【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【地図】に挙げられているのと同じ物。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。(ただし第一回放送まで支給されていない、もしくは見ることが出来ない)
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
【『首輪』と禁止エリアについて】
ゲーム開始前からプレイヤーは全員、『首輪』を填められている
(かならずしも首輪の形である必要性は無し。参加者の形態などによってはチップなどになっている)
首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ
(例外はなし。不死の怪物であろうと、何であろうと死亡)
開催者側は、いつでも自由に首輪を爆発させることができる
24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ
『首輪』を外すことは専門的な知識がないと難しい
(下手に無理やり取り去ろうとすると、首輪が自動的に爆発し死ぬことになる)
開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると、首輪が自動的に爆発する
【放送について】
放送は6時間ごとに行われる。つまり0時開始だとすると6時、12時、18時、24時ごとになる
放送内容
「禁止エリアの場所と指定される時間」
→出来るだけ離れた地点を2〜3指定。放送から1〜2時間前後ずつで進入禁止に
「前回の放送から今回の放送までに死んだキャラ名」
→死んだ順番、もしくは名簿順に読み上げ
「残りの人数」
→現在生き残っている人数。
「主催の気まぐれなお話」
→内容は書き手の裁量で
【ステータス】
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。
テンプレはこちら。
【地名/○○日目/時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名@出典シリーズ】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものなどはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
複数可、書くときは優先順位の高い順に)
【作中での時間表記】(0時スタート)
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
【制限について】
裏出展の参加者→基本制限なし。移動速度、耐久力は制限有り?
メカ亀田→一部武器は制限?
超能力→体力消費増大?
死んだ人は生き返りません
友子の体内にある暗示装置→威力制限と疲労(程度は暗示の内容と書き手の裁量次第?)
しあわせ草ドーピング選手→ドーピング済みで銃を避けれる時期は要制限
それ以外の身体能力が少し上がった程度ならOK
しあわせ草→特に制限なし、よく効く薬草みたいなもの
霊体相手でも物理攻撃は必ず効く、ゲーム中で効かなくてもロワ会場では効く
ネタバレ注意
【参加者・生存者状況・○=生存、●=死亡】
2/3【パワプロクンポケット】
●教頭 /○進藤明日香/○平山紀之
4/4【パワプロクンポケット2】
○荒井紀香/○曽根村/○二朱公人/○凡田大介
4/4【パワプロクンポケット3】
○たかゆき/○鋼毅/○三橋一郎/○四路智美
1/1【パワプロクンポケット4】
○天本玲泉
1/1【パワプロクンポケット4裏】
○プレイグ
1/2【パワプロクンポケット5】
○埼川珠子/ ●塚本甚八
1/1【パワプロクンポケット5裏】
○愛
3/3【パワプロクンポケット6】
○青野柴夫/○島岡武雄/○ほるひす
2/3【パワプロクンポケット6裏】
●落田太二 /○ヘルガ/○メカ亀田
6/7【パワプロクンポケット7】
○東優/○倉見春香/○芹沢真央/○七味東雅/ ●ブラウン /○レッド
1/1【パワプロクンポケット7裏】
○黒羽根あやか
7/8【パワプロクンポケット8】
○上川辰也/○黒野鉄斎/○白瀬芙喜子/○高坂茜/○灰原/ ●森友子 /○八神総八郎/○リン
3/4【パワプロクンポケット9】
●太田洋将 /○九条英雄/○椿/○夏目准
1/2【パワプロクンポケット9裏】
●エリ /○カネオ
5/6【パワプロクンポケット10】
●越後竜太郎 /○大江和那/○神条紫杏/○十波典明/○浜野朱里/○芳槻さら
2/2【パワプロクンポケット10裏】
○タケミ/○ピエロ
2/3【パワポケダッシュ】
○小波走太/ ●二ノ宮金太 /○芽森わん子
1/1【パワポケ甲子園】
○甲子園児
残り51/60
>>1 超乙!
しかしながら名簿にアルベルトと新六、ふぐりと七原が抜けてるんだぜ
白瀬、愛を投下します
愛は周囲を警戒しながら北上していた。
忍者にとってこの手の隠密行動はお手の物、薄暗い闇の中を疾走していくその姿には一分の迷いもない。
草むらを疾走しながら愛は考える。
あの場に居た人間は少なく見積もっても五十人を超えていた。
そして、先ほど相対した三人は誰もが愛を殺し得ても不思議ではない相手だった。
それは純粋な実力が愛以上だと言う意味ではない。
愛の手持ちの武器がこの筒状のものだけという今の状況では戦闘に限界があるからだ。
現に何故か大した動きではなかった教頭斎に愛は殺されかけた。
その上、窮地に現われたあの女のように戦闘において優れた人間も居る。
だがあの傷では長くはない、死んではいないだろうが満足に動ける傷でもないだろう。
しかし、あの女ほどの腕前の人間がゴロゴロしていると仮定すると生き残ることは難しい。
様々な観点から見ても愛が確実に生き残れる方法は現時点では皆無。
贔屓目に見ても五分五分で死んでしまうだろう。
それも当然だ。
武器らしい武器はなく、忍術は威力も落ちていて体力の消費も著しい。
完璧に詰んだわけではないが苦しい状況に変わりはない。
だが、愛はまだ死ぬわけにはいかないのだ。
野球人形を完成させることで、ある国の殿と姫様の月光への覚えをよくして仕事を増やしてもらわなければいけない。
そのためなら戦えない、愛のような戦うための人間でないただの人を殺す事もやむを得ない。
愛は悪人ではないが忍者だ、任務を成功させるためには関係のない人々を殺す覚悟もしている。
とにかく今はどのようにして生き残るかを考えなくてはいけない。
「!」
そこで立ち止まる。
目の前に一人の女が居たからだ。
愛は身を低くして草むらに隠れ、女の様子を窺う。
女の手元には見たことない種類の銃と、妙な形をした黒い盾が握られている。
今は何とか隠れているが、この距離で銃を相手に戦うのは無謀だ。
しかし、先ほどの教頭斎や背中を斬りつけた女もそうだが妙な服装をしている。
紫色の硬そうな素材を使った服装、南蛮から入ってきた新しい服なのだろう。
今の流行ものなのだろうか?
いずれにしろ貧乏一門である月光には縁のない代物だ。
さて、ここでどうするか。
忍術を使えば勝てない事もないが、かなりの体力を消費してしまい先ほどのように万が一があれば死んでしまう。
しかし、ここであの女を倒すとあの銃を得ることが出来る。
最高は銃だけを奪ってここを去り、あの女を生かして愛が動くことなく人数を減らさせる事だ。
先ほどのような醜態を晒さないためにも殺傷力の高い銃を奪っておきたいところ。
愛は身構えて姿勢をさらに低くする。
デイバックから筆記用具とコンパスを取り出して、女の左右に向かって投げつける。
そして、二つが落ちる前に静かに、だが素早く駆け出す。
愛の手刀が狙うのは女の首。
筆記用具とコンパスに気をとられる間の一瞬の隙があれば十分だ。
この手刀が当たらないわけがない、愛は忍者、つまりは暗殺の専門家である。
気絶をさせて小銃と他の武器を奪う、それが愛の狙いだった。
「なっ!?」
「動きはいい……だけど、残念賞ね。
隠れる時はもっと慎重にしたほうがいいわよ」
だが、手に広がった感触は柔らかいながらも硬い首の感触ではなく鈍い痛みだった。
女の持っていた奇妙な黒い盾によって手刀は防がれたのだ。
つまり目の前の女は愛に気付いていた、そして愛はのこのこと誘いに乗ってしまったのだ。
だから筆記用具にもコンパスにも気をとられることなくその盾で防ぐ事が出来た。
愛は激しく動揺するが、それでも身体に動きが染み付いているのか考えるよりも早く次の攻撃へと移る。
だが、女は愛が攻撃へと移るよりも早く鋭い蹴りを放つ。
愛はそれを無理やり後方に下がる事で何とか避ける。
だが、これは一番してはいけない動き。
当然の如く女はその銃を発砲する。
愛が自分のした悪手に気付く頃には避けられるはずもなく脳天を撃ち抜かれ――。
「……え?」
なかった。
銃からは弾は出ずにニヤついている女がいるだけだ。
女は銃を懐に納めて何もしてこない。
愛はその行動の真意が掴めずにうろたえていると女は口を開いた。
「ふふ、あんたも殺し合いに乗ってるのね」
「……あんた『も』ってことは」
「ええ、私も乗っているわ。さすがに『アレ』は私じゃ倒せないもの」
『アレ』とはあの巨大なからくりの事だろう。
確かにあれは凶悪なまでの強さを誇っている。
あの『ばりあー』なるもので近寄らせずに『びーむ』なるもので人を焼き払う。
なにより大きいというのはそれだけで強いのだ。
「かと言ってこの銃一本と自分の腕だけで全員を皆殺しに出来ると思うほど私は自信家じゃない。
仮に私がこの場で一番強いと仮定しても、どんなアクシデントが起こるかわからないんだもの」
「……結局、何が言いたいの?」
愛は半ばこの女の言いたい事を察しつつも訊ねる。
女はニヤりと笑みを深くして言った。
「私と手を組まない?
さっきの動きは見事だったわ、誘いに乗っちゃったのは減点対象だけどね」
予想通りの言葉だ。
確かに手を組めば生き残る可能性はグンと上がるだろう。
だが、同時に常に裏切りに怯えなければいけない。
相手は殺し合いに乗っていると明言しているのだ、握手をした瞬間に心臓を撃ち抜いてもおかしくはない。
「あんたも思ってたんでしょ、自分だけじゃ無理があるって。
その包帯も誰かにやられたいい証拠じゃない」
「……信じられないわね、そんなこと」
「まあ、そうよね。
殺し合いに乗って最後の一人になるってことと手を組むってことは大きく矛盾してるもの。
でも一人だけで生き残れるかしら? それなら条件付きででも手を組むのが利口なやり方というものじゃない」
「条件?」
その言葉に少しだけ興味が惹かれる。
条件付きとは一体どういう意味なのだろうか?
「ええ、例えばそうね。
残りの人数が三割をきれば同盟は解消、次の放送までは命を狙わない期限付きの同盟とかね。
もちろんこれは例えばの話、最後の二人になるまでずっと組んでいてもいいわよ」
「へえ……」
中々面白い話だ。
これがツボに嵌れば、かなり有利な展開になるだろう。
ツボに嵌る前に死んでしまう可能性もあるが、一人よりは確実性もある。
……目の前の女が裏切らないと言う前提がつくが。
「どう、いい話だとは思わない?」
「そうね……」
「嘘はつかないわ。どう、乗ってみる?」
目の前の女はそんな友好的な姿勢を見せていると言うのに隙はちっとも見せない。
かなりの食わせ物だがそれぐらいの方が同行者としては都合がいい。
このままでは袋小路、何時死んでもおかしくない。
二人なら戦闘の際にも楽だし、何より見張りが出来る分ゆっくりと身体を休めることが出来る。
愛は女に目を合わせて力強く頷いた。
「ええ、乗るわ」
「そう、友好的な関係が築けて私も嬉しいわ。
私の名前は白瀬 芙喜子、あんたは?」
「私は愛、風賀の国に住む月光の忍者よ」
「…………は?」
先ほどまでの薄気味悪さすら感じる余裕が飛び去り、女は愛の言葉に目を丸くした。
◆ ◇ ◆
白瀬は中々調子の良いスタートだと心の中で思っていた。
支給品はさおりちゃん人形とフライパンという目も当てられないものではあった。
だが、チンピラを一人殺して銃器を手に入れ、目の前の忍者装束の女とも同盟を組めそうなのだ。
白瀬が彼女と手を組もうと思った理由は主に三つ。
一つは先ほど言ったとおり自分一人では生き残れる自信がなかったから。
どんなに強力な装備で身を固めようと何が起こるかはわからない。
もう一つは愛の動きがCCRのエージェントと比べても、いやそれを十二分に上回る動きだったからだ。
白瀬や灰原、八神たちトップクラスのエージェントと何の遜色もない、かなりの腕前だ。
白瀬に手刀を振り下ろす時の動きに迷いがなかったこともポイントが高い。
最後の一つはあのホールで元同僚にして恋人である八神 総八郎らしき姿を見つけたから。
八神は身体能力、射撃の精度、その場の閃き、どれをとっても白瀬の一つ上をいっている。
まともにぶつかってはまず負ける。
と言ってもお人よしの八神が殺し合いに乗っていると思えないし。
ひょっとしたら、甘い彼のことだからとっくに気の狂った人間に殺されているかもしれない。
そんなことは白瀬は許せない。
強者ならば八神は容赦しないだろう、だから彼を殺せる可能性の高い弱者は一刻も早く殺さなければいけない。
「ええ、乗るわ」
そこまで考えていると目の前の女が返事をした。
100%の安心は出来ないが、当面の裏切りは恐らくない。
この女も馬鹿ではないはずだ。
同盟を組んでいたほうが何倍も有利だとはわかっているだろう。
「そう、友好的な関係が築けて私も嬉しいわ。
私の名前は白瀬 芙喜子、あんたは?」
白瀬は尋ねる。
目の前の女はやはり警戒を解かずに口を開いた。
「私の名前は愛、風賀の国に住む月光の忍者よ」
その唐突な、頭を心配してしまう言葉に思わず白瀬は――。
「…………は?」
そんな普段の姿とはまるで似合わない、間の抜けた声を発してしまった。
そして瞬時にその言葉の意味を理解しようと頭を働かせる。
『フウガ』の国。まず白瀬はそんな国を知らない、そして言い回し的に戦国時代のニュアンスを感じる。
そして戦国時代といえば武士と裏で暗躍する間者、つまり忍者が思い浮かぶ。
目の前の女、愛の服装は忍者忍者している。
白瀬はそこまで考えてようやく悟った。
(ああ――――電波ね)
不意に思い出す、歩行者天国で見かけた一つの集団を。
その中心にはピンク色の髪をしてフリフリの服を着た如何にも頭の悪そうな女が居た。
つまりは目の前の女はそれだ。
それと同種、ベクトルは全く違うようだが。
(……かといってせっかくの同盟、しかも相手は強者、ここで放り投げる理由にはならないわね。
それに『風賀の国』という私の知らない組織の中の『月光』という部署なのかもしれない。
そう思いなさい、思い込むのよ白瀬芙喜子)
何故電波がこんな戦闘能力を持っているのかは知らない。
知らないが、それはどうでもいいことだ、些事に過ぎない。
白瀬は必死に目の前の事柄から逃げていた。
「…………………………………よろしく」
「ええ、こちらこそ。貴方はどこの国のものかしら?」
「…………………………………日本よ日本、決まってるじゃない」
「ニホン? ああ、日の本ね、確かに決まってるわよね。
その服装は南蛮由来のものかしら?」
「…………………………………エエ、ソウデスヨー」
白瀬は真剣に頭痛を感じていた。
これからこの電波に悩まされ続けると思うと当然ともいえる。
白瀬は頭を軽く振って真剣な表情に無理やり作り変えて愛へと向き直る。
「同盟を組む際に二つつだけ約束して欲しい事があるのよ」
「……何かしら?」
「大したことじゃないわ。
一つは危険な状況で見捨てても文句は言わない、相手を庇う必要なんて全くないって言うこと。
もう一つはただある男、ひょっとするといないのかもしれないけど、八神 総八郎って男にだけは手を出さないで」
「? 別に構わないけど……殺されそうになった時は約束できないわ」
「ええ、そこまでは強要しないわよ」
「……良かったら話を聞かせてもらえないかしら、当たり障りがない程度で構わないから。
恋人かしら? それとも自分の手で殺さないと許せない仇か何か?」
「彼とは一線を越えた仲よ」
「なるほど、その男を生かしたいのね」
愛は納得したと言わんばかりに首を縦に振る。
この薄気味悪い女にもそんな人間らしい思考があったのだな、と少し安堵しながら。
その愛に向かって白瀬は――。
「違うわ。
私はただ彼をこの手で殺したいだけなの」
朗らかに、今まで以上に気持ちのいい笑顔でそう返した。
「………………………………は?」
今度は愛が愕然とする番だったようだ。
白瀬はそんな愛に気付いているのかいないのか言葉を止めようとしない。
「私は綺麗に死にたかったんだ。
職業の関係上、御伽噺の主人公みたいに物語の後は平和に暮らしました、なんて結末は絶対に望めない。
それでつい最近そのときが来たんだけど死に損なっちゃったわけ。
ちょうど死に際を看取ってくれって頼んだ彼も居たんだけどね。
その後、私は必死に考えて答えを出したの。
私の死は彼に見届けてもらえなかった。だったら、彼の死に際は私が見届けるって決めたの。
それをするには私が殺すのが一番確実でしょ?」
とんでもない理屈である。
綺麗に死に損なったから代わりに彼氏は殺す、なんて理屈で殺される男の身にもなってみろと言うものだ。
白瀬は喋りすぎたかと少し反省した表情になり、コホンと咳払いをしてから愛に話しかけた。
「ところで貴女の武器はなにかしら? まさか何もないの?」
「使える武器は何もないわ。
他には何か筒状のものが一つ……使用方法は書いてないわ」
愛がデイバックから取り出したものは変わった起伏を描いた重火器。
その重火器の名はパンツァーファウスト、いわゆるロケット弾である。
「へえ、当たり――って程でもないわね、一本だけなら」
確かに車ぐらいなら軽く吹き飛ばせる威力はあるだろうが一つだけならあまり有効だとは言えない。
それでもフライパンとさおりちゃん人形に比べれば十分に当たりというものだ。
「これは私が預かっとくわ。どうせあんたじゃ狙いもつけられないでしょ。
代わりにフライパンあげるから」
「……正論だけどイラッと来るわね」
そんなふて腐れた愛を尻目に白瀬はふと考える。
パンツァーファウストを手に入れ凄腕の自称・忍者を仲間に出来た今もう一人を追う必要はあるのか。
攻め込むよりも防衛する方が勝率は高いことを考えると、どこかに拠点を築くのも面白いかもしれない。
だが、武器を持っているかもしれない人間を見逃すのは痛い。
さて、拠点を築くか、それとも先ほどまでの方針と同じくもう一人を探すか――
【E−3/草原/一日目/黎明】
【白瀬芙喜子@パワプロクンポケット8表】
[状態]健康
[参戦時期]:最高の猟犬後
[装備]ベレッタM92(13/15)、ロケット弾
[道具]支給品一式(不明支給品0〜2)、予備弾倉×5、さおりちゃん人形@パワポケ6裏、ケチャップ(残り1/4程度)
[思考]
基本:優勝する
1:さて、どうする――?
2:戦力増強のため弱者から倒す、強者は後回し
3:愛と共に行動する
4:もし八神が参加していれば最優先で殺す
【愛@パワプロクンポケット5裏】
[状態]:右わき腹に傷(応急処置済み)
[装備]:なし、
[参戦時期]:月光ルート途中
[道具]:支給品一式、フライパン
[思考・状況]
1:自分が生き残ることが第一
2:そのためなら白瀬や他の人間を殺すのもやむ負えない
3:一先ずは白瀬と共に行動する
[備考]
※同盟を組む条件の詳細については後続の書き手さんにお任せします。
投下終了です
少し手違いで
>>8の名前欄に書き忘れてしまいました
誤字脱字、矛盾、問題点の指摘お願いします
>>6 すみません……orz
脳内保管と次スレでの修正お願いします
投下乙!
これはいい凸凹コンビになりそうだwww
やっぱり女マーダーのコンビは見ていてニヤニヤ出来ていいなw
投下超乙です。
白瀬カッケーーーー!!!
このコンビは身体能力と頭脳ならトップレベルじゃね?武器以外は・・・
さて、北には野丸、西には平山と紀香か・・・
投下超GJ!
相変わらず文章うまいなあ・・・
そしてコイツら格好良すぎる
ちょったばかり気の狂ったカッコイイ二人の今後に期待大だぜ
投下GJ
クールな女はかっけえなあ……
白瀬、お前も十分電波だw
GJ!
これはいいマーダーコンビ
電波だけど二人共マーダーでは最強格なんだよな
相変わらず文が読みやすいですし、次回以降も期待してかまいませんね!?
やべ、トリ消しわすれた……
タケミ、たかゆき、十波で投下します。
「なかなか着かねえな」
「そうだね。これじゃあしばらくかかりそうだね」
タケミはたかゆきの足――もとい、キャタピラを眺めては、はぁとため息をついて呟く。
もう同じようなやりとりを5回はしている。
このロボット―――本人曰く人間だが―――は常に口を動かしていないと落ち着かないらしい。
ロボットなだけに表情の変化は無いのだが、口だけはガパガパと動かすことが出来るので、非常にやかましいのだ。
勿論それに関して本人に自覚があるはずもなく、旅の仲間が出来た嬉しさからか、
カラカラと笑いながら常にタケミに対して話をかけてくる。
タケミも人と話すのが嫌いなわけではないが、こんなにもペラペラと話し続けるほどの器量は持ち合わせていなかった。
とりあえずは、また話しかけてくるたかゆきを「はいはい」とか「そうだね」といった言葉で軽く相手にしながら、
手元の地図とコンパス、そして時計に目を落とす。
2人は泉から真っ直ぐ南に歩いてきていた。
泉を発っておよそ30分。現在時刻は丁度2時を回ったところだった。
多分、エリアとしてはC−6あたりには来た事になるのだろう。
目印が無いのでどうにも確認しづらいが、あのスピードであれだけ歩けばそんなもんだろう。
それでも一応、タケミは確認を入れることにした。
「ねぇ、たかゆき?」
「おう。なんだ?」
「あのさ。ちょっと聞きたいんだけどね。たかゆきって、なんか……現在地を特定したりとか、
どれだけ歩いたかを計る機能とかってついてないかな?」
ちょっとストレートに聞きすぎたかな、と思うと、思っていた通りの答えが返ってくる。
「おう、何だその機能ってのは。俺みたいな“人間”にはそんな便利な機能はついてないぜ」
わかったわかったと言いながらタケミは地図を作業着の胸ポケットにしまうと、コンパスと時計はしまわずに自分の首から提げる。
常に状況を把握しやすくするためにはとりあえずこんな感じにしておくのがいいのだろう、と考えてのものである。
こうしえん
地図で確認したところ、工場に向かうにはそろそろ西の方角に少しだけ歩みを変えなければならないらしい。
しっかりと角度を測って方向転換をするか、風に任せていけばいいのか迷うところだったが、
こんなにちゃんとした機器が揃っているんだから、しっかりと図ってみることにする。
そして、暗い中で目を凝らしながら「う〜ん」とコンパスを合わせていると、
コンコンとタケミの腰辺りをドリルの先端が突っついた。
「ん?どうしたの?」
「いや。あれ見てくれよ」
スッとたかゆきが手で指し示したその先をタケミも目で追っていくと、
そこにはポツリとひとつの影があるのが見えた。
暗くて遠くてよく見えないけれど、何となくその影は一緒に冒険をしているモグラ乗りの姿にも見えた。
勿論、彼であればタケミも喜んで駆け寄っているところだったのだが、どうも違うらしい。
よーく目を凝らしてみてみると、その影になっている人物は何かのユニフォームに、
つばのついた帽子をかぶっていた。
彼があんな格好でいるのは見た事が無い。
しかしそれよりも気になるのは彼が手にしているものであった。
それは下を向いているのではっきりと確認は出来なかったが、明らかに銃であることはわかった。
そして何と……こちらが気付いた事にあちらも気付いたのか、
それまで下を向いていた銃口をこちらに向けて歩み寄ってきたのだ。
「おい、どうするか?」
「う〜ん。ちょっとヤバイかもね」
タケミは作業着のポケットに手をやる。そこには先ほどしまった爆弾がひとつ。
こちらには恐らく銃弾のひとつやふたつ受けても死ぬことは無いだろう、たかゆきもいる。
いざとなったときには……タケミ自身がどうにかすることもできるだろう。
しかし、タケミは余計な戦闘はしたいとは思っていなかった。
出来ることなら、一人も傷つくことなくこのゲームが終わればいいと思っている。
しかし、目の前には銃を構えた男がいる。
どうするべきか。ここはやはり交渉を持ちかけるべきか。
「タケミ! 俺の後に隠れてろ!」
最善の方法を必死に考えるタケミに対して、たかゆきはやる気―――ならぬ、殺る気―――満々でいた。
ドリルをキュルキュとまわし、とろとろとした足取りで男の下へと走っていく。
「ちょっと……まずは話し合いからだからね」
とりあえずはタケミもたかゆきの後に続く形で歩いていった。
☆☆☆
森さんの亡骸を背にして歩いていると、5分くらい経ってからだろうか。
後から何やら大声が聞こえてきた。
誰かが襲われたのだろうかとも思ったが、どうも様子が違う。
怒りと悲しみに満ちたその声は、明らかに人に襲われるそれとは違う。
もしかしたら……森さんの知り合いが……?
それはあまりにもタイミングが良すぎるとも考えたが、可能性はゼロではない。
そして同時に思い出す。森さんとの僅かな時間での会話を。
『貴方にだって待っててくれる恋人がいるだろうし、その娘を悲しませたくはないから』
『その娘、今でも本心では貴方を愛していると思うわ』
彼女は執拗に俺に恋人のことを語らせようとしていた。
何か意図があってのものか、彼女の本心からの言葉なのか、それはわからないが、俺は前者であると判断した。
そしてその一言ひと言が、彼女を死の淵へと追いやるスイッチとなっていたことも間違いないだろう。
そんな森さんとの会話を思い出す中で、俺は彼女と会話をしながらも、彼女自身のことは殆ど何も聞いていなかったことに気付いた。
俺がプロ野球選手だと話したときの反応を見ると、野球に関心があるのか、
もしくはプロの選手に知り合いがいるのか……と想像を膨らますことは出来ても、結局はよく分からない。
俺に恋人についての話を振ってくるくらいだし、案外綺麗な人でもあったので、恋人のひとりやふたりくらいはいるのだろう。
そんなことを思いながら、俺は震えるのだった。
もしも、もしも今の怒号が、森さんの知り合いだったら……。
そして万が一、彼女の恋人や家族にあたる人物であったなら……。
そう考えると後を振り返るのも恐ろしくなり、俺はスタスタと早足で歩き始めた。
そんな俺が奇妙な“モノ”を発見したのは20分ほど歩いてからだった。
もうそろそろ後を気にしなくても大丈夫か、と思い始めたときのことだった。
「カカカカカカカ」と笑う(?)奇妙なそれは、
リボンと作業着と言うこれまたアンバランスな格好をする少女を伴って歩いているのだった。
誰がどう考えようと、それはロボット。
まぁ、小学生に戦隊ヒーローが参加しているのであれば、ロボットがいてもおかしくはあるまい。
問題は、こいつが信頼できる人間―――もとい、ロボットであるかである。
どちらかと言えば少女の方が話はしやすそうではあるが、二人の話す様子を見ても、
まずはこのロボットを介してからでないといけないようだ。
その場合こちらはどういったスタンスで対するべきか。
まずは相手の“本心”を、信頼するに足るかどうかの要素を聞きだすために。
少女ひとりであればこのマシンガンを突きつけておけばどうにか話してはくれるだろう。
勿論、それは最終手段ではあるが。
しかし問題はこのロボット。
話して通じそうにもないし、武器を見せたところで逆上してこちらが攻撃されて終わり、と言うこともあり得る。
「う〜ん」と少し考えてみるが、とても良い考えは浮かばない。
投手の心理を読むのであれば得意ではあるのだが、どうにも人間関係ともなると難しいものだ。
そして何だかんだと考えているうちに、少女とロボットがこちらに気付いてしまった。
あぁ……何やってんだ俺。万事休す。
野球で言えば……さしずめ、1アウト2,3塁でスクイズのサインを出されたけど、
もたもたしてるうちに2ストライク、みたいな状況か!
こんなときは落ち着いてどうするか考えよう。
……追い込まれた……2ストライク……スクイズか……1アウト……2、3塁……俺だったらここは……ヒッティングだ!
野球に例えるとなんて分かりやすいんだ!
俺は迷うことなく、ヒッティングに……つまり、銃口を前に向け、狙いを定めた。
ピッチャーはあのロボットだ!
ここまで来ると俺もよくわからないが、野球のルールに間違いはない!
俺はそう確信を持って引き金を引いた。
☆☆☆
「ダダダダダ」と銃声が鳴り響いたかと思うと、たかゆきは足を止めた。
「痛てて……痛てえよ!やめろ!」
マシンガンから放たれる銃弾は確実にたかゆきの体に命中していたが、
ボディにへこみや傷がつくことはあっても、どれも致命傷に至るようなものではなかった。
それよりもたかゆきは自分の後ろを歩くタケミのことを心配する。
「おい、タケミ。大丈夫か?」
「うん。なんとか、ね」
タケミも銃弾を受けたくらいで簡単に死ぬつもりは無かったが、急な発砲にはとても驚いて、その場にへたりこんでしまった。
別に足がすくんだわけでも腰が抜けたわけでもないのだが、これには流石に驚いた。
心配そうにたかゆきが振り返るが、「大丈夫大丈夫」とガッツポーズを見せて立ち上がる。
「いきなり撃ってきたね」
「ああ。どうやらあっちは殺る気らしいぜ。だったらこっちも手加減無しだぜ!」
勢い付いて目の前の男―――十波典明に向かっていこうとするたかゆきだが、
いかんせんキャタピラの調子が悪くてスピードが出ない。
勢いはありながらも、人が歩くくらいのスピードで動くそれには全く迫力が無かった。
一方の十波は、素直に驚いていた。
マシンガンが全然効かない。
スピードは遅いが、ピンピンしながらこちらへと向かってくる。
……野球で言えば……ピッチャーライナーとでも言ったところか……。
一旦肩を落とした十波だったが、しかしまだ自分が生きていることを思い出す。
……そうだ。まだ死(アウト)は取られていないぞ!
ファールだ。さっきの打球はファールだ!
訳の分からないことを考えながらも、十波はデイパックの中から空き缶を取り出すと、
自分の足元の砂を集めて中に詰め始めた。
最初はただの空き缶だったものが、段々と野球のボールほどの重さまで近づいていく。
そして詰め終わった頃には、軽いダンベルほどの重さにまでなっていた。
しっかりとその重みを確認すると、十波は右手にしっかりと缶を握り、2,3歩あとずさる。
「食らえ! レーザービームだぜ!」
そう叫ぶと、重くなった缶を思い切りたかゆき向かって投げつける。
文字通りレーザービームのように真っ直ぐに飛んでいったその缶は、
宣言どおりたかゆきの頭に激突すると、粉々に砕け散り、辺りには砂が舞った。
「ぐわぁ! 痛てえ!」
一言そう叫ぶと、たかゆきは後頭部から叩きつけられるように地面に倒れこみ、動かなくなった。
それを見届けると「よっしゃあ!」と十波は雄たけびを上げ、ガッツポーズをとる。
十波はこの一世一代の勝負に勝ったのだ。
追い込まれながらも、たかゆきという一流のピッチャーを打ち崩し、このチャンスの場面で得点を決めたのだ。
久々の好投手との勝負。野球選手としてここは熱くならずにはいられないだろう。
十波がそうやって一人で喜びを噛み締めていると、急に頭に衝撃が走った。
……まぁ、塁に生還したらこういう手荒い歓迎もあるよなぁ、と呑気なことを考えていると、今度は腹に何かがぶつかる。
……何かおかしいぞ、と流石にこれを受けて我に帰った十波が辺りを見回すと、
そこには地面から突き出た……2本の触手のようなものがあった。
ヤバイ!と思ってマシンガンを構えるが、それも瞬間に触手の一撃を受けて叩き落されてしまう。
そして地面に落ちたマシンガンを2度、3度、とその触手が叩いたかと思うと、マシンガンは粉々に砕け散ってしまった。
これで武器は殆ど無くなった。
まさかバタフライナイフひとつでこんなものに勝てるはずが無い。それくらいはいくら何でも十波にも理解できた。
とにかく、これは逃げるしかないだろう。
あの少女とロボットのことは気になるが、今は自分の命を優先するしかない。
そんなことを思うと、十波は迷うことなく駆け出した。
☆☆☆
たかゆきが目を覚ました時は、空の色が少しだけ明るくなってきていた。
結構長い時間気絶していたようだ。
顔に手をやると、あの男に投げつけられた缶の破片が沢山突き刺さっているのが分かった。
「痛ってぇなぁ。あの野郎が……」
突き刺さった破片を一つひとつ抜きながら上体を起こす。
そこで目の前に見たのは、仰向けになって倒れているタケミの姿だった。
最悪の事態を思い浮かべたたかゆきは、急いでタケミの元へと駆け寄る。
「大丈夫か。おい! 動けるのか!?」
カタカタと音を鳴らしながら叫ぶたかゆきに揺り動かされてタケミは目を覚ました。
そして体中を覆う疲労と頭痛に倦怠感を覚える。
……おかしいなぁ。久しぶりだからかなぁ……
先ほどたかゆきが倒れた直後、十波に対して危険なものを感じたタケミは、少し戸惑いながらも、自らの“力”を解放した。
元々殺したりするつもりはないし、早くここから立ち去ってくれればいいやと思って軽くいなしていたつもりだったが、彼は相当驚いたらしく、足早に走り去っていった。
念のために銃もバラバラにしておいたのだが、その時くらいから妙に体が重く感じられた。
その後はフラフラとしながらも十波が戻ってこないのを確認しなければならないと思い、彼が見えなくなるまではそちらを見つめていたが、
十波が完全に姿を消すと、ふっと電池が切れるようにタケミはその場に倒れたのだった。
「ごめん。心配かけちゃったね」
そして今はタケミがたかゆきの歪んだ顔と傷だらけのボディに応急処置を施している。
応急処置といっても、工具を一切持たないタケミにはその辺の石を用いてのその場限りのものしかできなかったが、
たかゆきは満足したらしく、
「おう。ありがとな」といってまたカタカタと口を鳴らして喜んでいた。
当のタケミの方も充分に体力は戻ったらしく、たかゆきを伴って再び工場へ向けての地図を開く。
「色々あるけどさ、焦らずにのんびり行こうよ」と、奇妙な2人ののんびり珍道中は再び歩を進めるのであった。
☆☆☆
何だったのだろうか、あの触手は。
恐らく、亀田がこの島に仕掛けておいたトラップのようなものなのだろうが、突然の出現にはビックリした。
マシンガンも破壊されてしまって、散々な目にあった。
何よりも、俺が勝利に酔いしれているときにそれを妨害するような形での乱入が許せなかった。
……まぁ、冷静に考えたらあの場面であんなこと考えてる俺がどうかしてるんだろうが、
野球以外に取り柄のない俺にとっては、あれが精一杯の状況を判断する方法だった。
まぁとりあえず今は安全なところまで逃げてきたのだから、
冷静になったついでにちょっとさっきから引っかかっていることについて考えてみよう。
あのロボットについてである。
あれは、ずっとこの殺人ゲームの参加者だと思い込んでいたんだが、思い返してみると、
ロボットであるということ以外に、おかしな部分がひとつあった。
首輪である。
あのロボットは首輪をしていなかった。
俺は頭は悪いかもしれないけど、目と反射神経ならば誰にも負けない自信がある。
高校時代、守備のときはずっとボールがバットに当たって、前に飛んできてから体を動かしていた。それでもエラーゼロである。
そんな俺が見たのだから間違いない。奴は確実に首輪をしていなかった。
それが何を意味するのか……。俺はよーく考えた。
そこでもうひとつ思い出したのが、あの女の子の格好である。
可愛らしいリボンには似つかわしくない作業着姿。首にはしっかりと首輪がついている。
俺が推測するに、あの女の子は相当な技術力を持った……技術者なのだ。
多分、自分の身を守るためにあのロボットを作って、ボディーガードの代わりにでもしているのだろう。
うん。間違いない。さすが俺だ。
ここまでよく順番に整理して考えて、俺のやるべきこともやっと見えてくる。
たとえ数学の問題を順番に解くことができなくても、選手の打順とポジションを決めることならできる。そんな感じの要領だ。
……まぁつまりは、あの女の子は相当の技術を持ってはいるが、生き残るための戦力が足りない。
そして俺は、それなりに体力はあるけれども、この首輪をはずす能力も知識もない。
見事に利害が一致というやつだ。
問題はあのロボットの存在と彼女が本当に俺を必要としているかであるが、
あいつよりも俺のほうが強いのが立証済みなので大丈夫だろう!
何を起因とするのかがまったく分からない(恐らくは野球)自身と確信を得た十波典明は、
再び先程の場所へ向かい、歩を進めるのであった。
【C-6/1日目/黎明】
【たかゆき@パワプロクンポケット3】
[状態]:左足(キャタピラ)に軽度の故障、全身に損傷(応急処置済み、精度に異常はなし)
[装備]:右手にドリル
[道具]:支給品一式、神速
[思考]
基本:亀田がムカつくので殺し合いに乗らない
1:修理してもらいたいからタケミに着いていく
2:襲ってきた相手には容赦しない
[備考]
※ある程度の損傷までなら部品と道具次第で直すことができます
※しかし機械に精通した人でなければ修理できません
※頭部であるメインコンピュータは修復できません
【タケミ@パワプロクンポケット10裏】
[参戦時期]: ED後
[状態]:軽度の疲労
[装備]:爆弾一個、作業着、コンパス、時計
[道具]:支給品一式、爆弾セット(残り5個)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、首輪を外すために行動する
1:工具を手に入れるため工場に向かう
2:たかゆきを修理する
3:出来るだけ戦いたくないが、どうしようも無ければ戦う
4:たかゆきがちょっとうるさい
[備考]
※モンスターとしての力は短時間、疲労大の条件の下、発動可
【十波典明@パワプロクンポケット10】
[参戦時期]:さらBADエンディング後
[状態]:「人を信じる」という感情の欠落、野球に対しての情熱
[装備]:バタフライナイフ、青酸カリ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:殺し合いはしたくないし、“信用できる人間”を探す
2:“危険な人物”は仕方ないから倒す
3:かつての仲間、8主人公もいつか自分を裏切るんじゃないかと不安
4:利害が一致するであろうタケミと手を組む
[備考]
1:信頼できる人間とは「何故自分と手を組むのか、その理由を自分が理解できる人物」を指します
2:逆に「自分の理解できない理由で手を組もうとする人間には裏がある」と考えてます
3:さらルート攻略中に他の彼女ルートにも手を出していた可能性があります
4:青酸カリの仕込まれた食糧などがあるのではと危惧したため、友子の荷物は死体の傍に放置しました
5:たかゆきをタケミの作ったロボットだと思っています。
6:タケミが発動させた触手をただのトラップだと勘違いしています。
以上で投下終了になります。
短時間で書き上げたので粗が多いかもしれません。
何かありましたらご指摘ありがとうございます。
……またカオスなキャラを作ってしまってすいませんw
投下乙です。
十www波www
こいつの考察まじぱねぇwww
越後亡き今、ロワ内で最も凄まじい頭脳の持ち主は間違いなくこいつだろwww
でもそんな十波が嫌いじゃないぜwww
非常に笑わせてもらいました。楽しかったです。
投下乙です
たかゆきと十波自重wうざいにも程があるぞwww
何でいきなり『やろう、ぶっころしてやる!』な思考なんだよお前らはwww
タケミが可哀想でならないぜw
でもそんなたかゆきや十波のこと、俺は嫌いじゃないぜ!
投下GJ!
タケミがいい子すぎて泣けてくる
たかゆきも割と物騒なのにほのぼのコンビにも見えてきたぜ
何気にたかゆきとタケミって戦力的にバランス取れてたんだなあ
マシンガンに勝つとは……伊達に裏出典じゃないな
野球馬鹿の考察はひどすぐるwww
反主催ルートに入っても役に立つ気がしねえwwww
いきなり攻撃仕掛けた相手と組めると思うあたりもイカレてるなあ
>>17 さすが、シビアな世界を生き抜いてきた二人なだけあるな
装備が貧弱だが、頭脳と精神力ならマーダーでもトップクラスじゃなかろうか
このコンビの今後に期待!
>>35 十波wwww
発想力に関してだけいえば天才的かもしれんwww
こんなアフォでも南に茜がいることを思えば仲間にするべきなのかもしれんな……
>>39 そういやたかゆき達の行き先にいるんだったか。>茜
でもそれなら途中で九条でも拾ったほうが(ry
アルベルト・安生・アズナブル、萩原新六、三橋一郎を投下します
自分のいる位置がE-05であることが分かり、俺はますます亀田君に感謝した。
俺がどこに行こうと思っても、目的地がそんなに遠くならない絶好の場所。
そこにわざわざ俺を飛ばしてくれるなんて、亀田君は本当にいい奴だ。
親友として、俺はその期待に応えなくっちゃ。
「まずは東にでも行こうかな」
東側には川がある。
そのため川より向こう側でスタートした人間は行動を4パターンに絞られる事になる。
南下して遊園地方面に向かうか、北上して商店街側まで回り込むか。そして素直に西の橋を渡るかだ。
この3つのどれかを選んだ人物はいい。
それが殺し合いに賛成する者か否かに関わらず、少なくとも行動を起こすつもりはあるということなのだから。
問題なのは、『3方向からしか敵が来ないのでその場に陣取り待機する』という者だ。
亀田君の親友として、そういった“やる気のない連中”はさっさと始末しておきたい。
まあ、中盤まではさほど慌てる必要もないんだ。誰もいないならいないでそれでいい。
そこから適当にぶらつけばいいだけの話だ。
別に今から慌てることはないんだから。
そんなわけで俺は東へ向かって歩き続け――間もなく、“やる気のない連中”と遭遇する事になる。
☆ ★ ☆ ★ ☆
「…………いや、いやいやいや何やってるんだ俺は」
我に返った。
野球は楽しいし、ずっとやっていたいけど、そういうわけにはいかないじゃないか。
亀田を倒し、早く犯人を捕まえなくちゃいけないのに。
「オウ、よそ見したら危ないデース!」
「いてっ」
ボールを見事に頭に食らう。
所詮はキャッチボール、ノックに比べたら威力が大幅に低いとは言え、それでも結構痛かった。
うーん、硬球恐るべし。
「大丈夫デースか?」
「あ、ああ……」
とりあえず、コイツが無害と分かっただけ収穫としよう。
殺し合いという場において仲間の存在はかなり大きい。
仲間を作っている方が信頼も得やすいだろうし、何より戦闘面で有難い。
こちらに武器がない以上、殺し合う気の者と出会ってしまったら肉弾戦を強いられることになる。
ボールやバットを投げつけるのもありだとは思うが、数に限りがあるからな。
肉弾戦になるのなら、数が多いに越したことはない。
「それより聞きたい事があるんだけど」
ボールを投げ返しながら問う。
彼に聞きたい事――彼だけじゃなくて遭遇した者全員に聞いておきたい事だが――は三つ。
一つ目は、亀田について。
亀田について何か知らないか、また亀田の持つ技術について何か知っている事はないか。
当然ながら、それらの情報は脱出の上で役に立つ。
二つ目は、相手について。
あの最初の場所で知り合いが近くに居たりしなかったか。
もしいたとしたらその人は信頼できる人なのかどうか。
そして一番大事なのは、亀田に目をつけられる理由に心当たりがあるのか、だ。
俺の場合は「時空警察だから」だと思っている。
俺が追う犯人が亀田、もしくはその犯人を裏で操っているのが亀田という可能性が高い。
もしこれで殺し合いに巻き込まれた者の大半が亀田の関係者ないし亀田の起こした事件の関係者だとしたら?
そうだった場合に具体的にそれが何の役に立つかまではまだ分からないが、もしかしたら何かのヒントになりうるかもしれない。
情報はあって困るものではないのだ。
そして三つ目。
今の装備で殺し合いに積極的な者と出会った時、一体どう行動するつもりなのか。
作戦といえるほど具体的な者でなくても、ある程度方針は固めておきたい。
逃げるのか、戦うのか。
せめてそれぐらいは決めておかないとまずいだろう。
出来るだけ相手の意思を尊重した方針でいきたい。
「ふむ、何デ――」
口を開いたせいで集中力が散漫になったのだろうか。
足がもつれてアルベルトがバランスを崩した。
そのまま前回り受け身をするように肩から落下し、ごろんと一回転をする。
しかも勢いは全く削がれず何度も何度も回転し――
「お、おい!」
そのまま橋に激突した。
川に落ちなかっただけよかったかもしれないが、大丈夫だろうか。
「オ〜ウ、肩が外れまシタ! 救急車呼んで下さ〜い!」
……大丈夫そうだな。
肩が外れてるって言ってるわりには元気出し、応急処置をすればあっさり回復しそうに見える。
確か地図に診療所が……って、誰だアイツ?
「アルベルト!」
橋の向こうに現れた男は、ゆっくりとこちらに近付いている。
とは言え、こちらに気付いていないわけではないだろう。
奴からは明確な殺意を感じ取れる。
だからこそ、襲いかからずにゆっくりと歩いてくるのが不思議だった。
そして同時に不気味でもあった。
「ハーイ、私アルベ……」
奴の発する異常な空気が分からないのか(まあ、一般人ならそれもやむなしなんだろうけど)アルベルトが自己紹介をしながら奴に駆け寄る。
まるでゴミでも見るような目でアルベルトを見、奴は前蹴りを繰り出した。
まともにボディに打撃を受けて、橋を転がるアルベルト。
問答無用かこの野郎!
「何をするんだ!」
アルベルトのデイパックを拾いながら橋上に駆けつける。
デイパックにはボールとバット、それからグローブが入っている。
俺の支給品が武器でない以上、頼りになるのはこれらの道具だけだ。
そして、おそらく奴は肉弾戦では俺を凌ぐ。
あの蹴りを出す速さと、あそこまでアルベルトを吹き飛ばす威力。
まともな武器があるならともかく、今の状況で格闘戦にでもなろうものなら勝ち目は薄い。
バットを使えばそれなりに戦えるかもしれないが……やはり金属バットでなく木製バットな事に不安が残る。
あっさりへし折られてしまいそうだ。
それなら、いっそ逃げてしまおうか。
ここは狭い橋の上。
奴の横をすり抜けることは出来ないだろうが、それは同時に敵に背を向け逃げた時に先回りをされないということを意味する。
歩いてきたのが自信の表れだとしたら、奴の足は速いと見ていいだろう。
普通に逃げたのでは追いつかれるかもしれない。
だが、先述の通りここは狭い橋の上だ。
ボールやバットをぶちまければ、相当距離を稼げるだろう。
あとは適当に森の中で撒けばいいいい。
アルベルトも「ア〜ウチ!」とか叫べるぐらいに元気があるみたいだし、最悪診療所辺りを待ち合わせ場所にしてバラバラに逃げるのも手だ。
水に飛び込むという手もないわけじゃないし、逆に水に相手を落としてもいい。
「危険人物みたいだし、アイツはここで打倒する」とさえ考えなければ、意外とどうにかなる気がしてきた。
「……一応確認しておくけど、殺し合いに乗ってるわけじゃないんだよな?」
「当たり前だ!」
相手の放ったその一言に腹が立った。
少なくとも、アルベルトに悪意はなかった。
お世辞にも友好関係を築きたくなるようなテンションではないが、悪人でない事は一目見れば分かったはずだ。
あれだけ無防備に近寄って来たのだ、疑う方がどうかしてる。
そんなアルベルトをあっさり蹴り飛ばしておいて、「殺し合いに乗ってるか」だと?
ふざけるな。
こんな殺し合い、俺達が乗るわけないだろう!
「そうか……なら、ここで死んでもらう」
男が禍々しい手を突き出して言う。
余裕を見せやがって……暢気に宣言してないでさっさと攻撃すればいいのに。
だが、その満身に付け入る隙はありそうだ。
「俺の親友の亀田君のために――」
支援
正直、気持ちは逃げる方に傾いていた。
あの禍々しい手で戦おうとしたということは、飛び道具を所持していないということだ。
所持しているならそれを使って俺とアルベルトをさっさと殺すのが普通だろう。
それに、慢心をしているならボールをぶち撒けるだけで楽に逃げ切れる可能性が高いというのも大きかった。
アルベルトと別れる必要がないならそれに越したことはない。
さっきからアウチアウチとやかましい男だが、それでも立派な仲間なのだから。
だから、8:2くらいの割り合いで逃げたい気持ちが勝っていた。
「今……何て……」
だが、事情が変わってしまった。
奴は亀田を知っている。
それも、奴は親友だと言ったのだ。
出来れば話を聞いておきたい。
だが、そのためにはまず無力化しないといけないだろう。
今の装備でそれを狙うべきなのだろうか?
――逃げるべきか戦うべきか、今や完全に5:5になってしまった。
☆ ★ ☆ ★ ☆
三橋一郎がゆっくりと獲物に近付いたのは、そんなに深い理由があってのことではなかった。
ただ単に、見つけた連中が殺し合いを円滑に進めたいと思っている人間かどうかを見極めたいと思っただけ。
殺し合いに乗り、同盟を結んだ二人組なら、こちらに気付くなり攻撃を仕掛けてきただろう。
こちらは腐ってもサイボーグ、初撃を防ぐくらいどうということはない。
防いでから“こちらも乗っているので争う気はない”という事を伝え交渉に入ればいい。
もし逃げられたら追いかけて背後から殺せばいいだけだ。
遠距離からの攻撃手段を持たないが、走力にはそれなりに自信がある。
それに、障害物は避けねばならない相手と違い、こちらは障害物を薙ぎ払って追いかけられる。
何せこれは木ですら簡単にへし折るのだ。
追いついてしまえば人間なんぞ簡単に殺すことができるだろう。
しえーん
だがしかし、二つばかり誤算があった。
橋の辺りに差し掛かると、見るからに殺し合いには乗っていない二人組の内一人がこちらに駆け寄ってきた。
鬼の手で葬ってやろうと考え、まずは相手の腹に蹴りを繰り出す。
防がれたら鬼の手で頭から引き裂き、防がなかったらバランスを崩した所をやはり頭から引き裂いてやるつもりだった。
頭蓋骨をあっさりと引き裂ければ、全力を出さずとも腹をぶち抜く事ぐらい可能だろうと考えたからだ。
どの程度の力で人を殺せるのか知っておいて損はないだろう。
折角見るからに雑魚と遭遇したのだ、鬼の手の実戦データを取らない手はない。
だがしかし、ここで最初の誤算が起きる。
それは、“予想以上にアルベルトが雑魚だった事”だ。
ガードするでも蹲るでもなく、アルベルトは吹き飛んだ。
あくまでジャブ感覚で放っていたのに。
予想以上に豪力の効果は高かったということだろうか?
とにかく、そのままゴロゴロと橋の上を転がり続け、アルベルトは鬼の手の射程から出てしまった。
そして立て続けにもう一つの誤算が起きる。
“新六が橋の上までやってきてしまった事”だ。
鬼の手の威力がどれほどのものか分からないが、下手をしたら一撃で橋を壊しかねない。
橋を破壊して水中戦になった場合、果たして鬼の手はちゃんと役に立つのだろうか?
水ごと相手を引き裂けるのか、それとも水中の抵抗力のせいで鬼の手といえど殴る速度は遅くなるのか。
遅くなったとしても、触れた時の威力は変わらないのか否か。
そんな状況で、果たして奴らをきちんと仕留められるのか否か。
分からない事が多すぎる。
出来る事なら、橋は壊さずにおきたい。
となると、橋の上では鬼の手を使わずに、二人を橋から叩きだす必要がある。
……やれやれ、面倒な事になったものだ。
銃を構える気配はないため、飛び道具は持っていないと見ていいだろう。
持っていたら、際威嚇射撃ぐらいしているはずだ。仲間が襲われたのだからな。
出来れば接近戦の当たり武器を所持していると有難い。
接近戦は願ったり叶ったりだ。
(見ていてくれよ亀田君。君のために頑張るから)
鬼の手を突き出し牽制する。
見るからに怪しい鬼の手を見て、警戒しない奴はいない。
橋の上では出来るだけ振いたくはないが、それを悟られないようにしたい。
鬼の手に気を取られ相手の動きが鈍ってくれれば幸いだ。
「なら、ここで死んでもらう。俺の親友の亀田君のために――」
そうさ、俺は君のためならどんなことだって出来る。
だって君は、大切な親友なんだから。
だから、これが終わったらまた二人でキャッチボールをしようよ、亀田君……
また、昔みたいに、二人で仲良く。
しえーん
【G-5/橋の西側/一日目/黎明】
【三橋一郎@パワポケ1&3】
[状態]:健康 エネルギー100%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式、予備バッテリー
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する
1:参加者を積極的に探して殺す。まずは目の前の二人だ
2:もしも相手がマーダーならば協力してもいい
3:亀田に対する恐怖心
【G-5/橋の上/一日目/深夜】
【萩原新六@パワプロクンポケット6表】
[状態]:健康
[装備]:グローブ@現実
[参戦時期]: 裏野球大会決勝戦直前
[道具]:支給品一式 、野球超人伝@パワプロクンポケットシリーズ、パワビタD@パワプロクンポケットシリーズ、スーパーパワビタD@パワプロクンポケットシリーズ
[思考・状況]
1:目の前の男を無力化して話を聞く、もしくは目の前の男から逃げ切る
2:野球超人伝を後でじっくりと読みたい。
3:やっぱり野球って楽しいや!
4:早く元の世界に戻って犯人を捕まえる。
【アルベルト・安生・アズナブル@パワプロクンポケット10表】
[状態]:右肩脱臼、あばら骨折(いずれも逃走に大した支障はなし)
[装備]:グローブ@現実、野球ボール@現実
[参戦時期]: パワポケ10-パワポケ11の境
[道具]:支給品一式 、野球用具一式(バット9本、ボール8球、グローブ7球)@現実
[思考・状況]
1:ア〜ウチ!救急車呼んでくだサ〜イ!
2:彼(萩原)はナイスな腕をモッテイマス〜!
3:ミンナとベースボールをやる。
投下終了です
ご指摘ありましたらお願いします
じゃ幾つか指摘を
・一部の表現が気になる
例:アルベルトが'雑魚'だった、とか
個人の好みもあるかもしれないからあんまりとやかく言わないけど
・萩原一行の時刻表示
これは深夜→黎明の簡単なミスだろうけど一応
・タイトル
主人公のオリ名前が二つも並ぶのは'パワポケ'ロワとしてはどうかなと
特に6なんかぱっと見て名字に数字すら無いから誰だか分からないし
あと、3主人公の出展は1&3じゃなく、はっきりと3と明示すべきだよね
これは今更言うなというか、前の作者に本当は突っ込むべきことだけど
投下乙
>>52はさすがにいちゃもんが過ぎるだろwww
でも上げられた事自体はやっぱり少し気になります
特に時刻表示はレッドの集団の時からちょっと気になっていたので
ロワ中って周囲を警戒しながら動くものだから時間の流れが速いですし
それ以外は……個人的な意見ならもう少しこの話の続きを書いてもいいかな? と思いますよ
丸投げではないですけど他の書き手さん方が続きづらいかもしれませんし
今全部読んできた。
俺のエリが一話退場だったことに絶望した!
俺の友子だって一話で退場だったんだぜ
むしろ死者スレで好きなだけ遊べるから良かったと思えばよろし。
落田が即死だったのは死者スレ的にはありがたそうだな。
メガネが一人いるだけで、会話の進行が随分とやりやすくなると思う。
投稿乙です。
アルベルトの空気の読めなさは異常。
ロワでもたくさん怪我をしそうだ。
…ところでアルベルトと三橋は参戦時期的に知り合いだよね?
修正スレはwiki修正の報告場のようですし、修正作品の投下スレが見当たらなかったので修正作を投下させて頂きます
>>52 タイトルをつけるのは苦手なのでその辺はご容赦を
>>53 レッド達のは完全にミスでしたので後ほどwikiの方を修正させて頂きます
それと、長くない方がいいかなと思っていたので戦闘パートを切って投下しましたが、確かに丸投げで停滞の原因になりかねないので戦闘パートを追加した物を投下させて頂きます
>>57 アルベルトに少しだけ触れた戦闘パートをカットしたのに戦闘前パートにアルベルトの事を追加し忘れていたので、三橋が完全スルーする形になってしまいました
申し訳ありません
ですので修正作ではアルベルトに触れてはいますが、「やはり戦闘前に気付かないのはおかしい」等ありましたらおっしゃって下さい
自分のいる位置がE-05であることが分かり、俺はますます亀田君に感謝した。
俺がどこに行こうと思っても、目的地がそんなに遠くならない絶好の場所。
そこにわざわざ俺を飛ばしてくれるなんて、亀田君は本当にいい奴だ。
親友として、俺はその期待に応えなくっちゃ。
「まずは東にでも行こうかな」
東側には川がある。
そのため川より向こう側でスタートした人間は行動を4パターンに絞られる事になる。
南下して遊園地方面に向かうか、北上して商店街側まで回り込むか。そして素直に西の橋を渡るかだ。
この3つのどれかを選んだ人物はいい。
それが殺し合いに賛成する者か否かに関わらず、少なくとも行動を起こすつもりはあるということなのだから。
問題なのは、『3方向からしか敵が来ないのでその場に陣取り待機する』という者だ。
亀田君の親友として、そういった“やる気のない連中”はさっさと始末しておきたい。
まあ、中盤まではさほど慌てる必要もないんだ。誰もいないならいないでそれでいい。
そこから適当にぶらつけばいいだけの話だ。
別に今から慌てることはないんだから。
そんなわけで俺は東へ向かって歩き続け――間もなく、“やる気のない連中”と遭遇する事になる。
☆ ★ ☆ ★ ☆
「…………いや、いやいやいや何やってるんだ俺は」
我に返った。
野球は楽しいし、ずっとやっていたいけど、そういうわけにはいかないじゃないか。
亀田を倒し、早く犯人を捕まえなくちゃいけないのに。
「オウ、よそ見したら危ないでーす!」
「いてっ」
ボールを見事に頭に食らう。
所詮はキャッチボール、ノックに比べたら威力が大幅に低いとは言え、それでも結構痛かった。
うーん、硬球恐るべし。
「大丈夫でーすか?」
「あ、ああ……」
とりあえず、コイツが無害と分かっただけ収穫としよう。
殺し合いという場において仲間の存在はかなり大きい。
仲間を作っている方が信頼も得やすいだろうし、何より戦闘面で有難い。
こちらに武器がない以上、殺し合う気の者と出会ってしまったら肉弾戦を強いられることになる。
ボールやバットを投げつけるのもありだとは思うが、数に限りがあるからな。
肉弾戦になるのなら、数が多いに越したことはない。
「それより聞きたい事があるんだけど」
ボールを投げ返しながら問う。
彼に聞きたい事――彼だけじゃなくて遭遇した者全員に聞いておきたい事だが――は三つ。
一つ目は、亀田について。
亀田について何か知らないか、また亀田の持つ技術について何か知っている事はないか。
当然ながら、それらの情報は脱出の上で役に立つ。
二つ目は、相手について。
あの最初の場所で知り合いが近くに居たりしなかったか。
もしいたとしたらその人は信頼できる人なのかどうか。
そして一番大事なのは、亀田に目をつけられる理由に心当たりがあるのか、だ。
俺の場合は「時空警察だから」だと思っている。
俺が追う犯人が亀田、もしくはその犯人を裏で操っているのが亀田という可能性が高い。
もしこれで殺し合いに巻き込まれた者の大半が亀田の関係者ないし亀田の起こした事件の関係者だとしたら?
そうだった場合に具体的にそれが何の役に立つかまではまだ分からないが、もしかしたら何かのヒントになりうるかもしれない。
情報はあって困るものではないのだ。
そして三つ目。
今の装備で殺し合いに積極的な者と出会った時、一体どう行動するつもりなのか。
作戦といえるほど具体的な者でなくても、ある程度方針は固めておきたい。
逃げるのか、戦うのか。
せめてそれぐらいは決めておかないとまずいだろう。
出来るだけ相手の意思を尊重した方針でいきたい。
「ふむ、何で――」
口を開いたせいで集中力が散漫になったのだろうか。
足がもつれてアルベルトがバランスを崩した。
そのまま前回り受け身をするように肩から落下し、ごろんと一回転をする。
しかも勢いは全く削がれず何度も何度も回転し――
「お、おい!」
そのまま橋に激突した。
川に落ちなかっただけよかったかもしれないが、大丈夫だろうか。
「オ〜ウ、肩が外れまシタ! 救急車呼んで下さ〜い!」
……大丈夫そうだな。
肩が外れてるって言ってるわりには元気出し、応急処置をすればあっさり回復しそうに見える。
確か地図に診療所が……って、誰だアイツ?
「アルベルト!」
橋の向こうに現れた男は、ゆっくりとこちらに近付いている。
とは言え、こちらに気付いていないわけではないだろう。
奴からは明確な殺意を感じ取れる。
だからこそ、襲いかからずにゆっくりと歩いてくるのが不思議だった。
そして、それは同時に不気味でもあった。
「ハーイ、私アルベ……」
奴の発する異常な空気が分からないのか(まあ、一般人ならそれもやむなしなんだろうけど)アルベルトが自己紹介をしながら奴に駆け寄る。
まるでゴミでも見るような目でアルベルトを見、奴は前蹴りを繰り出した。
まともにボディに打撃を受けて、橋を転がるアルベルト。
問答無用かこの野郎!
「何をするんだ!」
アルベルトのデイパックを拾いながら橋上に駆けつける。
デイパックにはボールとバット、それからグローブが入っている。
俺の支給品が武器でない以上、頼りになるのはこれらの道具だけだ。
そして、おそらく奴は肉弾戦では俺を凌ぐ。
あの蹴りを出す速さと、あそこまでアルベルトを吹き飛ばす威力。
まともな武器があるならともかく、今の状況で格闘戦にでもなろうものなら勝ち目は薄い。
バットを使えばそれなりに戦えるかもしれないが……やはり金属バットでなく木製バットな事に不安が残る。
何だか奴にあっさりへし折られてしまいそうだ。
それなら、いっそ逃げてしまおうか。
ここは狭い橋の上。
奴の横をすり抜けることは出来ないだろうが、それは同時に敵に背を向け逃げた時に先回りをされないということを意味する。
歩いてきたのが自信の表れだとしたら、奴の足は速いと見ていいだろう。
普通に逃げたのでは追いつかれるかもしれない。
だが、先述の通りここは狭い橋の上だ。
ボールやバットをぶちまければ、相当距離を稼げるだろう。
あとは適当に森の中で撒けばいいいい。
アルベルトも「ア〜ウチ!」とか叫べるぐらいに元気があるみたいだし、最悪診療所辺りを待ち合わせ場所にしてバラバラに逃げるのも手だ。
水に飛び込むという手もないわけじゃないし、逆に水に相手を落としてもいい。
「危険人物みたいだし、アイツはここで打倒する」とさえ考えなければ、意外とどうにかなる気がしてきた。
「……一応確認しておくけど、殺し合いに乗ってるわけじゃないんだよな?」
「当たり前だ!」
相手の放ったその一言に腹が立った。
少なくとも、アルベルトに悪意はなかった。
お世辞にも友好関係を築きたくなるようなテンションではないが、悪人でない事は一目見れば分かったはずだ。
あれだけ無防備に近寄って来たのだ、疑う方がどうかしてる。
そんなアルベルトをあっさり蹴り飛ばしておいて、「殺し合いに乗ってるか」だと?
ふざけるな。
こんな殺し合い、俺達が乗るわけないだろう!
「そうか……なら、ここで死んでもらう」
男が禍々しい手を突き出して言う。
余裕を見せやがって……暢気に宣言してないでさっさと攻撃すればいいのに。
だが、その満身に付け入る隙はありそうだ。
「俺の親友の亀田君のために――」
正直、気持ちは逃げる方に傾いていた。
あの禍々しい手で戦おうとしたということは、飛び道具を所持していないということだ。
所持しているならそれを使って俺とアルベルトをさっさと殺すのが普通だろう。
それに、慢心をしているならボールをぶち撒けるだけで楽に逃げ切れる可能性が高いというのも大きかった。
アルベルトと別れる必要がないならそれに越したことはない。
さっきからアウチアウチとやかましい男だが、それでも立派な仲間なのだから。
だから、8:2くらいの割り合いで逃げたい気持ちが勝っていた。
「今……何て……」
だが、事情が変わってしまった。
奴は亀田を知っている。
それも、奴は親友だと言ったのだ。
出来れば話を聞いておきたい。
だが、そのためにはまず無力化しないといけないだろう。
今の装備でそれを狙うべきなのだろうか?
――逃げるべきか戦うべきか、今や完全に5:5になってしまった。
☆ ★ ☆ ★ ☆
三橋一郎がゆっくりと獲物に近付いたのは、そんなに深い理由があってのことではなかった。
ただ単に、見つけた連中が殺し合いを円滑に進めたいと思っている人間かどうかを見極めたいと思っただけ。
殺し合いに乗り、同盟を結んだ二人組なら、こちらに気付くなり攻撃を仕掛けてきただろう。
こちらは腐ってもサイボーグ、初撃を防ぐくらいどうということはない。
防いでから“こちらも乗っているので争う気はない”という事を伝え交渉に入ればいい。
もし逃げられたら追いかけて背後から殺せばいいだけだ。
遠距離からの攻撃手段を持たないが、走力にはそれなりに自信がある。
それに、障害物は避けねばならない相手と違い、障害物を薙ぎ払って追いかけられる。
何せこれは木ですら簡単にへし折るのだ。
追いついてしまえば人間なんぞ簡単に殺すことができる。
だがしかし、二つほど誤算があった。
橋の辺りに差し掛かると、見るからに殺し合いには乗っていない二人組の内一人がこちらに駆け寄ってきた。
鬼の手で葬ってやろうと考え、まずは相手の腹に蹴りを繰り出す。
防がれたら鬼の手で頭から引き裂き、防がなかったらバランスを崩した所をやはり頭から引き裂いてやるつもりだった。
頭蓋骨をあっさりと引き裂ければ、全力を出さずとも腹をぶち抜く事ぐらい可能だろうと考えたからだ。
折角見るからに雑魚と遭遇したのだ、鬼の手の実戦データを取らない手はない。
やはり木ではなく人間相手のデータこそ今後の役に立つだろうから。
だがしかし、ここで最初の誤算が起きる。
それは、予想以上にアルベルトが弱かったことだ。
ガードするでも蹲るでもなく、アルベルトは吹き飛んだ。
あくまでジャブ感覚で放っていたのに。
予想以上に豪力の効果は高かったということだろうか?
とにかく、そのままゴロゴロと橋の上を転がり続け、アルベルトは鬼の手の射程から出てしまった。
そして立て続けにもう一つの誤算が起きる。
新六が橋の上までやってきてしまったことだ。
鬼の手の威力がどれほどのものか分からないが、下手をしたら一撃で橋を壊しかねない。
橋を破壊して水中戦になった場合、果たして鬼の手はちゃんと役に立つのだろうか?
水ごと相手を引き裂けるのか、それとも水中の抵抗力のせいで鬼の手といえど殴る速度は遅くなるのか。
遅くなったとしても、触れた時の威力は変わらないのか否か。
そんな状況で、果たして奴らをきちんと仕留められるのか否か。
分からない事が多すぎる。
出来る事なら、橋は壊さずにおきたい。
となると、橋の上では鬼の手を使わずに、二人を橋から叩きだす必要がある。
……やれやれ、面倒な事になったものだ。
銃を構える気配はないため、飛び道具は持っていないと見ていいだろう。
持っていたら、際威嚇射撃ぐらいしているはずだ。仲間が襲われたのだからな。
出来れば接近戦の当たり武器を所持していると有難い。
接近戦は願ったり叶ったりだ。
(見ていてくれよ亀田君。君のために頑張るから)
鬼の手を突き出し牽制する。
見るからに怪しい鬼の手を見て、警戒しない奴はいない。
橋の上では出来るだけ振いたくはないが、それを悟られないようにしたい。
鬼の手に気を取られ相手の動きが鈍ってくれれば幸いだ。
「なら、ここで死んでもらう。俺の親友の亀田君のために――」
そうさ、俺は君のためならどんなことだって出来る。
だって君は、大切な親友なんだから。
だから、これが終わったらまた二人でキャッチボールをしようよ、亀田君……
また、昔みたいに、二人で仲良く。
☆ ★ ☆ ★ ☆
(この男、予想以上に強いッ)
三橋のソバットにより戦闘が始まり早数分。
萩原の頭は、「おそらく勝てない」という結論を出していた。
左手で持ったデイパックを盾代りにし、右手でバットを振るっているが、片手で振るった木製バットでは決定打になりそうもない。
運がよくて千日手、持久戦になれば間違いなく負けるだろう。
先程から牽制でしか鬼の手を使っていない事から、あの腕はこけおどしだと判断した。
とはいえ、通常の拳があり得ない程重いのだ。
渾身の左ストレートなどのおかげで、最初は橋の中にいたはずなのに、気が付けば陸地が背後に迫っている。
(く……逃げるしかないか……!)
最初から素直に逃げなかった事を若干後悔しながらどうすべきか考える。
アルベルトに逃走の旨を何とか伝え、三橋から逃走する。
少なくとも、それはもう確定だ。
ここで亀田の情報を引き出せないのは正直惜しいが、命は落とすわけにもいかない。
何としてでもここを抜け出し、時空犯罪者を捕まえねばならないのだ。
そのためなら、無様に敗走だってしよう。
この任務は失敗するわけにいかないのだから。
大事なのは逃げるタイミングだ。
隙を突かずに背中を見せれば即死に繋がる。
かといって対峙したまま逃げ切れるとも思えない。
だから、『自分は橋から出ているのに、相手はまだ橋の上に残っている』というタイミングを突くことにした。
その瞬間にボールやバットといったデイパックの中身をぶち撒け足を止める。
一本道の橋ならともかく、広々と走り回れる陸地でなら仮に拾ったバットを投げられても避けることが出来るだろう。
そう考えてデイパックを半開きにし、機会を待った。
自分とアルベルトの、いや、それだけでなく未来の命運がかかっているのだ。
失敗するわけにはいかない――
だが、運は萩原を見放した。
手にした木製バットがへし折れ、とうとう武器を失ってしまう。
それだけならまだいい。
もう萩原は逃げる事を選択しており、攻撃など牽制でしかなかったのだから。
なので、致命的なのはバットが折れた事ではなかった。
バットを失い、次の打撃をデイパックで受けた際、一つのボールがデイパックから零れ落ちた。
向こう側からの衝撃で飛び出したボールは、萩原の方に飛んでくる。
足もとに転がったボールを、別に踏んづけたわけではない。
ただ、踏んづけぬよう一瞬視線が足元へと行き、致命的な隙が生まれた。
そして、その隙を見逃すほど三橋一郎は愚かではない。
三橋が鬼の手を付けた右の拳を固く握る。
橋から叩き出してから思う存分鬼の手を振るうつもりだったが、こんな大チャンスを見逃すというのは愚の骨頂。
既に『鬼の手は触れていないものまで破壊する超兵器ではない』という事は分かっている。
触れた木しか折れなかったし、外したジャブでは相手の頭をもぎ取ることができなかった。
要するに、壊したくないものには触れなければいいのだ。
『回避された際、勢い余って橋を壊すのは避けたかった』
これが三橋が鬼の手を温存していた主な理由。
だがしかし、橋の破壊の心配が無い攻撃方法も持ってはいる。
万が一避けられたとしても、勢い余って橋に触れる事は絶対にない攻撃方法。
隙がデカイのでやるつもりはなかったが、決まれば一撃必殺となりうる。
隙を見せても相手に避けられないような状況になったら、つまり相手に隙が生まれたら、使ってしまおうと思っていた。
(まず……っ!)
三橋が右腕を振り上げるのを見、萩原は慌ててデイパックでのガードを図る。
しかし、鬼の手を装備してのアッパーカットはそう簡単に防げる代物ではなかった。
避けることだけを優先し、後方に倒れ込むようにして顎への直撃は避けたものの――
「オウ!」
あっさりと、本当にあっさりと左腕はデイパックとともに上空へと打ち上げられた。
それだけでなく、腕でガードされていたはずの洋服までがパックリと裂け、その向こうに在る鍛え上げられた肉体にまで真っ赤な線を付けられた。
言葉を発することもなく、萩原の体はそのまま後方へと倒れ込む。
そんな萩原を見届けることなく、三橋は一気に橋を駆け抜けた。
その瞳が映すのはアルベルト・安生・アズナブル。
痛みを押して立ち上がり、二人の攻防の結末を目撃したばかりの四番打者。
続けざまにアルベルトを殺そうとし、
「ン? ……あなた、火星オクトパスにいませんでしたか?」
つい、手を止めてしまった。
アルベルトの存在に、三橋は本当に今の今まで気付かなかった。
つい先ほどまで彼の頭は、殺し合いの参加者を『殺し合いに乗っている、同盟を結ぶ価値のある者』と『それ以外の殺すべき者』の二種類でしか考えていなかった。
だから先程アルベルトが駆け寄って来た時も機械的に『コイツは殺す』と決定付け、相手が誰かもよく考えずに始末しようと思っていた。
それを、今になって気付いてしまった。
いい印象は正直欠片も持っていないが、アルベルトは確かに自分のチ−ムメイトだと。
(……亀田君はどうしてアルベルトなんかを……)
少しばかり疑問を持ったが、すぐに頭を切り替える。
自分はただ、親友の望みを叶えるだけだ。
そして親友の望みとは、自分が推測するものではない。
望みは命令という形で自分に知らされ、自分はそれを忠実にこなすことで彼の望みを叶えている。
それが今の二人の関係なのだ。
「誰誰をどうしろ」といった詳しい命令など受けていないし、知人と言えど殺した方が親友のためになるだろう。
そう考えて、三橋は下した手を再び上げる。
「まあ、どっちでもいいでーす。それよりあなた、一緒に野球をやりませんか?」
「……なんだと?」
三橋の腕が止まる。
別に一緒に野球がやりたいからというわけではない。
ただ理解不能な言動に呆気に取られてしまっただけだ。
「そこの彼はナイスな腕を持ってまーす。怪我を治せばいい選手になるはずでーす。
だから、一緒に野球をやりましょーう!」
「……何でそんな事が言えるんだ? 俺はお前の仲間を殺したんだぞ?」
何故、そんな自分を野球に誘ってくれるのか。
三橋にはそれが理解できなかった。
親友でさえ、歯向かえば怒ってキツイ仕置きをしてくるというのに。
「何故って……野球が楽しいからでーす」
それはとてもシンプルな答えだった。
望んでいた答えではないけど、野球を愛した三橋にとって理解可能な思考ではあった。
確かに野球は面白い。
野球のためなら命だって賭けられるんじゃないかってほど、自分も野球を愛している。
野球をするためなら襲ってきた者だろうと気にしないというのも、極端ではあるが野球馬鹿の一種として受け入れられた。
「ああ、そうだな……野球は楽しいからな……」
だが、思考を理解してやったのと、この場を見逃してやることとは別問題だ。
自分が死ぬなどと思ってもいなさそうなアルベルトを見下ろしながら、三橋は呟く。
「でもな……やっぱり一番楽しいのは、“親友とする”野球なんだよ。
人生で一番楽しかったのは、亀田君と一緒に野球をしてた時なんだよ」
昔を思い出しながら、三橋は目を閉じた。
そしてそのまま右腕を斜めに振り下ろす。
体中に生暖かい液体を浴びながら、三橋はアルベルトの事を少しばかり思い返した。
目を開け、アルベルトがしっかりと二つに分かれたことを確認する。
「だから、ごめんな。俺のやりたい“野球”に、アルベルトは入ってないんだ」
そうとだけ呟くと、支給品も回収せずに三橋は再び歩き出す。
かつての仲間を殺すのが、全く辛くないわけがない。
気持ちは沈むし、後味だって最悪だ。
だけど、三橋はアルベルトを躊躇いなく殺害した。
心の中の天秤において、亀田の存在は圧倒的なものなのだ。
たった一人の親友のために、多くの友を犠牲にする。
決して楽な道ではない。
それでも三橋はその道を選んでしまった。
振り返ることもせず、三橋は歩き続ける。
後戻りのできない、人殺しの道を。
【G-5/橋から大分離れた所/一日目/黎明】
【三橋一郎@パワポケ3】
[状態]:健康 エネルギー85%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式、予備バッテリー
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する
1:参加者を積極的に探して殺す
2:もしも相手がマーダーならば協力してもいい
3:亀田に対する恐怖心
[備考]:萩原は死んだと思っています
☆ ★ ☆ ★ ☆
「アルベルト……」
三橋が去ってから数十分後、萩原新六はようやく意識を取り戻した。
三橋は気付いていなかったが、萩原はまだ生きていた。
左腕と共に血液を失ったので重症には変わりないが、それでもまだ生きている。
「ごめんな……」
三橋の鬼の手の最大の弱点。
それは『何を切り裂いたのか手応えではよく分からないこと』である。
鬼の手は豪力と合わさることで木だろうが人間だろうがいとも簡単に切り裂いてしまう。
そこに、手応えの違いなど存在しない。
どれだけ深く抉ろうと、その手応えはおそらくほとんど変わらないだろう。
いずれもプリンをスプーンで掬うかのようなあっさりとした手応えだった。
なので、しっかり対象を切り裂けたかを三橋は視覚で確かめる必要がある。
今回萩原は腕を吹き飛ばされた事で大量の血液をぶちまけていた。
出血の酷い左腕付近の服が裂け、激痛で意識を失いそのまま後ろに倒れた事から、三橋は萩原が死んだものだと勘違いしたのだ。
「……あの男は絶対に逮捕してみせるよ。いずれ、必ず」
運よく拾った自分の命を、みすみす捨てるわけにはいかない。
だから、三橋はまだ追わない。今はまだその時ではない。
今は自身の回復が最優先だ。
腕の切断面は洋服で縛り上げ、飛ばされた左腕はデイパックに入れておいた。
気休めにもならなさそうだが、冷えたペットボトルで断面を冷やしている。
貧血で頭がクラクラしてきたので、支給されたスーパーパワビタDを飲んだ。
ビンに成分が書いていないのでよく分からないが、栄養化は高いようだし貧血も少しはマシになるかもしれない。
>>54-55 謝れ!二ノ宮が好きでOP読みながら「おおっ、二ノ宮参加確定か!ならプロット練らなくちゃ」とか思ってた俺に謝れ!
「……さて、どうするかな」
はっきり言って、応急処置をしたとはいえこのままだとそう長くは持たないだろう。
表面を薄く切られただけとはいえ、腹部にだって傷があるのだ。
死因にはならずとも、戦闘にはそれなりに支障が出るだろう。
空気に触れたら普通に痛いし、感染症の恐れもある。
どちらの怪我も、きちんとした治療を施した方がいいだろう。
喪失した腕の復活まで望んでいるわけではないが、最低でも止血と栄養補給をしたい。
診療所か病院ならば正しい止血の仕方の乗った本が置いてあるかもしれない。
上手くいけば、点滴や輸血パックも手に入るかもしれない。
このどちらかを目指す必要があるだろう。
では、どちらを目指そうか?
距離でいうなら病院の方を目指すべきだ。
洋服で縛っただけの簡素な止血では血を完全には止めれていないし、一秒でも早く治療に入るべきである。
だが、病院に向かうと三橋と遭遇する可能性が少なからず存在する。
どちらに行ったかまでは分からないが、恐らく再び橋を超えることはしていないはずだ。
橋を渡ったのだとしたら、腕からしか出血してない自分に気付かないのは不自然。
自分の死体には目もくれず、さっさと目的地に向かったとみていいだろう。
その目的地が病院だった場合は最悪だ。
奴の目的地が病院じゃなかったとしても、病院に行くまでに再び出会ってしまったら今度こそ生き延びれないだろう。
今三橋と遭遇するのは何としても避けるべきだ。
その点、診療所は安心できる。
三橋は診療所がある橋の向こうから、診療所を目指すには遠回りになるこの橋までやってきた。
目的地が診療所である可能性は皆無である。
三橋と遭遇しないというのはかなり大きい。
だが、診療所に行くまでに駄菓子屋や倉庫といった建物の通過を余儀なくされる。
物資のある建物には人が集まりやすいだろうし、誰にも会わないという事はまずないだろう。
仲間は欲しいが、戦闘は避けたい。
どちらもメリット・デメリットがある。
それを承知したうえで、どちらか片方を選ばないといけない。
「よし、決めた。俺が向かうのは――」
【G-5/橋の上/一日目/黎明】
【萩原新六@パワプロクンポケット6】
[状態]:左腕欠損、腹部に軽度の切り傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、野球用具一式(バット8本、ボール7球、グローブ8つ)@現実、野球超人伝@パワプロクンポケットシリーズ、パワビタD@パワプロクンポケットシリーズ、自身の左腕
[思考・状況]
1:どこかでしっかり手当をしたい。出来れば仲間も見つけたい。
2:野球超人伝を後でじっくりと読みたい。
3:元の世界に戻って犯人を捕まえる。
[備考]
グローブがひとつアルベルトの手についたままです。
折れたバットとボールが各1つずつ橋の東側に落ちています。
アルベルトの暴投したボールがG-05のどこかに落ちています。
【アルベルト・安生・アズナブル@パワプロクンポケット10 死亡】
【残り 50人】
>>70 代理投下乙
しかしアルベルトが……。
6主もかなり痛手を負ったようだし、3主のこれからの活躍が恐ろしいぜ。
作者GJ!
代理投下乙です
アルベルト……いくら不死身の外人と言えどもサイボーグが相手では無理があったか
これからの3主に期待
アルベルト…逝ったか。
3主が智美か明日香に会った時の反応にwktk
違う意味でのりかと会った時の反応にwktk
>>68 二ノ宮とブラウンが好きな人はオープニングから希望が砕かれるからなw
乙!!
何故だろうこんな超強力マーダーなのにのりかに勝っている図が全く浮かばないぜ!
待たしてスイマセンでした。
小波、芹沢、八神、大江 投下しま〜す!
小波走太は怖かった。
いくらお姉ちゃんに助けてもらったとはいえ、あいつの目が。 手が。 とにかく全てが怖かったのだ。
すでに自分のチームメイトである二ノ宮君が殺された。
そしてお姉ちゃんみたいなヒーローも殺された。
それだけで怖かったはずなのに・・・
全ては叫んだ事がいけなかった。
そのおかげで茶色い紙でメガネをかけた女の子が来てしまったのだ。
僕が全力疾走してもそいつは一瞬にして捕まえた。
そいつは捕まえると僕の首をものすごい力で絞めてきた。
小学生の自分がそれに対抗する力はなく、絶対こう思っていた。
死ぬ・・・・・・と。
二ノ宮君と同じところにいけたらいいな。
そもそも天国とかって実際にあるのかな?
あったとすればどういうところかな?
それより自分は天国に行くことができるのかな? 今までいろんな悪い事してきたし・・・。
こんなことをずっと思っていたその時、あの人が現れたんだ。
その名はブラック。 ヒーローだった。
そのヒーローはすぐにそいつを追っ払ってくれた。
おかげで僕は助かったのである。
まさかブラックの正体が女の子とは思わなかったが・・・
ビルや建物が立ち並ぶこの場所をとにかく去っていた。
いつ別のが襲ってくるかわからない・・・そう芹沢は思ったのだ。
「・・・怪我は・・・大丈夫?」
「うん、お姉ちゃんのおかげで何とか!」
「・・・そう・・・ならいい・・・」
一応芹沢が向かっていたのはホテルPAWA。
そこなら落ち着けるだろうと思ったからだ。
距離的にも近いと言う利点があったからだ。
ホテルについた二人は慎重に中へと入っていく。
最初に芹沢、次に小波といった感じだ。
無事ホテルに入ることができた二人はまずホテル内を捜索することから始まった。
武器や人などを確認するためだ。
レストランの厨房で武器となるものを探す。
「お姉ちゃ〜ん。 何が見つかった?」
「・・・ない・・・」
ここがもう営業されていないホテルとは入ったときに感じたが、まさか包丁とかがないとは・・・
芹沢は思った。
武器となるものは見つからなかったが、走太君が赤いスパイス(なめてみたら意外においしかった)を2ビン発見した。 それはそれでいいと思い、一人1ビンずつ持つことになった。 これで少しは食べ物に困ることはないだろうと私は思った。
次にホテル全体を探す。
5階あるこのホテルを捜索するのは大変だったが、客室などや部屋が全部しまっていたこともあり、1時間程度で終わらすことができた。
しかし誰も見つかることができなかった。
しかたなくロビーに戻る二人。
そこで二人は見てしまった。
さっきいなかったはずのロビーに誰かがいるところを。
「うう・・・ 誰かいるよー。」
「大丈夫・・・ここは私が・・・」
そう言うと芹沢は自分のデイパックを置いていき、その人たちの元へと行く。
それに気づいたその人たちは芹沢が前に来ると、男の人が口を開ける。
「何のようですか? あなたは。」
「私は・・・正義のヒーローです。」
男の人と女の人は首をかしげる。
「あなた達に聞きたい。 あなた達はこのゲームに乗ってますか?」
男の人と女の人がやっとこの人の言いたい事がわかったようで問いに答える。
「乗ってない。」
「乗るわけないやろ。 こんなくだらないゲームに!」
「そう・・・」
「なあ。 なんなら、うちらと組まへん? そうしてくれたほうが安全だし。 そう思うよな、八神?」
その男、八神総八郎に聞く。
「かまわんが・・・というよりあってすぐなのにようそんなことを平気に聞けるな。 カズ。」
その女、大江和那は言う。
「だってーこの人なんか本当に守ってくれそうな感じなんやもん。」
こうして八神、大江と仲間になる事になった。
その後四人は自分の支給品を見せることになった。
「私は・・・この刀と・・・回復薬というビン3本と・・・赤いスパイス・・・。 スパイスは走太君も持っている・・・」
「へえー強そうな刀やな。」
「確かに・・・これはいい刀だな。」
次に走太君が見せる。
「これは、拡声器だな。 あと、これはデジカメと・・・ボイスレコーダー?」
「ちょっと聞いてみようや。」
大江はボイスレコーダーを再生する。
--む〜ん。 殺し合いなんだな〜
--む〜ん。 いやなんだな〜
--む〜ん。 でもがんばれなんだな〜
「何これ・・・?」
「あえて・・・気にしなんでおこう・・・。」
大江和那が次に見せる。
「私はこの飛ぶやつとお菓子(?)とミニ扇風機と爆弾っぽい物。 爆弾っぽい物はすごく使いづらいんだけど・・・」
「ないよりは・・・マシ・・・」
最後には八神の番。 彼はデイパックから何やらものすごくでかい銃を取り出した。
「ガトリングガン・・・名前くらいは聞いたことがあるだろ?」
このバトロワ最大の当たりアイテムだといっていいガトリングガンを八神が持っていたのだ。
「これさえあればある程度、身を守ることができる。」
「すごいやん! 八神!」
「だから叩くな・・・痛い。」
「でも本当にすごいね〜お姉ちゃん。」
「うん。 そうだね。」
これにて支給品の紹介は終わった。
と、ここで小波が八神たちに聞く。
「ところでお兄ちゃんたちは何でここに来たの?」
小波は彼らがホテルに来た理由が聞きたかったのだ。
「話せば長くなるのだが・・・」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
遊園地を出た俺たちは病院へと向かっていた。
遊園地から病院はあまり近くはなかった。 まあ、当然だが。
「お前、何食ってるんだ?」
「ラムネだよ。 ラムネ!」
自分の支給品だと言う。 大量にあるからといって俺にも一袋くれた。
「そういえば俺、支給品確認してないな。」
「ええ〜! 普通ゲーム開始時に確認するもんじゃないの! そういうのは!」
「だってお前来たし。」
「それでも少しは時間あったやろ! 私はもうすでに確認してんのに!」
「そりゃあ悪いな。」
俺は謝った。 するとカズが優しく微笑んで、
「謝んなくたっていいんよ! べ、別にあなたのことが好きだから許すとか微塵も思ってませんよ?」
「ふ〜ん。 そうなんだ〜。」
すると、カズは顔を赤くして、
「いや〜今のは本音じゃないんよ! 今のは・・・ほら! とっさに出てしまったとかっていうやつなんや! だから・・・『わかったから落ち着いてくれ。』 あ、ゴメン。」
こんな事を言いつつもカズはなんだかんだいって、少し八神のことが気になっていた。
(十波君もかっこいいけど・・・八神君もかっこいいよな・・・)
大江和那はそう思っていた。
遊園地で八神君を見たとき、十波君だと思った。
喜びながらいくと、人違いのようだった。
でもカズはこの人を見た時から決めていた。
一緒に行動したい・・・と。
八神君は彼女目線で行くとすごくかっこよく見えた。
だからカズはあの時言ったのだ。
「べ、別にどこも行く気なんてあらへんよ?まさか、人違いしていたたまれないし、
知らん人と一緒におるのも不安やから、ここから離れたいな〜なんて微塵も思ってませんよ?」
この言葉には意味があったのだ。
こういえばきっと一緒に行動しようと思ったからだ。
でもしゃべり方は元からなのでそれも幸いして、八神君は仲間として誘ったのだろう。
やっぱり大江和那は素直にうれしかった。
今、こうやって話す時間が楽しくて仕方がなかったからだ。
こんな時間が続いてほしいと彼女は少し思った。
でも絶対に八神君にはばれたくなかったのでこの気持ちは抑えていた。
「聞いてるのか? カズ!」
「あ・・・ああ! ゴメン! ボーっとしてて聞いてなかったわ! スマン!」
「話している時は聞いてくれよ。 頼むから。」
「うん・・・」
そういうことなどがあったが、無事ホテルについた二人だった。
「とりあえず中に入って支給品でも確認しようや!」
「そうだな。」
二人はホテルに入りロビーにあるソファに座ってデイパックの中身を確認した。
「私は飛ぶやつとお菓子(?)とミニ扇風機と爆弾っぽい物。 これがさっきのラムネの一部や!」
「なかなかだな。 というより結構いい支給品じゃん!」
「そ・・・そうなんか? で、あなたはどうなんや?」
「えっと・・・あ! これだ。」
出してきたのはガトリングガン。
「これは結構な当たりアイテムだな。」
「すごいやん! 八神!」
「とりあえず痛いからやめてくれ。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「まあ、簡単に言えば支給品を確認するために来たということだな。」
「そうだったんだ〜。 実は僕たちもそうなんだよね〜!」
どうやら考えは同じだったらしい。
「ところで、さっきの話通りうちらは病院にいくんだが、一緒についてきてくれないか?」
八神の問いに小波と芹沢はこう答えた。
「もちろん!」
「じゃあ行くで!」
四人はそれぞれの思いを持って一緒に病院へ向かった。
小波走太。
「亀田を倒して、二ノ宮の墓の前で土下座をさせてやるのだ!」
芹沢真央。
「みんなを助けるヒーローになる!」
八神総八郎。
「首輪を取って早く脱出する!」
そして、大江和那。
「八神君と一緒にいたいな〜。 少しだけでいいから。」
【G-7/ホテルPAWA 1階ロビー/一日目/黎明】
【小波 走太@パワポケダッシュ】
[状態]:疲労(小)(徐々に回復)、軽い擦り傷(痛みは徐々に回復)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、拡声器@現実、ボイスレコーダー@現実、デジカメ@現実、ミラクルスパイス1ビン@パワプロクンポケット10裏
[思考・状況]
基本:生還し親父を復活させる
1:とりあえず真央についていく
2:人は殺さない
3:真央を少し信頼
4:病院を目指す。
【芹沢真央@パワプロクンポケット7表】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、日本刀@パワプロクンポケット7裏、回復薬×3@パワプロクンポケット7裏、ミラクルスパイス1ビン@パワプロクンポケット10裏
[思考・状況]
基本:弱きを守り悪を挫く『正義の味方』を貫く
1:人を守る
2:病院を目指す
【八神総八郎@パワプロクンポケット8表】
[状態]:健康
[装備]:ガトリングガン@現実
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:病院を目指す
2:仲間を集めるor首輪を外す
3:亀田についての情報が欲しい
【大江和那@パワプロクンポケット10表】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、食玩のお菓子詰め合わせ@パワプロポケットシリーズ、飛ぶやつ@パワプロポケット8表、ふわふわすかいドーン!セット@パワプロクンポケット7表
[思考・状況]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:病院を目指す
2:仲間を集めるor首輪を外す
3:知り合いがいたら助けたい
4:八神君ってなんかいいよね?
【ボイスレコーダー@現実】
普通のボイスレコーダー。
なぜか荒井3兄弟のメッセージ入り。
【日本刀@パワプロクンポケット7裏】
攻撃力4、命中率70というパワプロクンポケット7表のアイテム。
いたって普通の日本刀。
【回復薬@パワプロクンポケット7裏】
ゲーム内では体力が30回復。
このロワ内でも多分・・・回復はするだろう・・・
【ミラクルスパイス@パワプロクンポケット10裏】
一度食べたらやみつきになるスパイス。
パストールの特産品。
ホテルPAWAの厨房に2ビン置いてあった。
【食玩のお菓子詰め合わせ@パワプロポケットシリーズ】
マニアである落田や凡田などが食玩を大量に買ったときに大量に余って主人公などにあげてしまう事もあるという食玩についてくるあの小さいお菓子。
ラムネやミニチョコなどバラエティ豊か。
【飛ぶやつ@パワプロクンポケット8裏】
ゲーム内では次ステージに無条件で行ける。
このロワでは名前のとおり「飛ぶやつ」です。
数分は飛べます。
【ふわふわすかいドーン!セット@パワプロクンポケット7表】
ミニゲーム「ふわふわすかいドーン!」に出てくる2つのアイテムセット。
内容は機雷何個かと扇風機何個か。
毒吐き別館に毒吐きスレ依頼していい?
いいんでない?
じゃあ4時まで待って、問題なさそうならいってくる
よし、やっちまえ
『八神君』じゃなくて『八神さん』じゃないですか
カズは高校生で八神は高卒でプロに入った湯田よりも年上なんだから二人の年は離れていますし
敬語を使えないってキャラってわけじゃないし、第一に登場話で『八神さん』って言ってる
八神も出会って1〜2時間程度の女子高生に『お前』なんて言うキャラじゃない
>>90 そして毒吐きスレの皆さんへ
いろいろと意見ありがとうございます。
遠慮しないでもっと言ってもいいですよ。
そうやってくれたほうが修正しやすいので。
できれば明日までに修正版を仮投下スレに投下しておきます。
修正する場所は指摘があった敬語などのこととカズルートについての見直しです。
別に私がだめなやつとか言ってもいいんです。
それは事実ですから。
初心者である私が最初に投稿したときにあんなひどいやつでも感想とかくれるこのロワが大好きだったんです。
パワプロもパワポケも一番大好きなゲームです。
本当にこのロワはすばらしいと思います。
このロワだけではなく、ほかのパロロワもすばらしいと思います。
だからこれからもいろいろな書き手さんが出るかと思いますが、優しく見守ってくださいね。(もちろん感想もね!)
自分が言える立場ではないかと思いますが。
スレの事を本当に考えているなら半年くらい書かずにロムってろと
はっきり言うなら空気をまるで読めてない
他の書き手のモチベーションにも関わるから、これ以上ロワレイプはやめてくれ
コイツは駄目だね、って笑えるレベルですらないから
修正とかしなくていいから破棄してくれ、というのがスレ住民の9割方の意見だろう
感想の無さがその証拠である
もっとはっきり言うと、貴方がこれから素晴らしく成長したとしても
私達、住人は貴方を見る目が変わるとは思えません。
お互いのためにもロム専になるか、トリを変更して他のロワで書くことをオススメいたします。
はっきりいって修正には誰も期待していないだろう
某所で愚痴を吐かれていたが、2話で強力な対主催のグループを結成させる時点で、
ロワの定石的なものをロクに知らないと見える。
口調云々よりも、全体の構想自体に欠陥があるため、修正をしたところで焼け石に水としかならないでしょう
それでも空気を読まずに書き続けるというなら、それは立派な意志だと思いますが、意志が立派なだけじゃリレーにはなりません
>>92〜
>>94 とりあえず今回の予約は破棄します。
私だってこんだけ批判されたら修正する気にもなれません。
普通誰だってそう思いますが。
というより最初に気づくとは思いますが。
あとなるべく本スレではこういうことは書かないでください。
だってそのためにできた愚痴スレでしょう?
愚痴スレでも言っていたとおり、私だけでなく他の人にまで影響しますよ?
今いる書き手を減らすわけには行かないでしょう?
>>94 よし、それなら定石のテンプレを作ってくれ!
そんで虎の巻っぽい感じにして、まとめwikiにでも貼れば同様の問題は起こらない。
それに新規の書き手さんも安心して参加できるようになる。
新規の人はもちろん、今まで読み専で先のことや全体のことを考えずに感想だけ書いてた人には、
ロワ書きの定石とか暗黙の了解なんて分かりませんよ。
書き手の心得を1・2・3全部読むといい、アレは良く出来ている
それと、対主催にしろマーダーにしろ圧倒的に有利になる展開は避けるべきだな
どうやって殺すんだよこんなの、みたいなのは疎まれるぜ
スマン『書き手の心得を1・2・3』ってどこにある?
>>1にあるwikiで探したんだけど見つからんかった。
ちなみに
>>97の二行目以降も載ってるの?
【ルール・テンプレート】の下の方に読み手の心得や修正についてと一緒に載ってる
二行目以降は乗ってないな、後で下のほうにでも加筆しておく
というかまんま他所様のを転載しないで自分らで作ったほうがいいんじゃないかと思うんだが
正直、
>(今までの話を平均すると、回復魔法使用+半日費やして6〜8割といったところです)
なんてのを残しておくとそれだけで威厳みたいなものがなくなる
>>100 うーん、じゃあ水曜日までに改文と追記してみる
心得の内容自体は納得できるものだと思うからそんなに弄る必要ないだろうし
不自然な点あったら指摘頼むわ
予約がどんどん入るな、今のところ4つか
投下しますね
明日香、曽根村、鋼の三人は、夜に歩き回るのは危険という曽根村の提案によって
館内の事務室で休息を取っていた。
そこには作業用の机が幾つかに、応接のためと思われるソファー、さらには館内の至る所に仕掛けられた監視カメラのモニターがあった。
明日香は曽根村と鋼を信用したのか、それとも単に疲れが溜まっていただけなのかソファーに座りながら、デイパックに入っていた安眠マクラを使い寝息をたてている。
他にもデイパックには、持っているだけで疲れを減少できるトルマリンの置物や身体の病気を治してくれる特効薬が入っていた。
これらは病気がちな明日香にとってはありがたかった。
一方、残された二人は黙々と監視カメラのモニターを見つめている。
どうやら、この二人は明日香が間に入ってないと会話が続かない様だ。
それに二人とも気付いているようで、無理に話そうとはしない。
そんな中突然、プルルルル、と電話の呼び出し音が鳴り響く。
モニターを見ていた二人はバッと電話の方に振り向き、明日香も目を覚ます。
(さて、どうしたらいいでしょうか)
電話が鳴ったという事は、当然こちらにかけた者がいるという事である。
それが友好的ならばいいが、問題は殺戮者がかけてきた場合だ。
でたが最後、こちらの位置を向こうに教えてしまっているも同然なのだ。
「何だ?」
だが、そう考える曽根村を横目に、鋼が即座に受話器を取っていた。
『あら、通じたみたいね。そちらは水族館ですか?』
曽根村が凄い形相で睨んでいるのにも気付かないで、その問いに対して鋼は正直に答える。
「ああ、確かにここは水族館だ。で、お前は誰だ?」
『えっと……、あたしは高科 奈桜っていいます。あなたは?』
「そうか、高科か。俺は鋼毅だ。で、何の用だ?」
『……そうです、聞いて下さい!あたし見ちゃったんです。黒ずくめの人が他の人を殺すところを』
「何!?それはどういうことだ?」
これには二人の会話を聞いていた明日香と曽根村も驚きの色を隠せなかった。
高科は殺人の目撃談とそれからの経緯を話し始めた。
まず、最初に亀田によって殺された男、ブラウンにそっくりの黒尽くめの者が幼い子供をその手にかけた。
その現場を見てしまった彼女は恐怖によりその場から逃走。
人気のないスーパーに逃げ込み、鞄に入っていた携帯電話で警察に通報しようとするが繋がらない。
しょうがないので自宅に連絡をしてみるも、これも繋がらず。
最終的に知る限りの番号を試してみたが結果は変わらなかった。
不安と焦りが心に渦巻きながらも電話を操作すると、電話帳に番号が何件か登録されていることに気づく。
そこで、ダメ元で登録されていた水族館に電話をし、今に至るというわけであった。
「…………」
鋼は神妙な顔つきで聞いていた。
殺人が行われたのは自分達のいる水族館のすぐ近くである、そのような所で殺人が行われていたなんて……。
明日香、曽根村もまた同様の感想を抱いた様で表情が冴えない。
「……それは災難だったな。他の施設には繋がったのか?」
電話の向こうからは残念そうな声で答えが返ってきた。
どうやら繋がりはしたが電話にはでなかったらしい。
「そうか、ではお前は今後どうするつもりだ?」
『しばらくはここに身を隠すつもりです。下手に歩き回るよりは安全でしょうから。鋼さんは?』
「俺も夜が明けるまではここにいるつもりだ」
『そうですか。じゃあ、日が昇ったらまた電話をしていいですか?』
この問いに対して、鋼はチラリと曽根村や明日香の方を見るが二人ともOKサインを出している。
「ああ、構わないぞ」
『そうですか、じゃあまた後で。お互い生き残れるといいですね』
そうして高科奈桜との電話は終了した。
そこからは三人での今の電話によって得た情報の検討と今後の話し合いだった。
今回得た情報で一番重要なのは黒尽くめのブラウン、さしづめブラックがゲームに乗っており、近くを徘徊している事である。
普通ならば逃げるべきだが、三人は話し合いによって水族館に留まることにした。
高科奈桜との約束が有るのもそうだが、逃げるよりもここに居た方が安全と踏んだからである。
何しろ館内には至る所に監視カメラが設置されているのだ。
万が一、不審者が侵入したとしてもすぐに分かるし、先手を打って逃げる事も可能である。だからこそだ。
モニターを注意しつつ夜が明けるまではここに留まり、高科奈桜の電話を待つ。
その後は首輪をどうにかするため北西の研究所を目指す。
これが三人で話し合った今後の方針であった。
基本的な方針が決まった後、曽根村は一人ある事を考えていた。
それは高科奈桜の事である。
彼は彼女の事を完全には信用していなかった。
明日香や鋼はブラックの事を教えてくれたという理由で警戒を解いている様だが、彼女がゲームに乗ってないという可能性は0ではないのである。
そもそも、高科奈桜という会ったこともない人物を信用しろというのが無理な話なのだ。
ブラックの話のインパクトでうやむやになってしまったが、実は彼女自身についての情報は何一つ得てないのである。
胸に何かを燻らせながら、曽根村の顔はモニターを向いていた。
【H-6、水族館/一日目/黎明】
【進藤明日香@パワプロクンポケット1】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、安眠マクラ@パワポケ4、トルマリンの置物@パワポケ4、特効薬×3
[思考]
基本:殺し合いから脱出する
1:曽根村、鋼と共に夜明けまで水族館に留まる
2:1の後、研究所へと向かう
【曽根村@パワプロクンポケット2】
[状態]右手首打撲
[装備]ナイフ、ブロウニング拳銃(6/6、予備弾数30発)
[道具]なし
[思考]
基本:戦闘は鋼に任せ漁夫の利で優勝を目指す
1:明日香、鋼と共に夜明けまで水族館に留まる
2:二人の信頼を得る:
3:高科奈緒に対して疑心
4:1の後、研究所へと向かう
【鋼毅@パワプロクンポケット3】
[状態]健康
[装備なし]
[道具]支給品一式、野球ボールが数個、ランダム支給品
[思考]
基本:殺し合いから脱出する
1:明日香、曽根村と共に夜明けまで水族館に留まる
2:1の後、研究所へと向かう
浜野朱里が入ったのは何の変哲のないスーパーであった。
深夜ということもあり、店内の明かりは完全に落ちている。
目立つ訳にはいかないので、明かりは消したまま、ランタンを使いながら浜野は店内を物色した。
店内には野菜、調味料、お菓子といった生活必需品が並んでいる。
だが、やはりというか、鮮度の問題からか魚や肉といった生もの、殺し合いの武器と成り得る包丁などの姿は見えなかった。
その中で少しでも役立ちそうな物を適当に数点デイパックに詰め、
浜野はスーパー内に設置されていたベンチに腰を下ろし、おもむろに鞄から携帯電話を取り出した。
「バックに入ってたのは槍とこれだけ。
おまけに武器は没収され、敵の一人は黒猫。まったく、先が思いやられるわ」
そう愚痴を吐きながらも浜野は携帯を操作し、親切高校を含む自分の知る限りのジャジメントの関連施設、さらには警察にまで電話をかけてみるが、全て繋がらなかった。
だが、あらかじめ予想していたのか浜野の顔に落胆の色は見えない。
「やっぱり、外部との連絡は取れない様になってるのね」
その後も浜野は携帯の操作を続け、あらかじめ幾つかの番号が登録されている事に気付く。
そこで、試しにその中の一つ、水族館に電話をかけてみた。
今までと違い、受話器からはプルルルルという呼び出し音が聞こえてくる。
そして、二回目の呼び出し音が始まろうとした時、呼び出し音は鳴らず人の声がした。
『何だ?』
「あら、通じたみたいね。そちらは水族館ですか?」
『ああ、確かにここは水族館だ。で、お前は誰だ?』
どうやら、本当に水族館の番号であったようだ。
「えっと……、あたしは高科 奈緒っていいます。あなたは?」
本名を教えても構わなかったが、あえて浜野は偽名を用いた。
どうせ顔も見られていないし、名前を特定する物もないのだ。
それに今後何が起こるか分からない。ならば、偽名を使った方が得策と判断したためだ。
ちなみに、高科奈緒の名前を使ったのは他にめぼしい名前が思いつかなかったため。
他にも、神条紫杏や大江和那の名も思いついたが、部下が主君の名前を使うわけにはいかないし、大江の名を使うのは生理的に受け付けなかった。
ゆえに、馴れ馴れしいクラスメイトの名を借用することにしたのだ。
『そうか、高科か。俺は鋼毅だ。で、何の用だ?』
正直に言ってしまえば浜野に用事など無いのである。
電話をいじっていたらたまたま水族館にかかってしまっただけなのだから。
だが、電話で話している間に浜野にはある妙案を思いついていた。
「……そうです、聞いて下さい!あたし見ちゃったんです。黒ずくめの人が他の人を殺すところを」
そう、それは嘘の情報を流すこと。
このような場だ、些細な事でも大惨事に繋がりかねない。それを利用するのだ。
もちろん内容は自分が有利になる事、差し当たっては黒猫の事だ。
自分に黒猫を倒す力が無いならば他の人に倒してもらえばいい。
このゲームは最後まで生き残っていた者が勝者なのだ。決して、多く殺した者ではない。
仮にバレたとしても罪は全て高科奈緒に架かるのだ。これを使わない手はない。
そして、浜野は全くの捏造話を鋼に聞かせた。
『……それは災難だったな。他の施設には繋がったのか?』
受話器越しからでも分かるほどに鋼は動揺しているようだ。
作戦はうまくいったらしい。
後は適当に相手をしつつ電話を切った。
「馬鹿とハサミは使いようってね。理想は黒猫と相打ちになってくれることだけど、無理でしょうね。
傷の一つでも負わしてくれれば儲けもんかな。まだ、近くには黒猫がいるだろうし、鋼にも言った通り夜明けまではここにいましょ」
バトルロワイアル、それは決して力だけでは勝てないゲーム。
【G-7、スーパー/一日目/黎明】
【浜野朱里@パワプロクンポケット10】
[状態]腹に打撲、疲労(小)
[装備]六尺棒
[道具]支給品一式、携帯電話、塩素系合成洗剤、酸性洗剤、油、ライター
[思考]
基本:優勝して紫杏の元に帰る
1:夜明けまでここで休憩をとる
2:1の後、水族館に電話をかける
3:黒猫(真央)を警戒
※携帯電話に登録されていた水族館以外の施設は後の書き手に任せます
したらばより
61 ◆IvIoGk3xD6 [sage] 2008/08/08(金) 00:37:42 ID:ipDS3X9Y0
さるさん規制に引っ掛かったのでこちらで投下終了宣言しておきます
問題点がありましたらお知らせ下さい
タイトルは鋼パートが、電話が鳴ってすぐにでる〜狂気の鋼毅
浜野パートが、匿名リサーチ
でお願いします
投下乙
だがパート毎にタイトルを変える必要はあるのか?
大して長くないし
>>104-113 投下乙、GJ
浜野の抜け目の無さは流石なんだが、それよりも鋼よ、ちょっとは疑えw
ソネムーは鋼を利用する気満々だけど、
鋼がここまで直進のみの男となると、ソネムーによって鋼も生かされるかもしれんね。
相性悪いしステルスでもあるが、同時に間違いなく互いに足りない物を持ち合わせてもいる。
>>114 確かに大して長くもないし、二つに分ける意味もないですね
タイトルは、鋼のだけでいいです
書き手のわがままで、wikiに収録してくれる人のことを考えてませんでした。すいません
投下乙
鋼をにらみつけた曽根村の顔が目に浮かぶぜwww
しかし朱里やっちまったなw名簿支給されたらアボンだwww
あとタイトルって『電話が鳴ってすぐにでる〜狂気の鋼毅/匿名リサーチ』でいいですか
ぶっちゃけると二つもページ作るのは色々と面倒でして……容量もそんなにありませんし
うお、もう書き込まれていたw
了解しました、そうしときます
投稿乙
勘違いのフラグか
鋼鵜呑みにしててワロタ
問題です
くにおの好物は何パンでしょうか
あー…
邪魔してすまん
間違いだ
四路智美、九条英雄、凡田大介で投稿します。
凡田くんに引っ張られしばらく歩いたところで俺は言わなければならない事を思い出した。
「ところで凡田くん」
「なんでやんす?」
「ちょっと支給品を調べさせてくれないか?
実はしばらく何も食べて無くてさ
食べ物が無いかと思ってね
…それにさっき見つけた女性の死体を埋葬したいから何か使える物が無いか調べたい
それと武器が無いかも調べたいしね」
もっと早くに会って入れば救えたかもしれない命。
あの時何も出来なかった俺はせめて死んだ後くらいはなんとかしてやりたいと思っていた。
「ええええ!
女性の死体って!
一体誰が殺ったんでやんすか!」
「…それはわからない
だけど近くに殺し合いに乗った人間が居ることは確かだ
…もっと早く言っておくべきだったな」
彼女の死因となったと思われる傷。
アレは明らかに銃による物だった。
俺達も死なない様に気を付けなければならない。
「…そう言えばオイラも支給品の確認をしてなかったでやんすね
何か有るかもしれないでやんす」
九条と凡田のデイパックの中には食料品、コンパス、地図、紙と鉛筆、時計、ランタンと黒い板が入っていた。
「おお助かった!食料品だ!食べるぞ!」
腹が減っては戦は出来ぬ
食べ物が入っているのは有り難かった。
「ちょっと待つでやんす!
他にも何か入ってるみたいでやんすよ
まずそれを確認するのが先でやんす!」
「…ああ…そうだな
じゃあさっさと確認しよう」
…とりあえず同意はしておいたが我慢出来そうに無い。
………こっそり食べるか。
「まずは九条くんの支給品から調べるでやんす」
九条に支給されていたのはスタングレネードと拳銃とロケット弾だった。
「おお!凄いでやんす!」
「そうだな」
(ぱくぱく)
これはけっこう美味いな
「次はオイラの支給品を確認するでやんすよ
きっとオイラの支給品は九条くんの支給品より凄い物が入ってるに違いないでやんす!」
「…その自信はどこから来るんだ」
(もぐもぐ)
「ふっ…伊達にオイラはいろいろ集めていないでやんす
そのオイラのプロの勘でやんす!」
凡田の支給品は鍵とお守りとギターだった。
「…九条くんのよりショボいでやんす
…ところで九条くん後ろ向いて何をしてるでやんすか?」
「……なんだい?」
「支給品の確認が先だって言ったのになんで食べてるんでやんすか!」
…バレてしまったか。仕方ないのでちゃんと理由を説明する。
「ああごめんごめん
…我慢出来なくてね
なにしろ5日間何も口にしてなかったからな」
「へ?
…九条くんは一体どんな仕事をしているでやんすか?」
ここでも素直に答える。
「仕事はしてないよ
自由きままな旅人をしているのさ」
「………そうでやんすか」
なんとなく凡田くんの目が冷たい気がした。
「ところでそのギターをちょっと見せてくれないか?」
このギターにはなんとなく見覚えがあった。これは多分…
「いいでやんすよ」
「これは椿の…」
何故彼のギターがここにあるのだろうか…
まさか…参加しているのだろうか
「椿?誰でやんす?」
「ああ知り合いだよ
ギターは俺が使うから凡田くんは代わりにこの拳銃を使ってくれ」
椿のギターならそれなりの耐久力はある。
椿ほど使いこなせないかもしれないがとりあえず持って置くことにした。
「了解でやんす
ところでこれからどうするでやんす?」
俺は少し考えたのちこう答えた。
「そうだな…とりあえず工場に行こうか
支給品に埋葬に使えそうな物はなかったし、工場にならスコップくらい有るかもしれない」
「スコップなら海の家に有るかもしれないでやんす
行くならそっちに行くでやんす」
「工場にならスコップ以外にも武器になる物が有るかもしれないぞ」
「海の家なら九条くんが食べた分の食べ物を補充出来るかもしれないでやんす!
…それになんとなく工場に行くと大変な目に会う気がするでやんす」
「うーん…どうしようか?」
俺達が迷ってるその時だった。
「私が決めてあげようか?」
「誰だ!」
声がした方を振り向くとそこには一人の女性がいた。
「おお!オーナーでやんす!」
どうやら凡田くんの知り合いらしい。
「オーナー?
えーと…凡田くんこの人は?」
「オイラの所属しているプロペラモグラーズのオーナーの四路智美さんでやんす」
所属している?
…おかしいな聞き間違いでもしたのだろうか
「…ちょっと待て
所属しているって凡田くんはもう引退しているんじゃなかったか?それにモグラーズはホッパーズに名前を変えたんじゃなかったか?」
「何を言っているでやんすか?
オイラはまだまだ現役でやんすよ
それにホッパーズってなんでやんすか?
最近出来たのはプロペラモグラーズやんすよ」
…おかしいな記憶違いだったのか?。
「………あれ?そうだったっけ?」
「ニュースとかちゃんと見てるでやんすか?」
「いや…ずっと旅をしてるからあんまり…」
「…そうでやんすか」
…またなんとなく凡田くんの目が冷たい気がした。
「えーと…そろそろ私の話しに入って良いかしら
聞きたい事も有るし」
「あ…ああどうぞ」
そうして彼女は話し始めた。
「先に言われたけど…一応自己紹介しとくわ
あたしの名前は四路智美よ
殺し合いには乗って無いわ
よろしくねお二人さん」
とりあえず俺も挨拶をする。
「よろしく四路さん」
「よろしくでやんす」
「ああ…智美で良いわよ
それで聞きたい事があるんだけどあなた達、三橋一郎って人に会って無い?
…多分会って無いとは思うけど」
三橋一郎…彼女の知り合いだろうか。
「三橋一郎って人には会って無いな
ここに連れられてきて会ったのは凡田くんと智美さんだけだ」
「オイラも二人にしか会って無いでやんす」
「…そう残念ね
ねえ二人共に提案があるんだけど良いかな?」
残念ねと言っていたがあんまり残念そうではなかった。
まるでこの答えがわかっていたように。
とりあえず彼女の提案を聞く事にする。
「提案?なんだい?」
「あたしは殺し合いに乗って無い人を集めようと思ってるの
それであなた達に仲間になって貰いたいのよ」
「ああ喜んで」
「オイラも構わないでやんす」
断る理由も無いので素直に同意する。
「ありがとう
じゃあちょっと頼みがあるんだけど、これからあたしは工場へ行くからあなた達は海の家の方へ行ってくれない?」
仲間になってくれと言った後にいきなり分かれる提案をするのは予想外だった。
「ちょっと待て
一緒に行動しないのか?
一人だと危険だ」
これ以上無駄な犠牲者は出したくなかった。
「あら心配してくれてありがとう
…でもそれだと効率悪いからね
一緒には行くつもりは無いわ」
「だけどすぐ近くに殺し合いに乗った人間がいるかもしれないんだ」
そう下手すればさっき死んだ彼女見たいに…。
「…大丈夫よ
充分気を付けてるから」
「でも…」
「あーもう!
だから大丈夫よ!
なんと言われようと一緒に行くつもりは無いわ」
…どうやら一緒にくる気はまったく無いらしい。
「…わかった
そこまで言うのならついては行かない
だけどこれは持って行って欲しい
凡田くん拳銃を智美さんに渡してくれ」
「えーでもそれだとオイラ達が危険になるでやんす」
「…女性が一人でこの危険な殺し合いの場所を歩くんだ
それくらい渡してあげてくれ」
「…わかったでやんす」
凡田くんは智美さんに銃を渡した。
「ありがとう
…いい銃ね
代わりにこれをあげるわ」
「えーと…なにこれ?」
「さあ?野球人形って言う物らしいわよ
動かせる見たいだしオトリにでも使えるんじゃない?」
「…有効活用させて貰うよ」
正直どう有効活用出来るか思い付かなかったけど。
「それで話しの続きなんだけどあたしとあなた達で出来るだけ多くの参加者を仲間に引き入れて欲しいの
出来れば技術者優先ねあたしは南側の人を集めるからあなた達は北ね
それで仲間にした人達を三回目の放送の後、ホテルPAWAに集めてこの状況をどう打開するか話し会おうと思う
…仲間集めをお願い出来るかしら?」
「ああわかった
手伝おう」
「オイラもガンダーロボの為に頑張るでやんす!」
「ありがとう
それじゃまた後で会いましょうお二人さん」
「ああまた後でホテルで会おう」
そう言って俺と凡田くんは最初の目的地の海の家に向かって歩きだした。
ある程度智美さんとの距離が離れた後、智美さんは大声でこう言った。
「一つだけ忠告しといてあげるわ
さっきこのエリアで十波典明って人が森友子って人を多分殺したから十波典明って人には気を付けておいた方が良いわよ」
「……え?
ちょっと待て何で君がそんな事を知ってるんだ!」
「さあね
今度会った時にでも教えてあげるわ
さようなら九条くんに凡田くん」
「おい!ちゃんと話しを…!」
「…行ってしまったでやんす」
なぜ彼女がそんな事を知っているのか気になったが…仕方ない。
「…まあ今度会った時に聞こう
俺達は海の家の方に行こう」
「了解でやんす!」
俺達は歩き出す。
また会える事を信じて。
【B-6/1日目/黎明】
【九条英雄@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康、正義の味方としての決意
[装備]:ギター
[参戦時期]:維織GOOD後からアルバムまでの間
[道具]:支給品一式、ロケット弾、スタングレネード、野球人形
[思考・状況]
基本:参加者全員を助け出し、亀田を倒す
1:海の家に向かう。
2:仲間を集める。
3:彼女(森友子)を埋葬したい。
4:第三放送前にホテルPAWA行く【B-6/1日目/黎明】
【凡田大介@パワプロクンポケット2】
[状態]:顔面に打撲
[装備]:無し
[参戦時期]:本編終了後
[装備]:お守り
[道具]:支給品一式、鍵
[思考・状況]
基本:ガンダーロボを救出したい
1:海の家に向かう
2:仲間を集める
3:基本人殺しはしたくない
4:九条を信頼
5:第三放送前にホテルPAWAに行く
6:チームメイトにH亀田がいる
【野球人形@パワプロクンポケット5裏】
野球をするために作られた人形。
心技体の玉が入っている。
【スタングレネード@現実】
上手くいけば音と光で相手の意識を少しの失わせる事が出来る。
【ロケット弾@パワプロクンポケット9裏】多くの惑星で買える武器。
威力は高い。
ラブリーチャーミーな敵役とは一切関係無い
【鍵@現実?】
普通の鍵。
ただのハズレアイテムかそれとも…
【お守り@パワプロクンポケットシリーズ】怪我の確率を下げてくれる。
交通事故を防いでくれたりけっこう便利。
【ギター@パワプロクンポケット9】
椿の愛用品。
人を殴っても壊れない耐久力を持っている。
▼ ▼ ▼
九条と凡田の姿が見えなくなった後、四路智美は一人呟く。
「…とりあえずは出だしは順調ね」
そう今の所は計画通りだ。
三橋くんの行動方針が分からないこの状況であたしは安易に殺し合いに乗るのは得策ではないと考えた。
だけど仲間を集めるにしても三橋くんが殺し合いに乗っていたので有ればまったく意味の無い行動になる。
私に支給された物は野球人形と複数のダイナマイトと探知機。
私はこの支給品を使ってどちらも選べる選択をする。
私の立てた計画はまず人を集める。
三橋が殺し合いに乗っていないのなら集めた人達に合流すればいいし、殺し合いに乗っているのなら集合場所に集まった人間をホテルごとダイナマイトで爆破し、一網打尽にしてしまえばいい。
支給品に探知機が有ることで簡単に人を見付けることも出来るから、人を集める過程で三橋くんの情報も集まるだろうから第三放送までには方針が決まるだろう。
探知機を起動して確認出来た人間四人のうち一人はすぐに殺されてしまったのが多少残念だったが、殺し合いに乗っていない二人が殺されなかっただけで良しとしよう。
二人に会った事で予想外の武器も手に入った。
135 :
◆7DOBbsTUNE :2008/08/09(土) 12:07:51 ID:+S+b0XflO
これである程度殺し合いに乗った人間とも話しが出来る。
話しが分かる人間なら仲間に引き入れても良いかもしれない。
…もっとも話しが通じない相手だった場合は三橋くんの安全の為にも始末するしか無いかもしれないが。
…正直言ってこのやり方は良心が痛む。
信頼し力を貸してくれる人間を裏切るかもしれない作戦だからだ。
だけど私は彼を生かす為なら今よりもっと汚くもなろう。
屑にでもなろう。
人から何を言われたって構わない。
私は彼に生きていて欲しいから。
【B-6/1日目/黎明】
【四路智美@パワプロクンポケット3】
[状態]:健康
[装備]:拳銃(ジュニア・コルト)、探知機
[参戦時期] 3智美ルートで主人公の正体が1主人公だと発覚後。
[道具]:支給品一式、ダイナマイト5本
[思考・状況]
基本:二度と三橋くんを死なさない。
1:工場に向かう。
2:しばらく情報集め。
3:人を集めたい。
4:第三放送までにはホテルPAWAに集まる人をどうするか方針を決めたい。
5:亀田の変貌に疑問?
【拳銃(ジュニア・コルト)@現実】
小型の拳銃。
弾が6発入っている。
【ダイナマイト@現実】
高い破壊力をお約束します。
5本支給されている
【探知機@現実?】
自分のいるエリアの全ての参加者の名前と距離を教えてくれる。
自分のいるエリア以外の情報は移動しないと取得不可能。
投稿終了です。
題名は「想い」です。
…本スレが活気が無いのでとりあえず話しのネタ提供。
今までの話しで好きな話しと書き手さんは誰ですか?
投下乙です
とりあえず智美は工場に行っちゃらめぇ
メカ亀田とアカネがいるんだぜ、智美がフルボッコにされちまうよ
個人的には◆JafXqJgmR2さんの『わるいやつら』が好きですね
いい味出してるよ、あやかさんとプレイグが
黒羽根あやか、プレイグ、リンを仮投下をしてきました
仮投下した理由としては
『黒羽根あやかの制限』
『三つ目の探知機』
の二つが問題かな、と思ったからです
>>139 大丈夫、工場にはタケミやたかゆきも向かって…。
あれ? たかゆきってだけで不安要素が増えたぞ?
投下乙です
自分は◆7DOBbsTUNE氏の「名推理?迷推理?オレはただ生き残りたいだけ」が好きです。
考察がロワっぽい勘違いが入り混じってていいです。
>>140 今見てきました。
とりあえず個人的にはどちらも問題ないと思います。
探知機はジョーカーとして亀田が贔屓したとも考えられますし。
さて、投下してもよろしいですかな?
どうぞどうぞ
投下乙!
やっぱり主人公とメガネのコンビはいいわ〜
セリフ回しがぽかったです
そして、智美も恐ろしいこと考えるなwww
>仮投下
自分は問題ないと思いました
感想は本投下の時に
それでは投下いたしやす
それとお二方、投下&仮投下乙です
さらは探っていた。
それは、近くに落ちているノーマル弾と機関銃を拾うチャンス。
レッドと東の言い争いは、互いに主張を譲らず平行線を辿り、それをほるひすと甲子が傍観するような格好となっている。
そのレッドと東は、『熱く』なりすぎてしまったのか、さらの様子に対し何か気付いたような素振りは見せていない。
◆ ◆ ◆
赤い人と、私を『馬鹿にした』男の人。
二人は言い争いに気を取られて、こちらへの関心が薄くなっている。
仲が悪いんでしょうか?
それはそうですよね、こんな場所でいきなり出会ったような人なんか、信用できるわけ無いですよね。
実の家族だって、信用なんか出来るはずも無いのに。
でも、今の私には好都合。
まだ、あと少し、もう少しだけ離れてくれれば、銃と変な弾を拾いに行ける。
銃で撃ってさえしまえば、何もかも関係ないのだから……。
◆ ◆ ◆
「だから説明しろと言っているんだ。
あの女をどうして仲間と同列にして扱わなければならない?」
互いに主張を譲らぬまま、議論はヒートアップしていた。
自分の意見を聞き入れようとしない東に対し、レッドはいらつきを隠せなくなってきていた。
「だからと言って人の命を軽く扱っていい訳は無いだろう。
彼女だって僕らと同じ様に、望みもしないのに亀田に連れて来られたんだ。
ここで武器だけ取り上げておいて、そのまま置いて行く訳にはいかないだろ?」
「危険分子は処分するべきだ。
俺は仲間の身を危険に晒したくはない」
「レッド、お前にとって仲間って何なんだ?
仲間は守るべきもので、それ以外は手を差し伸べる必要はないとでもいうのか?」
「そうだ、仲間は守ってやらなければならない。
だがこの女のような危険な存在は、こちらに害をなさないように、殺すか徹底的に戦力を奪い取るべきだと言っている」
守ってやらなければならない、その言葉が東の中の何かのスイッチを押してしまった。
何だそれは? それではまるで義務感からそうしているようではないか。
「守ってやらなければならない?
お前は仲間だからって仕方なく守ってやるって言いたいのか?
そんな考えで助けられたくはないな」
この言葉で、レッドの苛々も頂点に達した。
そして次の瞬間───レッドは東の顔面に拳を向けていた。
◆ ◆ ◆
赤い人が男の人に手を出した。
周りに居たおかしなぬいぐるみと十波君に似ている男の人も、驚いたのかその場に駆け寄っている。
私なんかどうでもよくなったのかな?
でもそれはむしろ好都合。
この場に居る全員の注目があの二人に集まっている、アレを取りに行くのは今しかない。
私の足は勝手に走り出していた。
◆ ◆ ◆
東はレッドの攻撃に気付くやいなや、当然のように避けようとする。
しかしレッドの腕はそれ以上に早く、東に出来たのは直撃を避けることだけだった。
レッドの拳が東の頬を掠ったのを見て、甲子は二人のもとに仲裁に入ろうとする。
それをほるひすが追いかけるような格好となり、4人の注目がさらから完全に離れた。
「……悪い東、今の行動は軽率だった。
謝らせてもらう」
「こちらの方こそ軽率な発言をして済まなかった」
憮然としたまま沈黙する二人。
甲子はそんな二人に何か声をかけようとしたが、上手い言葉が見つからない。
それでも頭の中で必死に言葉を整理して、ようやく声を発せようという所で、彼の言葉は遮られる。
とても物騒な音で。
◆ ◆ ◆
作戦は成功だった、作戦と言えるほど大それたものじゃなかったけど。
私への注目が離れるときを見計らい、最短距離で変な弾と、機関銃を拾い上げる。
ただそれだけ。
先に拾った変な弾はこっそりポケットに入れておいて、後から拾う機関銃で皆撃ってしまえばいい。
私の作戦は完璧だった。
ただ一つ、自分でも気付けなかった誤算。
自分のような普通の女子高生が、機関銃を上手く扱える訳が無いという事を除いては。
◆ ◆ ◆
ババババババババッ───
深夜の草むらに銃声が響き渡る。
レッドはしまったという顔で銃声の方向に振り返るが、すぐに平静を取り戻す。
さらの銃口は明らかに下に傾いていた。
気持ちが昂りすぎていたのか狙いも滅茶苦茶で、若干距離があった事も幸いし、彼らに素直に銃弾が飛んでくる事は無かった。
しばらくしてその銃弾も尽き、彼女は銃を持ったままへたり込んでしまう。
「東……」
「分かった。
俺の見込みが甘かった。
もう彼女の件に関してはレッド、お前に任せるよ」
東は悔しそうな表情で、レッドに全てを委ねた。
それを聞き入れたレッドは、心底嬉しそうに笑顔を見せている。
「そうか、分かってくれたか東よ。
俺は嬉しいぞ。
なら一度だけでは飽き足らず、二度も俺達の命を狙ってきたあの女は、もう生かしてはおけない。
だが、お前らの手を汚れさせるつもりはない。
俺がこのリボンで絞め殺してくるぞ」
東は何も言わない。
人の命を救う事が出来なかったという無念と、そんな自分の情けなさに失望した気持ちとが入れ混ざっている。
そんな東の様子を予想していたかのように、レッドは躊躇なくさらの下に向かおうとする。
その時──
「待ってくれレッド!」
◆ ◆ ◆
甲子園児は葛藤していた。
一緒に行動してきた仲間達に、さらの命を奪う事を止める者は居ないようだ。
確かに何をされるか分からない。
自分の命も狙われた。
だけど、それはある意味仕方ないのかもしれない。
こんな殺し合いに連れて来られたら、精神をまともに保つ事が出来なくなるのも仕方ないのかもしれない。
彼女は女の子だ、女の子にこんな酷な事をさせる亀田は絶対に悪だ。
だけど、この女の子は果たして悪なのか?
冷静さを失っているだけで、根はきっといい子なはずだ。
東さんの名簿を見ても、悪い子にはとても見えない。
だからこそ……俺が救ってあげなきゃいけない。
そんな気がするんだ。
ここで彼女を殺させちゃいけない。
みんなで笑って帰るために──
◆ ◆ ◆
「なんだ甲子?
奴の最期に伝えたいことでもあるのか?」
「最期? いいや違うな。
俺が彼女を説得してくる、彼女を死なせはさせない」
「なっ、正気か甲子!?
あんな危険な女を説得するなど、命が惜しくないのか!」
「いや、彼女の機関銃はもう弾切れだろ?
なら大丈夫だ」
甲子はハッキリと言い切る。
レッドは少し考えた後、
「説得? なら俺が行く。
お前では何かあったときに危険から自力で身を守れないだろう?」
「いーや、レッドじゃ駄目だ。
レッドじゃ彼女が怯えて話を聞けなくなる。
あと、東さんでも駄目だ。
彼女はさっきの名簿のことで、東さんを拒絶してる。
これは俺じゃないと駄目なんだ」
東はやっぱり何も言わない。
レッドは甲子の言葉を聞いて、頭を抱え込む。
「だが俺達はこんな所で立ち止まってる場合じゃないんだ。
俺達には行かなきゃ行けない場所と、目的があるだろう?」
「それなら問題ない、行くのは俺一人だ。
亀田は朝の6時に放送を行うって言ってたよな?
それまでに商店街の入り口の辺りにある、消防署で落ち合うって事でどうだ?
レッドや東さんやほるひすに迷惑はかけないから」
「……そうか、そこまで言うなら仕方ない。
約束は絶対だ。6時、絶対にその時間に消防署に来るんだな。
行くぞ東」
そう言うとレッドは即座に歩き出す。
東は甲子の方を一瞬振り向いたものの、すぐにレッドの後を追っていった。
◆ ◆ ◆
失敗してしまった。
銃を持って子供みたいに喜びすぎてしまったのだろうか。
結局ただ振り回しただけで銃弾は切れてしまった。
自分で自分が情けなくなる。
これで終わりだ。
私はこのまま殺される。
もしかしたら、とてつもなく惨い殺され方をするかもしれない。
でも自業自得なのだ。
私にはもう拒むことなんて出来ない。
そういう運命だったんだ。
今まで人を拒み続けてきた、そういう日々の積み重ねが今の結果を招いたのだろう。
赤い人と、それと言い争っていた人は居なくなってしまった。
てっきり赤い人が殺しに来ると思っていたから、ちょっと意外だった。
私が最初に銃を向けた彼──名前は甲子君と言ったかな──、彼は赤い人達にはついて行かずに残っている。
そうか、彼は私に命を狙われたんだ、彼自身が『落とし前』を付けるって事なのかな。
そうだ、彼だって怒ってないはずが無い。
私に殺されていたかもしれないのだから。
ああ、私の人生はこんなものだったのか。
本当にちっぽけで、最期まで独り相撲で、自分が殺そうとした相手に殺される。
悲しみを通り越して笑いまで出てきそうなくらいだ。
ああ、甲子君が近づいてくる。
私は全ての覚悟を決めて、瞳を閉じた。
◆ ◆ ◆
東さんは何も言わなかったな。
レッドは怒ってたかな?
ははっ、そりゃいきなり単独行動をするなんて行ったら怒るよな。
でも俺の行動は間違ってなんかないんだ。
さて、まず最初に何て言おうかな。
初めまして、なんか違うな。
まずは名前を名乗ってみる?
とんとんとん、いや、意味分からないから。
って、えっ、誰かいる?
後ろを向いてみると、ほるひすが俺の肩を叩いていた。
レッドと東さんが居なくなった時点で、もうこの場には俺と芳槻さんしかいないと思っていたので、正直ビックリした。
こんなことに驚いてしまったのは何か格好悪い気がしたので、何事も無かったかのようにほるひすに率直な疑問をぶつけてみる。
「なんだほるひす、まだ居たのか。
いったいどうしたんだ?」
するとほるひすはおもむろにデイパックを漁りだし、何かを取り出してこっちに向けてくる。
「かくせいきだよ。
こえをさけべるけどひともなぐれるよ」
人も殴れる、か。
そういえば自分は支給品を全部は確認してないから、どれが武器になるとかは分からないんだった。
確かに拡声器は重さもそれなりにあるから、いざとなったら武器にはなるかもしれない。
でも、本当はこれを使いたくは無いんだけどなぁ。
「ありがたくもらっておくよ。
ありがとう、ほるひ……ってあれ?」
ほるひすに礼を言おうとしたら、もうほるひすの姿は無かった。
足速いんだなー、とかどうでもいいことに関心してみる。
うん、もう逃げてなんかいられない。
俺は覚悟を決めて、座り込んだままの彼女の元に近寄っていく。
これは俺の戦いだ。
今の俺に出来る事を精一杯やってやるだけさ。
「俺は甲子園児といいます、改めて初めまして、芳槻さん。
俺の話を聞いてくれませんか?」
支援
【C-04/道/一日目/黎明】
【レッド@パワプロクンポケット7表】
[状態]:ヒーローとしての苦悩、東に対し若干の苛立ち
[参戦時期]:ガンダーロボ戦後
[装備]:なし
[道具]:ナオのリボン、支給品一式、超人ライダーボトルキャップ、ゴーカート
[思考・状況]
1:朝6時に消防署で甲子と合流する。
2:商店街へ向かう、東との話し合いは保留。
3:レッドとして反省し、ブラウンの分も悪を倒す。
4:甲子、東、ほるひすと協力する……必要はあるのか?
【東優@パワプロクンポケット7表】
[状態]:頬に小さな傷、甲子がやや心配
[参戦時期]:ヒーロー戦後
[装備]:なし
[道具]:詳細名簿、支給品一式、
[思考・状況]
1:朝6時に消防署で甲子と合流する。
2:商店街へ向かう、レッドとの話し合いは保留。
3:レッド、甲子、ほるひす、さらと協力、ゲームを打開する。
4:甲子を信じる。
【ほるひす@パワプロクンポケット6表】
[状態]:けんこー
[装備]:なし
[参戦時期]:パワーアップ後
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2個
[思考・状況]
1:さんにんといっしょにきょうりょく、げーむをだかいする。
2:しょうぼうしょへむかう。
3:???
【超人ライダーボトルキャップ@パワプロクンポケット8】
変身ヒーロー「超人ライダー」の初期作品のボトルキャップ。
凡田博物館に展示されている。
【ゴーカート@パワプロクンポケット7表】
ミニゲーム「くるまでパァーン!」のゴーカート。
普通のゴーカートより速く走ることが出来る、作ったのは黒野鉄斎。
彼なら工具があれば更に改造できるかも……。
【詳細名簿】
東の支給品。
参加者全員の顔と名前、所属(学校や野球チーム名など)が書いてある。
亀田主観の一言コメントも添えられている模様。
これ以上の詳細は以降の書き手にお任せします。
【ナオのリボン@パワプロクンポケット10】
東の支給品。
さらとナオとで半分ずつ持っているリボンの内ナオが所有している方。
あまり長くないので手首の拘束ぐらいにしか使えないと思われる。
【C-04/草むら/一日目/黎明】
【甲子園児@パワポケ甲子園】
[状態]:健康、さら及び銃器に対する恐怖(弱)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水一本消費)、拡声器、不明支給品0〜2
[思考・状況]
1:6時までにさらを説得し、消防署へ向かう。
2:もしも説得できなかったなら……
3:レッド、東、ほるひすと協力、ゲームを打開する。
[備考]
※ 声がどことなく十波に似ているようです。
※ さらがノーマル弾を拾ったことに気付いていません。
【芳槻さら@パワプロクンポケット10】
[状態]:左頬・右目周辺に痣、顔面を中心に激痛、鼻血(ほぼ止まっている)、足に痛み(中)、精神的疲労(大)、甲子に殺される覚悟
[装備]:機関銃(残弾0)
[道具]:支給品一式、ノーマル弾
[思考・状況]
1:死にたく『なかった』なぁ……。
2:甲子君の話を聞いてみる?
3:十波君のことは信じられる?
[備考]
※ 前話でレッドが紛失したノーマル弾が、さらからやや離れた茂みに落ちています。
※ さらの機関銃が甲子からやや離れた所に落ちています。
【ノーマル弾@パワプロクンポケット8表】
ミニゲーム「くるくるバキューン」の武器です。
殺傷力等は以降の書き手に任せます。
【機関銃@パワプロクンポケット10裏】
リンやウタノが使っていた機関銃。
それなりに連射はきく。
投下終了です。
もし、過去話とかと矛盾とかがあったら教えてください
時間は黎明で間違いないです、はい
拡声器の呪いがwwww
甲子逃げてー><
投下乙です
ヘルガと珠子の話投下しようとしてたら寝落ちしたぁぁぁぁぁ!!orz
期限切れてますけどこれって投下して大丈夫でしょうか。
やっぱダメですかね…。
>>159 投下乙です
甲子さんいくらフラグ立ててるんですかw死にたいのwww
>>161 全然OKだと思いますよ
寝落ちならしょうがないと言うのもあると俺は思います
仕方ないとは思いますが、一言謝罪するのが筋では?
>>163 すいません、焦って一番最初にやるべきことを忘れてしまいました
この場を借りて寝落ちという形で期限を破ってしまったことを謝罪したいと思います
申し訳ありませんでした
とりあえず
>>162さんの言葉に甘えさせてもらい投下いたします。
「――っはあ! はぁ、はぁ……」
ピエロから逃れるためという名目で越後に川へと突き落とされ溺れかけたヘルガだったが、なんとか自力で陸に上がることに成功していた。
川から上がったばかりでびしょ濡れの体を引き摺るようにしながら、彼女は川から少し離れた草むらの影へと移動するとそこに横たわった。
乱れた息を整えながらヘルガは周囲の状況を確認する。
一応流されているときから陸の様子を伺い人のいない場所を狙って上がったので、周りに人影は一切ない。
もし人が来ても、伸びきった草がヘルガの姿をすっぽりと隠している。余程近くに来られない限りは見つかる心配も無いだろう。
改めてそれを確認すると、彼女は少しだけ警戒を解いて目を閉じた。
(まずは体力の回復だ。その後にどこかでこの服も乾かさねば……)
濡れたままの服なぞ着ていては寒さで行動力が鈍るどころか風邪をひく恐れもある。
だが外で火など焚いては煙が昇り自分の場所を知らせることになる。しかも先ほどわけのわからないピエロに襲われたばかりだ。あのピエロが追ってきていないとも限らない。
ひとまずはどこか建物の中に移動しなければならない。その中で着替えか何か物を乾かす道具でも見つかれば御の字だ。
見つからなくても物を干して乾かすまでの間隠れることもできる。
しばらくして息もだいぶ整い体力も回復してきたところでヘルガは顔を上げた。周囲への警戒を再開し、人の気配がないのを確認して起き上がる。
来ていた上着を脱いで少し水を絞ってデイパックの中へと詰め込む。水を吸い込んだ服というのは結構重いものだ。着たまま移動もできるがあまりしたくはない。
次に両手を使い髪から丁寧に水を絞っていく。
(こういう時はやはり邪魔だな……)
髪も服と同じで水が吸い込んだままだと重いし、何より顔や体に張り付いて鬱陶しいうえに視界まで奪う。
しかもヘルガの髪は腰まで届くほど長い。人一倍その鬱陶しさは増すことだろう。
(だが今そんなことを言っても仕方がない。それよりも――)
髪から水気を取りながら建物を探すべく遠くを見渡し始める。
すると都合のいいことに少し離れたところに建物が見えた
(あれは……大きいな。何かの施設か?)
しばらく考え込んだヘルガはおもむろにデイパックの中から地図を取り出した。
重要そうな施設はご丁寧に地図に場所と名前が書かれているのを思い出したからだ。
地図とコンパスを使い、先ほどの場所と今いる地形から自分のいる地点を割り出す。川の近くということもあり、あまり時間をかけることなく自分がG-4の地点にいるのだと確認できた。
となればあそこに見える施設というのも大体検討がつく。
(野球場か。つくづく野球に縁があるものだ)
野球と自分に何か因果めいたものを感じてヘルガは苦笑する。そして先ほどの越後のことを思い出す。
会ったばかりの自分を助けるために命を捨てた馬鹿を。
(もし奴が生きているなら、あそこに行くだろうか)
別にヘルガは越後が生きていて野球場に行けば再会できるとは考えていない。十中八九、越後はあのピエロに殺されているだろう。
だが少しだけ、もしもの可能性を考えてしまった。越後が生きていて野球場に訪れるという可能性を。
その考えにまたも苦笑を漏らしながら、彼女は野球場へと歩を進めていった。
* * *
一方野球場の中には既に先客がいた。
(野球場か。懐かしいな)
先客――埼川珠子は思い出に浸りつつスタンドから球場内に降り立とうとしたが、着地の際にグラリ視界が歪むとバランスを崩して体が傾いた。
転びこそしなかったものの、胸を抑えながら苦しそうに喘ぐその姿は健康であるとは決して言えないものだった。
(やはり傷が塞がるまでは無理はできないか)
壁に寄りかかりつつも自分の服を切り裂いて作った包帯の巻いてある胸を見やる。
咄嗟に攻撃を急所から外し、且つ綺麗に胸を貫かれたのが救いだった。肺や心臓といった内臓器官に異常はないらしく比較的軽傷で済んだほうだ。
だが、いくらなんでも最低限の止血くらいしかできない状況では動きに支障が出るというものだ。
現に包帯には早くも血が滲み始めている。先の立ち眩みも血が足りなくなってきた証拠だ。あまり激しく動くことはできそうにない。
地図で野球場を見つけてからここを目的地にしたはいいが。これなら途中の学校で身を潜めて体力の回復を待ったほうが良かったかも知れないと珠子は後悔し始めた。
しばらく貧血が収まるまでその場いようと座り込む。そこでふとバッターボックスが目に入った。
思い出すのは――年の割には落ち着きがなくて、馬鹿で、それでいて野球に対してはひたすら真面目な男。
(あいつは今も野球を続けているのだろうか)
彼女が最後に男の活躍を見たのは日本一決定戦。因縁の対決と世間でも言われた小杉との試合だ。
2アウトランナー満塁サヨナラの場面。あの男は見事に小杉を打ち崩して逆転サヨナラホームランを叩き出した。
万年2軍止まりのお荷物選手と呼ばれたあいつが、まるで別人にでもなったかのように活躍し始めスランプに陥っていたとはいえあの小杉を打ち崩したのだ。
その姿は私に一筋の勇気を与えてくれた。
(帰らなければな。あの男の元へ、必ず)
いつの間にか閉じていた目を開き、生き残る決意を新たに歩き出そうとした矢先であった。
「動くなそこの女。不用意に動けばその胸に新たに傷をつけることになるぞ」
珠子はビクりと声のしたほうを見る。そこには銃を構えた金髪の女――ヘルガが立っていた。
「一つ尋ねる。お前はこのゲームに乗っているか?」
膠着状態がしばらく続き、先に口を開いたのはヘルガだった。珠子はその問いに対してただ首を横に振る。
それを見てヘルガはゆっくりと銃口を降ろした。
「そうか。ならばもう一つ聞きたいことがある」
ヘルガはモデルガンを捨てて敵意の無いことをアピールしつつ、言葉を続けた。
「私に協力してくれないだろうか。このゲームに生き残るために」
* * *
ヘルガの協力の申し出を珠子は受け、二人は選手の控え室でお互いが詳しい自分の状況を話しあうことにした。
「まずは自己紹介させてもらおう。私の名はヘルガだ」
名乗りながらヘルガは珠子と向かい合う形でベンチへと座る。
「埼川珠子だ。一応占い師をしている」
珠子は名乗りながら右手を差し出し握手を求める。ヘルガは少し戸惑いながらもその手を取り握手を交わした
握手を終えると珠子は自分が亀田と話をするため仲間を集めるために動いていること、そしてゲームが始まってからのことを話し始める。
対してヘルガは珠子の話している間、どう自分の状況を説明しようか少し悩んでいた。
ヘルガは未だ自分の方針というものを決めていない。ならばなぜ珠子と同盟を結ぼうとしているか。単純な話、どちらのスタンスを選ぶにしろ協力しておくほうが無難だと判断したからだ。
何せヘルガの支給品はモデルガンとらっきょう一瓶。武器と呼べる(かどうかも怪しいが)ものはモデルガンだけの現状では方針を決めていたとしても協力するしかない。
だからここは珠子とと同盟を結んでおこう思った。信頼を得られれば武器も得られる。
ただそれを正直に話せるわけもなく、珠子の話しが終わるまでの間どう説明するか考えねばならなかった。
「とまぁそんな感じでここで休んでいたわけだが……どうかしたか?」
「いや、なんでもない」
珠子の話が終わりヘルガが状況を説明する番になる。
ヘルガは考えた結果、自分のスタンスだけを省き残りは全て正直に話すことにした。
越後との出会いから川へと逃げるはめになったことを多少省きながら珠子に話す。
それを全て聞き終えた珠子は、仲間と別れてしまったヘルガになんと言っていいかわからずに「大変だったな」としか言えなかった。
そんな珠子の様子を見て、ヘルガのほうは逆に申し訳なくなってしまう。
「気にするな。その男とはたった数十分程度の付き合いだ」
気にしていないと言えば嘘になる。越後の命がけの行動はヘルガの心に強く焼きついたのも事実だ。
だがそれでも付き合いの浅い男に対して涙を流したりするほど、ヘルガは甘くも無ければお人よしでもなかった。
「……ハックション!」
くしゃみと同時にヘルガは寒気を覚える。そしてここには服を乾かすために来たということに気づいた。
「川を泳いできたのだろう、せめて上着は脱いだらどうだ」
珠子の言葉を受け、頷きながらヘルガは上着を脱いで自分の横のベンチに掛ける。
選手の控え室ということからかタオルも常備されており、ヘルガは服の変わりにそれを羽織ることにした。
珠子もタオルをナイフで裂くと包帯の換えとして胸に巻き始める。
「そうだ。一ついいか」
「んっ、なんだ?」
ナイフを扱う珠子の姿を見て思い出したようにヘルガは言った。
「さっきも言ったがこいつは飾りでな。そのナイフを護身用として貰いたい、構わないか?」
武器の不足しているヘルガにとってナイフだけでも十分ありがたい戦力だ。故になんとしても珠子から譲ってほしかった。
珠子は少しだけ悩んだが、割とあっさりとナイフを手渡した。
「自分で頼んでおいてなんだが、いいのか?」
「ああ、仲間としての信頼の証とでも思ってくれ」
ニコリと笑う珠子を見ながら、少しだけ越後のことを思い出す。
あいつといい、ここには容易に他人を信用しすぎる者が多いような気がする。
だがヘルガにとって今はありがたいことなのも確かだった。ヘルガは「すまない」と一言礼を言いながらそれをデイパックへとしまった。
「そう言えば、ヘルガはここに来る前なにをしていたんだ」
その後、互いにベンチに座り向かい合うと雑談をして時間を潰すことにした。
どうせ珠子は怪我の影響で、ヘルガは服が乾くまでは動けないのだ。こうして親交を深めるのも悪くないと思い珠子は話題を振ったのだが――ヘルガにとってはあまり振られたくない話題だった。
「んぁっ、ああそうだな……。軍人だ」
ある島で人間を管理してとある怪しい薬の原料となる草の開発に協力していたなどと言えるはずもなく、少しどもりながらヘルガは無難な答えを返した。
あまり深く聞かれても困る思い、すぐに珠子へと質問を返す。
「そっちはどうだ。占い師と言っていたが」
「占いタマちゃんと呼ばれていた。少しは有名だと思っていたが、知らなかったか?」
しあわせ島にいることが多かったヘルガにとってはそういう話題も疎い。首を横に振り知らないことをアピールする。
「そうか……。まぁ今は閉業しているし無理もないか」
「閉業? 何かあったのか?」
「い、いや別になにもない。ちょっとした一身上の都合でな」
ヘルガの質問に今度は珠子がうろたえる番だった。まさか忍者のことまで説明するわけにもいかないので曖昧に誤魔化す。
互いにそんなことを繰り返していては話題が続かないのも必然だった。
「……動けるようになったらどうする?」
ここに来る前のことで会話が盛り上がらないことを察した珠子は話題を逸らすために今後の方針について訊くことにした。
「何時までもここに留まるわけにもいくまい。動くべきだと私は思う」
仲間を集めるというあら積極的に動いたほうがいい。殺し合いに乗っている者も少なくないことはヘルガも珠子自身もよく理解している。
そういった者よりも先に人を見つけるためにも動けるようになったら動いたほうがいいとヘルガは判断した。
「そうだな。私も賛成だ」
珠子もその意見に異論はない。頷きながら賛成の意をヘルガに伝える。その時、不意に眠気を覚えた珠子は少し欠伸を漏らした。
「眠いのか?」
「ああ。多分、怪我のせいだ」
胸の刺し傷は予想外に珠子の体力を奪っていたようだ。気だるさと眠気がじわじわと広がっていくのを珠子は感じていた。
「寝ておけ。体力を回復してもらわないとこちらが困る」
「……すまない、そうさせてもらう」
少しだけ珠子は無防備に寝てしまっても大丈夫かと思ったが、迷った末にヘルガを信用して眠りにつくことにした。
確かに寝ている間は無防備ではあるが、殺気に気づかないで安穏と寝ていられるほど平和ボケした自覚も無い。
これでも里の忍者に襲われながら生活してきたのだ。いざとなれば体が勝手に覚醒する。それが珠子の考えだった。
「では、何かあったら起こしてくれ」
本当に何かあったら起こしてもらう必要など無いのだが、一応建前でそう言って珠子は眠りについた。
* * *
「……無防備な」
彼女――埼川珠子の寝息を聞いたとき初めにそう思った。人殺しが実際に行われている会場だというのにその自覚が全くないのだろうか。
越後並みに馬鹿なのか、それともどうしようもないくらいにお人好しなのか、それとも……。
「案外こういう状況下に慣れているのかもな」
私と出会う前の話しでもそれなりに腕が立つということは予想できた。
ならばこの一見愚かとも言える行動も彼女にとっては問題は無いのだろう。多分この女は例え私が寝込みを襲って首をナイフで掻き切ろうとしてもやり返すくらいはしてくるはずだ。
あくまで予想だが、そのくらいの実力はあると思っておいていだろう。それが頼もしく思う反面、同時に敵対した際は恐ろしいだろうと感じさせた。
(さて、今後の方針を決めねばな)
勿論それは珠子との行動を指すのではなく私自身の方針。参加者に立ち塞がるか亀田に立ち向かうかをだ。
今の状況だけ見るなら打倒亀田を目指すほうが楽だろう。なぜならまだ一人で動けるほどの武器も無い上に埼川珠子という強力な(まだ実際強さを確認していないが)仲間ができたのだ。
しかし私と彼女だけでは今度はこの首輪の問題が出てくる。これを外す者が居ない限り、まともに亀田と対峙することはほぼ不可能と言ってもいい。
だがもし解体できる人間が居なかったとしたら、居たとしても殺し合いをしている者に見つかり命を落としていたら? そうなったら八方塞がりとなってしまう。
だからと言ってそうなってはどうすることもできない。私には動けるようになったらすぐに行動してしらみつぶしに参加者を探すしか方法がないのだ。
あと懸念すべき問題としては――私たちが亀田を倒してしまうかも知れないということだ。
それだけは避けなくてはいけない。亀田という悪は世界に必要なのだ。その悪を育てるために亀田に立ち向かうというのに逆に倒しては意味がない。
あまりにも亀田に対抗する戦力が強大になるならばその時は私も身の振り方を改めて考える必要があるだろう。
(……こんなところか)
大体の方針が決まると、私はなんとなくベンチに寝そべり天井を見上げる。
このまま自分も寝てしまおうともチラと考えたがこの状況下で見張りもなく寝ることがどれだけ危険なことかわかっている。
それに自分から珠子に寝ることを進めた手前だ。居眠りするわけにもいかない。
天井から窓の方へと視線を移す。空は少しづつ白みがかってきており、もうじき夜が明けることを知らせている。
普段は清々しいと思う朝だったが今の状況ではそんな暢気な感想を言えるわけもなく、私はただ黙って窓の外を見ていることにした。
【G-3/1日目/黎明】
【埼川珠子@パワプロクンポケット5】
[状態]:背中から胸への刺し傷(治療済み)、疲労(中) 、睡眠中
[装備]:日本刀
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田と話しをするために戦力を集める
1:今は眠り体力を回復する
2:起きたらヘルガと共に仲間を集めにいく
3:いざとなれば人殺しもやむを得ない
【G-3/1日目/黎明】
【ヘルガ@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:健康、少し寒い
[装備]:モデルガン、ナイフ、下着の上からタオル
[道具]:ラッキョウ一瓶、支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田という悪を育てるために亀田に立ち向かう
1:服が乾くのと珠子の体力が回復するのを待つ
2:動けるようになったら珠子と共に仲間を集める
3:あまりにも亀田に対抗する戦力が大きくなってきた場合はそれを削る
投下終了です
最後に期限を破ってしまい本当に申し訳ありませんでした
問題点などがありましたら言ってください
投下乙です
ヘルガとタマちゃんとは頼りになる対主催コンビですな
……ヘルガって対主催でいいんだよね?
そう言えばヘルガは長い金髪が濡れていて上半身は下着の上からタオル……
うん、エロイね、所長エロイね
それと丸一日経って特に駄目出しもないので本投下させていただきます
リンはわずかな凹凸を描く草原の中、身を低くして探知機を眺めていた。
エンジン音は聞こえない、探知機もリンの後方には反応を示さない。
ただし、新しく南東から向かってきている反応が一つ。
人数はわからない、この探知機は一人にしか反応を示さないからだ。
一難去ってまた一難。
車で突っ込んできた下手人から逃げ切ったのはいいが、新たな火種が来たようだ。
気配を殺して辺りを窺う。
隠れる場所は岩によって若干の起伏がある程度。
後は崖が遠くに見えるぐらいだが、さすがにあそこに隠れるところがあるとは思えない。
リンは近くにある凹凸の陰に身を隠して近づいてくる人影を待つ。
穴の中から覗き込むように顔を出すと、そこに近づいてきていたのは幼い少女だった。
緑色の髪とつむじから生えた一本の長い髪の毛。
小柄な身体に見慣れない洋装のぶかぶかの服を着ているがそれは間違いなく――。
「茜!?」
ビクリ、とその小さな体が震える。
茜は恐る恐るといった感じで振り返る。
その表情には戸惑いと焦りが見える。
「……」
間違いなく茜だ。
リンの最悪の予想通り、高坂茜はこの殺し合いに参加させられていたのだ。
見る限り怪我もない、襲われる前に見つけることが出来たのは不幸中の幸いだ。
しかし、ここからが問題だ。
この殺し合いからの脱出は非常に厳しい。
首輪はもちろん現在地も把握されている。
この探知機は亀田側にも持っているはずだ、しかもこれよりも何倍も優れた探知機が。
百歩譲って首輪を外せても脱出手段はおろか隠れる手段すらない以上先にあるのは死だ。
ならばいっその事、殺し合いに乗ってしまうか?
もしも八神が上手くやって、『姉』と『恋人』が居なくても生活できるほど強くなっているとするならば。
その時は八神に死んでもらってでも茜を生還させる。
もちろん、それはあまりにも甘い考えだ。
八神が下手を打っていて以前よりも依存している状態なら、それは最悪の結果となる。
だが、今は茜の保護を最優先するべきだ。
リンは少しだけ頬を緩ませて、茜へと近寄る。
「……」
「茜……、っ!?」
近寄ろうとした瞬間、左の草むらから一つの影が飛び出る。
リンは強引な動きで横へと飛んで、その奇襲を回避して懐にある銃で牽制代わりに一発だけ撃つ。
そしてリンは次の瞬間に気付いた、それはとんでもない失敗だと。
「茜!」
「……!」
「動かないでください」
奇襲を仕掛けてきた影の正体は黒いマントを羽織った女だった。
薄い化粧のせいで具体的な年齢は判断しづらい。
若いようにも見えるし、それなりに歳を重ねているようにも見える。
その女は素早い動作で茜の後方を取って、白い首筋に無骨な刀を当てる。
銃弾は肩にわずかに掠ったようだが動くことには何の異常もない。
「お……」
「お静かに」
茜が口を開こうとすると刃を立てて首筋をわずかに斬りつける。
その動作には何の迷いもない。
恐らく茜は交渉のためのものに過ぎない、邪魔になればすぐさま切り捨てるだろう。
最悪の構図、この女は殺すことに何の躊躇いもない。
人質を見捨ててしまえば、目の前の女を殺せるかもしれない。
だがそれは駄目だ、リンの目的は八神と茜の生還なのだから。
「……」
「リン、本名も生年月日も生い立ちも全てが不明の裏の世界に生きる情報屋。
腕前は確かで依頼に見合う報酬さえ支払えばどんな情報でも掴んでくる。
……間違いはありませんね?」
「……ええ、そうよ。どこかでお会いしたかしら?」
リンは目の前の女を見た事もない、こんな威圧感のある女を忘れようもない。
この女の目的が全く読めない。
いずれにせよ、向こうは交渉をするつもりなのだ。
リンがよっぽどのへまをしない限り茜が死ぬことはない。
「私は我威亜党の幹部の黒羽根あやか、いえ、あやか伯爵と申します」
「……!?」
「今回のゲームには皇帝陛下のジョーカーとして参加しておりますので、よろしくお願いします」
「ジョーカー……」
殺し合いにおける現場の管理人かと納得する。
この女は我威亜党の中でも荒事の専門なのだろう、先ほどの動きを見ても納得できる。
「私の仕事は殺し合いを円滑にすること、殺し合いに乗ったものには飴を与えて逆らうものには鞭を振るう。
つまりはそういうことです」
「それで、そのジョーカーが何の用かしら」
ジョーカーと言う事は正確には参加者ではない。
亀田皇帝の見たいものが殺し合いだとするのなら、正式な参加者ではないこの女が直接手を下す可能性は低い。
……絶対に殺さない、というわけではないのが問題なのだが。
「貴女には二つの選択肢があります。
一つは一日が経つまでに私の前に三つの首を持ってくること。
一つは先の条件に逆らって妹さんと早々にゲームから脱落すること。
どちらを選んで頂いても結構ですよ」
「……」
断れるわけがない。
あやかと言う女にとってはどちらでも良いのだ、殺し合いに逆らう人物はいらない。
頷く以外に、生き残る方法はない。
「……いいわ、乗ってあげるわよ」
「それはそれは。こちらとしても大変ありがたいことです。
それでは五回目の放送が始まる頃に……そうですね、役場にでも来てください。
別にそれまでに全員殺して妹さんを含めて最後の二人になっていても構いませんよ?」
リンは話をしながらも茜の様子を窺っていた。
恐怖をみせながらも錯乱せずに強がることが出来るのなら、『家族』への依存は脱したように見える。
……リンも八神も居なくても、生きていけるようだろう。
ならば、かろうじて手に入れることが出来た情報の整理だ。
1、『黒羽根あやか』というジョーカーが存在する。
2、我威亜党の幹部には『皇帝』や『伯爵』といった呼び名がある。
3、優勝するためにジョーカーを殺す必要はない。
……得た情報は僅かだが、最後の情報だけは有益。
あの女と共に居れば茜は安全と言うわけではない、だがそれでも一人よりは何倍もマシだろう。
「ああ、言い忘れていました。
約束の時間に遅れてきた、もしくは三人の首がなかった場合ですが……」
リンがもう少し情報を聞き出すことは出来ないかと口を開こうとすると、あやかの言葉に遮られる。
そして、その言葉が言い終わると同時に大きく、しかし下品ではない程度に口を開いて――。
「なっ……!?」
茜の首に『歯』を立てた。
あやかの白い犬歯が茜の同じく白い首筋に食い込む。
喉を動かせば茜の体が若干波打つ。
茜の動作の一つ一つが確かに物語っている、この女は確かに茜の血を吸っていた。
「…ぅ……」
茜が小さく声を漏らす。
あやかが血を吸うと同時にマントの切れ端か見えていた傷が徐々に塞がっていく。
そのあまりにも現実離れしている姿にリンは思わず声をこぼしてしまう。
「化け物……」
「ふふ、そういうことです。いわゆる『吸血鬼』というものですよ。
安心してください、別に血を吸ったからこの子も吸血鬼やグールになるというわけではないので」
吸血鬼。
ニンニクを嫌い、十字架を嫌い、聖水を嫌い、太陽を嫌い、聖書を嫌い、夜にしか活動が出来ない。
弱点だらけだが、確かな『化け物』だ。
この女は文字通り人間ではなかった。
そして、その女を飼いならす亀田皇帝とは一体何者なのか。
「ノルマをクリアしていない、もしくは遅れてくればこの子の血を一滴残らず平らげさしてもらいますので。
私の経験から言うと辛そうでしたよ、血を吸い取られていった人たちは。
ああ、肉は食べません。私も畜生道には堕ちたくないので」
「……約束は守るわ、その代わり茜を」
「守りますよ、下手な嘘は苦手ですので」
それだけを言うと、今度こそリンはそこを立ち去った。
【G−3/草原/1日目/黎明】
【リン@パワプロクンポケット8】
[参戦時期]:茜の前から姿を消した数年後、EDよりも前
[状態]:健康
[装備]:グロッグ19(12/15)
[道具]:劣化版探知機、支給品一式
[思考・状況]
基本:一先ずノルマの三人殺しはクリアしておく。
1:とりあえずこの場から逃げる
2:情報を集めたい
3:八神と茜は何としてでも生き残らせる
4:探知機が存在するのなら入手しておきたい
5:第五回放送の前に役場へと向かう
◆ ◆ ◆ ◆
「……行ったか?」
「ええ、間違いなく行きましたよ」
緑色の髪とアホ毛が特徴的な小柄な少女はふいーっと大きなため息をついて座り込む。
そして見る見るうちにどぎついチンピラ紛いのピエロへと姿を変えていった。
「さすがは悪の魔道士兄弟、プレイグさんですね。見事な演技でしたよ」
「じゃかあしいわ、ダボ……
マナは集めづらいし、実物は見たことないしで疲れたとか言うレベルやないで……」
制限がかかっているのはあやかだけではない。
プレイグの魔法にも大きく制限がかかっている。
そんな中のぶっつけ本番だと言う事もありプレイグは一杯一杯だった。
あやかはふと視線を落として懐にある『高性能型探知機』を眺める。
彼女のそれほど大きくない手からは少しはみ出すぐらいの大きさだ。
画面には会場全域の地図とその上に置かれてある赤い点。
赤い点は参加者だ、この状態ではどの点がどの参加者かはわからない。
慣れない手つきで機械を弄るとあやかの現在地、G−3をズームにする。
そこには、プレイグ、リン、と二つの名前が書き込まれている。
黒羽根あやか、とは書かれていない。
ジョーカーの特権、万が一これを奪われた際にも有利な展開になるようにしてくれたのだろう。
恐らくこの探知機は首輪に反応しているのだ、つまりあやかの首輪は普通とは違うと言う事だ。
……爆破の機能もない、とは言い切れないのが恐ろしいところだが。
「プレイグさん、少し休みましょうか」
「せやな……休まなやってられへんわ」
結局、あやかが選んだ選択はプレイグと同行すると言う事。
やはり戦闘で有利になるというメリットは大きい。
それでいて、プレイグには『天本玲泉』の情報は伝えない。
理由は一つ、『そっちの方が面白そうだから』だ。
この男が天本威流とそっくりの天本玲泉の死体を見ればどのような反応を示すだろうか?
何の感情も見せずに冷徹を気取るのか、怒りに身を任せてあやかを含めた近くの人間を皆殺しにするのか。
はたまた他の行動を取るのか。
彼女はそれが見たくてたまらなかった。
先ほどのリンも同様だ。
彼女の頭には参加者の詳細が入っている。
それはプレイグの情報もリンの情報も高坂茜の情報も例外ではない。
リンは高坂茜の前から去り、高坂茜はそれが原因で精神が壊れたと聞いている。
だが、そのことをリンは知らない。
出来ることならその時をしっかりとこの目で拝んでおきたいものだ。
「んで、次はどないするんや」
プレイグは座り込んだ状態で目つきの悪い顔を向けてくる。
この男もかなりの腕前だが連戦連勝出来るかというと不安な要素の方が大きい。
ヒーロー、裏組織のエージェント、超能力者、忍者、冒険探偵、アンドロイド、サイボーグ、古代のモンスター。
規格外のオンパレードだ。
二対一の状況に持ち込んでも負けてしまう可能性もある。
ならば、如何にして戦わずに勝つがポイントとなるだろう。
「兵法の極意は戦わずして勝つことでしたか?」
「そや、自分だけやのうて人を動かして初めて金儲けが出来るんや」
最初にマーダーを増やす事を提案したのはプレイグだった。
自分たちはなるべく動かずに他人に参加者の数を減らせようという提案。
あやかとしては楽しければどちらでも良かったのでとりあえず賛成したのだが、これが予想以上に面白い。
人よりも上に立って自身の描いた絵図通りに動くのは思ったよりも快感だ。
しっぺ返しが来るかもしれないが、それはそれ。
危険を冒さなければ楽しみは得られない。
「それよりもやなあ……」
「どうしました?」
プレイグは首をすりすりと擦りながらあやかを睨みつける。
それで、ああ、とあやかは合点がいきにこりと微笑む。
「ええ、少々傷を負ったので。彼女への脅しにもなりますし」
「妙な感じがして変装が解けそうやったわ、このアホ」
よほど疲れているのか、それとも言ったところで効果がないと悟ったのか。
いつもは張り上げている声に張りがない。
結果的にはそれは正解、プレイグの予想通りにあやかは全く反省していない。
変装が解けてもそれはそれで面白かったかもしれないなんて考えていた。
そして、自身にかかった制限も実感していた。
銃ではあやかには傷を与える事は出来ない、それなのに肩にかすり傷を負った。
傷が塞がった後も痛みを感じる、ただ傷口が塞がっただけで痛みまでなくなったわけではない。
もっと大きな傷ならば大量の血でも回復するかどうかわからない。
どうやら彼女にかかっている『制限』は彼女を死なせるに十分値するようだ。
あやかは艶っぽい唇をその白い指で妖しげになぞり、ポツリとつぶやいた。
「……それにしても、やはりと言うべきか不味かったですね」
「じゃっかあしいわこんダボが!」
したらばより転載
73 Masquerade ◆7WJp/yel/Y [sage] 2008/08/10(日) 15:32:25 ID:8XnFuPKA0
【G−3/一日目/黎明】
【黒羽根あやか@パワプロクンポケット7裏】
[参戦時期]:本編終了後
[状態]:健康
[装備]:妖刀ムラマサ@パワプロクンポケット7裏
[道具]:支給品一式、高性能型探知機
[思考・状況]
基本:『殺し合い』を円滑に進めるために動く。方法は問わない。
1:同じような手でマーダーを増やす
2:ゲームに乗っていない人間は殺す、マーダーに出来そうだったらする
3:『名探偵』は、今度こそこの手で………
[備考]
1:参加者全員の顔と詳細情報についての知識を持っています。
2:探知機はあやかに反応しません
【プレイグ@パワプロクンポケット4裏】
[参戦時期]:本編終了後、イルが忍者編の世界へ飛ばされた後
[状態]:疲労、魔力消費
[装備]:ハヅキの杖@パワプロクンポケット4裏
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3(杖は無い)
[思考・状況]
基本:『殺し合い』に乗り、ゲームを優勝を目指す。
1:あやかについては保留。とりあえず今は殺さない。
2:もっとまともな杖が欲しいでホンマ……
[備考]
1:杖がなくとも呪文を唱える事に支障はありません。精神的にほんの少し落ち着かないだけです。
【高性能型探知機@現実】
高性能な探知機、参加者全員の位置がわかる。
ズームにするとそのエリアにいる参加者の名前がわかる。
ただし、『黒羽根あやか』にのみ反応を示さない。
戦国時代・大正時代の人間のあやかが説明を聞いて使える程度には操作は簡単。
74 Masquerade ◆7WJp/yel/Y [sage] 2008/08/10(日) 15:33:01 ID:8XnFuPKA0
最後にさるさんくらいました……
問題点の指摘お願いします
うん、コテ消し忘れたんだ、済まない(´・ω・`)
感想
リン止めてえええええ
ジョーカーにいきなり見つかってしまうとは運がないw
というかジョーカー序盤から仕事し過ぎだろwww
乙!
マーダーコンビが増えてきたなぁ
あやかの情報とプレイグの変身魔法のコンボはテラチートwww
リンもこのまますんなりとはいきそうにないな
乙
よかったです
投稿乙
いい感じに能力発揮してるな
マーダーコンビ…
これからの活躍が楽しみです。
ちょっと遅レスかもしれないが私は◆7WJp/yel/Y氏の「黒野鉄斎の世界征服への道」が好きですね。
水滴がついてないとか細かい所まで良く書いて凄いと思いました。
7やってるんだけど、野球部分が酷すぎね?
全然勝てないんだが
7は三遊間にヒットを打つゲーム
後はしあわせ草バグで主人公がホームラン打ちまくるしかない
1は当たればホームランだったのにな
つーか、味方が一番強くなるのって1だよね?
平山が普通に150km投げたりするんだよなw
1・2ではそういうのは改善されているが
>>188 1・2でも平山はちょっと鍛えりゃ150オーバーは投げてたような
現在地の画像超GJなんだぜ
ということで
>>190のを利用させてもらって文字の地図の方も編集してきたよー
ついでに支給品リストとかも追記してきたよー
支給品リストは何か間違いがあったら、こっそり編集するなりボソっと言ってみるなりしてください><
べ、別にヒマなわけじゃ(ry
ちなみにまだ一回しか出番がない生存者のリストも貼っておくよー
みんな均等に出番があるといいね!
* カネオ
* ピエロ
* メカ亀田
* 灰原
* 野丸太郎
* 芹沢真央
* 青野柴夫
* 高坂茜
* 黒野鉄斎
* 倉見春香
* 八神総八郎
* 大江和那
* 天本玲泉
* 小波走太
* 島岡武雄
* 布具里
* 平山紀之
* 椿
* 七原正大
* 七味東雅
おお!一気に更新されたな。
更新した方たち乙
…しかし工場は激戦区になりそうな感じが
Wi-fiでランニングホームラン達成記念カキコ
保守
予約キタ━━(゚∀゚)━━!!!
一つ質問があるんだがいいかな?
カネオのテレポート能力ってどれくらい制限されてて、どれ位の距離をテレポート出来るとかって決まってなかったよね?
198 :
ゲーム好き名無しさん:2008/08/18(月) 03:25:02 ID:4pw4S04FO
たった今wikiをみてきたがカネオのテレポートについては書かれてなかったな
よっぽど酷くなけりゃ次の書き手任せでいいんじゃね?
>>198,199
遅くなったがレスサンクス
そして人が居たことに安堵した
いつも確認してるぜ
基本的にスレは見てるが…投下が無いと喋る事はあんまり無いからな。
何か話題でも有れば別なんだろうけど。
なら話題を振るぜ
久しぶりにやるやつだと、名前見てorzってなることがあるよな
「うんこ」とか「ザ・ニンジャ」ってなんだよ…
そんなのに限って能力が高かったりするから困る
そうか?
そう言う名前にした事無いからかな。
…裏サクセスやミニゲームを見てつけた名前だと勝手に予想。
「よ〜しあのマンガのキャラでアレンジチーム作るぞ〜!」
数合わせの個人的空気キャラ→ランダムイベントが神がかり能力が高くなる
お気に入りのキャラ→彼女のランダムイベントに振り回され酷い能力
これはよくある
戦争編のランキングもシュールだよな
俺のソフトではラオウがマラリアで死んでたりする
俺未だに戦争編で200週したことないわ
200週に行くまで何人死んだ事か…
良くクリア出来たなと思うね。
流れをぶった切ってすいません
七味東雅、倉見春香、椿、天本玲泉、投下します
かろうじて月の光が差す森の中。
ランタンをつけた状態で周囲を見渡しながら、ゆっくりと進んでいく二人。
一人はユニフォームを着たプロ野球選手、七味 東雅。
もう一人は花丸高校の制服を来た女子高生、倉見 春香。
何時襲撃されるかわからないこの状況に二人は精神が参りかけていた。
七味もランタンをつけるのが危険な事であるのはわかっている。
だが、この真っ暗な山道で光もなく歩く事はいくらなんでも危険すぎる。
ひょっとすると大きな段差があって足を捻るかもしれない、下手をすれば骨折の可能性もある。
七味は辺りに誰もいない可能性にかけたのだ。
慣れない夜の山道と言う事で体力も大幅に削られる。
プロ野球選手の七味はともかく春香にとっては非常に辛い状況だ。
(早くどこかで休まないと……この下に神社があるはずなんだけど)
しかし、そうも言ってられなさそうだ。
目に見えて春香は体力をすり減らしている。
どうするか。
ここで休んでしまうか、それとも神社まで行ってしまうか。
「春香ちゃん。まだ行けるかな?」
少し恥ずかしいが七味は春香を下の名前で呼んでいる。
春香がそう呼んでくれといったのだ。
春香は疲れていた顔を隠すように満面の笑みを浮かべて誤魔化すように答えた。
「大丈夫ですよ! 後十二時間は平気です!」
「はは、そうか。じゃあもうすぐで神社だと思うから頑張って」
励ましあいながら山道を進んでいく二人。
そして、七味はそんな中で疑問に思っていることがあった。
(……どうしてヒーローがあそこに居たんだ?)
ヒーローは消えた。
二年前の八月の最終週に、彼が甲子園を優勝した後の学校での対決を最後に消えてなくなったのだ。
彼はその最期を見届け、花丸高校野球部を除く関係者全ての記憶から彼らは消え去った。
それなのにどうしてヒーローがあのホールに居たのか。
(レッドは言っていた、ヒーローは俺達の強い勝利への願いで生み出されたのだと。
それなら、ヒーローがあの場所に居るのはおかしい。
俺はブラウンが殺される前の時点では強い勝利なんて願っていなかった)
もちろん今は願っている、亀田と名乗ったあの男を許す事は出来ない。
だが、連れてこられた時点では混乱しているだけだった。
ブラウンがあそこに居てはおかしいはずだ。
(……わからない。ヒーローはなんであそこに居たんだ?)
「先輩?」
そこまで考えていると春香に声をかけられる。
少し驚いて、七味は素早く春香の方へと向き直る。
「何かな、春香ちゃん?」
「神社、見えてきましたよ」
「あ、そっか。じゃあ早速入ろうか」
「……どうしたんですか? 少し怖い顔をしてましたけど?」
どうやら顔に出ていたようだ。
七味は目の前の女の子を怯えさせてしまったことに反省する。
「いや、大したことじゃないよ」
「そうですか……でも力になりますから何でも言ってくださいね!」
元気に答える春香に少し励まされた。
二人はゆっくりと鳥居を潜り、本殿には向かわずに入って直ぐにある天蓋付きのベンチへと座る。
それにしても随分と時間がかかってしまったものだ。
春香も落ち着いたのか足を投げ出してくつろいでいる。
「少しここで休憩しよう。太陽が出てくるまでは山道を歩かないほうがいいだろうね」
「はーい、わかりましたー!」
小学生のように元気良く返事をする春香に七味は微笑ましくなる。
しかし、言っておかなければいけないことがある。
「でも春香ちゃん。勝手にデイバックを奪うのは感心できないな」
「うっ……」
「デイバックを二つも持ってたら歩きにくいだろ?」
支援
先ほどの麻酔銃で眠らせた男から春香ちゃんはそのデイバックを奪っていたのだ。
当然の如く隠せるわけもなく、七味は直ぐに気付き持ってあげたのだ。
急に襲われたことを考えると恐怖で武器を奪っておこうと思っても不思議ではない。
「むぅ……だって」
「まあ、怖かったのはわかるよ。
とにかく中に入ってるものをこれに入れといて、余分なデイバックは捨てておくから」
春香ちゃんに向かって自分のデイバックを差し出して言う。
そして、七味はもう一つの支給品、セイラーマンサーベルを持って立ち上がる。
「あれ? 先輩はどうするんですか?」
「ちょっとこの辺りを散策、人がいるかもしれないからね。
一応すぐに戻ってくるつもりだから。
春香ちゃんはここに居て。何かあったらこの麻酔銃を撃つんだよ」
そう言うと七味は本堂へと向かった。
その言葉は半分本当で半分嘘、人を探すという目的もあったが考え事がしたかったのだ。
「あの、先輩!」
「ん?」
「本当に……私のこと覚えていませんか?」
春香ちゃんは上目遣いにこちらを見てくる。
むさ苦しい高校時代を送っていた七味としては嬉しいような照れくさいような勘違いしてしまうような。
どちらかと言えば年下が好みの七味には女子高校生の上目遣いは厳しいものがある。
「う〜ん……花丸高校の生徒なんだろうけど、覚えてないな」
「そうですか……」
恐らく自分を知っているということは春香は三年生なのだろう。
七味が三年だった時に一年なら学校で会っている可能性はある。
だけど七味は全く見覚えがなく、春香ちゃんは俺のことを詳しすぎるほど知っている。
七味の趣味や好きな食べ物、利き腕や家族構成など細かいところまでだ。
さすがにここまで知っていると不気味に感じてくる。
ひょっとすると、ストーカーか何かではないかと疑ってしまう、さすがにそれは自惚れが過ぎると七味も思うが。
しかし、今は深く考えている暇はない。
春香は怪しいが、悪い人物には見えない。
だったら守るべきだ、単純だが七味にか弱い女の子を見捨てるなんて真似は出来ない。
「じゃ、ここから動かないでね」
「はーい」
元気な声を背中で受けて神社を回り始める。
それと同時に考えも七味の頭を回りだす。
――ヒーローのこと、亀田のこと、春香のこと、これからのこと。
ヒーローはこの状況では頼りなる、これは間違いない。
ヒーローはヒーローでなければいけないのだから。
生まれた瞬間からヒーローとして行動する事を強制される、だから人を殺せるわけがない。
悪人なら別、という不安要素もつくがこの上なく頼りになるはずだ。
最大の問題はヒーローが参加しているかどうかがまだよくわからないということだが。
だが、ブラウンだけいて他のヒーローが全くいないということはないだろう。
(……あ、駄目だ。またヒーロー頼みになってるよ、俺)
こんな荒事は七味の住んでいる世界とは別世界のお話だ。
七味の住んでいる世界は決して血と硝煙の臭いが広がる世界なんかとは違う。
だから、殺し合いなんてのは別世界の話。
(だからって、ヒーローに全部を押し付けて逃げる理由にはならないよな)
そう、逃げる理由にはならない。
目の前で人が死んだのだ、一般人である七味にとってこれ以上に重いことはない。
ヒーローがいないのなら自分自身がやらなければいけない。
自分で動かなければ何も変わらない。
七味は心を決める。
決して人を殺さず、亀田なんかには屈しはしないと。
支援
◇ ◆ ◇ ◆
椿は天本と共に山道を歩いていた。
目指す場所は街。
優勝を目指すにしろ、亀田を倒す道を目指すにしろ、人と会わなければいけない。
発電所にこもる事も可能と言えば可能だが、今の状態ではあまりメリットがない。
その理由としてはあんな山奥まで人が来る可能性は少ないということに尽きる。
では、危険ではあるが街まで降りて味方を増やすべきだろう。
ならば合流、そして武装の強化が優先される。
死んでしまっては駄目なのだ、生き残るためには武器、銃で撃たれて死なない人間など居ないのだから。
「嬢ちゃん、足元に気をつけな」
「大丈夫です、山道には慣れていますので」
天本はニコニコとした表情で椿の後ろを歩いている。
椿はこの表情にどこか薄ら寒い印象を抱いていた。
様々な場所を渡り歩いてきた椿は多くの人間を見てきた。
馬鹿なほど他人を信じる人間、いつも獲物を狙っている動物のような人間、笑顔の裏で人を騙す詐欺師。
確信はないが、この少女も最後の部類の人間に似たような匂いを感じる。
いや、少し違うか。
どちらかと言うと笑う以外に自分を守る方法を知らないのだろう。
少なくともこの状況で笑ってられる人間はよっぽどの馬鹿か腹に一物を抱えているかのどちらかだ。
(まあ、いいさ。こっちも利用させてもらうだけだからな)
だが、その手の輩は自分が便利だと教えていれば裏切らない。
利用して利用して、ボロ雑巾のようになってもまだ利用して、持つ事も出来なくなってから捨てるのだ。
そうはさせるものか。
たかだか十代の娘に裏をかかれるほど椿は腑抜けていない。
あの泣き顔まで演技だったとは考えにくい、つまりは心の底から騙しきる気になれていないというところだろう。
いずれにせよお互いの利益が合致しているのだ、そう簡単には裏切らないだろう。
椿はどう見ても柄の悪い浮浪者だ、簡単に信じろといわれても信じないだろう。
天本は害のなさそうな女子高生だが襲われたら手も足も出ない。
お互いがお互いの弱点をカバーしているのだ、そう簡単には切らないだろう。
「……おっと、ストップだ、嬢ちゃん」
「? どうしたんですか椿さん」
天本は突然の静止に小声で理由を訊ねる。
椿の視線の先には一つの灯りを照らして歩く男女の影があった。
一人は体付きのしっかりとした20歳前後の男、一人は天本と似たような年頃の女。
「二人組……ですね」
「……少し妙だな。デイバックを三つも持ってやがる」
「人を襲ったんでしょうか?」
「さあな、俺たちみたいに襲われた相手のをぶん取ったのかもしれないが」
さて、どうする?
話しかけるか、無視をするか、天本に入れ知恵して目の前の男たちを犯罪者と言う情報を流すか。
無難な選択肢は無視をする事だろう。
デメリットも少なく、メリットは襲われることを回避できる。
女連れとは言え100%安全とは限らない、それでも男一人よりは安心できるが。
椿は少し考えた後。
「あの二人の後を追うか」
「はい」
追跡を選んだ。
周囲を警戒して進んでいるのか向こうのスピードは遅い、山道を歩きなれた二人なら追跡は十分可能だ。
追跡のメリットとしては前方から殺し合いに乗った相手に二人が先に会うということ。
そして、敵と会った場合にどのような行動を取るかでスタンスがわかる。
男たちの後を追っていく。
警戒しているのはわかるのだがどうも動きが危なっかしい。
恐らく山道を歩きなれていないのだろう。
気付かれないように距離を測りながらついていく。ランタンの光のお陰で見失う事はまずない。
そして、数十分ほど追跡すると神社の中に入っていった。
「神社、だな」
「ええ、そうですね……」
「どうした嬢ちゃん、いきなり暗い顔になっちまって」
「いえ、実家の神社に良く似ていて……少し思い出してしまったので」
そうか、と椿は答え深くは聞かないことにした。
人には話したくない事もあり、それを聞いてこの穏便な関係を崩すなんて馬鹿な真似はしたくない。
それは置いておいて、ここから先にどうするかだ。
恐らくこの神社に入ったのは休憩のためだろう。
話しかけるか、それとも無視を決め込むか。
【C−2/神社/1日目/黎明】
【倉見春香@パワプロクンポケット7表】
[状態]:健康
[装備]:麻酔銃@現実(一発消費)
[参戦時期]:アルバム「午後のひととき」後
[道具]:支給品一式×3、ランダム支給品2〜6個
[思考]
1:休んで七味の足手まといにならないようにする
2:七味の記憶を取り戻す
【七味東雅@パワプロクンポケット7表】
[状態]:健康
[装備]:セイラーマンサーベル
[参戦時期]:ドラフト指名後プロ入団2年目の時期
[道具]:なし
[思考]
1:春香ちゃんを守る
2:ゲームに乗らない人物を守る、そして一緒に協力する
3:ヒーローがいるなら合流する
4:ひょっとして春香ちゃんってストーカー……いや、ないよな
[備考]
※デイバックは春香に預けています
※ヒーローは参加しているだろうと思っています
【椿@パワプロクンポケット9表】
[状態]健康
[装備]鉈
[道具]支給品一式×2(不明支給品1〜5)
[思考]
基本:生き残るのに手段は選ばない
1:目の前の二人組をどうするかを決める
2:天本を利用してゲームを有利に進める
【天本玲泉@パワプロクンポケット4表】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1〜3)
[思考]
基本:日の出島に帰る
1:人を殺したくない
2:椿についていく
【セイラーマンサーベル@パワプロクンポケット7裏】
水兵みんなの憧れ、一般人にはただのサーベルとしか見えない。
投下終了です
題名は どうして『彼ら』がそこにいた? です
投下乙!
椿かっこいいよ椿
そして春香と七味の奇妙なコンビはどうなるのだろうか
投下乙!
椿がどう動くかで結構変わっていきそうだね
投下乙!
椿がどう行動するか見物ですね。
チーム結成になるのかそれとも…
したらばの方に仮投下してきました。
問題点は向こうに書いてきた通りです。
>>223 見てきました。
個人的にはテレポートはもうちょっと移動距離を制限した方が良いと良いと思いました。
あんまり移動距離が有ると死なない子になってしまうぜ。
デイパックは…支給品が入って無いしOKなのかな?
何で彼処に有るか疑問ですけど。
それと関係無いけど研究所には上川達が居たけど気付かない物なんだろうか…
>>223 自分もテレポートが少し距離があるのとデイバッグが研究所にあるのが引っかかりました
距離がありすぎるとそれこそ追跡不能で殺せなくなりますし
>>224,225
ご意見ありがとうございます。
テレポートの距離に関しては、本投下の際に修正させていただきます。
デイパックの場所についてですが、色々と考えてはあったのですがネタ潰しや先の展開を縛る可能性があるため、
ここでそれを説明するわけにもいかないので、
これも本投下の際に適当な鞄等に変更させていただきます。
上川の件に関しては、研究所の広さと、行動タイミングのズレでどうにかなるかと思いましたが…
そうですか…
まあ研究所はそれなり広いみたいだからね。
修正頑張ってください。
◆NXWWzEezZM氏の本投下に期待保守
……名前欄は忘れて欲しいんだぜ
仮投下スレの修正版を投下します
キャラはカネオ一人だけです
倉見春香と七味東雅が去ってからしばらくして、カネオは目を覚ました。
まず初めに彼は周りを見回してみる。
辺りには誰もいない。
自分のデイパックが無くなっている。
空はまだ暗いまま。
ここは木が生い茂る森の中。
これらの情報から、考えられる自分の状況は──
「む〜〜〜ん、ボクのデイパックがないんだなぁ〜。
許せないんだなぁ〜、おしおきなんだなぁ〜。
きっとあの女が盗ってったんだなぁ〜、許せないんだなぁ〜〜〜」
一度に多くの事を考えるのは無理だったようだ。
その後しばらくして、少しずつ頭が冴えてきたカネオは、ようやく自分の状況を大まかに把握する。
デイパックが無いことが深刻なことであるという事も理解し、当分の間の行動方針を決めた。
「おなかが減ったから、食べ物がありそうな所に行くんだなぁ〜」
と言っても地図が無いので、行くべき場所の見当も付かない。
しかしそんな事もお構いなしで、カネオはふらふらと歩き出した。
◆ ◆ ◆
「む〜ん、ここはどこなんだなぁ〜」
カネオが歩き始めて20分くらい経った頃だろうか、彼はある建物を目の前にして歩みを止めた。
入り口は近くには見当たらない、しかし窓から中の様子が僅かに窺える。
カーテンによってその窓の大部分は遮られているが、その隙間からはベッドのような物が見えた。
この建物が何であるか、適当に歩いて辿り着いただけのカネオには分からない。
それでも、ベッドがあるならばそこに人が居る、もしくは居た可能性は十分にある。
それなら食べられる物の一つや二つくらいは見つかるだろう。
ここまで来れば、建物の前に突っ立っている必要は無い。
「きっとこの中に何か食べ物があるんだなぁ〜。
そうと決まれば早速侵入するんだなぁ〜」
カネオは窓に鍵がかかっているかどうかは確認していない。
だからと言って、窓を割って中に入るという手荒な真似をした訳でもない。
彼の特技───瞬間移動する能力、テレポート───を用いれば、全ては一瞬で済むのだから。
しえーん
テレポートを発動し、二つの地点を一瞬で移動する。
こうして建物への侵入に成功したカネオ。
しかし普段から何気なく行っていたこの一連の動作が、ここに来る前までとは勝手が違う事に気付いた。
「何かがおかしいんだな、いつもより凄く疲れたんだなぁ〜。
瞬間移動がこんなに疲れるものだとは思ってなかったんだなぁ〜。
早く食べ物を探してゆっくりしたいんだなぁ〜」
テレポートへの制限、理屈は分からないものの、それが制限されているという事には勘付いた。
しかし彼はそれ以上発想を広げる事は無かった。
それは彼にとってそれはどうでもいい事だったから、そんな事よりも空腹を凌ぐ事の方がはるかに重要だったからに他ならない。
◆ ◆ ◆
初めにテレポートで辿り着いた部屋は、ベッドが二つ置いてあった。
だが医薬品などは見当たらず、彼にとって特に収穫となるものは何も見つからない。
当然食糧も見当たらなかったので、彼はその部屋に見切りをつけ、他の部屋の探索に向かっていった。
次に彼が辿り着いたのは更衣室であった。
カネオはロッカーを開けて中を調べるという作業を何回か繰り返したが、食糧となるものは見つけられない。
しかし、最後に開けたロッカーで思わぬ発見をする。
「これは便利そうなカバンなんだなぁ〜。
ちょっと拝借していくんだなぁ〜」
それは何の変哲もないリュックサック。
強いて言えば、ポケットの数が多くて市販のものとしては便利というぐらいの代物であった。
彼が中を確認したところ空っぽではあったが、道具を入れられるものが見つかっただけで収穫である。
早速彼はそれを背負って、用が無くなった更衣室を後にしていった。
その後もカネオはしばらく建物の探索を続けた。
しかしいくつかの部屋を調べてはみたものの、食糧どころか役立ちそうな武器などのアイテムすら見つけられない。
それでもあくまでマイペースに探索を続けていた結果、長い廊下の突き当たりにある部屋に辿り着いた。
「なんか凄そうな部屋なんだなぁ〜。
きっとここならいい物が置いてあるんだなぁ〜。
早速中に入るんだなぁ〜」
それまで見た部屋とは明らかに何かが違う、立派な金属の引き戸がそこにあった。
カネオは迷わずそれを引いて中へ進んでいく。
鍵はかかっていなかった。
◆ ◆ ◆
カネオが入っていったのは冷凍室だった。
彼は電気のスイッチを見つけることが出来なかったので、暗い室内にそのまま足を踏み入れていく。
幸運にも入り口から程遠くない場所にあった『食べ物』を、彼はすぐに発見することが出来た。
彼が手に取ったのは、真空パックの袋に入った鳥の手羽先だった。
「む〜ん、これはおいしそうな食べ物なんだなぁ〜。
これは拝借しておくんだなぁ〜」
袋の隅に『名古屋コーチン』と記されているそれを、カネオは先程のリュックサックに放り込む。
そして他にも何か食べられるものがないかと冷凍室の奥へと進もうとしたが、廊下の灯りが届かなくなった辺りで引き返した。
灯りが届かないと見えないというのもあるが何より彼の進む意思を削いだのは、その寒さだった。
「ここは寒いんだなぁ〜、宇宙みたいに寒いんだなぁ〜〜〜」
こんな独り言を吐き出して、彼は冷凍室から退散した。
何かを呟いても誰も聞いていないというのは、少々寂しく感じた。
弟達を探さねばならないか、そんな事を考えてみるものの、食欲に打ち勝つことは出来ないのであったのだが。
「まずはこれを料理しに行く事が第一なんだなぁ〜。
焼くなり煮るなりしないと食べられないんだなぁ〜。
楽しみなんだなぁ〜」
結局収穫は冷凍されたの手羽先一つだけである。
だが彼一人にはそれでも十分であった。
こうなれば彼の当分の間の目標はただ一つ、これを調理して食べることだけ。
調理器具を求めて、彼は再び歩き出した。
パワプロポケット支援ver
◆ ◆ ◆
ここは奇怪な研究所。
そこへ偶然にも侵入してきた宇宙の嫌われ者、スペースコックローチの一人、カネオ。
今まで数多くの宇宙船に侵入し、そして成果をあげてきた。
果たして今回の侵入でも成功を収められるのか。
カネオの研究所探検はまだ続く。
行き着く先に何があろうとも。
【A−3/研究所/1日目/黎明】
【カネオ@パワプロクンポケット9裏】
[状態]:疲労(中)、空腹(中)
[装備]:なし
[道具]:凍った手羽先、リュックサック
[思考]
1:手羽先を食べられる状態に加工して食べる、食べたらどこがでゆっくり休憩する。
2:弟たちを探す。
3:春香に会ったら、『おしおき』をする。
[備考]
※ 参戦時期は9裏主人公の戦艦に最初に乗り込んできた後です。
※ 春香の名前は知りません。また春香の見た目に関する情報も、暗かったために曖昧です。
※ テレポートをすると疲れが溜まる事を認識しました。
テレポートの移動距離に関する制限は認識していません、またテレポートの制限の度合いは以降の書き手にお任せします。
投下終了です。
誤字等ありましたら報告ください
それと、支援してくださった方ありがとうございました
投下乙です。
テレポートはそれくらいならいいでしょう。
建物の前から建物の中くらいならできそうですし。
投下乙です
ふむ、上川&わん子との絡みが楽しみだな
荒井三兄弟独特のうざさを発揮して欲しいぜwww
投稿乙です。
さてカネオがどう動くか楽しみだぜ
スレが寂しいなあ
保守がてらになんか雑談しようぜ!
今日はもう寝るけど
ほす
さて何を話そうか…
とりあえず現時点での期待のキャラは?
東さんには期待してる
いい人すぎて損な役に
真央と走太のコンビだな
俺はああいう異色の組み合わせの対主催が好きなんだ
あとは七原かな
布具里を見捨てて危険対主催になる可能性もあるから続きが気になる
途中送信しちゃった
いい人すぎて損な役になりそうだけど
あとは上川とか
レッドには是非空気を読まず対主催間の仲をギスギスさせてほしいものだと期待している
私はカオスのノリカに期待
…現時点では火だるまだけど、いろいろな意味で活躍してくれそう。
俺は十波の斜め上っぷりに期待
最終的にどこまで突き抜けるか楽しみだぜ
せっかくだから俺はリンに期待するぜ!
大好きな大好きなタマちゃんとヘルガが組んだだけで大満足。
このあとの展開に期待。
至近距離にいるカズと朱里にwktk
さて大体出たし次の話題に入って良いかな?
参加未参加問わずに、パワプロクンポケットシリーズで好きなキャラは。
隊長になら掘られてもいい
ミニゲームでは雑魚でアンドロイドに仲間がいることをうっかり喋っちゃったりとダサいはずなのに
何故か格好いい
今日の夜辺り投下くるかね
期限はまだある、焦る必要はないさ
しかし無差別マーダー二人に危険対主催とはw激戦必死だなwww
260 :
ゲーム好き名無しさん:2008/09/03(水) 13:43:35 ID:RS9VOYWo0
倉刈さんかな
てゆーかモグラーズ全員だな
2は一番やりこんだこともあるが
一番好きだぜ
そんなこともあって二朱には期待している
すまんsage忘れた…
ゴメスor2=3
灰原、青野、メカ亀田投稿します。
「ふ…ふふ…はははははは!」
青野柴夫はで笑う。
殺った!殺った!殺った!
落田はアッサリと死んだ。
もう後戻りは出来ない。
このまま突き進むしかなくなった。
それにしても…
「殺すのって意外と簡単なんだな…
これならイケる…生き残る事が出来る!」
そうこれは仕方の無い事だったんだ。
生き残るにはこれしか無いんだから。
誰だって生きていたいと思う物だ。
誰だってそう思うはずだし俺だってそう思う。
落田だって生きたかったに決まってる。
だから仲間のフリなんかして背後から俺を襲うつもりだったに違いない。
そうでなきゃいけない。
そうでなきゃ認めない!。
だってそうでなきゃ俺は………いや駄目だ考えるな…今は生きる事だけ考えよう。
落田を殺して奪った支給品を確認して強力な武器が無いか調べるんだ。
俺は落田のデイパックを開ける。
始めに中から出てきたのは…サルだった。
「は…?」
何でこんな物が入っているんだ…?
「キキー!」
そうやって俺が呆気に取られているとサルは落田のデイパックを持って逃げやがった。
「な…!こらまて!」
あのサル意外に速い。
必死で追い掛けているのにまったく追い付けない。
それにしてもサルと言い喋るボールといいなんでそんな物を支給するんだ!
当たりの支給品が拳銃とアレで二つ有ったから良かったが…。
たまにこっちを馬鹿にしたような仕草をしてきやがるし…。
ああむかつく…捕まえたら殺してやる。
撃ち殺しても良いが玉がもったいないからと思って撃つのを辞めておいたがいい加減我慢の限界だ。
あと少し…あと少しだけ我慢してやる。
そうやってサルを追い掛けていると前方にサングラスをした男が見えた。
面倒だが殺らなくては。
サルが工場方面に逃げていく。
くそ…早く殺って追い掛けないと。
俺は男に向けて銃を撃った。
これで男は腹に穴を開け落田と同じになる
そう思い勝利を確信した。
だが…腹に穴を開けたのは俺だった。
「な…!」
有り得ない…有り得ない!有り得ない!有り得ない!有り得ない!
有り得ない!有り得ない!有り得ない!有り得ない!有り得ない!
なんでサングラス男が無傷で俺が…!
もう一度…もう一度撃って殺してやる!
「死ね!」
俺はサングラス男に銃を向けたが遅かった。
サングラス男は銃を叩き落とした上に俺を押さえ込んだ。
馬鹿め力には自信が…動かない…!
「いくつか質問と指示を与える
生きたければ従え」
「誰がお前なんかの言うことなんか」
「…状況がわかっていないようだな」
体に激痛が走る…!
こ…こいつ銃の傷口を広げやがる!
「痛い!痛い!やめろ!やめてくれ!」
「これでも私は拷問が得意でね
素直に従えば助けるが抵抗するなら傷をほじって広げてやる」
「わ…わかった従うよ」
く…くそ…とりあえずこの場は…だが絶対に後で殺して…。
「ふむ…では裏切ったらどうなるかその体に教えこんでやろう」
あ…有り得ない…!
や…やめさせなくては…。
「ま…待ってくれ!
俺は…!」
「犬の躾はしっかりとしないと行けないだろう?
死んだ方がマシだと思える体験をさせてやる」
「や…やめろ…やめて…うわぁぁぁ!」
▼ ▼ ▼
メカ亀田が工場に向かう途中で一人の男に出会った。
男の名前は青野柴夫。
殺し合いには乗っていない…らしい。
怪我をしていたがなんでも八神とか男に襲われたらしい。
しかし…怪しい。
何が怪しいかって?
それは青野がなんの躊躇いも無くオイラに話しかけて来たこと。
忌々しい事だがオイラは亀田に似せて造られた。
それ故に内面はオイラの方が優れていると言うのに劣っているオリジナルに間違われる事もある。
ましてやこの殺し合いを開催したのはオリジナル。
この姿を見て多少は警戒するのは当然と言って良いだろう。
だが青野にはそれがなかった。
まるで最初からオイラが殺し合いに乗っていないとわかっているように。
それに八神と言うやつの説明になんとなく違和感を感じた。
まるで誰かに喋らされているような…。
まあいい…
どういう事なのか時間をかけて聞き出せば良い。
とりあえずは手駒が出来た事を喜ぶ事にしよう。
例え後で始末する事になったとしても。
▼ ▼ ▼
もうあんな体験だけはしたくない。
それが俺のサングラス男に受けた拷問の感想だ。
アレをもう一度やられると考えると寒気がする。
初めから…初めから優勝なんて無理だったんだ。
あの男に勝てるはずが無い。
だから俺はサングラスの男に言われた事をする。
殺し合いに乗っていない人間の嘘の情報を流し仲間に入り込みチームを分断し潰し合わせる。
とりあえずサングラスの男に事前に情報を提供されていたメカ亀田に会えた。
殺し合いに乗っていないと伝えたらすんなりと仲間になれた。
流すように言われた嘘を流す。
八神と言う人間に襲われたと。
とりあえず今はこれでいいはず…次にどうするか考えなければ。
あの苦しみをまた受けないためにも。
sien
【B−7/B−8との境界付近/一日目/黎明】
【メカ亀田@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:損傷なし
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:『殺し合い』を失敗させた後に亀田を殺す
1:工場へと向かい、人と遭遇する。
2:青野から情報を引き出す。
3:脱出のために役立ちそうな人間を優先して仲間にする
4:サングラスの男(灰原)に激しい殺意と敵意[備考]
※参加時期は不明
※メカ亀田は灰原の名前は知りません
※自動追尾ミサイルとバリアーは没収されています
※八神が殺し合いに乗っていると言う情報をえました。
※青野をいまいち信用していません。
【青野柴夫@パワプロクンポケット6】
[状態]:腹に銃創(処置済み)、疲労大、サングラスの男(灰原)に恐怖
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、
[思考・状況]
1:メカ亀田と行動する。
2:サングラスの男(灰原)の指示に従う。
3:苦しみたく無い。
[備考]
※参加時期は一応6主人公と落田がしあわせ島から帰って和桐に働き始めた後からです。
※ランダム支給品は灰原に奪われました。
▼ ▼ ▼
「ふむ…とりあえずは上出来だな」
青野が去った後、サングラスの男こと灰原は一人呟く。
青野からは実にいろいろな物を手に入れられた。
拳銃に喋るボールにとぶやつと書かれた小型のロケット。
特に喋るボールは興味深い。
あの大きさでそれなりの人工知能を搭載している。
動力はどうなっているのだろうか。
解体して調べても良かったが設備がそろっていなかったので止めておいたが、これを持ち帰るだけでも価値はあるだろう。
とりあえず今はデイパックの中にしまっておく。
青野もうまく動いてくれれば良いが期待は出来ないだろう。
殺しても良かったのだがメカ亀田を破壊し損ねた以上、やつは勢力拡大を目指すだろう。
正直主催者に反抗する勢力が増えると優勝を目指す上でいろいろ面倒だ。
だからこそ青野のを生かして反抗勢力に紛れ込ませ嘘を流す。
最初に会ったのがメカ亀田以外だったらメカ亀田が殺し合いに乗っていると言う情報と八神が殺し合いに乗っていると言う情報を流す。
メカ亀田に会った場合は八神が殺し合いに乗っていると情報を流す。
他にもいろいろ指示をしておいたがこれだけでも効果があるだろう。
八神がこの殺し合いに参加させられていない場合も有るが最悪の場合を想定しておかなければならない。
正義感が高いやつだから参加しているなら殺し合いを止めに動くだろう。
参加していない場合でも疑われるのは青野。
たいした実害は無い。
白瀬がいるなら殺し合いに乗っているのだろうか。
白瀬がいるなら接触したいところだ。
出来れば私が途中で息耐えた場合に優勝し情報を大神に持ち帰るように指示したい。
プロ意識が高い白瀬なら実行してくれるだろう。
必要なのは生き残る事では無く情報を届ける事に有るのだから。
【Cー7/B−7との境界付近/一日目/黎明】
【灰原@パワプロクンポケット8】
[状態]:健康
[装備]:正宗@パワプロクンポケット7裏、トムプソン(2/4)@パワプロクンポケット7裏
[道具]:支給品一式、ムチ@パワプロクンポケット7裏、ボールオヤジ@パワプロクンポケットダッシュ、とぶやつ@パワプロクンポケット8裏
[思考]
基本:優勝し、亀田の持つ技術を大神へと持ち帰る
1:離れ島へと向かう
2:見敵必殺、ただし相手が複数いる場合など確実に殺せないと判断した時は見逃す
3:白瀬がいるなら指示を与えたい
4:喋るボール(ボールオヤジ)を持ち帰る
[備考]
※参加時期は不明、後続の書き手さんに任せます
※青野にはいまいち期待していません
【ボールオヤジ@パワポケダッシュ】
走太の父親の魂が宿った喋るボール。
ロボットでは無い。
【とぶやつ@パワプロクンポケット8裏】
エリアを一つ移動出来るアイテム。
ここでも1エリア分移動出来る。
一回限りの使い捨てアイテムだが何かエネルギーを供給出来ればまた使えるかもしれない。
【サル@パワプロクンポケット4】
森本と一緒に住んでいるサルの1匹。
悪戯好きのようだ。
落田のデイパック(支給品一式、ランダム支給品0〜2)を持って工場方面に逃走中。
投稿終了です。
題名は
「それぞれの思惑」
です。
投下乙です
銃弾をピッチャー返しにするなんて……隊長、恐ろしい子!
しかし、青野には小物臭とカワイソス臭がプンプンするなw
同行者がメカ亀田で行く先が工場で逃げれても隊長の影に常に怯えることになるとはwww
そしてそこにいたんですね親父ボールw
乙。どう動いても死が近づいてきそうな青野さん頑張れw
あと灰原は基本的に「私」ではなく「俺」じゃなかったっけ。
自分より上の立場の人間なら「私」になるだろうけど。間違ってたらスマン。
確認して来ました。
確かに「私」じゃ無くて「オレ」でした。
収録して頂いた後に直そうと思います。
wki更新乙です
まだ1話しか書かれてないキャラ達をまとめてみた(予約済み除く)
* ピエロ
* 野丸太郎
* 芹沢真央
* 高坂茜
* 黒野鉄斎
* 八神総八郎
* 大江和那
* 小波走太
* 島岡武雄
* 平山紀之
こうして見ると、割と固まってるように思えるなあ。
自分もどこかのプロットを考えてみようかなぁ・・・
そろそろ投下に期待
七原正大、布具里、九条英雄、凡田大介を投下します
七原は少しの間だけ考えた結果、布具里と行動を共にすることに決めた。
布具里が戻ってくるまでの間が手持ち無沙汰でしょうがない。
ならばと浜辺に腰を落としてデイバックの中身を確認しなおす。
水、大量の食料、地図、コンパスなど先ほど確認したものが出てくる。
「……おいおい、まさかあの忍者装束だけなのか?」
今まで我威亜党の邪魔を散々してきたのだから、おかしい話ではない。
おかしい話ではないが困った話ではある。
布具里と出会うことによって防弾チョッキを手に入れることが出来たからいいが、
もしも誰とも出会わなければ忍者装束だけで戦う羽目になっていたのだ。
腕には自信があるものの、さすがに銃を持った相手に無手で勝てるとは思わない。
自身の装備の貧弱さに、はぁ、と小さくため息をついて乱暴にデイバックをひっくり返す。
支給品がバタバタと落ちていく。
ガチャガチャと音を立てて漁っていくと、一つの小さな、煙草の箱ほどの大きさの箱が手に当たる。
小さなもののため、布具里と情報を交換する時には見渡していたのだろう。
しかし、この大きさでは大した武器であると思えない。
火薬が入っていたとしても高が知れているし、箱に入る程度の武器に殺傷力があるとは考えられない。
七原はあまり期待をせずに、その箱の裏を覗き込み。
「うぉ……これは……!!」
先ほどまでの暗い顔を瞬時に明るい表情へと変化させる。
猛スピードでデイバックへとしまい込み、その小さな箱を手に持って海の家へと走っていく。
「親父!」
「おお、いきなりどうした我が息子よ。
まさかその歳になって父ちゃんと遊びたいとでも言うのか?」
既に白い忍者装束に着替え終わっていた布具里が冗談めかして訊ねる。
そんな冗談を右から左へと聞き流して、七原は不気味に笑いながら手元の箱を大きく上に掲げる。
「さあ親父、ギャンブルだギャンブル!
その袋の中に入っているものを賭けて、俺と勝負しやがれ!」
「なに! ギャンブルだと!」
その言葉に布具里の眼は一気に輝いていく。
七原がするつもりのギャンブルは『Pカード』、ある高校で流行った単純なカードゲームである。
箱の中にはPカードの説明書とカードが1セット。
「四人でやるギャンブルらしいけど今回は二人だからな。
ちょうど二等分すればいい感じになるだろ」
説明書を読みながら丸テーブルに座り込む七原。
布具里も顔を輝かせて椅子に座り込んでいく。
「まあいい、そのうちルールも覚えるだろ!」
「いいのか息子よ。こう見えても父はギャンブルには強いんだぞ?」
「は、借金にまみれた男が言うセリフじゃないな!」
「お互い様ってやつだぞ!」
「朝が来るまでに身包み剥いでやるよ!」
駄目人間全開の二人の熱い夜は始まったばかりである。
◇ ◇ ◇ ◇
九条英雄と凡田大介は海の家へと向かって北上していた。
先ほど別れた智美のことが気にはかかっていたが、今は仲間を集めると言うことに集中した方がいい。
智美の判断は正しい、三人で動き回るよりも二手に別れた方が仲間を多く集める事が出来るのは当然だ。
頭もいいように見えたし凡田との会話を聞く限り社会的地位も高いようだ。
危機を乗り切れる何かしらの策がある、智美が一人で動く事を選んだのも理由があるはずだ。
「九条くん」
「……ん? 何だい、凡田くん」
考え事をしていたため若干反応が遅れる。
それに気になる事はもう一つある。
凡田の言った、ドリルモグラーズに所属している、との言葉。
現在はドリルモグラーズという球団は消え失せて大神ホッパーズと名前を変えているはずだ。
そして、旅の途中で小耳に挟んだ情報が正しければ凡田 大介と言う選手はとっくに引退しているはずだ。
もっとも、風来坊ゆえにガセネタを今まで信じ込んでいたと言う可能性もあるが。
あまり世間のことに興味は持っていないかったが、これからはこまめにチェックすることに決めた。
「海の家が近づいてきたでやんすよ」
「ああ、そうだな」
「じゃあ早速……」
「ちょっと待った」
駆け寄ろうとする凡田を諌めて耳を潜める。
ほんの少しではあるが人の声が聞こえる、さすがに内容を聞き取る事は出来ないが。
「人がいる、話し声みたいだから複数だ」
「へえ、幸先がいいでやんすね。早速仲間をゲットでやんすよ」
「……気楽だね、凡田くんは」
しかし、どうするか。
相手が殺し合いに乗っているかどうかわからない状況で攻撃を仕掛けるのは論外だ。
相手がどんなスタンスでいるのかを知らないと行動の取りようがない。
「どうするんでやんすか、九「くっそぉぉ!!」
凡田の問いかけに被せたかの様に叫び声が周囲に響き渡る。
九条と凡田は顔を見合わせ、再び海の家へと目を向けて静かに耳を潜める。
「はは、これで俺の連勝だな親父!」
「ちくしょー! 次だ次だ!」
支援
会話の内容は和気藹々としたものだ。
さすがにこんな場所で大声を出すような人間が殺し合いに乗っているとは考えづらい。
若干抜けている人たちだと判断できるため、仲間にして頼りになるかと聞かれると首を横に振る。
頼りにはならないが、やはり仲間は多いほうがいい。
意を決して海の家への扉を開ける。
「失礼するでやんすよー」
「ん……なっ!?」
しかし、そんな交渉自体は容易だろうと思い扉を開けた瞬間、驚きの声が響き渡る。
海の家の中にいたのは二人。
一人はハンチング帽にサスペンダーの上に羽織っているが特徴的な若い男。
もう一人は顔の骨格が有り得ない形をしている白い服を着た男。
二人は丸テーブルに向かい合って座っていて、そのテーブルにはカードが散らばっている。
よく見るとテーブルの位置は窓からは四角になり、それでいて直ぐに窓から逃げれる場所だ。
何も考えずにゲームに熱中していたのではないようだ。
「湯田くん!?」
ハンチング帽の男が大声で凡田へと呼びかける。
その手には警察が使う拳銃、ニューナンブを握り地味な色のベストを羽織っている。
「……あー、人違いでやんすよ。オイラは凡田でやんす」
「人違い? そんな馬鹿な!?」
男は大きく目を見開いて凡田へと問いかける。
九条はそんな様子を静かに見届けて、この二人が殺し合いに乗っていないだろうという大体のあたりをつける。
二人で動いていると言う事は最後の一人になるまで殺しあうというルールに矛盾している。
もちろん利害の一致で組んでいると言う可能性も高いが、それならあの銃を牽制にも使わないのは不自然だ。
「……少し、話をいいかな?」
「おう、俺たちを殺す前の決め台詞か何かかい?」
「……俺たちは仲間を探しています。
この殺し合いから脱出するための、あの亀田とか言う男を倒すための仲間を」
「へえ、そいつは奇遇だねえ。俺たちも殺し合いに乗るつもりは頭からないんだよ。
出来るなら穏便に済ましたいと思ってたところでさあ。
それで、あんたたちの名前は?」
動揺しているハンチング帽の男に変わり、白い服の男が対応する。
こっちをおちょくるような言葉だが、恐らくそれが自然体なのだろう。
ニヤニヤと余裕のある笑みを顔中に浮かべている、理不尽な状況には慣れているということだ。
「九条 英雄、こっちの眼鏡の人は凡田 大介」
「俺は布具里、考古学者だよ」
「何が考古学者だ、遺跡泥棒の間違いだろ」
「はっはっは、こいつは手厳しいな、我が息子よ」
混乱から立ち直ったハンチング帽の男は布具里ジト目で睨みつけた後、口を開く。
この二人は雰囲気からしてただの一般人ではない。
九条や椿のような、どこか危ない道も歩いて生活している人間。
「七原 正大と言います。
帝都に探偵事務所を開いているので是非ご利用をお願いします」
明らかな営業スマイルで近寄ってくる。
探偵、あまり良いイメージはない。
だが精神的に逞しいのは間違いないのだろう。
(この二人は親子なのか、親子に殺し合いをさせるなんて腐っているな。
ところでテイトってどこだ?)
少し疑問に思うものの、あまり知られていない地名なのかもしれない。
それにその日の食事に困るほど金に困っている九条が探偵を利用する事なんてまずない。
凡田が今まで溜め込んでいるコレクションをフリーマーケットに出すぐらい有り得ない。
「俺は九条 英雄。職は持っていません、風来坊ってやつですね」
「オイラは凡田大介でやんす、モグラーズのピッチャーでプロ野球選手でやんすよ」
「プロ……?」
「へえ、兄ちゃん外国にでも住んでるのか、あっちの住み心地はどうなんだよ?」
「いや、オイラは日本人でやんすよ……外国になんて行った事もないでやんす!」
話がかみ合わない、先ほどの九条と凡田と智美の会話のように何かがずれている。
いわゆる共通の認識がそっくりそのまま違うような、致命的なズレがある。
「知らないな、モグラーズなんて野球倶楽部。親父は?」
「俺も知らないね。日本で横文字使ってる野球倶楽部は」
「あんた達、本当に日本人でやんすか……?」
明らかにおかしい。
さすがにプロ野球を知らない日本人なんて絶対にいない。
モグラーズもそれなりに知られているし、何より野球倶楽部という言い方にも引っかかる。
(……まさか)
九条の脳裏に思い浮かぶのは一つの突飛な考え。
有り得ない、出来るはずがない、夢を見すぎている。
普通ならそう思う考えだ。
――ここにいる人間の住んでいた時間が違っているなど。
しかし、有り得ないことは有り得ない。
現に幽霊が具現化してある草野球チームに力を貸す、なんてことも平気で起こる世の中なのだから。
「……七原さん、今年って何年でしたっけ?」
「? 大正○○年だろ?」
「は?」
「じゃあ凡田くんは?」
「△△年でやんすよ」
「は?」
(決まり、か)
その言葉で彼の中での推理に確信を得た。
七原や布具里はもちろん、凡田も九条も違う時間から拉致をされたことになる。
いや、七原や布具里の間にも時間の違いがあるかもしれない。
「……まさか!?」
そこに七原も気付いたようだ。
会話での明らかな食い違い、先ほどの年代、そして見たことのない大型の拳銃。
気付く余地はある、それでも鋭い部類の人間に入るだろう。
置いていかれた布具里と凡田は眉をひそめて難しい顔をする二人を眺めている。
「時代の違い……か?」
七原の声が海の家に響く。
あの亀田皇帝には時間を移動する手段がある。
それがどんな原理で起きているかはわからないが。
「それってアレでやんすか?
未来に行ったり過去に行ったりする漫画とかアニメでも使い古されたアイディアでやんすよね」
「……それ以外思いつかないんだよ」
口ではこう言うが、九条は七原と違いもう一つの可能性も頭にあった。
それは薬や機械を使った洗脳。
自分がモグラーズの選手で、自分が大正時代の人間であるように思い込むように洗脳された。
正直な話、これが一番現実的な考えだ。
だが、その場合も疑問点が数ある。
参加者全員を洗脳する必要はないとは言え、かなりの手間と時間と金がかかる。
そして何よりも洗脳することに必要性が感じられない。
時間移動の方は話の筋は通るのだ。
先ほどのテレポートも、あの巨大ロボも、全てが現代の技術ではない未来の技術だとすれば。
技術面では全てが納得できる。
「……今は情報を集める事が先決だな」
七原もそう簡単には納得できないらしく眉をひそめて九条と凡田に向かって向き直る。
その眼は真っ直ぐに二人を見ている。
「情報交換、といかないかい? ちょっと我威亜党には因縁が遭ってね。
殺し合いに乗るつもりは毛頭もないからな」
◇ ◇ ◇ ◇
七原は値踏みするように九条と凡田を眺めていた。
どちらも身体を鍛えているようで体格はいい、少なくとも何時間も歩き回って倒れるようには見えない。
九条と言う男は話をした限り、頭は悪くない鋭いタイプの人間。
凡田は普通の一般人そのもので人殺しをしそうには見えない、気のいいタイプだろう。
仲間としては上等の部類に当たるだろう。
「我威亜党のことなんだが……時間が違うとすると知らないか?」
「ええ、全く」
「一言で表すと悪の組織ってやつだ、世界征服を目指してくるんだから。
百貨店に強盗に入ったり怪しげな機械を作ったりと色々と悪事を働いていたんだ。
そして、帝都に地震を起こした」
「大正の地震って……まさか、あの大震災が人為的に起こされたのか?」
九条が目を見開き呆然と呟く。
確かにあの自身での被害はパッと見ただけでも凄まじいものだった。
あれが人為的に行われたとはそう簡単には信じられないだろう。
さるさんくらいました…orz仮投下いってきます
293 :
代理:2008/09/08(月) 20:42:39 ID:LiaWqCY6O
「我威亜党はそのために動いていたんだよ。
帝都に地震を起こして、多くの人間を殺し、ある禍々しい姿の化物を召喚するためにね」
目を瞑ればあの姿が鮮明に思い出せる。この世のものとは思えない造形、恐竜をも超える力、いくら攻撃しても倒れない圧倒的な耐久。
あれを支配すれば確かに世界征服などたやすいだろう。
結局は飼い慣らす事など出来ずに文字通り潰されたが。
「でも、安心したよ。
『未来がある』ってことはあの化物は倒されたってことだろ?」
「聞いたこともないですね、情報工作か何かされたんでしょう」確かに無駄に恐怖を煽っても仕方がない。
ただの地震とした方が都合が良いのだろう。
そのことからも我威亜党が未来に伝わっていないのも納得がいった。
「それで、俺と仲間はその召喚された化物に殺された……はずだった」
「だけど気がつけばここにいた、ってことでやんすか?」
「ああ、傷も綺麗に塞がっている。こいつも未来の技術って奴かな」身体に痺れなども感じないし後遺症はない……ように思える。
不思議なものだと開いたり閉じたりしている手を見る。
294 :
代理:2008/09/08(月) 20:44:48 ID:LiaWqCY6O
「ああ、我威亜党についてだけど幹部は俺の知ってる限り五人いる。
亀田皇帝、チバヤシ公爵、秋穂侯爵、あやか伯爵、寺岡子爵、チキン男爵。
どいつも癖のある連中ばかりだよ」
恐らくこの首輪は寺岡子爵の特製だろう。嬉々として殺しをするような人物ではないが、嬉々として兵器を作るような人物だ。
大方、気がついたら作っていたとかそんな理由だろう。
「……これも何かの儀式かもしれないな。
帝都の大地震もあの化物を呼び出すためのものだったから、可能性は高いと思う」
「規模が違うぜ、息子よ」
「そうだな、あの時は万単位、こっちは数十人だ」もちろん、数の問題ではないが。
しかし、儀式や生贄などでは大きなポイントとなるのも事実だろう。
「今のところ我威亜党が殺し合いを始めた目的はわからない。
だけど、世界征服という大きな目標に繋がるものは確実なはずだ」
あの化物を支配できなかった以上我威亜党にも多大な被害が出たはずだ。
ならば遊んでいる暇はない、これにも何かしらの意味がある。
295 :
代理:2008/09/08(月) 20:47:41 ID:LiaWqCY6O
「仲間も大勢居たんだけど、こっちに連れてこられたかはわからないな」
「その人たちの名前を教えてもらってもいいかな?」
「ああ、今メモに書くよ。そっちの知り合いもよければが書いてくれるか?」「了解でやんす!」
九条と凡田も筆記用具を取り出してデイバックに入っていたメモ帳に名前をつらつらと書いている。
「こっちで知り合ったのは……?」
「……親父だけだ」
「ハハハ、そんなにへこむな息子よ。良いことだってきっとあるさ」
「俺は四路 智美って人に会いました」「四路 智美? 智美もいるのか!?」
七原の頭に浮かぶのは元スパイの頼りがいのある女の姿だ。
銃の腕前もたいしたものだし、何よりしたたかだ。
「多分人違いだよ、凡田くんの知り合いだから」
「……同姓同名か」
「俺と凡田くんの名前を出したら警戒は解いてくれるはずだ」カリカリと音を立ててメモに名前を書き込んでいく。
七原は書き終わると顔を上げてメモを渡す。
「信用は出来るやつらだよ、少し我の強いのが多いけど」
「オイラも出来たでやんす!」
「……一応信用は出来ますよ、少なくとも殺し合いに乗るような奴らじゃない」
「了解……って倉刈さんまで。同姓同名多いんだな」
296 :
代理:2008/09/08(月) 20:51:54 ID:LiaWqCY6O
多くある名前ではないが珍しいというほどではない。
同姓同名がいるぐらいおかしくはないだろう。
「散々話してもらって申し訳ないけど、こっちには重要な情報がないんだ。
これから仲間を探そうとしたところでね」
「仲間、か」
「三回目の放送でホテルに集合でやんす」 第三放送ということは大体十数時間後。
時間がないわけではない、しかし遊んでいる時間はない。
「じゃあ早速動こうか」「あ、その前にスコップはないでやんすか?」
「スコップ?
知らないな、親父は……っておい、なにやってんだ」
「ん〜? いや、面倒くさい話してるからよ〜、ちょっとパンを食ってただけだよ」
「……スコップは?」
「見てないな〜、包丁とかそういうのもないから武器になりそうなのは取り上げられてると思うぜ?」布具里は相変わらず呑気だ。
三人は軽くため息をつき、話を続ける。
「一旦別れるか。山にも施設があるから見て回りたい。
二人と二人ならちょうどいいだろ」
「じゃあ俺と凡田くんで」
「え、一緒に行かないんでやんすか?」凡田が疑問の声を上げる。
確かに四人もいれば頼りになるだろう。
しかし、ここは冒険に出なければいけない。
「俺たちは先に街に向かっておく、こう見えても冒険家だからな荒事は専門さ。
そっちは先にホテルに行って綺麗にしておいてくれよ」
297 :
代理:2008/09/08(月) 20:53:12 ID:LiaWqCY6O
七原は修羅場に慣れた自分と布具里が仲間集めをする場面だと判断した。道中で襲われる可能性や話しかけた相手が殺し合いに乗っている可能性だって高い。
危険冒すのはプロがやるべきだ。
「そうか……でも、俺たちも一応仲間を探しておく」
「死ぬなよー、命あっての物種だからな」
「『依頼』は完遂させるさ。
こう見えても達成率は100%、期待しといてくれよ」
布具里が手を振って海の家を出て行く。
これで方針は立った。
ホテルの見張りは九条たちに任せて七原たちは仲間を見つけて保護する。
「さて、親父。さっさと仕事終わらせて続きをやるか!」
まだ殺し合いを破壊する依頼は始まったばかりだ。
298 :
代理:2008/09/08(月) 20:57:06 ID:LiaWqCY6O
【B-5/海の家/一日目/早朝】
【九条英雄@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康、正義の味方としての決意[装備]:ギター
[参戦時期]:維織GOOD後からアルバムまでの間
[道具]:支給品一式、ロケット弾、スタングレネード、野球人形、大正編の仲間の名前が書かれたメモ
[思考・状況]
基本:参加者全員を助け出し、亀田を倒す
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:彼女(森友子)を埋葬したい。
[備考]
※七原と軽い情報交換をしました。
【凡田大介@パワプロクンポケット2】
[状態]:顔面に打撲
[装備]:無し[参戦時期]:本編終了後
[装備]:お守り
[道具]:支給品一式、鍵
[思考・状況]
基本:ガンダーロボを救出したい
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:基本人殺しはしたくない。
3:九条を信頼。
4:チームメイトにH亀田がいる
[備考]
※七原と情報交換をしました。
299 :
代理:2008/09/08(月) 21:00:00 ID:LiaWqCY6O
【七原 正大@パワプロクンポケット7裏】
[状態]:健康
[参戦時期]:ほるひす戦敗北直後[装備]:地味な色のベスト、ニューナンブM60(6/6)
[道具]:支給品一式、Pカード、九条と凡田の知り合いの名前の書かれたメモ、予備弾(12/12)
[思考]
基本:亀田を倒す。
1:仲間を集めるために動き回る。
2:ほるひすに警戒心。
3:第三放送前にホテルPAWAへと向かう。
[備考]
※大正編のどの人物とどの程度面識があるか、メモに誰の名前が書かれたかは後の書き手に任せます。
※布具里から拳銃、ニューナンブM60を巻き上げました
【布具里@パワプロクンポケット7裏】
[状態]:健康[参戦時期]:不明
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品残り0〜1個(本人確認済み)、亀田幻妖斎の服(仮面付き)
[思考]
基本:正大に寄生して生きる。
1:仲間を集める。
2:第三放送前にホテルPAWAへと向かう。
[備考]
※確認済みの支給品の中に、衣服になるものは入っていません。
代理投下終了です。
感想
そして投下乙
七原達は激戦区に行くか…。
生きて帰れるのか!?
そして九条達は隊長と同じ目的地か…。
これからが楽しみだ!
この俺が投下を見逃しただとッ!?
何はともあれ投下&代理乙です
こんな状況でもギャンブルに興じる駄目親子にワロタwww
それなのに後半でまともそうな対主催になるように話が繋がってるのが面白い
頑張れ駄目親子!そして風来坊!と凡田!
余談ですが、代理の際にカタカナが全部半角になってるので、収録の際はしたらばからコピペした方が良さそうですね
GJです。
ダメ親子いいなぁ。殺し合いの最中、迷わずギャンブル始めるなと。
多少ボケつつも七と九はかなり頼りがいあるし、まともに立ち回ることが出来れば強力なチームだね。
一応気になった事は、七原が言っているほるひすの件だけど、
我威亜党が起こした地震は「ほるひす」を召喚するための物では無かったという点かな。
彼らは別の邪神を呼んだんだけど、その邪神は、何故か一緒に目覚めてしまったほるひすに食われたんだよね。
扱おうとする以前に、ほるひすは亀田や秋穂にとっても存在自体がイレギュラーだった。
何か重箱の隅をつつくような指摘で、気を悪くしたら本当に申し訳ない。
我威亜党が化物を召喚しようと地震を起こし、
結果として扱いきれない化物が召喚されたということに変わりは無いわけだから、
それに関する会話や語りも九分九厘問題ないと思うんだけどね。「アレを呼ぶつもりは無かった」というだけで。
代理投下ありがとうございます
携帯からですが感謝の言葉を
確かに未把握の人が読むと勘違いしてしまいそうですね……
了解しました、収録の際にその点を地の文で補完しておきます
投下乙です。
なんというだめ親子、だがそれがいいw
やるときはやる親子格好良いよ親子
一つ突っ込むなら、親父の道具欄にある亀田幻妖斎の服は、装備欄に移動すべきって事ですかね
華麗に省略された着替えイベントに泣いたww
予約キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
投下します
「俺は甲子園児といいます、改めて初めまして、芳槻さん。
俺の話を聞いてくれませんか?」
その言葉にさらは思わず目を見開く。
(殺しに来たんじゃ……ない?)
少し考え込むが、はっとして機関銃を構える。
ノーマル弾はまだ入れていない。
甲子は銃弾が切れていることを知っているためあまり意味のない行動だ。
それでも彼女は生きたかった。
目の前の甲子を何とか言いくるめて逃げ出したい。
まだ甲子が話をする気、つまり殺すつもりでないのなら生き残れるかもしれない。
(武器を持っているようには、見えませんね)
生き残れる可能性があると思うと途端に冷静になった。
野球のユニフォームには物を隠せるほどのスペースはない。
銃などを隠してもそこだけが膨れ上がって簡単にわかってしまう。
武器になるようなものは拡声器程度だ。
だが、男子高校生の腕力で頭を殴りつければ簡単に死んでしまうだろう。
「……話って、一体なんですか?」
「俺たちは殺し合いになんてする気は全然ないんだ」
その言葉に眉をひそめつつも、黙って続きを聞こうとする。
甲子もさらが続きを促していると感づいて、もう一度口を開く。
「東さんの言葉が何か癇に障ったのかもしれない。
だけど信じて欲しい、俺たちに悪意はないし人を殺すつもりだって全くないんだ」
「……レッドさんは私を殺すつもりでしたが?」
「ああ、その通りだよ。だけどレッドはレッドなりに考えているんだ」
「レッドさんにしかわからない考えで殺されたらたまりませんよ」
自分が機関銃を振り上げた事を棚に上げて、さらは相手の言葉を詭弁としか言いようのない反論をする。
さら自身もこの言い分がむちゃくちゃだとは思っている。
だけど、信用できないのだ。
自分を馬鹿にした東のことも、自分を殴り倒して殺そうとしたレッドのことも、その仲間の甲子のことも。
「……俺は馬鹿だからよくわからないけど、それでも人を殺すのはよくないって事はわかる」
「……」
「野球をしたり親友と馬鹿な話をしたり怪我をしたチームメイトを何とかしようとやってた程度だ。
家族はみんな生きてるし、死人を目の当たりにしたこともなかった」
何を言いたいのかわからない。
十波に声や雰囲気が似ている甲子は一体何をしたいのだろうか。
さらは機関銃から手を離そうとはしない。
「何が言いたいんですか?」
「俺は……死にたくなんて、殺したくなんてないんだ。
君はどうなんだ?」
もちろん、さらは殺し合いなんてしたくない。
さらは今のままで十分だった。
父と、十波がいればそれで十分だったのに。
「……したくなんてないですよ」
「だったら!」
「でも、だからって素性も知らない人を信じることなんて出来るわけないじゃないですか」
そう、私は彼を信用する事が出来ない。
人は人を裏切るんだ、騙すんだ。
十波と屋上で話していたように試すだなんて言ってられない。
簡単に信じれば死んでしまうのだ、さらは死にたくない。
まだ生き残って父や十波と会いたいのだ。
顔を上げてさらは機関銃とは別の手で握っているデイバックを甲子に投げつける準備をする。
もう戻れないのだ。
百歩譲って甲子の言っている通り勘違いから成り立ったいさかいでも、それを覆す事は難しい。
当事者であるさらが彼らを信じることが出来ないのだから。
口が開く。ごめんなさいの『ご』の形に口を開いた。
「……っ!」
「きゃっ!」
だがデイバックを投げる前に、言葉を確かにはっきりと放つ前に、さらは突進してきた甲子に突き飛ばされる。
まずい、これはまずい。
さらも陸上部に入っているとは言え腕力は大したことはない。
野球部に入っている男子に勝てるはずがない。
あの拡声器を振り下ろされて――間違いなく殺される。
(殺される!)
恐怖で身体を縮ませて目を瞑る。
しかし、いつまで経っても甲子が動く気配がない。
さらは瞑っていた目をゆっくりと開くと。
しえーん
「くっ……はぁ……」
「え……」
胸に一本のナイフが刺さったまま、倒れこんでいく。
薄っすらと胸から血が流れており、よく見ると痛みで腕が震えている。
甲子は四つんばいの状態で何とか状態を保って前方を睨みつける。
さらも釣られてその方向へと目を向ける。
その先には悪魔がいた。
禍々しい顔をして眉をひそめた状態で武器であろうナイフをジャグリングしている。
「……」
何も喋らずに冷たい表情のままジャグリングを続けている。
ああ、この悪魔はピエロをモチーフしているんだ。
今考える暇はないが、さらの頭にそんな考えがよぎる。
「フン!」
鼻を鳴らすような声を出してジャグリングしていた一つの箱のようなものを投げつける。
大きさや形のためナイフほどの速さはないが、それでもかなりの速さで投げつけられた
「危……ない!」
あのピエロは自分たちを殺す気なのだということはわかる。
と言う事はあれも自分たちを殺せる何かだ、急いで甲子はさらへと覆いかぶさる。
その行動は正しかった。
二人の前方二メートルほどで箱が破裂し、爆音と熱風が二人を襲った。
◇ ◇ ◇ ◇
「……あれぇー?」
ピエロは投げつけた爆弾を見て思わず間の抜けた声を漏らす。
彼の投げつけた爆弾は大きさから考えるとあれほどの爆発は起きないはずだ。
それは先ほどの越後との対峙の際に見ているから確実だ。
考えてもわからない、元々おつむの良くないピエロは黙り込んでしまう。
ブラックタイガーと敵対するモグラ乗りを始末するために念のために放ったものだ。
そう言えば何か妙な物体もついていたような気もするがそれが原因なのだろうか?
しかし、傍にいる女の子までも殺すつもりはなかった。
仕方ない、これはよくある事故だ。
過酷な職業であるピエロを名乗っている以上危険は常に付きまとう、猿も木から落ちるというやつだ。
ピエロはそう判断して撤収しようとする。
――――ガサリ……
が、後ろから聞こえたわずかな音に反応してピエロは振り向く。
モグラ乗りが生きているのなら始末をつけなくてはいけないし、女の子が生きていのなら笑わしてあげたい。
ゆっくりと近づいていき、重なっている二人を覗き込もうとすると。
ズガガガガン!
倒れこんでいるモグラ乗りの身体から無数の銃弾が飛び出してきた。
まず、腕に衝撃が走る。
その次に腹に内臓を吐き出してしまいそうなほどの衝撃が。
間髪をおかずに頭、腕、腹、足。
様々な箇所に衝撃を与えられて強制的に踊らせれてしまう。
その踊りが終わる頃にはすっかり疲れ果ててしまい、ピエロはバタンと地面に倒れこんだ。
◇ ◇ ◇ ◇
――先ほどの爆発は何なのだろうか?
――ピエロは自分を殺すつもりなのだろうか?
――甲子はどうして自分を庇ったのだろうか?
頭に渦巻く数々の疑問を無視して、さらはピエロへと向かって機関銃を放った。
何故かピエロが呆けている間に何とかノーマル弾は仕込んだ。
片手を甲子の脇で銃を固定してトリガーを引く。
先ほどの爆音には劣るものの、大きな音を出して銃弾が飛び出していく。
ピエロが踊る踊る。
腹に、頭に、腕に、様々な箇所に穴が開く。
「……」
銃弾の雨が止まる、弾は消費したがまだまだ残ってはいる。
ゆっくりと甲子の体の下から這い出てピエロへと近づく。
さすがにあれは死んだはずだ。
さらはピエロをゆっくりと足でつつく、起き上がってくる様子はない。
「……死ん……だ?」
聞いている人はいないのに疑問形になってしまう。
死んでいる、それは間違いない。
さらは、ふう、っとため息をついて座り込む。
「いけない……ここにいたら人が」
そのことに気付いて急いで立ち上がり、ピエロの持っていた使えそうな道具をデイバックに掻き込む。
不思議とかさばる事はなかった。
次に甲子の方を向くものの、わずかに考え込んだが結局荷物を取るようなことはしなかった。
(……甲子君は私を信じると言った、仲間になってくれとも言って、あのピエロから私を庇った)
そう考えると彼に対して追い剥ぎのような真似をする気にはなれなかった。
それに持っているものも拡声器だけだ、デイバックから道具を取り出すのは時間のロスにもなる。
「馬鹿ですよ……信じたって裏切られるだけなんですから」
小さく呟いてさらはピエロと甲子の前から立ち去る。
足には先ほどの爆発で飛んできた石でかすかにではあるが傷を負っている。
服も甲子の血や土で汚れている。
そして何より疲れた、レッドに殴られた所為で足もがくがくと震えている。
「……そうだ、学校に行こう」
さらの頭の中に浮かんだのはいつもの光景。
屋上でいつも話をする光景、とにかく安心できるところに行きたかった。
(でも――)
しかし、彼女の頭の中には一つの疑問が浮かんでいた。
(十波くんは、お父さんはこんなわたしを、人殺しをした私を受け入れてくれるのだろうか?)
【ピエロ@パワプロクンポケット10裏 死亡】
【C−4/草原/一日目/早朝】
【芳槻さら@パワプロクンポケット10】
[状態]:左頬・右目周辺に痣、顔面を中心に激痛、鼻血(ほぼ止まっている)、足に痛み(中)、精神的疲労(大)、所々に擦り傷
[装備]:機関銃(残弾多量)
[道具]:支給品一式、サイボーグ同盟お手製時限爆弾、スペツナズ・ナイフ
[思考・状況]
1:……二人は、どう思うだろうか?
2:学校へと向かう
3:十波君のことは信じられる?
しえn
◇ ◇ ◇ ◇
(……これは、ひどいな)
二朱と准がたどり着いた場所には二つの死体が置かれていた。
一人は銃で体を撃ち抜かれている。
もう一人は胸から血を流し、止めとばかりに喉に金属片が突き刺さっている。
地面が掘られていたり土や草が辺りに散らばっていることからしてここで爆発が起こったのだろう。
(助からないな、彼は)
夢の中とは言え、二朱は幾つもの死体を見てきた。
その経験からして彼は助からない。
貫かれた胸も喉に突き刺さった金属片もどちらも深い傷だ。
医療施設から程遠いこの場では助ける事は不可能。
二朱は見開いた甲子のまぶたをそっと落とす。
ナイフと小さな金属片も抜き取り、せめて普通の姿でいさせてやりたかった。
ここに長い間いるわけにも行かない。
当初の予定通りに泉の方向へと向かって人に会わなければ。
そろそろ動き出そうと思い、准の方向へと振り返る。
「……お………い…」
「!? 喋れるのか!?」
だが、その瞬間死んでいたと思っていた男から声が聞こえる。
「喋るな! 待ってろ、止血と火傷の処置を……」
「よ……し…づ………き……………」
「何だって? よしづき? おい、どうし……っ!」
今度こそ完全に息が止まった。
元々助かる可能性が低かったとは言え、悔しさを強く感じる。
その悔しさを逃がすために強く拳を地面に振り下ろす。
たとえ夢だとしても、誰かの死を目の当たりにするのは辛い。
支援
「……よしづき……」
准はピエロの死体から離れてポツリと漏らす。
そして、肩を大きく落とすともう一度ピエロの下へと戻っていた。
「准ちゃん…」
「……知り合いです、この人は。
お店の常連で、私がいつも見に行っていたサーカスで働いていたピエロ」
二朱は言葉をなくす。
やはり准が強く言っても拒んで、自分一人で死体を調べるべきだったのだ。
先ほどから准は目を落として、ピエロの死体をじっと見ていたのだ。
この奇妙なメイクも背丈も准の知っているあのピエロと全く同じだった。
「銃で撃たれたんですよね?」
「……ああ、この傷跡から見てそうだと思う」
なるべく言葉を選んで准の質問に答える。
銃弾で体中が撃ち抜かれている。
それだけでも致命傷だというのに心臓までも撃たれては即死は間違いない。
「……埋めて、あげるかい?」
効率だけを考えるならそれは避けるべきだ。
止まって作業するという事は的になりかねない。
この二人を殺害した下手人が爆弾を持っていることを考えると離れておきたいところだ。
だが、それとこれは別。
二朱としても出来ることならこの二人を埋葬してあげたかった。
「いえ、それよりもしたいことがあるんです」
「? なんだい?」
「……多分、この二人を殺したのは私が最初に会った女の子だから。
この傷も、私の持ってた機関銃でつけたんだと思う」
「!?」
准が最初にあった相手。
それは准にナイフを刺した、つまり殺そうとした相手という事だ。
殺し合いに乗っている何よりも危険な人物。
「……復讐をするのかい?」
「違います。私は、彼女を助けてあげたい」
「助ける!? 君を殺そうとして、現にこの二人を殺した相手を!?」
さすがに二朱も驚きの声を上げてしまう。
予想外の出来事とはこういうことを言うのだろう。
もちろん復讐をするというのならやめる様に諭すつもりだったが。
「……嫌だったら良いですよ、私のわがままですから。
出来るなら二朱さんと一緒に行動したかったけど」
その目には確かに覚悟が見える。
自分のしたいことを貫こうとする覚悟が。
(……なんだか、俺の夢だって言うのに彼女が主人公みたいだな)
そう考えると、思わず苦笑してしまう。
自分よりもよっぽど彼女は前へ進もうとしている。
二朱のように危険人物だから近寄らないで置こうと考えずに、誰も殺さない、殺させない説得の道を選んだのだ。
「いいよ、行こうか」
「本当!?」
二朱はそう返事をすると准は嬉しそうな声を出す。
そんな姿を眺めながら、甲子の荷物を回収する。
拡声器の他にも何か便利な道具があれば良いのだが。
「……多分、草の踏まれ方から見て東に行ったはずだ」
恐らく間違いないだろう。
山には登らずに迂回して……休むために商店街がそこらか。
「それじゃ、行こうか」
【C−4/草原/一日目/早朝】
【二朱公人@パワプロクンポケット2】
[状態]:健康
[装備]:ナイフ
[道具]:支給品一式、スパナ、拡声器、不明支給品0〜2
[思考・状況]
1:東へと向かって芳槻と会う(とりあえず火の手から逃げる)
2:准ちゃんと一緒に行動、彼女を守る
3:みんなで協力して亀田を打倒する
※備考 このバトルロワイアルを夢だと思っています。
【夏目准@パワプロクンポケット9】
[状態]:腹部に刺傷(立ち上がれる程度には回復)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2個
[思考]
1:東へと向かってさらと会う。
2:二朱を絶対に信じぬく(第一印象は好印象)
3:維織さんや九条に会いたい
4:さらを助けてあげたい
◆ ◆ ◆ ◆
二人が遠ざかっていく。
野球のユニフォームの男の人とメイド服を着た女の人。
心残りだ、自分の言いたい言葉は最後まで言えなかった。
芳槻さんを助けてあげてくれ、とそう言いたかったのに。
でも、女の人は俺と同じ考えだった。
心残りはいっぱいあるけど、自分の思うように生きてこれた。
多分それはいいことなんだろう。
って、何で死にそうな思考してんだよ、俺。
レッドたちには消防署に行くって約束したし、芳槻さんの説得もあるし、ここから戻ったら夏の大会のこともある。
まだまだやること残ってんだから楽になっちゃいけないよな。
でも、なんだか眠いから、少しだけ寝てしまおうかな。
いい夜だな、暑くもないし寒くもないし、何より薄っすらと見える星が、とても綺麗だ。
さっきまで痛かった胸も、喉も、そんなに痛くないし、熱かった肌も、すっかり、涼しく、なってきた。
レッド、たちとの約束の、時間も近いけど、少しなら眠ってもいいよな。
六時……ま、大丈夫だろう……
【甲子 園児@パワポケ甲子園 死亡】
【残り48名】
あー、投下終了です
誤字や脱字など設定の違い、前話までとの矛盾の指摘をお願いします
……今回はさるさんくらわなくて良かった
投下乙です!
さらの心情の変化が今後見物になりそうでwktk
甲子君も最後に格好よく散れてよかった
投下GJ!
甲子かっけえwww
あとちゃっかり拡声器を拾った二人組の末路に期待age
自分には矛盾とかは特に見当たらないので手を加えるような所は無いはず……多分ですが
これからも頑張ってください
投稿乙です。
甲子くん頑張ったね。
死亡フラグは覆せなかったが…。
投下乙!
甲子、お前はよくやったよ。
ただ、フラグが悪かったんだ・・・
投下乙です
甲子は格好良かったなー
しかし拡声器のジンクス強いな…
拡声器は今後も活躍しそうだ、いろんな意味で
ちょっと今までの話読み返してみて気になったことがあるんだけど、質問はここでしてもいいのかな?
おkおk
どんどん来てくれ、スレが少しでも活気づいて欲しいし
有難う
えっと、今は無理だけどちょっと十波でやってみたい事があったんだ
で、試しにプロット練ってみようかな〜って時に見つけたんだけど…
友子の催眠術って、話術と併用しないと本来の効果発揮しないじゃない?
で、十波にかけた時点では、見た感じ言葉は発してない気がするんだ
本編みた限り、それだと「あいつどっかでみたな〜」ぐらいの効果しかないと思うんだけど、どうなのかな?
それについての議論終わってたのなら申し訳ないorz
読み返してみたけど、効果の強弱云々というより、この文章からだとこれっぽっちも暗示が効いてないようにも見えるな、
状態表を見直しても
まあ、俺の読み方が浅いかもしれないから、他の人の解釈も聞いてみた方が良さそうかな
という事で他の人もなんか言ってみておくれ
う〜ん、質問する時間帯が悪かったのかもw
とりあえずプロット練る…というより妄想しつつ寝るよ
応えてくれて、重ねて有難う!
投下します
タケミは人間ではない。
もう一度言おう、タケミは人間ではない。
何度でも言おう、他の誰がなんと言おうと彼女は人間ではない。
確かに見た目はどこからどう見ても人間そのものだろう。
目もあれば口もある、体付きだってどう見ても成人女性のそれだ。
しかし、彼女の正体は古代のモンスターである。
身体の中に収納できる触手もある、口から吐き出す強酸は頑丈な金庫をも溶かす。
だが、一日で一国の端から端まで移動する事の出来る人間もいる、何もないところから炎を出せる人間もいる。
そう考えると、触手を出せる程度は大した問題ではないのかもしれない。
つまり人間にとって最も大事なことは、外見だとか能力だとか、そんなどうでもいいことではない。
人間が人間であるために必要なことは一つ、たった一つだ。
それは――――
◇ ◇ ◇ ◇
たかゆきはタケミと共に歩いていた。
足に違和感を感じて気持ちの悪いことこの上ない。
しかし、予想以上に時間をかかってしまったとは言え無事にたどり着けたのはいいことだ。
「着いたよ、たかゆき」
「ちくしょー……体のあちこちが痛くてたまらないぜ」
たかゆきは機嫌の悪さを隠そうともせずに愚痴る。
先ほどは運良くメインの頭部に損傷が少なかったため無事であった。
それでも痛いことには変わりなく、野球帽とユニフォームを着た男への恨みが湧いてくる。
「ほら、入るよ」
「あー、じゃあ頼むわタケミ」
たかゆきは大して警戒もせずにタケミの前を歩く。
タケミも何も言わずにたかゆきの後を追う。
たかゆきはそんなタケミを横目で眺めて、無用心だな、と自分の事を棚に上げて思った。
「おーい!!」
が、そんな二人以上に無用心にも大声を出してこちらに走ってくる影が一つ。
その影の正体はつばのついた帽子と野球のユニフォームを身に纏った体付きのいい男。
「ああー! テメエは!」
「……!」
たかゆきは大声を出して突っ込んでいこうとするものの、タケミにそれを諌められる。
確かに向こうは機関銃を持っている、今は見えないが隠してるだけかもしれない。
ドリルを回転しながらたかゆきは男を睨みつける。
「いやあ、ようやく追いついた! 結構遠くに行ってたんだな、俺」
「……何の用?」
たかゆきには目の前の男の思考が理解できない。
さきほどは問答無用で襲ってきたと言うのに、今は嫌に友好的だ。
あまりにも怪しい。
タケミもそう思っているのだろう、眉をひそめて冷たい言葉をかける。
「うん、ちょっとモノは相談って言うかさ、話したいことがあって」
「あん!? こっちには話すことなんて何もねえよ!
さっさと帰れ、これ以上近づくんじゃねぇよ!」
たかゆきはよっぽど根に持っているのか取り付く島もない。
いきなりマシンガンで撃ってこられたのだから当然ともいえるだろう。
「いやさ、実は俺、仲間を探してるんだ」
「……仲間?」
「ああ、俺、体力には自信あるんだけどちょっと頭はさ……その、駄目だから。
だから頭のいい仲間を探してたんだよ」
「じゃあ何でいきなり撃ってくるんだよ!」
たかゆきの当然の疑問。
ユニフォームの男は頬をかき照れくさそうに喋り続ける。
「いやあ、それは、その、思わず……」
「思わずぅ!?」
「……悪いけどさ、いきなり攻撃を仕掛けたてきた人を信用なんて出来ないよ」
「そこを何とかさ、死にたくないけど殺したくもないんだよ」
言葉の一つ一つが信用できない。
銃を突きつけられただけなら、まだマシだったかもしれない。
だが、実際に銃を撃たれたのだ。
殺されかけたのだから信用なんて出来るわけがない。
「……ごめん、わかったよ、そこまで言うなら引く」
「あん? えらい素直だな?」
「さすがにここまで嫌がってる人に無理を言う気にはなれないからな」
たかゆきは素直に下がる男を見て、逆に違和感を覚えたようだ。
先ほどの話をするまでもなく機関銃を撃ってきた面影はまるでない。
ひょっとすると何かを狙っているのかもしれない。
警戒を解かずに去っていこうとする背中を眺め続ける。
ガシャーーン!
「な、何だ!?」
「……何かがぶつかった音だね」
工場から大きな音が聞こえて身構える三人。
たかゆきは男から目を離して音を眺めて、直ぐにタケミのほうへと向き直る。
「おい……タケミ」
「中で誰かが何かをやってる……そういうことだね」
たかゆきは瞬時に頭を回転させる。
様々な考えが浮かぶが、ここが殺し合いの場だということを考えると殺し合いをしていると言う考えが妥当だろう。
パシャン!
「くぅっ……!」
「意外と浅かったでやんすか……まあいい、ようやく追い詰めた出やんすよ。
ちょろちょろと鬱陶しかったでやんすが、オイラ相手によく善戦した方でやんす」
もう一度大きな音がすると二つの影が窓から出てきた。
一つは緑色の髪をした小柄な少女。
もう一人は軍服の上にマントを羽織った冷たい雰囲気の男。
放った言葉からしてマントの男が少女を殺そうとしているのだろう。
「おいこらテメエ! 何やってんだ!」
しえーん
◆ ◆ ◆ ◆
「……青野、お前は八神と言う男に教われたんでやんすね?」
「あ、ああ、それで腹を銃で撃たれて……痛みで転がってたところをデイバックを取られたんだ」
「他に出会った人間はいないんでやんすか?」
「ああ、八神とか言う男とアンタだけだ……」
「……そうでやんすか、とりあえず工場で一休みするでやんすかね」
青野は先ほど出会った軍服の男、メカ亀田と話をしながら工場へと向かっていた。
青野の怪我を負っているしメカ亀田もどこまで身体を弄られたのか調べないといけない。
武器もあれば回収、死体があれば首輪を回収、その後に北の街へと移動。
メカ亀田は大して青野の傷を気にせずに淡々と方針を告げた。
「着いたでやんすね」
「……な、なああんた。あんたは本当に機械なのか?」
「ああ、オイラは機械でやんすよ。
サイボーグでもなければアンドロイドでもない、完全な機械の身体。
老いる事もなければ、衰えが見えてくれば変えればいいこれ以上とない身体でやんす」
「嫌じゃ……ないのか?」
「嫌? 何がでやんすか? これは誰よりも優れた証なのでやんすよ」
メカ亀田は先ほどとは違い少し熱のこもった、何処か誇らしげに語る。
まるで自分がどの生き物よりも素晴らしい存在であるかのように。
そこで青野は確信する。
このどこまでも冷静でどこまでも狂った男や、あの無機質としか思えないほど冷たい男。
こんな青野の常識から外れた男が二人もいるのに勝ち残れるわけがなかったのだ。
「さあ、中に入るでやんすよ」
「あ、ああ」
痛む腹を抑えながら工場へと踏み込む。
見渡す限り普通の工場のようだ。
置いている機械もそんなに珍しいものではない。
青野にも使い方のわかる単純な機械だ。
(和桐に……似ている)
そして、その工場を見て青野が真っ先に思ったことはそれだった。
大きさこそ違うものの入り口を潜った場所はそっくりだったのだ。
と言っても所詮は工場、どこも同じようなものだろう。
恐らく青野が和桐に似ていると思ったのは郷愁が原因。
もう戻れないと言う絶望、何時かは殺されると言う恐怖、だからと言ってあの二人に逆らう気にはなれない諦観。
帰ることが出来ないことが何よりも辛かった。
(俺は死ぬのか。それがサングラスの男か、見知らぬ奴か、それともこの機械の男に殺されるのか。
こんなことになるのなら落田に信じてみてもよかったかもしれないな。
……もしかすると、もしかすると殺す気なんてなかったのかも)
「青野」
「ん、あ、ああ、何だ?」
少し考えていたため突っ立っていた。
メカ亀田は真っ黒なグラスの向こうにある目を感じさせずに淡々と喋った。
顔や口調は落田にそっくりだが、性格や雰囲気などはまるで違う。
見た瞬間からこの二人は違うものだと思ったのだ。
「先に謝っておくでやんすよ。まあ、謝る必要なんてないんやんすですけど」
「は?」
メカ亀田の言葉がわけがわからずに眺めていた。
そんな青野を他所にメカ亀田は禍々しい爪のついた手をマントの下から取り出し、ある一点を眺める。
そして、その手を振りかぶり。
「ふん!」
鼻息と共にその爪を伸ばした。
そのスピードは和桐バブルスの主力打者の青野でも簡単には打ち返さないほどだ。
もの凄いスピードで飛んだ手が荷物へと突っ込み。
「え?」
「さあ、役に立ってもらうでやんすよ!」
メカ亀田は青野を逆の手で掴み前へと差し出す。
まるで、何かからメカ亀田自身を守るように。
青野の背中に嫌な汗が流れる。
スガガガン!
そして、間髪をおかずに荷物の中から銃弾が飛び出してくる。
それはメカ亀田の全身へと向かっている、つまりは青野全身を襲うということだ。
「あああああああ!!!!!」
「……助かったでやんすよ、青野。メインは守れたみたいでやんすからね」
メカ亀田はゴミを扱うかのように青野を乱暴に地面へと落とす。
青野は何が起こったのかが理解できていなかった。
「……ちぃ、逃がしたでやんすか、うろちょろと鬱陶しい鼠でやんすね。
まあいいでやんす、攻めるだけと言うのは楽でやんすからね」
「……な……何で……」
「何で? 決まってるじゃないでやんすか、お前はオイラに嘘をついたからでやんすよ。
元々、お前は使い捨てる予定だったんでやんすよ」
その言葉は心臓が止まるような思いだった。
とっくに気付かれていたのだ、自分が嘘をついていたことに。
「いくらなんでも怪し過ぎるでやんすよ。
お前が来た方向にはある男が向かっていたんでやんす。
その男がそんな傷を負っている、ただの素人のお前を見逃すと思えないんでやんす。
大方、あのサングラスの男の差し金でやんすね、八神とか言う男が実際にいるのかも怪しいところでやんす。
そして何よりも! このオイラの姿を見て! どうしてお前は逃げなかったでやんすか!?
サングラスの男に聞いたからでやんすよね?
このオイラを騙すにはあまりにもお前は間抜けすぎたんでやんすよ」
「あ……ああ……」
言われてようやく気付く、自分が如何に間抜けだったのかを。
しかし、それもしょうがない事とも言える。
銃弾を刀で弾き返すという離れ業を見せ付けられ、十分に痛みを教え込まれた後なのだ。
気が動転した状態では青野が完璧な嘘などつけるわけがない。
「死にたくなければ何処かに行くんでやんすね。
オイラも殺し合いなんてやる気ないでやんすけど……まあ自業自得でやんすよ。
運がよければ誰かに拾ってもらえるかもしれないでやんすよ?」
メカ亀田は背を向けて工場の奥へと向かう。
その背中には青野を気遣うとか罪悪感などは全くない。
どこまでも冷静に、どこまでも無機質に歩き続ける。
◆ ◆ ◆ ◆
高坂茜が支給品の確認の後に行ったことは工場を一通り見て回ることだった。
状況は、いや茜の兄は完全に茜に味方をしている。
機関銃と身体能力を引き上げる機械、さらには予備の弾まで支給されているのだ。
最初に来た場所の工場にも何か使えるものが置いてあるかもしれないと思い、工場を調べまわること数時間。
見つかったものは特になし、精々は鉄パイプぐらいだが重くて茜には振り回せるものではない。
肩を下ろすが、これも試練。
何もかもが楽では幸せは掴み取れないと言う事を兄は言いたいのだろう。
気を取り直して、次に行ったのはバリケードを築く事。
それとなく自然に、しかし姿を確かに隠せるように荷物を重ねていく。
出入り口である北東の二箇所に築いておく。
これだけで工場に逃げ込む時には便利になる。
かなりの時間を使ってしまったが、備えあれば憂い無し。
「よし! それじゃあ行きます!」
気分は上々、この殺し合いと言う試練を乗り越えれば茜の望むものが手に入るのだから当然だ。
茜の兄は絶対に無駄な事はしない、茜を傷つける事をしない。
茜はそれを誰よりも知っている。
だから殺すのだ、最後の一人になるのだ。
そうすれば願いが叶う、姉が戻ってくるのだ。
「……あ♪」
早速見つけた二人の獲物。
男の二人組、軍服を着た男と体付きのいい男だ。
先ほど作ったバリケードに隠れる。
隙を窺ってその隙に機関銃で殺す、単純だが効果的な作戦だ。
向こうからは死角となる覗き穴に目を通して様子を窺う。
入り口で立ち止まったまま、辺りを見渡している。
もう少し前に来ないと確実に殺せない。
体勢を建て直し、近づくまで息を殺す。
二人組は立ち止まり一言二言かわすと、軍服の男がこちらへと向き直る。
その右手には禍々しい爪がついており簡単に人の皮膚を切り裂く事が出来る。
何をするのだろうと少し眉をひそめる。
その瞬間、目が、合った気がした。
背筋に冷たい何かが走る。
「ふん!」
そして間髪を置かずにその手が『飛んで』くる。
同時に横に転がって何とかそれを回避する。
いつもの茜とは違い素早い反応が出来たのは、念のためにスイッチを入れておいたアップテンポ電波のおかげだろう。
そして、今度はこちらの番だと言わんばかりに機関銃のトリガーを引く。
予想よりも強い反動に少し驚くものの、銃弾はちゃんと軍服の男へと向かった。
(まずは一人……っ!?)
茜は謎の武器を持った男を葬ったと思い、ニヤりと歪んだ笑いを浮かばせる。
が、いつの間にか軍服の男はもう一人の男を盾にするように持ち上げていた。
銃弾のほとんどは盾にされた男の身体へと吸い込まれ、軍服の男にはかすった程度だ。
茜は急いで工場の奥へと向かう。
工場の内部を把握していて、機関銃とアップテンポ電波を持っている限り茜が有利なはずだ。
アップテンポ電波は少し大きいのでデイバックの中に入れている。
そして、デイバックの口を開けてスイッチを何時でも押せる状態にしておく。
(……奥に行けば大丈夫なはずです!)
「おっと、逃がさないでやんすよ!」
先ほどから男に向かって話しかけていた軍服の男だったが少しすると茜に対して何かを放つ。
それは青白い色をした球体。
その球体はスピードとしては大したことはない、先ほどの手よりも何倍も遅い。
茜は奥へと向かいながらもそれを避けて、機関銃で攻撃をする。
もちろん茜の腕力では移動しながら機関銃で狙い撃つなんて芸当は出来ない。
物陰に隠れながらの攻撃。
そんなものでは到底メカ亀田の攻撃に耐えられるわけもなく。
「くっ!」
「まさに鼠でやんすねえ、逃げ回る事しか出来ない薄汚い様なんてそっくりでやんすよ」
ニヤニヤと追い詰めることを楽しむような顔でこつこつと地面を叩いて近づいてくる。
茜は低い体勢のまま移動を繰り替えす。
辺りを見渡し、記憶している工場の内部を駆け回る。
だが、軍服の男の青白い弾と伸びる手の所為で思い通りに動く事が出来ない。
まだまだ弾は残っている、茜は出し惜しみはせずにどんどんと機関銃を撃っていく。
「当たらない当たらない。
素人が動きながら撃った弾なんてオイラには……っ!?」
男もまた物陰に隠れながら、しかし確かに茜を攻撃してくる。
残念だが戦い方では男の方が茜よりも上、それは認めざるを得ない。
これが殺し合いが始まって早々の遭遇だったのならば茜はとっくに殺されている。
「やりましたかね……?」
だが、ここは茜が数時間をかけて位置取りを把握した工場の中。
情報屋として様々な人間を見てきたリンをして偉人レベルの天才と言わしめた茜には全てが記憶されていた。
―――例えば、余裕を見せている男に向かって撃てば後方に詰まれた鉄筋の束が落ちてくる事も。
さすがにこれが直撃すればあの男も無事ではない、はずだ。
「……っ!?」
だが、様子を窺っているところで突然腹に衝撃が走る。
驚いて衝撃の走った部分を見ると、茜の腹を爪のついた手が思いっきり押していた。
油断していた茜はアップテンポ電波をつけて避ける事も出来ずにその手の勢いに押される。
後ろの窓を突き破り外へと投げ出される。
「くぅっ……!」
「浅かったでやんすか……まあいい、ようやく追い詰めた出やんすよ。
ちょろちょろと鬱陶しかったでやんすが、オイラ相手によく善戦した方でやんす」
男は茜に素早く詰め寄り、その手を振りかぶる。
鋭く尖った爪が輝いて見える。
あれを振り下ろされればただの人間に過ぎない茜は死んでしまうだろう。
(不味いです!)
「おいこらテメエ! 何やってんだ!」
茜が機関銃を何とか構えようとした時、そんな大声が横から聞こえてきた。
◇ ◆ ◇ ◆
十波典明は固まっていた。
自身の話力なさゆえに交渉失敗してしまった。
これ以上の交渉は逆効果だと知能が足りないなりに気付いて一先ず引き返そうとしたのだ。
そこに見知らぬ二人が工場から、しかも入り口からではなく窓から、出てきたのだ。
「おいこらテメエ! 何やってんだ!」
呆然としている十波を他所にロボットは大声を張り上げて飛び出してきた二人に突っ込んでいく。
正確にはロボットの主である作業着の彼女の意思なのだろう。
(な、ここは逃げるべきじゃ……いや、待てよ)
わざわざ厄介ごとへと突っ込んでいくロボットを見て驚愕する。
しかし、十波に一つの案が思い浮かぶ。
(彼女はこの二人、うん、俺から見ても完璧に怪しい男が女の子を襲うとしているな。
あれ、こいつなんかあの亀田とか言う人に似てないか?
って言うか荷田くんにもそっくり……別にいいか、世の中にはそっくりさんが三人もいるって言うし。
とにかく彼女は女の子を助けるつもりだ、あのロボットを使って。
そこで俺が何とかして女の子を救い出して、あの男もやっつける。
それでもう一度交渉を行う、今度は実際にあのロボットよりも使えることを証明できるし、警戒も解いてるはず。
スゲエ! 俺スゲエ! 完璧すぎて涙が出てくる!)
無茶苦茶な理論だ。
殺し合いと言う場で、しかも一人を正当防衛とは言え殺していることもあり、何処か変に興奮しているだろう。
元々の物事を深く考えない性格も相まってその思考はどんどん深くなっていく。
「……何でやんすか、お前らは」
男はたかゆきに警戒しながら、しかし少女を何時でも殺せるように爪を首筋に当てる。
あの爪は支給品なのだろう、十波のバタフライナイフよりも何倍も使い勝手が良さそうだ。
自分の引きの弱さに嘆きながらも、たかゆきの陰に隠れて距離を詰めていく。
「テメエ、何やってんだ?
殺し合いに乗るなんて人間としての誇りってものがねえのかよ」
「……下らない、そんなものはあるわけないじゃないでやんすか。
このオイラ、人間をとうの昔に超えた存在でやんす。
それに、何か勘違いしてないでやんすか?」
「何ィ?」
男は何かを言おうとして口を開こうとする。
完全にロボットへと注意が向いている。
(……今だ!)
「殺し合いに乗っているのは……なっ!?」
「とりゃぁ!」
掛け声と共に爪を持った男の懐へと飛び込む。
タイミング、位置共にばっちりで、只者ではない雰囲気を放つこの男でも反応は出来なかったようだ。
「よーし、よくやった!
気に入らない奴だが褒めてやるぜ!」
カカカカカ、と笑いながらロボットがのろのろとこちらへと近づいてくる。
どうやら一旦協力はしてくれるようだ。
ロボットがこちらに向かってくるまで十波は必死で暴れる男を取り押さえておく。
「……はは、ははは!!!」
「!? 危ない!」
だが、突然笑い始めた少女と叫んだ作業着の女の声に違和感を覚える。
まるで靴下の種類が左右で違っているような違和感を。
「ちぃ!」
「え? う、うわあ!?」
が、突然地面から体が離れる。
何事かと思って周囲を見渡すと、軍服の男が爪を工場の壁に貼り付けて上昇していたのだ。
そして、地面に取り残されたロボットが一体。
そのロボットはおかしくてたまらないと言わんばかりに笑い続ける少女の持っていた機関銃を向けられ。
「たかゆき!」
「はははははは!!」
ズガガン!
耳に響く音が聞こえて機関銃から銃弾が発射された。
あのロボットは一度十波の機関銃の銃弾を喰らっている。
耐久力は落ちているはず、二度目を耐え切れる保証はない。
壊れる、そう思うと同時に。
「……あん?」
「……?」
ロボットの驚きの声と眉をひそめる少女。
それもそのはずだ、直撃するはずだったロボットがいつの間にか宙に浮いているのだから。
いや、正確に言えば触手のような物で持ち上げられているのだ。
全員が触手の出所を追う。
「はぁ……はぁ……」
「え?」
「タケミ……?」
触手の先にいるのは作業着の少女、ロボットがタケミと呼んだ女の子だ。
肩で息をして、全員の視線から逃げるように目を伏せている。
「……いい加減離れるでやんす」
「ぐえ!」
そんな中で男は十波の腹を蹴られて地面に落として、自身は工場の中へと戻っていく。
十波はと言うと尻を強く打ってしまったため、痛みのあまり涙目になりながらさすっていて、ようやく気付く。
(……あれ? 確かあれって亀田が仕掛けたトラップのはずじゃ)
そう、あの触手は自分を襲った触手にそっくりだ。
さすがの十波と言えども不審に思う。
(つまり、あれってあの女の子の攻撃だったのか?)
その可能性が頭に浮かぶと、どんどんとそこからの可能性が広がっていく。
(……俺はあのアレに攻撃された、下手をしたら絞め殺されていたかもしれない。
それにアレは見る限り支給品なんかじゃない、彼女の身体から出ている。
つまりは彼女はアレを使い慣れている。
ってことは、ひょっとすると俺は殺されるところだった?)
多少どころではなく無茶のある理論だ。
まず第一に十波が攻撃を仕掛けたのだから反撃されて当然。
しかし、興奮してそのことが頭からすり抜けている十波は気づかない。
「!」
急な展開に固まっていた十波だったが、タケミと目が合う。
その眼は酷くぎらついていて、親切高校の山で飼われている獰猛な犬にそっくりだった。
(駄目だ……さすがに殺し合いに乗っている奴と組むわけにはいかない)
十波の目的はあくまで優勝以外の方法を使って殺し合いからの脱出することだ。
率先して人殺しをする人間と組めるわけがないのだ。
低い姿勢をとり、十波は野球で鍛えた足をとばして工場から離れていった。
【B−7/工場周辺/一日目/早朝】
【十波典明@パワプロクンポケット10】
[状態]:「人を信じる」という感情の欠落、野球に対しての情熱
[装備]:バタフライナイフ、青酸カリ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:殺し合いはしたくないし、“信用できる人間”を探す
2:“危険な人物”は仕方ないから倒す
3:かつての仲間、八神もいつか自分を裏切るんじゃないかと不安
4:一先ず工場から離れる
[備考]
1:信頼できる人間とは「何故自分と手を組むのか、その理由を自分が理解できる人物」を指します
2:逆に「自分の理解できない理由で手を組もうとする人間には裏がある」と考えてます
3:さらルート攻略中に他の彼女ルートにも手を出していた可能性があります
4:たかゆきをタケミの作ったロボットだと思っています。
5:タケミを触手を出す事の出来る生き物で、殺し合いに乗っていると思っています。
6:高坂茜とメカ亀田の名前を知りません。
◇ ◇ ◇ ◇
タケミは肩で息をしながら地面に膝をつく。
やはり先ほどの疲労は触手を出したことが原因だったようだ。
機械の身体であるたかゆきを持ち上げるのも辛いが、それでもこれほど疲労は感じないはずだ。
「……いい加減離れるでやんす」
「ぐえ!」
たかゆきをタケミの傍に置くと同時に横から声が聞こえる。
その方向へ視線だけを向けると地面に尻を打ちつけてうめいている男がいた。
隣に軍服の男はいない、工場の中へと戻ったのだろう。
帽子の下から見える男の目と、タケミの疲れきった目が合う。
「!」
そして、目が合った瞬間に男は目を見開く。
タケミにはそれがどんな目か、どんな感情が込められたものかがたやすくわかった。
男の心の声が今にも聞こえてきそうなほどに。
――化物。
そう呟かれた気がした。
男は素早く身体を起こして低い体勢のまま立ち去っていった。
残されたのはタケミと緑色の髪の少女とたかゆきだけ。
「……タケミ、お前」
「大丈夫だよ……何とかここから逃げないとね」
意図が読めなかった男は立ち去ったが、目の前には危険な少女が残っている。
ふらふらと身体中に残る疲れに耐えて、精一杯睨みつけるように少女へと向き直る。
しかし、少女は大して動揺も怯えも見せずに、タケミへの警戒を怠らない。
「……」
「はははは!」
笑みを浮かべて機関銃を向けてくる。
しかし、向けるだけでトリガーは引かない。
触手を警戒しているのだろう。
向こうは攻撃力は十分、だがそれゆえに防御を固める必要がある。
殺されないことに注意していれば、いずれは殺せるのだから。
(……持久戦かな、だとしたら、きついなあ)
この倦怠感が何時までも続く状態で戦い続けるのは不味い。
先にミスをするとしたら間違いなくタケミのほうだろう。
(たかゆきには悪いけど爆弾を使ってどこかに逃げようかな)
工場の中には軍服の男も居る。
街まで向かう必要はない、灯台や沈没船で身体を休めるだけで良いのだ。
タケミは懐から素早く爆弾を取り出し投げつけ――。
「なっ!」
「ははははは!」
爆弾を投げつけようとして懐へと目をやった瞬間に、信じられない速さで近づいてきていた。
(まずい……!)
この距離で爆弾投げたら自分たちも巻き込まれる。
かと言って何もしなければ機関銃で全身を撃たれる。
触手ではスピードが足りないし、下手をしたら攻撃した後に倒れてしまうかもしれない。
死ぬ、タケミは思わず目を閉じる。
機関銃から銃弾が飛び出す。
「うおおおおおお!!!」
しかしその前にたかゆきが少女へと向かって突っ込んでいく。
のろのろと、ドリルを向けて。
「ははははは!!!」
茜はそんなたかゆきを無視してトリガーを引いて。
「タケミ!」
それを庇うようにたかゆきが前に出る。
当然のようにたかゆきの身体に吸い込まれていく。
「たかゆき!」
「うおらぁ!」
装甲はまだ耐え切れたようだ。
だが、それでも機関銃でもう一度撃たれたらさすがにショートする。
だから、たかゆきはタケミから強引に爆弾を奪い投げつけた。
「……!?」
ドゴンという音と共に強い爆風と破片が飛び散る。
タケミはたかゆきの体が壁となって被害は少なかったが、たかゆきは。
「たか……ゆき?」
煙が巻く間に職種を使って工場の陰に隠れる、少女の視界から綺麗に消えた形になる。
言いたい事はあるが、息を殺して少女の様子を窺う。
少女は煙がはれた瞬間辺りを見渡し、首を捻るときびすを返していった。
「行ったか……」
「う、うん……」
「……なあ、タケミ、助からないんだろ? そんぐらい俺だってわかるよ」
タケミはたかゆきの身体を見ると、所々が破損している。
たかゆきにもビチビチと回路が悲鳴を上げる音が聞こえているのだろう、酷く簡単に根を上げた。
「何で……助けたの?」
「ああん?」
「私を放っておいたら、逃げ切れたんじゃないの?」
「バーカ、俺はそんな冷たい人間じゃねーよ。仲間を見捨てるなんて、出来るか」
「たかゆきは……ロボットでしょ」
タケミにはよくわからなかった。
どこをどう見ても明らかにロボットなたかゆきがどうしてもここまで人間だと言い張るのか。
「俺は人間だって言ってるだろ、俺が人間だと決めた時から、人間なんだ。
……たとえ、世界中の他の人間がなんと言っても関係ないんだよ」
「……意味がわかんないよ、どう見てもたかゆきはロボットじゃないか」
「ああん? じゃあお前の言う人間って何だよ?
見た目か? それなら人工の皮膚をロボットにくっつければそれだけで人間じゃねーか。
逆に五体不満足の奴は人間じゃなくなっちまうぜ、ペースメーカーつけてる奴だってそうだ。 ……サイボーグだって、人間だろ」
「それは……」
「タケミ、お前はどうなんだよ?
お前は変なもん出せるけどよ、人間か? それとも人間じゃないのか?」
その問いにタケミは押し黙る。
タケミは人間ではない、遺跡に眠っていた古代のモンスターだ。
「……お前が人間じゃないって言い張るんならいいけどよ。
でも、それが嫌ならよ、人間だって胸張ってろよ。
文句言われたって気にすんな、他の奴らには好き勝手に言わせとけよ」
「たかゆき……」
「……はん、もう終わりだ。本格的にイカレてキやガった」
たかゆきはそう言うとピチピチと火花を上げる頭を無視して最後の声を放つ。
◇ ◆ ◇ ◆
智美は手元の探知機に目を落としながら工場の中を移動していた。
理由は単純、青野柴夫なる男が一人っきりなったからだ。
今までメカ亀田、プロペラ団が作った失敗作だ、と共に行動していたので声をかけなかった。
だが、一人だけならば話は別。
智美に恨みを抱いていることは間違いないメカ亀田と鉢合わせたくはなかったのだ。
「あ……ああ……」
しかし、目の前にいるのは重傷を負った体付きのいい男が一人。
メカ亀田に捨てられたのは間違いない。
問題はメカ亀田が直接やったのか、捨て駒にされたのか、だ。
「ねえ」
「あん……た……!」
目を見開いてかすれた言葉を出す青野。
その様子を見て智美は確信する、この男は邪魔だと。
この死にも至るであろう傷を負った男をホテルまで連れて行くにはリスクが大きすぎる。
何よりもこの死に体が脱出に役立つとは思えない。
「誰がやったの?」
「機……か……械……」
「機械? メカ亀田のこと?」
「……あ、ああ……!」
知ってるのか? とでも言いたげに視線を向けてくる。
智美はそれを無視して出来るだけ情報を搾り取ろうとする。
「あんたの知り合いは? もちろんここで知り合った人間のことよ」
「……サング……ラス……八……」
「はい? 何て言ったの?」
サングラスはかろうじて聞こえたものの、その後がさっぱり聞き取れない。
「サングラス……や……はち……」
(……ここまで、ね)
智美は懐から拳銃を取り出してトリガーに指をかける。
その動作に青野は再び目を見開き、ニヤりと笑った。
「何? 怖すぎて笑えてきたの?」
「お前……も……殺さ……勝てっこ……」
「お前も殺される、誰々には勝てっこない、ってところかしら。
……お生憎様、私、優勝する気なんてサラサラないの」
彼女にあるのは三橋一郎を生かすという目的だけ。
覚悟はここに飛ばされてから今までの間に済ませた。
後は三橋にとってプラスになるような行動を取るだけだ。
「安心しなさい。
天国に行くのなら私とは二度と会わないし、地獄に行くのなら私の苦しむ様が間近で見れるわ」
◇ ◆ ◇ ◆
智美は手元の探知機に目を落としながら工場の中を移動していた。
理由は単純、青野柴夫なる男が一人っきりなったからだ。
今までメカ亀田、プロペラ団が作った失敗作だ、と共に行動していたので声をかけなかった。
だが、一人だけならば話は別。
智美に恨みを抱いていることは間違いないメカ亀田と鉢合わせたくはなかったのだ。
「あ……ああ……」
しかし、目の前にいるのは重傷を負った体付きのいい男が一人。
メカ亀田に捨てられたのは間違いない。
問題はメカ亀田が直接やったのか、捨て駒にされたのか、だ。
「ねえ」
「あん……た……!」
目を見開いてかすれた言葉を出す青野。
その様子を見て智美は確信する、この男は邪魔だと。
この死にも至るであろう傷を負った男をホテルまで連れて行くにはリスクが大きすぎる。
何よりもこの死に体が脱出に役立つとは思えない。
「誰がやったの?」
「機……か……械……」
「機械? メカ亀田のこと?」
「……あ、ああ……!」
その言葉が言い終わると智美は銃を『仕舞い直す』。
その内に出血多量で死ぬだろう、銃は最後の最後で情報を搾り出すため。
『殺される』となると必死に何かを喋るかもしれないと思ったからだ。
「……死んだ?」
「……」
ピクリともしない、間違いなく死んだのだろう。
罪悪感なんてない、人を殺した事だってあるのだから。
「……メカ亀田は危険、どいつがサングラスかもわからないし、危険人物も絞り込めてない。
お手上げね、見つからないうちにどこかに行くのがベストね」
言い終わると智美はチラリと青野の死体を見て。
「……」
何も言わずに工場を出て行った。
【青野 柴夫@パワプロクンポケット6 死亡】
【B−7/工場周辺/一日目/早朝】
【四路智美@パワプロクンポケット3】
[状態]:健康
[装備]:拳銃(ジュニア・コルト)、探知機
[参戦時期] 3智美ルートで主人公の正体が1主人公だと発覚後。
[道具]:支給品一式、ダイナマイト5本
[思考・状況]
基本:二度と三橋くんを死なさない。
1:しばらく情報集め。
2:人を集めたい。
3:第三放送までにはホテルPAWAに集まる人をどうするか方針を決めたい。
4:亀田の変貌に疑問?
備考
※メカ亀田を危険人物を判断しました。
◇ ◆ ◇ ◆
メカ亀田は工場の中を見渡していた。
先ほどの緑色の髪の少女が来るか、それともあの二人と一体が来るかはわからない。
あの触手のようなものを出した女は恐らくサイボーグかアンドロイドかロボットだろう。
メカ亀田はここを動く気はない、襲われたら迎え撃つ気だ。
工場の内部は元々調べるつもりだったのだ。
それにあの程度の連中なら軽くいなせる自信がメカ亀田にはあった。
「ん?」
そんな考えをしながらメカ亀田が進んでいると、一つの物体を見つける。
少し不審に思いながら警戒をしながら進んでいく。
「青野、でやんすか」
それは倒れこんでいた青野の体だった。
ピクリともしない、死んでいるのだろう。
「やれやれ、お前も運がないでやんすね」
軽くため息をついてマントの下から爪を取り出す。
それを青野の首筋に当てる。
そして、首輪と青野の首をゆっくりと切り離していく。
「意外と早く首輪を手に入れれたでやんすが……」
ここからが問題だ。
今すぐに工具を見つけて解体することは簡単だが。
この首輪は遠隔操作できるということがわかっている。
つまり、首輪を解体している最中に、ボン、という可能性が非常に高いのだ。
(とりあえずはジャミング出来る機械が必要、でやんすか)
ここにあるかどうかもわからない、前途はまだまだ多難だ。
首輪が手に入り工具もあるであろう工場に着いた。
残る必要なものはジャミングを可能とする機械だけ。
(好調、でやんすねえ、面白いぐらい)
そんな都合のいい展開に逆に不安に思いながら、メカ亀田は工場の中を歩き回った。
逃亡生活のお陰で工場には縁がある。
それゆえにあの緑色の女が隠れていた荷物の山が隠れるためのものだと気付いたのだから。
メカ亀田は目的を果たすために工場を探索する。
◇ ◆ ◇ ◆
メカ亀田は工場の中を見渡していた。
先ほどの緑色の髪の少女が来るか、それともあの二人と一体が来るかはわからない。
あの触手のようなものを出した女は恐らくサイボーグかアンドロイドかロボットだろう。
メカ亀田はここを動く気はない、襲われたら迎え撃つ気だ。
工場の内部は元々調べるつもりだったのだ。
それにあの程度の連中なら軽くいなせる自信がメカ亀田にはあった。
「ん?」
そんな考えをしながらメカ亀田が進んでいると、一つの物体を見つける。
少し不審に思いながら警戒をしながら進んでいく。
「青野、でやんすか」
それは倒れこんでいた青野の体だった。
ピクリともしない、死んでいるのだろう。
「やれやれ、お前も運がないでやんすね」
軽くため息をついてマントの下から爪を取り出す。
それを青野の首筋に当てる。
そして、首輪と青野の首をゆっくりと切り離していく。
「意外と早く首輪を手に入れれたでやんすが……」
ここからが問題だ。
今すぐに工具を見つけて解体することは簡単だが。
この首輪は遠隔操作できるということがわかっている。
つまり、首輪を解体している最中に、ボン、という可能性が非常に高いのだ。
(とりあえずはジャミング出来る機械が必要、でやんすか)
ここにあるかどうかもわからない、前途はまだまだ多難だ。
首輪が手に入り工具もあるであろう工場に着いた。
残る必要なものはジャミングを可能とする機械だけ。
(好調、でやんすねえ、面白いぐらい)
そんな都合のいい展開に逆に不安に思いながら、メカ亀田は工場の中を歩き回った。
逃亡生活のお陰で工場には縁がある。
それゆえにあの緑色の女が隠れていた荷物の山が隠れるためのものだと気付いたのだから。
メカ亀田は目的を果たすために工場を探索する。
【B−7/工場周辺/一日目/早朝】
【メカ亀田@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:損傷なし
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個、青野の首輪
[思考]
基本:『殺し合い』を失敗させた後に亀田を殺す
1:工具とジャミング用の機会を見つける。
2:脱出のために役立ちそうな人間を優先して仲間にする
4:サングラスの男(灰原)に激しい殺意と敵意
[備考]
※参加時期は不明
※メカ亀田は灰原の名前は知りません
※自動追尾ミサイルとバリアーは没収されています
※青野の情報は全部嘘だと思っています。
※十波典明、タケミ、たかゆき、高坂茜の名前を知りません
◇ ◆ ◇ ◆
彼は緑色の草原をデイバックを背負って駆けていた。
気がつくとここに居たが彼には対して関係のない話だ。
いつものように人間をからかった、大きな身体をした人間が慌てふためく姿は酷く滑稽だった。
そしてまた一匹、人間を見つけた。
こいつもからかってやろうと思い、ゆっくりと近づいていく。
あの身体つきならばこのぐらいの距離を空けていれば十分に逃げられる。
さあ、そろそろ鳴き声を上げようと思うと。
「うきぃ!?」
「……はははは、やっと見つけたですよお猿さん」
先ほどの歩くスピードとは一転素早い動きをされて彼は捕まえられてしまう。
必死に抵抗するが上手く力が入らない。
「何でお猿さんがデイバックを持ってるのかは知らないですが……もらっておきましょう。
そのためにあの二人を見逃したんですから」
「うきぃい!」
「……うるさいです」
人間は手に持っていたよくわからないものを持ち上げ。
ズガガガン!
という音が聞こえると同時に、彼は意識を手放した。
【猿@パワプロクンポケット4 死亡】
【B−7/工場周辺/一日目/早朝】
【高坂 茜@パワプロクンポケット8】
[状態]:幸せ、早く殺したい
[装備]:機関銃
[道具]:支給品一式、アップテンポ電波、予備弾セット(各種弾薬百発ずつ)、不明支給品2〜3
[思考・状況]
基本:みんな殺して幸せな家庭を取り戻す。
1:人を殺すために人の居るところへと向かう
備考
※メカ亀田とタケミを危険人物を認識しました
【残り 46人】
代理投下終了です、ひとつ重複させてしまってすいませんでした
さて、早速読んできます
改めまして投下乙です
メカ亀田も段々凄みが出てきたなあ
タケミにメカ亀田に智美までいるなんて、工場周辺は地獄だぜ
いずれもそれなりに頭を使うタイプだから困ったもんだ
そして猿にワロタ、死んじゃったよこの猿w
投下&代理投下乙です
メカ亀田、正に危険対主催と呼ぶに相応しい行動だ
青野がまるでアイテムのようだw
一番人間らしからぬタカユキが、この中で一番の人格者に見えてくるから困る
猿、お前なんのために出てきたんだw
聞きたい事も色々あるのに過疎ってるなぁ
投下乙!
たかゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
タケミとたかゆきの状態表がありませんね
>>361 YOU、遠慮しないでどんどん聞いちゃいなよ!
どうでもいいけど、ここのロワの今居る書き手さんand書き手志望の人で一回チャットとかやってみたいと思ってる俺
今度の方針とか軽ーく聞いてみてみたい
何かデジャビュ?w
じゃあ遠慮なく聞かせて貰おうかな〜
10のカズってさ、デフォだと紫杏と結構深い関わりあるよね?
でもカズルートだと紫杏とは只のクラスメートにしか見えなくてさぁ…
これってロワ内ではどう扱えばいいのかな?
チャット?書き手志望で参加してみたいかもw
>>364 それぞれのルートに応じた情報を軸に、後は書き手の匙加減任せって感じかな
例えば、カズルートから参戦のカズは、紫杏が只のクラスメート?として接する感じで、
紫杏は紫杏でカズルートで紫杏が知らない事を知ってても良いと思う
ごめん、ぶっちゃけハッキリとした事はいえないや
なるほど、時間軸での情報のズレはそのまま引き摺っていい訳だな!
…ってのも極端かw ありがとう、参考になったよ
とりあえず、カズルートでの紫杏はどんななのか攻略しなおしてみようかな
投下乙!
たかゆき死んでしまったか。
良い死様だったぜ!
タケミは成長出来るのかな?
青野…盾として良い活躍だった…!
お陰でメカ亀田は無傷だ
まあステルスとしては駄目駄目だったけど。
そして猿…運が悪かったね。
茜強化に一役かったのはある意味成功と言えば成功だけど。
チャットするなら出来れば携帯からも参加出来る所を希望しときます。
投下乙でした
このスケールは工場の乱とでも言うべきだろうか…
たかゆき&青野はお疲れ様、死者スレでごゆっくり
それにしても第一放送を前に何というハイペースで死んでるんだwww
投下乙!
たかゆきと武美の最後の会話がいい味だしてるな
それとメカ亀田は一応対主催なんだよな…見かけが怪しすぎるけどwww
青野はまぁ、こんなもんじゃね?
……よく見ると予約の期限が切れてるでやんす
氏は見てたら予約スレに書き込みをしてくださいでやんす
はじめに、予約期限を勘違いしてて延長申請が遅れた事をお詫び致します、すいませんでした。
そしてそれを気付かせてくれた
>>371さんありがとうございました
では、遅れましたが投下します
小波走太は夜道をただただ歩き続けていた。
その3メートル程前には真央が、走太の様子を窺いながら、ゆっくりとどこかに向かっていく。
走太はそれに付いて行く格好となっている。
(どこに行くのかなー。
でも、他に信じられる人も居ないからな……)
走太がそんな事をぼんやりと考えている間も、真央は歩くのを止めない。
時折走太の様子を振り返って確認したりしているが、それでも走太は追いつくだけでも結構な労力を費やしている。
いくら走太が少年野球の『ヒーロー』であったとしても、所詮は小学生である。
本物の『ヒーロー』である真央が普通に歩けば、どちらが速くなるかは言うまでも無い。
そんなこんなで走太が軽く息を切らしてきたところで、突然、真央の歩みは止まった。
「……下がってて」
どうやら他の参加者に出くわしたようだ。
真央は奇襲にも対処出来るように身構えている。
相対する真央と、大きな影が二つ。
その場に緊張した雰囲気が広がっていく。
◆ ◆ ◆
先に声をかけてきたのは相手の方だった。
一人の男が前に進み出て、真央に接触を試みる。
なるべく敵意が無いように、両手を上げた状態で近づいてくる。
2、3メートルまで近づいてきた所で、ようやくその男は第一声を発した。
「初めまして。
俺は八神、八神総八郎だ。
プロ野球のホッパーズでピッチャーをやってるけど、知ってる人はいるかな?」
◇ ◇ ◇
大江さんと病院に向かっていた俺は、その道中で二つの影を見つけた。
体格的には恐らく、二人とも中学生くらいの子供といったところだろうか。
子供だからといって油断していい訳は無いが、まさか見殺しにする訳にもいかないだろう。
元から仲間を集める方針ではあったし、何か役立つ支給品を持っている可能性も考慮すると、接触する価値もあるだろう。
だから俺は思い切って彼らに接触する事を決めた。
いきなり本名を明かすのは少し躊躇したが、警戒心を少しでも解くためには止むを得ないだろう。
ホッパーズの事も、プロ野球選手というなら多少は安心されるかもしれないし、隠しておくメリットも無さそうなので、先に明かしておく。
そしてそれが功を奏したのか、なんとか会話に持ち込む事に成功した。
◇ ◇ ◇
「……私は正義の味方。
あなたたちは……?」
「う〜ん、まあ俺達も正義の味方みたいなもんかな。
いきなり俺達を拉致した挙句に、こんな殺し合いをさせるなんて許されるはずが無い。
亀田をこのまま野放しにしてはいけない、だから皆で協力して亀田を倒さなきゃいけない。
俺はこう考えているんだけど、君達はどう思う?」
「……私も、……そう思う」
「そうか。なら君達に一つ提案がある。
俺達と一緒に行動しないか?
さっきも言ったとおり、亀田を倒すためには出来る限り皆で協力しなきゃいけないから」
「……分かった」
「ありがとう。えーと、名前は何て言うんだっけ?」
「……芹沢」
「そうか、芹沢さんか。これからよろしく頼むよ。
それじゃとりあえず今は───
◆ ◆ ◆
次々と話を進めていく八神と真央。
その順調さにに一番驚いていたのは、他でもない八神総八郎本人だった。
CCRのエージェントとして活動していた時もこのような交渉を展開した経験はあったが、ここまでとんとん拍子に事が進んだ事は殆ど無かっただろう。
一応、何か裏があるかもしれないと自分に注意を促してはいるが、ある程度は信頼した上で話を続けていく。
疑いの心を持つ事も大切だが、相手を信用する心が無いといざと言う時に躊躇して後手に回ってしまう可能性がある。
もしそれが生死を争う状況だったなら、取り返しの付かない事になるかもしれない。
八神としては、それは避けたかった。
人に裏切られて何かを失敗するなら、信用を得られなかった自分が無力だったと言い訳も出来る。
だが、自分が人を信じなかったせいで取り返しのつかない事をしてしまっては、悔やんでも悔やみきれない。
ここが殺し合いの場であるなら尚更だ、こんな所で人を死なせるつもりはない。
八神は真央との会話を続けながら、そんな事を考えていた。
しかし、本人すら気付いていないものの、八神が真央を信じたい理由は他にもあった。
それは真央との短いやり取りの中に感じた、真央の純粋さに惹かれていた事なのかもしれない──
◆ ◆ ◆
そんなこんなで話はさらに進み、長くなりそうだからと、一行は近くにあったホテルのロビーで休憩を取りながら情報を交換していた。
今まで置いてけぼりといった感じだった和那と走太も含め、全員の自己紹介も済ませていた。
八神と和那、真央と走太が、それぞれこの場でここまでにあった出来事などを、互いに報告し合っている。
さらに八神は時間のズレについての考察も簡単に説明していた。
真央や走太がこの場所に呼ばれた日時も、八神や和那のそれとはまた異なっているのを確認し、八神は時間のズレの存在を確信する。
しかしそれが分かったところで今は何の役にも立たない。
まずはこれからどうするか、それが話し合いの焦点となった。
時計の針は午前4時を回っている、遅くとも日が昇る頃には行動を始めたい。
そう考えた八神は、ひとまず病院に行くことを提案する。
これに対して特に反対意見も無かったので、すぐに一同は出発する事となった。
それから、出発に向けて一通り荷物をまとめ終わった和那が、走太が荷物をまとめるのを手伝っている八神に、後ろからそっと声をかける。
「あ、八神さん、ちょっと待ってもらってていいかな?」
「ん、どうかしたかい?」
何の気なしに振り返って応える八神。
彼は走太ともそれなりに仲良くやっているようである。
それに対し和那は少し赤面しながら、
「んー、その、何というか、女の子には色々あるんですー。
けどすぐ帰ってくるから。あ、芹沢さんも一緒に行こか、な!
それじゃー」
と、強引に真央の手を引っ張りながら、和那はホテルの廊下を駆けていった。
◆ ◆ ◆
和那が走り出して数秒、既に八神の視界からは見えない位置に居る二人は、走るのを止めて二人で駄弁りながら歩いていた。
無理やり手を引っ張られて連れて来られた真央も、まんざらでもない様子である。
「ごめんなー、無理やり連れて来てもうて。
まあこれから行動を共にする仲や、大目に見たってや」
「……気にしてない」
「そうか、それならありがたいんやけど。
ところで、芹沢さんは下の名前は何て言うの?
あ、ウチの事はカズって呼んでええよ」
「……マオ、芹沢真央」
「そーか、ええ名前やなー。
よろしくな、真央!」
「……よろしく…………カズ」
それからも他愛もない話をしている内に、和那は探していたものへと辿り着いた。
《W.C.》
「あ、やっと着いたー。付き合わせてホントごめんねー。
じゃあ、ちょっとだけ待っててーな」
真央にそれだけ告げると、和那はそそくさと中に入ろうとする。
しかし下手に慌てた事が仇となり、次の瞬間
ゴツン☆
和那の頭が天井にクリーンヒットした。
・・・・・
「あーもう最悪やー。
こんな場所さっさと帰りたいわー。
大体なんでこんなに天井低いねん─」
和那は半泣きになりながら愚痴をこぼしている。
「……くす」
「あー、笑たなー。
ひどいわホンマにぃー」
「……笑ってない」
「ウソやー、確かに笑ってだでー。
もうええわ、ちゃっちゃとやる事済ませてはよ戻るで。
すぐ戻るから待っててな」
真央は無言で頷くのを見てから、今度は頭上に気をつけて、和那は中へと入っていく。
真央が和那に見せた笑顔は、今日この殺し合いの場では初めて見せた笑顔だった。
◇ ◇ ◇
その後和那の用も済み、4人は再びロビーに揃っていた。
途中八神を待たせすぎたと心配した和那が、真央との追いかけっこを提案し、真央がそれに乗ったためにちょっとしたレースが繰り広げられていた。
結果は真央の辛勝で終わったが、和那は負けた悔しさよりも何か引っ掛かる物を感じる事となる。
(なんつーか、身体がやけに重いなー。
別に体調が悪いわけでもないのに、走ったら急に変な違和感が……)
「よーし、じゃあそろそろ出発しようか」
「オー!」
和那はその違和感の正体を探ろうとしていたが、八神と走太の一声により思考が中断されてしまったまま、気付けば考えるのを止めていた。
◆ ◆ ◆
それからは、一行はとにかく歩き続けた。
と言っても黙々と歩き続けたわけでもなく、走太は八神のチームメイトにまつわる話を聞いて更なる好奇心をつのらせ、和那は真央に自分の高校の話の突飛な様を楽しそうに語っている。
傍から見るとまるでピクニックに行くのかのような団欒ぶりで、ここが殺し合いの場である事を思わず忘れそうになる。
しかしながらそれも長くは続かず、目的地の病院を前にして、一行は気を引き締めなおす。
八神は周囲を見回し、病院の大体の広さを見積もっている。
入り口のガラス扉からは、中の構造も何となく感じ取ることも出来る。
「さて、まずはどうしようか。
折角4人居ることだし、二手に分かれて探索するって手もあるけど」
しかし間髪を入れずに和那がその提案に反発する。
「それは危ないんとちゃいですか?
仮にもウチと真央は、その、かよわい女の子ですし」
「う〜ん……、それもそうだな。
よし、じゃあ皆で固まって行動しよう。
まずはもしもの時の医療用の道具を探す、次に何か武器や防具になりそうなものを探す。
後は何でもいいから役立ちそうな情報を探しながら、亀田からの放送を待つ。
これでいいね?」
これに異議を唱える者は誰もいなかったので、4人の当面の目的が定まった。
早速先頭を切って八神が病院内に入ろうとする。
だがその時──
「……近くで血の臭いがする……。行かなきゃ……。
……カズ、八神…………さん、走太をお願い……」
言い終わるやいなや、真央は全力疾走で走り出す。
八神は慌てて振り向き、和那は走って止めようとするが、先程競走をした時とは比べものにならないスピードに思わず驚愕する。
「待ってくれ芹沢さん!」
「──なっ、早ッ!」
そして誰よりも衝撃を受けていたのは、
「お……、お姉さん……?」
自分を人殺しの魔の手から守り、寡黙ながらも頼もしかったお姉さん、短い付き合いだけれども感謝しても感謝しきれない。
彼女が居なかったなら今の自分はない。
そんな彼女が突然自分を置いて行ってしまった。
走太はその事実に、悲しみを通り越して呆然としていた。
【G-6/病院/一日目/早朝】
【八神総八郎@パワプロクンポケット8表】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1〜3)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:病院で真央を待ってみる?
2:仲間を集めるor首輪を外す。
3:亀田についての情報が欲しい。
[備考]
※走太と真央から、彼らにこれまでであった話を聞きました。
※六尺棒を持った危険人物(浜野朱里)が居る事を認識しました。ただし、名前及び身体的特徴については把握していません。
【大江和那@パワプロクンポケット10表】
[状態]健康、頭にたんこぶ
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1〜3)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:病院で真央を待ってみる?
2:仲間を集めるor首輪を外す。
3:知り合いがいたら助けたい。
[備考]
※走太と真央から、彼らにこれまでであった話を聞きました。
※六尺棒を持った危険人物(浜野朱里)が居る事を認識しました、ただし、名前及び身体的特徴については把握していません。
※重力操作の能力にかけられた制限の存在に漠然と気付きました。
【小波走太@パワポケダッシュ】
[状態]:健康、軽い擦り傷
[装備]:ガンバーズのユニフォーム、スニーカー
[道具]:支給品一式(ランダムアイテム不明)
[思考]
基本:生還し親父を復活させる
1:お姉さん……?
2:八神達に着いて行く。
3:人は殺さない。
4:真央、八神、和那を少し信頼。
[備考]
※参加時期は最後の大会の前から、誰ルートかは後続の書き手さんにお任せします
※走太の声がどこまで響いたかは後続の書き手にお任せします。
※八神、大江と情報交換をしました。
じえん
支援
◆ ◆ ◆
「ハア……ハア……」
結局、俺は病院を目指すことにした。
止血をしたといっても完全なものではないので、ゆっくりと、しかし着実と血が引いていくような感覚に襲われる。
さらには身体のあちこちが痛むし、長時間歩く気力も無い。
こんな状態で比較的距離がある診療所まで行くのは辛い。
そう考えて俺は一刻も早く病院に辿り着こうとしている。
しかし、病院まで歩くのも辛くなってきた。
このまま一眠りしたいくらいだが、もしも敵に遭遇したら今度こそ命は無いだろう。
だから気合だけでも俺は歩き続ける。
どんどん息が荒くなっていくが、それくらいは我慢するしかない。
それまでに殺し合いに乗った参加者に会わないように願いながら、歯をくいしばって歩いていく。
足も踏ん張りが利かなくなってきて何回も転び、そして跪きながらも懸命に進んでいく。
丁度7回転んだ頃だろうか、俺はそれまでと同じように顔を上げようとして、気付いた。
目の前に居た、黒い『ヒーロー』の存在に。
【G-5/G-6との境目付近/一日目/早朝】
【萩原新六@パワプロクンポケット6】
[状態]:左腕欠損、腹部に軽度の切り傷、貧血(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、野球用具一式(バット8本、ボール7球、グローブ8つ)@現実、野球超人伝@パワプロクンポケットシリーズ、パワビタD@パワプロクンポケットシリーズ、自身の左腕
[思考・状況]
1:敵か? 味方か……?
2:病院でしっかり手当をしたい。出来れば仲間も見つけたい。
3:野球超人伝を後でじっくりと読みたい。
4:元の世界に戻って犯人を捕まえる。
【芹沢真央@パワプロクンポケット7】
[状態]:特に異常なし
[装備]:私服
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1〜3個
[思考]
基本:弱きを守り悪を挫く『正義の味方』を貫く
1:目の前の重傷者が『悪』であるなら成敗する。そうでないのなら助ける。
2:人を守る。
[備考]
※参加時期は黒打くんにアメコミのヒーローについて教えてもらった後
※八神、大江と情報交換をしました。
投下乙!
不明支給品だらけの強力対主催チーム結成か
みんなして真央にフラグ立てるなwwwww
代理投下終了
↓ここから感想↓
ふむ、安心して見れる対主催グループだ
未来人のお陰で八神さんの推理にも箔付けが出来て万々歳だな
近くに浜野がいて隊長と三橋くんが迫ってきてるけど気にするな!
代理投下ありがとうございました
したらばにも書きましたが誤字とかありましたらどんどん言っちゃって下さい
投稿乙です。
これで萩原くんは助かるかな?
対主催者グループ結成だけど向かっている強力なマーダー達から生きて帰れるのだろうか…。
特に小波くんと萩原くん…頑張ってもらいたい所だ。
投下乙です
現時点で一番まとまってる対主催チームだなー
6主もなんとかなりそうだし
この強力チームをチートマーダー達がどうやって崩していくのかも楽しみだ
390 :
地図製作者:2008/09/30(火) 18:21:30 ID:zxjPoMUP0
今更ですが少し気になる事を見つけたので報告を
位置がカズ・八神・走太の位置がG-5の病院とありますが病院はF-6です
それは誤字だと思うのですがその場合真央と荻原の場所はどうすればいいですか?
『F-6/F-7との境目付近』でしょうか、『F-6/G-6との境目付近』でしょうか?
>>390 報告ありがとうございます
【G-6/病院/一日目/早朝】 となっているのは誤字で、正しくは【F-6/病院/一日目/早朝】ですね
wikiの方では修正しておきます
真央と荻原の位置は【G-5/G-6との境目付近/一日目/早朝】 となっていますが、これは訂正はありません
ttp://www33.atwiki.jp/pawapokerowa/?plugin=ref&serial=5で、『三橋』と書いてある所の少し下の辺りをイメージしていただけると助かります
三橋はどこに行ったんだ、という話になりそうですが、彼はきっとどこか別に場所に行ったのでしょう
……そういうことにしておいて下さい
それと、いつも地図やwikiの更新ありがとうございます
地図更新乙です。
工場地帯の密集率が凄いな…。
灰原隊長も近くにいるし下手すれば何人か死人でるかな?
地図更新毎度乙です
死者スレ自重www
投下します、短めです
鼻に大きな絆創膏をつけた男、平山紀之は物音が一つもしない静かな街の中を歩いていた。
辺りを見渡したながら移動してきたが、人の姿は全く見えない。
さすがに二時間近く歩き続けていては、いい加減気も滅入ってくる。
よって平山は少し休憩しようと思って近くの家に入り込んだ。
「しっかし、これからどうするかねえ……」
平山の頭はお世辞にも良いとは言えない。
第一に頭が良ければ極亜久高校になんかじゃなくてもっとまともな高校に入っている。
もちろん喧嘩だって強いわけでもない、おまけに特技らしい特技もないと来ている。
平山紀之と言う男は甲子園を優勝したことがあるという点をのぞけば何処にでもいる平凡な高校生なのだ。
だから『あの亀田とか言う男を潰す』と言っても、具体的な方法は何一つとして思いつかないのだ。
「ちくしょー……こんな時にキャプテンがいてくれればよぉ……」
彼の頭の中に浮かんだのは元空手部で喧嘩の強い村上でもなく、いつも冷静で頭の回転の速い水原でもなかった。
一人で極亜久高校野球部を作り直して、平山たち素人集団を甲子園優勝まで導いた三橋一郎だった。
平山が出会った人間の中で最も大きな器を持つ、どんな逆境に立たされても諦めなかった男だ。
「キャプテンならあの亀田って野郎のことを許せるはずがねえ……!」
平山の知っている三橋と言う男は殺し合いなんて曲がったことを許せるわけがない。
ましてや親友だった亀田の名前を語っているのだ、怒りも倍増だろう。
「……でも、そのキャプテンもここにいるかどうかわからねえんだよなあ……」
殺し合いなんて場所にいない方が良い、そんなことは平山だってわかっている。
こんな糞ったれた殺し合いなんてものに巻き込まれない方が良いのだ。
それでも、三橋が居てくれれば、と弱気になってしまうのだ。
「ま、当分はこの『ピンチ○』って言うので安全だろうけどな!」
平山を無理やり弾んだ声を出しながら四角いプレートを眺める。
これを持っていたから突然飛んできた弾を避ける事が出来たのだ、持っている限りは安心だ。
効果を知っているだけに安心できる、
「……ま、一人でやるしかねえよなあ」
このピンチ○に頼りながら何とかして亀田を倒す。
詳しい方法やその後どうやってこの島から脱出するかなんては全く考えていない。
平山は『亀田』と言う名前の男が悪事をやっていることがどうしても許す事が出来ない。
亀田とはバッテリーを組んでいたため、仲が良かった。
二十にもならずに死んでしまった亀田を汚されているように感じてしまうのだから。
「……キャプテンが居るんならキャプテンと合流してえなあ」
だが、亀田が憎いとは言っても怖いことには変わりがない。
出来ることなら信頼できる人間と一緒に行動したい、彼は人殺しはしたくないのだから。
「……チクショー頭使いすぎだ、何か食べよう!」
柄にもなく頭を働かせた過ぎたのか、腹が空腹を告げる音を出す。
腹が減っては何とやら、平山は一先ず食事を終えてから動き出すことにした。【D−2/民家/一日目/黎明】
【平山紀之@パワプロクンポケット】
[状態]:健康
[装備]:無し
[参戦時期]ED後(亀田死亡ルート)
[道具]:支給品一式、ピンチ○、ランダムアイテム残り0〜2個
[思考・状況]
基本:ゲームをブチ壊す!
1:とりあえず何か食べる。
2:知り合いに会って協力したい。(特に三橋と合流したい)
3:死にたくない。
[備考]
※ピンチ○は特殊な効果を持つ支給品だと思っています。
※残りの支給品は以降の書き手にお任せします。
投下終了です
タイトルは
五、六年もあれば爽やかな青年も悪の手先に変わってしまうことを彼は知らない
です
投下乙です
平山、またヤバいフラグを立てやがって・・・w
投稿乙です。
平山もアルベルトと同じ様な死に方をしてしまうのか…!
投下乙です
一郎と再会したら彼はどうなるんだろうか・・・
あと、誤字っぽいのを一つ
>ましてや親友だった亀田の名前を語っているのだ、怒りも倍増だろう。
語っている→騙っているだと思うのですが、間違いじゃなかったらスルーしてください
>>402 返答が遅れましたがご指摘ありがとうございます
ご指摘の通り誤字ですので修正しておきます
スーパー保守
勝ち抜くことを義務づけられた男達がいる
敗者に明日は訪れない
勝利者だけが生き残る権利を与えられる……
グッピーの煽り文ってバトルロワイアルに当てはめても違和感ないな
そういえば11の情報ってどれくらい出てるんだろう
ほっしゅほっしゅほっしゅっしゅ
支援しえーん
保守するくらいなら何か話題を振ろうぜ
書きたいんだけど、時間がないし、受験もあるんだよね
何とか来年の3月までは続いて欲しい
今ひとつ書いてるから待っててね!
保守
11の情報でてるらしいね
11がでたら過疎が更に進行するんじゃないだろうか…
11になったら宣伝効果みたくここも書き手さんが増えてくれるといいね
ここはレベルも高いし質もいい書き手さんばかり居てくれるから良いが、
その分キャラ口調性格流れのわかってないにわかさんが増えるのは勘弁
携帯ゲーでなくゲサロにいるんだから11の宣伝効果は効果ないだろ
携帯ゲー行けば目立つかもしれんが絶対荒れる
予約キテタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
博士の出番ようやくキタ━(゚∀゚)━!!
予約がもう一つキタよ!
まあ鋼か明日香のどっちになるかは知らんが……
_人人人人人人人人人人人人人人人_
> ゆっくりしんでいってね!!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
、┘ヽ-‐ ─ ‐- 、__ _,,.--‐‐ 一 ‐-..,,_
. /' く. /::::::::::::::::::::::::::::::\
/ Σ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
| vハ .、 > ヽ:::/ヘ::::::::::::::::::::::::::::::|
| ノ\(\\| Xハ_ \ !(--、 ゝ'\Nヘw:::::::::|
.) | (ヒ_] ヒ_ン|  ̄ |:::::::|‐|:::::::::::::|‐|::::::::|
< .|'" ,__, "'|>. 'i一' 'ー─'' |:::::丿
ゝ、_ _ ゝ ヽ_ン .人. |'" ,__, "' .|:::::<
/,,..,'>、ー---,イ、「 >,_ヽ_ン __ , <-、‐'
.  ̄
うほっ、今日の予約はもしかして新規の書き手さんか!?
新規ktkr
流れにのってこのまま第一放送突破できないものか…
予約がまたキテタ━━(゚∀゚)━━!!
でも何の前触れも無くレッド達と別れてていいのかな?
個人的な意見だけど内容によっては何とかなるんじゃないかな?
投下します
「……クソッ!」
俺は壁を思いっきり叩く。
先ほど殺したアルベルトの顔が頭にこびりついている。
手をさし伸ばしてきた時のあの顔、俺が殺そうとしていることなんて全く考えていない無邪気な顔。
それは極亜久高校で初めて会った時から全く変わっていない。
「違う……! 俺は、俺は……!」
俺には亀田くんさえいればそれで良いんだ。
彼に親友だと言われた時に感じた嬉しさは今まで感じた事がなかった。
だから、俺には亀田くんが一番で、他の人間なんて……
『おーう、ナイスな肩をしていまーす』
「違う……!」
頭によぎるアルベルトの顔を叫び声でかき消す。
俺は後悔なんてしていない。
いつものように亀田くんのために動いて、亀田くんも俺を最大限助けてくれて。
そうやってきたんだ、俺が失敗する事は亀田くんも失敗する事なんだから。
「……いつまでもここにいるわけには行かないな」
誰に言うまでもなく呟く。
この家に電気はちゃんと通っているようだ、充電も終わった。
「……何でも、ないんだ」
デイバッグを背負いなおし、アルベルトと名も知らない男の血のついた鬼の手を撫でる。
俺はこれから何人もの命をこれで奪っていく。
亀田君のために、自分のために。
恨みもなければ憎くもない、アルベルトのような人間の命を奪っていくのだ。
「……なんでも、ないはずだろ、そんなこと。
俺は、俺は……人間じゃないんだから……」
自分に言い聞かしながら、俺はゆっくりと民家から出て行った。
◆ ◆ ◆
私は少し痛む頭を抑えながら進藤という女子高生と鋼という男と共に監視カメラを眺めていた。
先ほどの電話に自分以外の誰かを出してしまったのは失策だ。
まさか、鋼が御丁寧にも名前と現在地を言ってしまうほどお人よしだとは思えなかった。
あれに出ていたのが自分ならば名前も現在地も明かさずに情報だけを搾り取れる自信はある。
鋼の話を聞く限り出たのは女子高生、その程度の年齢ならば手玉に取れる。
もちろん、その搾り取った情報が正しいか嘘かどうかまで完璧にはわからないが。
「あと二時間ほど、それで放送が流れるはずです。
移動しながらそれを聞くよりもここで落ち着いて聞いた方がいいでしょう」
ここは監視カメラがある、まだ薄暗い外を三人でうろつくよりは便利なはずだ。
出入り口を監視カメラで見張っている限り、外よりは何倍も安全だろう。
そのため、体が弱い自己申告した進藤さんには横になってもらっている。
よほど気を張っていたのか、直ぐに眠ってしまった。
放送を聞いた後にちょうど対角線上にある研究所に向かう予定なので休んでもらっておいた方が良い。
「……曽根村、人だ」
「もう来ましたか……」
そんな風にこれからのことについて考えていると
監視カメラに移った人影は一つ。
ユニフォームを着た、体付きのいい成人男性。
禍々しい化物ような手をしている、一目でおかしい人物だとわかる。
ただヒーローのコスチュームをしていない事から電話の人物の言っていた『ブラック』ではないようだ。
「いずれにせよ……逃げるべきですね」
あの手を見る限りまともな人間とは思えない。
危険であろう人物にわざわざこちらから近づく必要はない。
「いや、ちょっと待て。こいつは……ひょっとすると」
「どうしました?」
少し考え込む鋼を尻目に道具をデイバックの中に仕舞いなおす曽根村。
鋼は少し考えた後に―――。
「この男は俺の知り合いだ」
「……本当ですか?」
「ああ、こいつは信用できる。少なくとも俺の知り合いの中では一番にな」
鋼はひどく自信に満ち溢れた顔で頷きながら言う。
私はもう一度カメラ越しに男の顔を眺める。
顔自体はどこにでもいそうな、平凡な顔付き。
体付きはがっちりとしている、服装から考えると野球をしていたのだろう。
この解像度が低いカメラではそれぐらいしかわからない。
「……鋼さん、本当にこの人は信用できますか?」
「ああ、悪事には人一倍嫌悪感を表す奴だと俺は思っている」
……さて、どうするか。
正直な話を言うとこれ以上大人数で行動するのは避けたいところだ。
移動中に目立ちやすくなるし、何より裏で動きづらくなってしまう。
「鋼さん、ここは貴方に任せます。
私は念のためにここにいます、彼が危険のない人物だと判断したらここに連れてきてください」
「わかった、では行って来る」
「銃は?」
「大丈夫だ、必要な事態にはまずならん」
鋼は野球ボールの入ったデイバックを持って部屋を出て行った。
「……さて、どうしますかね」
仮眠を取っている進藤さんと私だけが取り残された。
画面の中の男は慎重に、ゆっくりと動いてる。
恐らく男がこの部屋にたどり着くよりも鋼が接触する方が先だろう。
(まあ、逃げる準備はしておきますかね。
それにしても銃も持っていかないとはよっぽど信用しているんですね、私から見れば怪しいものですが)
鋼は信用できる人間だと言っていたが、こんな状況ではそれも怪しいものだ。
男はまだ若い、死の恐怖に囚われて人を殺してもおかしなことではない。
「う……ん…」
「おや、目を覚ましたか進藤さん」
どうやら少し騒がしかったようだ。
進藤さんは寝ぼけ眼を擦りながら体を起こす。
「おはようございます、鋼さんは少し知り合いを見つけたらしいので確認に行きましたよ」
「知り合い……?」
「ええ、この人です」
私は身体をそらして画面を進藤さんに見せるようにする。
進藤さんは少し眠そうな目をしたままその画面を眺めて――。
「三橋くん!?」
と、大きな声を上げて素早くこの部屋から出て行った。
「進藤さん! 何処へ行くんですか!?」
その背中に声をかけても振り返る気配すらせずに走っていく。
先ほど私が追いかけたときと同じかそれ以上の速さ。
まさか知り合いだったとは、少し無用心過ぎたかも知れない。
「……さて、どうしますかねっ……!」
今度は少し歯軋りをしながら、私はそう呟いた。
【H-6/水族館/一日目/早朝】
【曽根村@パワプロクンポケット2】
[状態]右手首打撲
[装備]ナイフ、ブロウニング拳銃(6/6、予備弾数30発)
[道具]なし
[思考]
基本:戦闘は鋼に任せ漁夫の利で優勝を目指す
1:さて、どうしますかね……!
2:二人の信頼を得る
3:高科奈緒に対して疑心
4:放送の後、研究所へと向かう
しえーん
◆ ◆ ◆
「三橋!」
少し用心しながら水族館の中を歩いていると、背後から声をかけられる。
俺は素早く振り返り鬼の手を突き出すようにして身構えると、そこには見知った顔がいた。
「鋼……か?」
「ああ、俺だ。まさかお前とこんな所で再開するとはな」
その男は火星オクトパスでチームメイトだった鋼だった。
腕っ節の強い、鋭い目をした男。
「……鋼、一つ聞きたい事がある。お前は殺し合いに乗っているのか?」
亀田くんの目的のためにも頷いて欲しいと言う気持ちと、心のどこかで否定して欲しいという気持ちが
合い混ざったまま訊ねる。
変なことだな、鋼が頷けば俺は鋼を殺さずに済むし、亀田くんの目的もスムーズに行われるじゃないか。
ただ、答えは決まっているだろう。
この男は恐らく――。
「馬鹿を言うな、そんなわけはないだろう」
――――ああ、そうだよな。
多分、そういうと思っていたよ。
これから鋼を殺さなければ行けないと言う辛い気持ちと、変な気持ちを抱えたまま顔を上げる。
俺はどんな顔をしているのだろうか。
辛い顔か、清々しい顔か、犯罪者のような腐った顔か。
「そうか――――じゃあ、さよならだ」
そう言うと同時に俺は地面を蹴って鋼へと近づく。
一瞬で懐に潜り込む、鋼も不意を突かれた様で反応が遅れる。
これでこの鬼の手を胸に突き刺せば鋼は死ぬ。
『オーウ、ボーイはグッドなフットをしていますねー』
(!?)
その瞬間、アルベルトの顔が浮かび僅かに動きが止まる。
そして、その間に鋼が前蹴りを入れて吹っ飛ばされてしまう。
さすが言うべきかかなりのキック力だ。
チンピラでは集団でやらなければ敵わない、そんなことをオクトパスの社員が言っていたことを思い出す。
「三橋……貴様まさか!」
「……俺の親友のために、死んでもらう」
そう言ってもう一度突進しようと身構える。
鋼も戸惑った顔のまま、しかし今度はしっかりと身構える。
そして、少しの間お互いに様子を窺い―――。
「三橋、くん?」
その言葉に俺は完全に動きが止まってしまう。
ゆっくりと、横を見る。
そこには極亜久高校の制服を着た、少し顔色の悪い一人の少女が立っていた。
「明日、香……?」
【H-6/水族館/一日目/早朝】
【進藤明日香@パワプロクンポケット1】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、安眠マクラ@パワポケ4、トルマリンの置物@パワポケ4、特効薬×3
[思考]
基本:殺し合いから脱出する
1:三橋、くん?
2:放送の後、研究所へと向かう
【鋼毅@パワプロクンポケット3】
[状態]健康
[装備なし]
[道具]支給品一式、野球ボールが数個、ランダム支給品
[思考]
基本:殺し合いから脱出する
1:まさか、殺し合いに……!?
2:放送の後、研究所へと向かう
【三橋一郎@パワポケ3】
[状態]:健康 エネルギー100%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式、予備バッテリー
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する
1:明日、香……?
2:参加者を積極的に探して殺す
3:もしも相手がマーダーならば協力してもいい
4:亀田に対する恐怖心
[備考]:萩原は死んだと思っています
投下終了です
初めてなので不安ですが、どうぞよろしくお願いします
平山紀之、ほるひす投下します。
「おお!すげー!」
お腹を空かした平山のデイパックに入っていたのは、赤ん坊の頭くらいのサイズのおにぎりだった。
きれいな三角形で、丁寧に海苔も巻いてあってとてもおいしそうだ。
「いやー、今日はなんかツイてるぜ〜」
辺りを見渡し、人がいないことを確認、おにぎりを抱えてその場に座り込む。
いただきまーす、と小声でつぶやいておにぎりに噛り付いたその時、
少し離れたところから声が聞こえてくるのに気がついた。
「やべっ……誰か来た……」
ここに来て数時間、誰とも接触のなかった平山は、わずかに聞こえた人の声に過敏に反応し、
急いで窓の下へと身を潜めた。
そしてそのままじっとしていると、声の主が段々と近づいてきていることがわかる。
更に耳を澄ましていると、平山は声の主が一人でないことにも気がついた。
「……なんか言い争ってるみたいだな……」
平山にはその声の主たちが、殺す、とか、殺される、と言っているように聞こえた。
確信はないが、殺しに乗っているやつであるかもしれない……。
そう考えると、平山は身を震わせ、『ピンチ○』と書かれたプレートを胸に抱きしめ、
その場にうずくまった。
☆
数分間大人しくしていると、声の主たちは去っていった。
ちらりと後ろ姿だけ確認することができたが、二人組みだったようで、
片方は少し頭の大きな男性、もう片方はよく見えなかったが、赤いシルエットが確認できた。
平山は考える。あの赤は何だったのだろうか。
単に赤い服を着て赤い髪の色をしている人だったのか。
もしくは、あのヒーローの赤バージョンだろうか。
……それとも……まさか……血の色?
「ま……まさかな……」
考えるだけで恐ろしくなってくるので、これ以上あの二人組みについて考えることはやめることにした。
平山は頭は悪いが、考えの切り替えが遅いわけではない。すぐに思考を先ほどのおにぎりに戻す。
「……って……あれ?」
自分の横にあったはずのおにぎりがない。
まだほとんど食べていなかったのにどこへ行ってしまったのか。
オロオロしながら辺りを見渡す。
「マジかよ……どこだよ、おい……出てきてくれよぉ…………ん?……ああ!!??」
平山が目をやった先には、自分のおにぎり……をくわえた犬がいた。
どこから来たのか、さっきまでこの小屋の中には誰もいなかったはずなのに、
おにぎりをいつの間にか奪い、既に半分ほど食べてしまっている。
「このクソ犬が……早く返せ! ホラ、こっちによこせ!」
平山は先ほどまでうずくまって震えていたのが嘘のように強気になって犬を睨みつけている。
挙句の果てには木の棒をもって犬を威嚇し始めた。
「おい、痛い目に逢いたくなかったら早くそれをよこせ!」
犬と話す青年。
誰かがこの光景を目撃したら何を思うだろうか。
そんな犬も、平山の脅しごときに簡単に屈服するはずもなく、平山を睨み返して唸っている。
「ぐうう〜〜……ワンワン!(何やケチなあんさんやな。おにぎりくらい分けたらんかい!)」
「くそ〜。ムカツく犬だぜ。人間様に逆らうなんて……俺を誰だと思ってやがる。」
「ワンワンワン!!!……アン?
(さっきまでビクビクしてた奴が今さら何意気がっとるんやボケが! ……ん?何や?)」
平山は先ほどまでワンワンとうるさかった犬の様子が突然おかしくなったことに気がついた。
何やらこちらをじっと観察しているようで、毛を逆立てながらこちらを睨みつけている。
そして今度は急に物凄い勢いで吠えだし、少しするとおにぎりをその場に残して
「キャインキャイン」と鳴きながら、小屋を飛び出して一目散に駈け出して行った。
「……?……ふん。俺にかかりゃあ、あんな犬コロの一匹や二匹わけないぜ」
この状況にしっくりこないながらも、自分で自分の気を晴らすかのように、一人でつぶやく平山。
そんな平山の後ろに、忍び寄る影があった。
「ほるひすだよ」
☆
おにぎりを拾った平山が、はっと後ろを振り返ると、そこには………“何か”がいた。
本当に、“何か”と呼ぶ他にない“何か”であった。
ぬいぐるみのような感じもするが、なんだか動いている。しかも言葉を話す。
……何なんだこの無機質な奴は。
流石の平山も、これには空いた口がふさがらなかった。
逃げても逃げられないような気がするし、戦っても勝てないような気がする。
かといってこいつに殺意があるようには感じられない。
………とんでもなく不気味ではあるが。
とりあえず、この「ほるひす」と名乗った“何か”の次の言葉を待つことにした
「ほるひすだよ」
「え?」
「ほるひすだよ。あずまにおいてかれたけど、れっどもみうしなったよ」
「…………」
「ほるひすだよ。ころさないけど、ひともまもるよ」
「…………!!!!! な……なんだってぇ!!??」
……どうやらこいつは人を殺さないらしい。しかも守ってくれる!
……と、超がつくほど単純な平山は、目の前に現れたほるひすの一言を完全に鵜呑みにし、
簡単に信じ込んでしまった。
「そうか、これもこの『ピンチ○』の効果ってわけだな!
いこうぜほるひす!これで百人力だぜ!」
単純な男・平山紀之の、バトルロワイアルにおけるファースト・コンタクト。
それは幸か不幸か、このほるひすとの出会いによって果たされた。
この奇妙な一行の向う先には、何が待ち構えているのやら……
【D−2/民家/一日目/早朝】
【平山紀之@パワプロクンポケット】
[状態]:健康
[装備]:無し
[参戦時期]ED後(亀田死亡ルート)
[道具]:支給品一式、ピンチ○、ランダムアイテム残り0〜1個
[思考・状況]
基本:ゲームをブチ壊す!
1:ほるひすと行動。
2:知り合いに会って協力したい。(特に三橋と合流したい)
3:死にたくない。
[備考]
※ピンチ○は特殊な効果を持つ支給品だと思っています。
※残りの支給品は以降の書き手にお任せします。
【ほるひす@パワプロクンポケット6表】
[状態]:けんこー
[装備]:なし
[参戦時期]:パワーアップ後
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2個
[思考・状況]
1:ひらやまといっしょにきょうりょく、げーむをだかいする。
2:しょうぼうしょへむかう。
3:あずまとれっどとこうしにごうりゅうしたい
4:???
【犬@シリーズ全般】
平山に支給。
何故か関西弁をしゃべる犬。
ほるひすに驚き逃亡
以上で投下終了になります。
登場人物が実質一人のようなものなので短くなってしまいました。
ご指摘等あればよろしくお願いします。
投下乙です
平山くんはぶっちぎってんなw勘違いしすぎたろwww
しかし近くには危険人物がいっぱいだがどうなるのやら
お二方とも投下乙です
まだ読んでいないので感想は後ほど
帰ってきたらパソコンがネットに繋がらなかった
何を言ってるか分からないと思うがしばらく悪戦苦闘してるけど俺にも原因が分からない(以下略
という事で申し訳ありませんが、これ以上キャラを拘束しちゃうのもアレなんで、今回は予約を破棄させていただきます
期限が切れてしまった後になって本当に申し訳無いです
それにしても、一日二投下なんていつ以来だろう……
こんなおめでたいことは無いってのに……orz
近い内にちゃんと繋がってくれれば、再予約出来るかもしれませんが、書きたい方が居ましたらどうぞ書いてください
お二人共投稿乙です!
>>432 三橋くんはどうする事やら…それに鋼達はどうなってしまうのか…ハラハラしますね。
>>439 平山くん……こっちもこっちで大変だ。
ほるひすと上手く行動出来るのか…?
個人的にはもうちょっとほるひすの別れる時の描写が欲しかったかも。
>>441 パソコンの調子が悪かったのか…残念ですけど次を楽しみにしてますね〜
…しかし期限って
投稿数二作以下
三日+延長三日
投稿数三作以上
五日+延長三日
で確かまだ期限は切れて無かったと思いますよー。
二人共投下乙!
三橋は難儀だな〜、そして曽根村がどうするか
そして、ほるひすは相変わらずだなwどう見ても人じゃないし
投下乙!!
ほwwるwwひwwすww
1・3登場キャラは大変だな
お二人さんとも投下乙ッ!
>>432 鋼はいい漢だなぁ
それに引き換え一郎は……
明日香との再会でどう変わるかが楽しみです
しかし惨劇フラグが(ry
>>439 平山wwっうぇwww
着々と誤解に誤解を積み重ねてるなwww
このまま行くと終盤まで生き残ったらとんでも無いことをやらかしそうだwwww
そして短いセリフの中のほるひすのインパクトに驚いた、かなりシュールな場面が頭に浮かんだよ
投下乙です。
三橋、明日香まで出てきたこの状況で、どこまで動けるかな。
というかその明日香が…うーんヤバそうだ。
そして平山。本編では考えられないくらいにキャラが立ってきたなw
これはいろいろと期待せざる得ない。頑張れ、超頑張れ。
遅ればせながら改めましてお二方投下乙です
三橋大活躍だなあ、ここで吹っ切れてかつての仲間や同級生も手に掛けるのか、はたまた…
そして平山はいいネタ具合になってきたなw
是非ともこのまま間違った方向に突っ走っていただきたいwww
>>442 予約延長申請をする前に切らしてしまいましたからねー…
やっぱり期限は守るようにしないと自分に甘くなってしまうので
ところで今更だがチャットをやるって話しってどうなったんだ?
提案しといて放置してた俺が言うのもなんだけど、やるなら場所と書き手さんの意志の確認は必須だな
書き手ですが、時間が合うならチャットもいいかな、とは思います。
チャットをやるんなら参加したいですね。
日時さえ合うなら参加したいですね
やるとしたらどこかのチャットを借りることになるんでしょうか?
454 :
kama:2008/11/08(土) 14:13:09 ID:VKYzzUoEO
嗚呼
>>441で一旦破棄した黒野博士の予約ですが、再予約というのはしてもよろしいのでしょうか?
後は推敲だけで投下できる状態になりましたが、今書いている書き手氏は居ますでしょうか
ちなみに
>>441は、マカフィーのセキュリティが何とかでネットが遮断されてたようです
お騒がせしてすいません
私は!一向に構わん!!
457 :
ゲーム好き名無しさん:2008/11/15(土) 21:20:26 ID:68Fb8nX+O
>>456,457
ありがとうございます
再予約させていただきました
それじゃあ日付が変わる頃にまた来ます
それじゃあ黒野博士投下させていただきます
空は漆黒に染まり、街灯もまばらにしか見えない。
時折吹き抜ける風は、道端の草を気持ちよさそうになびかせている。
黒野鉄斎はそんな感じの夜道をゆっくりと歩きながら、これからの行動の根本となる方針を整理していた。
当面の間の最優先事項として、首輪の解除もしくは無力化、これはここに連れて来られた時から変わらない。
その為にまずはサンプルを手に入れるという結論には既に達している。
最も近道となるのは、死体から切り取るという方法。
しかしそれを実行に移すには、死体が必要であるのは言うまでもない。
それなら人が集まりそうな場所に向かうか、人が集まる場所ならば、異なる考えを持った者同士で戦闘が起こるのも不思議ではない。
そこでどちらかが死に至れば、生き残った方はそこにいつまでも居るメリットはあまりなく、死体の傍にいてはあらぬ疑いを掛けられかねない。
殺し合いに乗った者ならさらに他の参加者を殺すために動き回るだろうし、そうでなくとも疑心から起こりうるトラブルを避ける為にも殺害現場で長居をすることはないだろう。
そうとなると支給品はまだしも死体は放置される可能性が高い。
そうなれば、人が集まりそうな場所に向かうというのが一番妥当な策となる。
しかし、人が集まりやすい場所に向かうとはリスクも伴う。
前述の通り人が集まりやすい場所なら当然そうでない場所よりも戦闘が起こりやすいだろう。
だからこそ死体から首輪を入手するのならそこに行くのが手っ取り早いのだが、それは自分が戦闘に巻き込まれる可能性も孕んでいる。
そうなると自分はただの老いぼれだ。
武装だって大したことは無いし、たかゆきや立花のような人間を超越した存在が居たらまず敵わない。
老い先短い己の命、亀田の持つ技術にありつく前に死してしまってはやりきれない。
黒野はここまで考えた結果、戦闘が発生しやすいと思われる場所に赴くという選択肢を保留とする。
sien
ならば、どうするか。
黒野にとってこの期に及んで逃げ腰になるなどあってはならない、危険を回避するための前述の選択も、言うならば戦略的撤退のようなものだ。
何より早く亀田の下に辿り着きたい、そのためには今出来る事は極力こなしていきたい。
黒野はここまで考えて、地図を取り出す事を選んだ。
現在地はD−8の辺りかと推測する。
その次には地図に載っている施設を一通り眺めた上で、この後どこに向かうべきか考える。
研究所──亀田が首輪を創り上げた過程を探る事が出来るかもしれない。
沈没船──大いなるロマンを感じさせる。
工場──首輪を解除する工具を探すのならここに行けばほぼ確実だろう。
倉庫──何らかの重要な手掛かりが隠されている可能性はある。
どこに向かっても得られる物はそれなりにありそうだ。
問題となるのはリスクに対して得られる見返りである、無論その見返りは推測の域を出る事は無いのだが。
これが普段の黒野だったなら、ロマンを求めて見返りを度外視した選択を取っていたかもしれない。
しかし今、黒野は一刻も早く亀田の技術を手に入れたいという衝動に駆られている。
リスクに見合う対価が獲得出来なければ、時間を浪費するだけ、それは拙策である。
研究所は一見それほどのリスクがあるようには見えない、そこで得られると推定出来る見返りの量も悪くはない。
沈没船、その響きには強く惹かれる、しかし得られる見返りにはあまり期待できそうにない。
工場は、武器を求めて猛者達が集う可能性を視野に入れざるを得ない、だが工具を手に入れるのを目標とするなら一番確実であると言えるだろう。
倉庫は、亀田がどういう目的でそれを造ったかによって得られる見返りは大きくも小さくもなる、しかしその目的を探るという意味も兼ねて倉庫に向かうのも悪くないかもしれない。
ここでどう動くかによって、野望にどれだけ近づけるかが決まる。
黒野はただひたすらに模索する。
◆ ◆ ◆
暫くして、黒野は島の中央付近に位置する駄菓子屋で休息を取っていた。
殺し合いの場には似つかわしくない、どこか懐かしい雰囲気を醸し出している、そんな場所だった。
当然、殺し合いに乗った者の襲来に備えて予め逃げ道は確保しておいてある。
一通り建物内の探索を終えたところで、黒野は改めて支給品を確認する事とした。
銃剣をすぐ手に取れる位置に置き、支給された食料の類について考えてみる。
そこにあったのは乾パンと水、量はそこまで多くない。
これでは三日も持たないだろう、ここから亀田の意図を推測してみる。
亀田は我々に首輪を付けていつでも殺せる状態にある。
殺せるのにそうしないのは、何か目的があるからだろう。
亀田は初めに、6時間に一回行われるという放送毎に『禁止エリア』なるものを設けると言っていた。
禁止エリアがどのような規模で増えていくのかは分からないが、殺し合いを長引かせたくはないと推測できる。
そこでこの食料の少なさだ、参加者同士で食料を巡る争いなども十分考えられる。
亀田は自らの手は下さないと言ったが、そこまでして殺し合いを『させる』事については拘っている。
ここから亀田が抱いているであろう野望を推理するにはまだ情報が少なすぎる。
だが亀田が興味本位などではなく、何らかの目的があって殺し合いをさせている可能性は高い。
自分だって殺す事が必要とあらば躊躇はしないつもりだが、亀田のような愚者の思惑に乗って殺し合いを積極的に進めていくようなつもりは無い。
とにかく、亀田が何らかの目的を持ってこの殺し合いを開催したと仮定すると、その目的を探る事が打倒亀田への道に繋がるはずだ。
そうなると今回の支給品に限らず、些細な手掛かりも見落とせない。
そんな事を考えて黒野は乾パンと水を念入りに観察し、しばらくしてそれらを他の支給品を取り出す代わりにデイパックの中に戻した。
やはり水滴は付いてない、結局与えられた食料からはそれくらいしか収穫は無かった。
とりあえず食料はあるに越した事は無いということで、店で並んでいたいくつかの駄菓子をデイパックに放り込み、食料に関する考察は終えた。
しえーん
黒野は次にノートパソコンを取り出す事を選んだ。
外装に目立った特徴は見られない、いたって普通のノートパソコンのようである。
どうせならバッテリーの消耗を避けるために駄菓子屋のコンセントから電力を拝借したかったが、アダプターが見つからなかったので断念した。
ノートパソコンの起動が終わるまでの時間でデイパックの中をさらに漁っていると、初めに支給品を確認した時は目に止まらなかった支給品がある事に気付く。
なるほど、これは使いようによっっては中々便利そうだ。
しかれども今は特にそれを使う必要も無かったので、黒野はそれを丁寧にデイパックに戻す。
丁度、パソコンが起動し終えた頃だった。
◆ ◆ ◆
黒野は、ノートパソコンの中のファイルを、とりあえず表面的に見える物だけは確認した。
しかし特に目を見張るような情報は得られない、デスクトップに表示されていた物だけを確認したので当然と言えば当然である。
さてこの後はどうするか、というところで黒野はノートパソコンに表示されている時計に目をやる。
時刻は朝の5時を過ぎている、亀田の言う通りならじきに6時間に一度の定時放送とやらがあるはずだ。
亀田が指定するという『禁止エリア』とやらは聞き逃せば不利になるのは必至である。
となると、あと数十分はここにいるのが手堅い選択となる。
だからと言ってここにいつまでも長居をする訳ではない。
研究所、沈没船、工場、倉庫──、次なる行き先の候補はいくつもあった。
しかしながら黒野が選んだのは、現在地から南東の方向に位置する施設、その名をゴミ処分所と言う。
ゴミ処分所を次の行き先に決めた理由としては、まず直感的にロマンを感じたことが挙げられる。
ゴミ処分所、それは役目を終えた鉄屑が集まっているような響きである。
しかしそれを逆手に取ることが出来れば、亀田サイドの技術力を窺うことが出来る。
つまりどういうことか、亀田が処分している廃品の技術レベルを見れば、おおよその技術力が窺えるということである。
亀田陣営が何を以ってその廃品を失敗作としているのかが推測出来れば、亀田の行動の方向性が見えてくる。
運が良ければ、首輪や場内の設備の試作品などを見つける事も可能かもしれない。
勿論、本当の意味でのゴミしか見つからず、徒労に終わる可能性もある。
だが、それでこそロマンである。
常に対価を考えて行動するなど、この男にはやはり似合わない。
何も手に入れられないかもしれない、だからこそ期待が膨らむのだ。
黒野鉄斎という男は、そういう感性を持っていた。
「亀田よ、今は高みの見物に興じているが良いわ。
貴様が棄てた技術、とことん利用させてもらうからのぉ」
黒野鉄斎、それは、ロマンを何よりも愛する狂気の科学者である。
【D−6/駄菓子屋/一日目/早朝】
【黒野 鉄斎@パワプロクンポケット8】
[状態]:健康
[装備]:銃剣
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1個(確認済み)、ノートパソコン(バッテリー消耗小)、駄菓子数個
[思考]
基本:亀田の技術を手に入れた上で生きて帰る
1:まずはゴミ処分所を目指す
2:首輪を外す
[備考]
※参加時期は未定
※当たり前の事ですがヒーローのことは忘れています
※デイパックに駄菓子がどれくらい詰められたか、どんな駄菓子が入っているかは後の書き手にお任せします
投下終了です
タイトルは、「ロマンを求めて」でお願いします
ゆっくりした結果がこれだよ!
実質、移動と考察しかしてないのに早朝まで進めて良かったんでしょうか・・・?
投下乙です!
博士いいなあ、やっぱり博士だよ
マッドサイエンティストという名に相応しいな、博士は
しかし、博士、後ろに居る隊長に気をつけなはれや!
時間に関してはアバウトでいいと思いますよ、駄菓子屋で時間を潰していたのかもしれませんし
何より博士歳ですしwww
それと、支援してくださった方ありがとうございました
誤字等ありましたら言っちゃってください
投稿乙です。
ゴミ処分所には一体どんなゴミが待ち受けているのだろうか…
ロマンを求める博士には頑張って欲しい所ですね。
投下します
一行は八神を先頭として黙々と病院を歩き回っていた。
と言ってもカズと走太にはどんな医療器具がどう使えるのかさっぱりわからない。
実質、八神が一人で探索しているのと代わりは無かった。
「……さすがに解り易い劇薬はないみたいだな」
「わかるんですか?」
「野球をやる前にちょっとかじった事があってね、知ってて不便になるわけでもないからね」
「あー、うちは駄目ですわ。出来るんなら勉強なんてしたないです」
「……俺もあんまり勉強はやりたくない」
団欒としながら、けれども気を抜かずに病院を進んでいく。
病室には大した物はないと踏んでいるのでまずは医務室を中心に回っていく。
「しかし、真央はどこに行ったんやろうな?」
「……わからないですよ」
「血の匂いがする、とか言っとったなあ」
「……彼女は自分の事をヒーローだって言ってたからね、きっと困ってる人を助けに行ったんだよ。
だから、走太くんもそんなに落ち込むんじゃない。
直ぐに新しい仲間を連れて戻ってくるさ」
八神はなるべく言葉を選びながら走太を慰めていく。
カズも明るい言葉で走太の気分をよくしようとしている。
「……一応休めるような部屋と最低限の医療用具はあるみたいだ」
「へえ、ベッドはええですねえ。寝相が悪いから布団の方が好きやけど」
「とりあえずロビーに行こう、待ってれば芹沢さんも帰ってくるさ」
「うん、わかった」
八神たちが病院を大雑把にだが調べた後、帰ってこない真央を待つためにロビーに集まった。
とりあえずデイバックに入っている食料を取り出す。
非常食だけあってとても味気ないものだ。
(……あんまり美味しくないなあ)
(うん、不味くはないんだけど……ビールが欲しいな)
それぞれがそれぞれの食料に思いを馳せながらちょびちょびと摘む様に食べていた。
どれも美味しいことには変わりないのだが、どうも物足りない。
「ん? 八神さん、あれ真央と違いますか?」
「ああ、芹沢さんだね。何か背負ってるみたいだけど……」
そんなところに真央が帰った来たのだ。
――――野球のユニフォームを着た、左腕のなくなっている男を背負って。
◇ ◇ ◇
「……ところで、誰だいこの人は?」
急いでベットのある部屋に連れて行き腕を包帯できつく絞りボールを脇に挟ませて血止めをした。
ここからどうなるかはこの人次第だろう。
「……知らない人……」
「知らない人って……」
「それよりも何で八神さんって何なんですか?
こんな綺麗に治療できるって……薬にも詳しかったし」
走太が綺麗に包帯を巻かれて止血されている男を横目で見ながら呟く。
まるで医者のような手際のよさだ。
それはカズも真央も思ったのか不思議そうな顔をして八神を見る。
「なに、少し不幸なだけの、ただの通りすがりのプロ野球選手だよ」
「いや、ただのプロ野球選手はこんな真似できまへんでしょ」
「少々変わった訓練を受けていていてね」
八神ははぐらかすように言葉を交わした後にチラリとベッドに寝る男へと目を移す。
掛け布団の下に隠れてあるため見えないが、脚は縛ってある。
万が一、こちらを殺しにくるような相手だった場合を考えてだ。
八神はベットで眠る男をチラリと一瞥してから丸椅子に座る。
円を描くように丸椅子を並べて四人が向かい合う。
「そう言えば……聞き忘れてたけどどんな風な人間に襲われたんだい?」
「せやせや、そこら辺をちゃんと聞いとくわ」
「……」
「えーっと……その、それは……」
真央が目を伏せて小波がカズから素早く目を逸らす。
その様子を見てカズは不思議そうに眉を寄せ、八神は何かを感づいたように目を閉じる。
「なんなんや、一体。はよう言ってくれな困るで」
「……その、大江のお姉ちゃんと同じ制服を着てた人なんだ」
「……なんやて?」
その言葉にカズは眉はひそめる。
自分と同じ親切高校の生徒が殺し合いに乗っている、それはカズにとって信じたくない出来事だった。
475 :
ゲーム好き名無しさん:2008/11/17(月) 18:56:58 ID:3tzp7BNvO
じえん
「……それは、少しショッキングな出来事やなあ」
「走太くん、その女の子の姿を思い出せるかい?」
手を顔に当て天井を見上げながらポツリと呟くカズ。
と言っても、それほど落ち込んでいるような様子でもなくこの特殊な状況に対する嘆きのように見える。
確かにいきなり爆発する首輪をつけられて殺しあえと言われたら混乱して殺し回る人間が居てもおかしくはない。
最初に会ったのが簡単に殺せそうな小学生の男の子ともなれば、ある意味では当然とも言える。
一方、八神は腰を曲げて走太の眼を見るようにかがみ、なるべく優しく訊ねる。
走太は少しだけ考え込むような素振りを見せた後に。
「えっと……背は低かったと思う、下手したら俺と同じくらいで……」
ピクリ、とカズの体が震える。
先ほどとは違う、また別の何かに感づいたような体の震えだ。
「確か眼鏡もかけてた、それで脚が凄い速くて、小さいのに力も強くて……」
「……あの、アホ」
走太が何とか下手人の姿を思い出そうとしていると、天井を見上げていた顔をゆっくりと下ろしてポツリと呟く。
その拳は硬く握られており、眼は怒りに満ち溢れている。
ガタリと乱暴に丸椅子を倒しながら立ち上がり、走太を見据えて口を開いた。
「そいつの髪、茶色でカールしとったやろ?」
「あ、えーっと……」
「……してた……」
「ああ、もう完璧や! 何してんねんあのアホは!」
カズは苛立った声を出しながら地団駄を踏む。
軽く暴れた後、息を整えてから全員を一番高い位置から見下ろしながら言った。
「本当に悪いとは思いますけど、うち、ちょっと外出てきますわ」
「……危険だよ、大江さん。殺し合いに乗ってるのはその女の子だけじゃないはずだ」
「うちと朱里は、あ、そいつ浜野 朱里言うんですわ、ダチなんですわ。
ダチがアホなことやってるんやさかい、ちゃんとツッコミ入れてやらなあかんのです。
……それが、ダチやと思うから」
「……!」
「……わかった、俺も行くよ」
「気持ちはありがたいけど大丈夫ですよ、八神さん。
八神さんは真央と一緒に小波くんとそこの人を守っといてください。
それに……うちも、普通やないから」
扉の傍まで近づいていたカズは少しだけ笑うと、そこで立ち止まる。
八神達が何事かと思っているとカズが近づいてきた。
――――脚は腕はもちろん、ピクリとも身体を動かさずに。
「なっ!?」
「……ま、いわゆる超能力ってやつですわ」
「超能力って本当にあるんだ……」
「……」
「……サイボーグ、じゃないんだね?」
「正真正銘、頭の天辺から爪先までれっきとした人間ですわ。
……ああ、でも超能力使えるから普通とはちゃいますかね。
ま、そういうわけで一人で大丈夫やさかい」
少し悲しそうに笑いながら、カズはそう受け答えをして扉へと向かう。
が、そこで少し何かを思い出したようにくるりと回転して八神達と向き直って訊ねた。
「あ、でも槍があったら嬉しいな。槍持ってない?」
「持ってない……」
「俺も、持ってないです」
「なしかいな……ま、しゃあないかな」
「拳銃でも持っていくかい?」
「いりまへん、下手なもの使ってたら足元救われますし。それは八神さんが使ってください」
結局は最初からデイバックに入ってあったものでここを出ることになった。
朱里は強い、槍も無しでまともにぶつかったら勝てるかどうか全くわからない。
それでもカズは行かなければいけない。
カズと朱里は、友達なのだから。
【F-6/病院周辺/一日目/早朝】
【大江和那@パワプロクンポケット10表】
[状態]健康、頭にたんこぶ
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1〜3)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:朱里と出会って説得する。
[備考]
※重力操作の能力にかけられた制限の存在に漠然と気付きました。
◇ ◇ ◇
「……行っちゃった」
「大丈夫だろう、きっとね」
相変わらず優しそうな表情を崩さない八神を見て走太は考え込む。
そして、僅かながら考えた後、ゆっくりと口を開いた。
「あの、八神さん」
「ん、どうしたんだい走太くん」
走太は唾を飲み込み、しっかりと八神を見据えて――――。
「俺も、外に行きます」
「……なんだって?」
さすがに八神にとって走太の言葉は意外なものだったのだろう。
ここに来てから初めて驚きの顔を見せる。
それでも走太は八神から目をそむけずに言葉を続ける。
「俺がここで安全にしているうちにも誰かが、その、死んでる……かもしれないんですよね?
だったら俺はその人を……!」
「……走太くん、それはどういうことかわかってるかい?
自分が出来ない事をやっても犠牲が増えるだけ……」
「二ノ宮くんは! それでもやったんだ!」
「……」
「二ノ宮くんだって逆らえば死ぬってことぐらい気付いていた!
それでも二ノ宮くんは言ったんだ、生き物を必要もなく殺すことは、いけないことなんだって!」
走太の胸には二ノ宮の死に際に言った言葉が離れなかった。
殺してはいけない、当たり前だがこの場ではあまりにも現実感のない言葉。
殺してはいけないなんて言ってられない。比喩でも何でもなく、殺さなければ死んでしまうのだから。
そんな中で、目の前で人が死んだのに、二ノ宮は言ったのだ。
「俺一人じゃ何も出来ない事ぐらい分かってる。
このままじゃ、死んじゃう、ってことだって分かってる。
だからって何も出来ないままなんて、我慢できない!」
「走太くん……そこまで」
「……私も、行く」
「お姉ちゃん……」
「……みんな、守ってみせる」
真央はポンと走太の頭を叩いて八神を見据える。
八神はふうっとため息をついてデイバックからあるものを取り出した。
「……なんですかこれ、ケータイ?」
「違うよ……離れて」
八神があるボタンを押すとブンと鋭くも低い音が出る。
そして、それと同時に携帯電話ほどの大きさの物体の頂点からレーザーが出る。
「高出力レーザーカッター、有効範囲は30センチほどだね。走太くんにあげるよ」
「いいん、ですか?」
「ああ、だけど忘れないことだね。
君は人を守るためにそれを使うんだってことを」
「はい!」
元気の良い返事をして病院を出て行く。
真央も一礼して、すうっと音もなく出て行った。
取り残されたのは八神と男が一人。
八神はこの男に対する警戒心は解かない。
この男が安全な人物かどうか、それは八神にはわからないのだから。
(……この男は何時の時代から来たんだろうか?)
真央と走太には時間のズレについては話してある。
その結果二人はほぼ同時期から来ている。
この男も見る限りでは自分たちとそう大きく離れた年代の出身ではないだろう。
(まさか、戦時中や二十二世紀のネコ型ロボットが居るような時代から来てないだろうな?)
少し不安になりながら男を眺めること数十分。
呼吸もしているし脈もあるので死んだ
〜〜〜〜〜〜♪
この殺し合いの場には似つかわしくない音楽が流れ始めた。
【F-6/病院周辺/一日目/早朝】
【小波走太@パワポケダッシュ】
[状態]:健康、軽い擦り傷
[装備]:ガンバーズのユニフォーム、スニーカー、高出力レーザーカッター
[道具]:支給品一式(ランダムアイテム不明)
[思考]
基本:生還し親父を復活させる
1:殺し合いを止める。
2:人は殺さない。
3:真央、八神、和那を少し信頼。
4:浜野朱里を警戒。
[備考]
※参加時期は最後の大会の前から、誰ルートかは後続の書き手さんにお任せします
※八神、大江と情報交換をしました。
【芹沢真央@パワプロクンポケット7】
[状態]:異常なし
[装備]:私服
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1〜3個
[思考]
基本:弱きを守り悪を挫く『正義の味方』を貫く
1:走太についていく
2:人を守る。
3:浜野朱里を警戒。
[備考]
※参加時期は黒打くんにアメコミのヒーローについて教えてもらった後
※八神、大江と情報交換をしました。
【F-6/病院/一日目/早朝】
【八神総八郎@パワプロクンポケット8表】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品0〜2)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:放送……か?
2:男が起きて情報を話をする。
3:浜野朱里に注意。
[備考]
※走太と真央から、彼らにこれまでであった話を聞きました。
※どんな音楽が流れているかは不明です。
【萩原新六@パワプロクンポケット6】
[状態]:左腕欠損、腹部に軽度の切り傷、貧血(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、野球用具一式(バット8本、ボール7球、グローブ8つ)@現実、野球超人伝@パワプロクンポケットシリーズ、パワビタD@パワプロクンポケットシリーズ、自身の左腕
[思考・状況]
1:???
【高出力レーザーカッター@パワプロクンポケット10】
携帯電話ほどの武器。
ボタンを押す事でレーザー状の刃が出る。
何も身に着けていない人間なら三十センチほどで、装甲のあるサイボーグなら五センチほど接近すれば貫ける。
投下終了です
誤字脱字や矛盾等があればご一報お願いします
投下乙です
真央が普通に帰ってきて一安心です
そして朱里を止めに行くカズはどうなるのやら
真央と朱里とカズがぶつかる時も来るんだろうか
色々と目を離せない展開が続いてwkwkですな
投稿乙です。
これで萩原くんはなんとかなったかな?
他の別れていった真央やカズ達は一体どうなることやら…先が楽しみですね。
ところで誤字?報告
>>479の
呼吸もしてるし脈も有るので死んだ
ってのはおかしいと思いますよ。
>>484 あー、はい、誤字です、脱字ですorz
正しくは【呼吸もしているし、脈も有るので死んでいるわけではない】です
ご指摘感謝します、まとめwikiに収録する際に直させてもらいます
おお、連日の投下で二つも来ている。本当にお疲れさまです。
黒野博士は戦力がかなり乏しい現状だと、人でも物でも何か見つけんと始まらないだろうし
(おかげで下手するとヤバいけど)ご老体にムチ打って頑張ってほしいね。
この状況に好奇心刺激されまくりで、むしろバリバリに元気っぽい気もするけど。
大所帯は一気にバラけたね。
>>477の最後のところ、良いなぁ。友達だもんね。
そしてバラけた一行とは逆に萩原は運よく人と合流出来たと。それも、かなり頼れそうな人物と。
片腕落として戦力としては絶望的な気もするけど、頭はあるし人手があればそれだけで救われる事態もある。
プラスにせよ、マイナスにせよ、その存在が八神にどう響くか。
あと物語上の誤字ではないけど、
>>481の八神の思考2が日本語として少々おかしいかと。
投下乙です
上手いことバラけた感じですね
八神と萩原の二人はかなり興味深いです
>>479の
>この殺し合いの場には似つかわしくない音楽が流れ始めた。
の音楽は、放送という解釈でいいんでしょうか?
>>486 はい、本当にすみません……orz
×2:男が起きて情報を話しする。
○2:男が起きてから情報交換をする。
寝てたのかよ、俺……
>>487 その解釈で構いません、もちろん別の何かでも結構です
……しかし最後の方寝てたのか?
ミスが多いぞ、俺!
wiki更新いつも乙です
そしていよいよ、野丸以外の生存者全員が2話まで進んだようです
予約、予約が来てるじゃないか!
投下します
「本当に人が居たんだね」
「い、居たんだわん! 黄色い服を着てて、ここに入っていったんだわん!」
若干興奮した口調でオレに異常を伝えるガキ。
トイレに行っていたガキが何やら慌てた表情で戻ってきたと思えば人を見つけたというのだ。
こいつの話によると何か黄色い服を着た人間がここに入っていくのを見たということ。
オレは本をデイバックに入れてから、その見つけたという調理場所へと行った。
そして、麻酔銃を手に持ち、息を殺して調理場の中を窺う。
「む〜ん、いい匂いがしてきたんだな〜」
そこには確かに黄色い何かが居た。
黄色い何かがレンジで何かを焼いている。
匂いから判断すると肉。
料理をしているのか、えらく無用心なものだな。
オレは思わずため息をつきそうになる。
これならば話を聞くのは楽そうだな。
「おい、動くな!」
オレは簡単に判断して右手の麻酔銃を男へと向ける。
男はゆっくりとこちらを向き、オレの手元を見るとぎょっと目を開いた。
「いいか、悪いようにはしない。手を後頭部で組んで後ろを……」
後ろを向け、と言おうと思ったところだった。
正直な話、出会った相手がガキと間の抜けた男ということで少し気を抜いていたところもあったのは事実だ。
しかし、たとえ気を抜いていても。
「む〜ん。危ないんだなぁ〜」
「なっ!?」
これを予想しておくのは不可能だろう。
今起こったことを誇張も何もなく、そのまま言葉にするならば。
『前に居た男に銃を向けたら、後からその男の声が聞こえてきた』といったところだ。
これだけを聞けば何を言っているのかわからないだろう。
普通ならば混乱する。
しかし、オレはこう見えても修羅場は潜ってきている。
動揺を抑えて瞬時に頭を働かせる。
――――催眠術の類か? いや、それとも何か別の?
何にせよ、危険な存在だ。
オレは素早く振り返り、今度は何の躊躇いもなく引き金を―――。
「む、む〜ん。い、痛いんだな〜」
引こうと思ったら、男がモップを持ったオオカミつきのガキにポコポコと叩かれていた。
今度は瞬間移動らしきことはせずになすがままになっている。
オレはふうっと、一息だけ着いた後。
「さ、喋ってもらおうか」
男と目を合わせた。
そう、この黄色い男に催眠をかけるために。
「……む〜ん……」
「ありがとう、わん子ちゃん。ここからはオレ一人で十分だよ」
「え、でも……」
当たり前だろうが、ガキは納得しない。
疲労と相まって非常に鬱陶しい、しかし、ここは重要なところだ。
下手に怒鳴って怯えさせるのはあまりにも馬鹿馬鹿しい。
「大丈夫だから、少し休んでていいよ。
……今はこうでもこいつが暴れだして人質に取られると危ないからね」
「う……わ、わかったわん」
所詮ガキ、簡単に丸め込める事は出来る。
「……さて、話してもらうぞ、知ってることを全てな」
恐らくこの催眠を使えば巨大な負担がかかるように亀田に弄られている。
それは確実だ、暗示をかける状態になると俺はいくらでも人を殺せることになる。
現に今も少し頭がクラクラと揺れているような気分だ。
「これをつけろ」
俺はヒーローのマフラーを黄色い男に渡す。
意味がない行為かもしれないがひょっとするとひょっとするかもしれない。
男は素直にマフラーを首に巻きつけた。
「まず、お前は殺し合いに乗っているのか?」
一番大事なことを訊ねる。
これで首を縦に振れば問答無用で殺す。
横に振れば催眠続行だ。
「む〜ん、そんなつもりはないんだな〜」
間延びした声で答える。
嘘はついていないはずだ、さすがに催眠状態でこんなスラスラと嘘をつけるとは思えない。
「そうか……じゃあ、次の質問だ、お前はさっき何をした?」
大体の辺りはついている。
恐らくこの男は『意識を飛ばす』に近いことが出来るのだろう。
そして、俺が意識を失っている間にあたかも瞬間移動をしたように見せたのだ。
自分を殺さなかったのはこの男に殺し合いをする気がないから。
少なくとも殺し合いをする気があるのなら、堂々と料理をしているわけがない。
「む〜ん、少し『飛んだ』だけなんだな〜」
……『飛ぶ』、とはどういう意味だ?
俺の意識を飛ばしたという事か? それともまさか文字通り空間を飛んだという事か?
暗示催眠で聞き出す際に厄介な事は相手が思っていることを言うことだ。
糞、頭がガンガンしてきやがった。
「ちっ……最後だ、これだけはよく聞け」
「む〜ん」
痛む頭を抑えて俺ははっきりと言った。
「俺たちは敵じゃない」
◆◆◆
「む〜ん、大丈夫なんだな〜?」
「ああ……大丈夫、だ」
オレはふらふらとした足取りのままであのガキの居る部屋へと向かっている。
隣に黄色い男を連れて、だ。
それにしてもあのガキに催眠をかけた時よりも遥かに疲労が大きい。
理由は何だ?
警戒してる人間に無理やり催眠をかけたからか?
それとも、純粋に回数の問題か?
どちらにせよ、よっぽどのことでない限り催眠は控えておくのが吉だろう。
今回もこの男が妙な能力を持っていなかったら銃を突きつけて尋問していたのだ。
ただ、縛っただけでは『飛ばれて』逃げられる可能性があるからな。
「ああ、聞き忘れてた」
「なんなんだな〜」
「アンタ、名前は何て言うんだ?」
催眠はしっかりと効いている様で、この男はオレにすっかり警戒心を解いていた。
催眠にかかりやすいタイプというのも居るが、基本的にそういうのは単純なやつに多い。
言うならば、自分の行動に疑問を抱かないタイプだ。
「カネオ、って言うんだな〜」
「金男……名字は?」
「僕はただのカネオなんだな〜」
「……カネオ、か」
何かのコードネームか?
何かしらの訳ありってことか、下手に突付かない方がいいだろうな。
わざわざ、こちらに不快感を抱かせる必要はない。
「オレは上川 辰也。アンタをモップで叩いていた女の子は芽森 わん子っていう。
これから、よろしく頼むよ」
この男を殺さなかった理由は二つ。
一つは殺した場合にガキへの弁解が面倒だから。
遺体の処理や返り血がついた場合にわん子に怪しまれる。
まあ、これは正当防衛で押し通しても問題はないが。
二つ目、これが最も大きなポイント。
単純に人手が欲しかったということだ。
わん子はこちらに疑惑を抱いていないが、所詮はガキ、しかも女。
力や体力ではこの上なく使えない。唯一は敵意がないことを知らせる際に説得力が出るくらいだ。
しかも、妙な能力を持っているときたものだ。
これを利用しない手はない。
「あ、辰也さん! と……」
「ああ、わん子ちゃん。こっちはカネオさんっていうらしい。
殺し合いに乗る気はないってさ。俺達の仲間だ」
さて、順調に進んではいるがここからだ。
今は材料をそろえるための金を手に入れた程度の進度。
それでも殺し合いに乗った奴にあわずに男とガキを手に入れた。
これで後は戦力と首輪を外すだけ。
後は静かにこの島から脱出する計画を練ればいい。
「じゃ、みんなで手羽先でも食べようか」
【A−3/研究所/1日目/早朝】
【上川 辰也@パワプロクンポケット8】
[状態]:疲労中、走力+5
[装備]: 走力5@パワポケ3、ヒーローのスカーフ@パワポケ7、拳銃(麻酔弾)予備カートリッジ×3@パワポケ8
[参戦時期]美空生存ルート、ルナストーン引き渡し後
[道具]:支給品一式、レッドローズの衣装@パワポケ8、ヒーローのスカーフ三個@パワポケ7、本@パワポケ8裏、『人間の潜在能力の開発』に関する資料@パワプロクンポケット4
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:手羽先を食べる
2:『本』を読む。
3:仲間を集める。
4:サイボーグ同盟の連中と合流したい。
5:首輪を詳しく調べたい。
6:敵が来ない限り研究所で夜が明けるまで休む
[備考]
※黒幕に大神がいると可能性があると考えています。
※首輪の考察をしました。
考察した内容は以下の通りです。
1:首輪には爆発物が仕掛けられている。
2:首輪には位置情報を送信する機能ある。
3:移動した位置が禁止エリアなら爆破の為の電波を流され爆発する。
4:盗聴機能や小型カメラが首輪に仕掛けてあると予想しました。
※現在カメラ対策としてスカーフを首に巻いています。
※考察の内容が当たっているかは不明です。
※わん子からパワポケダッシュの登場人物に付いての知識を得ました。
わん子の事をオオカミつきだと考えています。 ヒゲの神様(野球仙人)の事を記憶を操作する能力を持っている人間だと予想しました。
※暗示催眠の能力は制限のせいで使う度に疲労が伴います、使用しすぎると疲れて気絶するかも知れません。
※能力に制限がかかっている事に気付きました。
情報を引き出す時や緊急時以外は使用を出来るだけ控えるつもりです。
[新出情報]
※黒野鉄斎が研究していた『人間の潜在能力の開発』に関する資料を発見しました、機械は反応しません。
それが我威亜党の目的と関係あるかどうかは『全くの不明』です。
※我威亜党、野球人形、探偵の名前を本で見つけました。
本については我威亜党の誰かが書いたお遊びだと思っています。
※資料の最後に書かれていた『黒野鉄斎』が主催側の人間だと思っています。
※ここに置かれている全ての資料が『ミスリード』である可能性もあると思っています。
※研究所においてあった本には様々なジャンルの本があります。
【芽森 わん子@パワポケダッシュ】
[状態]:疲労小、仲間が出来て嬉しい。
[装備]:ヒーローのスカーフ@パワポケ7、モップ@現実
[参戦時期]:わん子ルート、卒業直後
[道具]:支給品一式、ヒーローの衣装セット@パワポケ7、ヒーローのスカーフ四個@パワポケ7
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する
1:手羽先だわん!
2:タツヤさんに付いてく。
3:走太君を探したい。
【カネオ@パワプロクンポケット9裏】
[状態]:疲労(中)、空腹(中)
[装備]:なし
[道具]:凍った手羽先、リュックサック、ヒーローのスカーフ@パワポケ7
[思考]
1:上川達と手羽先を食べる。
2:弟たちを探す。
3:春香に会ったら、『おしおき』をする。
[備考]
※参戦時期は9裏主人公の戦艦に最初に乗り込んできた後です。
※春香の名前は知りません。また春香の見た目に関する情報も、暗かったために曖昧です。
※テレポートをすると疲れが溜まる事を認識しました。
テレポートの移動距離に関する制限は認識していません、またテレポートの制限の度合いは以降の書き手にお任せします。
投下終了です
498 :
ゲーム好き名無しさん:2008/11/29(土) 22:19:18 ID:MlwhPfw8O
投下乙です
あちゃー、単純だからカネオは催眠術にかかっちゃったかーw
まあ、素直に仲間が増えて良かったとわん子の為に喜んでおくか
でもヘタレだから簡単に裏切りそうなのがあれだがwww
投下乙!
上川は催眠能力のガス欠がすぐ来そう
戦力はしょっぱいが周りは比較的安全だし、まあいいか
けど、せっかく研究所にいるのに首輪をどうにかする姿が全く想像できないなwww
投下乙です
カネオは催眠にかかってしまったかw
しかしわんこが上川と二人きりなのも不安なんで良しとしておこうw
地味に能力者なカネオの今後の活躍に期待してるのは俺だけでいい
投稿乙です。
カネオが仲間に入って戦力アップか…?
うまくやって行く事を祈ってるぜ。
投下乙っす
カネオが仲間になったのは上川にとって吉と出るか凶と出るか…
しかしこいつらは敵どころか誰にも会いそうにない位置にいるなw
放送後どのように動いていくかに期待
投下します
「おーい、お嬢ちゃーん」
椿は少考の後、女子高生と思しき女の子に話しかけることにした。
念のために少し遠めから、だ。
理由としては二つ。
一つは武器の確保。
女の子の手元にあるのは銃だろう、武器が欲しい椿には何をしてでも欲しいものだ。
もう一つは呑気に座っている事から殺意はないだろう、という判断を持ってだ。
少なくとも二人で動いているようなので人を見つけたら即殺というスタイルではないだろう。
その判断の元に呼びかけたのだが、案の定身体をビクリと震わせて銃を構えてくる。
椿はデイバックと鉈を地面に下ろして手を頭に組む。
この距離とあの子の震える手を考えると当たりはしないだろう。
そして、天本も椿に倣ってデイバックを地面に下ろす。
「あー、銃下ろしてくれ。こっちに殺すつもりは毛頭もねえよ」
「……少し待ってください、先輩がもうすぐ戻ってくるので」
先輩とは彼女と一緒に歩いていた体格の良い男のことだろう。
野球のユニフォームを着ているのが印象的だった。
(どっかで見たような顔をしていたが……まあ、あの手の顔はどこにでも居るな)
不細工ではないが取り立てて整っているというわけではない特徴の薄い顔。
覚えにくいというわけではないが、まあ、とにかくよくある顔だ。
「帰ったよ、春香ちゃ……誰だい、その人たちは」
噂をすれば影、先輩なる男が戻ってきたようだ。
手には物騒な剣、いわゆるサーベルというものを持っている。
「ああ、兄ちゃんがお嬢ちゃんの先輩ってのかい? 俺は椿、トラブル解決屋をやってる」
「天本玲泉です」
「はあ……俺は七味東雅って言います。この子は……」
「倉見春香です」
(この男と話をつければいいってわけか)
倉見春香が七味東雅に依存しているのは誰が見ても明らかだ。
元からの知り合いか、それとも椿のように上手くやって信用を得たのか。
そのどちらかはわからないが、倉見春香がこの男を信頼してるのは間違いない。
「兄ちゃんよ、俺は話をしたいんだが構わねえか?」
「……ええ、いいですよ。こっちに来てください」
少しの間を置き、サーベルをデイバックに納めて神社の中へと入っていく。
警戒はされているが、話をする余地はあるようだ。
デイバックを拾い、その後を追う。
(……椿さん)
(ん? どうした、お嬢ちゃん)
(危なくはないですか?)
天本は不安そうな顔をして小声で話しかけてくる。
確かに人と接触するのは危険だ。
誘い込んでグサリ、ということもないとは言えない。
(まあここは俺に任せときな。いざとなりゃ、盾にでもなってやるさ)
(はぁ……)
椿には確信があった。
この二人は殺し合いに乗っていない、と。
理由としては単純で、落ち着きすぎている、ということに尽きる。
殺し合いに乗っているのならもっと挙動が不審で、神経質なまでに周囲に気を配るものだ。
(まずは俺から入る、少し経ってから入ってきな)
(わかりました)
何だかんだで天本は椿の提案に素直に従う。
主導権は握っている、良い傾向だ。
「……そこに座ってください。デイバックを置いて」
「ん、お嬢ちゃんはどうした?」
「俺一人でいいです。……見張りを頼んでますから」
「ああ、なるほどな」
目の前の七味という男は思ったよりも落ち着いている。
普通、こんなわけのわからない、しかも命の握られている状況なら慌てるのが当然だ。
まあ、その自信がどこから来るものかわからないのだが。
「落ち着いているねー、兄ちゃん」
「はあ……」
「で、今更だけど俺たちは殺し合いをするつもりなんかないんだよ」
「……」
「信じられないか?」
「……いえ、殺し合いをするつもりなら春香ちゃんは死んでるでしょうし」
「まあ、そうだわな。少なくとも兄ちゃんの脳天にこの鉈は突き刺さってる」
チラリと鉈を見せる。
その光景を想像したのだろう、七味はゴクリと唾を飲み込んだ。
まずは主導権を取り返すことが大事だ。
「そこでだ、まずはこの首輪だな。こいつを外さないといけない。
その後は……まあ、その後考えりゃ良い」
「それで、大丈夫ですかね?」
「首輪がなけりゃ当面の死からは逃げれるさ。
少なくともあの爆発に怯えながら動き回るより何倍もマシだろ?」
「それは……そうですけど」
「ま、俺も伊達にトラブル解決屋として放浪してない。
こう見えても機械に強いんだぜ」
嘘だ、少なくともこんなわけのわからない首輪を外せる自信なんてない。
しかし、相手を落ち着かせるためにも嘘を言っておいたほうがいいと思ったからだ。
「何にせよ、俺は人を殺してまで生き残ろうとは思わねえよ」
これも嘘だ。
確かに椿にとって殺しはご法度だが、さすがに自分が死にそうな時まで守るものでもない。
確実に、楽に、安全に。
そのためには嘘だってつく。
「……わかりました、信じます」
「はは、助かるよ兄ちゃん」
椿としてもまだ殺し合いに乗るつもりはない。
今は安全に生き残る道を手探りで探すだけだ。
【C−2/神社/1日目/早朝】
【倉見春香@パワプロクンポケット7表】
[状態]:健康
[装備]:麻酔銃@現実(一発消費)
[参戦時期]:アルバム「午後のひととき」後
[道具]:支給品一式×3、ランダム支給品2〜6個
[思考]
1:休んで七味の足手まといにならないようにする
2:七味の記憶を取り戻す
【七味東雅@パワプロクンポケット7表】
[状態]:健康
[装備]:セイラーマンサーベル
[参戦時期]:ドラフト指名後プロ入団2年目の時期
[道具]:なし
[思考]
1:春香ちゃんを守る
2:椿たちと行動する
3:ゲームに乗らない人物を守る、そして一緒に協力する
4:ヒーローがいるなら合流する
[備考]
※七味東雅の高校時代は彼女とも付き合わずまじめに野球一筋でした。
※七味東雅は記憶喪失ではありません。
2年前のことなので春香の事を覚えていないだけです。(生徒会くらいのときしか面識がないため)
※デイバックは春香に預けています。
※ヒーローは参加しているだろうと思っています。
【椿@パワプロクンポケット9表】
[状態]健康
[装備]鉈
[道具]支給品一式×2(不明支給品1〜5)
[思考]
基本:生き残るのに手段は選ばない。
1:とりあえず七味・春香と行動する。
2:天本を利用してゲームを有利に進める。
【天本玲泉@パワプロクンポケット4表】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1〜3)
[思考]
基本:日の出島に帰る。
1:人を殺したくない。
2:椿についていく。
投下終了です
乙!
いや〜、椿がいい感じに動いてんなぁ
ステルスでもないけど自分が最優先ってのは地味においしいポジションかも
椿の今後に期待!
投稿乙です。
椿のこれからどうする事になるんだろうか…。
とりあえず和やかに行ける良いな。
投下乙であります!
なんか椿と天本のコンビっていいな、互いにある程度の信頼と警戒心を抱いてる感じが
一方の春香は7主と離れたりしたらと思うと…うわああああ
とりあえずユー達の注目キャラは誰ですか?
俺は三橋くんと平山に注目、誤解的な意味で
遅ればせながら ◆7W氏の投下をwikiの方に収容させていただきました。
投下の収容は初めてなので、どこか抜けている箇所がありましたらご指摘お願いします
>>512 自分はタケミですかね
なんか怪しい雰囲気発してますしw
>>513 どうもありがとうございます、いつもなら自分がやっていたのですが少しPCがイカレてしまいまして……
本当にありがとうございました
>>514 Oh...それはご愁傷様です
一日でも早く復帰できるように願っています
そういえばパワポケ11の発売日まであと4日か
ここの出場キャラにも新しい設定とかはあるんだろうか
カメダとかに新設定が出てくる。俺の占いは当たる
ハタ人間登場フラグか
死者にカメダがハタを付けるんですね、わかります
フラゲ報告の時点で続々と新設定が出てきてるみたいだな…
11買ったぜ!
とりあえず紫杏を無性に書きたくなった
俺は引退したあの人が書きたくなった、出てないけど
一応未購入者も居るだろうからネタバレは自重しておくけど
懐かしい面子多すぎだろ、11
11おもしれえなあ
寝不足になっちまうぜ・・・
グッピーやってたらますます文章を創る手が進まなくなっちまったぜ
とりあえず全く手を付けてないハタ人間をそろそろやらねば…
あ、ありのままに起こったことを話すぜ!
実は隊長のカマイタチは武器のおかげだった。
な、何をいってるのかさっ(ry
あれは冗談なのか本気でわからん
あと浜野の武器は全部没収ってことでいいのか?
今回の裏の舞台って、そのままロワに出来そうだよな
病院、ショッピングモール、学校、倉庫、埋め立て地とかのロワにありがちな施設があって、
さらに周りから隔離された島と来たもんだ
>>526 多分そう、って言うか持ってたら俺の嫁最強すぎる
隊長はどうしよう、一応居合いの部分削っても物語的におかしくないから削ろうか?
裏ばかりやってる俺には話に着いていけないな
やれやれだぜ
>>528 真偽のほどが定かじゃないから大丈夫じゃない?
隊長が実力で放ってる可能性だってあるんだし
自己リレーってありかな?
もう4ヶ月近く誰も書いてないキャラなんだけど
533 :
ゲーム好き名無しさん:2008/12/23(火) 17:37:47 ID:nWSSmkUZ0
表の追加シナリオいいな
しあーーーーーーん・・・。
ごめん下げ忘れた(´;ω;`)
535 :
ゲーム好き名無しさん:2008/12/23(火) 18:11:22 ID:nWSSmkUZ0
しかも誤爆だった
>>522 多分良いと思う、さすがに何回も続いたらあれだけど
ってなわけで、気にしないで行け、って言うか行って、むしろお願いします
実は既にこっそり自己リレーがあったりするしね
HAHAHA!
……すみませんすみません、なんかテンション高くて自己リレーしてましたorz
いやいやお気になさらずに
書かれなかったのが全てですから
大規模な予約キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
これだけの大集団をどう書ききるのか期待
すげえぜ、越後!
これが投下されたら放送も近いな!
なんという大規模…これは期待。
物語の都合とか考えずにさ、みんなこの中から誰が最後の一人になるか賭けろって言われたら誰に賭ける?
俺は朱里ちゃん、俺の嫁的に考えて
こういうのは意外に一般人が生き残ったりするものだということで、茜に一票
どうでもいいけど、11裏のアカネを出してみたかったと言ってみる
11裏は良キャラ多いよな
夏菜とかは9の時はどうでもよかったのに、一気に好きになった
だな
委員長だけは居なかった事にしたいけど
紫杏といいヘルガといい、スタッフはロワを書いたほうがいいんじゃないかってぐらい欝が好きだな
成田事件という(ry
さすがにメールなど送らんわw
11表やってて一年目12月3週の彼女なしルートで、紫杏の言葉を聞いてたら目から汗が出るな…
俺はいつもBを選ぶから11主とシンクロして弾道が上がってるぜ!
表通りうろつきで紫杏社長に会う時もBですよね、わかります
規制のためしたらばに投下しておきました
お、投下きてた。GJ!
それで、これはこっちに本投下しといたほうがいいんかね
投下乙です!
一応ネタバレになってしまうので感想は本投下が終わってからにしときます
あと、レッドと東さんは野丸くんが参加してたこと自体は支給品の詳細名簿で知っていると思ってたので少し気になったです
超面白かったです、すげえぜ越後!
携帯から失礼
>>554 すいません、できればお願いします
557 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:23:54 ID:DLa99cSf0
108 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 21:52:08 ID:ByhKGjAo0
「なあ、ほるひす。本当にこっちにお前の仲間がいるんだな?」
「うん」
平山はほるひすと共に消防署へと歩を進めていた。
理由は簡単、ほるひすが仲間とそこで待ち合わせをしていると聞いたからである。
平山にとってそれは吉報であった。
野球部に所属し甲子園優勝まで果たした彼は仲間の大切さを重々承知していたからだ。
この糞ったれなゲームで志を共に出来る存在がいる。
このことはゲームが始まって以来碌に人に会ってない平山にとっては大きな励みとなった。
「あ、いたよ」
ほるひすはそう言うと、消防署の前に立っている二人組--レッドと東に向かって駆け出す。
平山もそれにつられて駆け出し、すぐにそこに立っているのが先ほど物騒な会話をしていた二人だということに気づいた。
(おいおい、ほるひすの仲間ってこいつらのことかよ……。まさか罠ってことはないだろーな?)
一抹の不安を胸に秘め、いつでも逃げ出せるよう用心しながら平山は彼らに近づいた。
109 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 21:56:28 ID:ByhKGjAo0
「おっ、ほるひす。無事だったか」
ほるひすに気付いたレッドが声をかける。
次いで東が口を開いた。
「無事で何よりだよ。それで、後の彼は誰かな?」
「ひらやまだよ」
「……つまり新しい仲間ってことでいいのかい?」
ほるひすからは明瞭な答えが期待できないと悟った東は平山の方に尋ねた。
この態度から平山は罠ではないことを察し、正直に答える。
「そうなるな。俺は平山紀之。ほるひすとはさっき会ったばかりだ。
それで仲間と待ち合わせをしているって聞いたからお供さしてもらったんだ。
なあ、あんた達もあの亀田って奴を倒したいんだろ?」
レッドと東の二人は首を縦に振り、肯定の意を示す。
「勿論俺もそうだ。目的が一緒なんだから、良ければ俺も仲間にいれてくれないか?」
「もちろんじゃないか、歓迎するよ平山君」
この提案に対し東は笑顔と共に快諾し平山に手を差し伸べ、平山もまた笑顔と共にその手を握り返した。
その後、平山はレッドとも軽い挨拶を交わし、三人と共に危険人物の説得に当たっているというもう一人の仲間--甲子園児のことを待った。
甲子を待つ間、四人は情報交換を行っていた。
だが、平山の方には碌な情報はなく、レッド達もまた芳槻さらが危険人物程度しか有益な情報が無かったので、
話しは自然に世間話へとシフトしていく。
558 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:25:22 ID:DLa99cSf0
110 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 21:59:33 ID:ByhKGjAo0
「平山君も野球部だったなんて奇遇だね。それにしても甲子園優勝なんて凄いなぁ」
「いやいや、俺なんて全然。所詮二番手ピッチャーだったし、チームメイトに恵まれたんだよ」
「それでも甲子園優勝校の二番手だろ。充分凄いじゃないか」
「ハハハ、そうかな」
そんなことを話している折りだった、今まであまり会話に参加していなかったレッドがおもむろに口を開く。
「少しいいか、平山」
「何だ、レッド?」
「少し気になることがあってな。お前のチームメイトだったという亀田という男についてだ」
レッドが言うには平山が亀田について語った際、何か引っ掛かるものを感じたという。
名前のこともあり、それが何なのか気になったというわけだ。
平山は即座にそれはカメダのせいだと理解し、正直に話し始める。
「亀田と俺はバッテリーを組んでたんだ。親友だった。
あいつがあの時野球部に誘ってくれたから今の俺があるんだ……。
けど、あいつは死んじまったんだよ……。よりにもよって甲子園決勝の前にな!!
だから、あいつにそっくりな上に亀田を名乗ってるあの糞ったれが許せないんだよ!
おそらく亀田の話をした時、無意識にあいつに対する怒りが出ちまったんだろうな」
「なるほど、そういう訳か」
レッドは納得がいったのかそれ以上問いつめることはなかった。
559 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:26:29 ID:DLa99cSf0
111 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:00:41 ID:ByhKGjAo0
静寂が辺りを包み込む。
「……5時半か」
時計を見ながらそう呟いたのは東だった。
その言葉が意味することはその場にいる全員が何となく理解していた。
芳槻さらを説得するために残った甲子と別れてもう2時間近く経っている。
なのに一向に甲子が来る気配はない。
それだけで充分だった。みんな分かっているからこそ誰も口を開こうとしない。
そのことを口にすると甲子の死を認めてしまう、そんな気がしたから……。
だが、その静寂は思いもしない者によって破壊された。
「お〜い、東さ〜ん!レッド〜!」
それはレッドでも東でもほるひすでも平山でも、もちろん甲子の声でもない。
声の主は全くの第三者--野丸太郎のものであった。
「その声は野丸君か!?」
東が声がする方に体を向ける。
そして、少し距離があってわかりづらいが、そこにいたのは紛れもない野丸太郎その人だった。
「野丸君、君も連れた来られていたのか!」
東が野丸に向かって駆け出す。
そして、二人の距離が50メートル程になったぐらいであろうか、突如として野丸の様子が一変した。
560 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:27:23 ID:DLa99cSf0
112 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:02:19 ID:ByhKGjAo0
「東!待て!」
慌ててレッドが東を呼び止めようとしたが、時既に遅し。
レッドの目に映ったのはマシンガンの引き金を躊躇無く引く野丸と、左腕を血まみれにする東の姿だった。
「うあああああああ!!!!」
東は左肩腕を押さえながら崩れ落ちる。
「野丸君、どうしてこんなことを!?」
左腕を押さえながらも東は気力を振り絞り、当然の疑問を野丸に尋ねる。
「なんでって、生き残るためですよ。
帰れるのが一人だけなら、その一人を目指すのは普通のことじゃないですか」
野丸はさも当然のことの様に答え、東はその様に答える野丸を信じられないといった顔で眺めた。
「それじゃ、これでお別れですね、東さん」
野丸がそう囁き、東が死を受け入れようとした正にその時、突如として周囲が煙に包まれる。
「これは……!」
東はすぐにこの煙の正体に気づく。それは先ほどの情報交換の折り平山がバックから取り出したもの。
そう、すなわち煙幕によるものだ。
その効果のほどは凄まじく、数秒も経たない内に一寸先も見えない状況とかす。
「東さん、こっちだ!」
近くで平山の声が聞こえる。東は歯を食いしばりながらも声のする方へと向かった。
だが、その声は東にだけ届いた訳ではなく、しっかりと野丸にも聞こえていた。
野丸がウージーを声の方に向け、引き金を引こうとしたその刹那、レッドの強烈なボディブローが炸裂し、野丸を後方へと吹っ飛ばす
「うぼぇっ!?」
レッドは尚も野丸に追撃をかけようとするが、野丸は飛ばされながらもマシンガンを乱射する。
そのため、この煙の中その弾幕を抜けるのは危険だと判断したレッドは平山の後を追った。
561 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:27:56 ID:DLa99cSf0
113 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:03:44 ID:ByhKGjAo0
そして数分後、煙が晴れた時、野丸一人がその場に残された。
「逃がしちゃったか……」
ウージーを片手に野丸はそう嘆く。
だが、その言葉とは裏腹に彼は心中に今まで感じたことのない何かが込み上がってくるのを感じていた。
野丸にとって東は尊敬する先輩であった。
成績優秀であり野球の腕も抜群。さらには誰に対しても人当たりがいい、自分とは天と地ほど違う人種だと思っていた。
だが、その東の左腕を自分がズタボロにした。
一一そう、あの東さんを平々凡々だったこの僕が!!
そう考えると言葉では言い表せない快感が身体を駆けめぐり、思わず滲み出そうになる。
「うへへへへ……。東さん、今度あったら、僕は……!」
邪悪な笑みを浮かべながら、野丸はその場を後にした。
562 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:28:27 ID:DLa99cSf0
114 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:05:23 ID:ByhKGjAo0
□
何とか野丸から逃げおおせた4人は商店街近くの民家に身を潜めていた。
「くそっ、何も無えじゃねぇか!」
平山は悪態をつく。東の傷を治療するために家中を探したが、包帯はおろか絆創膏の一つもでてこなかったからだ。
仕方がないので何とか見つけたスポーツタオルを東に宛う。
「すまない、平山君……」
東の顔は明らかに生気を失っていた。
腕のこともあるだろうが、それ以上にチームメイトであった野丸に撃たれたことの方がショックだったのだろう。
平山が東のことで四苦八苦する一方で、レッドは一人新たな決意を固めていた。
「平山、東のことは頼んだぞ」
「えっ、どういうことだよ?」
「俺は野丸を倒してくる」
「倒すって、も、もちろん殺したりはしないよな!?」
平山はレッドをすがるにように見つめるが、レッドの首は無情にも横に振られた。
「どうしてだよ!あいつはお前らのチームメイトなんだろ?
だったら何で殺すなんて言えるんだよ!!」
平山の怒声が飛ぶ。
だが、そんな叫びを余所にレッドは極めて冷淡に答えた。
「今のあいつはチームメイトではない。人に害を為す悪だ。そして、その悪を始末することこそがヒーローである俺の使命だ」
「っこの野郎!!」
思わず平山は手を振り上げる。
が、東の右腕に阻まれ振り下ろされることはなかった。
「東さん!?何で邪魔すんだよ!!」
「すまない、平山君。……レッド、行ってくれ」
東は平山の腕を握りながら、レッドのことを促す。
「悪いな、東。それとだ、東のこともあるからお前達は病院に行っていてくれ。
俺も問題が片づいたらすぐに駆けつける」
そう言い残し、レッドは民家から出ていった。
563 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:29:11 ID:DLa99cSf0
115 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:06:44 ID:ByhKGjAo0
□
「……何でレッドを行かせたんだ?チームメイトが死んでもいいのかよ!?
仲間ってのはな、死んじまったらもう二度と会えないんだぞ!!」
亀田のことを思い出しながら平山が叫ぶ。
「俺だって野丸君には死んで欲しくないさ!!だけど、仕方がないんだよ……!
彼をほっといたら俺以上の悲劇が生まれる。それを止めるにはこれしかないんだ!」
東のもまた思いの丈をぶつけた。
嵐のような激情が過ぎ去り、虚脱が二人を襲う。
そして、平山がポツリと囁いた。
「……大声出してすいませんでした。傷、痛むでしょ?早く病院に向かいましょう」
「……そうだね。俺の方こそ平山君の気持ちを考えずにレッドを行かせちゃって悪かった」
そして、そのまま3人は民家を後にした。
民家を出てすぐの事だ、それにまず気づいたのはほるひすだった。
東の方を向きながらほるひすは立ち止まる
「どうした、ほるひす?」
不審に思った平山もまた耳を澄ませながらほるひすの目線を追う。
そして、平山の目に飛び込んできたのは紛れもなく車のシルエットであった。
そのことを頭が感知した瞬間、無意識の内に彼の体は車道へと飛び出していた。
116 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:07:41 ID:ByhKGjAo0
□
ひょんなことから行動を共にすることとなった島岡武雄と神条紫杏の二人は車で商店街へと向かっていた。
映画館での話し合いの結果、まずは情報を集めるのが先決だという神条の意見を採用したためである。
商店街への道すがら、二人は軽く自己紹介も兼ねた情報交換を行った。
だが、互いに警戒し合ってか出てくる情報は毒にも薬にもならないことばかりである。
二人にとって有益だったのは、どちらも人を殺す気がないということだけであった。
……それもどこまで信用していいのか分からないものであるが。
そのため、車内は不穏とまではいかないが、何か張りつめた雰囲気に包まれていた。
映画館を出発して幾ばくか、日は殆ど昇り朝の訪れを感じさせる。
間もなく商店街に到着しそうだ。
そんな時であった、突然横道から人影が飛び出し、島岡は車を急停止することを余儀なくされる。
564 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:29:44 ID:DLa99cSf0
117 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:10:09 ID:ByhKGjAo0
「バッキャロー!!死にてぇのか!?」
島岡は窓を開き、その人影一一平山に向かって怒声を飛ばす。
神条もまた用心してかデイパックからコルトガバメントを取り出していた。
そんな二人を余所に、平山は運転席まで近づくとおもむろ腕を伸ばし、開いた窓から島岡の胸ぐらを掴み、叫んだ。
「頼む!仲間がピンチなんだ、病院まで連れて行ってくれ!」
「す、少し待て。ま……まずは首から手を、離……せ」
「あ、悪ぃ」
慌てて平山は手を引っ込める。
呼吸を整えてるため会話ができない島岡に代わって、神条が話を続けた。
「病院ということは、君の仲間が何らかの戦闘に巻き込まれて負傷したということか?」
変な口調の女だ、と思いながらも平山は首を縦に振る。
「だが、いきなり病院といってもこちらの都合も有る。まずは本人の容態を見ないことには何とも言えん」
「少し待ってくれ……。ああ、ちょうど追いついたみたいだ」
そう言って平山の指さした先にはほるひすに背負われた東の姿があった。
「あいつか、なるほど重傷だな。………………分かった、病院まで送ろうじゃないか。島岡さん、頼めますか?」
神条はようやく呼吸を整え終わった島岡に同意を求める。
「いや、ま、あんたがいいってんならかまわないけどさ」
意外、といった顔で島岡が答える。
「おい、聞こえただろ?そいつを早くを車に乗せろ」
平山の顔が喜色で一杯になった。
「東さん、病院まで連れてってくれるってさ!」
平山はほっと胸をなで下ろし、東とほるひすまで近づいていく。
だがその時、背後から聞き覚えのある声が響いてきた。
「東さん見ぃ〜つけた」
そこには東を負傷させた張本人、野丸が立っていた。
野丸はウージーの引き金に指を掛け、今にも引こうとしている。
だが、弾は放たれることはなく、代わりに周囲が紅い閃光に包まれた。
565 :
代理投下:2008/12/28(日) 01:30:30 ID:DLa99cSf0
118 名前: ◆IvIoGk3xD6[sage] 投稿日:2008/12/27(土) 22:11:39 ID:ByhKGjAo0
□
カレー屋、漢方薬屋、古本屋etc……。
「さっきも気になったけど、やっぱりここってあそことそっくりよね」
そう白瀬は一人ごちた。
あそこ、とは彼女の職場のほど近くにあるブギウギ商店街のことである。
そして、彼女はおもむろに雑居ビルに入るとそのまま屋上まで登った。
屋上まで通じるドアの先からは人の気配が感じたが白瀬は躊躇わず扉を開ける。
その先には彼女の同盟相手一一愛の姿があった。
白瀬は手分けして偵察に当たっていたパートナーに成果の程を尋ねる。
「鉄砲みたいなのを持った若い男が一人で誰かを捜してた。
あと、最初に殺された奴がいたじゃない?
それの色違いの奴も見つけたわ。こっちの方は結構手強そうだったけどね。そっちは?」
「個人的に気になることはあったけど、特にめぼしいことはなんも無かったわ」
情報の整理が済むと早速作戦会議に移った。無論それは効率よく人数を減らすためのものである。
二手に分かれての偵察もそれの一環であった。
白瀬の差し当たっての行動方針は強敵は後回しにしての戦力増強である。
そのためには、一人でいる弱者を狙うのが一番効率がいい。
そのターゲットを見つけるための偵察だ。
さるさんか
仮投下スレにさるさん喰らったって書いてあったね
誰かPCの人続きを頼む
568 :
代理投下:2008/12/28(日) 14:05:04 ID:GsMxJ4AY0
119 : ◆IvIoGk3xD6:2008/12/27(土) 22:12:29 ID:ByhKGjAo0
話し合いの結果、まずは若い男の方を狙うこととなった。
赤尽くめの方を今襲うのは危険と判断したためである。
もし赤い男が茶色と同程度の力を持っていたら、いらぬ損害を得ると考えたからだ。
作戦を立て終えた白瀬はなんと無しに下界を見下ろし、そして、それに気付いた。
そこからの行動は早かった。すぐにデイパックからパンツァーファウストを取り出し、構える。
「何をする気?」
「ん〜、ちょっとね〜」
口調はおどけているが、目は完全にハンターの目だ。
(風は無くて、晴天か。コンディションとしては上々ね)
良く狙いを定め一呼吸を置き、引き金を引く。
数秒後、辺りに爆発音が轟いた。
弾頭の顛末を見終えると白瀬は一仕事終えた様な顔で愛に声を掛ける。
「じゃ、戦利品を回収しに行きましょうか」
569 :
代理投下:2008/12/28(日) 14:05:43 ID:GsMxJ4AY0
119 : ◆IvIoGk3xD6:2008/12/27(土) 22:12:29 ID:ByhKGjAo0
話し合いの結果、まずは若い男の方を狙うこととなった。
赤尽くめの方を今襲うのは危険と判断したためである。
もし赤い男が茶色と同程度の力を持っていたら、いらぬ損害を得ると考えたからだ。
作戦を立て終えた白瀬はなんと無しに下界を見下ろし、そして、それに気付いた。
そこからの行動は早かった。すぐにデイパックからパンツァーファウストを取り出し、構える。
「何をする気?」
「ん〜、ちょっとね〜」
口調はおどけているが、目は完全にハンターの目だ。
(風は無くて、晴天か。コンディションとしては上々ね)
良く狙いを定め一呼吸を置き、引き金を引く。
数秒後、辺りに爆発音が轟いた。
弾頭の顛末を見終えると白瀬は一仕事終えた様な顔で愛に声を掛ける。
「じゃ、戦利品を回収しに行きましょうか」
自援
571 :
代理投下:2008/12/28(日) 14:07:15 ID:GsMxJ4AY0
121 : ◆IvIoGk3xD6:2008/12/27(土) 22:19:03 ID:ByhKGjAo0
【E-3/一日目/早朝/放送直前】
【東優@パワプロクンポケット7表】
[状態]頬に小さな傷、甲子がやや心配、左腕重傷、傷心
[装備なし]
[道具]詳細名簿、支給品一式
[思考]
1:平山の死を悲しむ
2:病院へ向かい、その後レッドと合流
3:野丸をどうにかしたい
4:甲子君……
【ほるひす@パワプロクンポケット6表】
[状態]表面が焦げてる
[装備なし]
[道具]支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
1:ひらやま……
2:びょーいんへむかう
3:こうしはどーしよう
【神条紫杏@パワプロクンポケット10】
[状態]健康
[装備]コルトガバメント(7/7)
[道具]なし
[思考]
1:平山の言葉を伝える
2:東を病院まで連れて行く
3:出来ることならカズと朱里、十波には死んでほしくない。が、必要とあらば……
4:島岡から荷物を取り返したい
[備考]
1:この殺し合いをジャジメントによる自分に対する訓練か何かだと勘違いしています
572 :
代理投下:2008/12/28(日) 14:08:03 ID:GsMxJ4AY0
122 : ◆IvIoGk3xD6:2008/12/27(土) 22:20:53 ID:ByhKGjAo0
平山が逝ってからまもなく、白瀬と愛はこの地に辿り着いた。
「ロケットランチャー使って2人か〜。車の強度を見誤ったわ。少しもったいなかったかな」
そう愚痴をこぼしながらも白瀬は平山のデイパックを回収する。
そして、野丸のものも回収しようとした時、そこに正義のヒーローが姿を現した。
「爆発音が聞こえたから来てみれば……。お前達、さっきの会話はどういうことだ!?」
だが、白瀬からの返答がない。代わりとばかりに4発の弾がレッドに襲いかかる。
だが、その悉くをレッドは紙一重で避け、一気に間合いを詰めようとする。
が、その突進は横合いから投げられたフライパンによって阻まれた。
急停止したレッドにすかさず銃弾が飛ぶが、今度は大きく後方に跳躍することで回避、再び間合いが大きく開く。
レッドと白瀬、愛は睨み合い、二度目の攻防が始まろうとする正にその時だった、レッドは予想外の方向からの攻撃を受ける。
何とかそれを回避したレッドの視線の先には、死んだと思われた野丸が立っていた。
レッドの注意が一瞬野丸に向けられる。
その隙を白瀬は逃さない。
「愛!撤退するわよ!」
「承知!」
白瀬と愛はレッドに背中を見せ、逃走を開始する。
「待て!」
慌てて、レッドも後を追おうとするが、再び野丸の攻撃によって阻まれた。
そうしている内に2人の影はどんどん小さくなっていき、遂には見えなくなった。
「野丸!!貴様はあいつらの仲間だったのか!」
「仲間〜?そんなの僕にはいませんよ。けど、流石だね、レッド。あの攻撃を全部避けちゃうなんて。
これじゃ勝てそうにないなぁ。そういうわけで僕も退かせてもらうよ」
「待て!せめて貴様だけでも……!」
そう言い、レッドは野丸に飛びかかろうとするが、それより早く、野丸はデイパックから幾つもの手榴弾を辺りにぶちまける。
レッドの目の前で再び爆発が起こり、煙が晴れた時、そこに野丸の姿は無かった。
「くそっ、くそおぉぉぉぉぉぉ!!!!俺は、俺は…………!!」
自分支援、略して自援
574 :
代理投下:2008/12/28(日) 14:09:19 ID:GsMxJ4AY0
123 : ◆IvIoGk3xD6:2008/12/27(土) 22:21:52 ID:ByhKGjAo0
【E-2/一日目/早朝/放送直前】
【白瀬芙喜子@パワプロクンポケット8表】
[状態]健康
[装備]ベレッタM92(8/15)
[道具]支給品一式×3(不明支給品0〜2)、予備弾倉×5、さおりちゃん人形@パワポケ6裏、ケチャップ(残り1/4程度)、煙幕@パワポケ5裏×2
[思考]
基本:優勝する
1:レッドから離れる
2:戦力増強のため弱者から倒す、強者は後回し
3:愛と共に行動する
4:もし八神が参加していれば最優先で殺す
【愛@パワプロクンポケット5裏】
[状態]右脇腹に傷(応急処置済み)
[装備]なし
[道具]支給品一式
[思考]
1:レッドから離れる
2:自分が生き残ることが第一
3:そのためなら白瀬や他の人間を殺すのもやむ終えない
4:一先ずは白瀬と共に行動する
【野丸太郎@パワプロクンポケット7】
[状態]全身に軽度の火傷
[装備]ウージー
[道具]支給品一式(不明支給品0〜1)、予備弾倉×2、手榴弾@パワポケ10裏×5
[思考]
基本:普通に過ごす
1:レッドから離れる
2:生き残るために人を殺す
3:東を自分の手で殺したい
【レッド@パワプロクンポケット7表】
[状態]ヒーローとしての苦悩、殺人者に対する激しい怒り
[装備]なし
[道具]支給品一式、ナオのリボン、超人ライダーボトルキャップ、ゴーカート
[思考]
1:野丸or2人組(白瀬、愛)を追う
2:1の後病院に向かう
3:レッドとして反省し、ブラウンの分も悪を倒す
4:甲子、東、ほるひすと協力する……必要はあるのか?
5:甲子のことはどうしよう?
575 :
代理投下:2008/12/28(日) 14:10:13 ID:GsMxJ4AY0
124 : ◆IvIoGk3xD6:2008/12/27(土) 22:23:02 ID:ByhKGjAo0
島岡は一人、もと来た道を引き返していた。
(畜生、何なんだ!?あんなのテロと一緒じゃねえか!)
必死に足を動かし、爆心地から離れていく。
ここまでくれば安心か……。
島岡がそう胸を撫で下ろした刹那、銃声と共に自身の右足に猛烈な痛みが走った。
「うがああああ!?」
再び銃声、今度は正確に左膝から血が噴き出す。
バランスを崩した島岡はそのまま倒れ伏した。
そして聞こえる三つ目の銃声。今度は右肩に激痛が走る。
「ど、どうか命だけは助けてくれ!」
島岡は見えない敵に向かっての命乞いをするしかなかった。それが功を奏したのか4発目の銃声は聞こえてこない。
「まずは質問に答えてもらうわ。あなたは何かから逃げてきたみたいだけど、何が起こったのか簡潔に答えて」
代わりに女性の声が島岡の耳に届く。
命が懸かってるのだ、島岡は必死に先ほど自分の身に降りかかった厄災を事細かに説明する。
「じゃあ、襲撃者の顔は見てないのね?」
「あ、ああ。急に車が爆発したんだ。周りには誰もいなかった」
「あと、神条紫杏、高校生の2人、そして着ぐるみはゲームに乗ってないってのも確か?」
「それも本当だ!ここまで話したんだ。なあ、いい加減助けてくれよ」
「……ゴメンね。私はどうしても茜を助けなくちゃいけないの」
女一一リンはそう呟くと、今度こそ4発目の銃声が空に響いた。
【島岡 武雄@パワプロクンポケット6 死亡】
【残り44名】
576 :
代理投下:2008/12/28(日) 14:10:44 ID:GsMxJ4AY0
125 : ◆IvIoGk3xD6:2008/12/27(土) 22:23:45 ID:ByhKGjAo0
【F-3/一日目/早朝/放送直前】
【リン@パワプロクンポケット8】
[状態]健康
[装備]グロッグ19(8/15)
[道具]支給品一式×3、劣化版探知機、ヒヨリンセット(化粧品中消費)、支給品一覧表
[思考]
基本:一先ずノルマの三人殺しはクリアしておく
1:情報を集める
2:八神と茜は何としてでも生き残らせる
3:探知機が存在するのなら入手しておきたい
4:第五回放送の前に役場へと向かう
代理投下終了、ネカフェまで来た甲斐があった
感想
平山ぁぁぁぁぁ!!
ピンチ○は所詮野球人形のパーツにしか過ぎなかったということか……
レッドも笑えるぐらい空回りしてるしリンお姉さん覚悟完了してるしどいつもこいつもいいキャラしてるぜ……
それにしてもこの白瀬、ノリノリである
投下と代理投下乙です。
ネカフェまで行くとは…まさしく愛ですな。
島岡と平山が退場か…。
平山はいい死に方だったな。ピンチ○の力ではどうにもならなかったか…。
島岡は…死体は女装したままなんだろうか?
それはそれである意味悲惨かもしれん。
しかし八神の車ってどこまで壊れたんだろう?形が残ってれば八神が見たら悲鳴あげそうだ。
wikiに保管してて気づいた、代理投下ミスしてるorz
>>569は仮投下スレの
>>120になります、本当にすみませんorz
580 :
ゲーム好き名無しさん:2008/12/30(火) 16:28:44 ID:UPi2BAeFO
年の最後の最後に予約が入った件について
年越し投下ならPCを立ち上げて支援する用意は出来てるぜ
>>581 うーん、じゃあせっかくだし年越し投下狙ってみます
するにせよしないにせよ明日の11時ごろに報告します
出来たときは支援お願いしますです
オーケーオーケー
ただ2chの鯖が落ちてたりしないかが心配だが
あー、0時前に投下できそうです
最後の推敲しときますんで、支援できそうな人はよろしくお願いしますです
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
また11時過ぎたら巡回しに来るぜ
よっしゃ、今年最後の投下だから気合い支援すんぜ!
587 :
ゲーム好き名無しさん:2008/12/31(水) 23:25:35 ID:7YntCFFk0
最後の投下だ!
みんな・・・精一杯支援しようぜ!
そろそろカモーン
遅くなりました、明日香、曽根村、鋼、三橋を投下します
「三橋、くん?」
鋼と向かい合っていると左方から少女の声が聞こえた。
その声を聞き、血に染まったことでさらに禍々しくなった『鬼の手』を身につけた男、三橋 一郎は
ピタリと動きを止める。
「明日、香?」
三橋は動揺した声を漏らし、呆然とした様子で突如現れた少女、進藤 明日香を凝視する。
「進藤……下がっていろ」
鋼は襲い掛かる様子のない三橋をしっかりと観察する。
動揺しているのは簡単に見て取れる。
視線は明日香から外し、下を向いたまま鋼達と目を合わせようとはしない。
(……説得は、出来そうか?)
殺し合いに乗ったという割には迷いが残っているようだ。
ひょっとすると説得が可能なのかもしれない。
「三橋、一先ずその物騒な物を外せ。
何があったかは知らんがまずは話し合いだ」
口下手な鋼には上手く説得できる自信はない。
ただ、隣に居る明日香が落ち着いて話を出来るようには見えない。
当たり前だ、この殺し合いという異常な状況で初めて信頼する知り合いと出会えたのだ。
興奮するな、という方が無理な話だろう。
「俺達は殺し合いに乗るつもりはない、先ほども言ったがな。
馬鹿な真似はやめて――」
しかし、鋼が矢継ぎ早に言葉を発しているとき、三橋は伏せていた顔をゆっくりと上げる。
その目は暗い目をしている、何かを決意した暗い目を。
「三橋、まさか本気なのか……!?」
鋼はその目の変化の意味を悟り、それでも信じきれないのか三橋へと声を投げかける。
三橋はその鋼の問いには答えずに目をそらさずに、二人を見据えたまま口を開く。
「明日香、鋼……もう一度だけ聞く、殺し合いに乗る気はないんだな?」
その目は真剣そのもの。
首を振ればたとえかつてのチームメイトだろうが病弱な幼馴染だろうが殺す、そう目が告げている。
今の三橋は何の躊躇いもなく鬼の手を鋼達に突き刺すだろう。
あの手につけている何かが危険な代物だということは何となくではあるが二人にも理解できる。
――――赤い、赤い手。
元々そういう色であったということもあるだろうがそれにさらに上塗りされた色になっている。
この状況で赤い色と言えば連想できるものは一つだけ、ケチャップや赤色の絵の具なわけがない。
そう、血、以外に他ならない。
「……進藤、直ぐに曽根村のところに戻っていろ」
「え? え?」
「三橋は混乱しているようだからな。少し殴って元に戻してやるだけだ。
曽根村には直ぐに追いかけると言っておけ」
鋼は肩を軽く回しながら明日香へ諭すように話す。
視線は三橋からそらすことをしない。
鋼も腹をくくったようだ。
もっともそれは三橋とは全くの逆、殺さないと言う意味でだろうが。
「行け!」
「……!」
明日香はその鋼の言葉を聞いて、怯えるように去っていく。
鋼はポキポキと首を動かして、三橋をまっすぐに見据える。
「殺しはしない。少し、痛い目には遭ってもらうがな」
◆ ◆ ◆ ◆
三橋と鋼はお互いに目をそらさない。
三橋は知っている、目の前の男の手ごわさを。
トップアスリートと呼ばれるにふさわしい高い瞬発力と視力、しなやかな筋肉を持っている。
その上、少し真面目すぎてどこか天然の気もあるが、頭も良く冷静だ。
隙を見せれば簡単に倒されてしまうだろう。
「三橋、もう一度だけ聞く。本気で殺し合いをするつもりか?」
「……それが俺の、やらなきゃいけないことだからな」
それだけを言うと三橋は低い体勢で突進する。
三橋は格闘技などやっていない、せいぜい学生時代に柔道の授業をやったことがある程度だ。
だから、突進。
下手にフェイントを混ぜて釣られるような相手ではないことは三橋も理解している。
ならば、パーツ『豪力』によって強化されてるタックルが一番有効だ。
パワーも走力もある三橋のタックルは簡単に避けれるものでも、軽いものでもない。
当たれば確実に体勢を崩すだろう。
そうすれば鋼へと馬乗りになり、鬼の手で心臓を突き刺す。
それが三橋の作戦、決まれば一瞬で終わるものだ。
だが、当然そう上手くはいかない。
鋼は少ない動作で体をわずかに逸らしタックルの軌道から外れ、すれ違い様にカウンターの左ジャブを
入れようとしてくる。
「くっ……」
三橋はそれを転がるようにして避けて素早く立ち上がる。
タックルは失敗、一発失敗したものが二度目に成功するとは考えにくい。
これからは普通の殴り合いになってしまうだろう。
(……大丈夫だ、こっちには鬼の手と豪力がある)
パワーパーツと鬼の手をつけたサイボーグ。
肉体戦ならばこれ以上とないアドバンテージのはずだ。
ここで重要なことは一つ、この鬼の手が異常なまでの殺傷性があるということを知らせないことだ。
鬼の手が大木をも切り裂くことも出来る『兵器』だと知られた場合と知られていない場合ではどうなるか。
まず知られた場合。
メリットは鋼の注意が右手に向き、左からの攻撃が当たりやすくなる。
デメリットは鬼の手に注意が向くため一撃で決めづらくなる。
次に知られていない場合。
メリットは鬼の手への注意が知られた場合よりも薄いので一撃で決めれる可能性が高いということ。
デメリットはその分、鋼が全力で来れると言うこと。
ただ野球をやっていただけの人生だった三橋にはどちらの場合も一長一短のように思える。
よって、一先ずは鬼の手は最後の一撃のためにとっておくことにした。
左パンチと蹴り、鬼の手はフェイントだけに使う。
そちらを選んだ深い理由はない、ただなんとなくそうしたかっただけだ。
――それが、なるべく苦しまずに殺したいという感情だということは三橋は気づいていない。
鋼も三橋も様子をお互いに窺っている。
先ほどの応戦でどちらも迂闊に出れば簡単に負けると気づいている。
三橋は鋼を一撃で沈められるパワーを持っている、鋼は三橋にはない殴り合いの経験がある。
二人のデイバックは遠く離れている。
もっとも野球ボールぐらいしか攻撃手段のない鋼のデイバックと予備バッテリーが入っているだけの
三橋のデイバックでは大して役には立たないだろうが。
男と男の、拳と拳の勝負。
張り詰めた空気の中、三橋はふと昔のことを思い出す。
(……三回目か、知り合いとこんな状況になるのは)
懐かしい高校時代と、つい最近に思える出来事。
一度目は空手部の同級生を野球部に誘い込むため。
もっともそれは殴り合いと言うよりは一分間避けきるというサンドバック扱いのものだった。
二度目は親友との、そう親友との喧嘩。
三度目は喧嘩ではなく殺し合い、向こうにこちらを殺すと言う意思はないようだが。
「……」
「……」
お互いに動かない。
動いたほうが負け、というわけではない。
所詮は特殊能力のないサイボーグと喧嘩慣れしたチンピラに過ぎない二人の殴り合い。
隙を窺うとか、気を抜いたら殺されるとか、そんな次元の話ではない。
ただ、二人ともまだ甘さが残っているだけ。
出来ることなら痛めつけたくないと思っているだけ。
そんな状態のまま何分経っただろう。
お互いがにらみ合ったまま、無駄に時間が流れていく。
そんな時だった。
「伏せてください、鋼さん!」
にらみ合った二人の左方から男の声が響く。
それは三橋には全く聞き覚えのない声。
何事かと三橋と鋼は両者共に声の方向へと向き―――。
――――パン! パン!
向いたと同時に乾いた音を二つ聞いた。
先に反応したのは鋼だった。
銃声に驚いたのは一瞬で、男の顔を見たと同時に納得したのか素早く姿勢を低くする。
(じゅ、う?)
一方、三橋は反応が遅れる。
幸いにも銃弾自体は素人の撃ったものということで見当違いの方向に行き、無傷。
しかし、突然の出来事に体を強張らせる。
その隙を、鋼は見逃さなかった。
鋼は三橋がしたように低い姿勢を取ってそのまま突進する。
三橋の足を拾い、そのまま自分ごと倒れこむようにして押し倒した。
「取ったぞ……!」
鋼は馬乗りになり三橋を見下ろす。
三橋はその状態でも苦し紛れにパンチを繰り出すが、鋼は首を捻るだけでそれを避ける。
マウントポジションとはそういうものだ。
腰も捻れない、腕を伸ばしきってようやく届く程度のパンチの威力など高が知れている。
――――しかし、これは鋼だけのチャンスではない。
「がぁっ!!」
雄たけびを上げ、思わず立ち上がってしまう鋼。
急に痛みの走ったわき腹へと目をやる。
鋼のわき腹は抉れるように傷がついており、肉が見えていた。
そして、三橋の鬼の手にはわずかではあるが、確かに肉が見えた。
鬼の手でわき腹の肉を切り取ったのだ。
当然、そんな明らかな隙を見逃すほど三橋に大きな甘さはさすがに残ってはいなかった。
素早く立ち上がり鬼の手で振り上げる。
(……っ!)
その瞬間に頭に浮かんだのは火星オクトパスでの練習時。
アルベルトが居て、鋼も居て、ネロも居て、立花も居て、たかゆきも居て、倉刈さんも居て、
ドミオも居て、アンヌも居て、服部も居て、冬野も居て。
ほんの少しの間、動きが止まったのかもしれない。
だけど、それは本当に少しの間。
まるで自分のすることから逃げるように目をつぶり、鋼を鬼の手で切り付けた。
「か……はぁ……」
そう思うと簡単に鋼を切り裂くことが出来た。
右肩から腰へと斜めに切りつける。
そして、とどめとばかりに腎臓に鬼の手を突き刺す。
内臓が傷つけば、満足な治療が出来ないこの状況なら確実に死ぬ。
三橋の目からは涙も出ない。
深い悲しみもなければ、亀田の役に立てたという充実感もない。
ただ、辛かった。
(……なんで、こんなに辛いんだ?)
人殺しはともかく、今まで悪いことなら何度もやってきた。
そのたびに嫌な気分に襲われてはいたが、今回は格別に辛かった。
何故かはわからない、ただ今は何も考えたくない。
そのためにも体を動かしていたい。
それがたとえ人を殺すことになっても。
「待……て……」
「……生きて、たのか?」
二人に向かって歩き出そうとしたとき、鋼が声を上げる。
うつ伏せのまま這うようにして近づき足を掴む。
三橋はその手を払おうという気持ちにはなれなかった。
しえーん
「進藤さん、逃げましょう」
「でも……」
「行…け……!」
「鋼さん……」
「こっちです!」
明日香とスーツの男は逃げていく。
鋼を振り払うことは簡単、明日香の体力を考えれば追いつくことも簡単だろう。
それでも三橋はその場を動かなかった。
「鋼……」
「…殺した人間が…なんて顔をしている……」
これではまるで立場が逆ではないか、と鋼は薄く笑う。
ふうふうと息を吐くのも三橋、青白い顔で感情を悟られないためか作ったように真顔な三橋。
「……殺し合いに乗るな……!
お前は……そんな人間じゃ、ないだろうが……!」
所々をつっかえながら喋りかける。
その真剣な目に覚悟が揺らぐ。
「……俺一人なら、まだ大丈夫だ。何が、原因、か…は……知らないが……」
「それは、駄目だ。これは亀田君の……」
「俺は、お前の気持ちを……聞きたい」
「俺の、気持ち?」
本音を言うなら殺人なんてしたくはない。
出来ることなら笑って野球をしていたい。
亀田と、出来ることなら今までの仲間とみんなで。
「……鋼、殺し合いに乗るって言えよ。
ひょっとしたら、生き残れるかもしれないぞ」
嘘ではない。
人は脳、いや、記憶のバックアップと金さえあればいくらでも生き続けられる。
クローンを用意して、サイボーグ手術を行えば可能である。
現に三橋も脳しか残っていない中でサイボーグとして生き返ったのだから。
もちろん、可能性は低い。
だが、ひょっとすると亀田が気まぐれを起こすかもしれない。
「断る……!」
だが、鋼は一瞬の隙もなく断った。
迷いも見せず、三橋から目もそらさずに。
「俺は死ぬ、それは、自然なことだ。
……生き返ったりしたら、不自然だろうが」
「鋼……」
「不自然な状態が、続いても……碌なことにならない……
これは、お前の言葉だろう?」
スポーツ界はプロペラ団を中心に回っている。
そのプロペラ団を潰せばどうあれスポーツ界のバランスはグラグラになる。
それでも、潰さなければいけないと、かつての三橋は言ったのだ。
「やめろ……悪行の先にあるものは……破滅だけ…だぞ……!
破滅に、行くまでも……辛い道だ……
お前は……プロペラ団のように……」
「……ごめん、それでも、俺は」
グシャリ、ともう一度鬼の手で鋼を貫く。
今度は心臓、即死だ。
動いていない鋼を殺すのは容易かった。
「……亀田くんの『お願い』は、断りたくないんだ」
自分がどれだけ卑劣なことをしているか、そんなことは分かっている。
だけど、三橋には抗えなかった。
亀田の言うことを聞いたときの幸せな気持ちと、亀田の言うことを聞かなかったときの苦痛。
それは見事に『飴と鞭』の効果を発揮していた。
「……疲れたな」
三橋は鋼のデイバックを拾ってから、少し休むことにした。
止まることは出来ない。
明日香も殺さないといけない、明日香と一緒に居た男も殺さないといけない。
もっと、もっと、もっと、もっともっと多くの人間を殺さないといけない。
それが亀田の出した今まで一番辛い『お願い』。
『お願い』は叶えてあげたい。
(……大丈夫さ、辛いのは何時だってその時だけ。
終わったあとに、亀田くんが「ご苦労様」と言ってくれるだけで俺は楽になれるんだ)
そう思えたからこそ、先ほども明日香や鋼を殺す決意が出来たのだ。
――もっとも、人はそれを逃避や責任転嫁と言うのだが。
そんな風に考えながら壁にも垂れ込み座り込む。
目を閉じて、まるで眠るように。
(出来ることなら、長い夢だと良いんだけどな)
これは全部夢で、目を覚ませばみんな元通り。
それがあり得ないことだということは分かっている。
それでも、三橋はそう願ってしまう。
(野球……したいな)
【鋼 毅@パワプロクンポケット3 死亡】
【残り43名】
【H-6/水族館/一日目/早朝】
【三橋一郎@パワポケ3】
[状態]:健康 エネルギー75%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式×2、予備バッテリー、野球ボール数個、ランダム支給品
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する
1:少し休もう
2:参加者を積極的に探して殺す
3:もしも相手がマーダーならば協力してもいい
4:亀田に対する恐怖心
[備考]:萩原は死んだと思っています
支援
2009年初支援
◆ ◆ ◆ ◆
曽根村は苛立ちながら明日香の手を引いた状態で走っていた。
思わず舌打ちを漏らしてしまうほど苛立っている。
先ほどまでは上手く行っていたはずだった。
あの男が来ても何とか撒けるはずだ、こちらには拳銃があるのだから。
それがどうだ。
結果は大事な剣でもあり盾でもある鋼を失い、残ったのは足手まといとしか言えない明日香だけだ。
まだ明日香を殺すつもりはない、明日香にはかろうじて利用価値が残っている。
殺し合いに消極的な人間達とコンタクトを取りやすくなるという利用価値が。
殺し合いに消極的ならばこちらが向こうへ害をなさない限り協力的な対応を取るはずだ。
だが、それだけでもこちらを信用するかどうかはわからない。
しかし、明日香が居ることで曽根村は『怪しいオジサン』から『か弱い女子高生を守る優しい中年』
という評価に変わる。
逆に言えば、明日香にはそれだけの価値しか残っていないと言うことになるが。
「進藤さん、少し物陰で休みましょうか」
「いやぁ……なんでぇ……? こんなの……いやぁ……」
思わず舌打ちをしそうになるが何とかこらえる。
明日香を無理やり引っ張り物陰に隠れ、地べたに腰を落とす。
曽根村も若くない、体力の切れが早くなっている。
(元々、私はデスクワークが専門なんですから……)
所詮はただの副社長である曽根村ではどこぞのタイムパトロールや特命ハンターのように
動き回りながら頭をフル回転させるなんて器用な真似が出来るわけがない。
だが、その専門の頭脳ならば殺し合いに呼ばれた中でもトップクラスに入るのは間違いない。
(目下の目的としては鋼に変わる人間が欲しいですねぇ)
それが手に入れば明日香は要らない、茫然自失な状態では足を引っ張るだけだ。
他に同行者が出来ればさっさと『処分』してしまった方が良いだろう。
(黒いヒーロー、高科奈桜、真っ赤な手を持つ進藤の知り合い……
こんな危険な場所でうろつきたくないんですがねえ)
襲われた場合に頼れるのは自分だけだ。
と言っても、明日香を盾にする方法も残されている。
(先は長いですねぇ……何人死んだかはわかりませんが、さっさと終わらせたいものです)
昇ってくる太陽をぼんやりと眺めながら、曽根村は生き残るために頭を必死に働かせていた。
608 :
【大凶】 :2009/01/01(木) 00:01:05 ID:8vc95wyo0
【H-6/水族館付近の物陰/一日目/早朝】
【進藤明日香@パワプロクンポケット1】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、安眠マクラ@パワポケ4、トルマリンの置物@パワポケ4、特効薬×3
[思考]
基本:殺し合いから脱出する
0:いやぁ……
1:放送の後、研究所へと向かう
【曽根村@パワプロクンポケット2】
[状態]右手首打撲
[装備]ナイフ、ブロウニング拳銃(4/6、予備弾数30発)
[道具]支給品一式
[思考]
基本:漁夫の利で優勝を目指す
1:使えそうな人間を見つける
2:高科奈桜に対して疑心
3:研究所へと向かう
4:どさくさに紛れて明日香を『処分』する
610 :
【1087円】 :2009/01/01(木) 00:03:05 ID:8vc95wyo0
投下終了です
誤字脱字矛盾があればどうか指摘をお願いします
たくさんの支援、ありがとうございました
612 :
ゲーム好き名無しさん:2009/01/01(木) 00:07:10 ID:oEvG51hJ0
支援
投下乙です
感想の方は某ラジオが終わってからじっくり書かせていただくのでしばしお時間を・・・
投下乙です
しかし鋼…鋼が…。
やっぱかっこいいな鋼。
そしてどんどん堕ちていく三橋。
三橋が戻ってこれる日は来るんだろうか…。
改めまして投下乙です
鋼……またいい男が死んでしまったか……
一郎はこれからもどんどんダークサイドに嵌っていっていまうんだろうか
一郎と鋼の心理描写が熱い感じで素敵です。
そして黒いよ曽根村さん!
もうダメダメな明日香の行く末がますます心配になってきた作品でした
そしてあけましておめでとうございます
今年は少しでもスレが盛り上がるように色々とアクションを起こせるようにしたいです
投稿乙です。
鋼は死亡か…三橋も殺し合いに乗っているし同行者が曽根村だし明日香がどんどんヤバくなっているな…。
これからが楽しみだ。
投下GJ!
鋼が死んだけど、今後の三橋にどんな影響を与えるかな
明日香はとっととソネムーから離れるべきだな。あいつの行動方針に不穏な一行が
それにしても、見せしめを入れて1/4以上が死亡か。結構ペース早いな
第一回放送も近いな
ひょっとして今から放送いけちゃうんじゃーねーの、これ
地図氏毎度お疲れ様です
しかし過疎地と過密地の差が凄いな
地図乙です!
wikIと地図はSS書く際にとても助かります
見せしめ含めてもう13人も死んだのか
なんか第3放送終了辺りで主催戦に入りそうな勢いだなw
全滅の可能性もあるが
13人じゃない、17人だった
624 :
ゲーム好き名無しさん:2009/01/05(月) 03:58:02 ID:yVhIxJefO
あげ
放送案書いてみたんだけど仮投下スレに投下してみても良いのかな?
仮投下ならいいんじゃない?
その後、何もないようだったら本投下ということで
仮投下してきました
問題だと思うところがあれば指摘等お願いします
仮投下乙です
自分は特に問題はないと思います
禁止エリアの決め方はどうするのかよく分からないですが
下らない事ですが、個人的にはタイトルはシンプルに「第一回放送」の方が良い気がします
まあ、一読み手の意見なんで作者氏の感性にお任せしますが
仮投下乙です
私も特に問題は無いかと思います
ところで、あと放送までに動かさなきゃいけないパートってどこだろう?
>>628、
>>629 あい、ありがとうございます
少し主催側につついたから不安でしたのでそう言って頂けるとうれしいです
禁止エリアは……一先ずはそれほど重要じゃないところをしますかね?
一応、隊長、紀香、タマちゃんヘルガ、朱里、あやか伯爵プレイグ、が黎明ですねー
でも無理してまで進める必要はないかと
とりあえず予約の様子を見て放送は本投下します
あやか伯爵組は動かした方が良いと思うな。
方針が殺し合いを円滑に進める事だからじっとしてるとは思えないからね。
仮投下乙です。自分も問題ないと思います。
禁止エリアもそれ(さほど重要でないところを)で大丈夫だと思います
禁止エリアは、上手いこと集団を動かせるような場所にあるといいんだけどな
フッキーが○○○○○○○○○だと……
どれくらいの強度なんだろうなー
一応隊長が撃った銃一発で死に掛けになってたからあんまり装甲は大したことないんだろうけど
さて、問題は8の主人公です
8の後に身体を弄くられた可能性もあるけどな
というかロワ内では詳しい描写がゲーム内にない以上はそうと仮定するしかないが
「燃えろ!ジャスティス爆炎」ってジャス学のパロディ?
めっちゃ懐かしいw
予約が〜〜〜〜〜〜〜〜
キタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
うほっ、いい予約
>>638 ようこそパワポケロワへ
他にもパロとかは沢山あるから頑張って探しておくれ
全部の作品をしっかり読んだら書き手になるのも歓迎だぜ
昨日初めてパワポケロワを見た俺なんだが
11のキャラ達ってもう今更無理かな?
裏の主人公とか出てきたらイイナと勝手に妄想している俺
>>642 残念! もう参加キャラは締め切ってしまった!
はい、どんどんキャラを追加していくと収集がつかなくなってしまうので
……俺もデス・マスとか11裏主とか出したいけどね!
無事に完結すれば11でも12でも出れるよ!
あれだ、良いキャラが沢山いるのがパワポケの良いところだから、今いるキャラで頑張っていきましょい
>>643 >>644 あーそうか。
ルールとかよく読まずに軽はずみな発言してすまんかった。半年ROMってきます。
いえいえ、お気になさらず
……テンプレ引っ張ってきたものだけどもっと短くまとめた方が良いかなー
ちょっと試しにオリジナルを作ってみらー
うおぉついに俺の大好きなキャラの予約が!ありがてぇありがてぇ…
黒羽根あやか、埼川珠子、プレイグ、ヘルガを投下します
ktkt支援
突然だが、ヘルガや背中の傷をつけた忍者に語った『埼川珠子』とは本当の名ではない。
本当の名は、鈴に霞む、と書いて鈴霞。読みは『すずか』だ。
この名を知っているのは自分を裏切り者として処分するかつての同胞の忍者。
そして、自分の抱えている全てのことにけりをつけたら会いに行くと約束した愛しい男。
男との約束のためにもここで死ぬわけにはいかない。
だからと言って、ここに居る全員を皆殺しにしようとは思わないが。
しかし、皆殺し以外の方法を歩むと言うならばそれは茨の道だ。
この首輪がなければまだ分からないが、首輪がついたままでは逃げ出すことも戦うことも出来ない。
向こうは自由にこちらを殺せるのだから。
残念ながら機械に対する知識が全くといっていいほどない自分では外すことなど出来ないだろう。
さらにあのガンダーロボまである。
あの巨大な兵器をたった一人で倒せるほど、忍者とはメルヘンな世界の住人ではない。
圧倒的に不利、まさに八方塞。
「……しかし、諦めるわけにはいかんな」
もう三十にもなると言うのに、妙に幼い所のあるあの男が待っている。
抱えてきたものにもようやく終わりが見えてきた、自分にとっての夜が明ける時が来るのだ。
ここで死ぬわけにはいかないし、無駄な罪であの男と会いにくくなるのも困る。
意地でも生還しなければいけない。
「……あまりここに長く居るわけにもいかない」
一箇所に留まることは優勝する、つまり最後の一人になるという目的ならば最善の戦法だと言って良い。
しかし、自身の目的は最後の一人になることではなく、皆殺し以外の方法での生還。
いっそ乗ってしまおうかと思わなかったと言えば嘘になるが、さすがに辞めておいた。
先も言ったようにあの男と再開した時に後味が悪いし、何より確実に生還できると言う保証がない。
亀田は人を殺すことに何の躊躇いもなかったのだ、一生モルモットとして生かされる可能性も高い。
それに『亀田が殺し合いを開いた』と言うことを知っている人間を生かしておくとも思えない。
普通ならそんなことを言っても誰も信じないだろうが、それでも何か不審に感じる人間が居るだろう。
ならば、煙の元は完全に断ち切るはず。
「タマコ」
「おお、ヘルガ。服は乾いたのか?」
日本刀を片手に持ち、そろそろ野球場から出ようかと思っていたところにヘルガが訪れる。
その格好は軍服を綺麗に着なおしている。
会って間もないが、向こうに敵意がないことは分かっている。
忍者と言う隠密行動のプロに追われてきたため、殺意には人一倍鋭いと自負している。
少なくともヘルガはこちらを殺すつもりはない、はずだ。
「うむ、そろそろ呼ぶつもりだったが」
「そうか、で、何か見つかったか?」
「いいや、何も。精々タオルぐらいだ、バットのようなわかりやすい武器はない」
簡単に凶器を手に入れれるようにはなっていないようだ。
それでも軽く探した程度だから、もっと気合を入れて探せば違うかもしれないが。
いずれにせよ、バットや包丁といった分かりやすい凶器はなかった。それだけは確かだ。
「ならば出るか。何時までもここに留まるわけにはいかまい」
「ああ、そうだな」
座っていたベンチから腰を上げ、少しだけ選手ロッカーを眺める。
選手ロッカーを見ると思い出す、迅雷 隼人という男の振りをしてモグラーズのコーチをしていた頃を。
そして、お荷物選手からプロ野球チーム・大神モグラーズを代表する選手となったあの男のことを。
給料と経歴を問わない急募という好条件のため一時の隠れ蓑として働いていたが、楽しい日々だった。
気に食わない男も居たが、どいつもこいつも気の良い連中だ。
考えていたよりも長居し過ぎた、そのおかげであの男とも出会えたのだが。
そう考えているうちにいつの間にか野球場の外へと出ていた。
名残惜しい、ここには様々な思い出が残っている。
だが、今はそうは言っては居られない。
さっさとこの場所から脱出して全てのことを片付けなければいけない。
もう少し眺めていたい気持ちに襲われたが、直ぐに立ち去り廊下を歩いていく。
――――次に野球場に来るときは、あいつに会いに行くときだ。
そう決心し、足を踏み出す。
そろそろ太陽が見える、夜が明けて朝が来る時間だ。
今までのことを片付けて、あの男と一緒に居ることの出来る朝が自分にも来るだろうと信じて歩いていく。
そんな時に、一人の女が目の前に現れた。
「こんばんは、いえ、今の時間だとおはようございますになりますかね?」
マントを着込み、中世の貴族のような上品な服を着た女。
顔立ちは整っており、街中を通っていれば男が振り向くほどに。
見た目自体には妙な服装をした美しい女というだけで別段変わったところはない。
だが、その姿を見て背筋に寒気が走った。
瞬時に理解した、目の前の女は人間ではない、と。
「タマコ……これは」
「……ヘルガ、先に行っておけ」
ヘルガも目の前の女が只者ではないと悟ったのだろう。
軍人である以上ヘルガも戦場を見たことはあるはずだ、危険への察知能力が人より優れているのだろう。
懐のナイフに手を伸ばし、体勢を低くして身構えている。
しかし、残念ながらただの軍人であるヘルガには荷が重い相手だ。
銃があるならばともかく、ナイフしか持っていない今のヘルガははっきり言ってしまえば邪魔だ。
忍者の時代に一人での戦い方も習っている。
「私は黒羽根あやかと申します。あやか伯爵、とも呼ばれておりますが」
「……人ではないな。悪霊、いや、妖怪の類か」
「妖怪……?」
「居るんだよ、そういうのがね」
その言葉にヘルガはいぶかしげに眉を潜める。
確かに目の前の女は上手く言えない奇妙な雰囲気の女だが、妖怪とは突飛過ぎるだろう。
しかし、女は否定もしなければ自分も真剣そのもの。
ヘルガはそんな私たちの間に走る緊張感を察したようだ。
人間には分というものがある、長生きするためにはその分を超えないことが大事だ。
「……わかった、先に行かせてもらおう」
「安心しろ、直ぐに追いつく」
聞き分けの良いヘルガに安心する。
所詮会ってから二時間程度の仲なのだから、簡単に見捨てても当然ともいえるが。
「その前に一つ、いいか?」
「何だ?」
「私の占いによるとお前はこの殺し合いと言う最悪の場で未来を見るかもしれない。
そして、私の占いはよく当たると評判だ。
ただ心配するな。お前はお前の生きたいように生きれば良い、それが自由と言うものだ。
第一、当たるも八卦当たらぬも八卦、だ」
「……そうか、肝に銘じておこう」
いずれにせよ、ヘルガは立ち去った。
曖昧な内容だったが占いなんてそんなものだ。当たるも八卦、当たらぬも八卦。
よく当たると脅したが、実際は当たらないこともよくある。
ただ、他の街角でやってる占いよりも少し当たる程度レベルのものだ。
「ツキがないな、これなら正面玄関ではなく選手用の出入り口を使えばよかった」
「ふふ、そう嫌わなくてもいいではないですか」
「……で、お前は殺し合いに乗っているのか」
「はい、と答えるしかありませんね。貴女には嘘が通じそうにない」
しえーん
足音でヘルガが確実に遠くへ行ったのを感じると、あやかと向かい合い口を開く。
軽口を叩いているが、珠子は斬りかかる隙を窺っていた。
目の前の女は殺し合いに乗っていると認めた。
ならば、放っておくわけにはいかない。ここで斬る必要がある。
だが、隙がない。誘いはかけているが乗りもしない。
このまま向かい合っているのは危険だ。何処かからやってきた新しい下手人が来ても面倒。
最善の選択肢は自分から斬りかかる、という選択肢だ。
「それにしても……本当にそっくりですね。
初めてではないですが、やはり何度見ても驚きますよ」
「……何のことだ?」
目の前の女、あやかの言っていることが理解できない。
少なくとも珠子は目の前の女と会ったことはないはずだ。
それに、あやかの口調も自分と初めて会ったような口ぶり。
つまり自分はあやかの知り合いの誰かと似ているのだろう。
しかし、自分にとって妖怪の知り合いに似ているなどどうでもいいことだ。
そう、次の言葉が聞くまではそう思っていた。
「鈴霞、ですよね?」
その言葉と共に何かに弾かれたように素早く飛び掛る。
とっくに日本刀は鞘の中から抜いており、その刀身はあやかの首筋を確実に切り落とそうと襲い掛かる。
しかし、それを同じく素早く鞘から抜いたあやかに受け止められる。
そのやり取りだけであやかが怪しげな雰囲気に違わない実力だとわかる。
「ヘルガを立ち去らせて正解だったな。
何故妖風情が追っ手なのかは知らんが……ここで斬る!」
「出来ますか? 貴女に」
舐められている、そのくせ油断はしていないという面倒な相手だ。
日本刀を正眼に構えて、あやかを見据える。
先ほどのやり取りだけでは確かな力量を見定めることが出来なかった。
出来ることなら撤退したいところだが、そう簡単に逃げさせてくれるとは思えない。
何より、あやかを野放しにしていれば確実に人が死んでいく。
それは避けたい。ここに来てしまった人間にもあの男のように、私のように夢がある。
それを軽々と消してしまう類の妖怪を生かしておくことは出来ない。
そう考えているうちに今度はあやかが襲い掛かってきた。
太刀筋は決して甘くなく、それを受け流すように防御するので精一杯だ。
しかし、その一つでは終わりはしない、凄まじい速さで刀を振るっていく。
フェイントも混ぜた手数をふんだんに使った戦い方。
唯一の朗報は体から想像がつく通りの威力だということ、妖怪といっても力自体は大したことがないようだ。
つまり、あやかなる妖怪はスピードは凄いが、力押しするタイプではないということだ。
支援
――――大丈夫だ、確かに強いが……十分戦える。
恐らくではあるが自分より少し上といったレベル。
そして、そんな忍者のようなタイプとは格上格下問わず腐るほど戦ってきた。
致命傷を避けていれば、死ぬことはない。
あやかがスピードを落とさずに攻め続け、自分が致命傷になるだけを確実に防いでいく。
二十数合ほど打ち合ったころ、痺れを切らしたのかあやかは間合いを取り直した。
「ふふ、やはり戦いも悪くないですね。
心躍る、とまではいきませんが暇つぶしとしては十分すぎます」
「……」
あれほどの攻撃を続けたというのにあやかは息を切らした様子もなければ汗を流してもいない。
人間でないのだから当然とは言え凄まじい体力だ。
このまま体力勝負には持ち込んでは危ない。
しかし、防御で手一杯。
「虎穴入らずんば虎児を得ず……か」
「来ますか? 鈴霞」
目の前の妖怪は嬉しそうに笑い、挑発を多分に含んだ声で鈴霞と呼ぶ。
正直な話、その名はあの男以外には呼ばれたくない。
しかし、ここで激昂しては思う壺だ。
落ち着いて周りに何か使えそうなものはないかと窺うが、そんな都合の良いものは全くない。
野球場の中に入って仕切り直そうにも、先ほどの攻防の間に位置は逆転し相手が野球場に背を向ける形になっている。
ならば、残された戦法は一つか。
覚悟を決め刀を構えなおして、あやかへと向かって走り出す。
「特攻? 捨て鉢になりましたか?」
その言葉を無視して自分の出せる一番の斬撃を繰り出す。
これで受け止められれば厳しい、防御に移る準備はないため致命傷になる可能性が高い。
「おっと……」
あやかは刀で受け止めることはせずに首を少し逸らして避け、距離をとろうとする態勢に入る。
威力は強いが太刀筋は読みやすいものだったから、当然とも言える。
「……!?」
「取った!」
しかし、あやかが避けるよりも早く足の甲を踏みつけ動きを止める。
元々そのためだけの攻撃、行動は早かった。
焦りで隙が出来る、刀を素早く下段に構え足へと狙いをつける。
足を潰せばスピードで襲ってくるこの女の強みはほとんどなくなる。
「な……!?」
しかし、その瞬間、自分のちょうど正面に当たる球場の入り口から男が出てくる。
野球帽と野球のユニフォームを来た、野球場にはふさわしくとも殺し合いには場違いな男だ。
それだけならば問題はなかった。
自分を殺人犯と疑われるよりもこの女を生かしておくほうがよっぽど危険なのだから。
普通なら、出てきた男が誰であろうとこの刀を振るうことに躊躇うことはないはずだ。
しかし、物事には常に例外が付きまとう。
突然野球場から現れた男はその例外だった。
「……まさ、か?」
――――いや、違う、あれは―――
「あいつじゃ……ない…………?」
一瞬チラッと見ただけでは似ていると思ったが良く見ると違う。
大まかな顔つきなどは似ているが、背丈や顔の所々が違っている。
まるで出来の良くない、記憶を頼りに描いた模造画のような、そんな男だ。
「御免」
その瞬間、今までは見せなかった僅かだが確かな隙を作ってしまう。
あやかの刀が鋭く振り下ろされる。
それでも現れた男の姿から目を話すことが出来ない。
「あ……?」
「ええ、楽しかったですよ。出来ることなら、もっと続けていたかったぐらい」
燃える様な痛みが手首から感じる。
呆然としたまま、ようやく男から手首へと目を移すと持っていたはずの刀がない。
それどころか人間なら着いているはずの手がない。
そこでようやく、手首を斬りおとされたのだと気づいた。
「あ……ぁあ……!!」
「ですが、これで終わりです」
うめき声を上げようとした瞬間、刀で首輪のちょうど上となる部分、人間の急所である喉を貫かれる。
もう声も出ない、出るのはヒューヒューという声ともいえない息の音だけだ。
足に力が入らず前のめりになるが、刀が喉に突き刺さったままなので倒れることすら出来ない。
「……」
「……ぁ……ぁ……」
支援
するすると刀が喉から抜かれていく。
ひんやりしているはずの鉄が体内にあるはずなのに喉が焼け尽きるように熱い。
そして、刀が抜けきると同時に地面に倒れこむ。
指一本動かす力がなく、立ち上がるなど出来るはずがない。
膝から崩れ落ちていき、手で支えることも出来ずに顔がどさりと地面へとぶつかる。
何が何だかわからないが、自分が殺されたのだということだけはわかった。
足や腕はもちろん、徐々に指を動かすことすら出来ないほど力が抜けてくる。
どんどんと体から力が抜けていき、喉の熱さと苦しさだけが残っていく。
ぼやけている視界から見える東の空はまだ暗いまま。
――――太陽は見えない。
――――――――朝は迎えていない。
――――――――――――夜は、明けることはなかった。
【埼川 珠子@パワプロクンポケット5 死亡】
【残り42名】
◆ ◆ ◆ ◆
ヘルガは低い態勢で草原を疾走していた。
後ろを振り返り誰も追ってきていないことを確認して、ようやく足を止める。
少し休もうと大きな木の傍の見晴らしの良い場所で息を殺して座り込む。
珠子がどうなったか、黒羽根あやかなる妖怪がどうなったか、それは放送を聴けば分かるだろう。
だから、今は休んでおこう。
まだ太陽の出ていない空を眺める。
その空はとても澄んでいて、このような状況でなければ非常に良い夜明けの時間だと言えた。
『しあわせ島』という隔離された強制労働島の所長を務めていた彼女にとって澄んだ空は珍しいものではない。
工場があるとはいえ、都会と比べれば何倍も綺麗な空を見ることが出来る。
つまり、ヘルガは空を眺めているのではなく、少し考え事をしていた。
世の中は少しずつではあるが良くなっている、それは間違いないのだ。
ただ、それは表面的なものばかりで重要なものはおざなりとなっている。
生活の基本となる衣食住は十年前とは比べ物にならないほど改善されている。
医療の進歩も著しく、不治の病も確実にその姿を見せなくなってきている。
(だが、我々はそれを急ぎすぎた……)
貧富の差は存在しているとはいえ、確かに人間の生活は裕福になった。
裕福にはなったが、それ故に自分を見る時間が多くなった。
(……確かに人間には逃げ込む先はまだ残されている、解明されていない謎も残されている。
……それでも、私はこの意思を変えることが出来ないのだ)
ヘルガはしあわせ島で出会ったあの日本人の言葉を思い出す。
――――それでも、人間の未来は続いていく。
それは事実なのかもしれない。
人間はヘルガが思うほど弱い生き物でもないのかもしれない。
ヘルガが行っていることは未来の人間から見れば取り越し苦労なありがた迷惑なのかもしれない。
それでも、ヘルガには変えることは出来ない。
あの地獄のような『戦場』というものを見てしまった生真面目な女であるヘルガは変えることが出来ないのだ。
戦場とは酷いものだった。
言語を絶する、とはあの様なものを言うのだと心で理解した。
アレを見て文章にしようと思えるものはそうは居ないはずだ。
居るとしたらそれはその仕事を誇りに、そしてそれを伝えなければいけないと思う強い意志の持ち主ぐらいだろう。
それほどまでにあの場所は酷いものだった、良くも悪くも真っ直ぐなヘルガが世界に危機を持つ程度には。
「……ふむ」
ヘルガは軽くため息をつき立ち上がる。
ここから一番近い施設は学校だ。
あやかに知られないためか、珠子はどこで待っていろとは言っていなかった。
幸い放送までもう少しだ。
珠子が生きていたのなら学校で珠子を一時間ほど待つ。
珠子が死んだのならそこから立ち去り、新たな仲間を探す。
「とりあえずはそんなもので良いだろう」
亀田に試練を与えるだの育てるだの言うには自分が力を得ないとただの妄想に過ぎない。
と言っても、ヘルガ自身が死んでしまっても何の問題もない。
むしろ、ただの軍人一人が原因で倒れてしまうようでは頼りないことこの上ない。
「……団長のオリジナルと言うだけあって、残虐性は十分だからそんなことにはならんだろうがな」
ふっと口元だけで笑い、不要になるであろう考えを自嘲する。
あの団長のオリジナル、しかも殺し合いなどという馬鹿げたことを開くほどだ。
悪として、人類の敵としての素質は十分過ぎる。
「……未来を見る、か」
それはいったいどんな未来なのか。
ヘルガの望んだ、世界の敵が居ながらも人類が生きている世界なのか。
それともヘルガの恐れた人間が己の闇に押しつぶされた世界なのか。
「所詮は占い、当たるも八卦、当たらぬも八卦とやらだ」
いずれにせよ自分がすることに変わりはない、世界のために自らを礎になるだけだ。
願わくば亀田が世界の敵となり人類の憎悪の対象となれるよう。
ヘルガはヘルガなりの考えで世界の平和を願っているのだ。
【G−3/1日目/早朝】
【ヘルガ@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:健康
[装備]:モデルガン、ナイフ、軍服
[道具]:ラッキョウ一瓶、支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田という悪を育てるために亀田に立ち向かう。
1:一先ず学校へと向かう、珠子が死んでいると分かったら離れる。
2:あまりにも亀田に対抗する戦力が大きくなってきた場合はそれを削る。
しえーん
◆ ◆ ◆ ◆
太陽が東から昇りかけている早朝。
本来ならば闇の眷属は息を潜めはじめ、人間達が恐る恐ると寝床から出始める時間。
だが、そんなことはこの殺し合いの場では何の関係もない。
いや、元々この吸血鬼には朝だとか夜だとかは一切の関係もない。
どこまでも気ままに、どこまでも自分勝手に災害のように動き回る。
彼女にとっては人間も闇の眷属も関係はない。
長い時間を生きてきて、これからも長い時間を生きていくであろう。
一時の快楽のためなら喜んで殺人も犯すだろう。
「おう、終わったんかい」
「ええ、ご苦労様でしたプレイグさん」
野球のユニフォームに着替えたとある野球選手によく似た顔をした男があやかに近づいてくる。
そして一瞬のうちに顔がピエロのようなメイクをした人相の悪い男、プレイグへと変わっていく。
数時間前に茜と言う少女に化けたのと同じように、鈴霞の恋人に魔法を使い化けていたのだ。
野球のユニフォームはあやかが鈴霞たちと接触する前に侵入していた見つけたものだ。
ちなみに鈴霞たちとプレイグが先に接触せずに彼の魔法のおかげだったりする。
「しかし……えげつない殺し方するもんやのぉ……」
「だって、ただ殺すだけではつまらないではないですか」
両手首を切り取られ喉を貫かれた珠子を眉を潜めて見つめるプレイグの傍であやかはにこりと妖艶に笑いながら、愛刀であるムラマサに着いた血をふき取っている。
その顔はリンを手玉に取りマーダーへと変えた時よりも楽しそうだ。
「えらい嬉しそうやな」
「ええ、私はこの顔が一番好きなんですよ」
綺麗に拭いたムラマサを鞘に仕舞い込み、かがんで鈴霞の顔を撫でる。
冷たくなり、目を見開いたまま空を眺めている悲しみに溢れた鈴霞の顔。
それをとても嬉しそうに、年頃の男ならば反応してしまうほど艶やかな表情であやかは見ている。
「プレイグさん、この世で最も美味しい物は何だと思いますか?」
「あん、いきなりなんやねん?
……まあ、そやな。やっぱり人それぞれやないんか?
辛いもんが好きな奴やら甘いもんが好きな奴、酒が好きな奴やっておるやろ。
誰に聞いても美味いもんなんてないやろ」
「いいえ、それがあるんですよ」
支援
あやかは鈴霞の死体からプレイグへと視線を移す。
そして、手を広げ歌うように話し出す。
その美貌と相まってまるで歌劇に出てくる役者のようだ。
「この世で最も美味しい物、それは人の心です」
「心〜?」
「ええ、心です。
辛いものが好きな人、甘いものが好きな人、お酒が好きな人、肉が好きな人、野菜が好きな人……確かにそれぞれです。
でも、食材や調理法よりも、人の心が重要なのです。
例えばどんなに美味しい物でも食べる人の心が沈んでいればそれは嬉しい時に食べるよりも味が落ちるでしょう?
それに良く言うではないですか、皆で食べると美味しいとか、作った人の心が篭ってるって」
胡散臭い宗教家を見るような目であやかを眺めるプレイグ。
そんなプレイグの視線もどこ吹く風、興奮しきっているあやかは口を止めずに喋り続ける。
「私は長い長い時間を生きてきました。
昔は血が好きでしたけど、今では二番目です。
人が一時の運に浮かれ、狂喜し、最後に破滅してしまう。
……カジノでそれを初めて見たとき、恥ずかしい話ですが濡れてしまいましてね。
それ以来、私はこれを見るのが最大の楽しみなんですよ」
「……趣味が悪い、とだけ言っとくわ」
「こんな良い顔の死体を見て興奮するなと言うのは難しい話ですわ」
まるで一生を誓った愛しい相手を前にしているような幸せそうな顔で鈴霞の顔を眺める。
プレイグには理解できないが、それは当然とも言える。
彼は正義と言う言葉は非常にうそ臭いため嫌いだが、人の不幸を楽しむ趣味はない。
だが、目の前の女は違う。
人が悲しむことが何よりも楽しいのだ。
そのために殺し合いに乗ったといっても良い。
先ほどの戦いだってそうだ、プレイグが恋人の変装をするなんて回りくどい戦いをせずに二対一で当たればよかったのだ。
プレイグ自身には何の危害もないから了承したものの、もし死んでいたらこの女はどうするつもりだったのだろうか。
(まあ、ええわ。こいつがどうなろうと知ったことないしの)
プレイグにとってあやかとは生き残るために利用しているだけの相手。
あやかもプレイグを暇つぶしに便利な人間としか見ていない。
ドライな関係だ、この殺し合いが終わりイルの居場所を問いただせば終わってしまう関係。
「んで、あの金髪の姉ちゃんはええんか?」
「構いません、聞いた話だと彼女も変わった人間です。
生かしておいたほうが、面白い存在ですよ」
あやかのこんな所もプレイグには理解できない。
名前も顔も知られた相手を生かしておいて良いことなど一つもないはずだ。
さっさと追いかけて殺してしまえば良い。
あやかと共に動いているプレイグにも不利になることは願い下げだ。
しえーん
「……せやけど、こいつは使えるさかいな」
「? 何か言いましたか?」
「やっぱ趣味が悪い、って言うたんや」
肩をすくめながら死体鑑賞を再開する。
プレイグも信用しているわけではない、しかしあやかは戦力としては一級品だ。
今は主導権を握られているが、こっちも直ぐに後ろを刺す準備は出来ている。
(なんにせよ、注意のし過ぎっちゅうことはないやろ)
「しかし、プレイグさん」
「ん、なんや?」
鈴霞の顔を眺めていたあやかはひどく面白そうな顔でプレイグを眺めてくる。
そして、意地の悪い笑みを浮かべ口を開いた。
「その野球着、とても似合っていますよ」
「じゃかぁしいわボケェ!! 着替えたるわこんなもん!!」
【G−3/1日目/早朝】
【黒羽根あやか@パワプロクンポケット7裏】
[参戦時期]:本編終了後
[状態]:歓喜、テンション↑
[装備]:妖刀ムラマサ@パワプロクンポケット7裏、日本刀
[道具]:支給品一式、高性能型探知機
[思考・状況]
基本:『殺し合い』を円滑に進めるために動く。方法は問わない。
1:リンの時と同じような手でマーダーを増やす
2:ゲームに乗っていない人間は殺す、マーダーに出来そうだったらする
3:『名探偵』は、今度こそこの手で………
[備考]
1:参加者全員の顔と詳細情報についての知識を持っています。
2:探知機はあやかには反応しません。
【プレイグ@パワプロクンポケット4裏】
[参戦時期]:本編終了後、イルが忍者編の世界へ飛ばされた後
[状態]:疲労、魔力消費
[装備]:ハヅキの杖@パワプロクンポケット4裏
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3(杖は無い)
[思考・状況]
基本:『殺し合い』に乗り、優勝を目指す。
1:あやかについては保留。とりあえず今は殺さない。
2:もっとまともな杖が欲しいでホンマ……
[備考]
1:杖がなくとも呪文を唱える事に支障はありません。精神的にほんの少し落ち着かないだけです。
支援
投下終了です、誤字脱字矛盾他、指摘をお願いします
乙 超乙
投下乙です
あやかがどんどん変態になっていくwww
だがそれがいい、もっとやれ
タマちゃんは報われない死に方だったけど、これがバトルロワイアルという(ry
それと、
>>664の
>ちなみに鈴霞たちとプレイグが先に接触せずに彼の魔法のおかげだったりする。
が脱字っぽいので一応報告、違ったらすいません
>>672 ○ちなみに鈴霞たちとプレイグが先に接触せずに済んだのは彼の魔法のおかげだったりする
×ちなみに鈴霞たちとプレイグが先に接触せずに彼の魔法のおかげだったりする。
正しくはこうです、御早い指摘本当にありがとうございます
投下乙です
タマちゃあああああああああああん
惜しい人材が逝ってしまわれたか
だが変態さんになってきたあやかの活躍にはwktkせざるを得ない
プレイグ?何それおいしいの?
〜〜〜〜〜〜〜♪
おはよう、諸君!
東の空を見るである! 美しい朝焼けが見えてきたであろう!
殺し合いという愉快なショーの最初に迎える朝としては素晴らしい朝焼けだとは思わないかね?
おっと、紹介が遅れたであるな。
我輩の名前はチバヤシ、チバヤシ公爵であ〜る!
勘のいいものは気づいたかも知れんが、そう、『公爵』である!
分かるであるか? 『公侯伯子男』、これの『公』に当たる公爵である!
そう! 我威亜党の幹部には爵位がつくのであるよ!
つまり、我輩は皇帝陛下の次に偉いということになるである。
ふふふ……悔しいであるか? 我輩が憎いであるか?
くぅー! これだから管理職はやめらない!
愚民共が地べたに這いずり回ってると思うとおかしくてたまらない!
……ん? なんであるか、チキン男爵?
ああ、わかってるである、発表であろう?
えー、ごほん。
少し脇道に逸れてしまったであるな。
では、まずは禁止エリアの発表である。
覚えてるであるか? 禁止エリアというのはその名の通りそこに入ってはいけない場所のことであるよ。
A−1と言えば地図のアルファベットのAと数字の1が重なっているエリアが禁止エリアになる。
わかったであるな? では、心して聞くが良い。
禁止エリアに踏み込んで首輪が、ボン、と爆破してあのガキのような無様な死に方をしないようにな。
A−2
C−8
H−4
以上、今から一時間後、つまり『午前七時』に禁止エリアとなるである。
今すぐには禁止エリアにならないであるから、その場所に居る人間は早く逃げた方が良いであるな〜♪
では次に……お待ちかねの死亡者の発表である!
メモは持ったであるか? 特別に一分だけ待ってあげようではないか。
……もういいであるか? では発表である!
青野 柴夫
アルベルト・安生・アズナブル
太田 洋将
落田 太二
越後 竜太郎
エリ
教頭
甲子 園児
埼川 珠子
島岡 武雄
たかゆき
塚本 甚八
二ノ宮 金太
鋼 毅
ピエロ
平山 紀之
ブラウン
森 友子
以上!
……うむ! 最初の二人は陛下の手にかかったから引いたとしても十八人であるか!
四分の一以上もの人間がわずか六時間の内に誰かの手にかかってしまうとは……
人間とは恐ろしいものであるなぁ〜♪
あ、そうそう。
デイバックの中にこの殺し合いに参加した人間の名簿を入れておいたである。
まあ、早めに目を通したほうがいいであろうなぁ〜
ではまた次の放送で会おう!
何人残っているか楽しみにしておこうではないか♪
◆ ◆ ◆ ◆
薄暗い部屋の中、二人の男が立っていた。
一人は服装は平凡なものだがトサカのような個性的な髪型をしている我威亜党幹部の一人、チキン男爵。
もう一人は奇妙な形の被り物と、マントが特徴的な我威亜党幹部、チバヤシ公爵だ。
この二人は主に現場進行を担当している。
「おいおい、公爵閣下よぉ。あんまり遊んでると陛下のお叱りがくるかもしれねえぜ」
「ふん、このような面白いものを目の当たりにして黙っていられるわけがないであろうが」
どうやら、チキン男爵がチバヤシ公爵に先ほどの放送について咎めているらしい。
確かに禁止エリアと死者の発表だけでいいところを無駄口を叩いて長引かせたのだからチキン男爵の発言はもっともだろう。
しかし、チバヤシ公爵は聞く耳を持たずにソファにもたれかかる。
「前にも言ったと思うが、我輩は管理職として色々と溜まっているのだろう。
このような場で晴らさずに何時それを晴らせばいいのであるか?」
「まあ、言いたいことはわかるけどよ」
チキン男爵もため息をつきながら椅子に座る。
どちらかと言えば変人揃いの我威亜党の中で割と常識を持ってる彼が一番ストレスが溜まっているのだ。
「そう言えば秋穂公爵はどこであるか?」
「さあ、何か陛下に仕事でも言われてるんじゃないのか?」
「全く……寺岡子爵は寺岡子爵で篭りっぱなしであるし」
「皇帝陛下の持ってきた大量の機械に付きっ切りだったな。
……しかしよ、大丈夫なのか?」
眉をひそめてチキン男爵はチバヤシ公爵へと尋ねる。
チバヤシ公爵は何を尋ねているのか分からずに首を捻り、疑問を返す。
「何がであるか?」
「寺岡子爵だよ、あの作戦で完全に我威亜党とは切れたと思ってたんだが。
裏切るかもしれねえ、いや、ひょっとすると既に裏切ってるかもしれないぜ」
チキン男爵が少し不安そうに語る。
一方のチバヤシ公爵は、なんだそんなことか、と一笑し、水を飲んでから再び口を開いた。
「大丈夫である、確かにあの女は組織に良くない感情は抱いているが……それだけであるよ。
第一、この御時世にどこがまだ若い女に研究資金を出せる?
そんな酔狂な組織、我威亜党を除けばまずない。
しかも、ここには陛下が持ってこられた進みすぎた、そう、文字通り未来の技術がある。
そんな場を放棄するような科学者はいないであるよ」
現代の技術、いや、人類が宇宙で問題なく生活出来るような技術が目の当たりにある。
それを目の当たりにして何もしない科学者はいないだろう。
「で、そんなことよりも鉄人の様子は?」
「鉄人自体には問題ねえが……如何せん数が少なくてよ。
あの作戦が失敗しちまったせいで、俺達は色んなものを失っちまったからな」
『あの作戦』――それは帝都を恐怖と混乱で沈めた大震災のことだ。
あれが成功すれば我威亜党は邪神の力を手に入れ、間違いなく世界を手にするはずだった。
「さて、そろそろお前は仕事に戻るである。
人員が少ない以上、暇を持て余すなどあってはならないからな」
「へえへえ、公爵閣下もお仕事頑張ってくださいな」
こうして舞台裏も動いていく。
参加者以外の様々な人間の思惑も絡み合い、殺し合いと言う最悪の舞台は回っていく。
乙乙乙乙
乙ー
しかし被害者18人とは…サクサク進むなぁ。
しかも元気なマーダーは多いわ、対主催にも十波とかの地雷持ち居るわで…。
対主催組、頑張れよw
投下乙です!
放送まで長かったな〜
18人ってかなりの数だよな。四分の一以上だし
今後も頑張っていきましょう!
第二放送までにどれだけ生き残るだろうか
11やると何で浜野がマーダーやってるんだろうと疑問になる不思議
でも10の紫杏ルートをやるとやっぱり納得してしまう不思議
>>684 11の朱里は一回カズにボコボコにされてるから丸くなってるわけだしな。
このロワ中の朱里がどこからの参戦か知らんが、10時点だとそりゃマーダーでもおかしくないわw
しかし逆に考えれば負けから更生フラグが立つことに…。
あれ、そうなるとカズも暴走フラグ立てても違和感が無くなって…。\(^o^)/
11公式より
北海道 の ごリラさん 7〜9歳 の質問
今回のボスもカメダですか!!!
答: カメダがボス?いいえ、いつものように前座です。
皇帝……
ここの黒幕は・・・いや考えないことにしよう
カメダよりあやか伯爵の方がなんか凄そうだから困る
カズの性格も後付けみたいなもんだし
そう考えると爆弾みたいでこえーなガクブル
カネオ、上川辰也、芽森わん子
投下します
「十七人……か」
上川は研究所の椅子に座りメモを取っていた。
メモに取るのはもちろん死者の名前と禁止エリアの場所だ。
わん子やカネオに任せても良かったかもしれないが、どうもこの二人は頼りない。
万が一にも書き漏らしがあってはいけないので、念のためにということで上川自身がメモを取っていた。
(森 友子……あの女も連れてこられていたのか)
上川と似た能力を持つ、同じ研究所に居たかつての仲間。
と言っても、今は意見の相違でとっくにお別れとなってしまっているが。
もちろん友子の死に何も思わない、と言えば嘘になってしまう。
袂を分かったとはいえ同じ工場で生まれた間柄、いわば兄弟のようなものなのだから。
(……感傷に浸るなんてらしくないな。
アイツは下手を踏んだから死んだんだ、ここに来る前のオレみたいにな)
―――自分は同じ轍を二度も踏まない。
メモを仕舞い、今度は新たに支給されたという名簿に目を通す。
パッと目を通す限りでは日本人名が圧倒的に多い。
その中でも気になるのはカネオやタケミ、愛やたかゆきといった苗字のない人物達だ。
しかも、たかゆきは平仮名なのにタケミやカネオはカタカナ。
これには何かいったい意味があるのだろうか?
可能性として高いのは何かの組織のコードネームだろう。
そして、そのコードネームの方が通りが良いから名簿にはコードネームで載せた。
こんな推理が妥当な所だろう。
が、それ以上に気になる名前があった、正直に言うと放送の時から思っていた。
「教頭とかピエロって何だよ……」
真っ先に疑問に思ったことはその二つの名前だった。
プレイグやヘルガはまだ良い、治安の悪い国のストリートチルドレンだと言う可能性もある。
レッドは恐らくコードネームだから良いだろう。
最初に殺された妙な男もブラウン、色の名前で呼ばれていたことからの何らかの組織に所属しているに違いないのだから。
メカ亀田……正直これはアウトだけど、まあ亀田の送り込んだ刺客の可能性大なため、許しても良いだろう。
――――だが、『教頭』に『ピエロ』、テメエらは駄目だ。
「ただの職業名じゃねーか!」、と叫びたくなるものの、上川は必死にこらえる。
きっとこれは上川以外も疑問に思ったはずだ、そう思わないとやってられない。
(教頭とかピエロって言っても誰もわからないだろ。
分かる奴が居るとしたら亀田と繋がりのある奴か、それこそエスパーだけだぞ)
頭を抱えそうになるが、もう死んだ連中。
無駄なことを考える暇はない、そんなことよりも脱出の方法について考えなければいけない。
(……仮に首輪を外したとして、この島からの脱出方法はどうする?
あの巨大ロボットで襲われたら戦闘型じゃないオレは直ぐに殺されてしまう。
しかも、向こうには武器を支給できるほどの潤沢な資金、もしくは資金はないが武器だけを大量に持っている可能性が高い。
……麻酔銃だけじゃ敵わんな、今のご時世の武器のレベルは高すぎる。
となると脱出手段を先に用意しておく必要があるな。なるべく自然に、向こうにばれないように。
じゃあ何が使える? 沈没船は動かない、いかだを作るなんて馬鹿な発想は論外。
まともな船が置いていそうな場所というと港か。
可能性だけなら灯台の周りや水族館の近くにもあるかもしれないな)
F−1にある港、もし船が置いてあるとすればここぐらいなものだろう。
ただ、他にも可能性があるとすれば灯台や水族館、遊園地にも海を移動できる何かがあるかもしれない。
(どちらにしろ、灯台も水族館も遊園地も遠すぎる。港に行った後でも構わないだろ)
一先ず当面の方針は決まった、あとは行動に移すだけだ。
首輪のことも同時に考えなければいけないのが辛いことだ。
(『首輪を外す』、『島からの脱出方法も見つける』。両方やらなきゃいけないのが辛いな)
せめて頭の良い殺し合いに乗っていない人間と合流できれば楽なのだが。
と言っても殺し合いに乗っていない人間、わん子とカネオを共に行動できてるのですら十分ツイている。
この二人は単純すぎるため思考が読みやすい、少なくとも背中を刺す気はない。
今の状況――催眠術が満足に使えない状況――で身代わりが二人居るというのはとても大きい。
「……そんな」
「ん? どうしたんだい、わん子ちゃん」
そんなこと考えていると、背後からわん子の呆然とした声が聞こえてくる。
なるべく人の良さそうな顔を作り振り返るとそこには声と同じほど呆然とした表情をしたわん子が居た。
「辰也さん……走太くんの、名前がある」
「……ああ、わん子ちゃんの友達の」
眉を潜めて舌打ちをしたくなるのを上川は何とかこらえる。
上川としてはその走太とやらにはこの殺し合いに来ていては欲しくなかった。
別にそのわん子の友達だからとか、残酷な目に会って欲しくなかったとか、そんな善人のような考えからではない。
単純にわん子の行動に影響が大きく出るからだ。
もしも、放送で走太の名前が呼ばれればわん子は大きく動揺し、下手をすれば動くことを嫌がるほど落ち込むかもしれない。
いや、走太の死体を間近で見たら抜け殻になってしまう可能性だって0ではない。
(まあ、最初に殺されたあのガキを見ているからいまさら面倒なことにならないかもしれないけどな)
「なら、直ぐに出て行こうか。ここに何時までも居るわけにはいかないね」
元々、上川も放送が終われば研究所から出て行くつもりだった。
本も読み終わり、手羽先で腹も膨れ、頭痛も治まってきた。
ここにとどまる理由は無い。
「元々、わん子ちゃんは走太くんを探した言ってたしね。
オレの我侭でここに長い時間居たんだし」
「辰也さんは悪くないわん、暗い中じゃ危ないって言うのも本当だし……」
「……大丈夫だよ、走太くんだって今は生きてるんだ。速く探しに行こうか」
上川自身、聞いていると歯の浮きそうなお人よしな言葉だが信頼を得るのには必要だ。
信頼は大事だ、それは上川が人を操れる能力を持つからこそ実感していること。
友好な関係は素晴らしいものだ、一定の信頼を得れば無条件で庇ってくれる。
(精々オレに有利なように動いてくれよ)
「カネオ、行くぞ」
「む〜ん、もう動けないんだな〜」
「ああ! もう手羽先なくなってるわん!」
さあ、これから行くぞ!と言うときにカネオは床に寝そべって腹を抱えていた。
気づけば皿にあった大量の手羽先が綺麗になくなっている、残ったのは無残な手羽先の骨だけ。
ちなみに手羽先を食べ始めた瞬間に放送が始まったため、上川とわん子はほとんど食べていない。
「わたし三つしか食べてないわん!」
「む〜ん、知らないんだな〜。早い者勝ちなんだな〜」
涙目になりながら皿の上に残った骨を見つめるわん子と無表情ながら何処か満足げな様子でゲップをするカネオ。
上川はピクピクとこめかみを動かしながらその二人を眺めていた。
(……こいつ、むかつくな。
まあ、このガキが暗くなくなってるから良い仕事をしたとで言ってやるか)
「カネオ」
「む〜ん? なんなんだな〜?」
「お前、何であんなところに居たんだ?」
『飛んだ』ということは既に聞いているが、それは暗示催眠中なためカネオは覚えていないはずだ。
ヘタなことで怪しまれるのは上川としても願い下げだ。
「む〜ん、『飛んで』きたんだな〜」
「『飛ぶ』? どんな風にだ?」
「む〜ん」
口癖なのだろう、む〜ん、という言葉を出すと突然目の前から消える。
が、上川はカネオを見ずに時計を眺めていた。
「……」
「わ、わん!?」
一度それを見ている上川は念のために身構えるだけで終わらせるが、始めて見たわん子は驚きを隠せない。
「む〜ん、こんな感じなんだな〜」
「わん!? 何時の間にわん!?」
そして、上川から逃げた時と同じように背後に立っていた。
上川は時計を見て、時間が変わらないのを見て確信する。
「瞬間移動、か」
「瞬間……移動?」
「多分、ヒゲの神様と一緒なんだよ」
時間が急に進んでいればこちらの意識を止めるタイプの能力だろうが、時計は別段変わらなかった。
となると、瞬間移動か時間を止めるかのどちらかだ。
どちらが有り得るかと言われれば瞬間移動だろう、何しろ亀田も六時間前に同じようなことをしたのだから。
そういう機械が出来たと言う噂は聞いたことが無い。
が、ここに来たときに瞬間移動のようなものを体験した以上絶対にないとは言い切れないのも同じだ。
「待てよ? 服も移動したってことは……ひょっとしてオレたちも瞬間移動させることが出来るのか?」
「む〜ん、試したこと無いんだな〜。……このキムチも美味しいんだな〜」
「ああ! わたしのキムチ!?」
いつの間にかわん子のデイバックからキムチワンパックを取り出して食べているカネオ。
能力はたいしたものだが、行動自体は非常に鬱陶しい。
「試してみてくれないか? 場所は……そうだな、ここから東に二キロほどでいい」
「む〜ん、手をかすんだな〜」
上川とわん子――涙目になってカネオを睨んでいる――はカネオの差し出した手を握る。
そして、待つこと一分ほど。
「……出来ないんだな〜」
「さすがに無理、か……」
「いいから早くキムチを返すわん!」
どうやら複数を移動させることは不可能のようだ。
下手をしたらカネオだけ逃げて大ピンチ!と言う可能性も高い。
(……信用できるような男じゃあないな。どうも自己中心的過ぎる。
だが、能力はあまりにも惜しい。首輪を外せれば外に出ることが可能な唯一の男なのも事実だ。
……戦闘に優れた仲間が複数出来たら気絶覚悟で操り人形がベストだな)
上川は覚めた目でキムチを奪い合う二人を眺める。
そして、名簿をデイバックに仕舞い【黒い板】を眺める。
(放送が終われば何らかの反応があると思ったが……何も無いな。
放送の前と後で変わることと言えば……太陽か?
……ひょっとすると太陽の光に反応するのか?)
そう思い、東側の窓を開けて黒い板を太陽に当てる。
そうすると、どんどんと黒い板に文字が浮かび上がってきたのは――――。
(人の、名前?)
そこには十人ほどの参加者の名前が書かれていた。
ちなみに載っていた参加者は――――
プレイグ・椿・灰原・白瀬芙喜子・上川辰也・森友子・曽根村・神条紫杏・メカ亀田・浜野朱里
――――といった物騒な面々だ。
(……なんだ、これは? オレと森の名前も入っているし……)
上川には判断材料が無いため理解できるわけも無いが、これは我威亜党の人間達が開始前に上げた優勝候補の名前である。
要は――――
「公爵と陛下は誰が優勝すると思う?」「我輩はこいつ」「オイラはこいつでやんすかね〜」
――――こんな感じで独断と偏見に満ち溢れて作られた表である。
(……わからん、日光で反応すると言うことは渡された時から書かれてあったということだろうが)
考えていても仕方がないと思ったのだろう。
窓を閉めなおして、デイバックを背負いなおす。
ここから上川と亀田含む我威亜党との戦いが始まる。
六時間をかけて頼りないが手駒を手に入れ、情報も大量に仕入れた。
圧倒的に不利には変わりないが、そんなことは大神から逃げていたときにも言えることだ。
(今のうちに胡坐でも組んでのうのうと遊んでな……全部が全部、テメエの思い通りに行くと思うなよ)
ニヤリと維持の悪い笑みを浮かべてマフラー越しの首輪を触れる。
第三世代アンドロイド・上川 辰也の戦いは今始まったばかりだ。
「あー! キムチもほとんどなくなっちゃったわん!」
「む〜ん、後悔はしていないし反省もしないんだな〜」
……頑張れ、上川! 戦え、辰也!
僕達は地味にツイていない第三世代アンドロイドの上川 辰也を応援している!
【A−3/研究所/1日目/朝】
【上川 辰也@パワプロクンポケット8】
[状態]:疲労中、走力+5
[装備]: 走力5@パワポケ3、ヒーローのスカーフ@パワポケ7、拳銃(麻酔弾)予備カートリッジ×3@パワポケ8
[参戦時期]美空生存ルート、ルナストーン引き渡し後
[道具]:支給品一式、レッドローズの衣装@パワポケ8、ヒーローのスカーフ三個@パワポケ7、本@パワポケ8裏、『人間の潜在能力の開発』に関する資料@パワプロクンポケット4、黒い板@パワポケロワオリジナル
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:仲間を集める。
2:首輪を詳しく調べたい。
3:港に向かい脱出方法が無いかを調べる。
4:頼もしい仲間を集めたらカネオに催眠術をかける。
[備考]
※黒幕に大神がいると可能性があると考えています。
※首輪の考察をしました。
考察した内容は以下の通りです。
1:首輪には爆発物が仕掛けられている。
2:首輪には位置情報を送信する機能ある。
3:移動した位置が禁止エリアなら爆破の為の電波を流され爆発する。
4:盗聴機能や小型カメラが首輪に仕掛けてあると予想しました。
※現在カメラ対策としてスカーフを首に巻いています。
※考察の内容が当たっているかは不明です。
※わん子からパワポケダッシュの登場人物に付いての知識を得ました。
わん子の事をオオカミつきだと考えています。 ヒゲの神様(野球仙人)の事を記憶を操作する能力を持っている人間だと予想しました。
※暗示催眠の能力は制限のせいで使う度に疲労が伴います、使用しすぎると疲れて気絶するかも知れません。
※能力に制限がかかっている事に気付きました。
情報を引き出す時や緊急時以外は使用を出来るだけ控えるつもりです。
[新出情報]
※黒野鉄斎が研究していた『人間の潜在能力の開発』に関する資料を発見しました、機械は反応しません。
それが我威亜党の目的と関係あるかどうかは『全くの不明』です。
※我威亜党、野球人形、探偵の名前を本で見つけました。
本については我威亜党の誰かが書いたお遊びだと思っています。
※資料の最後に書かれていた『黒野鉄斎』が主催側の人間だと思っています。
※ここに置かれている全ての資料が『ミスリード』である可能性もあると思っています。
※研究所においてあった本には様々なジャンルの本があります。
【黒い板@パワポケロワオリジナル】
優勝候補じゃね?って人たちの名前が書かれている。
ちなみに載っているのは下の参加者達。
【プレイグ・椿・灰原・白瀬芙喜子・上川辰也・森友子・曽根村・神条紫杏・メカ亀田・浜野朱里】
【芽森 わん子@パワポケダッシュ】
[状態]:疲労小、仲間が出来て嬉しい。
[装備]:ヒーローのスカーフ@パワポケ7、モップ@現実
[参戦時期]:わん子ルート、卒業直後
[道具]:支給品一式(食料はキムチと何か)、ヒーローの衣装セット@パワポケ7、ヒーローのスカーフ四個@パワポケ7
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する。
1:キムチが……
2:タツヤさんに付いてく。
3:走太君を探したい。
【カネオ@パワプロクンポケット9裏】
[状態]:疲労(中)、空腹(中)
[装備]:なし
[道具]リュックサック、ヒーローのスカーフ@パワポケ7
[思考]
1:キムチは美味しいんだな〜
2:弟たちを探す。
3:春香に会ったら、『おしおき』をする。
[備考]
※参戦時期は9裏主人公の戦艦に最初に乗り込んできた後です。
※春香の名前は知りません。また春香の見た目に関する情報も、暗かったために曖昧です。
※テレポートをすると疲れが溜まる事を認識しました。
テレポートの移動距離に関する制限は認識していません、またテレポートの制限の度合いは以降の書き手にお任せします。
※名簿は見ていません
投下終了です、あと最初の最初に投下後ミスを発見しましたorz
×「十七人……か」
○「十八人……か」
です、矛盾誤字脱字等おかしな点があれば指摘をお願いいたします
投下乙です
上川wwwその突っ込みたくなる気持ちは正しいwww
教頭もピエロも既に死んでいるのが残念でもあり面白くもあるが
黒い板は面白そうですね
今のところは役に立つ気配はありませんが
誤字というか差し替え忘れというべきか迷いますが、ゲップをするほど手羽先を食べてさらにキムチも食ってやがるカネオが、空腹具合が中というのは一応確認の方を
放っておいても特に影響は無さそうですが
>>708 失礼しましたorz
空腹はなしにしようと思っていたのですが消し忘れてしまいました
ゲップした後にテレポートを使ったので満腹ではないですが、空腹は解消されたようです
投下乙!
カネオうぜぇwww
上川不憫過ぎw
黒板は今後の転がし方次第で面白くなるかも
>Q.山口県 の スペードさん 16〜18歳 の質問
>武美の人格形成に用いられた3人って白瀬、智美ともう一人は誰なんですか?
>A.勘違いしているようですが、武美に白瀬の人格は使用されていません。白瀬は武美より年下です。
>白瀬は武美より年下です。
>白瀬は武美より年下です。
>白瀬は武美より年下です。
>白瀬は武美より年下です。
ちょ!!!!スタッフゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!
今日のは色々と影響ありそうだよな
強さが8>9>6>11≧3とか
11のカズはブラックより強いとか
我ながらナイスな質問をしただろう
白瀬は人間で居て欲しかった俺の怒りが有頂天だったというに、さらに追い討ちをかけられたみたいだ
>>709 だよね・・・
ああ、俺の白瀬が・・・
でもまあ、人間として生まれることも生きることもできなかったからこそ人間としてロマンチックに死にたかったのかなあと思うとそれはそれで全く萌えられないわけではない
それでもやっぱ悲しいがな・・・
>兵庫県 の ビジラン(元バルソー)さん 10〜12歳 の質問
> ブラックと大江と犬井ってほぼ同等の強さですか?それと、この3人にはデスマスや、ワームホールでも敵わないですよね?
> 犬井と大江が頭ひとつ抜けていますが、その5人なら状況によっては誰が勝ってもおかしくないでしょう。
カズはブラックを越えたのか……、まあ能力が特殊だから頭を使えばどうにでもなるってか
おかげで11だと微妙にやばい性格になってたからな
誤爆の流れを見てると、自ロワにも支援絵とかMADが欲しいお…ブワッ(´;ω;`)
すまんガチで誤爆したorz
いつの間にかwikiのトップが変わってるね
保守。
予約入ったし新スレを立てても構いませんね!?
ゴーゴーカレー
>>719 よくやった
社長の乙πタッチをする権利をやろう
ところで、キャラ毎に分割しても投下は出来るんだけど、文量が少ないから繋げて他のパートも書こうと思うんだが、予約被りとか防ぐためには分割しといた方がいいんだろうか
俺、凄いこと思いついた
一つ予約して投下までの間に音沙汰なければもう一つ投下すれば良いんじゃないか?
俺って天才だぜ!
722 :
720:2009/02/05(木) 23:34:29 ID:+fXV9pKg0
とりあえず一人分だけで予約させてもらいました
追加予約は出来ればしたいですが、期待はしないでください
>>721 すげえぜ越後!
乙ですー
期待するなって言われても期待しちゃうのが人の性なんだぜ……
だから応援しちゃう、頑張ってくださいー