それでも、なかなかなくならない。連合の調査でも、組合員でさえ半数がサービス残業をしていると答えている。「ノルマ達成」や「みんながやっている」「残業代を請求しにくい」というのが理由だった。
サービス残業が長時間労働と過労死の温床になっているのは間違いなかろう。
際限なく働くのは、からだや家庭生活に悪いだけではない。賃金と労働時間を分かち合うワークシェアリングをしようにも、ただ働きがこんなに広がっていては実現できるはずがないのである。
組合が厳しくチェックし、サービス残業を許さなくすることができれば、一人あたりの働く時間を短くできるだろう。経営が順調な企業では、新たに人を雇うことにつながるかもしれない。
組合が一斉に取り組んで、それぞれが改善結果を公表すれば、相乗効果があるだろう。サービス残業を減らすことができれば、それは立派な春闘の成果である。
働き方も賃金の決め方も、春闘が始まった50年代に比べると大きく変わった。
パートで働く人たちは1千万人を超えるまでになっている。にもかかわらず、
パートのほとんどは春闘とは縁がなかった。
組合はようやく、パートを含めて企業内最低賃金の協定を結べ、との要求を掲げ始めた。
一人ひとりの賃金の差が大きくなっているだけに、賃金を下支えすることは一層重要になっている。
労働時間にせよ、賃金にせよ、まだまだ改善すべきことは少なくない。
問題は本気で取り組み、成果につなげることができるかどうかだ。掛け声だけなら、春闘は本当に終焉してしまうだろう。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html