【一人上手?】家は戦場【妄想上等!】Part8

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307イナーク ◆Inerk9/fqQ
輸送機から降りた専任整備班は、ペタス基地のハンガーの一角を借りてスクラップ同然に破損した
5機のATの修理に掛かった。
厳密には修理というより一緒に届いたコンテナにぎっしり詰まった新品パーツとの換装作業に近い。

ペタス基地の整備班とATパイロット達は遠巻きに作業の様子を見ていたが、専任整備班の驚異的な
手際の良さでスクラップ同然の5機のATがみるみると短時間で修復されていくのを驚きの目で見守った。

5機のATはいずれもミッド級のDogタイプ。
ギルガメス系機体である事を示すODカラーを主体にした塗装。
言い換えればギルガメスの主星、メルキア正規軍所属の機体で無い事が判る。
(メルキア正規軍の機体ならば独自のパープル系塗料で塗装されている筈だ)

だがペタス基地の整備班とATパイロットが驚いたのはその修理の速さだけではなかった。
5機のATはどれもDogタイプとはいえ、それぞれが独自のカスタマイズが施された特殊機体である事が
ペタス基地の整備班とATパイロットが見れば一目瞭然だった。

しかもその5機のATの内の1機には、血に塗れた赤い右肩が装着されようとしていた...
308イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/11(月) 22:22:48
「一体どういう事だ。我々が要請した増援は3個中隊だぞ!
 なのに送られてきたのはたった1小隊..しかも即時戦闘は不可能ではないか!」

ペタス基地司令官は着任報告に訪れたイナーク小隊の5人に激昂して怒りをぶつける。

『お言葉ですが中佐殿。我々は再戦開始直後にバララントに奇襲された不可侵宙域の惑星アルケロンに
 友軍撤退支援任務で投入されて帰還したばかりなのです。
 リードマン大佐からの命令はただちに惑星ガルシアへ向かい、ペタス基地で機の補修の後に最前線の
 フランシスコ資源採掘基地に移動して駐留部隊を支援せよとの内容です』

小隊の指揮官、イナーク中尉は激昂する司令官とは対照的に冷静に応じて命令書を手渡す。

「何...独立機動小隊!?すると我々が要請した増援とは別という事か。
 本隊の増援はいつ到着する?」

終戦直前に主星メルキアから惑星ガルシアに派遣され、駐留するメルキア正規軍の総司令官である
リードマン大佐からの命令書を読んだペタス基地司令官の顔がようやく冷静になる。

『自分達には判りません。申し訳ありませんが正規の増援予定についてはリードマン大佐に直接お尋ね下さい。
 我々は機体の修理が終了次第、整備班と共に陸路でフランシスコ資源採掘基地に移動します。
 申し訳ありませんがAT輸送車を2台お借りします』

「...判った。用意させよう。だがあの機体の破損状態では出発は明日か明後日だな。
 護衛は必要か?」
309イーグルワン ◆8HS0CpO33k :2008/08/11(月) 22:41:24
ごくりw

>>306
パーフェクトだウォルター。
310イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/11(月) 23:17:42
『もしお許し頂ければTH-32-AT エイティ・フライを2機、軽戦車を2台、ガーシム装甲車を2台お願い
 出来ますか?』
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ペタス基地の貴重な戦力を正体不明の部隊の輸送の護衛に付けるのは、基地司令官としては業腹
がったが仕方ない。
メルキア正規軍のリードマン大佐は惑星ガルシアのガルシア連邦軍のアドバイザーとして絶対的な
権限を持つ。

「判った...手配しよう。輸送車はAT専用のMTV-36-Tビッグキャリーと、同型の屋根付き物資輸送
 型の2台を出せる」
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『感謝します。夕刻には出発しますのでそのように手配をお願いします』

小隊の指揮官、イナーク中尉は敬礼をして感謝の意を示す。

「夕刻?あの破損状態では二日..早くても丸一日修理に掛かると思うが?」

『いえ。大丈夫です。交換用のパーツをごっそり持ち込んでいますから。
 組んでしまえばアビオニクスの調整等は陸路の移動中に我々も輸送車でやります。
 それでは我々も整備班の手伝いにハンガーへ向かいます』

再び敬礼をして司令官室を後にする。
基地司令官は、終始無言で直立していたイナークの部下4人のAT乗りがいずれも独特の風貌、しかも1名
は女性である事にやっと気付き、それほどまでに激昂していた自分を少し恥じた。
311イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/11(月) 23:38:35
イナーク中尉が基地司令官に言ったように、スクラップ同然だった5機のATは夕刻には完全に修復されていた。

イナーク機
ATM-09-STTC-C
百年戦争の末期に投入された最新型のスコープドッグ・ターボカスタム。
ターボカスタムの由来となる脚部のジェットローラーダッシュ機構は、推進部が機体重心の最下部にある為に
扱いが難しい機体だが、熟練したAT乗りなら爆発的な加速力による機動戦が行える。

対地・対空ミサイルポッドやソリッドシューター、ガトリングガンのフル装備状態。
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主武装は通常のAT用のグレネードランチャー付きヘビィマシンガン、GAT-22だが、マガジンは2個を連結した
ダブルマガジンを装着している。
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特務小隊の指揮官機として、任務により軌道上の恒宙艦とも通信可能なブレードアンテナを頭部に装着。
このブレードアンテナにより索敵能力も格段に向上する。
さらにバイザーにはロールバーが追加され格闘戦時のターレットレンズ保護が図られていた。

だがそれ以上に特徴的なのは、血の色で塗装された赤い右肩。
百年戦争の終戦時に解散されたメルキア特殊部隊X-1、レッドショルダーの数少ない生き残りである事
が無言で語られていた。
312イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/11(月) 23:53:58
ジェニファー機
ATM-09-ST II(SA)
標準型スコープドッグの最新バージョン。星域によりスコープドッグIIと呼称されたり、宙間戦闘での
性能向上が図られている為、スコープドッグ・スペースアサルトと呼ばれる機体。
外観上はOD塗装が通常のツートンカラーではなく単色塗装である事が多い。

このジェニファー機の主武装はSAT-03ソリッドシューターとGAT-49mmペンタトルーパーだが、任務
によってはGAT-22ヘビィマシンガンも使う。
背部にはミッションパックを搭載。小隊用予備弾薬の携行と高機動戦によるPR液の劣化を防ぐ。

またジェニファー機はイナーク小隊の分隊長でもある為、任務に応じてイナーク機同様にブレード
アンテナを頭部に装着する。
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しかし最も周囲の目を引くのは搭乗者が女性である点である事は否めない。
ギルガメス軍では女性兵士は珍しくはないが、AT乗り..しかも凄腕の例は少ない。
313イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/12(火) 00:06:25
ハンクス機
ATM-09-STCR
標準型スコープドッグを近接射撃と格闘戦に特化させた機体。
百年戦争終戦時に、興行として行われていたATによる格闘戦の賭け試合、バトリングからフィード
バックされており、胸部前面の装甲強化と通常のスコープドッグに比べ破壊力が大きい太い腕部の
アームパンチ機構を持つ。

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このハンクス機の主武装は格闘戦用にショートバレル化したGAT-22ヘビィマシンガンと前述の
アームパンチ。
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接近戦での高機動射撃&格闘戦の為、本機はミッションパックを搭載せず、代わりに腰部左右アーマー
の予備マガジンもダブルマガジン仕様とし、背部アーマーにはアームパンチ用の予備カートリッジを持つ。
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機体特性としては中距離以上の距離での戦闘には向かないが、ハンクスは小隊の援護射撃の下、果敢に
敵ATに突進して接近戦に持ち込むのを常としている。
314イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/12(火) 00:21:29
ケン機
ATM-09-ST
基本的には標準型スコープドッグだが、対トーチカや陸上戦艦用の大型ミサイルを発射可能な
SMAT-38ショルダーミサイルポッドを装備して長距離支援攻撃を行う。
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SMAT-38ショルダーミサイルポッドは本来両腕で保持して射撃するが、このヨシュア機は高性能
バランサー採用と腕部マッスルシリンダーの強化で、左腕での片腕射撃を可能にしている。
(ただしその為に左腕のアームパンチ機構は廃止されている)
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ミサイルポッド自体は全弾撃ち尽くせば廃棄するので、対AT戦用にGAT-22ヘビィマシンガンも
携行し、ジェニファー機同様に背部にミッションパックを搭載。
小隊用予備弾薬の携行と高機動戦によるPR液の劣化を防ぐ。


バーンズ機
ATM-09-ST
ヨシュア機同様に基本的には標準型スコープドッグ。イナーク小隊では最も新人だが中距離戦闘
においては抜群の射撃センスを持つ。

主武装はジェニファー機と同様にSAT-03ソリッドシューターとGAT-49mmペンタトルーパーだが、
任務によってはGAT-22ヘビィマシンガンも使う。
背部にはミッションパックを搭載。小隊用予備弾薬の携行と高機動戦によるPR液の劣化を防ぐ。

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315イナーク ◆Inerk9/fqQ :2008/08/12(火) 00:37:20
イナーク小隊は奇襲・陽動や後方かく乱・包囲された味方部隊の救援など、単独で行動する
特務小隊の為、基本的に各機体の塗装にはステルス塗料が使用されており、バララントの
レーダーやサーマルセンサーからの長距離索敵が困難になっている。

また各部マッスル・シリンダーやPR液は最新の物が搭載されており、PR液循環用の
コンプレッサーは強力な物に換装されている。
その為比較的ノーマルのスコープドッグに近いケン機とバーンズ機でも、その機動力は標準の
ギルガメス軍のスコープドッグの比では無い。
反面PR液の劣化も数倍早く進むので、ミッションパックのPR液予備タンクに依存する。

高性能・高機動の代償として長期戦には向かず、あくまでヒット・アンド・アウェイの短期戦闘が
小隊の戦闘スタイルとなっている。

その日の夕刻。
イナーク小隊は整備班と共にペタス基地司令官が用意してくれたAT輸送車に搭乗。
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最前線のフランシスコ資源採掘基地へ移動を開始した。

イナークは組み上げられたばかりのATのコクピットで、機体アビオニクスの調整やミッション
ディスクのプログラムを移動中に行う。
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それはジェニファーや他の隊員達も同様だった。
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フランシスコ資源採掘基地までは6時間。

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