◆「能力低い」で解雇は無効…東京地裁仮処分
ゲーム業界大手「セガ・エンタープライゼス」(東京都大田区)の
男性社員(35)が、「能力が低いとして会社側からリストラされた
のは不当だ」として、賃金の仮払いなどを求めた仮処分申請に対する
決定が十八日、東京地裁であった。松井千鶴子裁判官は「業務遂行は
平均に達していなかったが、体系的な教育によって能力向上を図る余
地もあった」と述べ、解雇を無効としたうえで、十二か月分の賃金に
あたる約三百二十万円の仮払いを命じた。
決定によると、一九九〇年四月に入社した男性社員は、人材開発部
などに配属されたが、九七年以降の人事考課は十段階で下から四以下
が続いた。昨年十一月、上司から「社内で仕事を探せ」と通告され、
翌月から「パソナルーム」と呼ばれる部屋への勤務を命じられた。同
ルームは所属が未定で、特定の業務もない。部屋には窓もなく、内線
電話が一本あるだけ。本など私物の持ち込みも禁じられ、外出の際に
は、人事部に連絡することが義務付けられていた。
(中略)
同社側は男性社員について、就業規則で解雇理由として挙げる「労
働能率が劣り、向上の見込みがない」ケースにあたると主張したが、
決定では「著しく能力が劣り、向上の見込みがないとまではいえない」
と認定。「協調性がなく、やる気がない」という会社側主張も、「裏
付ける具体的な事実の指摘がない」と退けた。