【DS】エルミナージュDS Part17【3DダンジョンRPG】

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464名無しじゃなきゃダメなのぉ!
戦闘は唐突に始まった。敵はこちらと同数の6体。
見るからに狂暴な面々、「忘れられた地」で遭遇する相手なら、当然、見かけ倒しではないだろう。
男は笑顔のまま彼我の戦力分析を始めた。
(やはり勝ち目はなさそうだ)
男は逃走の体勢に移ろうとした。が、此処まで苦楽を共にした仲間を見捨てる事に胸の痛みを覚えた。その情が男の行動を一瞬遅らせた。
敵はその機を逃さなかった。
(ロイド!?)
敵の狙いが自分であることに気付いた身動きできない男は、微笑みを顔に貼り付けたまま前衛が焼き払われ、両隣のグレーターメイドが肉塊に、レッサーメイドが雷撃に貫かれるのを見ていることしかできなかった。

「へへへ、思った通り溜め込んでやがるぜ」下卑た笑い声をあげながら盗賊が男の背負った籠から素材を抜き取った。(やめろ!やめてくれ!!)
麻痺し声すら出せない男は心で叫んだ。
男は病気の妻の薬代を稼ぐ為、妻とまだ幼い子供たちを家に残し、この危険な仕事に就いた。
今、素材が1つ奪われる毎に希望が削られている。

「あらかた頂いたから始末していいぜ、いつもどおり早い者勝ちで」盗賊が言い終わらぬうちに眼前で凶器が閃いたとき、男は妻と子供たちの笑顔を思い出していた。