諸悪の根元は、解雇規制にある。
昭和50年。最高裁判所は、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、
権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」とした。これは、近年、労働契約法に取り入れられて立法化されたが、
この解雇権濫用法理によって、実務上、会社は、とにかく解雇ができない。絶対できないということもないのだが、かなり難しい。
私たちも、会社側の相談を受ける場合、解雇しても裁判では相当な確率で負けちゃうことを説明して、解雇以外の方策を採るようにお願いすることが多い。
会社としては、解雇できないとなると、正社員を雇えないということになり、雇用調整のため、契約社員や派遣やアルバイトを活用することになる。
結果、ハイリターンを得られる正社員の地位は安泰で、それに対し、ローリターンの非正規雇用者は雇用の調整弁として、吹けば飛ぶような立場にならざるを得ない。
(中略)
そんな閉塞して硬直した「身分社会」を打破する方法は、実は簡単。解雇を自由にすればよい。そうでなくても、解雇規制を緩めなければダメだ。
会社も、解雇が自由であれば安心して人を雇えるし、有能で意欲のある労働者なら仮に解雇されても別の会社が雇う。だって、
もしミスマッチが生じても直ぐに解雇できるんだから。腕一本で高報酬を求めて会社を渡り歩いていくハイリスク・ハイリターンな生き方もあり得るだろう。
雇用機会が増えるので、一時的に退職して、しばらくしてから、再び正社員として働くというような生き方だって今より現実的だ。
他方、そのような度量はないけど、コツコツとローリスク・ローリターンな人生を選択する人だっていてもいい。
ローリスク・ハイリターンの悦楽 宮本督弁護士
http://www.nakashimalaw.com/essay/miyamoto/0912.html 違法派遣(偽装請負・多重派遣・事前面接等)についての刑事罰【告訴権者=業務委託、準委任、共同受注、業務請負契約および特定派遣(契約・正規)、一般派遣、正規社員】
@職業安定法第44条の労働者供給事業の禁止規定に違反(1年以下の懲役または20万円以下の罰金)
■偽装請負・多重派遣・多重出向(※中間搾取のある正社員出向も含む)
■事前面接(顔合わせ・面談・職場見学等)と履歴書提出(※音声録音で立証可能)
A労働基準法第6条(中間搾取の禁止) (1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
■多重派遣・多重出向(※中抜き業者がいる派遣・出向)
所謂、違法派遣事件においては労働者が自らの権利を守る法律について無知無学なケースが多く、
使用者側は完全に舐めている状況かと思います。多重派遣を通じた中間搾取、事前面接など労務犯罪としては重罪
にあたる懲役刑もある立派な犯罪です。適切な手続きを踏めば、労務犯罪の主犯と管理者(派遣元・派遣先)には
慰謝料・和解金または懲役刑が科されることになります。
民事訴訟や労働関係諸局への通報の対極にあるのが書面(告訴状)による刑事告訴(※告訴先は検察の直告班)です。
労働関係諸局への通報・斡旋による軽微な「適正化」や監督・指導に対して、法律に定められた刑事罰を問うことになり、
違法派遣業者にとって有罪は考えられる限り最大の処罰となります。同時に刑事罰を受けた
担当者が取引先に与える悪印象を考慮すれば、通常会社側は告訴が受理された時点で告訴取り下げに
動くのが妥当でしょう。懲役、前科がつく刑罰が下される可能性から、告訴取り下げの和解金は高額となることが多いのです。
告訴の流れとしては、
刑事告訴⇒告訴受理⇒告訴取下げ要請⇒取下げ和解金入金⇒告訴取下げ
となります。告訴の懲役刑適応は犯罪者個人に対してのみですので、告訴する対象は
派遣先・派遣元・中間会社 社長
派遣先・派遣元・中間会社 営業・営業責任者・営業管理役員・取締役
派遣先・派遣元・中間会社 人事管理担当者・人事管理役員・取締役
が妥当です。刑事告訴取り下げの和解金額は犯罪者個人と交渉するとよいでしょう。(告訴状は人数分提出する必要あり)