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この手紙をもって僕の増毛師としての最後の仕事とする。
まず、君の禿を解明する為に乙葉にヘアチェックをお願いしたい。
以下に禿治療についての愚見を述べる。
禿の根治を考える際、第一選択はあくまで増毛であるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、
発見した時点でかつら装着や開き直りを来たした進行症例がしばしば見受けられる。
その場合にはリアップを含む薬剤治療が必要となるが、残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。
これからの禿治療の飛躍は増毛以外の治療方の発展にかかっている。
僕は君がその一翼を担える数少ない禿であると信じている。
禿になった者にはそれを正しく隠蔽する責務がある。君には禿治療の発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に 禿による鬱がこの世から無くなる事を信じている。
ひいては僕の頭髪をヘアチェックの後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
「髪は長い友なり。 」
なお、自ら禿治療の第一線にある者が増毛できず、かつらを装着していることを心より恥じる。