15 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:01:14 ID:ISIsmMw0
駆けつけた父親は、子供を見るなり、・・・倒れこんでしまった。
安静室で、その夫婦が、お互いを慰めあうような泣き声が耐えなかった。
その子に名前がついた・・・安雄である
退院後幾日もしないうちにその夫婦の家の前にに救急車が止まった。
様子を見に来た義理の父が風呂場からその子を救い上げたのだ。
母親は、床の間の隅で布団を背中からかぶり・・・様子が変である。
安雄の身を案じた義理の父は安雄を探した。一直線に風呂場行った。
風呂桶で浮いている安雄を救い上げたのだ。
蘇生をすると、安雄は息をした。
安雄は3日で退院した。
しかし、退院後は自宅へつれて帰る事なく、そのまま夫の実家に預ける事になった。祖母は、安雄を可愛がった。
16 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:02:18 ID:ISIsmMw0
安雄の両親は田舎から出て行った。
小さい田舎ゆえに村の噂に耐えられなかったのである
安雄の祖父は実力者であった。
農協の組合長をしその弟は郵便局長をしていた。
祖母は安雄が来てからというものは、農業から一切手を引いて、安雄と時を過していた。
安雄が1歳になった頃…安雄の祖父は決心したように、寄り合いには安雄を必ずと云うほど連れて行った。
寄りあい仲間から、「いつもみのを背負っている見たいだ」と言われた。
安雄は脳や言語には障害がなかった。
安雄が祖母の乳母車から離れたのは、車椅子が来てからである。
幼稚園児になっていた。
誰一人奇異な目で見る人はいなかった。 祖父の努力がそれをもたらさなかったのだろう
安雄は明るく育った。
17 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:03:17 ID:ISIsmMw0
安雄はみんなと一緒に地域の公立小学校へ入学した。
入学式には 父も母も来なかったが、祖父と祖母は来てくれた。
その頃になると装具をつけて、杖をついて歩けるようになっていた。
安雄は勉強は出来た。中庭でかけっこをする友達を見ながらよく本を読んだ。
絵もうまかった。
新聞社の開催する絵画コンクールで金賞をとった事もあった。
友達はいたわってくれた・・・しかし安雄は自分の身体のハンディーを普通であろうとした。
ある時、机やいすを洗浄する事になったときに、自力で机を抱えそのまま階段から転げ落ちた事もあった。
頭部に七針縫ったがケロっとしていた。安雄にとって怪我をする事で普通でいられると思った。
18 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:04:02 ID:ISIsmMw0
安雄は高校へ入学した。塾も行かずに地元では有名進学校といわれる高校へトップで入学した。
卒業するまでトップの座を譲った事がなかった。
大学は医学部を目指した。
安雄の成績ではそれも可能であった。
しかし、安雄の障害じゃまともな医療を患者に出来ないと、祖父に言われ 臨床検査技師に方向転換した。
国家試験は一発でパスした。
大学で細菌の研究をしたいと、大学院まで進んだ。
彼の能力は優れていた。医師もけんたいを安雄に率先して持ってきた。
がん細胞に色素をつけて見やすくする方法を提案したのも、安雄である 今では当たり前の事もあの頃は画期的なことであった。
19 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:04:49 ID:ISIsmMw0
安雄に好きな女性が出来た。
同じ職場の医師である
しかし安雄は振られてしまった。
その女医が言うのは「家系が医師なので、医師以外は結婚を考えていない」との事である
安雄にはその言葉を跳ね返す言葉を用意してなかった。
安雄は顕微鏡をのぞく事で社会に対して自分を確かめていた。
安雄はノロウイルスを解明した。
現在、ウイルス部門では彼の右に出る人はいない・・・・
20 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:05:26 ID:ISIsmMw0
安雄は酒の席で泣いた
おれは一生この身体じゃ女は抱けない
同僚は誰も一人として安雄を慰める事はしなかった。
同僚はもうみんな結婚して家庭を築いているのである
ある者は高校入試前の子供もいる
これまで安雄に声をかけつくした人たちである
まぁ〜飲めよ そういって酒を注ぐのが精一杯である
21 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:05:59 ID:ISIsmMw0
四十を前にした安雄に、助手がついた。
大学を出たばかりの女性である
大学で講師もしていた安雄の教え子である
試験管をきれいに洗浄して それに絶対に汚れを残さないように
それがあると、すべていおいてデーターがただしくなくなるからな!
助手の名前は裕子である
研究室は安雄ばかりが使っていたわけじゃないけど、流しから何まできれいになっていた。
安雄の視線は裕子に向くようになっていった。
22 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:06:35 ID:ISIsmMw0
安雄の机にデーターの統計がのっていた。
裕子がきちんと整理していたのである
安雄と裕子はよく目が合った。
ハッとしたような安雄に対して裕子は毅然としたものであった。
二月もすぎた頃 安雄は上司から呼び出された
斉藤裕子さんからの申し出なのだけどね
君の目線が気持ち悪いと苦情が出ている
君とあろう人がなんだぁ〜若い女性に誤解されるぞ
安雄は驚愕した。
「部長 私は死にたいです。今すぐに死にたいです。」
涙ながらに安雄は訴えた。
奇形の左手を、ついていた杖で殴りつけた
私は生まれてきてはいけない人なんだ。 この左手も人目に晒してはいけない
部長は身を制してそれを止めた。部長の手に安雄の杖があたった。
23 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:07:03 ID:ISIsmMw0
安雄の手を握りながら 部長は言った
この手でいろんな人の細菌を見つける作業をしたんだろう
それによって救われた人がタクサンいるだろう
大事な手だろ
安雄は裕子については一切の申し開きはしなかった。
安雄の心の中で、裕子との妄想をしなかったわけではなかったからである
24 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:07:39 ID:ISIsmMw0
一方裕子は自己弁護に走った。
しかし、職場の人たちは安雄の事を一切疑う事もなければ普通に接した。
安雄の人間性を誰もが知っていた。
私が女性であればなぁ〜
安雄をよく知る友人は友達同士の会話のなかでこんな事を言う奴までいた。
25 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:08:10 ID:ISIsmMw0
安雄は電車を乗り継いで実家に帰った。
一週間の休みをもらっての実家への里帰りである
実家には祖父と祖母がいるだけである
久しぶりの帰郷に祖父も祖母も慢心の笑みを持って迎えてくれた。
庭の花も木も、庭石も安雄を癒してくれた。
26 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:08:44 ID:ISIsmMw0
安雄は田舎じゃ有名人である
神童からそのまま大人になった人である
安雄が帰っているという事で、障害者施設でも公演を頼まれた。
その朝、施設から迎えがきた。
施設長の娘である
日々はすぐに過ぎた
安雄は再び大学病院の臨床検査技師として戻った。
27 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:09:14 ID:ISIsmMw0
斉藤裕子は辞職願を出していた。
しばらくして、裕子は安雄に挨拶に来た。
「本当に申し訳ございませんでした。」
深々と頭をさげると、そのまま退職してしまった。
安雄は顕微鏡をのぞく日々が続いた。
28 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:09:40 ID:ISIsmMw0
安雄に施設長の娘から手紙が来た。
公演のお礼である
手紙
細菌の話を色々聞いているうちに、世の中には悪い菌なんてないんだと思いました。
そう考えると、いろんなことに愛おしささえ感じるようになりました。
また、おこしの際はご連絡ください
霞より
29 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:10:16 ID:ISIsmMw0
安雄さん お客さんですよ 安雄さんの田舎からだそうです。
新たについた助手が安雄に言った。
安雄は部長補佐になっていたが、研究室では安雄さんと呼ばれていた。
安雄は通すように言って、研究室からオフィースに戻った。
霞である それにしてもそうも変わるのかと言うほどオシャレである。
「友達の結婚式があってね、それでお礼もしたくて会いにきました。」
駅で買ったであろうお菓子を差し出して、「皆さんで食べてください」といった。
安雄はまぶしかった。
霞がすごく綺麗である
安雄は言葉を選びながら言った。
安雄 ココまで疲れませんでしたか?
霞 東京駅からタクシーで来たからすぐにつきました。
安雄 ココはいい散歩通りもあるぞ 不忍池も近いしね
ちぐはぐな言葉が続いた。
安雄 研究室を見てみるかい? 言うが早いか そのまま立ち上がって研究室へ案内した。
教壇での安雄は雄弁である しかし、普段の安雄も職場での安雄も寡黙である。
先生 私は八時には暇になるんです。 目黒にホテルを取ってあるから
近くで飲みませんか?
30 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:10:44 ID:ISIsmMw0
安雄は約束のカフェに着いた。
ビリヤードのあるカントリー風な店である
個室を希望し安雄はハイネケンを注文した。
案内してくれたウエイトレスも動揺をしていた…
そのぐらいの障害が安雄にはある
杖を傍らにおいて、若者でにぎわう声を聞きながら安雄は
均整の取れた若者達に妬みさえ感じた。
すきっ腹にビールは進んだ。ハイネケンは弱いビールである
三杯目をすぎて、四杯目を飲んでいた。
31 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:11:06 ID:ISIsmMw0
戸が開いたかと思えば、霞がファッションジョーでもするように
ポーズをとって「おまたせ」って言った。
安雄が妬んでいた若者がかすむほどの美貌である
安雄は腕時計を見た ちょうど八時である。
座ったかと思えば結婚式の話を一方的にした。
安雄の知らない人の名前が出てきたが、聞いているうちに
デザイン学校の同期生である事が分った。
霞はアイリッシュコーヒーを注文した。
32 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:11:27 ID:ISIsmMw0
先生 話していいですか?
もうずいぶん話しているぞ 安雄が言うと 照れ笑いをしながら
「もう〜本当に先生に話したかった事ですぅ〜」と霞は言った。
霞が言うには「霞の父は医者である 母も医師である 一番上の兄も医者である その次の兄も医者である
その次は姉で姉も医者である その次の兄は商社に勤めている 霞は一番下末っ子である。
霞はファッションデザイナーになりたかったが、才能がないのがわかりその道をあきらめたそうである
霞は家族構成を話し終えたかと思うと、長男の事を語った。
安雄の家は田んぼや山に囲まれた地域だけど、霞の家は街中にあって、誰も知らない人がいないほどの名家である
総合病院や老人病院やデイケアや障害者施設などを持っている
霞の兄はそこの跡継ぎである
33 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 21:11:54 ID:ISIsmMw0
霞は語り始めた
兄は結婚が遅かったんです。
兄に結婚相手を紹介したのが、兄の大学の先輩でその人も病院の跡取りで、霞の姉の旦那でもある
その義理の兄の妹が、兄のお嫁さんなのです。
先生に関係がありますよ
34 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/23(金) 21:20:35 ID:AtWdRyV2
35 :
内蔵:2008/05/23(金) 21:44:48 ID:zGQm18nV
うはw
なんと笑えるスレタイ(笑)
36 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/23(金) 22:21:58 ID:CLR76mXg
レノン
自作自演乙
37 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:36:33 ID:0w2gHc0g
霞はニコッとすると アイリッシュコーヒーを飲んだ。
兄のね お嫁さんだけど 川西千春って名前だけど 先生 覚えているよね
安雄は、驚いた というより苦い思い出である
安雄が付き合って欲しいと言った女医である
霞はまたもやアイリッシュコーヒーを口にすると
その義理の姉が、先生の事をよく話しするんですよ!
38 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:37:24 ID:0w2gHc0g
安雄は言った。
もうイイ わかったからもうイイ!
帰る 安雄はそういうと席を立とうと杖をテーブルの下から取り出した。
先生待ってください
お願いだから席を立たないで
霞は安雄を止めた。
39 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:37:52 ID:0w2gHc0g
義理の姉は先生がとても好きだったそうです。
あの頃、千春さんの兄が胃癌になり、跡継ぎにどうしても医者と一緒にならないといけなかったそうです
しかし、その兄も元気になり完治したと診断されたときにはもう、病院で大事な役割をさせられていてそれどころじゃなくなっていたそうです。
三十の半ばで私の兄と見合い結婚をしたそうです。 もう子供も二人います。
「幸せなんだね」 安雄はそういうと黙ってしまった。
40 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:39:53 ID:0w2gHc0g
義理の姉の千春さんはね
先生の事が好きだったと言っていました。
三十路になる前に先生から求婚されたらすぐに受けていたそうです。
先生が、幼少の頃に母親恋しさで知らないオバサンの手を握ったそうですね、
でもその手を知らないおばさんは、振りほどいたそうですね
そのとき義姉の千春さんは 先生のその左手を取って抱きしめたかったそうです。
先生がうちの施設で講演をした時にね その話を聞いたんですよ!
安雄は複雑な気持ちになった。
41 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/23(金) 23:40:25 ID:lcK8qLoy
なんでコイツは常に妄想全開なの?
42 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:40:26 ID:0w2gHc0g
安雄が手を握ったのは、同級生の女の子のお母さんであった。
運動会での出来事である
安雄は右手で杖を持っていたので、カニのように別れた左手で手を握ったのだ。
お母さんの手ってどんなだろうって思ったからである
同級生はお母さんと手をつないで走ったりしていた。
それを思ったからである。
43 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:40:56 ID:0w2gHc0g
安雄はその辛い思いをしないで過ごしてきたわけじゃなかった。
振りほどかれた姿を 祖父は見ていた。
運動会が終わり、お風呂に入れてもらった。
祖母は安雄に言った。
「その手が変でもね 人は心がきれいならね どんなものより美しい事なんだよ」
「表面なんてね どうでも隠せるだろ 隠せないのが心なんだよ」
「さぁ〜心も身体もきれいにしましょう 鍛錬 鍛錬 」
素敵な祖母である
44 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:41:48 ID:0w2gHc0g
霞に話して聞かせた。
目が潤んでいた。
「今時の若い子は感情が豊富なんだね」
安雄は苦笑いしながら、霞にそういった。
45 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:42:21 ID:0w2gHc0g
安雄はタクシーを呼んだ
目黒のホテルまで霞を送って そのままマンションまで帰った。
安雄のマンジョンは分譲で高層である。24階に安雄の部屋である
3LDKのケッコウ高価なマンションである
祖父が頭金の6千万円を出してくれたのである。もう五年になる
リビングは広く六十インチのプラズマテレビがおいてある
音響も外国から取り寄せたスピーカとアンプがおいてある
安雄はドボルザークの新世界が好きである 音響を響かせながら安雄は風呂に入った。
46 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:42:45 ID:0w2gHc0g
安雄はそう大きくない浴槽のジャグジーを全開し
身体を洗わないうちにそのまま湯につかった。
安雄の給与は百万を下る事は無かった。
講師の仕事もすると、手取りで200万近くあった。
安雄の唯一の贅沢が、音響と風呂である 風呂場にまでスピーカーを設置し
リビングの音楽がそのまま流れるようにしてある・・・
47 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:43:36 ID:0w2gHc0g
ピンポン状につつまれた洗浄剤を浴槽に入れた。
手でつぶして湯にかけ混ぜた。
湯が洗浄剤で白く濁った。
安雄は浴槽から左手出すと右手でなでた。
「醜い」安雄はそう思った。
しかし、今日の安雄は違った。 憎むべき奇形がまんざらでもなかった。
千春が安雄の事を好きだといった事に対して、心が満たされていたのだ。
こんな奇形を持っていても 異性として好きだといってくれた。
その気持ちを大事に、一生の宝物にして生きて行こうと安雄は決心した。
それを自分に言い聞かせるように左手を撫でた。
48 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:44:51 ID:0w2gHc0g
それからの安雄は違った。
異性を気にしなくなったのだ。
研究課題は山積している
顕微鏡をのぞく日々が続いた。
ある日、薬品を持ってきてくれる薬剤師の月子が安雄に言った。
「私でよければ結婚してあげてもいいわよ!」
月子は3人の子供を育てる母親でもある
安雄より3つ年下の38歳である 二十代で離婚している
安雄はまんざらでもなかった。
月子は綺麗な女性である、気品もあった。
薬剤室では、仕事は出来たが、若い人には嫌われていた。
49 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:45:21 ID:0w2gHc0g
愛と条件
安雄は月子とホテルのレストランで食事をした。
月子は言った「私はセックスは好きではないの、セックスのない結婚をしたいのだけど
殿方はそれを許さないでしょう だから月に一回は我慢してセックスを受け入れる」
続けざまに言った。「子供を大学まで行かすのは爪に火をともすような生活である、子供たちの学費も援助して」
その条件を満たしてくれたら、完璧な奥さんを演じると言った。
安雄は唖然とした。
月子と愛を育んでいこうと思っていたのだ。
50 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:45:53 ID:0w2gHc0g
その日は月子の条件だけ聞いて帰った。
別々のタクシーで帰った。
帰宅すると安雄は風呂に入った。
相変わらず左手を出して「醜い」と自分でつぶやいた。
醜いと言った感情も昨日までの感情とは違っていた。
人はそのおかれた立場によって自分を卑下してしまうのである
51 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:47:30 ID:0w2gHc0g
しかし、安雄にも魂胆がなかったわけではない
四十を過ぎて、独り身であるという事に対して世間体をつくろいたかったのである
ふと安雄は思った。 昔千春に対して想った感情はなんだったんだろう
「精力か?」 いやチガウ 安雄は自分に言い聞かせるように言った。
しかし、千春の裸体を想像し 乳房に触れたいとおもった事もあった。
難しい計算式でも式を書かずに暗算で答えを導き出せる安雄にとっても、その事に関しては答えを導き出せないでいる
記号のようにあてはまる場所が探しきれないでいた。
52 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:47:54 ID:0w2gHc0g
安雄は思った。
千春が今でも好きなんだ
千春に闇雲に結婚を申し込んだわけではなかった。
千春と不忍池で散歩した事もあった。
医師としても素晴らしかった。
細い身体でストレッチャーにまたがり心臓マッサージをしているところも見た。
命を取り戻そうと必死だった。
細菌を研究している私にとって、恐ろしくて触れないような患者にも、キチンと対応していた。
千春は医師としても、人間としても尊敬できる人だった。
それに、安雄の左手を握ってくれた女性であった。
53 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:48:49 ID:0w2gHc0g
安雄の胸の中は千春で一杯になった。
月子の申し出は断ろう 安雄はそう決心してベットに入った。
次の日、安雄は院内LANを使って、月子にメールをした。
「昨日はありがとうございました。私はこの歳まで独り身で来ましたが、やはり幾つになっても
恋がしたいと思いました。 月子さんの申し出はうれしかったのですが、私はその申し出をお断りさせていただきます。」
すぐに返事が来た。
「何様のつもりなの? 私があなたと食事した事も、結婚の話も全て冗談に決まっているわよ 誰にもその事を言わないように」
プライドの高い女である・・・
54 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:49:29 ID:0w2gHc0g
しかし、安雄は清々しい気持ちであった。
助手に早退することを告げると、白衣を脱いで研究室を出て行った。
今の安雄は常時臨検に追われることなかった。 フリーに近かった。
ちょうどお昼の時間である
安雄は不忍池のベンチに腰掛けた。
暖冬のせいだろうか、やけに暖かい!
安雄はふと考えた。私は自分の生きる道を考えた事があったろうか?
四十も過ぎてこれから老いに向かう自分にこれから何が出来るだろうか?
健康な人より頑張らなければイケナイと自分に言い聞かせてきたけど、それがなんだったんだろう
安雄はこのままこの暖かい陽の光の中で眠るように死ねたら幸せだろうなぁ〜って本気で思った。
55 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:49:56 ID:0w2gHc0g
安雄はベンチで座りながらうとうとと眠ってしまった。
「大丈夫ですか」ふとOLらしき人が声をかけてきた。
安雄は目を開けると キョトンとした。 「大丈夫ですけど」安雄がこたえると
OLらしく人は安堵したように、立ち去っていった。
安雄は他のベンチでも昼寝をしている人はたくさんいるのに、私のような障害者がうたた寝すると
人様の心配の種になるんだなと改めて自分の姿を実感した。
安雄はいつも普通であろうとした。しかし、世間はそうは見てくれない!
56 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/23(金) 23:50:33 ID:0w2gHc0g
安雄は銀座に車を走らせた。
今まで身に着けたことのないような服を買った。
身なりをしっかりやろうと思ったのだ。
安雄は中身さえ良ければ世間は認めてくれると思っていた。
しかし、それじゃ〜ダメだと思った。
ブランド店を梯子した。 240万円の買い物をした。
杖も変えた!
外国からチタン製のカラフルな杖にした。
ぼさぼさ髪も美容院で整えた。白髪交じりの髪も染めた。
鏡の前で安雄は自分自身に照れた。
57 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/24(土) 02:31:46 ID:zOrU0yA7
このスレタイは…ルール違反だし隔離スレみたいで酷い
でも、お話は面白いから最後まで読みたいな
トム兄は夢があって、純粋な人だと思ってます
昔からのコテハン、トム兄だけになっちゃったけど
頑張って下さい、応援してますよ♪
58 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :2008/05/24(土) 07:58:08 ID:cJpNzjeC
>>57 おはよう 私はレノンであーる
しかし、応援してくれてありがとう
この文は最後まで書きたいなぁ〜って思っていたから
これから考えながら、書いてみるよ
よろしくね
59 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/24(土) 19:01:55 ID:WBozua8v
レノン様のお言葉が いつでも見れるスレはここですか?
60 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/24(土) 23:23:18 ID:zOrU0yA7
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/25(日) 00:20:56 ID:0q2lULYi
自作自演がひどい と聞いて飛んできました
62 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/25(日) 00:41:33 ID:wklab8mA
ここは気違いカタワの妄想夢芝居を観察できる珍重なスレです
63 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/25(日) 01:20:41 ID:/gON8tAJ
レノンは裸にガウンだけをはおって窓際に立っていた。
そっと安雄に近づき、ほおずりをした。
…そして↓↓↓
64 :
レッノン ◆j8q0nf8fqI :
>>63 それじゃ〜ダメだなぁ
安雄は、純粋な男なんだ!
霞との合体の時はリアルに書きたいなぁ