米メルク社は昨年、致命的な副作用を引き起こす可能性があるとして、鎮痛剤『ビオックス』の販売を中止した。この件以来、処方箋薬の危険な副作用に対して、医師と患者の双方が警戒感を強めている。
ビオックスをめぐっては、メルク社に対して多数の訴訟が起こされる可能性があ
り、それによって発生する損害賠償額は、推定180億ドルにもなると専門家らは
指摘している。
ファイザー社もまた、副作用を理由に関節炎治療薬『ベクストラ』の販売中止を
余儀なくされており、同じく関節炎治療薬の『セレブレックス』も売上を落としている。ビオックス、ベクストラ、セレブレックスの3つはすべて、シクロオキシゲナ
ーゼ(COX)-2阻害薬と呼ばれる同一系統の薬品だ。
業界では、副作用の発見率を高めるため、製薬会社は薬品を市場に投入した後の
安全性チェックをもっと強化すべきだとの声があがっている。
米国ではここ20年あまり、エイズやガンといった病気の特効薬となりそうな薬品
に関して、より迅速な認可を求める意見が支配的だった。しかし最近では、製薬業界――年間売上にして約2000億ドルの規模を誇る――が薬品を市場に出すのが早すぎるために、かえって患者に害をもたらしているのではないかと懸念する人々が増
えている。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050530304.html