取れたらいいだろうなぁ
618癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 08:16:26 ID:To8rK580
>>609
最近はネットで公開されてた小説が書籍化されるってのも、そう珍しい話ではなくなってきてるからね
自信のある人はもっと人目の多い投稿サイトで腕試しとかして良いかもなあ
今でこそこんな僻地で細々とやってるマイナージャンルにしか過ぎない訳だけど、そういう所から意外と伸びるかもわからんし

まぁ希望的観測っちゅーか普通に夢物語だけどね……
619癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 08:31:04 ID:Qx0WF5NJ
最近の2〜3作につくレス数から考えると5人程度、書き込まない人がいたとしても
10人前後しか見てないのかも。。と思うともったいないよね。
620癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 09:52:21 ID:DbsfmeIF
このスレに以前話を投下した者ですが、レスがあるととても嬉しかったです。
作品投下スレなので、感想のみのレスを控えておられる方もいるのでしょう。
ただ私自身はお褒めの言葉や提言など何かしらご意見を頂けるだけで
「読んで頂けたんだ!」とありがたかったです。
621癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 10:49:45 ID:kJspnDjN
狙って牽制嫌味する奴が一番要らないって事だ
622癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 16:26:44 ID:VQ5YKrkn
書き込む人一人に対して30人ROMがいるとか聞いたことあるな
623癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 17:47:29 ID:SM9uxW+V
覗いたら点呼とってたw
ここにもちゃんと読者いますよノシ
624癒されたい名無しさん:2009/03/04(水) 19:36:43 ID:To8rK580
点呼とってる訳ではないと思うんだがどうだろう
まぁアレだ、読み手はなるべく感想を入れる事で存在を主張してやってください
書き手ってのは感想をもらえないと寂しくて死んじゃうナマモノなんだぜ
625癒されたい名無しさん:2009/03/06(金) 00:08:45 ID:4fbO6JtZ
最近小説がたくさんうpされてるのでうれしい限りです。
一日の締めくくりにここで見て癒されて寝ています。
626癒されたい名無しさん:2009/03/07(土) 00:46:24 ID:UqWtmRn7
定期的に見に来てますが、読者は相当多いでしょ。
感想で埋まっちゃうのがもったいないスレだと思うんだが。
ということで台湾シャンプーを早く・・
627癒されたい名無しさん:2009/03/07(土) 02:33:34 ID:TePvowsp
いやシャンプーなら相応しいスレあるじゃん
628癒されたい名無しさん:2009/03/07(土) 02:54:52 ID:zicJS4Yz
>>609
耳かき小説出版はすごく良いが、ただ正直書店で買いづらいのが難点
だからこそこういったスレに需要があるのだと思う
629癒されたい名無しさん:2009/03/07(土) 15:53:46 ID:pr7+lGxg
>>627
>>1
630癒されたい名無しさん:2009/03/07(土) 18:46:56 ID:x/eYKC6n
麺棒を耳につっこんで「メンボウ!」とか言いながらマンボウを踊ってたら
ズルっと足を滑らせて鼓膜を破ってしまった…(;´・ω・`)
631癒されたい名無しさん:2009/03/07(土) 19:07:54 ID:2WsKpKOr
>>630
大丈夫?
632癒されたい名無しさん:2009/03/07(土) 19:38:58 ID:89HztlUQ
それどこかで見たな
633癒されたい名無しさん:2009/03/08(日) 00:45:05 ID:ddUUJqnU
どうも、前回「秋風」を書かせていただいたものです。
読み返してみるとホントに酷いもんなんですが、
なんだか続編が書きたくてたまらなくなってしまったのです。
とりあえず無責任にも冒頭だけ書いてみたのですが…
生暖かく見守っていただけたらうれしいです。
634癒されたい名無しさん:2009/03/08(日) 00:45:46 ID:ddUUJqnU
こお、という湯沸しの音が徐々に大きくなる。
まだ冬の寒さを感じる部屋に金属の匂いを含んだ蒸気が広がる。
コーヒーを淹れなおそうと立ち上がった私の手から
小さなカップが滑るように転がり落ちた。
カチャリとごく控えめな音を立て、黒い液体が床に広がる。
それに反して私の視界は白く狭くなってゆき、
私はぎりぎりのところで一歩先のソファに倒れこんだ。
茶色の塗料が擦り切れてオレンジがかった古い合皮が頬にひやりと当たる。
強烈な眠気にも似た圧倒的な力に意識が閉じてゆくのを感じる。
…んせい、せんせい?…先生?
誰かが私の顔を覗き込んで呼んでいる。
顔にマフラーのふさが触れる。
冷たい、細い手が額に当てられる。
「大変。先生、熱が」
聞き覚えのある声。薄目を開ける。…櫻井?
同時に強烈な吐き気に襲われる。
やっとのことで洗面台のところへ行き吐いていると
彼女は私の背中をゆっくりとさすった。
…どうして?引越ししたんじゃなかったのか…?
ソファへ戻って座り込むと、彼女はあの時のままの丸椅子を
引っ張って座り、少し微笑んでこう言った。

「ただいま、先生」


       ― 春 風 ―
635癒されたい名無しさん:2009/03/08(日) 01:01:41 ID:f8j/tjed
耳掃除描写も物語もたまんねえのが帰ってキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
636癒されたい名無しさん:2009/03/08(日) 08:44:59 ID:yKVN5iCt
早く続きが読みたいに5000000ワッフル
637癒されたい名無しさん:2009/03/09(月) 21:20:28 ID:cMdz//IV
お帰りなさい!!
続編ものんびり見守りたいです
638癒されたい名無しさん:2009/03/09(月) 23:08:23 ID:yhxn7yV/
金を出してでも続きを読みたいのはオレだけではないハズw

おかえりなさいませ。
639雨の日の午後〜カオルとケイ:2009/03/10(火) 02:57:37 ID:gcOSqUAM
「カオルちゃん、ちょっと奥が見えずらいの。光の入りやすい位置に動いてもらえたら嬉しいのだけど…」
「こうですか、先輩」
私立マルガーシュハート高校の憧れの先輩、嵐山ケイに言われ、その後輩、大河カオルはすっかり恐縮していた。
いま、カオルの頬にはケイの太ももが当たっている。
まるでパンナコッタのように柔らかく、焼きたてのパンのように暖かで、シルクのような滑らかな肌触りを感じながら、京子は息を止めて全身を緊張させた。

なぜ、こんな事になってしまったのか。カオルは今日一日を思い返してみた。
部活の練習中に雨に降られ、「部屋でシャワーを浴びていきなさいな」のお言葉に甘えてしまったのが始まりだった。
バスタオルを借りて、それで髪を拭いていたらポットを持ったケイが入ってきた。
制服をハンガーにかけてジャージでくつろいでいた。
暖かな紅茶を入れてもらい、チョコをつまみながら二人で飲んだ。
冷えた身体もすっかり温まり、穏やかな時間だけが過ぎていく。雨が窓をシトシト打つ音が心地よい。
ふと、何気なくカオルは耳に手を当てた。
実は一週間ほど前から耳の奥でバリバリと音がしていて、それがどうにも居心地悪く、気になっていたのだ。
今も先輩の話に頷いた拍子に、耳の中でバリッと音がした。
小指をつっこみ、かき回してみる。当然、取れない。カオルの指は耳の穴より太い。
と、いうか大抵の人間は太くて当たり前。指で鼓膜付近をこすれるわけがない。
それを見て、ケイが声をかけたのだ。
「どうしたの?さっきからずいぶん耳を気にしてるみたいだけど…」
「あ!いえいえっ!なんでもないんですっ。ちょっと前から耳の奥でなんか音がするみたいで…髪の毛でも入ったのかなぁ。
 アタシ、不器用だから耳掃除とかうまくできないんですよー」
「そう、ちょっと見てあげようか?」
そういいながら、ケイはベッドに腰掛、スカートをたくし上げると太ももを『ここ、ここ↓』という風に指差した。
「……え???」
640雨の日の午後〜カオルとケイ:2009/03/10(火) 02:58:08 ID:gcOSqUAM
む。
駄目だな…。
なんか面白くない…。
641雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/10(火) 03:00:45 ID:gcOSqUAM
「おい、ヤス!耳の中が見えねえぞ!ビビッてんじゃねえ、シャキっとせんかっ!」
「オッス!先輩!」
私立鍋島高校応援団団長である嵐山紘一に怒鳴られ、その後輩であるところの大河安寅はすっかり恐縮していた。
安寅の頬には紘一の太ももが当たっている。
まるでパンパンの空気を入れすぎた浮き輪のように硬く、吉野家の牛丼ツユダクの丼くらいに熱く、
南アルプス山脈のような起伏に富んだ大腿筋を感じながら安寅は息を止めて全身を緊張させた。

なぜ、こんな事になってしまったのか。安寅は今日一日を思い返してみた。
野球部の応援の帰りに雨に降られ、先輩の下宿にお邪魔したのが始まりだった。
風呂なしトイレ共同の6畳間でタオルを受け取り、びしょ濡れの制服を脱ぎ、身体を拭く。
制服をハンガーにかけ、くつろいでいた。
紘一の「腹が減ったな」の一言で大鍋で徳用袋麺を5パック作り、二人で食べた。
その後、腹もくちたと今日の野球部の試合結果と応援について、二人で話している時の事だった。
何気なく、安寅は耳に手を当てた。
実は一週間ほど前から耳の奥でバリバリと音がしていて、それがどうにも居心地悪く、気になっていたのだ。
今も先輩の話に頷いた拍子に、耳の中でバリッと音がした。
小指をつっこみ、かき回してみる。当然、取れない。安寅の指は耳の穴より太い。
と、いうか大抵の人間は太くて当たり前。指で鼓膜付近をこすれるわけがない。
それを見て、紘一が声をかけたのだ。
「どうした、ヤス。耳に水でも入ったか?」
「あ、いえ!オッス、先輩!お恥ずかしい話なのですが、実は数日前から耳垢が溜まってるようでして、耳の奥で音がするんです」
「どれ、見せてみろ!」
そういいながら、紘一は万年布団の上に胡坐を掻いて、太ももを『ここ、ここ↓』という風に指差した。
「……え???」
642雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/10(火) 03:03:33 ID:gcOSqUAM
応援団における先輩後輩の力関係は絶対だ。一年である安寅が団長に命令されて、断れるわけがない。
かくして、戸惑いながらも紘一の太ももに頭を乗せた安寅の意識は一行目に飛ぶのであった。
緊張で固まった安寅の頭を無遠慮に掴むと、紘一はグリグリと動かした。
頬に熱く、湿った紘一の太ももが擦られ、生えかけの脛毛がザリザリと音を鳴らす。
「よくみえねえなぁ……」
「…………」
ちなみに、紘一はいま褌一枚、安寅はブリーフ一丁である。
目の前一杯に広がる紘一のモッコリした真っ白い褌を見ながら、安寅は今更ながらに『逆を向いて頭を乗せればよかった』と後悔し始めていた。
褌から立ち上る男臭い雄汗の匂いに安寅はクラクラしながら、紘一のされるがままになっている。
「奥にでっけえのがこびりついてんな…。それ以上にこれ、詰まりすぎだろ…。よし、俺がとってやる!」
そう一方的に宣言すると、紘一は手を伸ばしてちゃぶ台の上にあるペン立から耳掻きを一本、取り上げた。
無造作に耳につっこもうとする紘一にビビりながら、安寅はおずおずと声を上げた。
「あの、先輩……先輩にそんなことさせちゃ、悪いっすよ!俺の耳は帰ってから自分でやりますから……」
「駄目だ!お前、一週間も音がするって言ってたじゃねえか!このまま返してもどうせ面倒で掃除しねえだろう!」
残念ながら、図星だった。そもそも、先輩にここまで強く言われては安寅も逆らえない。
しつこいようだが、先輩後輩の上下関係は絶対なのだ。
「それじゃ、おめえの耳をじっくりと掘ってやるからな……なあに、痛くはしねえよ」
そう宣言すると、紘一は安寅の耳に耳かきをつっこんだ。
「…………」
安寅の耳の中でボリボリゴゾリという音が響く。
紘一の耳かき使いは、一見、無造作でありながらも驚くほど繊細だった。
「おめえ、本当に耳掃除してねえんだな……」
ポツリ、と紘一がもらすと、耳かきが耳から引き抜かれる感覚がした。
「ほら!みてみろ」
「うおお!」
目の前に差し出された匙の上にはコンモリと耳垢が山盛りに積まれていた。
薄黄色で、モロモロしていて、上半分はしっとりと湿っている。
まるで、フライを作った後にパッドにこびりついた卵黄と小麦粉の混ざった衣の元のようだ。
「よし、続けるから動くなよ…」
そういうと、紘一はまた耳に耳かきをつっこんだ。
二度、三度。
そうして耳かきが出たり入ったりして、掻き回される。
そのたびに耳壁を耐え難い痒みが襲うが、安寅は健気にも身動きひとつせずに耐えていた。
その鼻息は、とても荒かったが。
やがて、詰まっていた入口部分はあらかた取り終えたのか、耳かきは今度は耳壁を擦りつける動きに変わった。

ゴリ、ゴリ、ゴリ……

少し強めに耳壁に耳かきが押し付けられる。
まるで削ぎ落とすような動きで、安寅は少し痛みを感じたが、その痛みさえも気持ちがよかった。
今まで痒くてたまらなかった耳の中を思いっきり引っかかれるのだ。気持ちよくないはずがなかった。
643癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 03:07:11 ID:KQH/xV22
百合かBLかハッキリせい!こちとら耳に棒突っ込んで待ってんだ!
644雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/10(火) 03:10:08 ID:gcOSqUAM

ゴリゴリ、ゴリゴリ…ベリリ…メリッ

時々、耳の壁から垢がはがれるベリベリ、メリメリという音が混ざる。
その音がするたびに、目の前の桜紙に耳かきがトントンと落とされ、匙から薄黄色の粉と、薄いカサブタのようなガチガチの『膜耳垢』が盛られる。

※注:膜耳垢→薄いパリパリの膜になった耳垢の事である

あまりの気持ちよさに、安寅の全身はいつしか弛緩していた。
口から涎が際限なく垂れていくのを止めることができない。

「ヤス、ちょっと奥のほうやるぞ」

「………ッッッ!!」

その宣言と共に、耳かきはさらに深く差し込まれる。
鼓膜付近の……かなり深い……方向は頭の上の部分、斜め上の部分だろうか。
がさつな安寅の耳掃除では、今まで一度も触れたことさえない場所だった。
その処女壁とも言うべき部分に触れられた瞬間、安寅は違和感を覚えた。今までとどうにも様子が違う。
耳かきが触れているはずの部分からカチカチと音がする。
だが、直接触れている感触がしないのだ。

「こりゃかてえ!ガッチガチに固まってやがるな……おい、ヤス。痛かったら……俺の太もも叩け」

そういうと、紘一はカリカリとその部分を擦り始めた。

カリカリ…カリカリカリリ…カリカリ…ガリッ

「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」

突然襲ってきた鋭い痛みに、安寅は紘一の太ももを握り締め、ついでパチパチと叩く。

「おっ、すまんすまん!痛かったか!大物を前に焦りすぎたみてえだなぁ」

申し訳なさそうに紘一は言うと、ペコリと頭を下げる。
そうして、今度はちゃぶ台の上からかなり細めの麺棒を取り上げた。

「ちょっとふやかすからな。今度は痛くないはずだ」

麺棒の先をローションに浸すと、安寅の耳に突っ込む。
思いがけない痛みに身構えた安寅の耳に、ぬるり、とした感触が広がり、続いてゾワゾワした感触が耳を襲う。
どうやら麺棒を耳の中で回転させているらしい。

ザリザリザリ…キュコキュコキュコ…パキキ…キュコッ

なんとも不思議な音が耳の中に広がる。
そうして、濡れた麺棒で鼓膜付近を拭われるのはとても気持ちがよかった。
耳の奥に響くザリザリと言う音を聞きながら、安寅は全身が溶けていくような感覚を味わっていた。
これ以上ないほど耳の近くで、内部で音がする。なのに、それがとても遠い。


「どうだ?ヤス、気持ちいいか?」

紘一の声にさえ応えることができない。
とても不思議な感覚だった。
今、安寅の世界にあるのは、耳に広がる濡れた麺棒の回転する感触と音、目の前に広がる白い御稲荷さんと、そこから立ち上る雄の匂いだけだった!
身体は確かに存在する。
なのに、脳がそれ以外の情報を受け取ろうとしない…自分が脳だけになったような、そんな禅の境地にも似た感覚に感動していた。

「よっし、へっへ…ずいぶんとふやけてドロドロになったみてえじゃねえか…。これだけこなれれば、多少はキツく掘っても平気だろう」
645雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/10(火) 03:10:44 ID:gcOSqUAM
秋田。
646癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 03:13:48 ID:KQH/xV22
        ∧∧
       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
    、ハ,,、  ̄
     ̄
まぁ乙
647癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 10:42:57 ID:aSgRXBh7
なんか・・・イラッ
648癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 12:05:31 ID:VR3xAcNc
ヤスといえば彼しか思い浮かばない自分は30代…
http://imepita.jp/20090310/432960
649癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 13:26:36 ID:/Tzw1aYx
なんというすさまじさだw
650癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 18:34:19 ID:an5RJJRZ
ここまでフリーダムな投稿スタイルは見た事ねえw
というか突然の転換といい山場前での切り方といい、なんか色々と確信犯のような気がしてならんがw
651癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 19:32:21 ID:BT8io37n
>>648
ワラタw
652癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 19:49:27 ID:DHITvFkD
うおおせっかく耳かき片手にワクワクしてたのにいい
まるで残り時間あと3秒のどん兵衛を横からかっさらわれた気分だ
続きはないのか続きは
653癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 23:05:30 ID:q+XWno2o
春風【二】

「ただいま、先生」

熱のせいもあってか、頭が全く回らない。
どうして彼女がここにいるのか?

そうか、櫻井も、もう大学生か。
もう自分の意思で、どこかへ行くことも帰ることもできる歳なのだ。
「先生?」
「ああ、おかえり」
「帰ってきました。春休みだから」
「帰ってきたのか、春休みだから」
「ええ、帰ってきました」
そういって彼女はまたふふ、と笑った。
「いいな、大学生は。春休みがあって」
「先生は春休みないんですか」
「ないよ、あったら倒れるまで仕事やってない」
そう言うと、櫻井は困ったような可笑しいような顔をした。
「死ぬんじゃないかって思いました。入ってきてみたら
 先生真っ青な顔してソファに突っ伏してるんだもの」
「死なないよ」
櫻井は腹がくちくなった猫のように満足げな顔をしてこちらを見ている。

「寒くはないですか」
正直なところ、かなり悪寒がする。頭も痛くなってきた。
「実験室の奥から二番目の棚から毛布を取ってきてもらえないかな」
「わかりました。奥から二番目ですね」
なぜか嬉しそうに毛布を取りに行く櫻井。ベージュのマフラーが揺れる。
654癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 23:10:23 ID:q+XWno2o
また半端なとこで切っちゃって申し訳ないんです。
続きもがんばりたいのですが、
明日か明後日、または明々後日、あるいはそれ以降になる可能性があります。
あと、気がついたらこれ耳かき小説から脱線してる気がするんです><
655癒されたい名無しさん:2009/03/10(火) 23:16:20 ID:DfUsT1hw
・・・全部書いてからうpしてくれよ。
656癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 00:53:12 ID:kutg2J8J
それは思う。
小分けされると、10分ごとにうずら卵ほどのおにぎり出されるかんじだ…。
1時間後でいいからちゃんとしたおにぎり食べたい。
657癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 00:54:28 ID:jHpKa+DT
そして出てきた大トロ握り。ってな展開を望む
658癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 01:12:56 ID:p80FCKIl
>>654
>>655-657
と、こんな感じの突っ込みを貰うという以上に、半端な連載は逆に辛くなるぜ
見切り発車しちゃうと後から修正利かなくなっちゃうしな
短編〜中編程度の分量なら書きためてから一気に投下しちゃった方がいい
659癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 01:50:31 ID:knIzrqUb
仮に他に投下したい人がいた場合、
途中割り込んでいいものかと躊躇することもあるかもれないしな
まとめた方が自分も他人もやりやすいだろう
こういうところの基本というか
660雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/11(水) 03:58:18 ID:/0x7U8Lc
あれなんだよなぁ。
元々の書いたのが適当なのだし、女同士のエスの世界の耳掃除だから、レズネタをホモネタに直すのが時間かかる。
だから途中で飽きたんだが、お前らがそんなにホモネタが大好物なら、もうちょっとがんばってみるよ…。
661雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/11(水) 04:06:10 ID:/0x7U8Lc
大宇宙を漂っていた安寅は紘一の言葉で現実に引き戻される。
綿棒が耳から引き抜かれるのを感じながら、安寅は

「オッス!先輩、まだまだ綿棒で掘ってください!
 オッス!オッス!もっと強く綿棒で擦ってください!」

……と、いえない自分を呪った。
目の前の桜紙に置かれた綿棒は、先がほつれてバラバラになっていた。
そうして、所々に黄色と茶色の入り混じった耳垢がこびりつき、紙軸の部分はグニャリと折れ曲がっていた。
それなりの力で耳をいじられていた様だが、ほとんど痛みは感じなかった。
この、一本一円もしないであろう綿棒が、今までの己の人生で味わったことのないすばらしい快感と時間を提供してくれた事に
奇妙な感動を覚えつつ、安寅は夢の時間が終わったことを……綿棒を失った喪失感に、寂しさを覚えずにはいられなかった。

濡れた耳の中がスースーする…。
嗚呼。畜生!あの綿棒を操っていたのが自分の手であるならば……!

『帰りに駅前のマツモトキヨシに寄って、これ買って行こう…!絶対に買っていこう!ローションも買っていこう…』

そう強く心に願う。
みると、紘一はさっきよりもずいぶん細い耳かきに持ち替えている。

「ヤス!」

「オッス!なんすか、先輩」

「これからお前の鼓膜の付近を掃除する。危険だから決して動くな!
 だが、俺を信じろ。お前が動かなければ危険はない!」

「オッス!俺は先輩を信じます!オッス!決して動きません!」

しつこくも繰り返すが、先輩後輩の(略。
だが、そうでなくても安寅はもはや、紘一の耳掃除に対しては全幅の信頼を置いていた。
今はただ、奴隷のように言いつけを忠実に守り、先輩の手による更なる快楽を求めるだけだ。
最初はガチガチに強張っていた体も、すでに伸びきったウドンよりも柔らかくほぐれていた。
ローションでふやかされた耳垢はさっきから膨張し、耳の壁を圧迫して激しい痒みと低い耳鳴りを発し、その存在をしきりに訴えている。
胸いっぱいに深呼吸すると雄の匂いが鼻腔を直撃する。

ガゾリ…

そして、ついに、ついに!
待ち焦がれていた刺激がやってきた。


耳かきが!耳垢に!


食い込む音が…


響く
662雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/11(水) 04:19:55 ID:/0x7U8Lc


カリ…ガゾ…ボリリ…グジッ…ガゾリ…ジャリジャリカリガリカリガリ…

細かく、細かく、細かく…。
耳かきが、往復する。
それは縦の動きだけでなく、時には回転したり横に動いたり。
何度も何度も、同じ場所をしつこくしつこく撫でながら、耳かきが耳垢に少しずつ食い込んでいく。
綿棒で湿らせる前のカリカリという乾いた音とはまったく違う。
まるで角砂糖を口に含んで噛み潰すような…そんな音だった。
それは騒音なのに、まったく不快ではない。
耳の奥の奥に張りついた耳垢全体が、耳かきの動きに伴って細かく振動するのが感じ取れる。
安寅は、あまりの痒さと、その痒みを細かな振動でかかれるというもどかしさ、気色良さで、知らずに足の指を握ったり開いたりしていた。

ガッ…ガゾッ!…ガリペリ…ガッ!

と、ふと今までとまったく違う感触が耳の中を襲った。
紘一の手にも緊張感が走る。

ガッガゾッ…ガッガッ…ベリメリメリメリバリッ

耳の中を軽い痛みと、それ以上の快楽が走り抜けた。

「あー!」

安寅は知らずに声を出していた。
まるで脳みその一部を引っこ抜かれるような、そんな喪失感と引き換えにトンでもない心地よさが耳の穴を走る。

「でたぞ!」

紘一が興奮気味に耳かきを桜紙に出すと、そこには、まっ黄色な耳垢の塊が乗っていた。

「最後の仕上げだ」

そういいながら、再度、綿棒をローションで浸して耳の穴に突っ込まれる。
さっきまで耳垢が張り付いていたであろう場所を濡れた綿棒が擦る。

キュイ…キュチュ…キュコキュコキュコ。

先ほど綿棒を突っ込まれた時とはまったく違う音が鳴っている…。
再び目の前に現れた綿棒は全体的に薄黄色に染まり、所々に茶色いカスが付着していた。
663雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/11(水) 04:24:28 ID:/0x7U8Lc

「終わりだ」

紘一の宣言。
ついに、終わった。
終わってしまったのだ…。
目の前の桜紙をみると、大量の耳垢が載っていた。
フライの衣の元のような黄色と白の大量の粉とねっとりした山。
その上に鎮座するように載せてある一番大きな耳垢は人差し指の爪の先ほどもあり、
それは風呂上りにふやけたカサブタのようで、それよりも厚く、不規則な形をしていた。
色は濃黄色。それに茶色が混じっている。血の固まった部分だろうか?黒い部分も見える。
これを半分に割ったら、黄色と茶色と黒のマーブル模様なのかな、安寅はそんなくだらない事を考えてしまう。
耳に張り付いていた面はあるていど平坦で、耳毛らしき細かい毛が埋もれている。逆の面はひどく凸凹だ。
そして端の方は薄く、半透明なピラピラが飾りのようについている。
このピラピラの部分が鼓膜に刺激を与えて、パキパキバリバリと、小煩い音をたてていたのだろう…。

「ヤス」

不意に、声をかけられて安寅は振り向いた。
そこには胡坐を掻いたままの紘一が得意げに座っていた。

「ヤス、綿棒を自分で耳に突っ込むときは、くれぐれもやりすぎるなよ」

何もかも見透かされている。
安寅は急に恥ずかしくなって視線を落とす。
さっきまで自分が頭を乗せていた紘一の太ももが見える。
褌をみると、なぜか大きな濡れ染みが広がっていた。
驚いて紘一の顔をみると、唇の端を持ち上げてニヤリと笑いかけられた。

『な、なんで?先輩…まさか、漏らしたんじゃ……』

一瞬、戸惑った安寅だが、すぐにそれは己の涎のせいだと気づく。

「せ、先輩!すいません!俺が…」
「なあに、気にすんな。お!雨も上がったみてえだな。よし、銭湯を奢ってやる!一緒に行こうぜ!」

部屋の隅に積み上げられた服の中から無造作にランニングとハーフパンツをよこされる。
どうしようかと一瞬迷ったが、次の紘一の一言で、決まった。

「銭湯から帰ったら、もう片方の耳も掃除してやるよ!」

それは、あらがえない提案だった。

「オッス!先輩!」

元気よく返事をすると、安寅はタンクトップに袖を通した。
かすかに紘一の匂いがする。

『そういえば、男の汗の匂いは男に取ってアロマセラピーと同じような効果があると、新聞に書いてあったな。』

ハーフパンツを履こうとして、安寅は自分が勃起していた事実に始めて気づいた。
顔が赤くなる。

「耳垢が溜まったらいつでも俺に言え!可愛い後輩の面倒だ、いつでも見てやるよ!」

「オッス!先輩!」
664雨の日の午後〜安寅と紘一:2009/03/11(水) 04:26:53 ID:/0x7U8Lc
終わり。
続きあるけど、耳掃除終わったからもうホモネタ改変はここまででいいよね。

スペシャルサンクス

 ガチムチ六尺兄貴コピペサイト
 男同士の体験談掲示板
 先輩と俺のシゴキスレ
665癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 08:17:48 ID:QcLTSIDX
私はこういうの平気w

いや〜耳かき描写よかったです!!
テクニシャンの兄貴に掘ってもらいてぇ〜
666癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 13:49:41 ID:PrnWykVS
歪みねぇ耳かき描写最高っす!
667癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 15:50:01 ID:HbRq2WB8
>639
カオルとケイ、のバージョンで読みたかったなー。
668癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 18:49:24 ID:KsrjWmfa
先輩乙!
何かすごいパワーがアレな感じで読後感が爽快だ
時にはこういうのもいいな
669癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 19:47:31 ID:p80FCKIl
どう見てもギャップを狙ってわざとやったんだとしか思えんのだが……w
投稿時間の間隔も微妙というか、判断に迷うペースだしさあ
いや、下衆の勘繰りだと解っちゃいるんだが気になって仕方ないんだぜ

まあなんにせよ耳掻き描写は素晴らしかった、乙乙
なんだかんだで個人的には一番ツボだったので、気が向いたら是非また投下してくだせえ
670癒されたい名無しさん:2009/03/11(水) 22:09:42 ID:/0x7U8Lc
いや本当に最初は女同士だったんだよね。
だけど実際に書き込んでみたら字面がおもしろくなかったから勢いで全部変えた。
最後の方とか面倒で手抜いてそのままだから男同士だと不自然だ。
まあなんでもええけど。誤字とかも多かったし。
671癒されたい名無しさん:2009/03/12(木) 14:07:23 ID:RwFoFmrv
>670
女同士バージョンも是非。
672癒されたい名無しさん:2009/03/12(木) 19:58:03 ID:m7KH5Bxy
ちょwwwロボットの耳かきってw
ttp://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1230481795/
673癒されたい名無しさん:2009/03/12(木) 20:47:20 ID:ZOV3xIyc
良いなこれw
教えてくれてありがとう
674癒されたい名無しさん:2009/03/13(金) 23:05:14 ID:9DOa8VP5
トランスフォーマー懐かしいな
まかさ耳かきスレで見るとは思わなかったが
675癒されたい名無しさん:2009/03/15(日) 13:02:50 ID:wQvJMap7
>>653
やっぱ桜井幸子のイメージで読んでます高校教師の
676ねこずきん:2009/03/19(木) 07:42:31 ID:pq3D7OT6
きたよ
677癒されたい名無しさん:2009/03/24(火) 19:28:54 ID:nXObVAan
くそ猫が来てからスレがパタリと止まった件。
678癒されたい名無しさん:2009/03/25(水) 13:26:11 ID:WAzpnAKD
単に作品が投下されてないから静かなだけ
いいから黙ってNG入れろ
679癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 09:08:56 ID:u8+zhq2u
ほしゅ
680癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:02:53 ID:UG7l9Mq/
青森から東京への新幹線の中で、私は高速で流れていく窓の風景を眺めていた。
すでに春になっているのに、田んぼの中に多少の雪が見える。遠くの山は真っ白に染まっている。
急な出張で青森くんだりまで呼び出された挙句、仕事が突然のキャンセル。
ヘトヘトに疲れた私は、ポッカリとあいてしまった今日をどう過ごすか考えた。
このまま東京に向かっても、3時前には着いてしまうだろう。
本日は出張扱いでそのまま帰宅、なにもやる事はない。
せっかく青森まできたんだし、少しは旅気分を味わいたいじゃないか…。
そう思い立ち、私はフラリと何かに誘われるように途中下車した。
特になにも考えずに適当に鉄道を乗り継ぎ、適当に駅に降り立つ。
そう、私はまるで無意識でそれを行っていた。
しかし、後から考えるとそれは普段の私からは想像もつかない、何かに呼ばれたとしか言いようのない行動だった…。

『杜O駅』

と書かれた改札が見える。
ここはM県S市の杜O町。
町の花は「福寿草」で特産品は「牛たんの味噌漬け」。
駅に張ってあったヨレヨレの広告にはそんな事が書いてあった。
温泉でもあれば、と駅近くの地図を眺めるが、特に見所のない町のようだ。
地図の各部に誰かがラクガキでもしたのか、マジックで「アンジェロ岩」だの「ぼよよん岬」だの「幽霊トンネル」だの書いてある。
「鉄塔に住む男」と「怪物のいる廃墟」は少し気になったが…まあ、なんにせよ、悪戯書きの類で間違いないだろう。
どうせ、行った所で錆びた鉄塔だの空き家だのがあるだけの都市伝説怪談話に違いない。
観光客の誘致も特にしていない、名所もない、なんの変哲もないベッドタウン。
それが地図やポスターから受けた杜O町の姿だった。

だが、しかし、何故だろう?
私は、この何の変哲もないはずの町をブラブラと歩きたい、というどうしようもない誘惑に駆られた。
681癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:03:49 ID:UG7l9Mq/
『なに、どうせやることもないさ…』

出張用の着替えを詰めたアタッシュ・ケースを駅のコインロッカーに預けると、ビジネス・バッグを片手に歩き始めた。
途中、コンビニのオーソンで地図を買い、町外れに向かって歩き出す。
ふと気づくと、やけにサラリーマンやOLの姿が多い。平日なのに学生服姿も見える。

『そうか!昼時じゃないか…』

前から歩いてくるやけに長身の学生二人が、サンジェルマンの美味いカツサンドもテリヤキサンドも売り切れだから幕の内弁当でも買おうかなどと話している。

『カツサンドか…食べてみたかったな…』

急速に腹の虫が騒ぎ始める。
件のカツサンドは売り切れらしい。目の前にカフェも見える。その先にファーストフードもある。
少し先に弁当屋も見える。少し戻ればコンビニ・オーソンもある。
しかし、せっかくの旅先で食べるのがそんな物ではもったいなくないか?
なにかないかと探していたら、看板が目に入った。

『↑レストラン・トラサルディー 300m先』

その看板をみた瞬間、まるで誘蛾灯に惹かれる蟲のように足が動いていた。
実際に惹かれていたのは腹の虫だろうが。


『レストラン・トラサルディー』は非常にこじんまりした店だった。
店構えから判断するとイタリアンだろうか?
ランチの値段が出ているが、お手ごろな値段だ。
私は、意を決して扉を開けた。
中には清潔なテーブルクロスのかけられたテーブルが二つ。それだけだった。
すぐに店の奥から人影が出てきた。

「いらっしゃいマセ!さ!お席へドーゾ」

外人…の、店主?だろうか。
椅子を引きながら手で座るように指示してくる。
少々、気後れしながらも促されるままに席に着く。
なに、こっちは客だ。堂々としていればいいのだ。
店主はしばらく背後に立っていたかと思うと、大きく頷いて問いかけてきた。

「ご注文を伺いマス」

「あの、ランチを。表に看板がでていたので…」

「ランチですね!かしこまりマシタ!」
682癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:05:31 ID:UG7l9Mq/
私は、そのまま奥に引っ込もうとする男をあわてて呼び止めた。
日本語が上手でないのだろうか?

「あ!あの、すいません!ランチのメニューみせてください!」

「メニュー? 『献立表(リスタ)』のことですか? そんなもの…うちにはナイヨ」

「はあ?」

意外すぎる一言。

「え?? じゃあ、なんですか?ランチって、なにが出てくるんですか?」

「料理の献立はお客様自身で決定するデスネ」

「???? えぇ、だから、決めるためにメニューを…」

「大丈夫、お客様自身が選びマスノデ。ワタシが決めマス。申し送れマシタ。店主のトニオ・トラサルディー言いマス」

そういうとトニオさんはグラスに入った水をテーブルに置き、さっさと引っ込んでしまった。

「まいったなぁ…」

変な店に入ってしまった。話が通じやしない!
もしかして、一見さんお断りとか、知る人ぞ知る食通の店なのだろうか?
表に出ていた値段はそれほど高くはなかったのだけれど…。
それとも、あれが本場のイタリアン・スタイル? 
あいにく私はいまだ外国に行ったことはない。北海道が積の山だ。
悩みながらもグラスに注がれた水に口をつけて、私は驚いた。

「おぉ!」

う、うまい…!うますぎる!
なんだこれは!
そこらで売ってるミネラル・ウォーターなんざ比較にならないぞ!
食堂が!胃が!!水の冷たさが通った場所が、綺麗に洗い流されるような気持ちよさだ!
とんでもない水に感動していると、トニオさんが皿を携えてやってきた。
683癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:08:45 ID:UG7l9Mq/

「ニシンと春野菜のカルパッチョでコザイマス。ニシンは春を告げる魚とも呼ばれてイマス」

「こ、この水、とんでもなく美味しいです!こんな美味しい水を飲んだの初めてですよ!」

「気に入っていただけたようでなによりデス。それはアフリカ、キリマンジャロの5万年前の雪解け水デス。さ!料理を楽しんでください」

何でもない事のようにトンでもない事をいう男にいわれ、皿に目を落とす。
薄身でピンク色のニシンが色とりどりの春野菜と盛り合わせ、その上から網の目状にソースが掛かってる。
その美しさと、さきほどの水の美味さが嫌が応にも期待を盛り上げる。
まずはニシンの身をフォークで突き刺し、口に運ぶ!
油の乗ったニシンと少し酸味のある爽やかなソースが口いっぱいに広がる。
ついで、春野菜を口に入れる。
まったく苦味がなく、それでいて芳醇でシャキシャキとした春の香り。
うまい
確かに、うまい。
しかし、なんか……こう、水があんまり美味すぎたから、期待しすぎたのかな?
まあ、充分うまいよな。
そう思いながら次のニシンを口に運ぼうとすると、トニオさんが口を挟んできた。

「チガウチガウ!ニシンと春野菜は一緒に口に入れるのデス!ソースを絡めてネ!」

「はあ……」

ちょっと小うるさいと思いながらも、ニシンと春野菜を同時に口に入れた瞬間、私は猛省した。

「うんまぁああああああああっっっ!!!!」

あまりのうまさに叫ばずにはいられないっ!
目の前でニコニコと笑っているトニオさんに猛烈な勢いでどれだけ美味いかを訴えずにいられないッッ!!

「こ、こここここ、これはうまいですよ!うまいなんてもんじゃ…
 ああ、もうこのうまさを表現する言葉が見つからない!!!!
 たとえるなら、そう、ドラゴンボールとハリウッドのコラボ!
 松村邦弘とマラソンッッッ!!!!
 ルパンVS名探偵コナン!…つうーっ感じっスよお〜っ」

ああ、興奮のあまりに頭に血が昇ってきた!!
な、なんか目の前がクラクラするな!
あまりの美味さに耳が痒くなってきた!!!!
684癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:10:54 ID:UG7l9Mq/

ポリポリポリ

あまりの痒さに食事中だと言うのに行儀悪くも耳の穴をいじってしまう。
耳が…耳…あれ???耳??

コリコリコリコリコリコリ

耳を指先でゴリゴリ掻きながら、『なにかがおかしい』と頭のどこかで声が聞こえる。
なにが?なにが??なにが???

「お客様」

ああ、トニオさんの声がやけに大きく感じる…そんな大声ださなくても聞こえますよ。
店の中は二人だけでしょう?

「お客様。それ以上奥は鼓膜になります」

ガリガリガリガリガリガリ    ガリ

ちょっとまて。私は、いまどこを爪を立てて引っかいている?
ここって…耳の中じゃないのか?
ふと、壁にかけてあった鏡を見て私の心臓は止まりそうになった。
いや、実際に数コンマ秒とまったのではないだろうか?

私の顔の横にはポッカリと大きな大きな穴が開いていた。
それは多分、認めたくはないが、元・耳の穴なのだろう。
私は、その穴にひとさし指を突っ込んで一心不乱に耳垢をこそげ落としていたのだ!
こ、こんな穴が開いていて無事なはずがないだろっ!
パニックになりかける私を手で制し、トニオさんは続ける。

「大丈夫、心配なさらないでクダサイ。
 お客様は頻繁に耳掃除されているようデスネ。
 耳垢が中に押し込まれて固まりかけてイマス。
 春野菜のリラックス効果で一時的に頭骨を緩めて、ニシンの脂で皮膚に弾力を持たせたダケデス。
 耳の穴が大きくなっているのは一時的なコトデス。
 ソースに含まれている成分が耳の内部の新陳代謝を活発にして耳垢がはがしやすくなってイマス。
 爪でひっかくと傷つける恐れがありますので、どうぞ、こちらの道具をお使いクダサイ」

なぜだろうか?
こんな、ありえない状況にも関わらず、なぜかその怪しい説明にはひどく説得力があった。
急速に心の平静を取り戻すと、耳の中を観察する余裕まで出てきた。
差し出されたお盆には、ペンライトに脱脂綿や耳かき、香油、安全カミソリや毛抜きが置いてある。
その中から小型の三面鏡をとりあげると、まじまじと耳の中をのぞいた。

『こ、これはすごい!』

内側には午後の陽光に照らされたカリカリにこびりついた耳垢が見える。
毛もたくさん生えている。
おまけに、奥の方には大きな薄黄色の塊がへばりついている。
これがトニオさんの言っていた押し込まれた耳垢なのだろうか?
そっと手を伸ばして触ってみる。
カチカチだ。揺り動かしてみるが、皮膚にベッタリと癒着しているようではがせない。
カリカリと爪を立ててみるとトニオさんが声をかけてきた。

「料理の効果で耳の中の皮膚はかなり強くなってますが、乱暴にさわらないようにしてクダサイ」
685癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:13:02 ID:UG7l9Mq/
長いので秋田。
あとなんか連続とかで規制?された。
686癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:21:17 ID:UG7l9Mq/
長いのと時間で規制されてる。
なので投稿できないです。
687癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 17:22:36 ID:UG7l9Mq/
まあええわ。規制解けて気が向いたら続きをやります…。
3行以上書くとレスできないのかな。
688癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 20:43:45 ID:91PakMRg
まさかのトニオさんw
wktkしながら待ってる!
689癒されたい名無しさん:2009/03/27(金) 21:14:17 ID:FXRLKJ/l
ジョジョキタコレwww
いろんな意味で続きが楽しみだ
690癒されたい名無しさん:2009/03/28(土) 01:46:24 ID:JDMvRnj5
これは素晴らしい超展開
話のぶっ飛び具合が読んでて単純に面白いわーw
691癒されたい名無しさん:2009/03/30(月) 11:29:12 ID:JqyzLkg2
プロットが20世紀型技術なら、超展開もしくはプロットレス小説は、21世紀型と言えよう
692癒されたい名無しさん:2009/03/30(月) 12:05:31 ID:JqyzLkg2
まあ真の天才は、エッセイなのか小説なのか判別不能の作品をプロットなしに構築できるものだがな
693癒されたい名無しさん:2009/04/06(月) 23:51:28 ID:KhYs7Eho
続きマダー?
694癒されたい名無しさん:2009/04/07(火) 16:42:49 ID:WHeSDWdV
あんまり催促するもんじゃないぜ
耳掻き片手に正座して待つのが紳士の嗜みだ
695癒されたい名無しさん:2009/04/07(火) 21:04:16 ID:5kklVcyJ
正座は痺れるので
オネエ座りで待ってます
696manabu:2009/04/08(水) 12:42:33 ID:6gMmwCKI

 ◎  ワキワク
(し-*
  ̄
697癒されたい名無しさん:2009/04/08(水) 23:26:39 ID:Tlg0SSXC
足が痺れてきた
698manabu ◆0MNfpQMUag :2009/04/08(水) 23:43:27 ID:6gMmwCKI

 入_と○ ワクテカ
    ー*
699癒されたい名無しさん:2009/04/09(木) 01:13:40 ID:Y6a8J8e6
糞コテが二人も出揃うとは
荒れてるならともかく過疎スレなのに…
700684:2009/04/09(木) 14:13:11 ID:Zicu/UqD
規制がとけないんだもん。
701癒されたい名無しさん:2009/04/09(木) 17:59:43 ID:KGYhhJMb
最初に改行入れると弾かれるらしい。
それでもだめぽ?
702684:2009/04/12(日) 22:03:42 ID:I+2gQPcB
全規制wいまネ喫茶から書き込み。
しばらく解けないようならテキストでどっかうpろだにでも
703癒されたい名無しさん:2009/04/13(月) 03:08:09 ID:h3bXPZRT
>>702
p2使う気はない?
704癒されたい名無しさん:2009/04/17(金) 18:34:22 ID:TUsiz1Kc
ほしゅ
705144:2009/04/21(火) 07:29:13 ID:WE/VQ60r
>>144です。今頃ですが近いうちに一つの体験談を投下しようと思います。
もしよかったら規制対策の為に投下中に遭遇したら保守ってもらえると幸いです。
706癒されたい名無しさん:2009/04/21(火) 09:49:12 ID:a0sW077d
楽しみにしています!
707癒されたい名無しさん:2009/04/21(火) 11:25:56 ID:eCn3BAKl
なぜこのスレ見てる人は遊戯王スレを・・・
708あささんと僕の日常 1:2009/04/22(水) 01:16:41 ID:xLP7RBgJ
かなり遅くなりましたが俺と当時うちでハウスキーパー?メイド?まあ家計を管理したり
家政婦見たいな事をしていたあささん(仮)との話。
あささんは俺より一回り程年上で可愛く、母を早くに亡くした自分にとっては母替わりであり、
また姉のような存在だった。が…この人にはとんでもない癖があった!他人の耳かきをしたり、
角栓搾りや痂をかりかりするのが大好きで、今になってみると(今でも)ちょっぴり変態なお姉さんだったのだ。

Case1:耳かき嫌いだった僕をミミカキストにさせるきっかけの話

これは小学何年の時だったかな…僕は三歳の時母の真似をし自分で綿棒で耳かきをしようとしてケガして以来、
大の耳かき嫌いで年度始めの検診で耳かき溜まり過ぎと毎年のように言われてる子供だった。
「〇く〜ん耳かきしよっか?」その日の分の夏休みの宿題を終えた時にあささんが唐突に耳かきの話題を出した。
『やだ〜ぁ耳かきってカサカサ言うし、耳に入れるし痛いし』それに姉ちゃんはぁはぁするし…
何て思ったりしながら拒否をしてみる。
「え〜耳かき気持ちいじゃない、汚れたままだと病院行きになっちゃうよ〜」
『大丈夫だし』ホントは嘘だった。むずむずはしてたけど痛いのは嫌だし、何より恐かった。
「ビーダマン一つ」
『…いらなーい』
「ビーダマン二つ」
『…』
「ビーダマン三つ」
709あささんと僕の日常 2:2009/04/22(水) 01:22:12 ID:xLP7RBgJ
『…』
「…」
時間にしたら一分位だろうか?ビーダマンと耳かきを天秤に賭けて無言の駆け引きになる。
『じゃあやる』こずかいが少ない以上は折れざるをえない好条件だった、釣られたとも言う。
「ふっふっふ〜」

そんなこんなであささんはちっちゃい救急箱の容器を抱えて上機嫌らしく鼻唄を歌ってた。(確かボーイミーツガールかな?)
肘には紐のような物を引っ掛けていた「まず動かれないようにテーブルに縛るからね〜」
『ちょっ!姉ちゃんやだ、えが』
ニコニコ顔で帯で僕をテーブルに縛りつけるあささん。僕はただただブルブル、縛り終えると
セロハンテープを二つちっちゃく切って赤と緑のマーカーで塗ってテーブルに貼ってた。
「それじゃ耳かきしようね〜」
そう言うとあささんは左耳のひだの部分をウェットティッシュで拭いて汚い部分をクリクリとする。
『うっ〜耳がスースーする』既に涙目な僕、しかしそんな事はお構いなしに作業は続く。
だいたい拭き終わるといよいよかと縮こまる…が竹の耳かきで耳の裏の角栓を抜き始める、
少し強めにひっぱりながらも匙で押すのはあくまで優しい。

きゅ…きゅ〜きゅ、きゅ…きゅ〜きゅ…スッ、きゅ…

小気味よく抜かれて僕の目の前のティッシュに薄い灰色の角栓が乗っかっていく。手の温もりが心地いい。
710あささんと僕の日常 3:2009/04/22(水) 01:28:26 ID:xLP7RBgJ
「裏はよし…それじゃ」言いかけの流れのままにフチを匙が這い始める。

くしゅ…くく…くしゅ…カリ…ぺりぺり、サクッ

まだフチなのに相当重たく圧力が耳にかかる。
「うわ〜きったな〜い♪」
『…』
汚いと言われたのが恥ずかしいが、嬉しそうにとってくれるあささん。匙台の大きさの耳かすが
採られていき、あらかた採ったのか匙の当たり方が軽くなって来た。

「さてと…今から一気に奥までに入れるから動いちゃダメだよ。」
『うん…』ここまでは気持ちいいがやっぱり不安は大きい。
宣言通りゆっくりながら耳かきを鼓膜に触れるまで入れたところで手の動きが固まった。
『…どうしたの?何か…あったの?』凄く不安になる。
「んっ…テープでこれ以上入れちゃダメって印を点けてるんだよ。」
『ふーん…』これは耳かきをやる人が分かるように左と右でシールの色を変えて張っている。
後になって聞いたら僕のためにあささんが考えてくれた方法だった。
「今、痛い?」
『う〜恐いけど大丈夫』
「なら多分痛くなく終わる…」
そう言って耳かきを再び動かし始めた。
711あささんと僕の日常 4:2009/04/22(水) 01:33:27 ID:xLP7RBgJ

カリッ…カカカ…ぐっ、カリカリ…ぱさぱさ…ガサっ

少し剥がれただけなのに猛烈に痒い…頭が茹だるような感覚、匙が触れる度に痙攣する体、世話しなく動く両目、
目の前に積み重ねられる耳かす。
くっつけたら耳の形になりそうなものが幾つもあった。粉っぽく、たまにしっとりしていて、
まるで縁日の型抜き見たいな質感だった。

フーッ

「こっちはこれで良いかな。反対向いて〜」何だかいつもより時計の音が煩い。
『うん…』

がさがさ…がさがさ

『動けない…』
「あ〜帯解くか」
『うん』
「やってる時に動かない?」やり出す時に嫌がられたから一応確認された。
『ん〜動かない』
「じゃあ反対は縛らないでしよっか」
712癒されたい名無しさん:2009/04/22(水) 01:35:11 ID:FcNi07+e
おお来てた
713あささんと僕の日常 5(終):2009/04/22(水) 01:37:37 ID:xLP7RBgJ
右も同じようにして行ったんだけど一つだけどうしても採れないのがあった。
「鼈甲もダメか…」
『もう良いよ…』少し飽きてきた。
「いや、今から秘密兵器を使うね。」
そういってあささんはキッチンに歩いて行った。手にして来たのはマックとか
ファーストフードのジュースに使われてる太いストロー、それを僕の耳に差し込んだ。
「煩いけど我慢してね…」

スーッ…スッ、ボー…ボー

細かいかすを息で吹き飛ばしてストローの先を塊と耳の間に少しずつ剥がしていく。

ガッ…ボー…ボー…ズズズ…

剥がれかけた所でピンセットを使い引きずり出したのはスズメバチの巣のような色をしていて
あまりにも大きな耳かすだった。

くんくん…

「いやん、くちゃい♪」
『あ〜』
「気持ちよくなかった?」『ん〜気持ちかも…眠くなった』
「嫌いじゃなくなったかな?」
『…』
うとうとして上手く返事が考えつかない…
「…〇君?」
『…またやって』
そのまま眠りに落ちた

あささんと僕の日常。おわり
714manabu ◆0MNfpQMUag :2009/04/22(水) 18:10:32 ID:QwCR6o0e

 〜⌒∧◎〜 ハフ〜

 あささんに特製の精密耳掻きを差し上げたい!
715癒されたい名無しさん:2009/04/25(土) 01:54:57 ID:KyUKnjm4
ああぁあぁぁたまんない…
これは脱力もんだ…

超GJ
716癒されたい名無しさん:2009/04/26(日) 21:38:08 ID:PkKCQNtu
乙です
あささん、うちで働きませんか!
717癒されたい名無しさん:2009/04/26(日) 22:43:38 ID:NvpaZQQ0
>>692

同意
718ねこずきん:2009/04/27(月) 08:12:16 ID:gVmZS4/r
やったー かっこいいー
719癒されたい名無しさん:2009/04/28(火) 03:05:34 ID:31AsR+UD
144超乙!!!!!
久しぶりに癒されたぜ…
720144:2009/04/28(火) 07:14:12 ID:Efkyjcwh
レスありがとうございます。経験を文にまとめて見て、自分の伝えたいことが中々文章に表せなくて歯がゆい気持ちになりました。
昔と関係がちょっと変わったけどあささんとのエピソードは現在進行系であるので、気持ちよかったエピソードを近いうち(来月中?)にまとめて見たいと思います。
721癒されたい名無しさん:2009/04/29(水) 03:24:38 ID:IR2PYqwq
>>144
うわぁ、やったーwwww
楽しみにしてる!!
722manabu ◆0MNfpQMUag :2009/05/06(水) 09:43:52 ID:RgVA2/0J

入_と○
   ー*
723癒されたい名無しさん:2009/05/17(日) 22:13:59 ID:ZKXnZZlo
保守
724癒されたい名無しさん:2009/05/22(金) 13:21:26 ID:2gosUUry
かつらを頭から取ってパタパタしていました。

口寂しいので飴玉代わりにしていた義眼を取り出し、なくなったはずの右腕がかゆいなぁ、なんて思いながらオシでツンボなのに携帯に(心で)「もしもーし!もしもーし!」なんて叫んでいました。

そしたら頭のない車にひかれた猫が白衣を着てピンポーンって来ました。

一緒に白湯を飲みながら

僕「ぺちゃ」猫「くちゃ」と交互に交互に呟きました。

幸せだね、とウィンクをしたら猫め、ペロリと舌を出しました。

ふと思い出して今日返してもらった答案用紙を見たら「0点」と書かれていました。

そっと「0点」の頭に「10」と書き足して 100 点満点にしておきました。
725manabu ◆0MNfpQMUag :2009/05/23(土) 07:58:43 ID:NhA7veRZ

 ◎ 糖質? 電波?
(し′
  ̄
726癒されたい名無しさん:2009/05/28(木) 00:49:20 ID:46dSWxcd
短パン
727癒されたい名無しさん:2009/06/02(火) 00:28:11 ID:gYcII4Nr
保守
728manabu ◆0MNfpQMUag :2009/06/06(土) 16:07:38 ID:zgcut0A6

入_と○
729癒されたい名無しさん:2009/06/09(火) 16:08:28 ID:jQMLLXfc
手馴れた人も良いけれど 全く未経験の人に任せるのも良いよね
恐る恐るといった感じに耳掻きの匙が進入してきて
痛くしたらごめんね? と本当に弱弱しく チョイチョイ…
見当違いの所や 普段まったく弄らない様な所を刺激されるのが堪らない。
これが極楽か… あと1時間…いいや一日中…ずっとして欲しい…です…

(´・ω・`)これで膝枕だったら最高なんだけどな。作品投下待ち!
730癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 00:02:34 ID:rb+P6r3y
>>729
何故その発想がなかった俺……
エターナるかもしれんがちょっと書いてくる
731manabu ◆0MNfpQMUag :2009/06/10(水) 02:34:14 ID:3YxEmQgC

 ○  ひざまくら
(し-* 耳で感じる
  ̄   うぶ毛かな
732癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 02:43:59 ID:rb+P6r3y
書き上がってしまった……
深夜のテンションで物書くと凄いな、勢いがまるで止まらない
という訳で禄に推敲もしないまま投下開始するぜえ
733癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 02:45:03 ID:rb+P6r3y
-1-
 トンネルを抜けると雪国であった。
 『雪国』のかの有名な一節が、ふと僕の頭をよぎった。
 僕は滅多に読書なんてしないし、勿論『雪国』なんて読んだ事はない。ただ、そういう一節があると知っているだけだ。
 恐らくは幼い頃に軽く聞きかじっただけであろうそれが、それでもしっかりと記憶に刻まれているのは、名作の名作たる所以なのか、はたまた別の個人的理由によるものか。
 ただ、この一節から想起される感情はそう多くない。それ即ち未知への好奇。
 逆説的に、好奇心からこの一節が浮かんでくるという事も有り得るわけだ。
 つまり、何が言いたいのかと言うと。
「これ、先まで突き抜けたら何があるのかな」
「いきなり恐い事言い出さないでお願いだから」
 人様の耳の穴というものをじっくりと観察する初の機会を得ての、最初の感想がこれなのであった。

 事の発端は何気ない彼女の一言からだった。
 それは別にいつもと代わり映えしない、退屈だけれど平穏な休日を彼女と共に満喫していた時だった。
「ねー、たまにはアンタもなんかやってよ」
 何をいきなりという驚きと、言っている意味を掴みかねての疑問を、僕は同時に浮かべる。
「だからさ、いつも私ばっかなんかこう、ご奉仕してますって感じじゃない? 掃除とか料理とか」
 その分僕の財布の諭吉さん達が大挙して奉公に出てると思うんだけれど。
 というか僕まだ何も言ってないのに、そんなに解りやすい顔をしてしまったのだろうか。
「別にいいけど、実際できる事なんて何もなくない? そもそも前マッサージしてやったら手つきがエロいとか言って続けさせてくれなかったじゃん」
 一応反論してみる僕。正直言って通るとは思ってないが。
「だって普通あんなキモい動き方しないって。他になんかあんでしょ、たまには自分の体使ってみなさいよ。普段そうやってぐーたらしてばっかりなんだし」
 何気にひどい言われようである。しかし、そうは言っても本当に何も得意な事とかないしなあ……と首を捻り。
「膝枕でいかがでしょうか」
「それ、普通立場が逆じゃない?」
「いきなり駄目出しとか……じゃあ何か、耳掃除に頭なでなでオプションを追加しろとでも?」
「んー、じゃあそれでいいや。あ、でも頭なでなではいらない」
 と、殆ど冗談のつもりでした提案が受け入れられてしまい。
 こうしてなし崩し的に、僕は人生初となる人様の耳掃除に挑戦する事となってしまったのである。
734癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 02:45:53 ID:rb+P6r3y
-2-
「……なんか、結構汚くないですかこれは」
「うっさい、苦手なんだからしょーがないでしょ……自分じゃ見えないしさ」
 冒頭のやりとりを終え、改めてしっかりと観察した彼女の耳は実際汚かった。
 流石に外周や極々浅い部分はそれなりに手入れされていて、目立った汚れは無い。
 が、穴の中は一寸先は闇ではなく垢である。
 フケのような白い塊が中途半端に剥けた状態でひっついていて、それが耳の中の壁一面を覆っているのだ。
 普通に話したり隣にいるだけだと気付かない分、普段とのギャップに少しばかり驚いてしまう。
 因みに膝枕をしての感想であるが。
 彼女の頭と自分の太ももという、普段なら間違っても触れ合わない部位が思いっきり密着状態になっているという事で、僕は感動だか興奮だかよく解らないちょっとした心の昂ぶりを覚えていた。
 まあ、それも彼女の「かたい、上にクッションとか置けば良かった」などというぼやきによってすぐ萎んでしまった訳だが。
 でもなんだかんだでそのまま寝てるのは、きっと満更でもないんだろう。
 面倒だから動きたくないとか、そういうんじゃない筈だ。そう思うことにする。
「えーと、普通に耳掻き使って剥がしていけばいいの?」
「うん、あんま強くしないでね」
 確か自分の手の平を掻いてみて、痛いと感じる直前くらいの力加減がベストなんだとかどっかで聞いた気がする。
 という訳で軽く手の平をくいくいと。……うん、なんとなく掴めた気がするぞ。
「よし、そんじゃあいくぞー」
735癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 02:46:36 ID:rb+P6r3y
-3-
 シンプルな竹の耳掻きを手に、恐る恐る匙の先端を入れていく。
 取り敢えず一番浅いところにある、それなりに手の出しやすそうな耳垢に挑戦してみよう。
 まずは慎重に匙を壁にあてがい、先ほどの力加減を思い出しつつも心持ち弱めに、何度か匙を往復させる。
 カリ、カリ、カリ、と。自分の耳には聞こえない筈の音が、耳掻きを通して手に伝わるような錯覚を覚える。
「なんか弱すぎじゃない?」
「え、そう? もっと強い方が良いの?」
「うん、そうして」
 それじゃあもうちょっとだけ、と僅かに力を強めて掻いてみる。
「こんなもん?」
「取り敢えずは」
 確認も取れた所で、本格的に耳垢と壁の接着部位に匙を食い込ませていく。
 微妙に匙の角度を変えながら、少しずつ、少しずつ、と。
 カリ、カリ、カリ……ペリ。
 僅かに込めていた力を押し留めていた感触が外れるの同時に、匙の先には剥がれた耳垢が引っかかっていた。
 落とさないように慎重に引っ張り出す。
「ふう、まずは一つと」
「いいから続き。半端に弄られたから痒い」
「はいはい」
 同じ調子で目に付く耳垢を丁寧に剥がしていく。なかなかに骨の折れる作業だ。
 何より、奥に行くにしたがって剥がした耳垢を引き上げる作業が難しくなっていく。
 なんとまあ神経を磨り減らす作業か。だが、何故だかそんな事に異様に集中している自分がいる。
 しかもただ作業に集中していれば良いのかというとそんな事はなく。
「そこじゃなくて、もっと右の方……そこ違う」
「でもここに大きいのあるんだけど」
「いいから。痒いんだってば」
 なんて勝手な要求をしてきたり。
「わ、そこいきなり」
「何」
「触った事ない場所なんだもん、すごいびっくりした。何か言ってからやってよ」
「いや分かんないよそんなの……」
 などと無茶振りしてきたり。僕はエスパーじゃないと言うに。
 まあ基本的には黙ってされるがままになってるので、多分それなりには気持ちいいって事なんだと思う。多分。
736癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 02:47:20 ID:rb+P6r3y
-4-
 でもどうせならもっとこう、「あーそこたまんねぇー」っていう位置を探り当てたい。そしてその反応を引き出したい。
 程良く綺麗になり始めた頃合いでもあるし、ここは一つツボ探しと洒落込もうじゃないか。
 まずはさっき痒いとか言ってた場所周辺をもう一度探りに行ってみる。
 ほれ、カリカリコリコリ、とな。
 …………。
 はて、反応がない。
 むむむ、もう少し地形を意識してみるか? この辺りの出っ張った所の奥とか、ちょっと気になってそわそわしたりするんじゃなかろうか。
 今度は力加減も気合いを入れて調節、クリクリクリとほじってみる。
「そこ、さっき何度も掻いてなかった? 取りこぼし?」
 あれ、そうだったっけ。
「あーうん、細かいのがちょっと」
 なんとなく誤魔化しておく。くそう、こんな筈では……。
 ここはやはり奥か。やっぱり奥の方のが敏感になってるから気持ちよかろう。そうに違いない。
 慎重かつ大胆な動きで、コリコリ、コリコリと。さあ我が手腕に酔いしれるが良い。
「ん……そこちょっと痛いよ」
 あるぇー?
 おかしい、これはおかしいぞ。
 普通なら蕩けた声で「あ、そこ気持ちいい……」とか、もしくは心地好くも突然な刺激に驚いて「ひゃんっ!?」とか可愛い悲鳴が来るべきタイミングのはずだ。
 ええい、何処にあるのだ我が理想郷は!
「なんかさ、さっきからデタラメなとこばっか掻いてない?」
 デタラメて……。そりゃまあ見当違いなとこばっか掻いてるし、そういう事になるんだろうけどさあ。うう、ちくしょー。
「いやほら、痒い所とか無いのかなー、と……」
 諦めて素直に白状する僕。ああ情けねえ。
「ん、もう別にないけど。何、新しい趣味に目覚めた?」
「いや別にそういう訳では」
 ま、どのみちこの分だとこれから定期的にやらされる気はする。
 あんなになるまで放置してたくらいだ、他にやってあげる人がいたらああはなるまい。
 上手くなったら趣味になりうるだろうか? 実際、狙ったように面白い反応が引き出せるなら楽しいかもしれない。
737癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 02:48:44 ID:rb+P6r3y
-5-
 しょうもない事を考えながら、最後に残っていた奥の耳垢に取りかかる。
 そんなに大きくはないが、薄っぺらい上に張り付いてる面が広くて苦労しそうだったので、後回しにしていたのだ。
 さっき痛いと言っていたので、出来るだけ力を抜いてそっと掻く。が、やはり上手く剥がれてくれない。これは忍耐強く地道に攻めるしかなさそうだ。
 少しずつ少しずつ、細かな動きで匙を食い込ませていく。
「なんか、大物とってる?」
「いや、うっすいの。剥がしにくいんだよ」
「ふーん……でもちょっと良い感じ」
 おお? ここに来て意外にも好感触。
 やっぱり耳垢のひっついてる場所が痒くなりやすいのか。当然と言えば当然な気もするけど。
 半ばまで外れてきたので、後は一気に持っていく事にする、少し匙に角度を付けて、クイッと。
 お、上手い具合にペリッと剥がれたぞ。今回で一番の見事な剥がれっぷりだ。
 粗方獲物も仕留めたところで、最後の仕上げといきますか。
 耳掻きをくるりと上下に反転、匙の反対側についてるふわふわしたヤツ(名前、なんだっけ?)を突入させる。
「ひゃっ」
 と小さい悲鳴。またも狙わずして目論見達成である。ここは敢えて聞こえないふりをし、作業に集中する。
 折角なので最初はもそもそとゆっくり動かし、後からくるくるくるっと攻める緩急をつけた動きにしてみた。
「ほい、こっち終わりー」
「ん」
 と言って彼女が身を起こす。
 僕もそれなりに集中していたせいか少し首が疲れていたので、ぐるぐると回してコリをほぐした。
「やー、しかし結構取れたなあ。どれどれ」
 と、収穫物を改めて確認しようとすると。
「こら、見んな」
 横合いからさっと彼女の手が伸び、ブツの乗ったティッシュを奪い取って即座にくしゃりと丸めてしまう。
「別に隠す事ないじゃん」
「ヤなもんはヤなの。いいからもう片方もお願いね」
 と言ってさっきとは反対向きに僕の膝に頭を乗せる彼女。
 わざわざ体を入れ替えてくるあたりは、一応は恥じらいというものを意識しているようだ。
 そして僕は更なる面白反応を引き出してやろうと密かに胸に誓いながら、再び耳掻きを手に取った。
738癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 02:51:15 ID:rb+P6r3y
というわけでお終い

ちょっと中途半端かもしれないとは投下が終わってから気付いた
アイデアをくれた>>729氏に激しく感謝(単に人様のアイデア掻っ攫っただけとも言う)
あとなんか余計な電波まで受信してしまった気もするけど、きっと気のせい
つーか、してやる側の視点だとあんまり気持ち良さが伝わらないような……というのは書き終わってから気付いた
でも書いちゃったからこのまま投下
反省は少しだけしてる

あと彼が梵天って名前を知らないのはそういう馬鹿なキャラだからなんです、と一応補足
決して作者が知らない訳じゃないよ! ないよ!

という訳でお粗末様でした
なんかgdgdでさーせん
739癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 04:10:25 ID:QvdwxYfS
ありがとう。素晴らしいです
気持ちいい
740729:2009/06/10(水) 07:01:58 ID:PbpdU8Ow
>>730 GJ過ぎる…もう読んでて顔がにやけ放題(*´д`)たまらん…
たったの5行の文からそこまで想像力活性化してくれるだなんて…
しかも一晩で(`・ω・´)こちらこそ730氏に激しく感謝!おつかれさま!
741癒されたい名無しさん:2009/06/10(水) 14:50:43 ID:vL7uOA1r
ちょっと耳かき取ってくる
742癒されたい名無しさん:2009/06/11(木) 10:25:07 ID:0jADuXWQ
>730
乙!おもしろかったー。
>736後半は読んでて妙に納得した。現実は耳かき小説のようにはいかないよね…。
もしかして以前男の友人同士の耳かき小説書いた人かな?
743癒されたい名無しさん:2009/06/11(木) 16:51:27 ID:VKuKRxAV
>>742
な 何故わかった……!?

と言いつつも正直文体とか全然変わってないし、ばれても全然不思議じゃないね!\(^o^)/
「まるで成長していない……」を自ら体現してしまった俺でした

そんな訳で感想くれた人達thxでした
正直手抜きだからもっとスルーされるかと思ってたぜ
744癒されたい名無しさん:2009/06/11(木) 19:55:34 ID:se1LiZez
良かった
745癒されたい名無しさん:2009/06/11(木) 20:37:56 ID:CPWff+WD
おおう?新作来ていたのか
寝る前に読むか
746癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 00:59:30 ID:A2IYHDFg
GJJ!
747癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 01:06:10 ID:dVB4uW0r
は〜、癒える。
748癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 03:41:14 ID:cKdxs97Q
男のキャラになごんだ〜…
749癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 06:49:37 ID:9BNNOTBq
うをっ!朝っぱらから癒されたよ!乙!
750癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 11:55:44 ID:a3duiAhn
そういえばこのスレ的には厳しめな感想って有りなのかしら
あくまで癒しが欲しいという前提があるから、荒れる原因にもなりかねない感想は御法度なのかなぁと思う一方
癒しというジャンルの中で更なる高みを目指そうって猛者にはそういうのも必要なんじゃないかとも思う
読者諸氏は勿論、名乗りは上げなくても良いんで書き手の人達からも軽く意見くれると嬉しい
751癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 14:35:48 ID:0nOAPbar
充分ありですが
752癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 15:13:45 ID:mA2Chrmb
ここで、ルール決めんでも作者さんが文末に「批評よろしく」とか書いとけば済むのでは?
753癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 16:29:11 ID:bzkkRQL/
>743
今見てみたら2年近く前だったのね。
743さんの耳かき小説好きなので時々読み返してたからなんとなくわかりました。
754癒されたい名無しさん:2009/06/12(金) 19:10:17 ID:a3duiAhn
>>752
いや、別にルール決めようってんじゃなくてさ
作者本人は良くても別の読者がそういう批判的なのに反発して、作者置いてけぼりで喧嘩始めたりって事例をよく見るもんでね
勿論「批評よろしく」って書いてあればそうはなりにくいけど、じゃあそうでない場合にはそういう感想はNGなのか? と
まぁそういう訳で、それぞれがどう思ってるのかってのを軽く知りたかったんだ
755癒されたい名無しさん:2009/06/13(土) 02:05:18 ID:htx1Gz87
ひとつわかるのは、
作者があんまりでしゃばり過ぎると
どっかの時点でウザくなるということ。
756癒されたい名無しさん:2009/06/13(土) 02:45:20 ID:yGWFsTCW
なんか都合悪かったか?
こんな物言いするって事はよほど××なんだなw
757癒されたい名無しさん:2009/06/13(土) 02:49:17 ID:3rTNi8HG
耳掻きごときで喧嘩すんなよ
758癒されたい名無しさん:2009/06/13(土) 13:45:45 ID:toN6eWdW
どーだっていいよ
くだんねー事につっかかるなっていう
だれがとは言わないけどね
759ねこずきん:2009/06/14(日) 12:14:02 ID:xFPyEqrZ
うにゃん
760癒されたい名無しさん:2009/06/14(日) 22:23:22 ID:lZCsLoZ4
756 名前:癒されたい名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/13(土) 02:45:20 ID:yGWFsTCW
なんか都合悪かったか?
こんな物言いするって事はよほど××なんだなw

758 名前:癒されたい名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/13(土) 13:45:45 ID:toN6eWdW
どーだっていいよ
くだんねー事につっかかるなっていう
だれがとは言わないけどね


これはまた見事にアタマ悪そうな…w
761癒されたい名無しさん:2009/06/15(月) 00:16:09 ID:yxL82f8N
えっ
>>758って>>756に対するあれなんじゃないの?

どっちにしろいちいち煽るのはどうかと思う
762癒されたい名無しさん:2009/06/15(月) 09:26:35 ID:Rfz9xDhG
>>758がよほど頭にきたようだが、それって自業自得だろ
763癒されたい名無しさん:2009/06/15(月) 11:34:26 ID:aTkUiAEr
まぁまぁ、皆、もちついて耳かきでもしようぜ

 ○  
(し-* 
  ̄  
764癒されたい名無しさん:2009/06/15(月) 14:59:37 ID:R2LhpmH+
>762
得意気にレスしてるとこ悪いが、誰に向かってレスしてんの?
てか誰に言ってるにせよ、
オマエの脳内で設定した事に自業自得だろとか…。
そうやって自己完結して生きてんの?
765癒されたい名無しさん:2009/06/15(月) 17:25:29 ID:yxL82f8N
皆いったい誰と戦っているんだ……
766癒されたい名無しさん:2009/06/15(月) 19:46:04 ID:TEHhkl52
何でこんな流れになってるんだ
767癒されたい名無しさん:2009/06/15(月) 20:29:09 ID:irDNc5I7
変なAA書き込む人が来てからヘンな流れになったんだ。
768癒されたい名無しさん:2009/06/17(水) 16:20:51 ID:SFRKkxjP
とりあえずあれだよ
もっと妄想垂れ流そうぜ、上手くいきゃどっかの書き手に燃料はいるかもしれん
拉致られて目隠し拘束され、何をされるのかと戦々恐々としていたら新型耳掻きのテストだったとかさ
769癒されたい名無しさん:2009/06/17(水) 16:50:39 ID:qtWM6g2l
まあ能力無い奴は半端に反撃すると作者当人に迷惑なだけだな。
厨だから自分慰めて得意になって愉快そうだけど。
770癒されたい名無しさん:2009/06/17(水) 22:57:04 ID:OmXHap4u
おやおや。また涙目の坊やがw
能力(笑)、反撃(笑)、得意になって愉快(笑)…
泣きながらネチネチ考えてその辺りの煽り文句にたどりついた
771癒されたい名無しさん:2009/06/17(水) 23:10:24 ID:Czt7L8ko
リクエストしてみる

普段から耳を掻かずにはいられなかったんだけど、
何かの事情で長い間できなくなって、久しぶりに耳掻きしてみると・・
みたいなのが読みたいっす
772癒されたい名無しさん:2009/06/18(木) 14:40:12 ID:3TVHdR8u
どういう流れで喧嘩してるのか理解できない
本当におまえら誰と戦ってるんだ
773癒されたい名無しさん:2009/06/18(木) 20:56:21 ID:lFSiQfQL
蒸し返すバカが参戦しました
774癒されたい名無しさん:2009/06/18(木) 21:33:42 ID:WalvAbA0
>>769>>770も喧嘩せずに耳掃除でもしようぜ
775癒されたい名無しさん:2009/06/19(金) 14:20:30 ID:4ynB+Fvx
自分で耳掻きする文章もそれなりに癒されるんだけど、他人に耳を掻いてもらう文章はさらに癒される
776癒されたい名無しさん:2009/06/20(土) 00:20:23 ID:mb3kXVgC
耳かきもいいけど、マッサージものが読みたいな。足裏ぐりぐりで痛気持ちいいみたいの。
777癒されたい名無しさん:2009/06/20(土) 07:04:38 ID:Lbi/3XBI
トリプル7癒しの小説売り
778manabu ◆0MNfpQMUag :2009/06/20(土) 17:27:01 ID:BbGvpdqv

 ○ 埼玉の違法サービスの耳掻きサロンの
(し′摘発は何だかな…
  ̄

 借金のカタにムリヤリ耳掻き嬢にされるとか…

 冴えない女性だが、異常に耳垢の溜まりやすい体質のため、マニアックな男性に見初められるとか(ライバルは偽の耳垢を詰め込むがアッサリばれる…)

 古い銀の耳掻きに江戸初期の伝説の耳掻き師の魂が宿っていて、いったん手にした者は、その技と魂が乗り移るとか…


 ○ ムフ〜
(し-*
  ̄
779癒されたい名無しさん:2009/06/20(土) 18:00:08 ID:aQXkmHuz
バカですか?
単純に偽りの看板で性サービスしてたカスが
風営法違反で逮捕されただけだろ。
780癒されたい名無しさん:2009/06/20(土) 18:42:21 ID:3PZoP8Ay
なんでそう煽るかなー
気に入らないならNGに放り込んでおけばいいじゃない
てーか俺が既にNGに入れてたから>>777へのレスかと思って「?」ってなったじゃん
カリカリすんのは耳だけにしようぜ
781癒されたい名無しさん:2009/06/21(日) 01:12:47 ID:M1QW7QRx
なんだいつものアレなコテハンか
782癒されたい名無しさん:2009/06/21(日) 01:21:05 ID:+gNcj73s
これだけ過疎ってるのにクソコテが張りついてるスレも珍しいな
783ねこずきん:2009/06/21(日) 01:38:36 ID:JHW+T/Ml
にゃん
784癒されたい名無しさん:2009/06/21(日) 12:57:16 ID:QYbbG3jr
こいつもうぜぇ
785癒されたい名無しさん:2009/06/21(日) 18:36:48 ID:fsDHJhCZ
同じカスなんじゃないの?
786癒されたい名無しさん:2009/06/21(日) 19:14:36 ID:THtKfydR
言い返したいだけの奴と人の相手ができない欠陥
どっちも論外。
787癒されたい名無しさん:2009/06/21(日) 20:02:55 ID:FFg+OfUM
食い下がるなよw
788癒されたい名無しさん:2009/06/22(月) 15:51:08 ID:gSRbSe07
789癒されたい名無しさん:2009/06/22(月) 22:08:30 ID:cnl6B8lq
>788
>784
7901/2:2009/06/24(水) 16:48:57 ID:0mkdZrKd
「夢」 >>95-106
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(コピペ・台湾耳かき) >>613-616

「雨の日の午後〜安寅と紘一」 >>641-642,>>644,>>661-663

「あささんと僕の日常 」 >>708-711,>>713


抜けてたらスマン
792癒されたい名無しさん:2009/06/24(水) 20:33:29 ID:uFZDl5/r
超乙!!
793癒されたい名無しさん:2009/06/24(水) 20:48:04 ID:p6j1iPEI
乙です!
素晴らしい!!
794manabu ◆0MNfpQMUag :2009/06/24(水) 20:50:07 ID:rozE5Bzw

 ○ 今月号の「まんがくらぶオリジナル」の
(し′7ページに膝枕の耳掻き場面あり!
  ̄
795癒されたい名無しさん:2009/06/24(水) 20:54:35 ID:V17b7CT5
すべての作者さんと>>790に感謝
796癒されたい名無しさん:2009/06/24(水) 22:20:02 ID:2DieV270
作者別まとめか、GJすぎる
797海のしずく 1/2:2009/06/25(木) 13:51:10 ID:0tTJVBPw
>790さん まとめて下さってありがとうございます。


【金魚のマッサージ屋】

夫が子供と車の試乗に行ってきたのだが、金魚を持って帰ってきた。8匹。

ディーラーのサービス企画の金魚すくいなので、すくっただけ頂いてきたのだ。
去年使った水槽を引っ張り出し、水を整え入れてやると気持ちよさそうにすらすら泳ぎだした。

ろ過装置は付けたが少し酸素が足りないようで、水面であえいでいるように見える。
そこでこれまた去年の残りの「酸素の出る石」を放り込んでみた。

石から出る酸素の泡粒を、金魚があの口でぱくぱくっと食べるのがおもしろい。
それを見てふと思い出したのだが、ドクターフィッシュ、と言われる魚がいる。
あれで足をつつかれると気持ちいい。金魚でもつつかれると気持ちいいのだろうか。


「ではその水槽に横たわってください」
大きな金魚は無表情でまばたきもせずに言う。金魚にはまぶたがないのだ。

「ちょっとお体を調べます」
数十匹いる小さな赤い金魚が、全身をつつき始めた。
あーくすぐったいーー、と僕は身をよじらせる。

「左肩の凝りがひどいですね。あと右腰も、ほっとくとギックリになりますよ」
大きな金魚は小さな金魚に何やら指示を出すと、海パン姿の僕の耳元で重々しく言った。

水槽は浅く水が張ってあり、頭・腰・足の部分にふわふわした水枕が置いてある。
その上に横たわっていると、なぜかとても懐かしくてほっとした気持ちになってくる。
半分水に浸かった耳にちゃぷちゃぷと波のような音が聞こえてくる。
水温は少し冷たいが、そのうち気にならなくなってきた。

「でははじめましょう」
その言葉と同時に、金魚たちは一斉に僕の体にむらがった。
わーー、と声が出そうだが我慢する。
以前ドクターフィッシュの足マッサージは受けたことがあったが、金魚ははじめてだ。
同じコイ科だから同じようなものか、と思っていたが、金魚の口のほうが大きいので
当たりが柔らかで、かつ吸われる感じがなかなか気持ちいい。

はじめはくすぐったさが勝っていたが、慣れるうちにほどよい刺激が眠気を誘う。
体全体に微弱電流が走るようにじーんとしてきた。
たくさんのまるい口が、凝り固まった肩をついばんでは離し、ついばんでは離し・・・
そこを時折りなめらかにあの大きな金魚がさすってくれる。
そして尾びれを使って、ぐーっとツボを押してくれるのだ。
人の手とも機械とも違う、独特の感触がたまらない。
その間もつんつんつんつんと絶え間なくいくつもの口が、体中をついばんでくる。
あぁ、もう寝てしまう・・・
798海のしずく 2/2:2009/06/25(木) 13:52:42 ID:0tTJVBPw
ふと、右耳が塞がれた。
驚いたことに、耳の中まで小さな小さな金魚が入ってきていた。
水でふやけた耳垢をつついている。

硬い耳掻きとは違い、柔らかななんともいえない感触で、ツンツン 少しずつ口ではがしては奥へ、
はがしては ペリ 奥へ クリッ ペリッ クルクルッ 身を捩じらせて中へ中へ 

そんな中へ入っちゃだめだよ と心の中で言ったが
「大丈夫です。かなり汚れているようですから、お任せください」

くるくると回転しながら出てくると、その小さい小さい金魚は今度はすいっとすばやく
左耳に潜り込んだ。またペリペリと音がする。普段は怖くて触れない耳の奥まで
行くと、ぐーっと体を押し付けて耳を吸ってくれる。
クリクリ、とまたそこで回ると、耳に入った水で中が洗われていく。
スポッと音がして、突然耳の聞こえがよくなった。

その間もずっと体中はマッサージが続いている。
うなじのあたりをつついていた金魚たちは、今度は髪を吸いにきた。
絶妙な力加減でひっぱられると、なんともいえず気持ちがいい。
その内の数匹が、頭皮をトントンと叩くように刺激してくる。
髪の中をジグザグに泳いでは頭をつつき、やさしくやさしく洗ってくれる。
きゅーっと髪を引っぱり、離してはまた引っぱり、たゆたう水の中で一瞬気を失う。

すぐ目を醒ますと
手の指、足の指を一本ずつ丁寧に吸われて、頭がジーンとしびれて
大きな金魚が腰のツボを押している
あー、そこ そこ効くよ やっぱり凝ってるんだなぁ 
「体がゆがんでいるのですよ。時々は通ってください」
わかりました こんなにきもちいいなら またきます

こんな金魚のマッサージ屋があればなぁ、と妄想にふける午後であった。
799癒されたい名無しさん:2009/06/25(木) 17:48:57 ID:C1Irpa37
>>797
こういうファンタスティックなのもいいですね
腰のツボのあたりの描写が特に好きです。
有難うございました
800癒されたい名無しさん:2009/06/25(木) 17:52:56 ID:AbzLZX53
金魚耳かきイイ!
しかしまたガチホモか
801癒されたい名無しさん:2009/06/25(木) 18:20:33 ID:4jELx60G
ボクっ娘イイ
802癒されたい名無しさん:2009/06/26(金) 22:08:42 ID:AXRNbB44
耳かき物とマッサージ物が同時に読める小説を密かに希望してたのですごく楽しめた。GJ!

遅レスだけどやる側視点で書いてくれた方もGJ!
803癒されたい名無しさん:2009/06/27(土) 01:13:14 ID:a8rSR5lv
新作来てた!
頭のマッサージのところがたまりません
804海のしずく:2009/06/27(土) 11:29:30 ID:T5VrMwDP
GJありがとうございます。
最初はマッサージされる側は女性の設定で書いていたのですが
どうにも気恥ずかしい感じにしかならないので、海パン男視点になりました。
何箇所か書き直したい所もありますが、これはこれと言うことで。

他の皆様の作品もツボ押し器片手に気持ちよく読ませて頂いてます。
少しリクエスト。別スレ「お客様、どこかお痒いところはございませんか?」
にあるような美容院・床屋・ヘッドスパ体験等を元にした、
「あーもっとやって欲しいのに」のその先の話がぜひ読みたいです。
自分の行っている所はマッサージ短いのでいつももどかしい為、小説で補完したいです。
それでは読んで頂きありがとうございました。
805癒されたい名無しさん:2009/06/28(日) 22:59:39 ID:d6F8O0kU
たん
806癒されたい名無しさん:2009/06/29(月) 00:22:35 ID:0VJ0UxJv
そだね・・・女性だと性的な物が混じっちゃうから男でよかったと思う
なんにせよGJ、保存しました
807癒されたい名無しさん:2009/07/04(土) 21:10:33 ID:HonXknjv
保守
808癒されたい名無しさん:2009/07/13(月) 17:24:27 ID:Gtsy43cR
>>738
遅レスですが、もしかして二次創作のサイト持ってる方ですか?
809癒されたい名無しさん:2009/07/19(日) 08:27:23 ID:7T6arwJY
耳かきSSを見つけた。東方Projectに抵抗の無い方はどうぞ。
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215690010&log=57
810癒されたい名無しさん:2009/07/19(日) 13:53:45 ID:Np5FFdIA
いや見つけたて・・・・
811癒されたい名無しさん:2009/07/20(月) 02:57:40 ID:4vxfe44m
>809
なかなか。
二次は単にキャラをいちゃつかせたいだけってのも多いけど、
たまにこういうのがあるから油断ならん。
812ねこずきん:2009/07/20(月) 10:10:44 ID:rggpMSHR
みみがかゆいにゃん
813癒されたい名無しさん:2009/07/20(月) 19:33:13 ID:ely1jke6
ねこずきんちゃんいらっしゃい♪
ゆっくりしんでね!
814癒されたい名無しさん:2009/07/21(火) 20:42:52 ID:s6XV7MbD
>>809
もっといい加減な(って言うと失礼だが)SSだと予測してたが
開いてみたら普通に上手くて参った
世界は広いなぁちくしょうご馳走様でした
815癒されたい名無しさん:2009/07/28(火) 02:15:18 ID:vwhD8k80
age
816癒されたい名無しさん:2009/08/02(日) 20:19:21 ID:qIGEJOXA
二次SSだけどこれも良かった
ttp://inaken1.web.fc2.com/ss/sos03_01.html
817癒されたい名無しさん:2009/08/02(日) 23:21:56 ID:W/ievNFo
つか何で晒しスレになってるワケ?
818癒されたい名無しさん:2009/08/03(月) 03:38:15 ID:O1ytKqVl
こういうのは晒しとは言わんと思うぞ、普通w
個人製作のフリーソフトや小説の紹介・レビューを趣旨としたスレなんぞ幾らでもある
勿論ヲチ板じゃなしにな
819癒されたい名無しさん:2009/08/03(月) 21:26:53 ID:CmppThA5
>817
バカなの?
820癒されたい名無しさん:2009/08/03(月) 22:52:26 ID:65URkWOO
>>1
>ここは癒しの小説売りが作品を投稿するスレッドです…


というわけで
外部から引っ張ってくるのはどうかと思うよ。
821癒されたい名無しさん:2009/08/04(火) 00:02:25 ID:qjq2FXlx
それはそうだ。
だけどね大佐、最近投稿してくれる方が減ってスレが閑散としているのも事実ですぜ。
822癒されたい名無しさん:2009/08/04(火) 19:01:30 ID:sJRJfgM0
個人的な要望として余所の小説紹介は許容して欲しいです。
そもそものコンセプトが「余所にはなかなか無いから自給自足しよう」って感じだったよね?(うろ覚え、間違ってたらごめんなさい)
その自給自足が間に合わないなら、他の所から発掘してくるのも有りじゃないかな、と思うんですが。
823癒されたい名無しさん:2009/08/04(火) 21:33:18 ID:WA7yYmU/
作者さんが現れたときに
マターリと作品を投下できるスレであって欲しい。
ただurlが貼られているというのも寂しいね。
夢花火さんはお元気だろうか。
824癒されたい名無しさん:2009/08/04(火) 23:37:27 ID:Nfi5Q9O3
よそだと勝手な紹介とか陰口の助長にしかならん。
最低限の仁義はあるべきだろ。
825癒されたい名無しさん:2009/08/06(木) 04:55:07 ID:hobi2buu
今んとこ陰口の類は見当たらないし、そもそもこんなどマイナースレの陰口とか気付かれない気もするけど・・w
でも>>823には同意、やっぱり投下はされて欲しいよね
まあ適度にバランス保ちながらやっていければいいんじゃないでしょうか
826癒されたい名無しさん:2009/08/06(木) 23:54:57 ID:LqDhh5z3
>824
意地になるなよ・・・
827癒されたい名無しさん:2009/08/08(土) 01:37:19 ID:QuHMh/IG
○●○創作文芸板競作祭・夏祭り2009○●○

「おい、そこの君、小説で喧嘩しないか?」
夏に関する作品を書く競作祭です。
テーマ……夏
会 場……「アリの穴」 http://ana.vis.ne.jp/ali/index.html
枚 数……3枚〜32枚(アリの穴表示換算)
日 程……投稿期間  8/16 (日) 0時 〜8/19(水) 23:59:59 まで
       感想期間  1作目投稿 〜8/23(日)21:59:59 まで
・作者さんは感想期間中、自作の感想欄に他者の作品の中からベストスリーを選んで投票してください。
 読者賞とは別に作者賞を選出します。(1位:3点、2位:2点、3位:1点)
・記名投稿・枚数超過は参考作とします。
・一人一作限定
・得点はアリの穴に表示される得点を採用します。

◎備 考
・内容説明欄に「創作文芸板夏祭り2009」と入れて下さい。
・作者さんは他作品へできるだけ感想をお願いします。みんなで祭を盛り上げましょう。
・優勝しても何ももらえません。
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bun/1249563003/

祭りの歴史
http://soubun.s370.xrea.com/
ここからプロになった奴ら多数。

数十人規模の祭りが開催されます。
どうだ?腕に覚えのある奴はいないか?
3枚で優勝できるかもしれないぞ。
828癒されたい名無しさん:2009/08/08(土) 02:54:27 ID:yDIQQnIE
流石にそれはスレ違いどころか板違いな話題じゃね?
ここの住人は純粋に小説を書きたい・読みたいって訳でもないだろうしなあ
我々が求めているのは癒しであって、技巧やら何やらじゃない気がする
829癒されたい名無しさん:2009/08/08(土) 03:11:01 ID:1t2YYC38
どーせマルチだろう
830部屋と君と耳かき(1):2009/08/09(日) 19:27:12 ID:fIuc7bzV
部屋と君と耳かき

耳って掃除するものとは思わなかった。
母親が掃除してくれたこともないし、
家族が耳かきしてるところを見たこともないし
小学校のプール開きの前の身体検査で引っかかっても
耳鼻科に行って医者に耳垢を取ってもらって終りだった。
中学高校大学社会人、耳かきが友人たちとの話題に上ることもないので
何の疑問もなくその日まで生きてきた。
アパートの契約が切れた彼女が私の1Kアパートに転がりこんでくるまで。
「しばらくおいてね。次の部屋が見つかるまでだから。」
「いいけど、ここは狭いから君の家具や荷物を入れたら寝る場所がなくなる」
「大丈夫。身一つで来るから。」
その夜、言葉通り彼女は私の部屋のドアを叩いた。
玄関を開けると小柄な彼女にしては大きめの旅行かばんを肩からずり下げ
「よろしくね」と言った。
831部屋と君と耳かき(2):2009/08/09(日) 19:28:36 ID:fIuc7bzV
彼女は荷物を整理するといってかばんの中身を開け始めた。
「手伝うよ」といったが彼女の荷物は本当にシンプルで
何枚かの服をハンガーにかけたら終わってしまった。
あとは読みかけの本と化粧品。
ふと見ると化粧ポーチのほかにも鞄の底に大き目の紺色のポーチがあった。
彼女以外の女性とロクに交際したことがない私は女性の持ち物がよくわからない。
一体何が入っているのだろう。ついポーチを凝視してしまう。
私の視線に気づいた彼女が
「あ・・・そうだ」と思いついたように言った。
「前から思ってたんだけど・・・あなたにしてあげたいことがあるの」
そしてさっきの紺色のポーチを胸元に持ってきて
「というより、私がさせて欲しいこと、かな」
恥ずかしそうに彼女がはにかむのを見て私は邪な想像に胸が高鳴った。
「ね、横になって」
彼女は自分の膝をポンポンと叩いた。どうやら膝枕をしてくれるらしい。
「そんなんでいいの?ハイハイ」と私は右側を上にしてゴロリと彼女の膝にころがった。
彼女の膝頭が目の前にある。柔らかくて温かい感触に思わずにやけてしまう。
実は記憶にある限り人生初の膝枕だった。
彼女の指がそうっと私の耳に触れやさしく耳たぶをもみ始めた。
少し強弱をつけあくまでも優しく。軟骨の窪みにそって指が滑っていく。
気持ちいい・・・。
結婚っていいな、毎日仕事で疲れてもこんな風にされたら・・・
うっとりしていると彼女の指が私の耳たぶから離れガサゴゾと硬い布が擦れる音がした。
832部屋と君と耳かき(3):2009/08/09(日) 19:31:11 ID:fIuc7bzV
ん?と頭を持ち上げて見ると彼女は
先ほどの紺色のポーチに巻かれていた紐を解いて広げている。
改めて見るとポーチというより幌布で出来たそれは大工や美容師など職人が使うような
ポケットが連なったような道具入れだった。
そのポケットには沢山の・・・竹や金属で出来た細い棒や綿棒・ピンセットや白いホワホワした
毛のついた棒などが入っており、それらを取り出して冬から出しっぱなしの炬燵の上に丁寧に並べている。
私の視線に気づくと
「ん?梵天好き?」と言ってその白いホワホワの棒をコタツの上にある炊飯器の上に置いた。
何しろ狭いので炬燵の上には電子レンジや炊飯機やらがあって空きスペースはわずかしかない。
「ほら動かないで」
ポンポンと軽く押され私の頭は彼女の膝の上に設置された。
彼女は私の耳たぶを引っ張り無言で耳を覗き込んだ後少し間をおいていった。
「・・・ねえ、最後に耳掃除したのいつ?」
「え?耳掃除なんてするの?」
沈黙が流れた。
私は正直に今までの私の耳に関する全てを話した。
彼女は
「じゃあ私がお医者さん以外で初めてあなたの耳を触るのね、うん大丈夫よ。」と嬉しそうに言った。
何が大丈夫なのかわからないが6年生の時以来十数年放置された私の耳を彼女にまかせることにした。
833部屋と君と耳かき(4):2009/08/09(日) 19:34:58 ID:fIuc7bzV
最初に細い竹の耳かきが入り口付近を掻きはじめた。
先端が紙のように薄い小さな匙が耳のカーブに沿って動く。
サワ・・・サワ・・・カサ・・・カサ
き、気持ちいい・・・。思わずまどろんでいたが
バリッ!っというくぐもった音と衝撃を感じて目が覚めた。
「ごめんね、痛い?」
「痛くないけど音が」
「そうよね、ちょっとガンコでコレじゃ無理だわ」
彼女は小瓶を取り出すと何かローションのような液体をビンの蓋についたスポイトで耳の中に垂らした。
うわ、奥に垂れてくる?と構えたがそんな感じはしない。
「ふさがってるからねーー」
歌うように言うと彼女は私の耳をもみはじめた。
なんだろう。今まで耳の中が痒いなんて感じたことなかったが
彼女の手に包まれて揉まれて耳全体がぽかぽか温まってくると
なんだか耳の中に痒みや異物が入っているような違和感を感じるようになった。
「そろそろいいかな」
再び薄く削られた竹の先端が耳に入ってくる・・・
834部屋と君と耳かき(5):2009/08/09(日) 19:37:32 ID:fIuc7bzV
シャリ。
音がさっきと違う。
先ほどは乾燥しきっていたのが
今度は何か湿り気を帯びてるような音と振動が感じられる。
シャリ・・・シャリ・・・彼女は少しずつ少しずつ耳かきを移動させて
耳の壁にこびり付いた「異物」をはがそうとしている。
ジャリと少し大きめの音が起こるたびにチリチリと痒いような小さな痛みが生まれる。
「毛をガッチリ巻き込んでるからねー」
どうやら毛がひっぱられて抜けるときの痛みらしい。
「そんなにオレって耳毛生えてるの?」
んーと生返事をしながら彼女は黙々と作業を続けた。
「耳の外からも見えるくらいワッサワサ生えてるよ。知らなかったの?」
切削作業を続けていた竹の耳かきが抜き去られた。どうやら異物と耳の接着面をすべて剥がしたらしい。
次に彼女が手にした先の細いピンセットが耳の中に入ってきた。
ガサッゴソッ・・・バリ・・・ガサ
自分にはまったく見えないのだが大きな音がしてなんだか怖い。
耳の壁のあちこちに何かが当たるたびに音が反響する。
もしや鼓膜が破れてしまったのか?!自然と体がこわばってしまう。
やがてピンセットはゴゴゴゴと盛大な音を立てて引き抜かれた。
「ほら」
黒い紙の上に乗せられた「それ」は・・・
835部屋と君と耳かき(6):2009/08/09(日) 19:39:16 ID:fIuc7bzV
耳の内側の形のまま厚く何層にも重なった耳垢だった。
薄汚い色をして一部が黄色くなり一部は半透明・・・よく見ると抜けた耳毛がついていて
まるでその大きな耳垢から毛がフサフサと生えているようだ。気持ち悪い・・・
彼女はその黒い紙を私の目の前の床に置くと耳にまだ残っている
残骸を取り出し始めた。
ピンセットでつまんでは先ほどの塊の横に細かい残骸を置いていく。
黒い紙の上に汚い耳垢が淡々と並べられているのはゾクゾクする光景だ。

これは予想もつかないことであった。
医者で耳垢を除去されたときも実は耳垢そのものは目にしていない。
いや、医者は見せようとしたのかもしれないが自分にとってそれは
「これでプールに入れる」手続きぐらいにしか感心がなかったのだ。

ピンセットで一通り取ると今度は再び竹の匙に持ちかえられて
耳の壁をコソコソと短いストロークで引っかき始めた。
そして匙の先についた細かい粉をまた黒い紙の上に加えていく。
小さな残骸と足すと最初の耳垢と同じくらいの量があるんじゃいかと思うほど
粉は黒い紙の上に積もっていった。
よく見ると粉を運んでいる竹の耳かきが最初のものと微妙に形が違う。
836部屋と君と耳かき(7):2009/08/09(日) 19:41:34 ID:fIuc7bzV
「あれ違う耳かきなの?」
「あ、わかった?」
彼女曰く「最初のはこびり付いた垢をはがすのにいいように先端が小さくて薄いの。
今使ってるのはすくった粉が落ちにくいようにスプーンの部分がちょっと深いのよ。」
耳かきってそんなに色んな種類が売っているのか・・・と思ったら
「自分でヤスリで削って加工したの。なかなか思い通りの耳かきが売ってなくて・・・」
その言葉に私はふと冷静になった。
耳かきを加工・・・そこまでするのか?

彼女の耳かきの技術はすごいとは思うがそこまでするのは普通なんだろうか。
大体あんなに荷物が少ないのにこの耳かき道具はしっかり持ってくるっていうのはどうなんだろう。
ローションや折り目がついた黒い紙まで用意されていた。
あんなに服も少ないのに。化粧品より耳かき道具の方が大きい女って?
でもあまり女を知らない故に彼女が普通なのか、それとも変なのかわからない。
目の前にならんだ汚い己の耳垢を見ながら胸の中になにかモヤモヤとしたものが動き始めていた。
837部屋と君と耳かき(8):2009/08/09(日) 19:43:20 ID:fIuc7bzV
「じゃあ最後ね」と耳元で囁かれた次の瞬間、
柔らかく熱いものが耳の中にズボリと入ってきた!
熱いのは一瞬で耳の中360度一度にホカホカとしたぬくもりでくすぐられた。
快感が全身を走り足先から脳を突き抜ける。
「はぅう!」
思わず快感の声が漏れた。
一度ボフッと取り出されたそれは再び中に入ってきてクルクルとかきまわされる。
ザワザワと全身鳥肌がたった。
「気持ちいい?」クスクスと笑い声が聞こえる。
そうだ、確か彼女はさっき「梵天」とか言って保温中の炊飯機の上に置いていた。
耳の中のこんな官能を20数年生きてきてはじめて知った。
なんて、なんて気持ちがいいんだ・・・
胸の中のモヤモヤはしおしおと消えてしまい、そのまま私は眠ってしまった。
838部屋と君と耳かき(9):2009/08/09(日) 19:46:32 ID:fIuc7bzV
次の朝。
彼女があり合わせで作ってくれた朝食を食べながら
ひょっとして昨夜、耳から出たあの汚物、あれは鼓膜なのかと聞いた私に
彼女はコロコロと笑った。
「あれはまだ入り口だけ。十年以上放置しててアレで済むわけないわ。」
続きは今夜だからね、と可愛らしく命令されてしまった。
左耳もあるしこれからが楽しみだとも。
それから次の週末もその次の週末も一向に彼女は新しい部屋を探す様子もないので
かわりに私が新しい部屋を探すことにした。
二人で住める広めの部屋を。
こうして彼女は妻になった。
日曜日、ベランダで遅い朝食の後、
妻に耳掃除をしてもらうのが私の至福のときである。
もちろん妻特製の耳かきで。


おわり
839癒されたい名無しさん:2009/08/09(日) 20:12:55 ID:NpGAnaPF
乙でした。
彼女に耳かきして欲しい。
梵天を暖めるのってやったことなかった。今度やってみる
840癒されたい名無しさん:2009/08/09(日) 20:30:25 ID:P0wtO2nF
投下ありがとう
気持ちいいなぁ、炊飯器が伏線だったとは
841癒されたい名無しさん:2009/08/09(日) 20:55:39 ID:9MgANBGg
気持ちええ…
投下感謝!
842830:2009/08/10(月) 00:24:44 ID:RyKY+Vdv
お読みいただきましてありがとうございます。
ホット梵天は簡単です。
PC本体の熱が出る所において暖めています。
梵天を2個用意して交互に暖めるといいですよ。
では失礼します。
843癒されたい名無しさん:2009/08/11(火) 23:43:39 ID:iI8v1a/q
気持ちよかったw
乙です
844癒されたい名無しさん:2009/08/13(木) 01:07:19 ID:uIiXJDhM
癒されたぁ〜乙。
「ん?梵天好き?」でなんか萌えた。
845癒されたい名無しさん:2009/08/13(木) 02:02:23 ID:l3laX9KB

耳かきの描写はもちろん、ストーリーもほのぼのして良い
846manabu ◆0MNfpQMUag :2009/08/13(木) 05:37:22 ID:9cfHCqsM

 ◎ ンフ〜! いいっスね!
(し-* ホット梵天!!
  ̄

 自分は、まだ耳掻きの上手い女性に出会った事がない〜
(やってあげるだけだ〜)

 実はさっきまでステンレスバネ線製から削りだしの耳掻きを作ってました〜
 両頭で市販品より遥かに細いモノで、片方は特別形状の迎え角度付き(縦断面形状がフック状)櫂先削りのヤツです

 いや〜、こんな方のために、カスタム耳掻き作りをしてあげたいな〜(「ピックスミス」?)
 イメージはゴルゴ13の銃カスタムのエンジニアみたいなカンジで〜
 「ベースはこれで、櫂先は薄めにして蜜蝋含浸仕上げ、船底には240番程度の横擦り目をつけて滑り止めに…」
 「薄めにすると言うことは、しなりは柔らかくするかね?」
 「…ああ、先調子で頼む…」
 とかなんとか…
847癒されたい名無しさん:2009/08/13(木) 15:31:29 ID:gTkURrAD
ここはお前の日記帳じゃないぞ
848癒されたい名無しさん:2009/08/13(木) 18:37:01 ID:oYK6EcNf
早くその日記を小説風に仕上げる作業に戻るんだ!
849癒されたい名無しさん:2009/08/13(木) 19:04:17 ID:Cd/2C4Gn
飴耳や濡らした耳よりもカサ耳オンリーのSSが読みたい
850癒されたい名無しさん:2009/08/14(金) 10:00:25 ID:hvM8gHr/
自分はカサ耳だから乾いた耳垢を耳掻きでカリカリ…という描写が好きだ。
でも夢花火さん作「花火」の洋子ちゃんの耳掃除のような、あめ耳を綿棒でクリクリ掃除してスースーするローションで仕上げ…という文章も読んでいて気持ちいいな。
851癒されたい名無しさん:2009/08/19(水) 02:34:14 ID:Cl4YFrGZ
あげ
852癒されたい名無しさん:2009/08/20(木) 01:58:43 ID:1i3EN7eb
昨日寝る前に思いついた耳かき小説の内容が思い出せない…
853癒されたい名無しさん:2009/08/20(木) 07:24:23 ID:9/W4t+9D
寝る前に考えてたアイデアなんて大概吹っ飛ぶもの。
ついでに言えば、例え覚えてても朝起きて冷静に考えてみると「やっぱこれは無いな」と思い直してしまうものでもある。
経験則だけど、とりとめのない事考えながら「あ、これいいかも・・・」っていう思いつきよりは
何かの拍子に突然「これだっ!!」って来た時の方が納得のいくものが書ける・・・気がする。
854癒されたい名無しさん:2009/08/20(木) 15:29:35 ID:Q5BgxjGr
改心の出来でなくていいから書いてうpしてほすい
855癒されたい名無しさん:2009/08/21(金) 02:03:58 ID:J/oiVv51
あげ
856癒されたい名無しさん:2009/08/23(日) 02:58:16 ID:ScJ7+9hk
支援あげる
857癒されたい名無しさん:2009/08/25(火) 00:26:11 ID:NGn3BuDJ
鼓膜を特製器具で引っ張ってたらちょっとちぎれて血が出ちゃったw
858癒されたい名無しさん:2009/08/25(火) 02:16:26 ID:53hV3D56
池沼は病院へどうぞ
859癒されたい名無しさん:2009/08/25(火) 02:41:56 ID:TvLzaoW9
860癒されたい名無しさん:2009/08/25(火) 19:51:51 ID:4Qb3ogdS
部屋と君と耳かき
が抜けてるよ
861癒されたい名無しさん:2009/08/25(火) 21:18:15 ID:xqmJitTB
まとめの後に投下された作品は抜けてるわさ
862癒されたい名無しさん:2009/08/29(土) 21:07:29 ID:37AVPEPY
あげ
863癒されたい名無しさん:2009/09/03(木) 23:11:02 ID:39pzV4x2
ああ、耳が、耳が〜〜
864癒されたい名無しさん:2009/09/04(金) 19:54:21 ID:EJloVXTF
リラックマをひざまくらで耳掃除したい……。
あ、これ書こうかな
865manabu ◆0MNfpQMUag :2009/09/04(金) 21:57:13 ID:UNwV2qhZ

 …… 昔、石森章太郎先生の隠れた名作「ボンボン」の
(いまはなき「ボンボンコミック」の初期にはこの作品の再録があった)
 先行読み切り作である「キヨちゃん」には、発明品で“くすぐったくない耳そうじ機”なんていう、アイテムがあったなぁ〜

 ○ 大きくて織機みたいな
(し′モノでしたが…
  ̄
866癒されたい名無しさん:2009/09/05(土) 02:09:57 ID:cEQ0HQyc
保守
867癒されたい名無しさん:2009/09/05(土) 20:58:11 ID:nY4hVhAI
>>864ぜひそのリラックマの話をお願いします!

あと個人的なリクですが、耳かき屋に行った人の話の物語とアザラシの赤ちゃんかアザラシの子供に耳そうじをする話をよろしくお願いします!(できればアザラシからの視点で)

本当にできればよろしくお願いします!では☆m(_ _)m

868癒されたい名無しさん:2009/09/07(月) 05:46:04 ID:8uKWYszv
I'm all alone now.
really all alone.
I was all alone until now.
It'll be the same starting tomorrow.
In the end, even if I try my best,
I just cause other peopel trouble, and nothing good ever happens.
I should have just kept on giving up like before,
without loving anyone!
869癒されたい名無しさん:2009/09/07(月) 07:33:03 ID:XK5d03DL
リクというか形にならん妄想があるんですよ
量産型ファンタジー世界で、ドワーフ職人製のミスリルな耳かきでエルフの長耳をカリカリしてみたい的な
しかしどう書いてもファンタジーっぽさが出せなくて投げ出した俺三流にわか作家
誰かこのお題に挑戦してみないか
870癒されたい名無しさん:2009/09/08(火) 03:21:58 ID:EPvhJtkI
↑下手でもいいから一応書いてみてよ〜☆
871癒されたい名無しさん:2009/09/08(火) 09:05:52 ID:BAsEhCsO
鼓膜に血管って通ってるの?
872癒されたい名無しさん:2009/09/08(火) 13:14:10 ID:thI4SeLF
もちろん
873manabu ◆0MNfpQMUag :2009/09/11(金) 20:42:49 ID:uCBptiO8

 ー*
874癒されたい名無しさん:2009/09/13(日) 01:03:04 ID:aZgzD17m
>>869
魔法の明かりで耳の中を照らしてみるとか
人間とはちょっと違う耳垢(色とか感触)とか
ゴーレムと感覚繋いで膝枕される体勢のままゴーレム操作して自分の耳かきするとか
味付け的な物ならあるじゃないか

そういえば「クレヨン王国」のシルバー王妃って耳垢も銀色だったなあ
875癒されたい名無しさん:2009/09/13(日) 13:01:27 ID:mL0KP5SP
>>874
三行目を思いつくユーのセンスに嫉妬
ぼくにはとてもできない

そんな妄想力有るなら書けよ!書いちゃえよ!書いてくれよ!
876癒されたい名無しさん:2009/09/14(月) 01:30:03 ID:zCR3yYyz
あげ
877癒されたい名無しさん:2009/09/14(月) 02:10:16 ID:QbQ6R9lg
サガ2リメイク記念にせんせいが奥さんの耳をねぶるお話はどうだろうか。
878癒されたい名無しさん:2009/09/14(月) 13:09:46 ID:TH3BZDEr
サガ2?
879癒されたい名無しさん:2009/09/14(月) 21:44:11 ID:CmTffnEI
秘宝伝説
880癒されたい名無しさん:2009/09/19(土) 08:59:58 ID:FrkCDppa
あげ
881癒されたい名無しさん:2009/09/21(月) 22:55:06 ID:Cchqa9ef
だんだん
882癒されたい名無しさん:2009/09/23(水) 23:51:28 ID:73c4fR/o
たん
883癒されたい名無しさん:2009/09/24(木) 01:36:31 ID:4zPsvHKC
初挑戦でいきなり長文、しかもリクエスト無視全開ですが投下 その1

 小さいころ、耳掃除といえば月に2〜3回くらいの小さな小さな楽しみだった。
夕食も済んだ土曜の午後8時40分過ぎ。母親の膝枕に生まれる前の胎児のように
ひざを抱え込むような姿勢で寝っ転がり、耳かきが入ってくるのを待つ。
風呂は夕食前に済ませていて、湯上りのさっぱりした感じの中で食事の味を楽しんだ後である。
隣には妹。
「次は私ね」
「はいはい、ちょっと待ってね。お兄ちゃんが終わったらしてあげるから」
ちゃぶ台を挟んでその奥には親父。丁度時代劇がクライマックスを迎える時間帯だ。
 耳を多少乱暴に引っ張られ、母は光を耳穴に入れ少しでも見やすいようにしようと
目論む。その様子を興味を持つか恐怖を感じているかは知らないが、覗き込む妹。
「あまり近寄らないようにね。危ないから」
「はぁ〜い」
「あら、おっきい耳垢・・・」
急に母が黙る。幼少ながら俺にも緊張が走る。聞こえているのは時代劇の殺陣で斬り合う
音だけだ。
「とれた!」
884癒されたい名無しさん:2009/09/24(木) 01:37:20 ID:4zPsvHKC
その2

 そこで目が覚めた。どうやら子供のときの夢を見ていたらしい。
俺は今大学生で一人暮らしをしている。部屋の中が妙に蒸し暑い。
当たり前だ。昨日最後のレポート課題を教授に提出し、意気揚々と
「今夜は夜更かしするぞ!」
と意気込んでゲームをやり込み、気がついたら夢を見ていた。ゲーム機もテレビも
電源が入っている。ふと画面を見ると主人公は哀れな姿で倒れており、
「GAME OVER」の文字が画面に現れている。
 今日から8月。学校は夏休みに入り、友人はみんな実家に帰省してしまっている。
俺も8月に入ったら学校休みに入るから、すぐ実家に帰ろうと思い、連絡を入れておいたのだが
試験から開放された安堵感も手伝い、昨夜は夜通しゲームをしてしまった。
 かばんに適当に荷物を詰め込み、実家へと戻る。本当は飛行機で帰りたかったのだが、
旅費が高くつくため、夜行バスで8時間かけて帰ることにした。時間を見るとまだ午前11時。
軽く荷造りをし、ちょっと早めの昼食を近くのコンビニへ買いに行き、また寝ることにした。
タイマーを午後5時ごろにセットし、ゲーム機の電源を切った。テレビはチャンネルを換え、
そのままつけっぱなしにしておいた。

 ちょっと早い4時ごろ目が覚めた。歯を磨き、ひげをそり、何気なく耳かきを取り出す。
子供のころ、母親のように自分ひとりで耳かきがしたかった。中学のとき初めて一人で、
耳かき片手に耳の中を冒険してから、俺は耳かきのとりこになっていた。
もちろんやりすぎないように個人的にルールは決めてある。
右耳は普段どおりといえば味気ないが、白っぽい粉状の耳垢が出てくる。ただ、暑さのせいで
耳穴が汗をかいているせいだろう。最初は黒っぽい湿った土のような耳垢が多かった。
 さて、左はどうかな?と思ってゆっくりと耳かきを穴に入れる。
カリカリ・・・コリコリ・・・
いつもどおりの耳と同じか・・・
コリコリ・・・カリコリ・・・カツン!
いつもと反応が違う。昨日まではこんなところにカツンというような音を立てるものは
存在しなかった。慌てて耳下記を抜き取り、首を縦に振ってみる。
カラカラ・・・カラカラ・・・
何か転がっているようだが、ある場所で止まっていてそのせいで耳穴から出られなくなっているのか?
耳の奥は痛いので普段は耳の奥までは絶対に耳かきを突っ込むことはない。それで気づかなかったのか?
ただ、どんなものがどれくらいの大きさでどのくらいの耳穴に詰まっているのかはわからない。
俺はできるだけ気にしないようにして食事を取り、夜行バスに乗るため荷物を持って部屋を出た。
885癒されたい名無しさん:2009/09/24(木) 01:38:02 ID:4zPsvHKC
その3 (ラスト)

 相変わらず実家に戻っても左耳は中でカラカラと音がする。
1週間前からは食事のときや普通に歩いているときでさえ、カラカラと耳の中で音を立てるようになった。
毎晩耳かきでそいつをつついているが、一向に今いる場所から動こうとしない。
 転機は突然訪れた。その日は適当につついても仕方がないと思い、先が細い耳かきを使って、
ゆっくりと左耳に入れ耳壁と例のブツの隙間に先を突っ込んでみた。
 ぐっぐっと先端を押し込み、これ以上はもう入るまいという位置で止め、耳の穴口に向かって
引き出すように何度か引っ張ってみた。意外にも耳の中では何も音がせず、出てくるような気配もない。
「今日も出てこないか・・・」
俺はあきらめ、寝ることにした。窓の外から該当の光が漏れる。実家の周りは大きな幹線道路が
新設され、その道路近辺には新しい店が軒を連ね始める。ゴロゴロと寝返りをするが、そのたびに
左耳からもゴロゴロと音がする。俺は左耳を枕につけ、そのまま朝まで動かずに寝てやろうなどと
無謀な計画を立てていた。
 そのとき、耳の奥から温まった水が一気に洪水のように押し寄せる感覚を得た。
「あちゃあ・・・」
耳を引っかきすぎて血が出たのか。それとも風呂の湯がブツと耳壁の隙間をぬって奥に
入っていってたのか・・・。あまり喜ばしい自体ではないのかもしれない。
 暖かい何かは耳の奥から耳の穴へとどんどん駆け下りてくる。と同時に、耳の中を何かが
転げているような感じもする。

 ポトン。軽く枕が鳴った。思わず顔を上げ電気スタンドのスイッチを入れる。
枕は濡れていなかった。
「よかった・・・。血が流れ出てたらどうしようかと思った・・・」
安堵して枕を見るとそこには、耳の穴と同じ大きさの熱をもった巨大な黒い塊。
三角形をしていて角のところは丸いものの、変の部分に相当する部分は完全に直線。
これじゃ転がって出てくることはないな・・・。さっき引っ張ったのが良かったのか・・・。
 その後時間も忘れてその塊をずっといじり倒したのは言うまでもない。
886癒されたい名無しさん:2009/09/24(木) 02:22:13 ID:UJg6V1H1
新作GJ! 実話っぽいなw
ラストが爽快だったよ
887癒されたい名無しさん:2009/09/24(木) 14:49:22 ID:kmeg4ODm
乙!わくわくしたお
巨大な黒い塊取りたいよー
888癒されたい名無しさん:2009/09/24(木) 21:45:30 ID:gH5m5OnP
投下サンクス
具体的でなんかゾクゾクした
889883:2009/09/24(木) 23:09:44 ID:4zPsvHKC
>>886さんのおっしゃるとおり、10年ほど前にあった実話を再構成して小説っぽくしてみました。
ただ、読み返してみると誤字が・・・orz
以後気をつけます。
890癒されたい名無しさん:2009/09/27(日) 15:18:40 ID:8ZJcFjVH
よかったけど
お母さんが最後やってくれると思ってた
891癒されたい名無しさん:2009/09/27(日) 22:04:57 ID:2wjMLcwI
たん
892癒されたい名無しさん:2009/10/05(月) 09:01:32 ID:RAiIaDCg
リクエスト・誰か>>838の続編(朝食の日のその夜)=そうじした耳の続き&もう片方の耳=全てきれいにする話を作って下さい!よろしくお願い致します!


私一番好きですが、やはり全部きれいにするところが見たいです。よろしくお願い致します!
893癒されたい名無しさん:2009/10/05(月) 18:10:13 ID:Am74qnSr
人のネタの続きを勝手に書くのはよくないと思うが
894癒されたい名無しさん:2009/10/05(月) 18:44:00 ID:kg0yMUks
まず作者の許可をお願いするところから始めような
流石に作者本人がいる所で、赤の他人が勝手に続き書くのはNGだろうjk
895癒されたい名無しさん:2009/10/08(木) 19:04:32 ID:YLFicCSG
hosyu
896sage:2009/10/11(日) 23:52:46 ID:7AbhWT0U
今日初めて「レスプランディール」に行ってきたからレポ書いたんだけど、
ここに投下するのはスレ違いだよね?
「恍惚の〜…」とかにするべき?

基本このスレの住民だから、ここのみんなと気持ちよさを分かち合いたいんだw
897癒されたい名無しさん:2009/10/11(日) 23:54:14 ID:7AbhWT0U
名前とメ欄間違えてたw
最低だ…
898癒されたい名無しさん:2009/10/12(月) 01:26:42 ID:OkgJkKOE
いやそらあちらだろ
899癒されたい名無しさん:2009/10/12(月) 01:53:04 ID:As6vT6u2
レポと小説は違うしなあ。
それに住民も結構被ってるだろうし向こうにあれば大体気付きそうな
900癒されたい名無しさん:2009/10/12(月) 07:42:01 ID:qBruXZPe
>>720早くお願いします☆

あっ、900番ゲット〜☆(^_^)v

901癒されたい名無しさん:2009/10/18(日) 02:25:38 ID:2jnXZCmh
恍惚のスレ落ちちゃった?
902癒されたい名無しさん:2009/10/20(火) 07:28:57 ID:Ewq6KG52
>>653春風続きまだですか?早くしないとスレ落ちちゃうよ〜(涙)
903癒されたい名無しさん:2009/10/20(火) 08:41:35 ID:Ewq6KG52
>>684のトニオさんも続きまだですか?
904癒されたい名無しさん:2009/10/20(火) 08:45:42 ID:Ewq6KG52
>>720あささんもマジでよろしく
905癒されたい名無しさん:2009/10/20(火) 14:35:48 ID:I4LhitjP
オマエみたいなのが居る限り無理じゃね?
906癒されたい名無しさん:2009/10/20(火) 14:41:51 ID:DQFhBE9C
あささんはどう見ても既にあるよね
ログちゃんと読もうぜ
ていうか半年ROMれ
907癒されたい名無しさん:2009/10/21(水) 01:31:24 ID:UU1r3zDV
癒されたい!
908癒されたい名無しさん:2009/10/21(水) 22:04:15 ID:Ds2nkdi/
トランスフォーマーの耳かきの続きが半端なとこで止まってる・・・・
909癒されたい名無しさん:2009/10/21(水) 22:30:12 ID:F7aw6NW3
>>908
我慢に我慢を重ねた後の耳掻きは快感だろう。そういうことです。
いいスレ紹介ありがとう。こんなスレ知らんかったわw
910癒されたい名無しさん:2009/10/22(木) 19:44:03 ID:OMD4kvLu
オレ以外にもチェックしてる人いたのかw
911癒されたい名無しさん:2009/10/23(金) 03:53:23 ID:FXJPu5aj
>>906このスレ検索したげど続編なくない?あるならレス番教えてよ(笑)
912癒されたい名無しさん:2009/10/23(金) 19:29:57 ID:fc+FoUOI
したげど
913癒されたい名無しさん:2009/11/03(火) 17:31:38 ID:ogs2SHSI
誰かこのスレのまとめサイト作らない?
もう900越えたし…
914癒されたい名無しさん:2009/11/03(火) 17:55:15 ID:IAJ8tBl3
そういうのは言い出しっぺの法則が適用されるんだぜ?
915癒されたい名無しさん:2009/11/03(火) 21:45:25 ID:ogs2SHSI
携帯だから無理
携帯サイトで良ければ…
こんなにいい小説を野放しにするなんて勿体無い
916癒されたい名無しさん:2009/11/03(火) 23:15:10 ID:aN/4Gwbj
自分も携帯だから、携帯サイト兼用で良ければ…になっちゃうな。
917癒されたい名無しさん:2009/11/04(水) 00:39:55 ID:atqW9R2N
携帯でも見れるwikiとかでやればいいんじゃない
いろんな人にまかせれるし
918癒されたい名無しさん:2009/11/04(水) 08:07:52 ID:c1wMnovp
PCと携帯両方で使いやすいのは
プラチナwikiだと思う。

時間があったら作るんだが・・・
しかも今規制中。
919癒されたい名無しさん:2009/11/04(水) 18:31:17 ID:5zZyu7eW
tesu
920癒されたい名無しさん:2009/11/05(木) 22:23:30 ID:WkNJJIjZ
夢花火さんの虹の犬早く戻って来て〜(涙)

無理なら夢花火さんせめて返事して〜(涙)このままいなくなるのは悲し過ぎます。返事お願いします!

921癒されたい名無しさん:2009/11/05(木) 23:32:42 ID:jpB2LSj2
人間フェードアウトしちゃいたい時だってあるんだぜ……
922癒されたい名無しさん:2009/11/06(金) 17:17:18 ID:Ck9GIVEU
気持ちはわかるけど、でも返事だけでもほしい。
なんだか心配です。出来なくてもいいから何か言ってほしい。

もうじき千でダットになったらどうなるかわからない(どこかわからなくなる人もいる)

から本当に返事だけでもほしいです。

本当に心配です。
923癒されたい名無しさん:2009/11/06(金) 17:57:16 ID:rtM+a5HJ
まとめサイト作ろうぜ
924癒されたい名無しさん:2009/11/06(金) 19:23:18 ID:Ck9GIVEU
作ってほしいし、虹の犬も途中だけでも入れてほしいです。携帯なので私は無理ですがぜひよろしくお願いします!
925癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 00:04:46 ID:Cp44lw0t
こないだから妙なクレクレがわいてるな
926癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 01:55:05 ID:T9z5EgO1
携帯だから無理とか意味わからんのだが。サイトの作り方なんて調べればいくらでも出てくるのに。
まとめ欲しいけど作るのはめんどくせーって言ってるようなもんだぞ。
927癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 12:37:13 ID:DuaJdard
>>926
えらそうな上から目線で言う前に貴方が作ったらどうでしょうか?
928癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 14:43:21 ID:4jO8jhV2
馬鹿にどういう書き方しても上から目線になるんじゃない?
929913=言い出しっぺ:2009/11/07(土) 16:23:49 ID:DuaJdard
言い出しっぺだから作ったよ、まとめサイト。
携帯サイトだけど文句はやめてね。
指摘ならば受けます。
http://lyze.jp/earpickss/
930癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 16:24:48 ID:wVqscw5x
>>927
ほんとにこういう馬鹿が出てくるとは思わなかったぞ
いやね、>>926に対する反応として、まさかこんなアホな事言い出すヤツいないよなあ、と思って釘の一つも刺しておくかと思ってたんだけどさ
そこまでこのスレの住人を侮るのも失礼だよなと思って自重してたんだがw

「必要だと思うなら自分で作れよ」と言われてなんで「じゃあお前が作れ」という発想に至るのか
誰も彼もが自分と同じレベルでまとめサイトを必要としているとでも思ってるのかな
そりゃ俺とてあったらあったで便利だとは思うが、なきゃないで自分用にログを保存するまでの話
そういう手間を他人に丸投げしたいだけなら間違ってもまとめサイトなんて話を持ち出すもんじゃない

自分で作らない/作れないなら、他人に噛み付いてないで素直に諦めろ
つまりはそういう話だ
931癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 16:30:02 ID:wVqscw5x
おおっと、リロードし損ねたか

>>929
なんだかんだ言いつつ自分で作ったのか、お疲れさん
言っておくけど、まとめサイトに「文句はやめてね」なんて言ってもお構いなしに色々言う輩は幾らでもいるから(それこそ俺とかな)
そういう心労にもある程度は耐えていく根性は必要になるぜ?
ぶっちゃけると>>927みたいな反応は金輪際しない方がいい、思いっきり「だめだこいつ」って顔されるから
普段ROM専の俺からは頑張れとしか言いようがないが、ちゃんと続いてくれる事を祈ってるよ
932癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 16:52:11 ID:DuaJdard
まとめ欲しいけど、時間が無いから今まで作らなかったんだがな
携帯サイトだと文句行ってくる奴多いし
まぁ、私の書き方が悪かったのは認めるが>>930にそこまで馬鹿にされる謂れはないが
933癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 18:28:50 ID:z9RlHxHj
>>926を上から目線、>>930を馬鹿にしてる書き込みだと思うID:DuaJdardはカリカリしすぎ
携帯でもまとめは作れるのに無理だと言って他人に丸投げするのは携帯厨乙と言わざるを得ないし
「欲しいなら自分で調べて作れよ」に対して「上から目線するお前が作れば?」って確かに意味不明だぞ
ちょっとまとめサイトの小説読み返して落ち着いてこいよ

まとめサイトは純粋にありがたいと思うし
馬鹿にするつもりはないんだけどこの文も気に障ったら申し訳ない
934癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 19:38:29 ID:DuaJdard
>>933
いや、おもいっきし>>930は私の事を馬鹿にしてるが?馬鹿、アホって書いてあるし。
>>926の発言は謝罪します。
935癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 19:53:59 ID:DuaJdard
>>931>>933についてはその通りだと思うので、謝罪をします
癒しのスレで不快な事を言ってすみませんでした

私がまとめサイトを作る前に作られたら作り損だったので変な書き込みをしていました
ごめんなさい
936癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 19:56:43 ID:wVqscw5x
実際馬鹿な事言っちゃったんだから、それに対して馬鹿と言って何が悪いのかな
つーかな、そういう自分の事を棚上げして他人に噛み付く姿勢が宜しくないと言ってるんだぞ、俺は
俺もこんな所でいちいちオブラートに包んで物を言うような優しい人間じゃないから、はっきりそうと言ってるだけなわけ
それは他の連中にしてもさして違いはないと思うがね
937癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 20:04:34 ID:DuaJdard
>>936
ええ、貴方は優しい方ですね、オブラートに包んで言ってくれるなんて。
ありがとうございました。>>931は素敵な助言として受け止めさせてもらいます。
938癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 20:53:06 ID:GqITpuKN
つまらん意地の張り合いは他所でやってくれんかな。
オマエらの安いプライドなんて他人にはどうでもいいし。
939癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 21:16:06 ID:DuaJdard
>>938
ああ、本当に安いと思うわ消えておく
最後に、癒しのスレで皆に不快な思いをさせてごめん
940癒されたい名無しさん:2009/11/07(土) 21:17:01 ID:DuaJdard
>>938
ありがとう
941癒されたい名無しさん:2009/11/08(日) 07:07:43 ID:QGccuus1
>>940
乙カレー。
自分は長文コピペも長文書き込みも出来ないau携帯だから、読みやすくまとめて貰えて感謝してるよ。
ありがとう。
942癒されたい名無しさん:2009/11/08(日) 19:21:49 ID:pMNdViq9
久しぶりに来たら何このスレ・・・
ss作りもしない非生産者等が偉そうに
943癒されたい名無しさん:2009/11/08(日) 20:46:48 ID:O7bD7XYV
>>942
俺はss書き手だから流れを変えるためになにか投下してやるよ、という事か
残り少ないけどまったり進行だからまだまだいけるぞ!楽しみにしているよ
944癒されたい名無しさん:2009/11/08(日) 21:27:13 ID:oTVO/G4I
>>929
乙カレー!
945929:2009/11/08(日) 23:43:08 ID:ssybjeni
消えると言いながらのこのこと出てきちゃった
お礼が言いたいので…
>>941>>944、ありがとう
946癒されたい名無しさん:2009/11/09(月) 00:03:29 ID:7hMKgHFM
氏ねばいいのに
947癒されたい名無しさん:2009/11/09(月) 00:36:10 ID:yKSTc7hi
>>946
イ`
948癒されたい名無しさん:2009/11/09(月) 01:55:29 ID:IkEXIl7o
>>950
次スレよろしく
949海のしずく:2009/11/09(月) 08:37:54 ID:DHHGs+TU
913さん、まとめお疲れ様です、ありがとうございます。

自分の分しか確認していなくて申し訳ないのですが、
・「マグロマッサージ」は>385さんの作品です。
 本文は私の書いたものですが、題名は違います。
・次に>406から書いたものが抜けております。
・「金魚のマッサージ屋」(※ホモネタ注意) と
 ありますが、アッーー!ネタではないです…

注文ばかりですみませんが、お時間のある時に
修正お願いいたします。
950癒されたい名無しさん:2009/11/10(火) 20:44:55 ID:ZOM2CcvA
>>948
えらそうな上から目線で言う前に貴方が作ったらどうでしょうか?
951癒されたい名無しさん:2009/11/10(火) 23:49:02 ID:zZ0N/IcH
マターリスレだからスレ立ては970くらいでもいいかな
980になると一日レスがないと落ちるよ
952癒されたい名無しさん:2009/11/10(火) 23:50:17 ID:nTqykSke
>>950
www
953癒されたい名無しさん:2009/11/12(木) 21:53:25 ID:iXi+ZEH1
>>950
受けるwwwww粘着質
954癒されたい名無しさん:2009/11/13(金) 02:22:41 ID:ibUuMpja
いやお前ら煽りは程々にしような、ホントに
一応は非を認めた相手を更に鞭打つのはちょっと紳士的じゃないぞ
955癒されたい名無しさん:2009/11/15(日) 04:10:39 ID:Mokijowv
話のアップはもうないの?虹の犬も残念です(涙)
956癒されたい名無しさん:2009/11/15(日) 16:43:32 ID:de6aRSiq
>>920=>>922=>>955
なんか湧いてきたぞ
957癒されたい名無しさん:2009/11/15(日) 20:01:38 ID:sJuicC2k
えらそうな上から目線で言う前に貴方が書いたらどうでしょうか?
958癒されたい名無しさん:2009/11/16(月) 18:31:37 ID:9A3Vtiiy
>>957
粘着質乙www
959癒されたい名無しさん:2009/11/16(月) 20:13:06 ID:Ojs/3ftI
お前は黙って管理だけしときゃいいんだよ
960癒されたい名無しさん:2009/11/16(月) 20:50:11 ID:U9Lc+aAJ
酷い事言うのね。
961癒されたい名無しさん:2009/11/16(月) 22:26:56 ID:eRTUlmnD
この板2出るかな?
出てもdat落ちしなきゃいいけど
962癒されたい名無しさん:2009/11/19(木) 02:48:17 ID:WfsdJ3ap
この荒れ様じゃ無理
963癒されたい名無しさん:2009/11/19(木) 04:09:14 ID:UMyvSyNt
もう少しでダットになっちゃう〜 作者さんなら最後まで書く責任があるのに(涙)

他の人はどうでもいいので、夢花火さんだけでも返事してください!!(涙)
964関山信太郎:2009/11/19(木) 09:56:43 ID:c65FvM/f
えらそうな上から目線で言う前に貴方が書いたらどうでしょうか?
965癒されたい名無しさん:2009/11/19(木) 10:25:50 ID:c65FvM/f
えらそうな
966癒されたい名無しさん:2009/11/19(木) 11:47:03 ID:c65FvM/f
上から目線ビーィーーーーーム
967癒されたい名無しさん:2009/11/19(木) 21:34:23 ID:c65FvM/f
関山
968癒されたい名無しさん:2009/11/19(木) 22:31:44 ID:c65FvM/f
信太郎!推参
969癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 03:07:14 ID:tSQfJ0ha

自分が書けって夢花火さんのあの話しの続きが読みたいんです。あの他の人のじゃなくて夢花火さん本人が。

本当にもうダットしちゃうし早く返信だけでもほしいです。

また上からとか理由つけて埋められるかもしれないけれど本当にこのままあの話しが終わるなんて本当に嫌です。


ではスレ汚し失礼しました。


本当に夢花火さんお願いします!

970癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 04:56:36 ID:N+Oexx9k
>>969
夢花火さんならBlogで続き書いておられるよ
URLは晒せないからググってごらん
971癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 07:48:40 ID:7S0S4oz+
言い残しはそれだけ?
972癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 10:38:36 ID:7S0S4oz+
梅たるわ
973癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 10:40:31 ID:7S0S4oz+
糞すれ 埋めてやる ヘイヘイヘイ
974癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 11:00:31 ID:7S0S4oz+
鼓膜ちぎれて 血 どば0−
975癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 15:50:24 ID:9LnWSUO+
本当ですか?ありがとうございます☆夢花火さんの名前と題名で出てきますかね?

わかりました.ありがとうございます☆これで埋まっても安心です。出来ればまた来て欲しかったですが仕方ないですね。

では本当にありがとうございます☆

ワクワクo(^-^)o

976癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 19:38:46 ID:wtuWnYqx
>>975
非常にうざいんだが…多分もうこのスレに様は無いようだしこなくていいよ
977癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 22:00:25 ID:YqXCvLBg

埋めたいみたいだから釣られて手伝ってあげる。もう悔いはないし。

もうこんなに面白いスレがないのは残念だけど、まとめと夢花火さんの話を大切に見ていきます。


本当に物語投稿してくれた人ありがとう☆また☆

978癒されたい名無しさん:2009/11/20(金) 23:21:13 ID:N+Oexx9k
癒し板に立つスレはたいてい荒れるね
皆さんに心の平穏が訪れますように。
979癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 00:03:20 ID:KK5kuqor
ここで耳掃除中
980癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 00:26:31 ID:rVp3rKUb
うざいクレクレ厨がいたばっかりに
せっかくの良スレがこんな終わり方になるなんて…





恨むよ
981癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 00:47:05 ID:P6krXXou
小説に特化してないけど類似のスレあるからそっちで続きになりそうだね。
個人的にはマッサージやシャンプー小説なんぞも見たかった。
982癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 00:52:03 ID:OxVoddRt
え、次スレ建てないのか?
欲しい人がいるなら勝手に建てればいいんじゃないかなあ、とか俺は思ってた訳だが
元々このスレが建ったのだって夢花火さんがそうしたかっただけで、それを住人が後押ししただけじゃないのさ
基本的にスレの需要なんてのは建った後に確定するものだと思うんだけど
いやま、住人の総意として要らないって結論になってるなら別に構わないんだけどね

あと荒らしに託けて良スレを貶めるのは、荒らし以上に無礼な事だと俺は思う
今まで小説を投下してきた人達に失礼というものではないかな
983癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 01:18:47 ID:gWGmxFpH
新スレたてればいいじゃん
早くしないと
埋めるよ?
984癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 04:26:28 ID:uEXtdaOI

>>980お前モナ〜www










埋めご苦労様w


ちなみに、返信&釣りでこのまま埋まるかもね〜
985癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 21:07:44 ID:uEXtdaOI

ちなみにどうやって夢花火さんのブログまで行けたのですか?


普通に検索じゃないですよね?('_'?)

皆のためにも許可もらって貼って欲しいけど無理だろうからわからない人のためにどうやって夢花火さんのブログまで行けたか教えてください!

私も気になりますし。検索では無理でした。(泣)
986癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 21:14:13 ID:ul/sLX2Z
キモイ池沼が再発したんで
埋めます。

次スレは永久に禁止。
建てたら即座につぶしにかかるんで4649

関山しんtなろう
987癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 21:42:48 ID:uEXtdaOI

↑待ってました!(笑)急に来なくなったから逆釣りしてみました。


多分ブログの話も嘘かあなたが言ったのかな?(笑)

988癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 21:45:35 ID:uEXtdaOI

どうせ埋めんなら早くしてね。どうせ少ししかしないだろうけど(笑)


私ネタ尽きたのに、なかなか進まないスレあまり好きじゃない

夢花火さんのブログあるとかよく嘘つけたね(笑)では☆

本人見てたら大変だよ〜(笑)

989癒されたい名無しさん:2009/11/21(土) 22:01:21 ID:fjoDy6z3

今思えば夢花火さんって、ダラダラと長く書いたりいきなり止めたり急にいなくなったり。どうせ始めからわざと中途半端に終わらせて釣るつもりだったんじゃないの〜。犬はスレと関係ない話だったし、ダラダラ書いて急に辞めたし。


夢花火さん皆心配してるよ〜作戦成功して良かったね。

まあもう二度と現れられないだろうけど
でも毎回毎回うまくなんていかないからもう他のスレでは辞めるか釣る腕を上げまちょうね〜

ヨシヨシ。
990癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 00:00:55 ID:NYLfB5dC
新ハンドルの「グリーン姉さん」で検索した?
991癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 01:32:39 ID:tti8Tctk
釣りだったかどうか知らんが自分は夢花火さんの耳掻き文章で癒されたから感謝してる
992癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:55:55 ID:sxuOyL49
992
993癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:56:03 ID:sxuOyL49
993
994癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:56:11 ID:sxuOyL49
994
995癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:56:24 ID:sxuOyL49
995
996癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:56:32 ID:sxuOyL49
996
997癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:56:40 ID:sxuOyL49
997
998癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:56:53 ID:sxuOyL49
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999癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:57:00 ID:sxuOyL49
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1000癒されたい名無しさん:2009/11/22(日) 03:57:10 ID:sxuOyL49
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