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毛無しさん:
人の髪の等電点はpH5弱くらいです。羊毛のそれはpH4.78〜4.89です。
いずれも全毛髪・全羊毛の数値ですから、全体の10%〜15%を占める毛表皮(キューティクル)は、
シスチンなど酸性アミノ酸の含有量が多く、等電点もさらに下がるのではないかとみられます(羊毛の他の数値にもpH4.2〜4.5があります)。
水のpHは7前後、洗剤はどれも中性〜弱アルカリ(pH6〜11)のものですから、
とりあえずどんな条件下でも、「洗われているとき」の髪はマイナスに帯電しています。
不溶性の金属石けんは、この帯電する繊維と疎水的に結合(疎水性相互作用)します。
石けんを洗いながした後でも、水滴を含んだ髪の繊維はまだ同様の状態にあり、
水でよくすすいでも落すことは容易でありません。
そこで酸性リンスという行為ですが、以上の「環境の状態を180°転換する」という意味をもちます。
弱酸の溶液が髪をつつむとき、酸が十分濃く、周辺全体が等電点のph4当りを下回った時点で、
環境はアルカリ性から酸性側に移り、同時に繊維のマイナス帯電がプラス帯電に変わります。
カルボキシル基(COO-)に代わる、アミノ基(NH3+)の遊離の始まりです。
この反応は瞬時に起こります。弱アルカリの余韻の下にある髪の環境をpH5にするだけでは、
ほとんど効果がないと思われますから、pH4〜pH3くらいにする必要があります。
pH4〜pH3以下にするのに、pH3にちかい酸性溶液が必要なのはうなずけます。
これが酸性リンスの意義と本質です。先のように効果は2つあります。