◆ シャンプー情報交換スレVol.14 ◆

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629毛無しさん
>>602
 さて、以上の独特というべき、石けんの加水分解とその弱アルカリ性ですが、それぞれが、石けんのもつアドバンテージです。
弱酸性洗浄剤を賞揚する側からは、欠点といわれることがありますが、そうではありません。
まず、石けんが皮膚上でつかわれるときですが、解離するナトリウムイオンは、皮膚の酸性分泌物(皮脂の遊離脂肪酸)と結合して、
皮脂由来の石けんをつくります。一方解離する脂肪酸イオンは、加水分解して脂肪酸を生成し、
皮膚上に遊離していき「過脂肪」となって皮膚を保護します。また皮膚上の石けんの脂肪酸イオンは、
水の硬度成分(カルシウム・マグネシウム)と結合して金属石けんもつくります。
 この「過脂肪」と「金属石けんの」干渉のために、石けんの洗浄力は相対的に低下し、本来の脱脂力が平衡的に妨げられます。
洗浄力はその後ふたたび回復して、以上の動作がくりかえされますが、作為のないこの緩衝作用が、
石けんの洗浄力を、過不足のないレベルに調節しています。自然、皮膚に生理的に必要な脂肪が、過度に取り去られるのを防いでいます。
合成洗剤の洗浄力は脱脂力と比例し、脱脂力は皮膚への吸着残留と比例しますが、
石けんの場合はそのどれとも比例せず、洗浄力は、皮脂との親和的な関係のなかで、つねに調整されていることになります。
皮膚残留があるのも一部の金属石けんのみですが、これも皮脂の回復とともに数時間で分解されます。
 つづいて、石けん本来の弱アルカリ性の作用ですが、皮膚は、石けんで洗うことで、
老廃物として存在する角質・遊離脂肪酸・雑菌などを、きれいに落しますが、必要な角質・皮脂・水分などは除去しません。
界面活性剤のみではある程度濃度が必要で、強アルカリでは濃度を抑えても過剰にすぎるという、洗浄作用の微妙なバランスを、
石けんの弱アルカリ性が、過不足なく実現しています、皮膚もまた、石けんの弱アルカリ性によく対応していて、
洗浄後、ただちに皮脂を分泌しはじめ、およそ4時間くらいで従前の皮脂量まで復活します。
これを皮膚の「アルカリ中和能」といっています。石けんのpH9.5〜10.5くらいの範囲で、とくによく作動しています。
630毛無しさん:04/10/04 00:22:52
 シャンプーの対象である頭は、髪と頭皮からできています。
髪はタンパク質繊維、頭皮は皮膚ですから、
シャンプーは、2種類の洗浄対象物を同時に洗うという行為になります。
石けんのアドバンテージは、極少の不純物・夾雑物、特異な生分解性、有為な加水分解アルカリのpHですが、
皮膚には、その加水分解アルカリの作用がとくに有為であるものの、繊維である髪には万全ではなく、
場合によっては弱みにもなります。
 そのため、石けんと髪の関係は、親和的から排他的まで、功罪得失がいくつもあり、
人によってはトラブルを抱えることがあります。
繊維としての髪の性質が、個々人によっても微妙に異なるからです。とはいっても、
タンパク質繊維という本質はひとつのものですから、
有為な共通点も多々あります。石けんシャンプーとの相性は、石けんの特性ばかりでなく、酸性リンスの内容からも決ってきます。
繊維の特性と、シャンプーのメカニズムを知っておくことも有用です。
 天然繊維のうち、タンパク質繊維といわれるのは、人の髪と羊毛と絹です。
絹は組成が少し異なりますが、髪と羊毛はよく似ていて、繊維の表面から順に、
毛表皮 cuticle(キューティクル)、毛皮質 cortex(コルテックス)、毛髄質 medulla(メデューラ)からなっています。
とくに毛表皮(キューティクル)は、システィン含有量の多い「硬質ケラチンタンパク質」からできていて、
板状のものが、数層重なっています。