【一人上手?】家は戦場【妄想上等!】Part8

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333イナーク ◆Inerk9/fqQ
惑星ガルシアのフランシスコ資源採掘基地...
現在徐々に侵攻を進めるバララント軍に最も近い場所に位置する。

ヂヂリウムを初めとする豊富なレアメタルの産地で長期的には戦略的価値は高い。
しかしアストラギウス銀河の中でも辺境に位置していたのと、メルキア正規軍の庇護の下、これまでは
大規模な攻撃に見舞われる事はなかった。

だが惑星全土でメルキア正規軍の約半数が撤収した今、基地の防衛戦力はガルシア連邦軍のAT部隊
が中心となっていた。
侵攻を進めるバララント軍との戦力差はいかんともし難い。

ペタス基地の護衛戦力の下、イナーク小隊はフランシスコ基地へ向け移動するAT輸送車の中で通常の
哨戒戦闘に困らないレベルの整備を終えた。

本来、イナーク小隊は6機で構成されているが前回の作戦でヨシュア機が損傷し、
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Pilotのヨシュア自身も重傷を負い病院送りとなった為、今回は5機編成での作戦参加を余儀なくされていた。

ヨシュアは傷が回復次第すぐに合流すると言い張ったが、今回の惑星ガルシアでの任務はいつもと違って
長期化が予想されるので彼の復帰の可能性は大いにあった。

輸送部隊がフランシスコ資源採掘基地まで2時間の距離に接近した時...異変は起こった。
イナーク小隊の常として待機時でも常に1機はセンサーを稼動状態にしている。

今回はジェニファーがブレードアンテナ・センサーを稼動状態にしていた。
前方の岩場周辺にバラントAT特有の熱源パターンと金属反応を探知したのだ。
334イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/14(木) 22:26:03
「隊長。前方2Kmの距離に接近するバララントATファッティーを確認。
 反応は6機です。空間戦闘型2機、陸戦A型2機、陸戦B型2機と思われます」
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ジェニファーがイナークにテキパキと報告する。

バララントのAT、空間戦闘型ファッティーは地上での戦闘能力は陸戦型ファッティーに劣るが索敵能力は
数倍優れている。
これは敵の威力武装偵察隊の可能性が高い。
すると近くにはバララントのVTOL式AT輸送戦闘機、ATキャリーが潜んでいる可能性もある。

イナークは護衛部隊にジェニファー機が得た情報をデータリンク。

護衛部隊は戦闘待機に入った。
2機のTH-32-AT エイティ・フライ
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はバララントのVTOL式AT輸送戦闘機の出現に備え、低空でホバリングしながらジェニファー機からの
データリンク索敵情報を見守る。

護衛の2台の軽戦車とガーシム装甲車はファッティー隊が相手では分が悪い。
AT輸送車の周囲に展開して防御隊形を取る。
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同時にイナーク小隊は全機がジェネレーターを稼動させ戦闘準備に掛かる。
ファッティーの空間戦闘型の索敵能力なら、後5分程でこちらも探知されてしまうはずだ。
AT輸送車の中で敵の襲撃を受ける事態だけは避けねばならない。

起動した小隊各機はAT輸送車から降車。道路から降りて脇の岩陰に機体を潜める。
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335イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/14(木) 22:28:06
接近するファッティー空間戦闘型の索敵範囲に入るまであと2分。

『イナークから小隊各機へ。この戦闘はAT輸送車を守るのが最優先だ。敵に路上のAT輸送車
 を探知される前にこちらから仕掛ける。護衛部隊は前進せずAT輸送車の護衛に専念を求む』

AT輸送車には専任整備班と、小隊ATの稼動を維持する為の貴重な物資が満載されている。
破壊されれば今回の派遣任務そのものが失敗になってしまう。

『俺とハンクス機が先行して空間戦闘型のファッティーを叩く。陸戦型ファッティーは索敵を
 空間戦闘型に依存しているから空間戦闘型が破壊されれば自機センサーに切り替えるのに
 一瞬隙が出来る。
 ケン機は前進せず陸戦型ファッティーの予想移動ポイントへミサイルランチャーで制圧射撃。
 ジェニファー機とバーンズ機はそのタイミングで一気に前進。俺とハンクスと合流して残りを
 掃討する。探知した6機以外に伏兵がいる可能性もある。各機油断するな』

「ハンクス了解」「ジェニファー了解」「バーンズ了解」「ケン了解」

『行くぞ!』
イナークが叫ぶのと同時にハンクス機が岩陰から飛び出し、ローラーダッシュで一気に道路脇を
突進する。
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イナーク機もハンクス機の10m後方をローラーダッシュで突進して続く。
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336イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/14(木) 22:30:27
バララントのAT隊がハンクス機とイナーク機の接近に気付き展開を始める。
サンドカラーの陸戦型ファッティー
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と違い、空間戦闘型はブルーで塗装されており
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網膜ゴーグルに表示される電子タグを見るまでも無く映像で容易に識別が出来る。

空間戦闘型ファッティーは両翼に展開、陸戦型ファッティーは中央で迎撃体勢を取った。

ハンクス機はさらに加速しつつターンピックを使う。
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高速移動中のターンピックは完全に地面に打ち込まれずスリップ効果を生み、ATでは不可能とされる斜め
方向への高速スライド移動を可能にする。
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高速スライド移動のまま左端の空間戦闘型ファッティーに迫るハンクス機。

後続する赤い右肩のイナーク機を認めた4機の陸戦型ファッティーは、ハンクス機の行動を囮と
判断しミサイルポッドとガトリングガンの砲火をイナーク機に向け開く。
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だがその瞬間イナークは搭乗機の名前の由縁、ターボカスタムのジェットローラーダッシュ
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を作動させ、ハンクス機とは逆に右端の空間戦闘型ファッティーに向け爆発的な加速で突進する。

陸戦型ファッティーのミサイルとガトリングガンの弾幕はイナーク機のずっと後方に虚しく着弾。
あまりの加速に陸戦型ファッティーの射撃管制システムは追従できない。
337イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/14(木) 22:33:07
イナークは右肩上に装備したミサイルポッドから2発のミサイルを右端の空間戦闘型ファッティーに発射
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してそのまま右の岩陰へ飛び込み急制動。
4機の陸戦型ファッティーの射界から機を隠す。

ハンクスはスライド移動の状態のままATの上半身だけを左端の空間戦闘型ファッティーへ向け、ショート
バレルのGAT-12へビィマシンガンをフルオートで掃射。
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イナークと同様に左の岩陰に機体を滑り込ませる。

両翼の2機の空間戦闘型ファッティーは、イナークが発射したミサイルとハンクスのへビィマシンガンの掃射
で爆散した。

データリンクさせていた空間戦闘型ファッティーの広域センサーを失った4機の陸戦型ファッティーは、各機の
センサーへ索敵を切り替え各々2機ずつ左右に分かれイナーク機とハンクス機が機体を潜ませた岩場を狙う。

だが次の瞬間、4機の陸戦型ファッティーの周囲に遥か後方のケン機が発射した大型ミサイル
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が着弾。

凄まじい爆発。砕け散る岩と燃え盛る炎。そして砂埃が4機の陸戦型ファッティーの周囲を包む。
1機が完全に破壊され、残る3機も大きく損傷する。

だが残った3機の陸戦型ファッティーは果敢にもイナーク機とハンクス機が隠れる岩場へ向け、ミサイルポッドと
ガトリングガンを発射しつつローラーダッシュで突撃を試みる。
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338イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/14(木) 22:35:03
だが彼らのファッティーはケン機の大型ミサイルの着弾でセンサー機能が麻痺しており、新手の2機の
スコープドッグの接近に気付かなかった。

ジェニファー機とバーンズ機
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がそれぞれ発射したSAT-03ソリッドシューターの電磁加速ロケット弾が2機の陸戦型ファッティーを直撃。
機体は移動しながら爆散した。

残る1機はハンクスが潜む岩陰へ突入しガトリングガンを掃射。
だがハンクス機は降着姿勢で地を這うようにして待ち伏せしており頭上の岩壁を虚しく砕くのみ。
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次の瞬間、ハンクスは降着姿勢から通常姿勢へATを移行させるのと同時に左腕の強化アームパンチを
陸戦型ファッティーの腹部に叩き込む。
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最後の陸戦型ファッティーはコクピットを叩き潰され、地面に崩れ折れる。
ハンクス機の左腕が元のポジションに戻るのと共に、アームパンチ用の薬莢が左腕から排出される。
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『ジェニファー!周囲の広域索敵を実施。伏兵がいないか確認しろ!』

イナークはこのバララントの威力偵察隊が6機のファッティーだけと断定していなかった。
もし残存戦力がいればこの戦闘に彼らが気付かない訳が無い。

「隊長!2Kmの距離に増援の陸戦型ファッティー4機とVTOL式AT輸送戦闘機2機を確認。
 ジェネレーターを切って潜んでいた模様です。現在急速接近中!」

ジェニファーがブレードセンサーが捉えた新たな敵の情報を各機にデータリンク。
339イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/14(木) 22:36:04
『ケン!そのままAT輸送車から離れるな。後の各機は手頃で頑丈そうな岩陰へ入れ!』

数秒でイナーク小隊の各機は荒涼とした岩場に溶け込み姿が消える。

『最初に俺がAT輸送戦闘機を叩く。それを合図に各機敵ATへ自由射撃』

「ハンクス了解」「ジェニファー了解」「バーンズ了解」「ケン了解」

バララントのVTOL式AT輸送戦闘機はギルガメスのATフライ同様多少の戦闘ヘリ能力は持つ。
侮ってはならない。

イナークは自機の腰部に装着された2連対空ミサイルを、接近する2機のバララントAT輸送戦闘機
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にロック。
岩陰から機を飛び出させローラーダッシュとターンピックで機を180°ターン。
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2発の対空ミサイルをそれぞれのAT輸送戦闘機に発射する。
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イナークの対空ミサイルで2機のAT輸送戦闘機が爆散。

同時にハンクス機・ジェニファー機・バーンズ機も岩陰から機体を滑り出させ、イナークも
含め全員がGAT-12へビィマシンガンとSAT-03ソリッドシューターで接近する4機の陸戦型
ファッティーへ射撃を開始した。
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4機の陸戦型ファッティーが小隊の正確な射撃で沈黙するまで僅か数秒。
6機のファッティーと交戦を開始してから、10分で惑星ガルシアでのイナーク小隊の最初の
戦闘は終了した。
340イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/14(木) 22:37:10
各機は後退し、ケン機とAT輸送車、そして出番が無かった護衛部隊
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と合流した。

敵はやはり規模からして威力偵察部隊と思われたが、ペタス基地とフランシスコ基地の中間で
バララント軍に遭遇してしまった事を考えると、フランシスコ基地周辺の状況はかなり悪化して
いると判断せざるを得なかった。

また今回の戦闘で惑星ガルシア環境下ではPR液の劣化が通常より早く進む事が判った。
ノーマルのスコープドッグならPR液は通常なら218時間持つ。

しかしイナーク小隊機の驚異的な反応速度を実現する最新型のマッスルシリンダーと専用PR液は、
運用状況にもよるが僅か70時間程度でPR液の交換が必要になる。

それが惑星ガルシアの環境要因により、さらに10%程も劣化が早く進むのだ。
他の4機と違いミッションパックを装備せず予備PR液を持たない上に、高機動戦闘専門のハンクス機に
とっては深刻な問題だった。

イナークはハンクス機にも通常の待機・移動時にはミッションパックを装備させ、パックのPR液を
常に循環させておき戦闘突入の際にミッションパックをパージさせる事で当面の解決策とした。
幸いミッションパック自体は特殊な装備ではないのでAT輸送車に積載された備品をそのまま頂戴した。

2時間の移動の後、イナーク小隊を乗せたAT輸送車と護衛部隊はフランシスコ資源採掘基地に到着。

護衛部隊はペタス基地への帰還の途についた。
威力偵察部隊を殲滅されたバララント軍の新手が現場で待ち伏せしている可能性は大きくある。

イナークは彼らの幸運を祈らざるを得なかった。
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