SCE共和国と任天王国とMS帝国の戦い 避難所 第二話

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690ゲーム好き名無しさん
王国領にほど近いところにあるマベ公国の蕪農園。
夕方、農作業を終えて一息ついている屯田兵のところに、もう一人の屯田兵が慌ただしく駆け寄ってきた。
「聞きましたか先任!?ここの管理をやっていたネバーランド工廠が破産したって噂を。」
「聞いたよ。今まで散々安いカネでこき使われてきた雇い主のマベ公国にとうとうボロ雑巾のごとく切り捨てられた挙げ句、
最後の望みを託してソシャゲ海に送り込んだ自費建造のフネもあえなく海底の藻屑になったそうだな。ひどい話さ。」
「やっぱり事実なんですね…。じゃあここの管理はこれから誰が…。」
「知らんよ。そんなもの。あのマベがまともなところに任せるとも思えんし、
最悪また和田時代以前みたいなひどい有様になるんじゃないのか。」
以前のマベ公国はアニメ大陸などから連れてきた傭兵をろくな装備も与えぬまま
前線に送りこんでは使い捨てにする国として有名であり、
彼らが共和国に派遣した海腹炊飯部隊が「膿腹」などと酷評されていたのはその一例であった。
それを、マベ重臣の和田が「我が国はまず兵士たちからの信用を取り戻す事が何よりも重要である」
として改革に励み、Wii・DS時代の中期からは和田の狙い通りになってきたのであったが、
当時のマベ大公が「お前のやっていることはカネにならぬ」として和田を放逐してしまったのだ。
その大公も10億円をつぎ込んだHD部隊「レッドシーズ」が戦果を挙げるどころか出撃前から従軍費用を大幅に下げられるなどの
核爆死をしたために大公の地位を逐われて隠居させられるという有様だった。
新参の顔が青ざめる。
「いくらなんでも、今更そんな状態になるはずが…。
それにはしもと整備部長さんだって『チームメンバーは元気です。』なんて言ってますし…。」
「おめでたい奴だなお前は。はしもとの『今後について云々』はなんにも言ってねえのと何も変わらんだろうが。
大体『チームメンバー』とやらはどこの誰のことなんだ?
それに、そのマベがカグラ舞曲団でやらかしてきたことはお前のほうが詳しいんじゃないのか?」
691ゲーム好き名無しさん:2013/12/05(木) 17:09:15.08 ID:HKGLzG2l0
「…。」
女性の胸を強調した淫靡な舞が特徴だったカグラ舞曲団が「次も王国で舞をやります、共和国のはこちらのとは別ものです」
などといった詐欺紛いのやり口で王国で集めたカネを元手に共和国で豪勢な酒場を開き、
しかもそこでは全裸の娘の局部にコケシをあてがうなどの王国時代から見ても正視に耐えない乱痴気騒ぎが繰り広げられている
という事実を思い出したためか、呆れたような顔で言い返した古参の言葉に新参は黙ってしまった。
古参はそれに構わず続ける。
「共和国官吏が飲みにきては内部事情をベラベラと喋りまくる
『ユトリロ』なる酒場があるそうだが、そこから以前漏れ聞こえてきた話によると
『惨敗したままゲーム大陸から撤退したのではソニー連邦の面子が丸つぶれになってしまう。
故に他の大陸でやってきたように破壊できるところは徹底的に破壊し焦土にした上で、
我々がゲーム大陸から撤退するのは敗北したためではなく旨みが無いからだ…ということにする方針だ』
とかいうことになったそうだ。で、ネバーランド工廠がその破壊対象の一つになったということさ。
それに、今のマベに元共和国総統の久多良木の野郎がいることくらい知っているだろう?」
「ですが、マベ公国の本拠地ともいえる牧場本体は王国に…。」
「あれはネバーランド工廠とは何の関係もないだろう?」
古参のその言葉に、新参が渋面で返す。
「…確かにそうですね。ソニー連邦のいつもの妨害はともかく、我々はこれからどうすればいいんでしょうか?」
「今までと同じでいいさ。良さそうな部隊に従軍する、それだけだ。
我々にはそれしかできないからな。まあ次の蕪農園もとりあえず様子見だがね。」
「様子見ですか?」
「マベだし当たり前だろう。というかこのご時世に様子見しないでいいのは王国直属の部隊くらいなもんだ。」
「そういえばさっき名前が出てた和田さんが、王国の『ホームタウン』なる山村に小さな店を開いたそうですが…。」
「あれは駄目だな。店主の外見は元よりだが、曲がり角に来る度に無理矢理視線を変えさせられるとか
客が早朝から深夜までダラダラと来るわその客が邪魔で店の商品を補充するのも一苦労だわじゃあな。」
古参は、嘆かわしいといった表情でそう吐き捨てた。
692ゲーム好き名無しさん:2013/12/05(木) 17:11:14.89 ID:HKGLzG2l0
「そうですか…。それでは自分はそろそろ。」
それを見た新参の屯田兵がそう言って立ち去ると、残された古参の屯田兵は
出荷箱にいっぱいの蕪の山をどことなく虚ろな目で見ながら呟いた。
(俺はまだしも空中都市エストや地下迷宮アスカの探索やってた連中の嘆きはこんなもんじゃないだろうな。
技師たちだけでもまともなところに入れればいいんだが…。
とにかく共和国の存在はゲーム大陸にとって害悪でしかない。さっさと消えて欲しいもんだ。)
いつの間にか日は地平線の向こうに沈み、辺りは闇に支配されていた。