まず、こちらのサイトを見て下さい。
ttp://www.sweetnet.com/broiler.htm ……何だ、ニワトリじゃんか?これと「規制緩和」にどういう関係があるんだ?
ていうツッコミが入るかと思いますが、実は関係があります。
ミルトン・フリードマンは『選択の自由』という著作の中で、最低賃金法をこのように批判しています。
「最低賃金法は(1時間あたり2ドル[210円]の価値のものしか生産できない)人でさえ、
雇用者が1時間あたり2ドル90セント[305円]を喜んで支払わない限り、雇用してはならないと規定している。
すなわち、その若者の労働の価値2ドルに加えて90セントを雇用者が喜んで付け加えない限り、その若者は雇用されないのだ。
いったいこのような若者を1時間あたり2ドルの賃金を支払って雇用するよりも、
1時間あたり2ドル90セント支払う仕事にこの若者が就くことができないようにして失業者にしておいた方がどうしてよいのか、
全く理解できない。」(日経ビジネス人文庫刊『選択の自由』529P[一部補足])
そして、
「ほとんどの労働者にとっては、競争こそが、これまで発見され、考え出された最善の保護、もしくは最小の悪だ。」(同547P)
と、説いています。
一見、よく出来た考えのように見えます。
しかし、落とし穴があります。
この考えには、
「資本家と賃金交渉で対等に渡り合える程、類いまれな能力を持った労働者はごく一部であって、
大多数の労働者は、企業活動の一部を忠実に割り当てられて働くだけの存在である」という視点が抜け落ちています。
この状態で、「自由な市場競争原理の無条件適用」などやったら、労働者が、あのブロイラーと同じ運命になる。という事です。
上のサイトで、散々批判していますが、
別に、KFCがニワトリを虐めたいがために、そういう過酷な飼育方法をとってる訳ではありません。
市場での過酷な競争に打ち勝つために、安く大量に鶏肉を供給する必要があるから、そうせざるを得ないのです。
ニワトリが、そういう過酷な飼育環境から逃れるすべがあるとすれば、
ブロイラーじゃなくて、さしずめ地鶏か何かみたいに、付加価値が要ります。
でも、そういうニワトリは少数です。
また、飼育環境の改善の為に、ブロイラーの肉を大幅に引き上げる事は、市場が許さないでしょう。
労働者を「市場原理に委ねる」ことは、そういう事です。
だからこそ、市場の自由に制約がかかるのを承知で、労働者の最低限度の生活を守るために、
最低賃金法や労働基準法があるのです。
小泉や竹中がこのミルトン・フリードマンの信奉者である事は、少し調べれば、すぐに明らかになる事です。
そして、「構造改革」「規制緩和」の目的とする所は、
そういう企業の野方図な自由競争の完全放任です。
請負就業の問題は先週のNHK特集でも取り上げていますが、
現に、この「請負就業」への法整備に対して、小泉政権は全く対策を施そうとしていません。
既に、偽装請負労働の被害者は、あのブロイラーの如く、過酷な環境での労働を余儀無くされているのです。
「規制緩和」を何かいい事のように報道するマスコミは、その無責任な報道姿勢を改めて下さい。
そして、「規制緩和」の正体を知り、その非人間的な政策に反対の声をあげるべきです。