惑星ガルシアのフランシスコ資源採掘基地...
現在徐々に侵攻を進めるバララント軍に最も近い場所に位置する。
ヂヂリウムを初めとする豊富なレアメタルの産地で長期的には戦略的価値は高い。
しかしアストラギウス銀河の中でも辺境に位置していたのと、メルキア正規軍の庇護の下、これまでは
大規模な攻撃に見舞われる事はなかった。
だが惑星全土でメルキア正規軍の約半数が撤収した今、基地の防衛戦力はガルシア連邦軍のAT部隊
が中心となっていた。
侵攻を進めるバララント軍との戦力差はいかんともし難い。
ペタス基地の護衛戦力の下、イナーク小隊はフランシスコ基地へ向け移動するAT輸送車の中で通常の
哨戒戦闘に困らないレベルの整備を終えた。
本来、イナーク小隊は6機で構成されているが前回の作戦でヨシュア機が損傷し、
http://mousou.secret.jp/inerk/inerk_img3/Joshua_broken.jpg Pilotのヨシュア自身も重傷を負い病院送りとなった為、今回は5機編成での作戦参加を余儀なくされていた。
ヨシュアは傷が回復次第すぐに合流すると言い張ったが、今回の惑星ガルシアでの任務はいつもと違って
長期化が予想されるので彼の復帰の可能性は大いにあった。
輸送部隊がフランシスコ資源採掘基地まで2時間の距離に接近した時...異変は起こった。
イナーク小隊の常として待機時でも常に1機はセンサーを稼動状態にしている。
今回はジェニファーがブレードアンテナ・センサーを稼動状態にしていた。
前方の岩場周辺にバラントAT特有の熱源パターンと金属反応を探知したのだ。
接近するファッティー空間戦闘型の索敵範囲に入るまであと2分。
『イナークから小隊各機へ。この戦闘はAT輸送車を守るのが最優先だ。敵に路上のAT輸送車
を探知される前にこちらから仕掛ける。護衛部隊は前進せずAT輸送車の護衛に専念を求む』
AT輸送車には専任整備班と、小隊ATの稼動を維持する為の貴重な物資が満載されている。
破壊されれば今回の派遣任務そのものが失敗になってしまう。
『俺とハンクス機が先行して空間戦闘型のファッティーを叩く。陸戦型ファッティーは索敵を
空間戦闘型に依存しているから空間戦闘型が破壊されれば自機センサーに切り替えるのに
一瞬隙が出来る。
ケン機は前進せず陸戦型ファッティーの予想移動ポイントへミサイルランチャーで制圧射撃。
ジェニファー機とバーンズ機はそのタイミングで一気に前進。俺とハンクスと合流して残りを
掃討する。探知した6機以外に伏兵がいる可能性もある。各機油断するな』
「ハンクス了解」「ジェニファー了解」「バーンズ了解」「ケン了解」
『行くぞ!』
イナークが叫ぶのと同時にハンクス機が岩陰から飛び出し、ローラーダッシュで一気に道路脇を
突進する。
http://mousou.secret.jp/inerk/inerk_img3/hunks_rdash.jpg イナーク機もハンクス機の10m後方をローラーダッシュで突進して続く。
http://mousou.secret.jp/inerk/inerk_img3/inerk_squad_01_01.jpg
各機は後退し、ケン機とAT輸送車、そして出番が無かった護衛部隊
http://mousou.secret.jp/inerk/inerk_img3/bigcarry_wakeup.jpg と合流した。
敵はやはり規模からして威力偵察部隊と思われたが、ペタス基地とフランシスコ基地の中間で
バララント軍に遭遇してしまった事を考えると、フランシスコ基地周辺の状況はかなり悪化して
いると判断せざるを得なかった。
また今回の戦闘で惑星ガルシア環境下ではPR液の劣化が通常より早く進む事が判った。
ノーマルのスコープドッグならPR液は通常なら218時間持つ。
しかしイナーク小隊機の驚異的な反応速度を実現する最新型のマッスルシリンダーと専用PR液は、
運用状況にもよるが僅か70時間程度でPR液の交換が必要になる。
それが惑星ガルシアの環境要因により、さらに10%程も劣化が早く進むのだ。
他の4機と違いミッションパックを装備せず予備PR液を持たない上に、高機動戦闘専門のハンクス機に
とっては深刻な問題だった。
イナークはハンクス機にも通常の待機・移動時にはミッションパックを装備させ、パックのPR液を
常に循環させておき戦闘突入の際にミッションパックをパージさせる事で当面の解決策とした。
幸いミッションパック自体は特殊な装備ではないのでAT輸送車に積載された備品をそのまま頂戴した。
2時間の移動の後、イナーク小隊を乗せたAT輸送車と護衛部隊はフランシスコ資源採掘基地に到着。
護衛部隊はペタス基地への帰還の途についた。
威力偵察部隊を殲滅されたバララント軍の新手が現場で待ち伏せしている可能性は大きくある。
イナークは彼らの幸運を祈らざるを得なかった。
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