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名無しさん@そうだ登録へいこう:
以下ある青年軍人の最後の手紙
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清 日米戦の噴矢に死す。
先立つ不孝をお許し下され。我軍人なれば基より死は覚悟の上なり。
搭乗員として機上に己が職責を全うせしと覚え、嬉び之に過ぐるものなし。古言に「武士とは死す事と覚えたり」と。我又武人なり、今
こ・に死の尊さを知る。
顧みれぱ世に生を受けしより十九年余日、身体何らの障害あらず、
健全に父母の愛兄弟の愛に甘んじ、我が身世に不幸たるを知らず。幸いに生れ幸に死すこの幸運児、只何一つ報ゆる事なく死すは残念なり。
人生十九年の間父母我に対する労苦考へるに忍びず、只涙あるのみ。
くれぐも不孝をお許し下され。。。
戦の庭に立っ兄上に先きがけて行く身も、再び見えざればよろしく我が心お伝へ下され。互に軍人となりて勲を争ひ、兄をおきて我功を建つ、兄弟の礼に非ざれど兄上嬉びて許せよ。弟として生れ、只兄の
脚下に甘んじ^今だ報ゆべき時期すら莱ずは残念なり。
。。の事は心せず、よくよく体に気を付けられ、只一死奉公、幸福と健康を祈る。
我は布畦に死し兄は大陸の荒野に馳す。されば我が家を守り父上、母上の御身よろしくお願ひ致す。妹等に対しても兄に代りて愛撫の程。我も節子、豊子の健やかなる生長を見ずして逝くは残念なり。
お前も今だ若き身ならば体に気を付けられ、あらゆる障害に最善の努力を以てし、立派に我が弟としての義務を果されよ。
節子も豊子も、父母の教をよく守り兄を助け、健全にた大和なでしこの花を咲かされよ。
我今生に思ひ残す事、無し。
父母への孝養を致し兄弟の幸福を如何に致すべきか生前最も案ぜしが、今は只死を以て総ての最後の餞けとす。最後に親戚御一同様によろしく。
戦友松家の身を心す。
日本祖国の空遥かに宮城を仰ぎ謹しみて万歳を唱へ奉る。父上母上の健康をはるか布畦の空より祈る。
昭和十六年十二月七日 清 父上様
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