10 :
アレフ:
俺だって本音言えば嫌だよ!
履歴書に勇者なんか書いてみろよ、今時家事手伝いだって肩身が狭いってのに。
でもな、生まれた時から勇者勇者って勝手に決められてたんだよ!
親だけならまだしも村ぐるみ、いや・・・国王すら俺の事勇者って言うんだぞ!?
そもそも勇者って何だよ?
勇気ある者って、何か特技が無いから無理矢理命名しましたって感じじゃねーかよ。
拳法家とか魔法使いとか、盗賊だってちゃんとした職業なのに、俺だけ架空の職かっつーの!
いざ魔王退治して帰って来ても老後まで後何年あると思ってんだっ!
他の皆はいいよ、道場やら商売やら始められてさ、特技を活かして生きてけるもん。
でもな、俺はそーもいかねーんだよ、世界が平和になったらお払い箱なの!
そりゃー退治した数年は天国だったよ、でももう王様から貰った賞与も尽きたんだよ!
剣しか振り回してねー俺が再就職なんてどだい無理なんだよ!
人事は怪訝そうな顔して俺にいつもいつも聞くんだよ。
「何匹のモンスター殺したんですか?」ってよ。
覚えてらんねーぐらい殺したよ!これでいいか!満足かよ!!!
でもよ・・・一度だって勇者を辞めたいなんて言った事無いぜ・・・
小さい小さい子供がよ・・・言うんだ・・・白い歯見せてさ
「いつか、お兄ちゃんみたいに僕も勇者になるっ」ってさ
だから、いいんだ・・・恥ずかしくてもさ・・・・そんな俺に憧れてくれる子供達がいてくれるんだから