昔の事、思い出したから
少しずつ、ポツポツと話そうかな。
俺の家は貧乏で、
+親父の蒸発で借金だらけ。
テレビなんて買えなかった。
それに、テレビを買ってなんて言えなかった。
まだ、ファミコンの出てる時代では無かったけれど、
だけどクラスの皆はテレビを持っていた。
テレビがあって当然の時代だったから。
学校に行くと
「昨日プロレス見た?」
「歌手のあの人が・・・」
ラジオしかない、だから会話に参加しなかったし、話しかけられなかった。
それでも、何度か兄貴に
「テレビを買ってよ、」
って言ったことがあった。
「そんな余裕はない。」
そう言われて、殴られた。
それから、少しずつ非行に走った。
煙草を吸った。ストレスが解消できたから。
悪い奴らと一緒にたまってれば、テレビが見られたから。
ある日、仲間と別れて、帰路を着いてるとき、
兄貴を見かけた。
だけど、いつもの兄貴じゃなかった。
土下座をして、頼み込んでる兄貴。
多分、相手は偉い人だろう。
畜生、何なんだ。
家ではあんだけえらぶっといて、結局「力」かよ。
悔しくて、走って帰った。
普通に帰ってきた兄貴に、
一言も言葉を発したく無かった。
その次の日。よく覚えてる。
朝早く起こされた。
あの兄貴に。
ただ、憎くて、憎くて、にらみつけた。
頭もはっきりしてないのに着替えさせられ、
無理矢理、腕を引っ張られた。
「何するんだよ!」
そう叫ぶと、無言で殴られた。
連れて来られたのは、
兄貴が土下座してた場所。
「そろそろだな・・・。」
兄貴がそうつぶやくと
駅の大きなテレビが付いた。
「今な、俺、このテレビつけてるんやぞ?」
社長にな、頼み込んで、今日だけ特別につけて貰った。
本当は来月当たりからなんだけど、特別やぞ。」
涙が出た。
兄貴は若い頃から働きすぎで過労死。
俺は真面目になって、それからちゃんと大学に入った。
今では普通の会社の普通の会社員だ。
出張で東京とかに行った時、大きなテレビを見た。
少しだけ、思い出して、
少しだけ泣いた。
ご静聴ありがとうございました。
なんか、スレ違いでしたな。スマソ(;´Д`)
ただ、出張帰りでほつほつと思い出したんで
ちょっと泣けたかなー・・・って事でかいちゃいました。
泣けるのは俺だけでした('A`)