冨田洋之 Part11

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580名無しさん@お腹いっぱい。
◇鉄棒の大失敗に落胆する冨田
 「日本は個人総合優勝で盛り上がってるよ」。報道陣の慰めの言葉は逆効果だった。
「僕は盛り下がってますよ」と、ぶ然とする冨田。
落下した前日のあん馬に続く鉄棒の大失敗が腹に据えかねたらしい。
「個人総合を取った感じすら、しなくなった」と吐き捨てた。
得意種目で、具志堅監督も「初めて見た」と驚くミス。
離れ技のコールマンを首尾よく決めたが、その後バーを握り損なった。
車輪では体が傾き、着地ではよろめいて両手を前につく。
本人が「何も出来ていない」と語る散々な内容。
落下した7位の選手より低得点という屈辱を味わった。
同情すべき点はあった。直前の選手の得点がなかなか出ず、
いったん準備してから仕切り直しとなった。
「疲れもあったし、あの待ち時間で集中力が切れた」と具志堅監督。
珍しく冨田も「手が冷たくなり、嫌な感じがした」と、こぼした。
しかし「いい状態の時しか(いい演技が)出来ないのが自分の弱さ」と、
すぐさま新たな課題を口にするところが冨田らしい。逆境でのキーワードに
「精神力」と「完成度」を挙げ、どちらも「練習で裏付けるしかない」と語る。
種目別は、欧州勢を中心にスペシャリスト養成が世界の潮流となりつつある。
その中で「個人総合が体操の基本」の哲学を貫く冨田。
王道を種目別では発揮出来なかったことが、たまらなく悔しかった。
【堤浩一郎】 (毎日新聞) - 11月27日18時48分更新