c:餌縷々『アクア=エリアス』† 63Ria

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429春賀
1月1日、元日。
絵縷々と初詣に行った帰り、
年始の挨拶がてら絵縷々たん家にやってきた俺は、
絵縷々の母親のお言葉に甘え、おせち料理をいただいていた。

「…春賀さん、わたしと真琴、どっちを取るんですかぁ?」
俺は絵縷々の突然の言葉に唖然とする。
「ななな、なんだ突然!?」
見ると、絵縷々はさかずきを手に持ち、
おとそを飲んでいたご様子。
「春賀さん〜!」
「…絵縷々、おまえ、ひょっとして酔っ払ってるのか…?」
顔を真っ赤にし、目がうつろな絵縷々。
「あらやだ、絵縷々ったらまた酔っ払って…」
台所のほうからやってきた絵縷々の母親が言う。
「その娘、年に2回はそうなっちゃうんですよ。
 1回目はお正月、そして2回目は、ひな祭に」
絵縷々の母親が、困ったような表情で言う。
「うおっ!」
母親の方を見ていた視線を元に戻すと、絵縷々の顔が俺の目前にあった。
「それとも春賀さんはやっぱり…、未フィ亜のことが……」
テーブルに身を乗り出し、
俺の目をまっすぐに見つめて目をうるうるさせる絵縷々。
「お、お、おい絵縷々、おまえ自分が何言ってるのかわかって…」
「…ほらほら絵縷々、あんまり酒癖悪いと春賀さんに嫌われちゃうわよ」
絵縷々の母親の、どこか心の中で面白がっているような声。